JP5130099B2 - 炭化ケイ素焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
炭化ケイ素粉末及び非金属系焼結助剤を含む混合粉体を高温高圧下で焼結する炭化ケイ素焼結体の製造方法において、炭化ケイ素粉末100質量部に対して非金属系焼結助剤を6〜16質量部及び窒素源含有化合物を0.1〜1.0質量部加えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。
炭化ケイ素焼結体の原料としての炭化ケイ素粉末の製造方法は、(イ)ケイ素源、加熱により炭素を発生する炭素源、重合又は架橋触媒を含む混合物を硬化乾燥して固形物を得る工程と、(ロ)固形物を非酸化性雰囲気下で加熱炭化して仮焼成粉末を得る工程と、(ハ)仮焼成粉体をさらに非酸化雰囲気下にて焼成して炭化ケイ素粉末を得る工程と、を含む。以下、各工程毎に詳細に説明する。
ケイ素源としては、高純度のテトラアルコキシシラン、その重合体、酸化ケイ素から選択される1種以上を用いることができる。ここで「酸化ケイ素」とは、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素を包含するものを指す。ケイ素源としては、具体的には、テトラエトキシシランに代表されるアルコキシシラン、その低分子量重合体(オリゴマー)、及び、さらに重合度が高いケイ酸ポリマー等や、シリカゾル、微粉体シリカ等の酸化ケイ素化合物が挙げられる。アルコキシシランとしては、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポキシシラン、ブトキシシラン等が例示され、なかでも、ハンドリング性の観点からは、エトキシシランを用いることが好ましい。ここで「オリゴマー」とは重合度2〜15程度の重合体を指す。これらケイ素源のなかでも、均質性やハンドリング性が良好な観点から、テトラエトキシシランのオリゴマー及びテトラエトキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好適である。また、これらのケイ素源は高純度の物質が用いられ、初期の不純物含有量が20ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましい。
固形物を非酸化性雰囲気下で800℃〜1000℃で加熱炭化して仮焼成粉末を得る。この非酸化性雰囲気としては、高温においても非反応性であることから、アルゴンを用いることが望ましい。焼成過程では、まず炭化ケイ素生成のために、原料固形物を加熱炉内で生成に必要な温度以上に加熱する必要がある。一般的には、1350〜1800℃で行うが、より効率的な生成を行うためには1600〜1800℃が望ましい。この炭化ケイ素生成反応は、吸熱反応であるため生成物の温度測定には注意をしなくてはならない。また、焼成中に発生するSiO、COを含む気体は不純物元素を大量に伴っているため、加熱炉中に一定量の非酸化性雰囲気ガスを適切に導入することによりこれらの発生気体を反応容器系外へ絶えず排出し、除去することが望ましい。
予備炭化された固形物を加熱焼成するか、未炭化物を加熱炭化焼成することにより、炭化ケイ素粉体を生成する。この非酸化性雰囲気としては、高温においても非反応性であることから、アルゴンを用いることが望ましい。焼成過程では、まず炭化ケイ素生成のために、原料固形物を加熱炉内で生成に必要な温度以上に加熱する必要がある。一般的には、1350〜1800℃で行うが、より効率的な生成を行うためには1600〜1800℃が望ましい。この炭化ケイ素生成反応は、吸熱反応であるため生成物の温度測定には注意をしなくてはならない。また、焼成中に発生するSiO、COを含む気体は不純物元素を大量に伴っているため、加熱炉中に一定量の非酸化性雰囲気ガスを適切に導入することによりこれらの発生気体を反応容器系外へ絶えず排出し、除去することが望ましい。
本発明の実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体の製造方法は、(イ)炭化ケイ素粉末、窒素源含有化合物及び非金属系焼結助剤を含む混合粉体を調製する工程と、(ロ)混合粉体を高温高圧下で焼結する工程と、を含む。
最小体積抵抗値/最大体積抵抗値=80%〜100%、好ましくは90%〜100%、
を満たす炭化ケイ素焼結体が得られる。
本実施形態は上記内容に制限されることなく、例えば以下の関連の製造方法に基づいて種々の改良を加えることができる。炭化ケイ素焼結体の製造方法の参考として関連の製造方法を以下に列記する。
(ホットプレス法)
炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質、あるいはこれらの混合物等を広く用いることができ、市販品を用いてもよい。中でもβ型炭化ケイ素粉末が好適に用いられる。炭化ケイ素焼結体を高密度化するためには、用いる炭化ケイ素粉末の粒径は小さいほうがよい。好ましくは0.01〜10μm程度、より好ましくは0.05〜2μmである。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取り扱いが困難となり、一方10μmを超えると、粉体の比表面積、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化が困難となるので好ましくない。高純度の炭化ケイ素粉末を用いると、得られる炭化ケイ素焼結体も高純度になるので好ましい。高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物(以下「ケイ素源」という場合がある。)と、加熱により炭素を発生する有機材料と、重合触媒または架橋触媒とを混合し、得られた固形物を非酸化性雰囲気中で焼成することにより製造することができる。ケイ素源としては、液状、および固体状の化合物を広く用いることができるが、少なくとも液状の化合物を1種以上用いる。液状のケイ素源としては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)の重合体等が挙げられる。アルコキシシランの重合体の中では、テトラアルコキシシランの重合体が好適に用いられる。具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロポロキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキシシランが好ましい。テトラアルコキシシラン重合体の重合度は2〜15程度であると液状の低分子量重合体(オリゴマー)となる。その他、重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものもある。液状のケイ素源と併用可能な固体状のケイ素源としては、炭化ケイ素が挙げられる。ここにいう炭化ケイ素には、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)の他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液であって、コロイド分子内にOH基やアルコキシ基を含有するもの)、微細シリカ、石英粉体等も含まれる。これらのケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好であるテトラアルコキシシランのオリゴマー、またはテトラアルコキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好ましい。また、これらのケイ素源は高純度であることが好ましく、具体的には初期の不純物含有量が20ppm以下であるのが好ましく、5ppm以下であるのがさらに好ましい。
ホットプレスは、2000℃〜2400℃にて行うが、このホットプレス加工温度までの昇温は穏やかに、かつ段階的に行うのが好ましい。このように昇温すると、各々の温度で生じる化学変化、状態変化等を十分に進行させることができる。その結果、不純物混入や亀裂および空孔の発生を防止することができる。好ましい昇温工程の一例を以下に示す。まず、原料粉体をいれた成形金型を炉内に配置し、炉内を10−4torrの真空状態にする。室温から200℃まで穏やかに昇温し、約30分間200℃に保つ。その後、700℃まで6〜10時間で昇温し、2〜5時間700℃に保つ。室温から700℃までの昇温工程で、吸着水分や有機溶媒の脱離が起こり、また、非金属系焼結助剤の炭化も進行する。一定温度の保持時間は、炭化ケイ素焼結体のサイズによって異なり、適宜好適な時間に設定すればよい。また、保持時間が十分であるか否かの判断は、真空度の低下がある程度少なくなる時点を目安にすることができる。次に、700℃〜1500℃まで6〜9時間で昇温し、1〜5時間程1500℃に保持する。1500℃に保持している間、酸化ケイ素が還元され炭化ケイ素に変化する反応が進行する(式(I))。保持時間が不十分であると、二酸化ケイ素が残留し、炭化ケイ素粉末表面に付着するので、粒子の緻密化を妨げ、大粒の成長原因となるので好ましくない。保持時間が十分であるか否かの判断は、副生成物である一酸化炭素の発生が停止しているかを目安に、即ち、真空度の低下がおさまり、還元反応開始温度である1300℃の真空度まで回復しているかを目安にすることができる。
(実施例1)
炭化ケイ素粉末の調製:ケイ素源としてエチルシリケート224質量部、炭素源としてフェノール樹脂100質量部、重合触媒としてマレイン酸33.2質量部を混合して混合物を得た。この混合物を硬化乾燥して固形物を得た。得られた固形物をアルゴンガス雰囲気下900℃で加熱炭化して仮焼成粉末を得た。得られた仮焼成粉末をさらにアルゴンガス雰囲気下1900℃で焼成して炭化ケイ素粉末を得た。
炭化ケイ素焼結体の調製:得られた炭化ケイ素粉末と、窒素源としてのN−メチルジエタノールアミン(MDA)と、非金属系焼結助剤としてのフェノール樹脂とを表1に示す混合比で混合し、得られた混合粉体を2300℃、400kgf/cm2で焼結して炭化ケイ素焼結体を得た。得られた炭化ケイ素焼結体をスライス加工して、直径350mm、厚さ100mmのウェハ状の炭化ケイ素焼結体を得た。
評価:以下の基準に基づいて評価実験を行った。得られた結果を表1に示す。
LECO社製窒素分析装置を用いて炭化ケイ素粉末中の窒素量を測定した。
三菱化学社製ロレスタ装置を用いてウェハ状の炭化ケイ素焼結体の表面の体積抵抗率(×10-3Ωcm)を1cm間隔で測定した。調製条件及び得られた結果を表1に示す。
フェノール樹脂及びMDAの添加量を表1に示す量としたことを除き実施例1と同様に実験を行った。調製条件及び得られた結果を表1に示す。
尚、MDA添加量が多すぎても少なすぎてもρv均一性が悪くなる傾向があった。また含有窒素量が多いほどρv値は下がるが、焼結性が悪くなる傾向があった。
Claims (2)
- ケイ素源、炭素源及び窒素源含有化合物を含む混合物の硬化乾燥によって固形物を生成する工程Aと、
前記固形物を焼成することによって、炭化ケイ素粉体を生成する工程Bと、
前記炭化ケイ素粉末、非金属系焼結助剤及び窒素源含有化合物を含む混合粉体を、2000〜2400℃の温度かつ300〜700kgf/cm 2 の圧力下で焼結して、炭化ケイ素焼結体を生成する工程Cとを備え、
前記工程Cにおいて、前記窒素源含有化合物は、N−メチルジエタノールアミンであり、
前記工程Cにおいて、前記非金属系焼結助剤の含有量は、前記炭化ケイ素粉体100質量部に対して、6〜16質量部であり、前記N−メチルジエタノールアミンの含有量は、前記炭化ケイ素粉体100質量部に対して、0.1〜1.0質量部であることを特徴とする炭化ケイ素焼結体の製造方法。 - 前記工程Aにおいて、前記窒素源含有化合物は、N−メチルジエタノールアミンであり、
前記工程Aにおいて、前記N−メチルジエタノールアミンの含有量は、前記炭化ケイ素粉体100質量部に対して、1.5〜6.0質量部であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素焼結体の製造方法。
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