JP2022087651A - 液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】小粒径、低粘度でトナーの付着力が低く、かつ耐ドキュメントオフセット性に優れる液体現像剤に関すること。【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物である、ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lを含有し、該ポリエステル系樹脂Hにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、30質量部以上65質量部以下であり、該ポリエステル系樹脂Lにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下である、液体現像剤。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤に関する。
電子写真用現像剤には、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー粒子を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー粒子が絶縁性の担体液中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているため、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるため、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっており、トナー粒子が電気泳動により、速やか、かつ高効率で現像される必要があることから、液体現像剤の低粘度化が求められている。さらに、連続印刷時の印字安定性も必要であり、これを確保するためには、連続印刷時のローラーへのトナーの融着、いわゆるフィルミングを抑制する必要がある。フィルミング抑制の手段の1つとして、ローラー表面への付着力の低いトナーが求められる。
一方で、商業印刷では、印刷物が積層保存又は冊子状態で保存されるため、印刷物間の画像の一部が転移して媒体間が接着する、いわゆるドキュメントオフセット現象の抑制が求められている。
一方で、商業印刷では、印刷物が積層保存又は冊子状態で保存されるため、印刷物間の画像の一部が転移して媒体間が接着する、いわゆるドキュメントオフセット現象の抑制が求められている。
特許文献1には、トナー粒子を小粒径化でき、さらに、低粘度且つ高抵抗な液体現像剤を提供することを課題として、ポリエステル系樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記ポリエステル系樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むことを特徴とする液体現像剤が開示されている。
特許文献2には、熱定着方式用の静電荷像現像トナーにおいて、環境安定性に優れ、特異臭がきわめて少ないポリエステル樹脂系トナーバインダーを提供することを課題として、カルボン酸成分とアルコール成分とを構成成分とするポリエステル樹脂からなる静電荷像現像トナー用バインダーにおいて、カルボン酸成分及び/又はアルコール成分の少なく
とも一部が炭素数100~1000の脂肪族炭化水素基を有する成分からなることを特徴とするバインダーが開示されている。
とも一部が炭素数100~1000の脂肪族炭化水素基を有する成分からなることを特徴とするバインダーが開示されている。
特許文献3には、良好な定着性能、非オフセット性、画像安定性、耐久性を有するトナーおよびトナー用バインダー樹脂組成物を提供することを課題として、下記条件(i)~(iii)を満足する化合物(X)を構成単位として含むポリエステル樹脂を含有する、トナー用バインダー樹脂組成物が開示されている。
(i)酸またはアルコールと反応しうる官能基(f)の数が1.0(mmol/g)以上。
(ii)分岐を有する炭素数30以上の長鎖アルキル基(r)を含む。
(iii)融解時の吸熱量が100(J/g)以下。
(i)酸またはアルコールと反応しうる官能基(f)の数が1.0(mmol/g)以上。
(ii)分岐を有する炭素数30以上の長鎖アルキル基(r)を含む。
(iii)融解時の吸熱量が100(J/g)以下。
しかしながら、従来の技術では、液体現像剤の小粒径化と低粘度化の両立や、ローラー表面の付着力を低減しつつ、耐ドキュメントオフセット性を確保することは困難である。付着力を低減するためには、トナーへの離型剤添加や離型効果を有する官能基の導入が有効であるが、これらは低極性の絶縁性液体と親和性が高く、それによりトナー層の強度が低下し、耐ドキュメントオフセット性が悪化してしまう。
本発明は、小粒径、低粘度でトナーの付着力が低く、かつ耐ドキュメントオフセット性に優れる液体現像剤に関する。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物である、ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lを含有し、該ポリエステル系樹脂Hにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、30質量部以上65質量部以下であり、該ポリエステル系樹脂Lにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下である、液体現像剤に関する。
本発明の液体現像剤は、小粒径、低粘度でトナーの付着力が低く、かつ耐ドキュメントオフセット性に優れるという効果を奏するものである。
本発明の液体現像剤は、結着樹脂として、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物を用いて得られた2種のポリエステル系樹脂を含有し、かつそれらのポリエステル系樹脂における酸変性物の量が異なる点に特徴を有するものである。詳細は不明なるも、以下のメカニズムにより本発明の効果が奏されるものと推察される。
炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aに含まれる分岐型の炭化水素鎖は、絶縁性液体中で拡がりやすく、酸変性物Aを用いて得られたポリエステル系樹脂は自己分散型であるため、液体現像剤が分散剤を含んでいなくても、分散安定性に優れる。酸変性物Aに含まれる炭化水素鎖は、トナー粒子の外側に配向すると離型効果を発現するため、ローラー(通常、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)フィルム等でコーティングされている)への付着力が低減される。一方で、酸変性物Aに含まれる炭化水素鎖は絶縁性溶媒と親和性が高いため、トナー層の内側に配向した場合、絶縁性溶媒を抱き込み可塑化するためトナー層の強度が低下し、耐ドキュメントオフセット性が悪化する。
酸変性物Aの含有量が異なるポリエステル樹脂を組み合わせて用いることにより、表面張力の違いから、トナー粒子及び成膜後のトナー層の外側が酸変性物Aを多く含む層となり、内側が酸変性物Aを少なく含む層となると考えられる。これにより、トナーの付着力を低減しつつ、高い強度のトナー層が得られ、耐ドキュメントオフセット性にも優れるものと推察される。
酸変性物Aの含有量が異なるポリエステル樹脂を組み合わせて用いることにより、表面張力の違いから、トナー粒子及び成膜後のトナー層の外側が酸変性物Aを多く含む層となり、内側が酸変性物Aを少なく含む層となると考えられる。これにより、トナーの付着力を低減しつつ、高い強度のトナー層が得られ、耐ドキュメントオフセット性にも優れるものと推察される。
本発明の液体現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体とを含有する液体現像剤であり、結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分の重縮合物である、ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lを含有する。ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lについて以下に説明するが、酸変性物の含有量等、特に明記していない限り、ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lで同様である。
アルコール成分は、低温定着性及び酸変性物Aとの反応性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分に含まれる炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aにおいて、α-オレフィンの炭素数は、3以上であり、そして、18以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4である。
炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体としては、ポリプロピレン系重合体、ポリイソブテン系重合体、ポリ1-ブテン系重合体、ポリ1-ペンテン系重合体、ポリ1-ヘキセン系重合体、ポリ1-オクテン系重合体、ポリ4-メチルペンテン系重合体、ポリ1-ドデセン系重合体、ポリ1-ヘキサデセン系重合体、プロピレン-ヘキセン共重合体等が挙げられ、これらの中では、ポリイソブテン系重合体が好ましい。前記α-オレフィン重合体は、前記α-オレフィンの単独重合体であってもよく、前記α-オレフィンから選ばれる2種以上の共重合体であってもよく、前記α-オレフィンとその他のオレフィンとの共重合体であってもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
ポリイソブテン系重合体としては、ポリイソブテン、イソブテンとその他オレフィンとの共重合体等が挙げられる。その他のオレフィンは、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、2-エチルヘキセンが挙げられる。共重合体である場合、イソブテンの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%未満である。
一方、酸変性物Aとしては、反応性の観点から、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらの酸の無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸により変性された酸変性物が好ましく、無水マレイン酸で変性された酸変性物がより好ましい。また、酸変性物としては、前記α-オレフィン重合体に酸がランダムにグラフトされ変性されたランダムグラフト型の酸変性物や、前記α-オレフィン重合体の末端が酸により変性された末端変性型の酸変性物等が挙げられるが、本発明では、低温定着性及び保存安定性の観点から、末端変性型の酸変性物が好ましく、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の片末端が酸により変性された片末端変性型の酸変性物がより好ましい。
ランダムグラフト型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個以上の酸がグラフト化され変性されている。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸によるランダムグラフト型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。
ランダムグラフト変性型の酸変性物は、例えば、α-オレフィン重合体の分子内にラジカルを発生させ、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物と反応させることで得られる。
末端変性型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個(片末端)又は2個(両末端)の酸によって変性される。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸による片末端型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。また、α-オレフィンの重合体側の被連結部分も結合前後でスペクトル変化を起こすのでこれを測定することで規定できる。
片末端変性型の酸変性物は、例えば、片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体に、酸をEne反応させることで得られる。片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体は、公知の方法により得られるが、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒等を用いて製造することができる。
以上より、α-オレフィン重合体の酸変性物Aとしては、片末端が無水マレイン酸で変性されたポリイソブテン無水コハク酸が好ましい。
酸変性物Aは非晶質であることが好ましい。非晶質のα-オレフィン重合体の酸変性物は、カルボン酸基又は無水カルボン酸基を有する変性ポリプロピレン系重合体のような結晶性のα-オレフィン重合体の酸変性物に比べ、絶縁性液体中での溶解性や分散安定性に優れる。なお、酸変性物の結晶性は、結晶性指数([軟化点/吸熱の最大ピーク温度])によって表わされる。非晶質の酸変性物は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下のものである。また、吸熱の最大ピーク温度が検出されないものも非晶質であると判断する。
酸変性物Aの重量平均分子量は、保存安定性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上、さらに好ましくは1,100以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
ポリエステル系樹脂Hにおける酸変性物Aの含有量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、トナー粒子のローラーへの付着力を低減する観点から、30質量部以上であり、好ましくは33質量部以上、より好ましくは35質量部以上であり、そして、耐ドキュメントオフセット性や保存安定性の観点から、65質量部以下であり、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下である。
ポリエステル系樹脂Lにおける酸変性物Aの含有量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、5質量部以上であり、好ましくは7質量部以上、より好ましくは9質量部以上であり、そして、耐ドキュメントオフセット性の観点から、20質量部以下であり、好ましくは15質量部以下、より好ましくは13質量部以下である。
前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、及び3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点や低温定着性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lは、それぞれ、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分とを一括で重縮合させた重縮合物であっても、アルコール成分と炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、酸変性物Aが重縮合した重縮合物であってもよいが、液体現像剤の粘度を低減する観点や耐ドキュメントオフセット性の観点から、後者の重縮合物が好ましい。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に酸以外で変性されたポリエステル樹脂であってもよい。酸以外で変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lの軟化点は、それぞれ、保存安定性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lのガラス転移温度は、それぞれ、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lの酸価は、それぞれ、低温定着性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは2mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂Hの重量平均分子量は、耐ドキュメントオフセット性や保存安定性の観点から、好ましくは20,000以上、より好ましくは30,000以上、さらに好ましくは40,000以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは300,000以下、より好ましくは150,000以下、さらに好ましくは50,000以下である。
ポリエステル系樹脂Lの重量平均分子量は、耐ドキュメントオフセット性や保存安定性の観点から、好ましくは3,500以上、より好ましくは4,500以上、さらに好ましくは5,500以上であり、そして、の観点から、好ましくは15,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは7,000以下である。
ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lの質量比(ポリエステル系樹脂H/ポリエステル系樹脂L)は、トナー粒子へのローラーの付着力を低減する観点や耐ドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは20/80以上、より好ましくは40/60以上、さらに好ましくは70/30以上であり、そして、耐ドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは80/20以下、より好ましくは78/22以下、さらに好ましくは76/24以下である。
ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lの合計含有量は、結着樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-塩化ビニル共重合体、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体である、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、トナーの粉砕性を向上させて小粒径にできる観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、結着樹脂、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤等の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上30分以下であり、より好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤等の分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1~5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。なお、トナー粒子は、絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
湿式粉砕に供するトナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
絶縁性液体としては、流動パラフィン、イソパラフィン等の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系絶縁性液体、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。本発明における絶縁性液体は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、炭化水素系絶縁性液体を含有することが好ましい。炭化水素系絶縁性液体としては、非環状炭化水素系絶縁性液体が好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒がより好ましく、分散安定性及び帯電性の観点から、ポリイソブテンがさらに好ましい。
ポリイソブテンの重合度は、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、分散安定性の観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
ポリイソブテンの含有量は、分散安定性の観点から、絶縁性液体中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリイソブテンを含有する絶縁性液体の市販品としては、「NAS-3」、「NAS-4」、「NAS-5H」(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせることができる。
絶縁性液体の沸点は、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、液体現像剤の低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。
液体現像剤は、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体に加えて、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
液体現像剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させて得られる。トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、湿式粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
なお、ポリエステル系樹脂H及びポリエステル系樹脂Lは、自己分散型の樹脂であるため、実質的に分散剤を含有していなくても、絶縁性液体中にトナー粒子を分散させることができる。なお、「実質的に分散剤を含有していない」とは、分散剤を含有していないか、含有している場合は、分散剤の含有量が、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0質量%であることをいう。分散剤は、通常液体現像剤の分散剤として用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアミン系のポリマー型分散剤(ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース32000(以上、日本ルブリゾール社製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)等)、アクリル共重合物のポリマー型分散剤(BYK-116(ビックケミー社製)等)等が挙げられる。
トナー粒子と絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.8μm以下、さらに好ましくは2.6μm以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは28mPa・s以下、より好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下である。なお、ここでいう固形分濃度が25質量%の液体現像剤の粘度とは、絶縁性液体の量を調整して液体現像剤の固形分濃度を25質量%に調整して測定した粘度を意味する。液体現像剤の固形分濃度は、25質量%より高い場合は、同じ絶縁性液体により希釈することにより、25質量%よりも低い場合は、絶縁性液体を濃縮等により除去することによって、それぞれ調整することができる。ここで、固形分濃度とは、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤中の絶縁性液体以外の原料の割合を指す。絶縁性液体以外の原料には、結着樹脂及び着色剤以外に、必要に応じて用いられる、離型剤、荷電制御剤等の添加剤も含まれる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔酸変性物の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
〔α-オレフィン重合体の酸変性物の重量平均分子量(Mw)〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
〔樹脂及び酸変性物の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の重量平均分子量(Mw)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)に、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL +TSKgel G3000HXL (東ソー(株)製)
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)に、40℃で溶解させる。次いで、この溶液を孔径0.20μmのPTFEタイプメンブレンフィルター「DISMIC-25JP」(東洋濾紙(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(非晶質樹脂)又はクロロホルム(結晶性樹脂)を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL +TSKgel G3000HXL (東ソー(株)製)
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂1~6)を得た。
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂1~6)を得た。
樹脂製造例2
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒とエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂7)を得た。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒とエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂7)を得た。
樹脂製造例3
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒とエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で20時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂8、9)を得た。
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒とエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で20時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂8、9)を得た。
実施例1~3、5~7比較例1~3
表2に示す結着樹脂80質量部と、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
表2に示す結着樹脂80質量部と、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s、重合度:4)65質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表2に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)40質量部を加えて希釈し、固形分濃度が25質量%の、表2に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例4
絶縁性液体として、「NAS-4」の代わりに「アイソパーL」(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を使用した以外は、実施例2と同様にして、表2に示す物性を有する液体現像剤を得た。
絶縁性液体として、「NAS-4」の代わりに「アイソパーL」(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を使用した以外は、実施例2と同様にして、表2に示す物性を有する液体現像剤を得た。
試験例1〔耐ドキュメントオフセット性(耐DO性)〕
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が3.4g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が120℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。
同じ定着画像を2枚用意し、定着画像部が対向するように2枚の用紙を重ね合わせたサンプルを、面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下で1日静置した。その後、重ね合わせた用紙を取り出し、剥離した。10個のサンプルを準備し、開いた後の定着画像部の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表2に示す。
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が3.4g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が120℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。
同じ定着画像を2枚用意し、定着画像部が対向するように2枚の用紙を重ね合わせたサンプルを、面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下で1日静置した。その後、重ね合わせた用紙を取り出し、剥離した。10個のサンプルを準備し、開いた後の定着画像部の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表2に示す。
〔評価基準〕
A:剥離時に10個のサンプル全てで剥離音がなく、画像の欠損も見られない。
B:剥離時に10個中1個又は2個のサンプルで剥離音がするが、画像の欠損は見られない。
C:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がするが、画像の欠損は見られない。
D:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がし、サンプル10個(用紙20枚)の画像部分の総面積の1/4未満の面積で画像の欠損が見られる。
E:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がし、サンプル10個(用紙20枚)の画像部分の総面積の1/4以上の面積で画像の欠損が見られる。
A:剥離時に10個のサンプル全てで剥離音がなく、画像の欠損も見られない。
B:剥離時に10個中1個又は2個のサンプルで剥離音がするが、画像の欠損は見られない。
C:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がするが、画像の欠損は見られない。
D:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がし、サンプル10個(用紙20枚)の画像部分の総面積の1/4未満の面積で画像の欠損が見られる。
E:剥離時に10個中3個以上のサンプルで剥離音がし、サンプル10個(用紙20枚)の画像部分の総面積の1/4以上の面積で画像の欠損が見られる。
試験例2〔PFAフィルムへのトナー付着力〕
液体現像剤中に2cm×5cmに切断したPFAフィルム「AFA-113A」(中興化成工業社製)を浸漬し、5分間静置後、フィルムを取り出した。液体現像剤作製時に用いたものと同じ絶縁性液体を40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に35mL入れ、取り出したフィルムを絶縁性液体に浸漬後、ボールミルで10分間攪拌した。取り出したフィルムを再度同様に別に用意した絶縁性液体に浸漬し、ボールミルで10分間攪拌した。フィルムを取り出した後、真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて1時間乾燥させた。フィルムのPFA側と反対面のセパレーターを剥離後、PFAフィルム上の画像濃度を各5点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。結果を表2に示す。画像濃度が小さいほど付着力が低いことを示す。
液体現像剤中に2cm×5cmに切断したPFAフィルム「AFA-113A」(中興化成工業社製)を浸漬し、5分間静置後、フィルムを取り出した。液体現像剤作製時に用いたものと同じ絶縁性液体を40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に35mL入れ、取り出したフィルムを絶縁性液体に浸漬後、ボールミルで10分間攪拌した。取り出したフィルムを再度同様に別に用意した絶縁性液体に浸漬し、ボールミルで10分間攪拌した。フィルムを取り出した後、真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて1時間乾燥させた。フィルムのPFA側と反対面のセパレーターを剥離後、PFAフィルム上の画像濃度を各5点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。結果を表2に示す。画像濃度が小さいほど付着力が低いことを示す。
以上の結果より、実施例1~7では、トナー粒子が小粒径で、低粘度の液体現像剤が得られ、トナーの付着力も低く、耐ドキュメントオフセット性も良好であることが分かる。実施例1と実施例7の比較より、ポリエステル樹脂として、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、酸変性物Aが重縮合した重縮合物を用いた場合の方が低粘度の液体現像剤が得られ、トナーの付着力も低く、耐ドキュメントオフセット性も良好であることがわかる。
これに対し、ポリエステル系樹脂L及びポリエステル系樹脂Hのいずれかしか含有していない比較例1、2では、耐ドキュメントオフセット性が不十分であり、ポリエステル系樹脂Hを含有していない比較例2では、さらに、トナー粒子の小粒径、低粘度化が不十分であり、トナーの付着力を低減する効果も得られていない。また、ポリエステル系樹脂Lの代わりに、酸変性物を用いていない非自己分散型の樹脂を含む比較例3でも、トナー粒子の小粒径、低粘度化が不十分であり、トナーの付着力を低減する効果が得られていない。
これに対し、ポリエステル系樹脂L及びポリエステル系樹脂Hのいずれかしか含有していない比較例1、2では、耐ドキュメントオフセット性が不十分であり、ポリエステル系樹脂Hを含有していない比較例2では、さらに、トナー粒子の小粒径、低粘度化が不十分であり、トナーの付着力を低減する効果も得られていない。また、ポリエステル系樹脂Lの代わりに、酸変性物を用いていない非自己分散型の樹脂を含む比較例3でも、トナー粒子の小粒径、低粘度化が不十分であり、トナーの付着力を低減する効果が得られていない。
本発明の液体現像剤は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (7)
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記結着樹脂が、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物である、ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lを含有し、該ポリエステル系樹脂Hにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、30質量部以上65質量部以下であり、該ポリエステル系樹脂Lにおける酸変性物Aの含有量が、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下である、液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂H及び/又はポリエステル系樹脂Lにおいて、酸変性物Aが非晶質である、請求項1記載の液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂H及び/又はポリエステル系樹脂Lにおいて、酸変性物Aが炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の片末端が酸により変性された片末端変性型の酸変性物である、請求項1又は2記載の液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂Hの重量平均分子量が、20,000以上300,000以下である、請求項1~3いずれか記載の液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂Lの重量平均分子量が、3,500以上15,000以下である、請求項1~4いずれか記載の液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂Hとポリエステル系樹脂Lの質量比(ポリエステル系樹脂H/ポリエステル系樹脂L)が、20/80以上80/20以下である、請求項1~5いずれか記載の液体現像剤。
- ポリエステル系樹脂H及び/又はポリエステル系樹脂Lが、アルコール成分と炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、該酸変性物Aが重縮合した重縮合物である、請求項1~6いずれか記載の液体現像剤。
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