JP2022083283A - 液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】小粒径、低粘度で、正帯電性に優れる液体現像剤に関すること。【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体を含む液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Pを含有し、液体現像剤が、さらに、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含有する、液体現像剤。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤に関する。
電子写真用現像剤には、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー粒子を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー粒子が絶縁性の担体液中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているので、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるので、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっており、トナー粒子が電気泳動により、速やか、かつ高効率で現像される必要があることから、液体現像剤の低粘度化や高帯電化が求められている。
特許文献1には、電気絶縁性分散媒中に、着色剤含有樹脂粒子を分散した湿式現像剤において、着色剤含有樹脂粒子がスチレンブタジエン共重合樹脂にSP値が7.5~9.0であるモノマーをグラフト重合したグラフト共重合樹脂および着色剤を溶解または分散した着色剤含有樹脂組成物をグラフト共重合樹脂に対して溶解性の低い電気絶縁性分散媒と混合して樹脂粒子を析出したものであることを特徴とする湿式現像剤が開示されている。
特許文献2には、エステル結合間が炭素数2以上5以下の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素鎖からなる単量体単位を全単量体単位に対して5モル%以上25モル%以下の範囲で含有するポリエステル樹脂と、着色剤と、を含有するトナー粒子と、絶縁性液体を含むキャリア液とを含む液体現像剤が開示されている。
特許文献3には、ポリエステル系樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記ポリエステル系樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含む、液体現像剤が開示されている。
液体現像剤には、液体現像システムの違いにより、正帯電性であることが求められるものと、負帯電性であることが求められるものがあり、それぞれの要求される帯電性に応じて高帯電化可能な液体現像剤が求められる。
本発明は、小粒径、低粘度で、正帯電性に優れる液体現像剤に関する。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体を含む液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Pを含有し、液体現像剤が、さらに、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含有する、液体現像剤に関する。
本発明の液体現像剤は、小粒径、低粘度で、高い正帯電性を有するものである。
本発明の液体現像剤は、結着樹脂がアルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Pを含有し、液体現像剤が、さらに、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む点に特徴を有するものである。詳細は不明なるも、以下のメカニズムにより本発明の効果が奏されるものと推察される。
炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aに含まれる分岐型の炭化水素鎖は、絶縁性液体中で拡がりやすく、酸変性物Aを用いて得られたポリエステル樹脂Pは自己分散型である。そのため、分散剤を含んでいなくても分散安定性に優れており、トナー粒子の小粒径化、液体現像剤の低粘度化が可能となった。
一方、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩は絶縁性液体に可溶であり、液体現像剤中に溶解させることでトナー粒子とイオンの授受を行い、トナー粒子に高い正帯電性を付与することができる。
さらに、定着後はアルカリ土類金属とポリエステル樹脂の末端カルボン酸が相互作用することにより疑似架橋が起こり、印刷物の擦過性が向上することが判明した。
一方、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩は絶縁性液体に可溶であり、液体現像剤中に溶解させることでトナー粒子とイオンの授受を行い、トナー粒子に高い正帯電性を付与することができる。
さらに、定着後はアルカリ土類金属とポリエステル樹脂の末端カルボン酸が相互作用することにより疑似架橋が起こり、印刷物の擦過性が向上することが判明した。
本発明の液体現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体を含む液体現像剤であって、さらに、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含む。
結着樹脂は、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Pを含有する。
アルコール成分は、耐擦過性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分に含まれる炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aにおいて、α-オレフィンの炭素数は、3以上であり、そして、18以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4である。
炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体としては、ポリプロピレン系重合体、ポリイソブテン系重合体、ポリ1-ブテン系重合体、ポリ1-ペンテン系重合体、ポリ1-ヘキセン系重合体、ポリ1-オクテン系重合体、ポリ4-メチルペンテン系重合体、ポリ1-ドデセン系重合体、ポリ1-ヘキサデセン系重合体、プロピレン-ヘキセン共重合体等が挙げられ、これらの中では、ポリイソブテン系重合体が好ましい。前記α-オレフィン重合体は、前記α-オレフィンの単独重合体であってもよく、前記α-オレフィンから選ばれる2種以上の共重合体であってもよく、前記α-オレフィンとその他のオレフィンとの共重合体であってもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
ポリイソブテン系重合体としては、ポリイソブテン、イソブテンとその他オレフィンとの共重合体等が挙げられる。その他のオレフィンは、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、2-エチルヘキセンが挙げられる。共重合体である場合、イソブテンの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%未満である。
一方、酸変性物Aとしては、反応性の観点から、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらの酸の無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸により変性された酸変性物が好ましく、無水マレイン酸で変性された酸変性物がより好ましい。また、酸変性物としては、前記α-オレフィン重合体に酸がランダムにグラフトされ変性されたランダムグラフト型の酸変性物や、前記α-オレフィン重合体の末端が酸により変性された末端変性型の酸変性物等が挙げられるが、本発明では、液体現像剤の低粘度化の観点から、末端変性型の酸変性物が好ましく、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の片末端が酸により変性された片末端変性型の酸変性物がより好ましい。
ランダムグラフト型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個以上の酸がグラフト化され変性されている。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸によるランダムグラフト型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。
ランダムグラフト変性型の酸変性物は、例えば、α-オレフィン重合体の分子内にラジカルを発生させ、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物と反応させることで得られる。
末端変性型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個(片末端)又は2個(両末端)の酸によって変性される。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸による片末端型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。また、α-オレフィンの重合体側の被連結部分も結合前後でスペクトル変化を起こすのでこれを測定することで規定できる。
片末端変性型の酸変性物は、例えば、片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体に、酸をEne反応させることで得られる。片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体は、公知の方法により得られるが、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒等を用いて製造することができる。
以上より、α-オレフィン重合体の酸変性物Aとしては、片末端が無水マレイン酸で変性されたポリイソブテン無水コハク酸が好ましい。
酸変性物Aは非晶質であることが好ましい。非晶質のα-オレフィン重合体の酸変性物は、カルボン酸基又は無水カルボン酸基を有する変性ポリプロピレン系重合体のような結晶性のα-オレフィン重合体の酸変性物に比べ、絶縁性液体への溶解性が高く、結果として液体現像剤の分散安定性が向上する。なお、酸変性物の結晶性は、結晶性指数([軟化点/吸熱の最大ピーク温度])によって表わされる。非晶質の酸変性物は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下のものである。また、吸熱の最大ピーク温度が検出されないものも非晶質であると判断する。
酸変性物Aの重量平均分子量は、保存安定性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上、さらに好ましくは1,100以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
酸変性物Aの含有量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、液体現像剤の分散安定性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、そして、耐擦過性の観点から、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、及び3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、帯電性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは87モル%以上であり、そして、好ましくは100モル%以下、より好ましくは96モル%以下、さらに好ましくは93モル%以下である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分中、好ましくは3モル%以上、より好ましくは5モル%以上、さらに好ましくは7モル%以上であり、そして、好ましくは20モル%以下、より好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは13モル%以下である。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂Pは、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステル樹脂Pは、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分とを一括で重縮合させた重縮合物であっても、アルコール成分と炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、酸変性物Aが重縮合した重縮合物であってもよいが、液体現像剤の分散安定性の観点から、後者の重縮合物が好ましい。後者の重縮合物において、カルボン酸成分として3価以上のカルボン酸系化合物が含まれている場合は、アルコール成分と炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物A及び2価のカルボン酸系化合物との重縮合物に、酸変性物Aと3価以上のカルボン酸系化合物が重縮合した重縮合物が好ましい。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に酸以外で変性されたポリエステル樹脂であってもよい。酸以外で変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂Pの軟化点は、耐擦過性の観点から、好ましくは95℃以上、より好ましくは98℃以上、さらに好ましくは102℃以上であり、そして、粉砕性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。
ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度は、耐擦過性の観点から、好ましくは50℃以上、より好ましくは53℃以上、さらに好ましくは55℃以上であり、そして、粉砕性の観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは58℃以下である。
ポリエステル樹脂Pの酸価は、帯電性の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは10mgKOH/g以上であり、そして、液体現像剤の分散安定性の観点から、好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは25mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂Pの含有量は、結着樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂P以外のポリエステル樹脂、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-塩化ビニル共重合体、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体である、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料、磁性体等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントレッド122、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、トナーの粉砕性を向上させて小粒径にできる観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、結着樹脂、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤等の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤等の分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1~5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。なお、トナー粒子は、絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
湿式粉砕に供するトナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を構成するカルボン酸としては、脂環族カルボン酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等が挙げられる。
脂環族カルボン酸としては、ナフテン酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれであってもよく、2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、アルケニルコハク酸等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸の炭素数は、絶縁性液体への溶解性の観点から、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上であり、そして、耐擦過性の観点から、好ましくは50以下、より好ましくは40以下、さらに好ましくは30以下である。
また、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を構成するアルカリ土類金属としては、帯電性の観点から、カルシウムが好ましい。
本発明において、「油溶性」カルボン酸アルカリ土類金属塩とは、液体現像剤にともに含まれる絶縁性液体に、後述の実施例に記載の条件で溶解するものをいう。
油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩の含有量は、液体現像剤中、帯電性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、そして、耐擦過性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
絶縁性液体としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系絶縁性液体、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。本発明における絶縁性液体は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、炭化水素系絶縁性液体を含有することが好ましい。炭化水素系絶縁性液体としては、非環状炭化水素系絶縁性液体が好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒がより好ましく、分散安定性及び帯電性の観点から、ポリイソブテンがさらに好ましい。
ポリイソブテンの重合度は、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。また、分散安定性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
ポリイソブテンの含有量は、分散安定性の観点から、絶縁性液体中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリイソブテンを含有する絶縁性液体の市販品としては、「NAS-3」、「NAS-4」、「NAS-5H」(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせることができる。
絶縁性液体の沸点は、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、液体現像剤の低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。
液体現像剤は、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体に加えて、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
液体現像剤は、トナー粒子を、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩と絶縁性液体と混合して得られる。トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子は、絶縁性液体と混合して、分散させた後、湿式粉砕することが好ましく、液体現像剤の分散安定性の観点から、トナー粒子を湿式粉砕した後に、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩と混合することが好ましい。
なお、ポリエステル樹脂Pは、自己分散型の樹脂であるため、実質的に分散剤を含有していなくても、絶縁性液体中にトナー粒子を分散させることができる。なお、「実質的に分散剤を含有していない」とは、分散剤を含有していないか、含有している場合は、分散剤の含有量が、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0質量%であることを意味する。分散剤は、通常液体現像剤の分散剤として用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアミン系のポリマー型分散剤(ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース32000(以上、日本ルブリゾール社製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)等)、アクリル共重合物のポリマー型分散剤(BYK-116(ビックケミー社製)等)等が挙げられる。
トナー粒子と絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
湿式粉砕後、トナー粒子分散液と混合する油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩は、予め、絶縁性液体に溶解させた溶液としたものを、トナー粒子及び絶縁性液体と混合してもよい。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは2.8μm以下、より好ましくは2.5μm以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは32mPa・s以下、より好ましくは28mPa・s以下、さらに好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下である。なお、ここでいう固形分濃度が25質量%の液体現像剤の粘度とは、絶縁性液体の量を調整して液体現像剤の固形分濃度を25質量%に調整して測定した粘度を意味する。液体現像剤の固形分濃度は、25質量%より高い場合は、同じ絶縁性液体により希釈することにより、25質量%よりも低い場合は、絶縁性液体を濃縮等により除去することによって、それぞれ調整することができる。ここで、固形分濃度とは、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤中の絶縁性液体及び油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩以外の原料の割合を指す。絶縁性液体及び油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩以外の原料には、結着樹脂及び着色剤以外に、必要に応じて用いられる、離型剤、荷電制御剤等の添加剤も含まれる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔酸変性物の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
〔α-オレフィン重合体の酸変性物の重量平均分子量(Mw)〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
〔樹脂及び酸変性物の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示すBPA-PO及びテレフタル酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。表1に示すエステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を入れ、230℃まで昇温し、230℃で1時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて所望の軟化点になるまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P1)を得た。
表1に示すBPA-PO及びテレフタル酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。表1に示すエステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を入れ、230℃まで昇温し、230℃で1時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて所望の軟化点になるまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P1)を得た。
樹脂製造例2
表1に示すBPA-PO及びテレフタル酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。表1に示すエステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物及び無水トリメリット酸を入れ、230℃まで昇温し、230℃で1時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて所望の軟化点になるまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P2~P4)を得た。
表1に示すBPA-PO及びテレフタル酸を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。表1に示すエステル化触媒及びエステル化助触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物及び無水トリメリット酸を入れ、230℃まで昇温し、230℃で1時間重縮合反応させ、さらに230℃、8.0kPaにて所望の軟化点になるまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P2~P4)を得た。
樹脂製造例3
表1に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。エステル化触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させ、ポリエステル樹脂(樹脂1)を得た。
表1に示すアルコール成分とカルボン酸成分を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、160℃まで昇温した。エステル化触媒を入れ、235℃まで昇温し、235℃で8時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させ、ポリエステル樹脂(樹脂1)を得た。
実施例1~8及び比較例2~4
表3に示す結着樹脂80質量部及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
表3に示す結着樹脂80質量部及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s、重合度:4)65質量部を1リットル容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)40質量部を加えて希釈し、固形分濃度を25質量%に調整した。
湿式粉砕したトナー粒子分散液400質量部に、表3に示すカルボン酸金属塩を添加し、液体現像剤を得た。
比較例1
結着樹脂として、樹脂1を用い、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を絶縁性液体「NAS-4」と混合して、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得る際に、絶縁性液体の使用量を62.9質量部に変更し、さらに、分散剤「ソルスパース13940」(ルーブリゾール社製、ポリイミン(ポリエチレンイミン、付加モル数230)とカルボン酸(12-ヒドロキシステアリン酸の縮合体、平均重合度3.5)の縮合物、有効分40質量%、重量平均分子量24,200、ポリイミン/カルボン酸(質量比)=27/73)3.5質量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤を得た。
結着樹脂として、樹脂1を用い、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を絶縁性液体「NAS-4」と混合して、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得る際に、絶縁性液体の使用量を62.9質量部に変更し、さらに、分散剤「ソルスパース13940」(ルーブリゾール社製、ポリイミン(ポリエチレンイミン、付加モル数230)とカルボン酸(12-ヒドロキシステアリン酸の縮合体、平均重合度3.5)の縮合物、有効分40質量%、重量平均分子量24,200、ポリイミン/カルボン酸(質量比)=27/73)3.5質量部を混合した以外は、実施例1と同様にして、液体現像剤を得た。
実施例及び比較例で使用したカルボン酸金属塩の絶縁性液体に対する溶解性を以下の方法により確認した。
〔カルボン酸金属塩の溶解性〕
表2に示すカルボン酸金属塩と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)を40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に有効成分の濃度が混合液の5質量%になるように調整し、25℃で1時間ボールミルで混合した。溶解状態を目視にて確認し、下記の評価基準に従って、絶縁性液体への溶解性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示すカルボン酸金属塩と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)を40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に有効成分の濃度が混合液の5質量%になるように調整し、25℃で1時間ボールミルで混合した。溶解状態を目視にて確認し、下記の評価基準に従って、絶縁性液体への溶解性を評価した。結果を表2に示す。
〔評価基準〕
A:溶液は不溶分はなく、カルボン酸金属塩は溶解している。
B:溶液は不溶分があり、カルボン酸金属塩は溶解していない。
A:溶液は不溶分はなく、カルボン酸金属塩は溶解している。
B:溶液は不溶分があり、カルボン酸金属塩は溶解していない。
試験例1〔電気泳動試験〕
テフロン(登録商標)製容器(外寸W:6.3cm×D4cm×H6.3cm、内寸:W5cm×D1.1cm×H5cm)に、あらかじめ質量を測定した2枚の電極(ステンレス鋼製、W4cm×D0.5cm×H5cm)を挿入した(電極間距離0.1cm)。液体現像剤2.5gを2枚の電極間に注入し、直流電源装置「TMK1.5-50」(高砂製作所社製)を用いて両極に±250Vの直流電圧を60秒間印加した。両電極を抜き出し、真空乾燥機にて0.5kPa、150℃にて30分間乾燥させ、乾燥後の電極の質量を測定した。負電極について(乾燥後の電極の重量)-(電圧印加前の電極の重量)の値を求め、負電極に付着したトナー粒子の重量を測定した。結果を表3に示す。負電極に付着したトナー粒子の重量が重いほど、正帯電性が良好であることを示す。
また、24時間経過した後に同様の操作を行い、液体現像剤の正帯電性を評価した。
テフロン(登録商標)製容器(外寸W:6.3cm×D4cm×H6.3cm、内寸:W5cm×D1.1cm×H5cm)に、あらかじめ質量を測定した2枚の電極(ステンレス鋼製、W4cm×D0.5cm×H5cm)を挿入した(電極間距離0.1cm)。液体現像剤2.5gを2枚の電極間に注入し、直流電源装置「TMK1.5-50」(高砂製作所社製)を用いて両極に±250Vの直流電圧を60秒間印加した。両電極を抜き出し、真空乾燥機にて0.5kPa、150℃にて30分間乾燥させ、乾燥後の電極の質量を測定した。負電極について(乾燥後の電極の重量)-(電圧印加前の電極の重量)の値を求め、負電極に付着したトナー粒子の重量を測定した。結果を表3に示す。負電極に付着したトナー粒子の重量が重いほど、正帯電性が良好であることを示す。
また、24時間経過した後に同様の操作を行い、液体現像剤の正帯電性を評価した。
試験例2〔耐擦過性〕
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に、バーコーター(卓上コーターTC-1型、三井電気精機(株)製)を用いて、25℃、50%RHの環境下で乾燥後の膜厚が3.5μmになるように液体現像剤を塗布し、70℃の乾燥機を用いて6分間定着した。
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に、バーコーター(卓上コーターTC-1型、三井電気精機(株)製)を用いて、25℃、50%RHの環境下で乾燥後の膜厚が3.5μmになるように液体現像剤を塗布し、70℃の乾燥機を用いて6分間定着した。
摩擦堅牢度試験機(RT-300、(株)大栄科学精器製作所製)に、被擦過物(前記の塗膜、15cm×4cm)と擦過物(OKトップコート紙、擦過面積は4cm2)を取り付け、25℃、50%RH環境下で200gfの荷重をかけながら、擦過物を被擦過物上で、1分あたり30回の速度で100回往復した。擦過後、塗膜の状態を目視にて確認し、下記の評価基準に従って耐擦過性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:塗膜に擦過による欠損が全く見られない。
B:塗膜に擦過による微小な欠損が見られるが、実使用上問題ない。
C:塗膜に擦過による微小な欠損が見られ、実使用上問題がある。
D:塗膜に擦過による大きな欠損が見られる。
A:塗膜に擦過による欠損が全く見られない。
B:塗膜に擦過による微小な欠損が見られるが、実使用上問題ない。
C:塗膜に擦過による微小な欠損が見られ、実使用上問題がある。
D:塗膜に擦過による大きな欠損が見られる。
以上の結果より、実施例1~8の液体現像剤は、小粒径、低粘度であり、正帯電性にも優れており、耐擦過性も良好であることが分かる。
これに対し、非自己分散型の酸変性物を用いていないポリエステル樹脂を含有する比較例1の液体現像剤は、トナー粒子の粒径が大きくなり、粘度も高くなる。さらに、正帯電性も不十分で、耐擦過性にも欠けている。油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含有していない比較例2~4では、正帯電性が不十分であり、比較例3、4では、耐擦過性にも欠けている。
これに対し、非自己分散型の酸変性物を用いていないポリエステル樹脂を含有する比較例1の液体現像剤は、トナー粒子の粒径が大きくなり、粘度も高くなる。さらに、正帯電性も不十分で、耐擦過性にも欠けている。油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含有していない比較例2~4では、正帯電性が不十分であり、比較例3、4では、耐擦過性にも欠けている。
本発明の液体現像剤は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (5)
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体を含む液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であるポリエステル樹脂Pを含有し、液体現像剤が、さらに、油溶性カルボン酸アルカリ土類金属塩を含有する、液体現像剤。
- アルコール成分がビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有する、請求項1記載の液体現像剤。
- ポリエステル樹脂Pが、アルコール成分と2価のカルボン酸系化合物との重縮合物に、該酸変性物Aと3価以上のカルボン酸系化合物が重縮合した重縮合物である、請求項1又は2記載の液体現像剤。
- 酸変性物Aが、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の片末端が酸により変性された片末端変性型の酸変性物である、請求項1~3いずれか記載の液体現像剤。
- 分散剤を含有していないか、含有している場合は、分散剤の含有量が1質量%以下である、請求項1~4いずれか記載の液体現像剤。
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- 2020-11-24 JP JP2020194634A patent/JP2022083283A/ja active Pending
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