JP2007217215A - 半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具及びその製造方法 - Google Patents

半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】炭化ケイ素焼結体の純度の向上と、炭化ケイ素焼結体の炭素濃度の低減を図る。
【解決手段】半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法であって、
(a)炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物及び上記粉体混合物から調製された成形体のいずれか一方をホットプレス法により焼結して焼結体1を得る工程と、
(b)上記焼結体1を加工処理して焼結体2を得る工程と、
(c)上記焼結体2をアルゴン雰囲気下2000〜2400℃で熱処理して、上記焼結体2中の不純物を外部拡散させて不純物を取り除き焼結体3を得る工程と、
(d)上記焼結体3と、二酸化ケイ素及び炭素を含む混合物とを同一環境内に配置し、アルゴン雰囲気下1600〜1700℃で加熱し、上記混合物から生じたガスを上記焼結体3の表面に供給して焼結体4を得る工程と、
を含む炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具及びその製造方法に関する。
さらに詳しくはダミーウェハ及びその製造方法に関する。
従来より、炭化ケイ素焼結体は、高温強度性、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等の優れた特性を有することから高温領域で使用される材料として注目されてきた。そして、近年、炭化ケイ素焼結体は半導体の製造治具として石英の代替材料として使用されている。
上記炭化ケイ素焼結体を半導体関連部品用として用いるためには、高純度化が必要である。また、将来、さらなる高純度化が要求されるのは必須であることより、より高純度の炭化ケイ素焼結体治具の開発が要望されている。
ところが、従来の炭化ケイ素焼結体治具に関連する技術においては、炭化ケイ素焼結体治具の純度を向上させるために細心の注意が必要であり、また作業工程が複雑になる等の改善すべき余地が残されていた。
そのため、炭化ケイ素焼結体治具の純度の向上を簡易に図ることができる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法が求められていた。また、高純度の炭化ケイ素焼結体治具が求められていた。上記課題を解決する手段の1つとして、例えば、特許文献1には、ホットプレス法により得られた焼結体に放電加工等を施した後、かかる焼結体をアルゴン雰囲気下2000〜2400℃で熱処理する方法が開示されている。かかる熱処理により焼結体中の不純物が外部拡散することで焼結体の純度が向上する。
国際公開WO03/040059号公報
しかし、熱処理により焼結体表面の炭化ケイ素が分解されてケイ素が飛散し、焼結体表面の炭素濃度が高くなる傾向があった。そのため酸素を含む炉内で焼結体を使用した場合、焼結体表面の炭素と酸素が反応してガス化し、炉内環境を汚染することが懸念されていた。
そのため、焼結体のさらなる純度の向上を図るべく、不純物の除去を図ると共に、焼結体表面の炭素濃度の低減が求められていた。
即ち、本発明は、以下の記載事項に関する:
(1)半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法であって、
(a)炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物及び上記粉体混合物から調製された成形体のいずれか一方をホットプレス法により焼結して焼結体1を得る工程と、
(b)上記焼結体1を加工処理して焼結体2を得る工程と、
(c)上記焼結体2をアルゴン雰囲気下2000〜2400℃で熱処理して、上記焼結体2中の不純物を外部拡散させて不純物を取り除き焼結体3を得る工程と、
(d)上記焼結体3と、二酸化ケイ素及び炭素を含む混合物とを同一環境内に配置し、アルゴン雰囲気下1600〜1700℃で加熱し、上記混合物から生じたガスを上記焼結体3の表面に供給して焼結体4を得る工程と、
を含む炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(2)(e)上記焼結体4の表面を、フッ酸を含む水溶液にてエッチング処理する工程を含む上記(1)1記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(3)上記(c)工程において、上記焼結体2をアルゴン雰囲気下2200〜2300℃で熱処理する上記(1)又は(2)に記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(4)上記(c)工程において、上記焼結体2を、圧力0.05〜0.1kg/cm、アルゴン雰囲気下、2200〜2300℃の範囲から選択される熱処理温度まで昇温速度5℃/min以下で昇温し、上記熱処理温度に1〜5時間保持し、1000℃まで降温速度3℃/min以下で降温させる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(5)上記(e)工程後の炭化ケイ素焼結体治具表面のFe濃度が、0.02ppm以下である上記(2)〜(4)のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(6)上記(e)工程後の炭化ケイ素焼結体治具表面の総不純物濃度が、0.2ppm以下である上記(2)〜(5)のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法により製造される炭化ケイ素焼結体治具。
(8)炭化ケイ素焼結体治具表面のFe濃度が、0.02ppm以下である炭化ケイ素焼結体治具。
(9)炭化ケイ素焼結体治具表面の総不純物濃度が、0.2ppm以下である上記(8)に記載の炭化ケイ素焼結体治具。
本発明によれば、炭化ケイ素焼結体の純度の向上と、炭化ケイ素焼結体の炭素濃度の低減を図ることができる。
実施形態を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されないことはない。まず、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具の製造に用いられる原料について説明する。
(原料)
―炭化ケイ素粉末―
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具の原料として用いられる炭化ケイ素粉末は、α型、β型、非晶質或いはこれらの混合物等が挙げられるが、特に、β型炭化ケイ素粉末が好適に使用される。このβ型炭化ケイ素粉末のグレードには特に制限はなく、例えば、一般に市販されているβ型炭化ケイ素粉末を用いることができる。この炭化ケイ素粉末の粒径は、高密度化の観点からは小さいことが好ましく、0.01〜10μm程度、さらには、0.05〜1μm程度であることが好ましい。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合などの処理工程における取扱が困難となり、10μmを超えると比表面積が小さく、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化が困難となるため、好ましくない。
好適な炭化ケイ素粉体の態様としては、粒径が0.05〜1μm、比表面積が5m2 /g以上、遊離炭素1%以下、酸素含有量1%以下のものが好適に用いられる。また、用いられる炭化ケイ素粉末の粒度分布は特に制限されず、炭化ケイ素焼結体治具の製造時において、粉体の充填密度を向上させること及び炭化ケイ素の反応性の観点から、2つ以上の極大値を有するものも使用しうる。
尚、高純度の炭化ケイ素焼結体治具を得るためには、原料の炭化ケイ素粉末として、高純度の炭化ケイ素粉体を用いればよい。
高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、少なくとも1種以上の液状のケイ素化合物を含むケイ素源と、加熱により炭素を生成する少なくとも1種以上の液状の有機化合物を含む炭素源と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む製造方法により得ることができる。液状のケイ素化合物を含むケイ素源、例えば、液状シリコン化合物は固体状のシリコン化合物と併用することもできる。
高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられるケイ素化合物(以下、適宜、ケイ素源と称する)としては、液状のものと固体のものとを併用することができるが、少なくとも一種は液状のものから選ばれなくてはならない。液状のものとしては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)及びテトラアルコキシシランの重合体が用いられる。アルコキシシランの中ではテトラアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキシシランが好ましい。また、テトラアルコキシシランの重合体としては、重合度が2〜15程度の低分子量重合体(オリゴマー)及びさらに重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものが挙げられる。これらと併用可能な固体状のものとしては、酸化ケイ素が挙げられる。本発明において酸化ケイ素とは、SiOの他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液、内部にOH基やアルコキシル基を含む)、二酸化ケイ素(シリカゲル、微細シリカ、石英粉体)等を含む。
これらケイ素源のなかでも、均質性やハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
また、高純度炭化ケイ素粉末の製造に使用される加熱により炭素を生成する有機化合物としては、液状のものの他、液状のものと固体のものとを併用することができ、残炭率が高く、かつ触媒若しくは加熱により重合又は架橋する有機化合物、具体的には例えば、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等の樹脂のモノマーやプレポリマーが好ましく、その他、セルロース、蔗糖、ピッチ、タール等の液状物も用いられ、特にレゾール型フェノール樹脂が好ましい。また、その純度は目的により適宜制御選択が可能であるが、特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合には、各金属を5ppm以上含有していない有機化合物を用いることが望ましい。
本発明における炭素とケイ素の比(以下、C/Si比と略記)は、混合物を1000℃にて炭化して得られる炭化物中間体を、元素分析することにより定義される。化学量論的には、C/Si比が3.0の時に生成炭化ケイ素中の遊離炭素が0%となるはずであるが、実際には同時に生成するSiOガスの揮散により低C/Si比において遊離炭素が発生する。この生成炭化ケイ素粉体中の遊離炭素量が焼結体等の製造用途に適当でない量にならないように予め配合を決定することが重要である。通常、1気圧近傍で1600℃以上での焼成では、C/Si比を2.0〜2.5にすると遊離炭素を抑制することができ、この範囲を好適に用いることができる。C/Si比を2.5以上にすると遊離炭素が顕著に増加するが、この遊離炭素は粒成長を抑制する効果を持つため、粒子形成の目的に応じて適宜選択しても良い。但し、雰囲気の圧力を低圧又は高圧で焼成する場合は、純粋な炭化ケイ素を得るためのC/Si比は変動するので、この場合は必ずしも上記C/Si比の範囲に限定するものではない。
尚、遊離炭素の焼結の際の作用は、本発明で用いられる炭化ケイ素粉体の表面に被覆された非金属系焼結助剤に由来する炭素によるものに比較して非常に弱いため、基本的には無視することができる。
また、本発明においてケイ素源と加熱により炭素を生成する有機化合物とを均質に混合した固形物を得るために、ケイ素源と該有機化合物の混合物を硬化させて固形物とすることも必要に応じて行われる。硬化の方法としては、加熱により架橋する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線による方法が挙げられる。硬化触媒としては、炭素源に応じて適宜選択できるが、フェノール樹脂やフラン樹脂の場合には、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、しゅう酸、塩酸、硫酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン類等を用いる。
この原料混合固形物は必要に応じ加熱炭化される。これは窒素又はアルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃にて30分〜120分間該固形物を加熱することにより行われる。
さらに、この炭化物をアルゴン等の非酸化性雰囲気中1350℃以上2000℃以下で加熱することにより炭化ケイ素が生成する。焼成温度と時間は希望する粒径等の特性に応じて適宜選択できるが、より効率的な生成のためには1600℃〜1900℃での焼成が望ましい。
また、より高純度の粉体を必要とする時には、前述の焼成時に2000℃〜2100℃にて5〜20分間加熱処理を施すことにより不純物をさらに除去できる。
以上より、特に高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法としては、本願出願人が先に特願平7−241856号として出願した単結晶の製造方法に記載された原料粉体の製造方法、即ち、高純度のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して得られた混合物を非酸化性雰囲気下において加熱焼成して炭化ケイ素粉体を得る炭化ケイ素生成工程と、得られた炭化ケイ素粉体を、1700℃以上2000℃未満の温度に保持し、該温度の保持中に、2000℃〜2100℃の温度において5〜20分間にわたり加熱する処理を少なくとも1回行う後処理工程とを含み、上記2工程を行うことにより、各不純物元素の含有量が0.5ppm以下である炭化ケイ素粉体を得ること、を特徴とする高純度炭化ケイ素粉末の製造方法等を利用することができる。
―非金属系焼結助剤―
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体を製造するにあたって、上記炭化ケイ素粉末と混合されて用いられる非金属系焼結助剤としては、加熱により炭素を生成する、所謂炭素源と称される物質が用いられ、加熱により炭素を生成する有機化合物又はこれらで表面を被覆された炭化ケイ素粉末(粒径:0.01〜1μm程度)が挙げられ、効果の観点からは前者が好ましい。
加熱により炭素を生成する有機化合物としては、具体的には、残炭率の高いコールタールピッチ、ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂やグルコース等の単糖類、蔗糖等の少糖類、セルロース、デンプン等の多糖類などの等の各種糖類が挙げられる。これらは炭化ケイ素粉末と均質に混合するという目的から、常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、熱可塑性或いは熱融解性のように加熱することにより軟化するもの或いは液状となるものが好適に用いられるが、なかでも、得られる成形体の強度が高いフェノール樹脂、特に、レゾール型フェノール樹脂が好適である。
この有機化合物は加熱されると系中でカーボンブラックやグラファイトの如き無機炭素系化合物を生成し、これが焼結助剤として有効に作用すると考えられる。尚、カーボンブラックやグラファイト粉末を焼結助剤として添加しても本実施形態にかかる効果を得ることはできない。
(炭化ケイ素焼結体治具の製造方法)
次に、半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法について1実施態様を挙げて説明する。本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法は、以下の(a)〜(e)の工程:
(a)炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物又は上記粉体混合物から調製された成形体のいずれか一方をホットプレス法により焼結して焼結体1を得る工程と、
(b)上記焼結体1を放電加工もしくは機械加工処理して焼結体2を得る工程と、
(c)上記焼結体2をアルゴン雰囲気下2000〜2400℃で熱処理して焼結体3を得る工程と、
(d)上記焼結体3と、二酸化ケイ素及び炭素を含む混合物とを同一環境内に配置し、アルゴン雰囲気下1600〜1700℃で加熱し、上記混合物から生じたガスを上記焼結体3の表面に供給して焼結体4を得る工程と、
(e)焼結体4の表面を、フッ酸を含む水溶液にてエッチング処理する工程と、
を有する。
上記(c)工程を設けたことにより、焼結体2中の不純物が外部拡散するために、最終的に得られる炭化ケイ素焼結体治具の純度が向上することとなる。本発明において、「外部拡散」とは、焼結体2中の不純物が焼結体2の表面へ拡散し、かつその不純物が気相へ拡散(放出)することにより焼結体2中の不純物濃度が低下することを意味する。尚、「拡散」とは、上記外部拡散の概念をも含む広義の意味である。
上記(d)工程を設けたことにより、焼結体3の表面に炭化ケイ素(SiC)膜が形成された焼結体4が得られる。それにより、酸素を含む環境下で焼結体4を使用した場合であっても、炭素源の飛散を防止することができる。
上記(d)工程に用いられる加熱装置としては、図1に示すような、
二酸化ケイ素(SiO)及び炭素(C)を含む混合物4を収容する容器本体21、混合物4の配置部の上方に焼結体3(焼結体4)Wを配置可能とする配置台22、容器蓋部23、を有する加熱容器2と、
加熱容器2を保持するステージ8と、
加熱容器2の周囲に配置された加熱体10a、10bと、
加熱容器2及び加熱体10a、10bを取り囲んで配置された断熱材12と、
を備える加熱装置1が用いられる。
続いて、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法について各工程毎にさらに詳細に説明していく。
(a)工程
(a−1):本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具を製造するにあたって、まず、本明細書前段で説明した炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤とを均質に混合して、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物を得る。この際に、非金属系焼結助剤を溶媒に溶解又は分散させて混合することが好ましい。溶媒は、非金属系焼結助剤として使用する化合物に対して好適なもの、具体的には、好適な加熱により炭素を生成する有機化合物であるフェノール樹脂に対しては、エチルアルコール等の低級アルコール類やエチルエーテル、アセトン等を選択することができる。また、この非金属系焼結助剤及び溶媒についても不純物の含有量が低いものを使用することが好ましい。
炭化ケイ素粉末と混合される非金属系焼結助剤の添加量は少なすぎると焼結体の密度が上がらず、多過ぎると焼結体に含まれる遊離炭素が増加するため高密度化を阻害する虞があるため、使用する非金属系焼結助剤の種類にもよるが、一般的には、10重量%以下、好ましくは2〜5重量%となるように添加量を調整することが好ましい。この量は、予め炭化ケイ素粉末の表面のシリカ(酸化ケイ素)量をフッ酸を用いて定量し、化学量論的にその還元に充分な量を計算することにより決定することができる。
尚、ここでいう炭素としての添加量とは、上記の方法により定量されたシリカが非金属系焼結助剤に由来する炭素で。下記の化学反応式により還元されるものとし、非金属系焼結助剤の熱分解後の残炭率(非金属系焼結助剤中で炭素を生成する割合)などを考慮して得られる値である。
SiO2+3C→SiC+2CO
また、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具においては、炭化ケイ素焼結体治具中に含まれる炭化ケイ素に由来する炭素原子及び非金属系焼結助剤に由来する炭素原子の合計が30重量%を超え、40重量%以下であることが好ましい。炭化ケイ素焼結体治具が不純物を全く含まないときは、上記焼結体治具中の炭素原子の含有量は理論的には30重量%になる。即ち、上記焼結体治具中に含まれる不純物の割合が多くなると焼結体治具中の炭素原子の含有量が30重量%以下となり好ましくない。また、含有量が40重量%を超えると炭素含有量が多くなり得られる炭化ケイ素焼結体治具の密度が低下し、炭化ケイ素焼結体治具の強度、耐酸化性等の諸特性が悪化するため好ましくない。
炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤とを均質に混合する際、前述の如く、非金属系焼結助剤であるフェノール樹脂をエチルアルコールなどの溶媒に溶解し、炭化ケイ素粉末と十分に混合することが好ましい。混合は公知の混合手段、例えば、ミキサー、遊星ボールミルなどによって行うことができる。混合は、10〜30時間、特に、16〜24時間にわたって行うことが好ましい。十分に混合した後は、溶媒の物性に適合する温度、例えば、先に挙げたエチルアルコールの場合には50〜60℃の温度、で溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させたのち、篩にかけて混合物の原料粉体を得る。尚、高純度化の観点からは、ボールミル容器及びボールの材質を、金属をなるべく含まない合成樹脂にする必要がある。また、乾燥にあたっては、スプレードライヤーなどの造粒装置を用いてもよい。
(a−2):上記粉体の混合物又は後に説明する成形工程(a−1の2)により得られた粉体の混合物の成形体を、温度2000〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm2 、非酸化性雰囲気下で成形金型中に配置し、ホットプレスすることにより焼結体1が製造される。ここで使用される成形金型は、得られる焼結体の純度の観点から、成形体と金型の金属部とが直接接触しないように、型の一部又は全部に黒鉛製の材料を使用するか、金型内にテフロン(登録商標)シート等を介在させることが好ましい。
上記ホットプレスの加圧条件は300〜700kgf/cm2 であることが好ましい。加圧条件が300kgf/cm2 未満であると高密度化が不十分となり、700kgf/cm2 を超えると黒鉛型などの成形型の破損の原因となり、製造の効率から好ましくない。プレス時の圧力は原料粉体の粒径によって選択することができ、原料粉体の粒径が小さいものは加圧時の圧力が比較的小さくても好適な焼結体が得られる。尚、400kgf/cm2 以上の加圧した場合には、ここで使用するホットプレス部品、例えば、ダイス、パンチ等は耐圧性の良好なものを選択する必要がある。
1500℃から最高温度である2000〜2400℃まで2〜4時間かけて昇温を行う。この場合、焼結は1850〜1900℃で急速に進行する。さらに、この最高温度で1〜3時間保持し焼結を完了する。最高温度が2000℃未満であると高密度化が不十分となり、2400℃を超えると粉体若しくは成形体原料が昇華(分解)するおそれがあるため好ましくない。
この焼結工程においても、得られる焼結体1の純度保持の観点から、ここで用いられる黒鉛型や加熱炉の断熱材等は、高純度の黒鉛原料を用いることが好ましく、黒鉛原料は高純度処理されたものが用いられるが、具体的には、2500℃以上の温度で予め十分ベーキングされ、焼結温度で不純物の発生がないものが望ましい。さらに、使用する不活性ガスについても、不純物が少ない高純度品を使用することが好ましい。
(a−1の2):本発明では、上記焼結を行うことにより優れた特性を有する炭化ケイ素焼結体が得られるが、体積を増やす観点から、この焼結に先立って以下に述べる成形工程を実施してもよい。
成形工程とは、炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤とを均質に混合して得られた原料粉体を成形金型内に配置し、80〜300℃の温度範囲で、5〜60分間にわたり加熱、加圧して予め成形体を調整する工程である。ここで、原料粉体の金型への充填は極力密に行うことが、最終的な炭化ケイ素焼結体治具の高密度化の観点から好ましい。この成形工程を行うと、ホットプレスのために試料を充填する際に嵩のある粉体を予めコンパクトになしうるので、この成形工程を繰り返すことにより厚みの大きい成形体を製造し易くなる。
加熱温度は、非金属系焼結助剤の特性に応じて、80〜300℃、好ましくは120〜140℃の範囲、圧力60〜100kgf/cm2 の範囲で、充填された原料粉体の密度を1.5g/cm3 以上、好ましくは、1.9g/cm3 以上とするようにプレスして、加圧状態で5〜60分間、好ましくは20〜40分間保持して原料粉体からなる成形体を得る。ここで成形体の密度は、粉体の平均粒径が小さくなる程高密度にしにくくなり、高密度化するためには成形金型内に配置する際に振動充填等の方法をとることが好ましい。具体的には、平均粒径が1μm程度の粉体では密度が1.8g/cm3 以上、平均粒径が0.5μm程度の粉体では密度が1.5g/cm3 以上であることがより好ましい。それぞれの粒径において密度が1.5g/cm3 又は1.8g/cm3 未満であると、最終的に得られる炭化ケイ素焼結体治具の高密度化が困難となる。
この成形体は、焼結工程に付す前に予め用いるホットプレス型に適合するように切削加工を行うことができる。この成形体を上記の温度2000〜2400℃、圧力300〜700kgf/cm2 、非酸化性雰囲気下で成形金型中に配置し、ホットプレスする工程即ち焼成工程に付して、高密度、高純度の焼結体1を得るものである。
(b)工程
上記(a)工程により製造された焼結体1に所定の加工処理を行うことにより焼結体2が製造される。例えば、上記(a)工程のホットプレス処理を行う際に、焼結体1を円柱状に形成していた場合、この焼結体1の径方向にスライス加工することにより略円板状の焼結体2が製造される。加工方法として、放電加工もしくは機械加工が挙げられるが、焼結体の有効利用、加工時間が短いという観点から放電加工が好適に用いられる。上記放電加工は、特に制限はなく、公知の手法、市販の放電加工装置を用いて、適宜選択した条件にて行うことができる。放電加工を行う際に、放電ワイヤが用いられるが、上記放電ワイヤとしては、市販品を好適に使用することができ、黄銅線、被覆線等のいずれであってもよい。上記放電ワイヤは、通常、ワイヤ自動供給装置により、かかる放電ワイヤを送り出す送出部と、該送出部から送りだされる放電ワイヤを巻き取る巻取部との間で、弛みのない状態で常に保持されている。上記ワイヤ自動供給装置においては、上記送出部と上記巻取部とが、上記放電ワイヤの送出方向と直交する方向に同時に移動可能に設計されている。
尚、上記放電加工の条件としては、一般に、放電ワイヤへの無負荷極間電圧は、60〜150V程度であり、切削量は、30〜50mm2/分程度であり、上記上部ダイス及び上記下部ダイスから噴射される絶縁性の液体の、噴射圧としては、10〜20kg/cm2 程度であり、また、温度としては、20〜30℃程度である。
上記機械加工処理は、特に制限はなく、公知の手法、市販の機械加工装置を用いて、適宜選択した条件にて行うことができる。
(c)工程
以上のようにして製造された焼結体2を、アルゴン雰囲気下において温度2200〜2300℃、圧力0.05〜0.1kgf/cm2となるように加熱・加圧処理する。上記熱処理温度が2200℃未満では、焼結体2中の不純物が充分に取り除かれず、2300℃を超えると粉体もしくは成形材料が昇華するおそれがあるため好ましくない。また、加圧条件が0.05kgf/cm2 未満であると炉内に空気が侵入してしまい、0.1kgf/cm2 を超えると圧力容器(炉容器)に支障をきたす原因となることから好ましくない。
好ましくは、上記焼結体2を、アルゴン雰囲気下、圧力0.08kgf/cm2で、2200〜2300℃の範囲から選択される熱処理温度まで昇温速度5℃/min以下で昇温し、その温度に3時間保持し、1000℃まで降温速度3℃/min以下で降温させる。上記昇温速度が5℃/minを超えると焼結体に歪が入り、降温速度が3℃/minを超えると焼結体に歪が入ったり、割れるおそれがある。
そして、炉内温度が室温まで降温した後に、即ち取り出し温度約25℃前後で上記焼結体3を取り出しそれを次の工程へ付する。
(d)工程
まず図1に示す加熱装置1の加熱容器2に、二酸化ケイ素(SiO)及び炭素(C)を含む混合物6を収容する。次に混合物6の上方の配置台22に焼結体3(W)を配置する。そしてアルゴン雰囲気下1600〜1700℃で4〜6時間加熱処理する。かかる加熱により以下の式(1)の反応が起きる。そして式(2)に示すように酸化ケイ素(SiO)と、焼結体3表面の炭素(C)が結合し、焼結体3の表面にSiC膜が形成されて焼結体4が製造される。
SiO+C→SiO+CO (1)
SiO+2C→SiC+CO (2)
この場合、加熱温度が1600℃未満では、式(1)の反応が十分に進まないため好ましくない。また1700℃を超えると炭化ケイ素(SiC)膜が必要以上に厚くなり、また加熱容器を傷める傾向があるため好ましくない。即ち、加熱温度の上限が1700℃程度で炭素源の飛散を防止するに十分な炭化ケイ素膜が焼結体3の表面に形成される。かかる炭化ケイ素膜の膜厚としては20μm程度が好ましい。上記観点から加熱温度は、1640〜1660℃がより好ましい。
二酸化ケイ素と炭素を含む混合物としては、プリカーサ法により製造された混合物が挙げられる。具体的には、原料の欄で説明した高純度の炭化ケイ素粉末の製造に用いられる混合物が挙げられる。なかでも、高純度のテトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン重合体から選択される1種以上をケイ素源とし、加熱により炭素を生成する高純度有機化合物を炭素源とし、これらを均質に混合して得られた混合物が好ましい。
(e)工程
焼結体4の表面を、フッ酸を含むエッチング溶液でエッチング処理する。エッチング溶液としては、フッ化水素(HF):水(HO):エタノール(CH3CH2OH)=1:1:2のエッチング溶液が好ましい。浸漬時間は30〜180分間が好ましい。
次に、エッチング処理後焼結体4を超純水で洗浄し乾燥させる。以上により炭化ケイ素焼結体が得られる。
(その他)
上記の工程により得られた焼結体4に、使用目的に応じて、表面加工、洗浄等の処理を行なうことにより炭化ケイ素焼結体治具が得られる。
この場合、表面加工、洗浄等の処理は特に制限なく、従来公知の装置と方法を用いて行うことができる。例えば、表面加工は、ロータリー研削機等の装置を用いて、焼結体4の表面を研磨したり又はサンドブラスト等の装置を用いて焼結体4の表面の粗度を調節することにより行われる。また、上記洗浄は、例えば被洗浄体である焼結体4を洗浄液に浸漬したり、もしくは焼結体4にフラッシング、超音波処理等することにより行われる。
以上により、炭化ケイ素焼結体治具が製造される。本実施形態かかる炭化ケイ素焼結体治具は、不純物濃度が極めて低い。即ち、不純物濃度の指標となる炭化ケイ素焼結体治具表面の鉄(Fe)濃度は、0.02ppm以下、好ましくは0.01ppm以下である。また本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具の表面の不純物の総含有量は、0.2ppm以下、好ましくは0.1ppm以下、より好ましくは0.05ppm以下である。不純物としては鉄(Fe)の他にニッケル(Ni)が挙げられる。
尚、液状のケイ素化合物と、非金属系焼結助剤と、重合又は架橋触媒と、を均質に混合して得られた固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化した後、さらに、非酸化性雰囲気下で焼成する焼成工程とを含む製造方法によれば、炭化ケイ素焼結体に含まれるケイ素、炭素、酸素以外の不純物の総含有量を1ppm以下にすることができる。
さらに、本発明により得られる炭化ケイ素焼結体治具は、十分に高密度化されており、密度は2.9g/cm3 以上である。得られた焼結体治具の密度が2.9g/cm3 未満であると、曲げ強度、破壊強度などの力学的特性や電気的な物性が低下し、さらに、パーティクルが増大し、汚染性が悪化するため好ましくない。炭化ケイ素焼結体治具の密度は、2.9g/cm3 以上であることがより好ましい。
また、一般に、焼結体治具が多孔質体であると、以下の理由から用途が限定されるなどの問題点が生じてくる。その理由は、耐熱性、耐酸化性、耐薬品性や機械強度に劣る、洗浄が困難である、微小割れが生じて微小片が汚染物質となる、ガス透過性を有する等の物性的に劣る点を有することになるからである。ところが、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具にあってはそのような問題は極めて生じ難い。
その他、本発明で得られるアルゴン雰囲気で焼結した炭化ケイ素焼結体治具は、好ましい態様において以下のような物性を有する。例えば、室温における曲げ強度は500〜650kgf/mm2 、1500℃における曲げ強度は550〜800kgf/mm2 、ヤング率は3.5×104 〜4.5×104 、ビッカース硬度は2000kgf/mm2 以上、ポアソン比は0.14〜0.21、熱膨張率は3.8×10-6〜4.2×10-6(℃-1)、熱伝導率は150W/m・k以上、比熱は0.15〜0.18cal/g・℃、耐熱衝撃性は500〜700△T℃、比抵抗は0.01Ω・cm以上である。
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体治具は、以上のように説明した物性を有することより、半導体製造部品、電子情報機器用部品等の使用に供される。本実施形態にかかる焼結体製部品が使用される主な半導体製造装置としては、例えば、露光装置、レジスト処理装置、ドライエッチング装置、洗浄装置、熱処理装置、イオン注入装置、CVD装置、PVD装置、ダイシング装置等を挙げることができ、部品の一例としては、ドライエッチング装置用のプラズマ電極、防護リング(フォーカスリング)、イオン注入装置用のスリット部品(アパーチャー)、イオン発生部や質量分析部用の防護板、熱処理装置やCVD装置におけるウェハ処理時に用いられるダミーウェハ、また、熱処理装置、CVD装置やPVD装置における発熱ヒーター、特にウェハをその下部において直接加熱するヒーター等が挙げられる。電子情報機器用部品としては、ハードディスク装置用のディスク基盤や薄膜磁気ヘッド基盤等が挙げられ、また、光磁気ディスク表面や各種摺動面に対する薄膜形成のためのスパッタリングターゲットもこの部品に包含される。光学用部品としては、シンクロトロン放射光(SR)、レーザー光等の反射鏡等にも使用できる。
以上本発明の製造方法について実施態様を挙げて説明してきたが、本発明は上記実施態様に限定されることはない。そのため、本発明の製造方法にあっては、上記加熱条件を満たしうるものであれば、特に製造装置等に制限されることなく焼結用の型の耐圧性を考慮して、公知の加熱炉内や反応装置を使用することができる。
また、本発明の原料粉体である炭化ケイ素粉体及び原料粉体を製造するためのケイ素源と非金属系焼結助剤、さらに、非酸化性雰囲気とするために用いられる不活性ガス、それぞれの純度は、各不純物元素含有量1ppm以下であることが好ましいが、加熱、焼結工程における純化の許容範囲内であれば必ずしもこれに限定するものではない。尚、ここで不純物元素とは、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における1族から16族元素に属し、かつ、原子番号3以上であり、原子番号6〜8及び同14〜16の元素を除く元素をいう。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が以下の実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
(実施例)
成形体の製造:高純度炭化ケイ素粉末(平均粒径1.1μm:上記の特願平7−241856号として出願した製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素粉末:1.5重量%のシリカを含有)90gと含水率20%の高純度液体レゾール型フェノール樹脂(熱分解後の残炭率50%)10gをエタノール150gに加えたものを、遊星ボールミルで18時間攪拌し、十分に混合した。その後、50〜60℃に加温してエタノールを蒸発乾固させ、500μmの篩にかけて均質な炭化ケイ素原料粉体を得た。
焼結体の製造:この原料粉体3kgを直径160mmの黒鉛製型に入れ、ホットプレス装置として抵抗加熱式ホットプレスを用いて、以下の条件でホットプレスを行った。
10-5〜10-4torrの真空条件下で、室温から700℃まで6時間かけて昇温し、5時間その温度に保持した(第1の昇温工程)。次に、真空条件下で、700℃〜1200℃まで3時間で昇温し、さらに、1200℃〜1500℃まで3時間で昇温し、1時間その温度に保持した(第2の昇温工程)。さらに500kgf/cm2の圧力で加圧し、アルゴン雰囲気下にて1500℃〜2200℃まで3時間で昇温し、1時間その温度に保持することにより焼結体1を得た(ホットプレス工程)。
加工処理:得られた焼結体1の径方向に、三菱電機社製のワイヤ装置を用いてスライス加工して、直径150mm、厚さ2mmの略円板状の焼結体2を製造した。
加熱処理:得られた焼結体2を加熱炉に配置した。そして、昇温速度4℃/minで、最高熱処理温度300℃まで昇温し、上記温度に3時間保持した。その後、1000℃まで、降温速度3℃/minで降温した後、強制冷却を行うことにより焼結体3を得た。焼結体3を、取出温度40℃で加熱炉から取り出し次の工程に付した。
図1に示す加熱装置1の加熱容器2内に、二酸化ケイ素(SiO)及び炭素(C)を含む混合物6を収容し、容器の上方に焼結体3を配置した。そしてアルゴン雰囲気下1650℃で6時間加熱処理して焼結体4を得た。
表面加工・洗浄:得られた焼結体4にロータリー研削装置を用いて表面加工を行った。
また、表面加工後の焼結体4を、フッ化水素(HF):水(HO):エタノール(CH3CH2OH)=1:1:2(重量比)のエッチング溶液槽に、120分間浸漬することにより洗浄した。その後、焼結体4を超純水で洗浄し乾燥させた後、後に説明する基準に従って炭化ケイ素焼結体治具表面の不純物濃度及びケイ素と炭素の組成比を測定した。
尚、実施例1により得られた炭化ケイ素焼結体治具について物性を詳細に測定した結果、上記以外の特性として、室温における曲げ強度は570kgf/mm2、1500℃における曲げ強度は600kgf/mm2 、ヤング率は4.1×104 、ポアソン比は0.15、熱膨張率は3.9×10-6-1、熱伝導率は200W/m・k以上、比熱は0.16cal/g・℃、耐熱衝撃性は530△T℃であり、炭化ケイ素焼結体治具に求められる物性を全て満たしていることが確認された。
(比較例)
成形体の製造:高純度炭化ケイ素粉末(平均粒径1.1μm:上記の特願平7−241856号として出願した製造方法に準じて製造された不純物含有量5ppm以下の炭化ケイ素粉末:1.5重量%のシリカを含有)90gと含水率20%の高純度液体レゾール型フェノール樹脂(熱分解後の残炭率50%)10gをエタノール150gに溶解したものとを、遊星ボールミルで18時間攪拌し、十分に混合した。その後、50〜60℃に加温してエタノールを蒸発乾固させ、500μmの篩にかけて均質な炭化ケイ素原料粉体を得た。
焼結体の製造:この原料粉体3kgを直径160mmの黒鉛製型に入れ、ホットプレス装置として抵抗加熱式ホットプレスを用いて、以下の条件でホットプレスを行った。
10-5〜10-4torrの真空条件下で、室温から700℃まで6時間かけて昇温し、5時間その温度に保持した(第1の昇温工程)。次に、真空条件下で、700℃〜1200℃まで3時間で昇温し、さらに、1200℃〜1500℃まで3時間で昇温し、1時間その温度に保持した(第2の昇温工程)。さらに500kgf/cm2の圧力で加圧し、アルゴン雰囲気下にて1500℃〜2200℃まで3時間で昇温し、1時間その温度に保持することにより焼結体1を得た(ホットプレス工程)。
加工処理:得られた焼結体1の径方向に、三菱電機社製のワイヤ装置を用いてスライス加工して、直径150mm、厚さ2mmの略円板状の焼結体2を製造した。
加熱処理:得られた焼結体2を加熱炉に配置した。そして、昇温速度4℃/minで、最高熱処理温度300℃まで昇温し、上記温度に3時間保持した。その後、1000℃まで、降温速度3℃/minで降温した後、強制冷却を行うことにより焼結体3を得た。焼結体3を、取出温度40℃で加熱炉から取り出し次の工程に付した。
表面加工・洗浄:得られた焼結体3にロータリー研削装置を用いて表面加工を行い、また、表面加工後の焼結体3を純水と酸とを含む処理液槽に、30分間浸漬することにより洗浄した。その際、上記処理液槽に超音波を照射しながら洗浄した。
その後、乾燥した炭化ケイ素焼結体治具の不純物濃度を測定した。
尚、実施例1により得られた炭化ケイ素焼結体治具について物性を詳細に測定した結果、上記以外の特性として、室温における曲げ強度は570kgf/mm2 、1500℃における曲げ強度は600kgf/mm2 、ヤング率は4.1×104 、ポアソン比は0.15、熱膨張率は3.9×10-6-1、熱伝導率は200W/m・k以上、比熱は0.16cal/g・℃、耐熱衝撃性は530△T℃であり、炭化ケイ素焼結体治具に求められる物性を全て満たしていることが確認された。
評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2007217215
Figure 2007217215
以上の結果より本実施例によれば不純物濃度が簡易に低減されることが確認された。
半導体部品等を製造する際に主たる不純物となるFe,Niの濃度が好適に除去されることが確認された。さらに、炭化ケイ素焼結体表面のケイ素(Si)と炭素(C)の成分比からも、炭化ケイ素焼結体の表面に炭化ケイ素膜が形成されたことが確認された。
〔評価方法〕
(不純物濃度の測定方法/GD−MS)
焼結体の表面をグロー放電(GD)により掘削し、焼結体の表面から20μmの深さの掘削屑のマススペクトル(MS)を取ることにより不純物濃度を解析した。尚、焼結体の表面から20μmの深さは、焼結体表面の炭化ケイ素膜厚に対応する。
(焼結体表面の組成比)
上記GD―MSと同様に焼結体の表面から20μmの深さの掘削屑のマススペクトル(MS)を取ることにより、ケイ素と炭素の組成比を解析した。
図1は加熱装置の概念図を示す。 図2(a)は加熱容器を示し、図2(b)は加熱容器の断面図を示す。
符号の説明
1:加熱装置
2:加熱容器
W:焼結体3(焼結体4)
6:混合物
8:ステージ
10a、10b:加熱体
12:断熱材

Claims (9)

  1. 半導体製造に用いられる炭化ケイ素焼結体治具の製造方法であって、
    (a)炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤との混合物及び前記粉体混合物から調製された成形体のいずれか一方をホットプレス法により焼結して焼結体1を得る工程と、
    (b)前記焼結体1を加工処理して焼結体2を得る工程と、
    (c)前記焼結体2をアルゴン雰囲気下2000〜2400℃で熱処理して、前記焼結体2中の不純物を外部拡散させて不純物を取り除き焼結体3を得る工程と、
    (d)前記焼結体3と、二酸化ケイ素及び炭素を含む混合物とを同一環境内に配置し、アルゴン雰囲気下1600〜1700℃で加熱し、前記混合物から生じたガスを前記焼結体3の表面に供給して焼結体4を得る工程と、
    を含む炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  2. (e)前記焼結体4の表面を、フッ酸を含む水溶液にてエッチング処理する工程を含む請求項1記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  3. 前記(c)工程において、前記焼結体2をアルゴン雰囲気下2200〜2300℃で熱処理する請求項1又は2に記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  4. 前記(c)工程において、前記焼結体2を、圧力0.05〜0.1kg/cm、アルゴン雰囲気下、2200〜2300℃の範囲から選択される熱処理温度まで昇温速度5℃/min以下で昇温し、前記熱処理温度に1〜5時間保持し、1000℃まで降温速度3℃/min以下で降温させる請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  5. 前記(e)工程後の炭化ケイ素焼結体治具表面のFe濃度が、0.02ppm以下である請求項2〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  6. 前記(e)工程後の炭化ケイ素焼結体治具表面の総不純物濃度が、0.2ppm以下である請求項2〜5のいずれかに記載の炭化ケイ素焼結体治具の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により製造される炭化ケイ素焼結体治具。
  8. 炭化ケイ素焼結体治具表面のFe濃度が、0.02ppm以下である炭化ケイ素焼結体治具。
  9. 炭化ケイ素焼結体治具表面の総不純物濃度が、0.2ppm以下である請求項8に記載の炭化ケイ素焼結体治具。
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