JP2007045689A - 炭化ケイ素焼結体用粉体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 炭化ケイ素焼結体の焼成時間の短縮を図る。
【解決手段】
(イ)炭化ケイ素粉末及び炭素源を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する工程と、(ロ)上記スラリー溶液を乾燥させ造粒粉を得る工程と、(ハ)上記造粒粉を焼成して脱脂粉を得る工程と、(ニ)上記脱脂粉表面にバインダーをコーティングして炭化ケイ素焼結体用粉体を得る工程と、を備える炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は半導体装置の製造の分野において使用される炭化ケイ素焼結体用粉体及びその製造方法に関する。
炭化ケイ素焼結体は、強度などの機械的特性等が良好であることから、半導体装置の製造の分野において製造用部材として広く用いられている。上記炭化ケイ素焼結体の製造方法の1つにホットプレス法がある(特許文献1参照)。かかるホットプレス法における、炭素源を加熱して炭素を得るいわゆる脱脂時間は、全焼成時間の1/3程度かかっていた。そのため、脱脂時間を短縮し全焼成時間の短縮化が求められていた。
特開10−67565号公報
炭化ケイ素焼結体の焼成時間の短縮化が求められていた。
本発明は、以下の記載事項に関する:
<1>(イ)炭化ケイ素粉末及び炭素源を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する工程と、(ロ)上記スラリー溶液を乾燥させ造粒粉を得る工程と、(ハ)上記造粒粉を焼成して脱脂粉を得る工程と、(ニ)上記脱脂粉表面にバインダーをコーティングして炭化ケイ素焼結体用粉体を得る工程と、を備える炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
<2>上記バインダーはポリビニルアルコールである上記<1>記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
<3>上記コーティング工程において上記造粒粉を1重量%以上のポリビニルアルコール水溶液に分散させる上記<2>記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
<4>上記コーティング工程において上記造粒粉を1.5重量%〜5重量%のポリビニルアルコール水溶液に分散させる上記<3>記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
<5>炭化ケイ素粉末と炭素からなる脱脂粉の表面にバインダーがコーティングされた安息角が25度よりも大きい炭化ケイ素焼結体用粉体。
<6>上記安息角が30〜45度である上記<5>記載の炭化ケイ素焼結体用粉体。
本発明によれば、炭化ケイ素焼結体の焼成時間の短縮を図ることができる。
本発明者らは焼成時間を短縮するため、脱脂粉を予め別工程で作製しておき、炭化ケイ素焼結体を製造する際にその脱脂粉を用いることを検討した。しかし、脱脂粉を加熱炉の成形モールドに充填する際に、成形モールドの継ぎ目から脱脂粉が漏れるという問題が生じた。これは、造粒粉よりも脱脂粉の流動性が高いためと考えられた。
そこで、かかる脱脂粉の漏れを防止するため、脱脂粉の流動性を低下させることを検討した。その結果、本発明者らは脱脂粉にバインダーをコーティングすることで脱脂粉の粘度が向上し、成形モールドの継ぎ目から脱脂粉が漏れることを防止できることを見出した。本発明は上記知見に基づいて完成されたものである。以下に実施形態を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明が以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
〔炭化ケイ素焼結体用粉体〕
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体製造用粉体の安息角は、25度よりも大きく、好ましくは30度〜45度である。かかる安息角を有することより炭化ケイ素焼結体製造用粉体を加熱炉に充填した際に加熱炉から炭化ケイ素焼結体製造用粉体が漏れ出すことを防止することができる。
〔炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法〕
本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体製造用粉体の製造方法は、(イ)炭化ケイ素粉末及び炭素源を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する工程と、(ロ)上記スラリー溶液を乾燥させ造粒粉を得る工程と、(ハ)上記造粒粉を焼成して脱脂粉を得る工程と、(ニ)上記脱脂粉表面にバインダーをコーティングして炭化ケイ素焼結体用粉体を得る工程と、を備える。以下工程毎に詳細に説明する。
(イ)スラリー溶液調製工程
炭化ケイ素粉末及び炭素源を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する。
炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質、あるいはこれらの混合物等を広く用いることができ、市販品を用いてもよい。中でもβ型炭化ケイ素粉末が好適に用いられる。炭化ケイ素焼結体を高密度化するためには、用いる炭化ケイ素粉末の粒径は小さいほうがよい。好ましくは0.01〜10μm程度、より好ましくは0.05〜2μmである。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取り扱いが困難となり、一方10μmを超えると、粉体の比表面積、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化が困難となるので好ましくない。
高純度の炭化ケイ素粉末を用いると、得られる炭化ケイ素焼結体も高純度になるので好ましい。高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物(以下「ケイ素源」という場合がある。)と、加熱により炭素を発生する有機材料と、重合触媒または架橋触媒とを混合し、得られた固形物を非酸化性雰囲気中で焼成することにより製造することができる。ケイ素源としては、液状、および固体状の化合物を広く用いることができるが、少なくとも液状の化合物を1種以上用いる。液状のケイ素源としては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)の重合体等が挙げられる。アルコキシシランの重合体の中では、テトラアルコキシシランの重合体が好適に用いられる。具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロピロキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキシシランが好ましい。テトラアルコキシシラン重合体の重合度は2〜15程度であると液状の低分子量重合体(オリゴマー)となる。その他、重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものもある。液状のケイ素源と併用可能な固体状のケイ素源としては、炭化ケイ素が挙げられる。ここにいう炭化ケイ素には、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)の他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液であって、コロイド分子内にOH基やアルコキシ基を含有するもの)、微細シリカ、石英粉体等も含まれる。これらのケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好であるテトラアルコキシシランのオリゴマー、またはテトラアルコキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好ましい。また、これらのケイ素源は高純度であることが好ましく、具体的には初期の不純物含有量が20ppm以下であるのが好ましく、5ppm以下であるのがさらに好ましい。
炭素源、即ち加熱により炭素を生成する有機材料としては、液状のものの他、液状のものと固体状のものを併用することもできる。残炭率が高く、かつ触媒あるいは加熱により重合または架橋する有機材料が好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等のモノマー、およびプレポリマーが好ましい。その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タール等の液状物も用いられる。中でもレゾール型フェノール樹脂が、熱分解性および純度の点で好ましい。有機材料の純度は、目的に応じて適宜、制御すればよい。特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合は、不純物元素の含有量が各々5ppm未満である有機材料を用いるのが好ましい。
ケイ素源と有機材料の配合比率は、炭素とケイ素のモル比(以下「C/Si」と略記する。)を目安に好ましい範囲をあらかじめ決定することができる。ここにいうC/Siとは、ケイ素源と有機材料との混合物を1000℃にて炭化した炭化ケイ素中間体を元素分析し、その分析値より得られるC/Siである。炭素は、以下の反応式で表わされるように、酸化ケイ素と反応し、炭化ケイ素に変化する。
式(I) SiO2+3C→SiC+2CO
従って、化学量論的には、C/Siが3.0であると、炭化ケイ素中間体中の遊離炭素は0%になるが、実際にはSiOガス等が揮散するため、C/Siがより低い値であっても遊離炭素が発生する。遊離炭素は粒成長を抑制する効果を有するので、目的とする粉末粒子の粒径に応じて、C/Siを決定し、その比となるようにケイ素源と有機材料とを配合すればよい。例えば、約1気圧、1600℃以上で、ケイ素源と有機材料との混合物を焼成する場合、C/Siが2.0〜2.5の範囲になるように配合すると、遊離炭素の発生を抑制することができる。同条件で、C/Siが2.5を超えるように配合すると、遊離炭素の発生が顕著となり、粒子の小さな炭化ケイ素粉末が得られる。このように、目的に応じて、配合比率を適宜決定することができる。尚、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素の作用および効果は、焼結助剤から生じる遊離炭素の作用および効果と比較して非常に弱いので、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素は、本実施形態の効果には本質的に影響しないものである。
ケイ素源と有機材料との混合物を硬化させ、固形物にすることもできる。硬化の方法としては、加熱による架橋反応を利用する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線を利用する方法等がある。用いる硬化触媒は、用いる有機材料に応じて適宜選択できるが、フェノール樹脂、フラン樹脂を有機材料に用いた場合は、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、蓚酸、塩酸、硫酸等の酸類、ヘキサミン等のアミン類等が挙げられる。ケイ素源と有機材料を含有する固形物は、必要に応じ加熱炭化される。炭化は、窒素またはアルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃にて30〜120分間加熱することにより行われる。さらに、非酸化性雰囲気中1350℃〜2000℃で加熱すると炭化ケイ素が生成する。焼成温度と焼成時間は、得られる炭化ケイ素粉末の粒径等に影響するので、適宜決定すればよいが、1600〜1900℃で焼成すると効率的で好ましい。以上に説明した高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法は、特開平9−48605号明細書により詳細に記載されている。
有機溶媒は、炭素源により異なり、例えば、炭素源としてフェノール樹脂を用いる場合は、エチルアルコール等の低級アルコール類、エチルエーテル、アセトン等を選択することができる。高純度の炭化ケイ素焼結体を作製する場合は、高純度の炭化ケイ素粉末を使用するのみならず、炭素源および有機溶媒も不純物含有量の少ないものを用いるのが好ましい。
炭素源の炭化ケイ素粉末に対する添加量は、炭化ケイ素焼結体の遊離炭素が2〜10重量%になるように決定する。遊離炭素がこの範囲外であると、接合処理中に進行するSiCへの化学変化、および炭化ケイ素焼結体間の接合が不十分となる。ここで、遊離炭素の含有率(重量%)は、炭化ケイ素焼結体を酸素雰囲気下において、800℃で8分間加熱し、発生したCO2、COの量を炭素分析装置で測定し、その測定値から算出することができる。炭素源の添加量は、用いる炭素源の種類および炭化ケイ素粉末の表面シリカ(酸化ケイ素)量によって異なる。添加量を決定する目安としては、あらかじめ炭化ケイ素粉末の表面シリカ(酸化ケイ素)量を弗化水素水を用いて定量し、この酸化ケイ素を還元するのに十分な化学量論(式(I)で算出される化学量論)を算出する。これと、炭素源が加熱により炭素を生成する割合を考慮し、遊離炭素が前述の適する範囲となるように添加量を決定することができる。以上に説明した炭化ケイ素焼結体の炭素源についての説明は、特願平9−041048号明細書中により詳細に記載されている。
混合方法としては、公知の方法、例えば、ミキサー、遊星ボールミル等を用いる方法が挙げられる。混合に使用する器具は、金属元素不純物の混入を防止するため、合成樹脂素材のものを用いるのが好ましい。混合は10〜30時間程度、特に16〜24時間程度行い、十分に混合するのが好ましい。
(ロ)乾燥工程
スラリー溶液を十分に混合した後、スプレードライヤー等の造粒装置を用いて溶媒を乾燥除去して造粒粉を得る。
(ハ)脱脂工程
造粒粉を別工程でるつぼ中に配置した後造粒粉を真空炉にて焼成して脱脂する。焼成温度は炭素源が炭素になる温度であれば特に制限はないが750℃程度が好ましい。金属不純物が炭化ケイ素焼結体中に混入しない観点からは、るつぼは黒鉛製が好ましい。特に、高純度の炭化ケイ素焼結体を製造したい場合は、るつぼ、および炉内の断熱材等には高純度の黒鉛材料を用いるのが好ましい。具体的には、2500℃以上の温度で、あらかじめ十分にベーキング処理され、高温使用しても不純物の発生がない黒鉛材料等が挙げられる。
(ニ)コーティング工程
得られた脱脂粉をバインダー溶液に浸漬して脱脂粉の表面にバインダーをコーティングする。バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)が好ましい。PVAは脱脂粉の粘度を増加して加熱炉の成形モールドからの脱脂粉の漏れを防止できると共に、焼成の際に比較的素早く炭化するため焼成時間を短くすることができるからである。コーティングされた脱脂粉、即ち炭化ケイ素焼結体製造用粉体の安息角は、25度よりも大きいことが好ましく、30〜45度がさらに好ましい。加熱炉の成形モールドからの脱脂粉の漏れ出しを防止できるからである。コーティング工程において脱脂粉を1重量%以上、好ましくは1.5重量%〜5重量%、さらに好ましくは2重量%〜4重量%のポリビニルアルコール水溶液に分散させることが好ましい。以上により炭化ケイ素焼結体用粉体が得られる。
ところで、脱脂工程は全焼成工程の1/3程度かかるにもかかわらず、従来は、1つの加熱炉を用いて脱脂工程からホットプレス工程まで連続して行われていた。そのため、加熱炉の運転効率が悪くまた焼成時間が長かった。ところが、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体用粉体は、ホットプレス工程とは別段取りで作製されるため、加熱炉の運転効率が上がる。また、かかる炭化ケイ素焼結体用粉体は、脱脂されているため焼成時間を短縮することができ、しかも成形モールドに入れた際に漏れを防止できる。
(ホットプレス工程)
上記のように予め調製された炭化ケイ素焼結体用粉体を成形モールドに充填しホットプレス焼結を行うことで炭化ケイ素焼結体を得ることができる。具体的には、炭化ケイ素焼結体用粉体を成形モールドに入れ面圧300〜700kgf/cmでホットプレス焼結を行う。ホットプレスの温度は、2000℃〜2400℃にて行うが、最高温度までの昇温は穏やかに、かつ段階的に行うのが好ましい。このように昇温すると、各々の温度で生じる化学変化、状態変化等を十分に進行させることができる。その結果、不純物混入や亀裂および空孔の発生を防止することができる。好ましい昇温工程の一例を以下に示す。まず、原料粉体をいれた成形モールドを加熱炉内に配置し、炉内を10−4torrの真空状態にする。室温から200℃まで穏やかに昇温し、約30分間200℃に保つ。その後、700℃まで6〜10時間で昇温し、2〜5時間700℃に保つ。室温から700℃までの昇温工程で、吸着水分や有機溶媒の脱離が起こり、また、非金属系焼結助剤の炭化も進行する。一定温度の保持時間は、炭化ケイ素焼結体のサイズによって異なり、適宜好適な時間に設定すればよい。また、保持時間が十分であるか否かの判断は、真空度の低下がある程度少なくなる時点を目安にすることができる。次に、700℃〜1500℃まで6〜9時間で昇温し、1〜5時間程1500℃に保持する。1500℃に保持している間、酸化ケイ素が還元され炭化ケイ素に変化する反応が進行する(式(I))。保持時間が不十分であると、二酸化ケイ素が残留し、炭化ケイ素粉末表面に付着するので、粒子の緻密化を妨げ、大粒の成長原因となるので好ましくない。保持時間が十分であるか否かの判断は、副生成物である一酸化炭素の発生が停止しているかを目安に、即ち、真空度の低下がおさまり、還元反応開始温度である1300℃の真空度まで回復しているかを目安にすることができる。
ホットプレスは、焼結が開始する1500℃程度まで炉内を昇温し、次に炉内を非酸化性雰囲気とするために、不活性ガスを充填した後行うのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、あるいはアルゴンガス等が用いられるが、高温においても非反応性であるアルゴンガスを用いるのが好ましい。高純度炭化ケイ素焼結体を製造したい場合は、不活性ガスも高純度のものを用いる。炉内を非酸化性雰囲気とした後、温度が2000℃〜2400℃、圧力が300〜700kgf/cm2となるように炉内を加熱および加圧する。最高温度が2000℃未満であると、高密度化が不十分となる。一方、最高温度が2400℃を超えると、粉体もしく成形体原料が昇華(分解)する虞があるため好ましくない。1500℃近傍〜最高温度までの昇温は2〜4時間かけて行い、最高温度で1〜8時間保持するのが好ましい。1850〜1900℃で焼結は急速に進行し、最高温度保持時間中に焼結が完了する。また加圧条件が、300kgf/cm2未満であると高密度化が不十分となり、700kgf/cm2を超えると黒鉛製の成形金型が破損することもあり、製造効率上好ましくない。表面粗度(Ra)は0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がさらに好ましい。圧力は異常粒が成長するのを抑えるために、300kgf/cm2〜700kgf/cm2程度で加圧するのが好ましい。
〔炭化ケイ素焼結体〕
上記の製造方法により得られる炭化ケイ素焼結体の主な物性について列記すると以下の通りである。例えば、室温における曲げ強度200〜800kgf/mm2、ヤング率250GPa〜500GPa、ビッカース硬度2000〜3500kgf/mm2、ポアソン比0.14〜0.21、熱膨張係数3.8×10-6〜4.5×10-6l/℃、かさ密度1.8g/cm3以上、好ましくは3.11g/cm3である。
また、本実施形態にかかる炭化ケイ素焼結体中の不純物元素(1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の元素周期表において、C、N、O、Siを除く、原子番号3以上の元素)の総含有量は5ppm以下であり、より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の主旨を超えない限り本実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
高純度炭化ケイ素粉末の製造:シリカ含有率40%の高純度エチルシリケートオリゴマー680gと含水率20%の高純度液体レゾール型フェノール樹脂305gを混合し、触媒として高純度トルエンスルホン酸28%水溶液137gを加えて硬化乾燥し、均質な樹脂状固形物を得た。これを窒素雰囲気下900℃で1時間炭化させた。得られた炭化物のC/Siは元素分析の結果2.4であった。この炭化物400gを炭素製容器に入れ、アルゴン雰囲気下で1850℃まで昇温し10分間保持した後2050℃まで昇温して5分間保持してから降温して平均粒径1.3μmの粉末を得た。不純物含有量は各元素0.5ppm以下となった。
造粒工程:上記方法により得られた高純度炭化ケイ素粉末2200gとフェノール300gをエタノール1000gに加え混合分散させた後、スプレードライヤーにより造粒した。
脱脂工程:造粒粉をるつぼ(東洋炭素社製)中に配置した後、真空炉(佐藤真空社製)900℃で造粒粉を焼成して脱脂した。
コーティング工程:得られた脱脂粉を1.5重量%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液に分散させた。その後、コーティングした脱脂粉を加熱真空乾燥を行うことでPVA被覆された脱脂粉を得た。
ホットプレス工程:この混合物160gを直径100mmの成形モールドに充填し加熱炉内で面圧400kgf/cmでプレスした。外形160mm、高さ10mmの成形体を得た。
(実施例2〜6)
コーティング工程において脱脂粉を表1に示す濃度のPVA水溶液に分散させたことを除き、実施例1と同様に実験を行った。
(比較例1〜3)
コーティング工程を行わなかったことを除き、実施例1と同様に実験を行った。
実施例1〜6及び比較例1〜3で得られた、PVA被覆された脱脂粉(造粒粉)の安息角、崩壊角、加熱炉の成形モールドからの漏れ率(%)及び焼結体のかさ密度を以下に示す基準に基づいて測定した。得られた実験結果を表1に示す。
Figure 2007045689
以上の実験結果より、PVA被覆された脱脂粉は、安息角が25度よりも大きい場合、即ちPVA濃度が1重量%よりも大きいと漏れが生じないことが分かった。また安息角が45度を越えると焼結体のかさ密度が低下することが分かった。焼結体のかさ密度と漏れ率の観点からは安息角は35度〜43度が好ましいことが分かった。
(評価基準)
表1に掲げる項目について以下の基準に基づいて評価を行った:
安息角:注入法により落下してできた粉体の山の斜面と粉体の配置面との間の角度のうち、粉体が崩れ落ちないで安定している最大角を安息角とした。安息角は粉体の流れ特性の指標となるものであり、安息角が大きいほど流動性が低いことを示す。
漏れ率(%):以下の式に示すように、粉体の加熱炉の成形モールドからの漏れ量を、粉体の加熱炉への仕込み量で除して100をかけて得られた値を漏れ率とした。
漏れ率(%)=漏れ量/仕込み量×100
焼結体のかさ密度:アルキメデス法に従い測定した。

Claims (6)

  1. 炭化ケイ素粉末及び炭素源を有機溶媒に混合してスラリー溶液を調製する工程と、
    前記スラリー溶液を乾燥させ造粒粉を得る工程と、
    前記造粒粉を焼成して脱脂粉を得る工程と、
    前記脱脂粉表面にバインダーをコーティングして炭化ケイ素焼結体用粉体を得る工程と、を備えることを特徴とする炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
  2. 前記バインダーはポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
  3. 前記コーティング工程において前記造粒粉を1重量%以上のポリビニルアルコール水溶液に分散させることを特徴とする請求項2記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
  4. 前記コーティング工程において前記造粒粉を1.5重量%〜5重量%のポリビニルアルコール水溶液に分散させることを特徴とする請求項3記載の炭化ケイ素焼結体用粉体の製造方法。
  5. 炭化ケイ素粉末と炭素からなる脱脂粉の表面にバインダーがコーティングされた安息角が25度よりも大きいことを特徴とする炭化ケイ素焼結体用粉体。
  6. 前記安息角が30〜45度であることを特徴とする請求項5記載の炭化ケイ素焼結体用粉体。


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