JP6096966B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤及びその製造方法に関する。
電子写真用現像剤としては、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー成分を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー成分が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤が知られている。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているので、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるので、商業印刷用途に適している。しかし、省エネルギー化の観点からトナーの低温定着性、及び長期保管の観点から保存安定性により優れる液体現像剤が求められている。
また、近年、環境意識の高まりから、液体現像剤の分散媒として揮発性の低い絶縁性液体が用いられている。
特許文献1には、良好に分散され、画像濃度が高く、安定して高解像、高色彩の画像が得られ、定着時の溶剤蒸気の発生を抑えた液体現像剤を提供することを目的として、高抵抗低誘電率の担体液中に、着色剤と樹脂とからなるトナー粒子を分散してなる静電写真用液体現像剤において、前記担体液が(a)初留点150℃以上のナフテン系溶媒及び(b)炭素数3以上のアルコールと炭素数5以上の脂肪酸のモノエステルの中から選ばれる少なくとも1つの有機媒体を含有することを特徴とする静電荷像用液体現像剤が開示されている。そして、有機媒体として使用されるナフテン系炭化水素としては、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル社製)等が開示されている。
特許文献2には、発色性、色再現性に優れ、印刷枚数や印刷面積が増加しても液体現像剤中のトナー粒子の分散状態や画像濃度が安定し、長期にわたって現像剤組成の変化のない画像濃度が安定した液体現像剤として、少なくとも、結着樹脂、着色剤、高分子分散剤、及びキャリア液からなる液体現像剤が開示されている。そして、好ましいキャリア液は、エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル社製)のようなナフテン系炭化水素であることが開示されている。
特開2002−251040号公報 特開2013−130791号公報
さらに、低揮発性の絶縁性液体を用いた液体現像剤においては、長時間の運転により印刷装置が停止するという新たな課題が見付かった。
そこで、本発明者らがその原因を検討した所、絶縁性液体中に含まれる低分子量成分が揮発し、その分解物や酸化物等によりチャージャー汚染が発生しており、その結果、電気的な短絡により印刷装置が停止することを解明するに至った。
即ち、本発明は、長時間の運転でも印刷装置に影響を与えない液体現像剤及びその製造方法に関する。
本発明は、
〔1〕 ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、液体現像剤、
〔2〕 40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である絶縁性液体の、液体現像剤の媒体としての使用、並びに
〔3〕 ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、
液体現像剤の製造方法
に関する。
本発明の液体現像剤は、長時間の運転でも印刷装置に影響を与えないという効果を奏する。
本発明の液体現像剤は、ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤であって、前記絶縁性液体が、極めて低揮発性であり、長時間の使用においてもチャージャー汚染を抑制できるので、印刷装置に何ら影響を与えない。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明において、チャージャー汚染とは、感光体の表面を帯電させるために感光体ローラーの近傍に設けられたチャージャーのワイヤー表面上で、絶縁性液体中に微量に含まれる低分子量成分の分解や酸化により生成した有機物が堆積することをいう。チャージャー汚染が生じた結果、電気的な短絡や印刷装置の運転停止(又は正常に運転しない)のようなエラーが発生する。
しかしながら、本発明では、揮発性の極めて低い絶縁性液体を使用しているため、チャージャー汚染を防止することができる。
なお、このチャージャー汚染の有無は、ワイヤー表面の目視観察や電子顕微鏡写真により視覚で認識するか、または、実施例で説明するように、特定の環境条件下で運転した場合における、感光体ローラー上の表面電位の変化から判断することができる。即ち、表面電位が大きく変化するということは、チャージャーのワイヤー表面上に、前記のような有機物が堆積したものと推測することができる。なお、目視観察によるチャージャー汚染の有無は、アセトンを含浸させたウェスでワイヤー表面を拭き、ウェスへの有機物の付着の有無で判断することができる。
[樹脂]
本発明で用いられる樹脂はトナー粒子の結着樹脂である。トナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径にできる観点、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルを含有する。ポリエステルの含有量は、樹脂中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましく、100質量%、即ち、ポリエステルのみを用いることがさらに好ましい。ただし、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂を含有してもよい。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
本発明において、ポリエステルは、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合することにより得られるものが好ましい。
2価のアルコールとしては、例えば、炭素数2以上20以下、好ましくは炭素数2以上15以下のジオールや、式(I):
Figure 0006096966
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は好ましくは1以上16以下、より好ましくは1以上8以下、さらに好ましくは1.5以上4以下である。)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2以上20以下のジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
アルコール成分としては、トナーの粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、1,2-プロパンジオール及び式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、特に保存安定性の観点から、1,2-プロパンジオールがより好ましい。また、粉砕性の観点からは、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物がより好ましい。1,2-プロパンジオール又は式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。1,2-プロパンジオール及び式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が併用されている場合は、両者の総含有量が、上記範囲内であることが好ましい。
3価以上のアルコールとしては、炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数3以上10以下の3価以上のアルコールが挙げられる。具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
2価のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数3以上30以下、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、それらの無水物、又は炭素数1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数4以上20以下、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数9以上10以下の3価以上のカルボン酸、それらの無水物、又は炭素数1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、トナーの低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、テレフタル酸又はフマル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。テレフタル酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
また、カルボン酸成分は、トナーの耐ホットオフセット性を向上させる観点、及びトナー粒子の粉砕性を向上させる観点から、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)又はその無水物を含むことが好ましく、無水トリメリット酸を含むことがより好ましい。無水トリメリット酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは0.1モル%以上、より好ましくは1モル%以上、さらに好ましくは2モル%以上であり、そして、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは13モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステルの分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルの軟化点を調整する観点から、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.75以上であり、好ましくは1.10以下、より好ましくは1.05以下である。
ポリエステルは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、必要に応じてエステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、130℃以上250℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。また、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上である。
ポリエステルのガラス転移温度は、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。また、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上である。
ポリエステルの酸価は、液体現像剤の粘度を低減する観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは110mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である。また、同様の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上である。ポリエステルの酸価は、カルボン酸成分とアルコール成分の当量比を変化させる、樹脂製造時の反応時間を変化させる、又は3価以上のカルボン酸系化合物の含有量を変化させる、等の方法で調整することができる。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルが挙げられる。
[顔料]
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。本発明において、トナー粒子は、黒用トナー、カラー用トナーのいずれであってもよい。
顔料の含有量は、トナーの粉砕性を向上させ小粒径にできる観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。また、画像濃度を向上させる観点から、樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。
本発明では、トナー原料として、さらに、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用してもよい。
[トナー粒子の製造方法]
トナー粒子を得る方法としては、樹脂や顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、又は水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、樹脂及び顔料を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、樹脂中での顔料分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、顔料分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、顔料分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明の製造方法においては、顔料分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
オープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。
トナー原料の混合性を向上させる観点から、ロールの設定温度は、樹脂の軟化点より10℃高い温度以下であることが好ましい。
また、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側のロールの設定温度は下流側のものよりも高いことが好ましい。
ロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましい。前記の2本のロールを備えたオープンロール型混練機においては、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、温度の高い加熱ロールが高回転側ロールであり、温度の低い冷却ロールが低回転側ロールであることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは5m/min以上であり、好ましくは100m/min以下、より好ましくは75m/min以下である。低回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは4m/min以上であり、好ましくは100m/min以下、より好ましくは60m/min以下、さらに好ましくは50m/min以下である。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、好ましくは1/10〜9/10、より好ましくは3/10〜8/10である。
また、各ロールの構造、大きさ、材料等について特に限定はない。ロール表面は、混練に用いられる溝を有しており、この形状は直線状、螺旋状、波型、凸凹型等が挙げられる。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
[液体現像剤の製造方法]
トナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて液体現像剤が得られる。液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、湿式粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
[絶縁性液体]
本発明の液体現像剤における絶縁性液体は、極めて低揮発性の絶縁性液体である。絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明において、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。また、絶縁性液体は、誘電率が3.5以下であることが好ましい。
絶縁性液体の揮発率は、チャージャー汚染防止の観点から、0.26質量%未満であり、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.24質量%以下、さらに好ましくは0.23質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。なお、ここでいう揮発率とは、40℃で30分保持後に、保持前の質量に対して揮発した質量の割合である。絶縁性液体を2種以上組み合わせて用いる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の揮発率が上記範囲内であることが好ましい。
本発明の液体現像剤における絶縁性液体は、好ましくは、初留点と乾点との差が小さい絶縁性液体である。絶縁性液体の初留点と乾点との差は、低温定着性の観点から、好ましくは30℃以下、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下、さらに好ましくは18℃以下、さらに好ましくは16℃以下であり、入手性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは3℃以上、さらに好ましくは5℃以上である。
絶縁性液体の初留点は、トナーの低温定着性をより向上させる観点、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点、湿式粉砕時にトナーの粉砕性をより向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点及び分散媒蒸気の発生を抑制する観点から、好ましくは250℃以上、より好ましくは260℃以上、さらに好ましくは270℃以上、さらに好ましくは280℃以上であり、そして、好ましくは320℃以下、より好ましくは310℃以下、さらに好ましくは305℃以下、さらに好ましくは300℃以下である。
絶縁性液体の乾点は、液体現像剤の低温定着性をより向上させる観点、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点、湿式粉砕時にトナーの粉砕性をより向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点及び分散媒蒸気の発生を抑制する観点から、好ましくは250℃以上、より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは290℃以上、さらに好ましくは300℃以上であり、そして、好ましくは350℃以下、より好ましくは340℃以下、さらに好ましくは330℃以下、さらに好ましくは320℃以下、さらに好ましくは315℃以下である。
本発明の液体現像剤における絶縁性液体は、好ましくは、ナフテン系炭化水素を含有する絶縁性液体である。
ナフテン系炭化水素(naphthene hydrocarbon)は、1分子中に少なくとも1個の飽和環(ナフテン環)を含む炭化水素のことであり、鎖式飽和炭化水素(パラフィン)と比較して極性が高く、ポリエステルとの親和性が高い。そのため、ナフテン系炭化水素を含有することにより、定着時により低い温度でもトナー粒子を可塑化又は膨潤しやすくするため、低温定着性が向上するものと考えられる。特にナフテン系炭化水素を含有し揮発性が低い絶縁性液体を使用することで、過度にトナー粒子の可塑化が進行せず分散安定性が保たれていると考えられる。さらに、本発明の湿式粉砕工程においては、トナー粒子が適度に可塑化されるためトナーの粉砕性が向上し、小粒径の液体現像剤が得られやすいと考えられる。
ナフテン系炭化水素の具体例としては、シクロペンタン(C5H10,5員環1個)、シクロヘキサン(C6H12,6員環1個)等のナフテンが知られているが、石油製品中には、ナフテン環が複数個結合したものや、さらに種々のパラフィン側鎖を伴っているもの等があり、フィヒテライト(C19H34,6員環3個縮合)、オレアナン(C30H52,6員環5個縮合)等もナフテン系炭化水素に含まれる。
絶縁性液体中のナフテン系炭化水素の含有量は、トナーの低温定着性を向上させる観点、及び分散媒蒸気の発生を抑制する観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上である。また、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、入手性の観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満、初留点と乾点の差が30℃以下であり、ナフテン系炭化水素を20質量%以上含有する絶縁性液体の市販品としては、「AFソルベント5号」、「AFソルベント6号」(以上、いずれもJX日鉱日石エネルギー(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ナフテン系炭化水素以外の絶縁性液体の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。これらの中で、液体現像剤の粘度を低減する観点、臭気、無害性及びコストの観点から、流動パラフィン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素が好ましい。
脂肪族炭化水素の市販品としては、アイソパーM(エクソンモービル社製)、シェルゾールTM(シェルケミカルズジャパン(株)製)、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上、いずれも出光興産(株)製)、アイソゾール400(JX日鉱日石エネルギー(株)製)等が挙げられる。
絶縁性液体の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性をより向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性をより向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.2mPa・s以上、さらに好ましくは1.3mPa・s以上である。また、低温定着性をより向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせて用いる場合には、混合物としての粘度が上記範囲内であることが好ましい。
トナー粒子の配合量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
また、本発明は、40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である絶縁性液体の液体現像剤の媒体としての使用に関するものである。揮発率の好ましい範囲は、前記の通りである。絶縁性液体の揮発率は、チャージャー汚染防止の観点から、0.26質量%未満であり、好ましくは0.25質量%以下、より好ましくは0.24質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
[分散剤]
本発明の液体現像剤は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナーの粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、分散剤を含有する。分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いるものである。本発明の液体現像剤は、樹脂、特にポリエステルへの吸着性を向上させる観点から、塩基性吸着基を有する塩基性分散剤を含有することが好ましい。塩基性吸着基としては、トナーの正帯電性の観点から、アミノ基(-NH2、-NHR、-NHRR’)、イミノ基(=NH)、アミド基(-C(=O)-NRR’)、イミド基(-N(COR)2)、ニトロ基(-NO2)、シアノ基(-CN)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(=N2)、及びアジ基(-N3)からなる群より選ばれた少なくとも1種の窒素含有基が好ましい。ここで、R、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。分散剤のトナー粒子への吸着性の観点からは、アミノ基又はイミノ基が好ましく、入手性の観点からは、イミノ基がより好ましい。塩基性分散剤は、複数の塩基性吸着基を有していることが好ましく、イミノ基を有する塩基性分散剤としては、ポリイミンとカルボン酸の縮合物が好ましい。
ポリイミンとしては、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性をより向上させる観点から、ポリアルキレンイミンが好ましい。具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン等が挙げられるが、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエチレンイミンがより好ましい。エチレンイミンの付加モル数は、好ましくは10以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下である。
一方、カルボン酸としては、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性をより向上させる観点から、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸が好ましく、直鎖の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸がより好ましい。具体的なカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の直鎖飽和脂肪族カルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖不飽和脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、カルボン酸は、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよい。トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ヒドロキシ基を置換基として有する、ヒドロキシカルボン酸が好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、メバロン酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸はその縮合体であってもよい。
上記観点から、カルボン酸としては、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、又はその縮合体が好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸又はその縮合体がより好ましい。
縮合物の具体例としては、ソルスパース11200、ソルスパース13940(以上、いずれも日本ルーブリゾール(株)製)等が挙げられる。
縮合物の重量平均分子量は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは4,000以上、さらに好ましくは8,000以上である。また、トナーの粉砕性の観点から、好ましくは50,000以下、より好ましくは40,000以下、さらに好ましくは30,000以下、さらに好ましくは20,000以下である。
分散剤の添加量は、トナー粒子の凝集を抑制し、液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上である。また、現像性及び定着性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
また、分散剤中の縮合物の含有比率は、トナー粒子の凝集を抑制し、液体現像剤の粘度を低減する観点、及び湿式粉砕時にトナーの粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
ポリイミンとカルボン酸の縮合物等のポリイミンを有する化合物以外の分散剤としては、アルキルメタクリレート/アミノ基含有メタクリレートの共重合体、α-オレフィン/ビニルピロリドンの共重合体(アンタロンV-216)等が挙げられる。
トナー粒子、絶縁性液体、及び分散剤の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置により混合することによって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上である。また、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
[湿式粉砕]
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
以上のように、本発明の液体現像剤は、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む方法により製造することが好ましい。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。また、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下である。また、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。
液体現像剤の25℃における粘度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下である。また、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上である。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の液体現像剤及びその製造方法を開示する。
<1> ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、液体現像剤。
<2> ポリエステルが、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合することにより得られるものである、前記<1>記載の液体現像剤。
<3> 2価以上のアルコールが、炭素数2以上20以下、好ましくは炭素数2以上15以下の脂肪族ジオール、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、及び炭素数3以上20以下、好ましくは炭素数3以上10以下の3価以上のアルコールから選ばれる1種以上である、前記<2>記載の液体現像剤。
<4> 2価以上のカルボン酸系化合物が、炭素数3以上30以下、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、炭素数4以上20以下、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数9以上10以下の3価以上のカルボン酸、それらの無水物、及び炭素数1以上3以下のアルキルエステルから選ばれる1種以上であり、さらに好ましくは1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)又はそれらの酸無水物を含有する、前記<2>又は<3>記載の液体現像剤。
<5> カルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)が0.70以上、好ましくは0.75以上であり、1.10以下、好ましくは1.05以下である、前記<2>〜<4>いずれか記載の液体現像剤。
<6> ポリエステルの軟化点が、160℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下であり、70℃以上、好ましくは75℃以上である、前記<1>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> ポリエステルのガラス転移温度が、80℃以下、好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下であり、40℃以上、好ましくは45℃以上である、前記<1>〜<6>いずれか記載の液体現像剤。
<8> ポリエステルの酸価が、110mgKOH/g以下、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下であり、3mgKOH/g以上、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは8mgKOH/g以上である、前記<1>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> 顔料が、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、及びジスアゾエローから選ばれる1種以上である、前記<1>〜<8>いずれか記載の液体現像剤。
<10> 絶縁性液体の導電率が、1.0×10-11S/m以下、好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、1.0×10-13S/m以上である、前記<1>〜<9>いずれか記載の液体現像剤。
<11> 絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が、0.25質量%以下、好ましくは0.24質量%以下、より好ましくは0.23質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である、前記<1>〜<10>いずれか記載の液体現像剤。
<12> 絶縁性液体の初留点と乾点との差が、30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは18℃以下、さらに好ましくは16℃以下であり、0℃以上、好ましくは3℃以上、より好ましくは5℃以上である、前記<1>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> 絶縁性液体の初留点が、250℃以上、好ましくは260℃以上、より好ましくは270℃以上、さらに好ましくは280℃以上であり、320℃以下、好ましくは310℃以下、より好ましくは305℃以下、さらに好ましくは300℃以下である、前記<1>〜<12>いずれか記載の液体現像剤。
<14> 絶縁性液体の乾点が、250℃以上、好ましくは280℃以上、より好ましくは290℃以上、さらに好ましくは300℃以上であり、350℃以下、好ましくは340℃以下、より好ましくは330℃以下、さらに好ましくは320℃以下、さらに好ましくは315℃以下である、前記<1>〜<13>いずれか記載の液体現像剤。
<15> 絶縁性液体が、ナフテン系炭化水素を含有する、前記<1>〜<14>いずれか記載の液体現像剤。
<16> 絶縁性液体中のナフテン系炭化水素の含有量が、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは35質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは45質量%以上であり、80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である、前記<15>記載の液体現像剤。
<17> 絶縁性液体の25℃における粘度が、1.0mPa・s以上、好ましくは1.2mPa・s以上、より好ましくは1.3mPa・s以上であり、30mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下、より好ましくは5mPa・s以下である、前記<1>〜<16>いずれか記載の液体現像剤。
<18> 分散剤が、塩基性吸着基、好ましくはアミノ基又はイミノ基、より好ましくはイミノ基を有する塩基性分散剤を有する塩基性分散剤を含有する、前記<1>〜<17>いずれか記載の液体現像剤。
<19> 塩基性分散剤が、ポリイミンを有する化合物、好ましくはポリイミンとカルボン酸の縮合物である、前記<18>記載の液体現像剤。
<20> ポリイミンが、ポリエチレンイミンであり、エチレンイミンの付加モル数が、好ましくは10以上、より好ましくは100以上であり、好ましくは1,000以下、より好ましくは500以下である、前記<19>記載の液体現像剤。
<21> カルボン酸が、炭素数が10以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、30以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下である飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸、好ましくは直鎖の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸である、前記<19>又は<20>記載の液体現像剤。
<22> カルボン酸が、炭素数が10以上、好ましくは12以上、より好ましくは16以上であり、30以下、好ましくは24以下、より好ましくは22以下であるヒドロキシ脂肪族カルボン酸、又はその縮合体、好ましくは12-ヒドロキシステアリン酸又はその縮合体である、前記<19>〜<21>いずれか記載の液体現像剤。
<23> 液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)が、5μm以下、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下であり、0.5μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上である、前記<1>〜<22>いずれか記載の液体現像剤。
<24> 液体現像剤の25℃における粘度が、50mPa・s以下、好ましくは40mPa・s以下、より好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下であり、3mPa・s以上、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上である、前記<1>〜<23>いずれか記載の液体現像剤。
<25> 40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である絶縁性液体の、液体現像剤の媒体としての使用。
<26> 絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が、0.25質量%以下、好ましくは0.24質量%以下、より好ましくは0.23質量%以下、さらに好ましくは0.20質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下、さらに好ましくは0.10質量%以下、さらに好ましくは0質量%である、前記<25>記載の絶縁性液体の使用。
<27> ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満である、
液体現像剤の製造方法。
<28> 工程1において、樹脂及び顔料を含有するトナー原料を、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、及びボールミルから選ばれる1種以上の混合機で混合した後、混練機に供給して溶融混練する、前記<27>記載の液体現像剤の製造方法。
<29> 工程1における溶融混練を、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、及び連続式オープンロール型混練機等から選ばれる1種以上の混練機を用いて行う、前記<27>又は<28>記載の液体現像剤の製造方法。
<30> 工程1において、溶融混練物の粉砕を、アトマイザー、ロートプレックス、ハンマーミル、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、及び機械式ミルから選ばれる1種以上の粉砕機を用いて行う、前記<27>〜<29>いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
<31> 工程3における湿式粉砕を、高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、及びエクストルーダから選ばれる1種以上の粉砕機又は混練機を用いて行う、前記<27>〜<30>いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を液体現像剤に浸し、20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
〔絶縁性液体の40℃、30分での揮発率〕
絶縁性液体を4.0〜8.0mg精秤し、SII nanotechnology社製の熱分析装置EXTRA TG/DTA 7200を用い、窒素気流(200mL/min)下、40℃で30分間保持したときの揮発率(質量%)を測定した。揮発率(%)は小さい方が揮発しにくいことを示す。
〔絶縁性液体の初留点及び乾点〕
ASTM D86に規定される方法により測定する。
〔絶縁性液体中のナフテン系炭化水素の含有量〕
JIS K2536-2に規定される方法により測定する。
〔ポリイミンとカルボン酸の縮合物の重量平均分子量(Mw)〕
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、重量平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として100mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-2(Mw 1.81×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-40(Mw 4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」((株)コクサン製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
Figure 0006096966
〔液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、軟化点が87℃に達した時点で反応を終了し、ポリエステル(樹脂A)を得た。樹脂Aの物性を表1に示す。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、235℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル(樹脂B)を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例3
表1に示す原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、235℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル(樹脂C)を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例4
表1に示す無水トリメリット酸、フマル酸、及び重合禁止剤以外の原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気下、235℃で8時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応を行った。その後、210℃に冷却し、無水トリメリット酸、フマル酸、及び重合禁止剤を投入し、1時間常圧で反応させた後、8.3kPaにて所望の軟化点に達するまで反応を行い、表1に示す物性のポリエステル(樹脂D、E)を得た。
Figure 0006096966
実施例及び比較例で用いた絶縁性液体の詳細を表2、3に示す。
Figure 0006096966
実施例1〜3及び比較例1〜7
樹脂A 85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
表3に示す配合でトナー粒子、絶縁性液体、及び分散剤を2L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて4時間湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去し、絶縁性液体で固形分濃度を25質量%に希釈して、表4に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例4〜7
樹脂Aの代わりに表3に示す樹脂 85質量部を使用した以外は、実施例1と同様にして表4、5に示す物性を有する液体現像液を得た。
実施例8
分散剤として、ソルスパース13940の代わりにソルスパース11200を使用した以外は、実施例4と同様にして表5に示す物性を有する液体現像液を得た。
試験例1〔低温定着性〕
「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が80℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。
その後、定着ロール温度を160℃まで10℃ずつ上昇させながら、上記のような定着処理を行い、各温度毎に定着画像を得た。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(3M社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度は、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印字部分を各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。定着率(%)は、剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から算出し、定着率が90%以上となる温度を最低定着温度とし、これを低温定着性とした。その結果を表4、5に示す。数値が小さいほど低温定着性に優れることを示している。
試験例2〔耐ホットオフセット性〕
実施例5〜8の液体現像剤については、試験例1の定着試験において、定着率が90%以上で、かつホットオフセットが発生しない上限の温度を最高定着温度として、耐ホットオフセット性を評価した。その結果を表5に示す。数値が大きいほど耐ホットオフセット性が高いことを示している。
試験例3〔チャージャー汚染抑制〕
市販の液体現像用プリンタを用い、23℃/50%RHの環境下で、感光体表面電位を480Vに設定した。絶縁性液体のみで3時間運転し、感光体の表面電位の変化を測定し、以下の評価基準に従って、チャージャー汚染抑制を評価した。結果を表4、5に示す。なお、表面電位が±15V以上変化した場合は、その時間を併記した。
〔評価基準〕
A:チャージャー汚染がない(感光体の表面電位の変化が±10V未満)
B:チャージャー汚染がわずかに認められる(感光体の表面電位の変化が±15V未満)
C:チャージャー汚染が明らかに認められる(感光体の表面電位の変化が±15V以上)
試験例4〔粉砕性〕
4時間湿式粉砕した後の液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)を測定し、以下の評価基準に従って粉砕性を評価した。その結果を表4、5に示す。数値が小さいほど粉砕性に優れることを示している。
〔評価基準〕
A:体積中位粒径が2.0μm未満
B:体積中位粒径が2.0μm以上2.5μm未満
C:体積中位粒径が2.5μm以上3.0μm未満
D:体積中位粒径が3.0μm以上
試験例5〔保存安定性〕
液体現像剤10gを20mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.5」((株)マルエム製)に入れた後に、40℃の恒温槽にて12時間保存した。保存前後のトナー粒子の体積中位粒径(D50)を測定し、その差分〔(保存後のD50)−(保存前のD50)〕の値から保存安定性を評価した。その結果を表4、5に示す。数値が0に近いほど保存安定性に優れることを示している。
Figure 0006096966
Figure 0006096966
Figure 0006096966
以上の結果より、実施例1〜8の液体現像剤は、低温定着性、保存安定性、及び粉砕性が良好であり、さらにチャージャー汚染も抑制されていることが分かる。
これに対し、比較例1〜7の液体現像剤は、揮発率が高く、チャージャー汚染が発生している。
さらに、実施例5〜7と実施例8との対比から、3価のカルボン酸系化合物を用いた樹脂を含有する液体現像剤は、耐ホットオフセット性が向上することが分かる。
本発明の液体現像剤は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (11)

  1. ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、液体現像剤。
  2. 絶縁性液体の初留点と乾点の差が、30℃以下である、請求項1記載の液体現像剤。
  3. 絶縁性液体が、ナフテン系炭化水素を含有する、請求項1又は2記載の液体現像剤。
  4. ポリエステルが、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合することにより得られるものである、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤。
  5. 塩基性分散剤が、ポリイミンを有する化合物である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤。
  6. ポリイミンを有する化合物が、ポリイミンとカルボン酸の縮合物である、請求項記載の液体現像剤。
  7. カルボン酸が、炭素数が10以上30以下である飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸である、請求項記載の液体現像剤。
  8. ポリイミンが、エチレンイミンの付加モル数が10以上1,000以下であるポリエチレンイミンである、請求項5〜7いずれか記載の液体現像剤。
  9. 液体現像剤の25℃における粘度が、3mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  10. ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤における、絶縁性液体の媒体としての使用であって、前記絶縁性液体が40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、使用。
  11. ポリエステルを含む樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散した液体現像剤の製造方法であって、
    工程1:ポリエステルを含む樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
    工程2:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
    工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
    を含み、
    前記絶縁性液体の40℃で30分保持後の揮発率が0.26質量%未満であり、前記分散剤がイミノ基を有する塩基性分散剤を含有する、
    液体現像剤の製造方法。
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