JP2007183085A - インラインヒータ及びその製造方法 - Google Patents

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正文 山川
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Abstract

【課題】小型でしかも急速加熱が可能なインラインヒータを提供する。
【解決手段】セラミックヒータと、上記セラミックヒータを挟んで互いに対向して配置された、流動管が形成された配管ブロック本体及び蓋部材からなる2組の配管ブロックと、を有するインラインヒータ。
【選択図】図1

Description

本発明は、インラインヒータ及びその製造方法に関する。
液体や空気の加熱方法としては、例えば大型の加熱装置で液体を加熱し、加熱された液体を、配管を介して必要部位に供給する方法等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ところが、大型の加熱装置と必要部位との距離が長くなると、液体の温度が低下してしまうという問題があった。特に温度制御が必要な技術分野においては重要な問題であった。
かかる問題を解決する手段としては、必要部位の近傍に加熱装置としてインラインヒータを配置し、かかるインラインヒータで液体等の温度の微調整を行うことが提案されている。この場合、インラインヒータはワークスペースを確保する観点からは小型であることが好ましく、また液体等の温度の微調整を図るためには急速加熱できることが好ましい。しかしながら、小型でしかも急速加熱が可能なインラインヒータは見当らなかった。
特開平7−129252号公報
以上より、小型でしかも急速加熱が可能なインラインヒータが求められていた。
本発明は以下の記載事項に関する:
(1) セラミックヒータと、
上記セラミックヒータを挟んで互いに対向して配置された、流動管が形成された配管ブロック本体及び蓋部材からなる2組の配管ブロックと、
を有するインラインヒータ。
(2)上記セラミックヒータは炭化ケイ素焼結体からなる上記(1)記載のインラインヒータ。
(3)さらに、上記セラミックヒータと上記配管ブロックの間に配置された絶縁体を有する上記(1)又は(2)記載のインラインヒータ。
(4)上記配管ブロックはSUSからなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインラインヒータ。
(5)上記配管ブロックはアルミニウムからなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインラインヒータ。
(6)上記配管ブロックは石英からなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインラインヒータ。
(7)さらに、上記配管ブロックの外側に配置されたリフレクタを有する上記(1)〜(6)のいずれかに記載のインラインヒータ。
(8)上記リフレクタは、表面に金メッキ層を備える上記(7)に記載のインラインヒータ。
小型でしかも急速加熱が可能なインラインヒータが提供される。
以下本発明について実施形態を挙げて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されない。同一又は同様の機能を有する部材については同一又は同様の符号を付すことで説明を省略する:
(第1の実施形態)
図1,8に示す本発明の第1の実施形態にかかるインラインヒータ1は、
セラミックヒータ7と、
セラミックヒータ7を挟んで対向して配置された一組の配管ブロック3a、3bと、を備える。さらにインラインヒータ1は、セラミックヒータ7と配管ブロック3a、3bの間に配置された絶縁板5,9と、を備える。セラミックヒータ7は、電極板13a、13b、配線12a,12bを介して電源(図示せず)に接続されている。またインラインヒータ1は、第1の流動管の入口61aを介してポンプ(図示せず)に接続されている。
セラミックヒータ7は炭化ケイ素焼結体からなることが好ましい。炭化ケイ素焼結体は純度が高く、加熱した際に被加熱物を汚染するおそれが極めて低いからである。炭化ケイ素焼結体からなるセラミックヒータ7は、例えば反応焼結法や後に説明するホットプレス焼結法や鋳込み成形法を用いて製造することができる。
第1の配管ブロック3aは、配管ブロック本体3aと蓋部材3bとからなる。配管ブロック3aは、配管ブロック本体3a上に蓋部材3bを配置した際に、第1の流動管62aを形成するように、配管ブロック本体3aのセラミックヒータ7側主面に、溝(6a)を備える。配管ブロック本体3aと蓋部材3bは溶接等により接合されている。第2の配管ブロック3bも、第1の配管ブロック3aと同様の構成を備える。形成された第1の流動管の出口63aと、第2の流動管の入口61bとは、可撓性チューブまたは金属管(例えばSUS管)8で連結されている。第1及び第2の配管ブロック3a、3bは、アルミニウム(またはステンレス鋼(SUS))からなり、例えば鋳造法やフライス旋盤法を用いて製造することができる。
絶縁板5、9は、特に用いなければならないわけではないが、セラミックヒータ7との電気ショートを防止する観点からは設けることが好ましい。絶縁板5,9は例えばアルミナ、石英、窒化アルミニウム等であり、熱伝導の高い材料が好ましく、特に窒化アルミニウムが絶縁性、高熱伝導性の観点から好ましい。
〔インラインヒータの製造方法〕
図3〜8を用いたインラインヒータ1の製造方法の説明を介して、インラインヒータ1の構成をより詳しく説明する。まず図3(a)の仮想線で示される溝6bと、第2の流動管の入口61bと、第2の流動管の出口63bとを備えるSUSからなる配管ブロック本体3bを成形する。次に配管ブロック本体3bに蓋部材3bを溶接等により接合する。そして図3(c)に示す第2の流動管62bを形成する。
続いて図4(a)(b)(c)に示すように、成形された配管ブロック3bの上に絶縁板5を配置する。さらに、図5,6,7に示すようにセラミックヒータ7、絶縁板9、配管ブロック3aの順に配置する。そして配管ブロック3a,3b、絶縁板5、9、セラミックヒータ7に設けられた貫通孔11a,11bを介してビス16a、16bで全体を固定する。
次に図8に示すようにインラインヒータ1を台座10a,10bに配置し、そして第1の流動管の出口63aと第2の流動管の入口61bとを可撓性チューブ8で連結する。またセラミックヒータ7に配線12a,12bをボルト16d、16eを用いて接続する。さらに仮想性で示される外部ケース14でインラインヒータ1を覆ってもよい。外部ケース14は例えばアルミニウムやSUSからなることが好ましい。以上によりインラインヒータ1が形成される。
第1の実施形態にかかるインラインヒータ1は以上の発明特定事項を備えることより、図1,8に示すように第1の流動管の入口61aから導入された被加熱体は、第1の流動管62aから可撓性チューブ8を介して第2の流動管62bを流動して第2の流動管の出口63bから排出されて必要部位に送られる。被加熱体は第1の流動管62aと第2の流動管62b内を流動することで、セラミックヒータ7の両面から加熱される。そのため、セラミックヒータ7の片面から被加熱体を加熱することに比べ、加熱効率が向上する。また片面加熱方式のヒータ装置の場合、ヒータ装置外部の温度上昇を防止するため、ヒータの被加熱体に接する面の他面に、断熱材を配置する必要がある。第1の実施形態においてはセラミックヒータ7を挟んで配管ブロック3a、3bが配置され、インラインヒータ1外部の温度上昇が抑制されるため、インラインヒータ1の外周に断熱材を配置する必要がない。その結果インラインヒータ1の小型簡略化を図ることができる。また第1の実施形態にかかるインラインヒータ1は電源等の制限がなく取り扱いが簡単である。
インラインヒータ1により加熱される被加熱体としては、液体の他に気体も含まれる。液体としては例えば水、フッ素系溶剤としてガルデン、パーフルオロカーボン、フロリナート等が挙げられ、気体としては例えば窒素等が挙げられる。
図9は第1の実施形態にかかるインラインヒータ1に0.9KW、2.0KW、2.9KWの電力をかけた際の昇温特性を示す図である。図9中、縦軸はインラインヒータ1に導入される前の入水温度と出水温度の温度差ΔTを示し、横軸はインラインヒータ1で昇温された流体の飽和温度に達するまでの経過時間(t)を示す。第1の実施形態にかかるインラインヒータ1は、立ち上がり特性が極めて良好である。
(第2の実施形態)
図10、11に示す本発明の第2の実施形態にかかるインラインヒータ1は、
セラミックヒータ7と、セラミックヒータ7を挟んで対向して配置された一組の配管ブロック32a、32bと、を備える。さらにインラインヒータ1は、セラミックヒータ7と配管ブロック32a、32bの間に配置された絶縁板5,9と、配管ブロック32a、32bを挟んで配置されたリフレクタ100a、100bと、を備える。セラミックヒータ7は、電極板13a、13b、配線12a,12bを介して電源(図示せず)に接続されている。またインラインヒータ1は、第1の流動管の入口61aを介してポンプ(図示せず)に接続されている。
第1の配管ブロック32aは、石英から構成されていることを除いて、第1の実施形態の第1の配管ブロック3aと同様の構成を備える。第2の配管ブロック32bについても同様である。第1の配管ブロック32a及び第2の配管ブロック32bを石英から構成されていることより、不純物に汚染されることなく純水などのメタルフリーで高純度の液体を流すことができるという作用効果が得られる。
リフレクタ100a、100bを設けることにより、セラミックヒータ7からの熱に加えて輻射熱が利用可能となるため熱効率が向上するという作用効果が得られる。リフレクタ100a、100bとしては、輻射熱を利用できるものであれば特に制限はないが、アルミニウム、SUS等を用いることができる。輻射熱の利用効率を向上させる観点からはリフレクタ100a、100bの表面に金メッキ層を設けることが好ましい。
〔ホットプレス焼結法〕
以下にインラインヒータ1の製造に用いられる炭化ケイ素の製造方法について説明する:
第1の実施形態にかかるインラインヒータ1の製造方法には、遊離炭素含有率が2〜10重量%の炭化ケイ素焼結体を使用することが好ましい。このような炭化ケイ素焼結体は、炭化ケイ素粉末と、非金属系焼結助剤との混合物を焼成することにより得られる。まず、炭化ケイ素粉末について説明する。炭化ケイ素粉末としては、α型、β型、非晶質、あるいはこれらの混合物等を広く用いることができ、市販品を用いてもよい。中でもβ型炭化ケイ素粉末が好適に用いられる。炭化ケイ素焼結体を高密度化するためには、用いる炭化ケイ素粉末の粒径は小さいほうがよい。好ましくは0.01〜10μm程度、より好ましくは0.05〜2μmである。粒径が0.01μm未満であると、計量、混合等の処理工程における取り扱いが困難となり、一方10μmを超えると、粉体の比表面積、即ち、隣接する粉体との接触面積が小さくなり、高密度化が困難となるので好ましくない。
高純度の炭化ケイ素粉末を用いると、得られる炭化ケイ素焼結体も高純度になるので好ましい。高純度の炭化ケイ素粉末は、例えば、ケイ素化合物(以下「ケイ素源」という場合がある。)と、加熱により炭素を発生する有機材料と、Z重合触媒または架橋触媒とを混合し、得られた固形物を非酸化性雰囲気中で焼成することにより製造することができる。ケイ素源としては、液状、および固体状の化合物を広く用いることができるが、少なくとも液状の化合物を1種以上用いる。液状のケイ素源としては、アルコキシシラン(モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−)の重合体等が挙げられる。アルコキシシランの重合体の中では、テトラアルコキシシランの重合体が好適に用いられる。具体的には、メトキシシラン、エトキシシラン、プロピロキシシラン、ブトキシシラン等が挙げられるが、ハンドリングの点からはエトキシシランが好ましい。テトラアルコキシシラン重合体の重合度は2〜15程度であると液状の低分子量重合体(オリゴマー)となる。その他、重合度が高いケイ酸ポリマーで液状のものもある。液状のケイ素源と併用可能な固体状のケイ素源としては、炭化ケイ素が挙げられる。ここにいう炭化ケイ素には、一酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素(SiO2)の他、シリカゾル(コロイド状超微細シリカ含有液であって、コロイド分子内にOH基やアルコキシ基を含有するもの)、微細シリカ、石英粉体等も含まれる。これらのケイ素源の中でも、均質性やハンドリング性が良好であるテトラアルコキシシランのオリゴマー、またはテトラアルコキシシランのオリゴマーと微粉体シリカとの混合物等が好ましい。また、これらのケイ素源は高純度であることが好ましく、具体的には初期の不純物含有量が20ppm以下であるのが好ましく、5ppm以下であるのがさらに好ましい。
加熱により炭素を生成する有機材料としては、液状のものの他、液状のものと固体状のものを併用することもできる。残炭率が高く、かつ触媒あるいは加熱により重合または架橋する有機材料が好ましい。具体的には、フェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニルアルコール等のモノマー、およびプレポリマーが好ましい。その他、セルロース、しょ糖、ピッチ、タール等の液状物も用いられる。中でもレゾール型フェノール樹脂が、熱分解性および純度の点で好ましい。有機材料の純度は、目的に応じて適宜、制御すればよい。特に高純度の炭化ケイ素粉末が必要な場合は、不純物元素の含有量が各々5ppm未満である有機材料を用いるのが好ましい。
ケイ素源と有機材料の配合比率は、炭素とケイ素のモル比(以下「C/Si」と略記する。)を目安に好ましい範囲をあらかじめ決定することができる。ここにいうC/Siとは、ケイ素源と有機材料との混合物を1000℃にて炭化した炭化ケイ素中間体を元素分析し、その分析値より得られるC/Siである。炭素は、以下の反応式で表わされるように、酸化ケイ素と反応し、炭化ケイ素に変化する。
式(I)SiO2+3C→SiC+2COに従って、化学量論的には、C/Siが3.0であると、炭化ケイ素中間体中の遊離炭素は0%になるが、実際にはSiOガス等が揮散するため、C/Siがより低い値であっても遊離炭素が発生する。遊離炭素は粒成長を抑制する効果を有するので、目的とする粉末粒子の粒径に応じて、C/Siを決定し、その比となるようにケイ素源と有機材料とを配合すればよい。例えば、約1気圧、1600℃以上で、ケイ素源と有機材料との混合物を焼成する場合、C/Siが2.0〜2.5の範囲になるように配合すると、遊離炭素の発生を抑制することができる。同条件で、C/Siが2.5を超えるように配合すると、遊離炭素の発生が顕著となり、粒子の小さな炭化ケイ素粉末が得られる。このように、目的に応じて、配合比率を適宜決定することができる。尚、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素の作用および効果は、焼結助剤から生じる遊離炭素の作用および効果と比較して非常に弱いので、炭化ケイ素粉末に起因する遊離炭素は、本発明の効果には本質的に影響しないものである。
また、炭化ケイ素粉末に含まれる全炭素量は、約30重量%以上約40重量%以下であるのが好ましい。炭化ケイ素(SiC)の全炭素含有量は理論的には約30重量%であるが、非炭素系不純物を含有する場合は30重量%より減少し、遊離炭素を含有する場合は30重量%より増加する。前述のように有機材料を添加し、焼成することにより得られた炭化ケイ素粉末は、炭素系不純物を含有するので、炭素の含有量は30重量%より大きくなる。従って、炭化ケイ素粉末中の炭素含有量が30重量%未満であると、非炭素系不純物の割合が高いこととなり、純度の点で好ましくない。一方、40重量%を超えると、得られる炭化ケイ素焼結体の密度が低下し、強度、耐酸化性等の点で好ましくない。
ケイ素源と有機材料との混合物を硬化させ、固形物にすることもできる。硬化の方法としては、加熱による架橋反応を利用する方法、硬化触媒により硬化する方法、電子線や放射線を利用する方法等がある。用いる硬化触媒は、用いる有機材料に応じて適宜選択できるが、フェノール樹脂、フラン樹脂を有機材料に用いた場合は、トルエンスルホン酸、トルエンカルボン酸、酢酸、蓚酸等のカルボン酸、塩酸、硫酸等の無機酸類、ヘキサミン等のアミン類等が挙げられる。ケイ素源と有機材料を含有する固形物は、必要に応じ加熱炭化される。炭化は、窒素またはアルゴン等の非酸化性雰囲気中800℃〜1000℃にて30〜120分間加熱することにより行われる。さらに、非酸化性雰囲気中1350℃〜2000℃で加熱すると炭化ケイ素が生成する。焼成温度と焼成時間は、得られる炭化ケイ素粉末の粒径等に影響するので、適宜決定すればよいが、1600〜1900℃で焼成すると効率的で好ましい。以上に説明した高純度の炭化ケイ素粉末を得る方法は、特開平9−48605号明細書により詳細に記載されている。
次に非金属系焼結助剤について説明する。本発明に用いられる炭化ケイ素焼結体は、遊離炭素2〜10重量%のものである。この遊離炭素は、非金属系焼結助剤に用いられる有機材料に起因するものであり、非金属系焼結助剤の添加量等の添加条件を調整することにより遊離炭素量を前述の範囲にすることができる。
非金属系焼結助剤としては、前述したように遊離炭素源となり得る、即ち加熱により炭素を生じる有機材料(以下「炭素源」という場合がある。)を含有するものを用いる。前述の有機材料を単独で、または前述の有機材料を炭化ケイ素粉末(粒径:約0.01〜1ミクロン)表面に被覆させたものを焼結助剤として用いてもよいが、効果の点からは、有機材料を単独で用いるのが好ましい。加熱により炭素を生成する有機材料としては、具体的には、残炭化率の高いコールタールピッチ、ピッチタール、フェノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂の他、各種糖類、例えば、グルコース等の単糖類、しょ糖等の小糖類、セルロース、でんぷん等の多糖類等が挙げられる。有機材料を炭化ケイ素粉末と均質に混合するには、有機材料は常温で液状のもの、溶媒に溶解するもの、または熱可塑性、熱融解性を有する等加熱により軟化するものが好ましい。中でも、フェノール樹脂を用いると炭化ケイ素焼結体の強度が向上するので好ましく、さらにレゾール型フェノール樹脂が好ましい。これらの有機材料の作用機構は明確にはなっていないが、有機材料は加熱されると系中にカーボンブラック、グラファイトの如き無機炭素系化合物を生成する。この無機炭素系化合物が焼結助剤として有効に作用しているものと考えられる。但し、カーボンブラック等を焼結助剤として用いても、同様な効果は得られない。
非金属系焼結助剤は、所望により有機溶媒に溶解し、その溶液と炭化ケイ素粉末を混合してもよい。使用する有機溶媒は、非金属系焼結助剤により異なり、例えば、焼結助剤としてフェノール樹脂を用いる場合は、エチルアルコール等の低級アルコール類、エチルエーテル、アセトン等を選択することができる。高純度の炭化ケイ素焼結体を作製する場合は、高純度の炭化ケイ素粉末を使用するのみならず、焼結助剤および有機溶媒も不純物含有量の少ないものを用いるのが好ましい。
非金属系焼結助剤の炭化ケイ素粉末に対する添加量は、炭化ケイ素焼結体の遊離炭素が2〜10重量%になるように決定する。遊離炭素がこの範囲外であると、接合処理中に進行するSiCへの化学変化、および炭化ケイ素焼結体間の接合が不十分となる。ここで、遊離炭素の含有率(重量%)は、炭化ケイ素焼結体を酸素雰囲気下において、800℃で8分間加熱し、発生したCO2、COの量を炭素分析装置で測定し、その測定値から算出することができる。焼結助剤の添加量は、用いる焼結助剤の種類および炭化ケイ素粉末の表面シリカ(酸化ケイ素)量によって異なる。添加量を決定する目安としては、あらかじめ炭化ケイ素粉末の表面シリカ(酸化ケイ素)量を弗化水素水を用いて定量し、この酸化ケイ素を還元するのに十分な化学量論(式(I)で算出される化学量論)を算出する。これと、非金属系焼結助剤が加熱により炭素を生成する割合を考慮し、遊離炭素が前述の適する範囲となるように添加量を決定することができる。以上に説明した炭化ケイ素焼結体の非金属系焼結助剤についての説明は、特願平9−041048号明細書中により詳細に記載されている。
次に、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤の混合物を焼結する方法について説明する。炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤は均質に混合する。均質の混合物を得るために、前述したように焼結助剤を有機溶媒に溶解した溶液を用いてもよい。混合方法としては、公知の方法、例えば、ミキサー、遊星ボールミル等を用いる方法が挙げられる。混合に使用する器具は、金属元素不純物の混入を防止するため、合成樹脂素材のものを用いるのが好ましい。混合は10〜30時間程度、特に16〜24時間程度行い、十分に混合するのが好ましい。十分に混合した後、溶媒を除去し、混合物を蒸発乾固させる。その後、篩にかけて混合物の原料粉体を得る。乾燥には、スプレードライヤー等の造粒装置を使用してもよい。
このようにして得られた原料粉体は、成形金型中に配置される。使用する成形金型が黒鉛製のものであると、金属不純物が炭化ケイ素焼結体中に混入しないので好ましい。金属製の成形金型であっても、原料粉体と金型の金属部とが直接接触しないように、接触部を黒鉛製とするか、または接触部にポリテトラフルオロエチレンシート(テフロン(登録商標)シート)を介在させれば、好適に使用できる。特に、高純度の炭化ケイ素焼結体を製造したい場合は、金型、および炉内の断熱材等には高純度の黒鉛材料を用いるのが好ましい。具体的には、2500℃以上の温度で、あらかじめ十分にベーキング処理され、高温使用しても不純物の発生がない黒鉛材料等が挙げられる。
成形金型中に配置された原料粉体は、ホットプレス加工を施される。ホットプレスの圧力については、300〜700kgf/cm2の広い範囲の圧力により行うことができる。但し、400kgf/cm2以上で加圧する場合は、ホットプレス用の部品、例えば、ダイス、パンチ等は耐圧性に優れたものを用いる必要がある。
ホットプレスは、2000℃〜2400℃にて行うが、このホットプレス加工温度までの昇温は穏やかに、かつ段階的に行うのが好ましい。このように昇温すると、各々の温度で生じる化学変化、状態変化等を十分に進行させることができ、その結果、不純物混入や亀裂および空孔の発生を防止することができる。好ましい昇温工程の一例を以下に示す。まず、5〜10gの原料粉体をいれた成形金型を炉内に配置し、炉内を10−4torrの真空状態にする。室温から200℃まで穏やかに昇温し、約30分間200℃に保つ。その後、700℃まで6〜10時間で昇温し、2〜5時間700℃に保つ。室温から700℃までの昇温工程で、吸着水分や有機溶媒の脱離が起こり、また、非金属系焼結助剤の炭化も進行する。一定温度の保持時間は、炭化ケイ素焼結体のサイズによって異なり、適宜好適な時間に設定すればよい。また、保持時間が十分であるか否かの判断は、真空度の低下がある程度少なくなる時点を目安にすることができる。次に、700℃〜1500℃まで6〜9時間で昇温し、1〜5時間程1500℃に保持する。1500℃に保持している間、酸化ケイ素が還元され炭化ケイ素に変化する反応が進行する(式(I))。保持時間が不十分であると、二酸化ケイ素が残留し、炭化ケイ素粉末表面に付着するので、粒子の緻密化を妨げ、大粒の成長原因となるので好ましくない。保持時間が十分であるか否かの判断は、副生成物である一酸化炭素の発生が停止しているかを目安に、即ち、真空度の低下がおさまり、還元反応開始温度である1300℃の真空度まで回復しているかを目安にすることができる。
ホットプレスは、焼結が開始する1500℃程度まで炉内を昇温し、次に炉内を非酸化性雰囲気とするために、不活性ガスを充填した後行うのが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、あるいはアルゴンガス等が用いられるが、高温においても非反応性であるアルゴンガスを用いるのが好ましい。高純度炭化ケイ素焼結体を製造したい場合は、不活性ガスも高純度のものを用いる。炉内を非酸化性雰囲気とした後、温度が2000℃〜2400℃、圧力が300〜700kgf/cm2となるように炉内を加熱および加圧する。最高温度が2000℃未満であると、高密度化が不十分となる。一方、最高温度が2400℃を超えると、粉体もしくは成形体原料が昇華(分解)する虞があるため好ましくない。1500℃近傍〜最高温度までの昇温は2〜4時間かけて行い、最高温度で1〜3時間保持するのが好ましい。1850〜1900℃で焼結は急速に進行し、最高温度保持時間中に焼結が完了する。また加圧条件が、300kgf/cm2未満であると高密度化が不十分となり、700kgf/cm2を超えると黒鉛製の成形金型が破損することもあり、製造効率上好ましくない。圧力は異常粒が成長するのを抑えるために、300kgf/cm2〜700kgf/cm2程度で加圧するのが好ましい。
用いる炭化ケイ素焼結体は、高密度化されていて、密度が2.9g/cm3以上、気孔率が1%以下であると好ましく、密度が3.0g/cm3以上、気孔率が0.8%以下であると特に好ましい。高密度化された炭化ケイ素焼結体を用いると、得られる炭化ケイ素接合体の曲げ強度、破壊強度等の力学的特性、および電気的物性が向上する。また、高密度化された炭化ケイ素焼結体を用いると、構成粒子が小粒化されているので汚染性の点でも好ましい。一方、低密度の、例えば多孔性の炭化ケイ素焼結体を用いると、炭化ケイ素接合体の耐熱性、耐酸化性、耐薬品性、および機械的強度が劣り、また接合強度が不十分となる場合もある。
炭化ケイ素焼結体を高密度化する方法として、焼結工程に先立って予め成形工程を実施する方法がある。この成形工程は、焼結工程と比較して低温低圧で行われるものである。この焼結工程を実施すると、嵩のある粉体を予めコンパクト(小容量化)にできるので、この工程を何度も繰り返すことによって、大型の成形体が製造しやすくなる。焼結工程に先立って予め実施される成形工程の諸条件の一例を以下に示す。炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤とを、均質に混合して得られた原料粉体を成形金型内に配置し、温度80℃〜300℃、好ましくは120℃〜140℃、圧力50kgf/cm2〜100kgf/cm2で5〜60分間、好ましくは20〜40分間プレスして成形体を得る。加熱温度は非金属系焼結助剤の特性に応じて、適宜決定すればよい。得られる成形体の密度は、平均粒径1μm程度の粉体を用いた場合は1.8g/cm2以上となるように、また平均粒径0.5μmの粉体を用いた場合は1.5g/cm2となるようにプレスするのが好ましい。用いる成形体の密度がこの範囲であると、炭化ケイ素焼結体の高密度化が容易となるので好ましい。得られた成形体が焼結工程に用いる成形金型に適合するように、成形体に切削加工を施してもよい。
本発明に用いる炭化ケイ素焼結体中の不純物元素(1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の元素周期表において、C、N、O、Siを除く、原子番号3以上の元素)の総含有量は5ppm以下であると、高い清浄度が要求されるプロセス、例えば、半導体製造プロセス等にも使用し得るので好ましい。より好ましくは3ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。但し、化学的分析による不純物含有量は、実際に使用する場合の参考値としての意味を有するに過ぎない。例えば、不純物含有量は同一であっても、不純物が均一に分布しているか、局所的に偏在しているかによってその炭化ケイ素接合体に対する汚染性の評価は異なる場合もある。尚、以上に具体的に例示した材料、および例示した焼結方法を用いれば、不純物含有量1ppm以下の炭化ケイ素焼結体が得られる。また、炭化ケイ素焼結体の不純物元素含有量を減少させるには、用いる原料(例えば、炭化ケイ素粉末と非金属系焼結助剤)、および不活性ガスに含まれる不純物元素含有量を1ppm以下にしたり、焼結時間、温度等、焼結の諸条件を調整して不純物を除去する方法等が挙げられる。尚、ここでいう不純物元素とは、前述と同様であり、1989年IUPAC無機化学命名法改訂版の周期律表における、原子番号3以上(但し、C、N、O、Si、を除く。)の元素をいう。
本発明に用いる炭化ケイ素焼結体の、その他の物性値は、室温における曲げ強度550〜800kgf/mm2、ヤング率3.5×104〜4.5×104、ビッカース硬度550〜800kgf/mm2、ポアソン比0.14〜0.21、熱膨張係数3.8×10-6〜4.2×10-6l/℃、熱伝導率150W/m・K以上、比熱0.15〜0.18cal/g・℃、耐熱衝撃性500〜700ΔT℃、比抵抗1Ω・cmであると、得られる炭化ケイ素接合体の諸特性が良好となるので好ましい。尚、本発明の炭化ケイ素焼結体として、本発明者等の特願平9−041048号明細書に記載の炭化ケイ素焼結体を好適に使用することができる。
〔鋳込み成形法〕
以下の工程により炭化ケイ素ヒータに適した炭化ケイ素焼結体(多孔体)が得られる:
(1)混合粉体を得る工程
まず炭化ケイ素粉末と消泡剤を溶媒中に分散させてスラリー状の混合粉体を製造する。次に、ミキサー、遊星ボールミルなどの攪拌混合手段を用いて、6時間〜48時間、特に12時間〜24時間に渡って攪拌混合を行う。攪拌混合が十分に行われていないと、グリーン体中に気孔が均一分散されなくなるからである。
(2)グリーン体を得る工程
得られたスラリー状の混合粉体を鋳込み成形用型に流し込む。その後、放置、脱型した後、40℃〜60℃の温度条件下で加熱乾燥又は自然乾燥して溶媒を除去する。このようにして規定寸法のグリーン体、即ちスラリー状の混合粉体から溶媒を除去して得られる多くの気孔が内在する炭化ケイ素成形体が得られる。
(3)第1の加熱工程
得られたグリーン体を真空雰囲気下550℃〜650℃まで約2時間程度かけて昇温する。加熱温度が550℃未満だと脱脂が不十分になる。また脱脂は650℃前後で終了する。そのため、前述の加熱温度範囲内の一定の温度で加熱する。昇温速度は、配合物中のバインダーの急激な熱分解による爆裂を防止するため300℃/1hr以下とする。そして、一定の温度に達した後、真空雰囲気下その温度条件に30分間保持することで仮焼体が得られる。
(4)第2の加熱工程
次に得られた仮焼体を、窒素ガス雰囲気下で1500℃以上の温度まで昇温する。好ましくは温度1500℃〜2000℃、又は1500℃〜1950℃まで昇温する。加熱温度の上限を2000℃としたのは、窒素雰囲気においてドープされる窒素量は、2000℃程度で平衡状態に達するため、それ以上の温度で加熱することは不経済だからである。また2400℃以上では炉が壊れてしまうからである。また加熱温度が1500℃〜2000℃の範囲から外れると強度が低下する。そのため、この温度範囲内の一定の温度まで加熱する。その際、強度が増加する観点からは、加熱温度を1700℃〜2000℃とすることが好ましい。そして、一定の温度に達した後、窒素ガス含有雰囲気下その温度条件に0.5〜8時間保持する。同じ加熱温度であれば、(a)保持時間を長くする、(b)圧力(atm)を高くする、の少なくともいずれか一方の条件に設定することで炭化ケイ素焼結体中の窒素量が増加する。窒素ガス雰囲気下における圧力は、−0.5kg/m〜0.2kg/mが好ましい。
〔炭化ケイ素焼結体(多孔体)〕
以上の製造方法により得られた本発明の実施形態にかかるヒータ用炭化ケイ素焼結体(多孔体)は、空隙率が1%〜32%、好ましくは5%〜29%である。また100℃における抵抗が0.02Ωcm〜0.06Ωcm、好ましくは0.03Ωcm〜0.05Ωcmであり、100℃における抵抗をAとし、1000℃における抵抗をBとした際に、B/A=0.2〜2である。このような物性を有することから温度依存性の問題が大幅に改善される。さらに本発明の実施形態の窒素含量は500ppm以上、好ましくは500ppm〜1200ppm、より好ましくは550ppm〜900ppmである。そのため、導電性を有することから放電加工法により複雑形状に加工可能である。例えばヒータは、円柱状試料(焼結体)を形成しこれを径方向にスライス加工し、その後成形体に螺旋状や同心円状の溝を形成することにより製造される。
図1は第1の実施形態にかかるインラインヒータの斜視図を示す。 図2は第1の実施形態にかかるインラインヒータの断面図を示す。 図3(a)(b)(c)は第1の実施形態にかかるインラインヒータの製造工程図(その1)を示し、図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は断面図を示す。 図4(a)(b)(c)は第1の実施形態にかかるインラインヒータの製造工程図(その2)を示し、図4(a)は正面図、図4(b)は側面図、図4(c)は断面図を示す。 図5(a)(b)(c)は第1の実施形態にかかるインラインヒータの製造工程図(その3)を示し、図5(a)は正面図、図5(b)は側面図、図5(c)は断面図を示す。 図6(a)(b)(c)は第1の実施形態にかかるインラインヒータの製造工程図(その4)を示し、図6(a)は正面図、図6(b)は側面図、図6(c)は断面図を示す。 図7(a)(b)は第1の実施形態にかかるインラインヒータの製造工程図(その5)を示し、図7(a)は正面図、図7(b)は側面図を示す。 図8は第1の実施形態にかかるインラインヒータの側面図を示す。 図9は第1の実施形態にかかるインラインヒータの昇温特性を示す図である。 図10は第2の実施形態にかかるインラインヒータの斜視図を示す。 図11は第2の実施形態にかかるインラインヒータの断面図を示す。
符号の説明
1…インラインヒータ
3a、3b…配管ブロック
3a、3b…配管ブロック本体
3a、3b…蓋部材
5,9…絶縁板
7…セラミックヒータ
8…可撓性チューブまたは金属管
12a,12b…配線
61a、61b…流動管の入口
62a、62b…流動管
63a、63b…流動管の出口

Claims (8)

  1. セラミックヒータと、
    前記セラミックヒータを挟んで互いに対向して配置された、流動管が形成された配管ブロック本体及び蓋部材からなる2組の配管ブロックと、
    を有することを特徴とするインラインヒータ。
  2. 前記セラミックヒータは炭化ケイ素焼結体からなることを特徴とする請求項1記載のインラインヒータ。
  3. さらに、前記セラミックヒータと前記配管ブロックの間に配置された絶縁体を有することを特徴とする請求項1又は2記載のインラインヒータ。
  4. 前記配管ブロックはSUSからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインラインヒータ。
  5. 前記配管ブロックはアルミニウムからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインラインヒータ。
  6. 前記配管ブロックは石英からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインラインヒータ。
  7. さらに、前記配管ブロックの外側に配置されたリフレクタを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインラインヒータ。
  8. 前記リフレクタは、表面に金メッキ層を備えることを特徴とする請求項7に記載のインラインヒータ。
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