JPH07282799A - リチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池

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JPH07282799A
JPH07282799A JP6085291A JP8529194A JPH07282799A JP H07282799 A JPH07282799 A JP H07282799A JP 6085291 A JP6085291 A JP 6085291A JP 8529194 A JP8529194 A JP 8529194A JP H07282799 A JPH07282799 A JP H07282799A
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JP
Japan
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negative electrode
lithium
capacity
secondary battery
pitch
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Withdrawn
Application number
JP6085291A
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English (en)
Inventor
Takashi Iijima
孝 飯島
Kimihito Suzuki
公仁 鈴木
Koichiro Mukai
幸一郎 向井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp, Nippon Steel Chemical Co Ltd filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP6085291A priority Critical patent/JPH07282799A/ja
Publication of JPH07282799A publication Critical patent/JPH07282799A/ja
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 リチウムドープ量が大きく、且つ、初期充放
電効率が高いリチウム2次電池負極用炭素質材料を提供
すること。 【構成】 易黒鉛化性ピッチコークスを原料とし、その
組織を微細化することにより、初期充放電効率を高め得
ることを見出した。組織微細化の程度を表す指標として
熱膨張係数を導入し、容量に対応する黒鉛化度を表す指
標としてX線回折によるパラメータを用い、この2種の
パラメーターを用いて、ピッチコークスの最適化の規定
を行った。 【効果】 本発明のピッチコークスを負極に用いること
により、サイクル安定性を維持しつつ、リチウムロスの
低減、高容量化等、負極特性の向上に基づくリチウム2
次電池の高エネルギー密度化が達成できた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非水電解液を用いたリ
チウム二次電池に関するもので、さらに詳しくは、リチ
ウムをドープ、脱ドープする炭素質材料を負極に用いた
リチウム二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年の電気機器の小型化や軽量化に伴
い、二次電池に対する高エネルギー密度化の要求がます
ます強くなっている。
【0003】また、環境保全の観点から、無公害自動車
として電気自動車の開発が進められており、そのモータ
ー駆動用電源として、二次電池の性能向上が強く望まれ
ている。
【0004】これらの要求を満たす高エネルギー密度二
次電池として、リチウム二次電池が注目されており、そ
の開発が急がれている。
【0005】このリチウム二次電池の開発における最大
の課題は、負極に用いたリチウム金属が充放電の繰り返
しに伴ってサイクル劣化を起こすことである。
【0006】これは、充電時に負極上に析出するリチウ
ム金属の析出形態に起因するもので、例えば、樹枝状結
晶であるデンドライトは、負極板からの剥離あるいは、
対極との短絡等を引き起こすことになる。
【0007】これらの問題を解決するために種々のリチ
ウム合金やリチウムをドープ、脱ドープする導電性高分
子や炭素質材料などの負極材料が提案され、検討されて
いる。
【0008】しかしながら、リチウム合金は、深い充放
電が困難なこと、電流密度の高い充放電に適さないこと
等の課題を残しており、高エネルギー電池の開発には到
っていない。
【0009】他方、リチウムのドープ材料として炭素材
料や導電性ポリマーが提案されているが、導電性ポリマ
ーは、ドープ量が少ないこと、リチウムに対して化学
的、電気化学的に不安定であること等の課題を残してお
り、やはり高エネルギー密度化には限界がある。
【0010】現在、リチウム二次電池の負極材料とし
て、リチウム金属の代替材料として最も注目されている
のが、炭素質材料である。
【0011】リチウム二次電池の負極として炭素質材料
を用いると、充電時に電解液中から炭素質材料の層間に
リチウムが挿入し、いわゆる黒鉛層間化合物を形成す
る。
【0012】また、放電時には、層間のリチウムが電解
液中へ放出される。このため、リチウム金属を負極に用
いた際に生じるデンドライト等の充放電サイクルに伴う
負極の劣化は、炭素質材料を用いることで原理的に排除
できる可能性がある。
【0013】このようなリチウム二次電池負極用の炭素
質材料として、原料、H/Cなどの元素組成、組織構
造、結晶構造などが異なる種々の炭素質材料が提案され
ている。
【0014】その中で、2800℃以上の高温度で焼成
したピッチコークスは、充放電の電流密度を微弱にする
ことにより、理論的に予想される最大容量であるC6
i(炭素1gあたり372mAhの容量に相当)を実現
し、しかも、安定して充放電サイクルさせることができ
ると報告されており(R.Fong,U.Sacke
n,and J.R.Dahn,J.Electroc
hem.Soc.137(1990)2009)、非常
に魅力ある材料である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】ところが、2500℃
以上の高温度で焼成したピッチコークスは、初期数サイ
クルの充放電効率(初期充放電効率)が低い、即ち、充
放電の繰り返しに伴って失われるリチウム量(リチウム
ロスと呼ぶ)が多く、その損失を補うためにリチウムの
供給源、例えばLiCoO2などの正極材料を多量に必
要とする。
【0016】つまり、負極の初期充放電効率が低いこと
が原因となり、負極の持つ高容量を活かせずに、電池の
エネルギー密度が低下してしまうという問題があった。
【0017】したがって、本発明の目的は、ドープ・脱
ドープ反応に関与するリチウムドープ量が大きく、且
つ、初期充放電効率の高い炭素質材料を開発し、上記の
問題点を解消したリチウム二次電池を提供することであ
る。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述の問
題点を解決すべく、負極用炭素質材料に関し鋭意検討し
た結果、後述する材料、並びにパラメーターを有する炭
素質材料を用いることで、目的達成に有効であるとの事
実を見い出し、本発明のリチウム二次電池を開発するに
到った。
【0019】すなわち、炭素質負極と正極と非水系電解
液とからなるリチウム二次電池において、負極を構成す
る炭素質活物質が、ピッチコークスを焼成してなる炭素
粉末であって、X線広角回折法による(002)面の面
間隔(d002)、積層方向の結晶子の大きさ(Lc)、
層方向の結晶子の大きさ(La)が、d002≦0.34
0nm、Lc≧20nm、La≧20nmを満たし、且
つ、熱膨張係数(CTE)が、CTE≧3.0×10-6
-1を満たすことを特徴とする。
【0020】以下本発明の内容を詳細に説明する。
【0021】本発明の炭素質材料において本質的に重要
な点は、炭素質材料としてピッチコークスを選定し、そ
の組織構造が初期効率を支配する重要な因子であって、
組織を微細化することにより初期充放電効率を向上させ
得ることを見い出した点である。
【0022】しかしながら、初期充放電効率を向上する
べく組織を微細化し過ぎると、結晶子サイズの低下に伴
い黒鉛構造の発達の程度(黒鉛化度)が抑制され、その
結果、容量は低下してしまう。
【0023】そこで、本発明は、組織の微細化と黒鉛化
度の発達という二つの観点からピッチコークスの最適化
を意図して検討したものである。
【0024】本発明者らが鋭意検討した結果、組織の微
細化の程度を表わす指標として、ピッチコークスの熱膨
張係数(CTE)が適当であることを見い出し、また、
黒鉛化度の定量には、X線広角回折法によって規定され
る炭素層間距離(d002)、積層方向の結晶子の大きさ
(Lc)、層方向の結晶子の大きさ(La)といった指
標が適当であることを見出し、これらの指標を用いるこ
とにより、容量を維持しつつ、初期充放電効率の高いピ
ッチコークスの開発に成功したものである。
【0025】組織の微細化と初期充放電効率との対応関
係は、以下のように推察される。
【0026】即ち、黒鉛構造の発達した結晶子は、基本
的に炭素層の層間の結合が弱いため、リチウムをドープ
しようとすると、リチウム単独でなく溶媒和したリチウ
ムをドープしやすい。
【0027】その結果、層間に挿入した溶媒が分解し、
初期効率の低下につながる。ところが、複数の結晶子が
ランダムに配向するような結晶子の集合体として一個の
コークス粒子が構成される場合には、個々の結晶子は互
いに相手の膨張を抑制する作用を持つため、溶媒和した
状態でリチウムは層間に挿入せず、溶媒を切り離してリ
チウムだけが挿入するようになる。
【0028】その結果、溶媒の分解は無くなり、初期充
放電効率が向上すると考えられる。すなわち、個々の粒
子が、細かな結晶子の集合体からなる、言い換えれば、
微細な組織構造を持つことが、初期充放電効率を向上さ
せることになる。
【0029】コークスの熱膨張係数(CTE)は、メカ
ニズムは必ずしも明確ではないが、コークスの組織の微
細化の程度を非常によく反映することが知られている。
【0030】即ち、組織が大きい場合はCTEが小さ
く、組織が微細になるほどCTEは大きくなる。
【0031】そして、負極特性、特に、初期充放電効率
の観点から検討した結果、熱膨張係数(CTE)は、C
TE≧3.0×10-6-1を満たすことが必要であるこ
とが分かった。
【0032】より好ましくは、CTE≧3.5×10-6
-1、更に好ましくは、CTE≧4.0×10-6-1
あることが望ましい。
【0033】CTE<3.0×10-6-1の場合には、
組織の微細化が不十分なために初期充放電効率が低く、
本発明の目的には不適当である。
【0034】黒鉛化度に関して炭素質材料を規定するX
線広角回折法によるパラメーターは、d002≦0.34
0nm、Lc≧20nm、La≧20nmであることが
必要で、好ましくは、d002≦0.339nm、Lc≧
30nm、La≧30nm、更に好ましくは、d002
0.338nm、Lc≧40nm、La≧40nmであ
る。
【0035】d002>0.340nm、Lc<20n
m、La<20nmの場合には、黒鉛構造の発達の程度
が低いため、リチウムのドープ量が少なく、充分な容量
を得ることが出来ず、従って電池のエネルギー密度も低
下してしまう。
【0036】ここで、X線広角回折法による黒鉛化度の
パラメーターの算出方法は、例えば、「炭素繊維」(近
代編集社、昭和61年3月発行)第733〜742頁記
載されている。
【0037】また、CTEの評価方法は、以下の通りで
ある。
【0038】(1)試料調整 ピッチコークスを以下の粒度に調整し、バインダーピッ
チと混練する; 16メッシュ以下、200メッシュ以上の粒度・・・6
5重量% 200メッシュ以下の粒度・・・35重量% 混合にはニーダーを用い、バインダーピッチは、成型後
の嵩密度が最大となるように混合する。
【0039】(2)成型と焼成、黒鉛化処理 押し出し成型機により直径20mm、長さ110mmの
成型体を作成する。アルゴン雰囲気下で、100℃/時
の昇温速度で950℃まで昇温し2時間保持。その後、
10℃/分の速度で昇温し、2550℃で約1時間焼成
し熱膨張率測定用試料とする。
【0040】(3)熱膨張率の測定 黒鉛化処理した試料の長さを、室温(Lrt)と500℃
(L500)で測定し、下式によりCTEを算出する。
【0041】
【数1】 CTE=(L500−Lrt)/Lrt・(500−室温)
【0042】本発明で用いるピッチコークスの原料ピッ
チは、焼成によって黒鉛結晶が発達し易いこと、いわゆ
る易黒鉛化性の高いことが本質的に重要であり、易黒鉛
化性が高いものであれば、特にその原料ピッチについて
制限されるものではない。
【0043】例示するならば、石油ピッチ、アスファル
トピッチ、コールタールピッチ、原油分解ピッチ、石油
スラッジピッチ、高分子重合体の熱分解により得られる
ピッチなどを挙げることができる。
【0044】これら原料ピッチを組織制御することによ
り、本発明に最適なピッチコークスを調製することがで
きるが、本発明はピッチコークスについて上述の物性指
標を満たすことを要求するものであり、その手法に関し
て特に制限するものではない。
【0045】組織制御の手法を例示するならば、(1)
原料ピッチ中のキノリン不溶分の含有量を高める、
(2)いわゆるアッシュ分の含有量を高める、(3)カ
ーボンブラック、黒鉛粉等の微細な炭素質材料を添加す
る、といった方法が知られている。
【0046】これらの手法は、メソフェース球体表面を
微細な異物で包囲することにより、コーキングの際のメ
ソフェース球体の成長合体を阻害するという考え方に基
づく手法である。
【0047】また、粘度を高めることによりコーキング
の際のメソフェース球体の移動を抑制し成長合体を阻害
するという手法なども一般的に知られている。
【0048】粒度は、特に制限はないが、好ましくは重
量平均粒径が、1μm以上50μm以下、更に好ましく
は2μm以上30μm以下が望ましい。
【0049】重量平均粒径が50μmを越える場合、成
型の際の充填密度を向上させるのが困難となり、また、
重量平均粒径が1μm未満の場合、初期充放電効率を向
上させることが困難となる。
【0050】何れの場合にも、電池の高エネルギー密度
化が損なわれ、本発明の目的には適さない。
【0051】また、真比重は、2.0以上、より好まし
くは、2.1以上が望ましい。真比重は、黒鉛構造に近
づくほど高くなり(天然黒鉛の真比重2.18に近づ
く)、反対に、非晶質に近づくほど低下する。
【0052】また、物質内部のポア(閉気孔)の存在を
反映する。即ち、真比重は、黒鉛化度と物質内部のポア
を表す指標として捉えることができる。
【0053】本発明では、黒鉛構造の発達を要求するた
め、真比重は高いことが望ましい。真比重が2.0未満
の場合には、黒鉛化度が低すぎるためにリチウムのドー
プ量が少ない、即ち容量が小さくなってしまう。
【0054】また、比表面積は、好ましくは0.1m2
/g以上20m2/g以下、更に好ましくは0.5m2
g以上10m2/g以下が望ましい。0.1m2/g未満
の場合、反応に関与する面積が小さすぎるために電流密
度を大きくできないという問題があり、また、20m2
/gを越える場合、表面積が大きすぎるために初期充放
電効率が低くなってしまうという問題がある。
【0055】非水系電解液は、有機溶媒と電解質である
リチウム塩とを適宜組み合わせて調整されるが、これら
有機溶媒と電解質とは、通常リチウム電池に用いること
が可能なものであれば特に制限するものではない。
【0056】例示するならば、有機溶媒として、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカー
ボネート、1,2―ジメトキシエタン、1,2―ジエト
キシエタン、γ―ブチロラクトン、テトラヒドロフラ
ン、2―メチルテトラヒドロフラン、1,3―ジオキソ
ラン、4メチル1,3―ジオキソラン、ジエチルエーテ
ル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、
プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エ
ステル、プロピオン酸エステルなどがあげられ、これら
を単独、若しくは2種類以上を混合して使用される。
【0057】また、電解質としては、LiClO4,L
iAsF6,LiPF6,LiBF4,LiB(C
65),LiCH3SO3,LiCF3SO3,LiBr,
LiClなどが使用できる。
【0058】正極としては、二酸化マンガン、五酸化バ
ナジウムのような遷移金属酸化物や、硫化鉄、硫化チタ
ンのような遷移金属カルコゲン化物、さらには、これら
とリチウムとの複合酸化物、シェブレル相化合物、活性
炭、活性炭素繊維などを用いることができる。
【0059】
【作用】非水電解液を用いたリチウム二次電池におい
て、負極活物質として黒鉛構造の発達したピッチコーク
スを用いると容量は大きいが、充電時に電解液の分解な
どを伴うため初期充放電効率が小さく、したがって電池
のエネルギー密度を大きくすることができない。
【0060】一方、黒鉛構造が未発達のピッチコークス
を使用すると、容量が小さいためやはり電池のエネルギ
ー密度を大きくすることができない。
【0061】このようなリチウム二次電池において、本
発明における所定の条件を満たしたピッチコークス、即
ち、黒鉛構造が発達し、且つ、組織を微細化したピッチ
コークスを用いると、容量が大きく、且つ、初期充放電
効率が高くすることができ、エネルギー密度の高い電池
を得ることが可能となる。
【0062】
【実施例】以下、実施例、及び、比較例に基づいて、本
発明を具体的に説明する。
【0063】
【実施例1】石炭系ピッチコークスを出発原料として、
キノリン不溶分、アッシュ分などを調整することにより
組織構造を制御したピッチコークスを粉砕し、アルゴン
雰囲気中で2800℃、3000℃、3200℃で焼成
(黒鉛化処理)した。
【0064】焼成後のピッチコークスを5μm以上45
μm以下に篩い分けしたものを負極材料に供した。何れ
の焼成温度のピッチコークスもその平均粒径は約15μ
mであった。
【0065】また、これらのサンプルのX線広角回折法
による黒鉛化度のパラメーターの算出値、並びに、熱膨
張係数(CTE)を、表1にまとめて示す。
【0066】
【表1】
【0067】このようにして得た炭素質粉末材料を、負
極活物質とし、これを90重量部、結着剤としてポリフ
ッ化ビニリデン(PVDF)10重量部を混合し負極合
剤を調整した。
【0068】この負極合剤を、溶剤であるN―メチル―
2―ピロリドンに分散させてスラリーにした。
【0069】さらに、負極集電体である厚さ20μmの
銅箔上に、この負極合剤スラリーを塗布し溶剤を乾燥
後、ローラープレス機により圧縮成型し負極成型体を作
製した。
【0070】この負極成型体を1cm角に切り出し、ポ
リプロピレン製微多孔性膜をセパレーターに用いて、対
極に用いる厚さ0.5mmのリチウム金属シートと対向
させ、全体をテフロン板で挟んで圧着した。
【0071】このようにして作製した二極セルを電解液
の中に浸し、さらに、リチウム金属を参照極に用いて、
三極セルとした。
【0072】電解液には、エチレンカーボネートとジエ
チルカーボネートを体積比1:1に混合した溶媒に、L
iClO4を1モル/lの濃度で溶解した溶液を用い
た。
【0073】次に、このようにして作成した三極セルに
ついて、充電電流、放電電流ともに0.5mA、電位範
囲0V〜1.0V間で定電流充放電の繰り返しを行なっ
た。
【0074】表2に、第1サイクルの充放電効率と放電
容量、及び、充放電の繰り返しに伴うリチウムロスを示
す。
【0075】また、図1に放電容量のサイクル変化を示
す。図1から、何れの熱処理の場合にも安定して放電容
量を維持すること、熱処理温度が高い程、放電容量が大
きいことが明らかである。
【0076】また、容量の向上に伴い、初期充放電効率
も向上し、従ってリチウムロスも減少している。
【0077】
【表2】
【0078】
【実施例2】出発原料を調整して組織構造の異なるピッ
チコークスを用意し、粉砕機で粉砕した後3200℃で
焼成し、5〜45μmに粒度を調整した炭素質材料につ
いて、実施例1と同様の方法で、その負極活物質として
の特性を評価した。
【0079】表3に、X線広角回折法による黒鉛化度の
パラメーター、並びに、熱膨張係数(CTE)を示す。
【0080】
【表3】
【0081】表4に、第1サイクルの充放電効率と放電
容量、及び、リチウムロスを示す。また、図2に放電容
量のサイクル変化を示す。
【0082】
【表4】
【0083】実施例1、2の結果から、熱処理温度を高
めて、黒鉛化度を向上することにより、容量が大きくな
り、また、CTEを高めることにより初期充放電効率が
向上することが明らかである。
【0084】充放電効率は、何れの場合にも、5サイク
ル目以降は、ほぼ100%で推移しており、充放電の繰
り返しに伴うトータルのリチウムロス量は、非常に小さ
い。
【0085】
【実施例3】実施例2におけるDの炭素質材料を用いて
コイン型電池(外径20mm、厚さ2.5mm)を作成
し、そのサイクル特性を調べた。先ず、実施例2のDを
用いて実施例2と同様の方法により、直径15mmの負
極成型体を作成した。
【0086】正極はLiCoO2を用いて以下のように
作成した。LiCoO2にポリフッ化ビニリデン粉末を
5重量%、ケッチェンブラックを5重量%加えてN―メ
チルピロリドンを添加して混練しスラリーを調製し、A
l箔の上に均一に塗布、乾燥することにより正極成型体
を作成した。これを、負極と同じ直径15mmに切り出
して正極とした。
【0087】以上の負極と正極を用い、電解液には、エ
チレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比
1:1に混合した溶媒に、LiClO4を1モル/lの
濃度で溶解した溶液を用い、セパレーターには、ポリプ
ロピレン多孔質膜を用いて、簡易型コイン形状電池を作
成して充放電試験を行なった。
【0088】なお、正極活物質の量は、負極の容量に相
当するリチウムに、負極のトータルのリチウムロスと正
極のトータルのリチウムロスを加算したリチウムを供給
するものとして、正極活物質の重量を決定した。
【0089】充放電試験は、充電、放電ともに、定電流
(0.5mA/cm2)で行ない、3Vから4.2Vの
電池電圧間で充放電を繰り返した。
【0090】その結果、第1サイクルの容量は12.3
mAh、充放電効率は82.2%であった。
【0091】その後のサイクルで、容量は維持し、充放
電効率は徐々に向上し、第5サイクル以降は、ほぼ10
0%で推移した。また、100サイクル後も容量は減少
せず、安定してサイクルすることができた。
【0092】図3に、放電容量のサイクル変化を示す。
また、負極活物質である炭素質材料と正極活物質である
LiCoO2の重量当たりに換算した放電容量は、7
6.9mAh/gであった。
【0093】
【比較例1】実施例2のDと同等のピッチコークスを用
い、熱処理温度だけを2500℃に変えて電極材料を調
整した。この材料を用いて、実施例1と同様の試験を行
なった。
【0094】表5に、用いたピッチコークスのX線広角
回折法による黒鉛化度のパラメーターの算出値、並び
に、熱膨張係数(CTE)を示す。
【0095】
【表5】
【0096】表6に示すように、初期充放電効率が6
9.2%と低く、リチウムロス量も186mAh/gと
大きかった。放電容量のサイクル劣化はなかったが、放
電容量が214mAh/gと小さかった。
【0097】実施例2のDと比較すると、放電容量の大
きさ、充放電効率、リチウムロスにおいて、電極性能が
劣ることが分った。
【0098】
【表6】
【0099】
【比較例2】出発原料を調整して、いわゆる流れ組織が
発達しやすく、易黒鉛化の高いピッチコークスを原料に
用いた。
【0100】原料ピッチコークスを粉砕後、熱処理温度
3200℃で黒鉛化処理し、5〜45μmに粒度を調整
した炭素質材料について、実施例1と同様の方法で、そ
の負極活物質としての特性を評価した。
【0101】表7に、X線広角回折法による黒鉛化度の
パラメーター、並びに、熱膨張係数(CTE)を示す。
【0102】
【表7】
【0103】表8に示すように、容量は318mAh/
gと大きいが、初期充放電効率が45.2%と極端に小
さく、従って、リチウムロスが非常に大きかった。
【0104】
【表8】
【0105】
【比較例3】比較例2に用いたピッチコークスを負極に
用いて、他は実施例3と同様にして簡易型コイン形状電
池を作成し、充放電試験を行った。
【0106】この際、負極容量が実施例3に等しくなる
ようにピッチコークスの重量を調製し、また負極と正極
の活物質量は、実施例3と同様、両極のリチウムロスを
換算して決定した。また、充放電の繰り返し試験は、実
施例3と同条件とした。
【0107】放電容量は、第1サイクルで12.1mA
hであった。また、第1サイクルの充放電効率は、4
1.6%であった。
【0108】負極活物質である炭素質材料と正極活物質
であるLiCoO2の重量当たりに換算した初期放電容
量は、2.6mAh/gであった。
【0109】実施例3の場合の76.9mAh/gと比
べて、比較例3の電池は、重量当たりの容量が大きく低
下していることが分かる。
【0110】比較例3では、負極容量は実施例3と同じ
だが、その初期充放電効率が低いために必要な正極材料
も多量になり、そのために電池の重量当たりの容量が大
きく低下したものである。
【0111】また、放電容量は、明らかにサイクルに伴
い低下が認められ、約50サイクルで容量が半減した。
【0112】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のピッチコークスを負極活物質に用いたリチウム二次電
池は、負極の容量の大きいこと、初期充放電効率が高
く、リチウムロスが小さいことから、電池としての容量
が大きく、且つ、安定してサイクルすることが可能とな
り、その工業的価値は大である。
【0113】なお、説明はコイン型構造の二次電池につ
いて進めたが、本発明の技術思想はこの構造のものに限
定されるものではなく、例えば、円筒型、扁平型、角型
等の形状のリチウム二次電池に適用することも可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1におけるピッチコークスの放電容量と
サイクルの関係を示す図である。
【図2】実施例2におけるピッチコークスの放電容量と
サイクルの関係を示す図である。
【図3】実施例3における電池の放電容量とサイクルの
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 向井 幸一郎 川崎市中原区井田1618番地 新日本製鐵株 式会社先端技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質負極と正極と非水系電解液とから
    なるリチウム二次電池において、負極を構成する炭素質
    活物質が、ピッチコークスを焼成してなる炭素粉末であ
    って、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d
    002)、積層方向の結晶子の大きさ(Lc)、層方向の
    結晶子の大きさ(La)が、d002≦0.340nm、
    Lc≧20nm、La≧20nmを満たし、且つ、熱膨
    張係数(CTE)が、CTE≧3.0×10-6-1を満
    たすことを特徴とするリチウム二次電池。
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