JP6096966B2 - 液体現像剤 - Google Patents
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Description
そこで、本発明者らがその原因を検討した所、絶縁性液体中に含まれる低分子量成分が揮発し、その分解物や酸化物等によりチャージャー汚染が発生しており、その結果、電気的な短絡により印刷装置が停止することを解明するに至った。
〔1〕 ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、液体現像剤、
〔2〕 40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である絶縁性液体の、液体現像剤の媒体としての使用、並びに
〔3〕 ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、
液体現像剤の製造方法
に関する。
本発明において、チャージャー汚染とは、感光体の表面を帯電させるために感光体ローラーの近傍に設けられたチャージャーのワイヤー表面上で、絶縁性液体中に微量に含まれる低分子量成分の分解や酸化により生成した有機物が堆積することをいう。チャージャー汚染が生じた結果、電気的な短絡や印刷装置の運転停止(又は正常に運転しない)のようなエラーが発生する。
しかしながら、本発明では、揮発性の極めて低い絶縁性液体を使用しているため、チャージャー汚染を防止することができる。
なお、このチャージャー汚染の有無は、ワイヤー表面の目視観察や電子顕微鏡写真により視覚で認識するか、または、実施例で説明するように、特定の環境条件下で運転した場合における、感光体ローラー上の表面電位の変化から判断することができる。即ち、表面電位が大きく変化するということは、チャージャーのワイヤー表面上に、前記のような有機物が堆積したものと推測することができる。なお、目視観察によるチャージャー汚染の有無は、アセトンを含浸させたウェスでワイヤー表面を拭き、ウェスへの有機物の付着の有無で判断することができる。
本発明で用いられる樹脂はトナー粒子の結着樹脂である。トナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径にできる観点、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルを含有する。ポリエステルの含有量は、樹脂中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましく、100質量%、即ち、ポリエステルのみを用いることがさらに好ましい。ただし、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂を含有してもよい。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2以上20以下のジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
トナー粒子を得る方法としては、樹脂や顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、又は水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
トナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて液体現像剤が得られる。液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、湿式粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
本発明の液体現像剤における絶縁性液体は、極めて低揮発性の絶縁性液体である。絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明において、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。また、絶縁性液体は、誘電率が3.5以下であることが好ましい。
ナフテン系炭化水素(naphthene hydrocarbon)は、1分子中に少なくとも1個の飽和環(ナフテン環)を含む炭化水素のことであり、鎖式飽和炭化水素(パラフィン)と比較して極性が高く、ポリエステルとの親和性が高い。そのため、ナフテン系炭化水素を含有することにより、定着時により低い温度でもトナー粒子を可塑化又は膨潤しやすくするため、低温定着性が向上するものと考えられる。特にナフテン系炭化水素を含有し揮発性が低い絶縁性液体を使用することで、過度にトナー粒子の可塑化が進行せず分散安定性が保たれていると考えられる。さらに、本発明の湿式粉砕工程においては、トナー粒子が適度に可塑化されるためトナーの粉砕性が向上し、小粒径の液体現像剤が得られやすいと考えられる。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナーの粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、分散剤を含有する。分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いるものである。本発明の液体現像剤は、樹脂、特にポリエステルへの吸着性を向上させる観点から、塩基性吸着基を有する塩基性分散剤を含有することが好ましい。塩基性吸着基としては、トナーの正帯電性の観点から、アミノ基(-NH2、-NHR、-NHRR’)、イミノ基(=NH)、アミド基(-C(=O)-NRR’)、イミド基(-N(COR)2)、ニトロ基(-NO2)、シアノ基(-CN)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(=N2)、及びアジ基(-N3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の窒素含有基が好ましい。ここで、R、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。分散剤のトナー粒子への吸着性の観点からは、アミノ基又はイミノ基が好ましく、入手性の観点からは、イミノ基がより好ましい。塩基性分散剤は、複数の塩基性吸着基を有していることが好ましく、イミノ基を有する塩基性分散剤としては、ポリイミンとカルボン酸の縮合物が好ましい。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む方法により製造することが好ましい。
<3> 2価以上のアルコールが、炭素数2以上20以下、好ましくは炭素数2以上15以下の脂肪族ジオール、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、及び炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数3以上10以下の3価以上のアルコールから選ばれる1種以上である、前記<2>記載の液体現像剤。
<4> 2価以上のカルボン酸系化合物が、炭素数3以上30以下、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、炭素数4以上20以下、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数9以上10以下の3価以上のカルボン酸、それらの無水物、及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルから選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)又はそれらの酸無水物を含有する、前記<2>又は<3>記載の液体現像剤。
<5> カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)が0.70以上、好ましくは0.75以上であり、1.10以下、好ましくは1.05以下である、前記<2>〜<4>いずれか記載の液体現像剤。
<6> ポリエステルの軟化点が、160℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下であり、70℃以上、好ましくは75℃以上である、前記<1>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> ポリエステルのガラス転移温度が、80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、40℃以上、好ましくは45℃以上である、前記<1>〜<6>いずれか記載の液体現像剤。
<8> ポリエステルの酸価が、110mgKOH/g以下、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下であり、3mgKOH/g以上、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上である、前記<1>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> 顔料が、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、及びジスアゾエローから選ばれる1種以上である、前記<1>〜<8>いずれか記載の液体現像剤。
<10> 絶縁性液体の導電率が、1.0×10-11S/m以下、好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、1.0×10-13S/m以上である、前記<1>〜<9>いずれか記載の液体現像剤。
<11> 絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が、0.25質量%以下、好ましくは0.24質量%以下、より好ましくは0.23質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である、前記<1>〜<10>いずれか記載の液体現像剤。
<12> 絶縁性液体の初留点と乾点との差が、30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは18℃以下、さらに好ましくは16℃以下であり、0℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上である、前記<1>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> 絶縁性液体の初留点が、250℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは270℃以上、さらに好ましくは280℃以上であり、320℃以下、好ましくは310℃以下、より好ましくは305℃以下、さらに好ましくは300℃以下である、前記<1>〜<12>いずれか記載の液体現像剤。
<14> 絶縁性液体の乾点が、250℃以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上、さらに好ましくは300℃以上であり、350℃以下、好ましくは340℃以下、より好ましくは330℃以下、さらに好ましくは320℃以下、さらに好ましくは315℃以下である、前記<1>〜<13>いずれか記載の液体現像剤。
<15> 絶縁性液体が、ナフテン系炭化水素を含有する、前記<1>〜<14>いずれか記載の液体現像剤。
<16> 絶縁性液体中のナフテン系炭化水素の含有量が、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である、前記<15>記載の液体現像剤。
<17> 絶縁性液体の25℃における粘度が、1.0mPa・s以上、好ましくは1.2mPa・s以上、より好ましくは1.3mPa・s以上であり、30mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下、より好ましくは5mPa・s以下である、前記<1>〜<16>いずれか記載の液体現像剤。
<18> 分散剤が、塩基性吸着基、好ましくはアミノ基又はイミノ基、より好ましくはイミノ基を有する塩基性分散剤を有する塩基性分散剤を含有する、前記<1>〜<17>いずれか記載の液体現像剤。
<19> 塩基性分散剤が、ポリイミンを有する化合物、好ましくはポリイミンとカルボン酸の縮合物である、前記<18>記載の液体現像剤。
<20> ポリイミンが、ポリエチレンイミンであり、エチレンイミンの付加モル数が、好ましくは10以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下である、前記<19>記載の液体現像剤。
<21> カルボン酸が、炭素数が10以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、30以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸である、前記<19>又は<20>記載の液体現像剤。
<22> カルボン酸が、炭素数が10以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、30以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下であるヒドロキシ脂肪族カルボン酸、又はその縮合体、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸又はその縮合体である、前記<19>〜<21>いずれか記載の液体現像剤。
<23> 液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)が、5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下であり、0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上である、前記<1>〜<22>いずれか記載の液体現像剤。
<24> 液体現像剤の25℃における粘度が、50mPa・s以下、好ましくは40mPa・s以下、より好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下であり、3mPa・s以上、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上である、前記<1>〜<23>いずれか記載の液体現像剤。
<25> 40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である絶縁性液体の、液体現像剤の媒体としての使用。
<26> 絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が、0.25質量%以下、好ましくは0.24質量%以下、より好ましくは0.23質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である、前記<25>記載の絶縁性液体の使用。
<27> ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、
液体現像剤の製造方法。
<28> 工程1において、樹脂及び顔料を含有するトナー原料を、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、及びボールミルから選ばれる1種以上の混合機で混合した後、混練機に供給して溶融混練する、前記<27>記載の液体現像剤の製造方法。
<29> 工程1における溶融混練を、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、及び連続式オープンロール型混練機等から選ばれる1種以上の混練機を用いて行う、前記<27>又は<28>記載の液体現像剤の製造方法。
<30> 工程1において、溶融混練物の粉砕を、アトマイザー、ロートプレックス、ハンマーミル、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、及び機械式ミルから選ばれる1種以上の粉砕機を用いて行う、前記<27>〜<29>いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
<31> 工程3における湿式粉砕を、高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、及びエクストルーダから選ばれる1種以上の粉砕機又は混練機を用いて行う、前記<27>〜<30>いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を液体現像剤に浸し、20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
絶縁性液体を4.0〜8.0mg精秤し、SII nanotechnology社製の熱分析装置EXTRA TG/DTA 7200を用い、窒素気流(200mL/min)下、40℃で30分間保持したときの揮発率(質量%)を測定した。揮発率(%)は小さい方が揮発しにくいことを示す。
ASTM D86に規定される方法により測定する。
JIS K2536-2に規定される方法により測定する。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として100mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-2(Mw 1.81×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-40(Mw 4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」((株)コクサン製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、軟化点が87℃に達した時点で反応を終了し、ポリエステル(樹脂A)を得た。樹脂Aの物性を表1に示す。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、235℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル(樹脂B)を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、235℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル(樹脂C)を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示す無水トリメリット酸、フマル酸、及び重合禁止剤以外の原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で8時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸、フマル酸、及び重合禁止剤を投入し、1時間常圧で反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、表1に示す物性のポリエステル(樹脂D、E)を得た。
樹脂A 85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
樹脂Aの代わりに表3に示す樹脂 85質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして表4、5に示す物性を有する液体現像液を得た。
分散剤として、ソルスパース13940の代わりにソルスパース11200を使用した以外は、実施例4と同様にして表5に示す物性を有する液体現像液を得た。
「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
その後、定着ロール温度を160℃まで10℃ずつ上昇させながら、上記のような定着処理を行い、各温度毎に定着画像を得た。
実施例5〜8の液体現像剤については、試験例1の定着試験において、定着率が90%以上で、かつホットオフセットが発生しない上限の温度を最高定着温度として、耐ホットオフセット性を評価した。その結果を表5に示す。数値が大きいほど耐ホットオフセット性が高いことを示している。
市販の液体現像用プリンタを用い、23℃/50%RHの環境下で、感光体表面電位を480Vに設定した。絶縁性液体のみで3時間運転し、感光体の表面電位の変化を測定し、以下の評価基準に従って、チャージャー汚染抑制を評価した。結果を表4、5に示す。なお、表面電位が±15V以上変化した場合は、その時間を併記した。
A:チャージャー汚染がない(感光体の表面電位の変化が±10V未満)
B:チャージャー汚染がわずかに認められる(感光体の表面電位の変化が±15V未満)
C:チャージャー汚染が明らかに認められる(感光体の表面電位の変化が±15V以上)
4時間湿式粉砕した後の液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)を測定し、以下の評価基準に従って粉砕性を評価した。その結果を表4、5に示す。数値が小さいほど粉砕性に優れることを示している。
A:体積中位粒径が2.0μm未満
B:体積中位粒径が2.0μm以上2.5μm未満
C:体積中位粒径が2.5μm以上3.0μm未満
D:体積中位粒径が3.0μm以上
液体現像剤10gを20mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.5」((株)マルエム製)に入れた後に、40℃の恒温槽にて12時間保存した。保存前後のトナー粒子の体積中位粒径(D50)を測定し、その差分〔(保存後のD50)−(保存前のD50)〕の値から保存安定性を評価した。その結果を表4、5に示す。数値が0に近いほど保存安定性に優れることを示している。
これに対し、比較例1〜7の液体現像剤は、揮発率が高く、チャージャー汚染が発生している。
さらに、実施例5〜7と実施例8との対比から、3価のカルボン酸系化合物を用いた樹脂を含有する液体現像剤は、耐ホットオフセット性が向上することが分かる。
Claims (11)
- ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、液体現像剤。
- 絶縁性液体の初留点と乾点の差が、30℃以下である、請求項1記載の液体現像剤。
- 絶縁性液体が、ナフテン系炭化水素を含有する、請求項1又は2記載の液体現像剤。
- ポリエステルが、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合することにより得られるものである、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤。
- 塩基性分散剤が、ポリイミンを有する化合物である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤。
- ポリイミンを有する化合物が、ポリイミンとカルボン酸の縮合物である、請求項5記載の液体現像剤。
- カルボン酸が、炭素数が10以上30以下である飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸である、請求項6記載の液体現像剤。
- ポリイミンが、エチレンイミンの付加モル数が10以上1,000以下であるポリエチレンイミンである、請求項5〜7いずれか記載の液体現像剤。
- 液体現像剤の25℃における粘度が、3mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1〜8いずれか記載の液体現像剤。
- ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤における、絶縁性液体の媒体としての使用であって、前記絶縁性液体が40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、使用。
- ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、
液体現像剤の製造方法。
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