JP2022072364A - 液体現像剤セット - Google Patents
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Abstract
【課題】マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を含み、小粒径かつ低粘度で、多色印刷時の低温定着性や画像濃度、画像濃度の均一性に優れる液体現像剤セットに関すること。【解決手段】結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体とを含有し、該結着樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むポリエステル系樹脂Pを60質量%以上含有する、液体現像剤のセットであって、前記着色剤が、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド146、又はC.I.ピグメントレッド122であるマゼンタ液体現像剤と、前記着色剤が、C.I.ピグメントイエロー185であるイエロー液体現像剤を含む、液体現像剤セット。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤セットに関する。
電子写真用現像剤には、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー粒子を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー粒子が絶縁性の担体液中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているため、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができ、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっており、トナー粒子が電気泳動により、速やかに現像される必要があることから、液体現像剤の低粘度化が求められている。さらに、高速化時も十分な定着性を得るためには低温定着性に優れたトナーが求められる。特に多色印刷時においては、各色を重ねることで単色印刷時に比べ多くの絶縁性液体が含まれるため、色重ね後の乾燥工程でトナーが溶融しにくく均一なトナー層を形成しにくい。そのため、定着性や画像濃度が不足し、画像濃度が不均一になるといった課題がある。
特許文献1には、トナー粒子を小粒径化でき、さらに、低粘度且つ高抵抗な液体現像剤を提供することを課題として、ポリエステル系樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と、絶縁性液体とを含有する液体現像剤であって、前記ポリエステル系樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むことを特徴とする液体現像剤が開示されている。
特許文献2には、低温定着性を有し、かつ、定着強度が高いトナー像が得られる液体現像剤を提供することを課題として、活性水素基を有するポリマー及びブロックイソシアネート基を有するポリマーを含み、体積平均粒径が0.5μm以上3μm以下であるトナー粒子と、前記トナー粒子が分散されたキャリア液と、を有する液体現像剤が開示されている。
特許文献3には、優れた色再現性を得ることと転写性、かぶりや定着性を両立することを課題として、少なくとも、結着樹脂と、着色剤と、高分子分散剤と、及びキャリア液とからなる複数の液体現像剤セットであって、少なくとも、着色剤が、C.I.ピグメントイエロー185であるイエロー液体現像剤と、C.I.ピグメントレッド146、147、150、269、およびC.I.ピグメントバイオレット19からなる群より選択されるマゼンタ液体現像剤とを含むことを特徴とする液体現像剤セットが開示されている。
しかしながら、従来の技術では、液体現像剤の小粒径化と低粘度化の両立が不十分である。さらに、多色印刷時、特にマゼンタ及びイエローの液体現像剤を用いた印刷時に良好な低温定着性や画像濃度、均一な画像濃度を得ることが困難である。
本発明は、マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を含み、小粒径かつ低粘度で、多色印刷時の低温定着性や画像濃度、画像濃度の均一性に優れる液体現像剤セットに関する。
本発明は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体とを含有し、該結着樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むポリエステル系樹脂Pを60質量%以上含有する、液体現像剤のセットであって、前記着色剤が、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド146、又はC.I.ピグメントレッド122であるマゼンタ液体現像剤と、前記着色剤が、C.I.ピグメントイエロー185であるイエロー液体現像剤を含む、液体現像剤セットに関する。
本発明の液体現像剤セットは、マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を含み、小粒径かつ低粘度で、多色印刷時の低温定着性や画像濃度、画像濃度の均一性において優れた効果を奏するものである。
本発明の液体現像剤セットは、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むポリエステル系樹脂Pを含有する液体現像剤のセットであって、それぞれ所定の着色剤を含むマゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を含む液体現像剤セットであり、本発明の効果が奏される理由は定かではないが、以下のように推察される。
α-オレフィンの重合体の酸変性物Aに含まれる分岐型の炭化水素鎖は低表面張力であり、酸変性物Aを用いて得られたポリエステル系樹脂を含むトナー粒子は従来のポリエステル系樹脂を含むトナー粒子に比べ低表面張力である。そのため、紙やフィルムといった基材や、プリンター内のローラー上で濡れ拡がりやすい。
分散剤を含む液体現像剤では、分散剤が各トナー粒子に不均一に吸着し、また未吸着の分散剤も存在することから、画像形成時や定着時にトナー粒子が不均一に成膜しやすい。
これに対し、酸変性物Aを含むポリエステル系樹脂を用いた場合、分岐型の炭化水素鎖がトナー粒子表面に比較的均一に拡がり分散剤が不要となるため、成膜性が良好となり、多色印刷時でも各トナー層が均一かつ平滑に成膜することで定着性が改善され、濃度ムラを抑制できると推察される。
分散剤を含む液体現像剤では、分散剤が各トナー粒子に不均一に吸着し、また未吸着の分散剤も存在することから、画像形成時や定着時にトナー粒子が不均一に成膜しやすい。
これに対し、酸変性物Aを含むポリエステル系樹脂を用いた場合、分岐型の炭化水素鎖がトナー粒子表面に比較的均一に拡がり分散剤が不要となるため、成膜性が良好となり、多色印刷時でも各トナー層が均一かつ平滑に成膜することで定着性が改善され、濃度ムラを抑制できると推察される。
さらに、詳細なメカニズムは不明であるが、本発明で用いられる特定の着色剤と酸変性物Aが相互作用しやすくトナー粒子中の着色剤の分散性が向上するため、画像濃度や濃度ムラが改善されるものと推察される。
マゼンタ液体現像剤の着色剤は、C.I.ピグメントレッド57:1(P.R.57:1)、C.I.ピグメントレッド146(P.R.146)、又はC.I.ピグメントレッド122(P.R.122)である。これらは、併用されていてもよいが、それぞれ単独で用いられることが好ましい。
イエロー液体現像剤の着色剤は、C.I.ピグメントイエロー185(P.Y.185)である。P.Y.185はイソインドリンの誘導体であり、イソインドリンのNH基とポリエステル樹脂との相互作用により分散性が向上するものと推察される。
液体現像剤セットに含まれる各液体現像剤は、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体とを含有する液体現像剤であり、結着樹脂がポリエステル系樹脂Pを含有する。
ポリエステル系樹脂Pは、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含み、好ましくは、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物A由来の構成単位とが、エステル結合により連結した樹脂である。
アルコール成分は、低温定着性及び酸変性物Aとの反応性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むことが好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
で表される化合物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等が挙げられる。これらの1種又は2種以上を用いることが好ましい。
式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分に含まれる炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体の酸変性物Aにおいて、α-オレフィンの炭素数は、3以上であり、そして、18以下であり、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4である。
炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体としては、ポリプロピレン系重合体、ポリイソブテン系重合体、ポリ1-ブテン系重合体、ポリ1-ペンテン系重合体、ポリ1-ヘキセン系重合体、ポリ1-オクテン系重合体、ポリ4-メチルペンテン系重合体、ポリ1-ドデセン系重合体、ポリ1-ヘキサデセン系重合体、プロピレン-ヘキセン共重合体等が挙げられ、これらの中では、ポリイソブテン系重合体が好ましい。前記α-オレフィン重合体は、前記α-オレフィンの単独重合体であってもよく、前記α-オレフィンから選ばれる2種以上の共重合体であってもよく、前記α-オレフィンとその他のオレフィンとの共重合体であってもよい。また、共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれであってもよい。
ポリイソブテン系重合体としては、ポリイソブテン、イソブテンとその他オレフィンとの共重合体等が挙げられる。その他のオレフィンは、例えば、エチレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、2-エチルヘキセンが挙げられる。共重合体である場合、イソブテンの割合は、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%未満である。
一方、酸変性物Aとしては、反応性の観点から、炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、及びこれらの酸の無水物からなる群より選ばれた少なくとも1種の酸により変性された酸変性物が好ましく、無水マレイン酸で変性された酸変性物がより好ましい。また、酸変性物としては、前記α-オレフィン重合体に酸がランダムにグラフトされ変性されたランダムグラフト型の酸変性物や、前記α-オレフィン重合体の末端が酸により変性された末端変性型の酸変性物等が挙げられるが、本発明では、低温定着性及び保存性の観点から、末端変性型の酸変性物が好ましく、炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体の片末端が酸により変性された片末端変性型の酸変性物がより好ましい。
ランダムグラフト型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個以上の酸がグラフト化され変性されている。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸によるランダムグラフト型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。
ランダムグラフト変性型の酸変性物は、例えば、α-オレフィン重合体の分子内にラジカルを発生させ、不飽和結合を有するカルボン酸化合物又はその無水物と反応させることで得られる。
末端変性型の酸変性物は、好ましくは重合体1分子中に1個(片末端)又は2個(両末端)の酸によって変性される。酸によって変性されているかは、一般的なスペクトル測定によって規定できる。例えば、無水マレイン酸による片末端型酸変性物の場合、無水マレイン酸によって変性されると、無水マレイン酸の二重結合が単結合に変化するのでそのスペクトル変化を測定することで規定できる。また、α-オレフィンの重合体側の被連結部分も結合前後でスペクトル変化を起こすのでこれを測定することで規定できる。
片末端型の酸変性物は、例えば、片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体に、酸をEne反応させることで得られる。片末端に不飽和結合を有する前記α-オレフィン重合体は、公知の方法により得られるが、例えば、バナジウム系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム系触媒等を用いて製造することができる。
以上より、α-オレフィン重合体の酸変性物Aとしては、片末端が無水マレイン酸で変性されたポリイソブテン無水コハク酸が好ましい。
酸変性物Aは非晶質であることが好ましい。非晶質のα-オレフィン重合体の酸変性物は、カルボン酸基又は無水カルボン酸基を有する変性ポリプロピレン系重合体のような結晶性のα-オレフィン重合体の酸変性物に比べ、絶縁性液体中での溶解性や分散安定性に優れる。なお、酸変性物の結晶性は、結晶性指数([軟化点/吸熱の最大ピーク温度])によって表わされる。非晶質の酸変性物は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下のものである。また、吸熱の最大ピーク温度が検出されないものも非晶質であると判断する。
酸変性物Aの重量平均分子量は、液体現像剤の低粘度化や画像濃度及び画像濃度の均一性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上、さらに好ましくは1,100以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
酸変性物Aの含有量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の合計量100質量部に対して、液体現像剤の低粘度化や画像濃度及び画像濃度の均一性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは45質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
酸変性物A由来の構成単位の量も、同様に、アルコール成分由来の構成単位と酸変性物A以外のカルボン酸成分由来の構成単位の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは45質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
酸変性物A由来の構成単位の量も、同様に、アルコール成分由来の構成単位と酸変性物A以外のカルボン酸成分由来の構成単位の合計100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは45質量部以下、より好ましくは35質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸系化合物、脂肪族ジカルボン酸系化合物、及び3価以上のカルボン酸系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点や低温定着性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含有していることがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、前記α-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
脂肪族ジカルボン酸系化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル系樹脂Pとしては、例えば、ポリエステル樹脂、又は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル系樹脂が挙げられ、ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステル樹脂Pは、アルコール成分と、炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分との重縮合物であっても、アルコール成分と炭素数3以上18以下のα-オレフィン重合体の酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、酸変性物Aが重縮合した重縮合物であってもよいが、低温定着性及び画像濃度の観点から、後者の重縮合物が好ましい。
なお、本発明において、ポリエステル系樹脂Pは、実質的にその特性を損なわない程度に酸以外で変性されたポリエステル樹脂であってもよい。酸以外で変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11-133668号公報、特開平10-239903号公報、特開平8-20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
ポリエステル系樹脂Pの軟化点は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下である。
ポリエステル系樹脂Pのガラス転移温度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは65℃以下である。
ポリエステル系樹脂Pの酸価は、低温定着性の観点から、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上であり、そして、液体現像剤の低粘度化の観点から、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂Pの含有量は、結着樹脂中、60質量%以上であり、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン-プロピレン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-塩化ビニル共重合体、スチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
本発明の液体現像剤セットにおいて、マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤以外の液体現像剤の色種は特に限定されない。一般的にフルカラー画像の形成には、これらに、少なくとも、シアン液体現像剤及び/又はブラック液体現像剤が組み合わされるが、目的とする画像や使用する装置に応じて、マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤のみのセットであっても、シアンとブラックに加えてさらに他の色の液体現像剤を組み合わせたセットであっても、シアンとブラック以外の色の液体現像剤を組み合わせたセットであってもよい。
マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤以外の液体現像剤は、着色剤が異なる以外は、マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤と同様の構成である。前記のポリエステル系樹脂Pは、各液体現像剤で異なっていてもよいが、定着時の相溶性を高め色重ね時の定着性を向上させる観点から、同一物であることが好ましい。
マゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤の着色剤については、前記の通りである。
シアン液体現像剤の着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、60、62、66等が挙げられる。
ブラック液体現像剤の着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、ペリレンブラック、ボーンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、金属酸化物、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイト等が挙げられる。
着色剤の含有量は、トナー粒子中、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
また、トナー粒子中のポリエステル系樹脂Pと着色剤の質量比(ポリエステル系樹脂P/着色剤)は、好ましくは2.1以上、より好ましくは2.5以上、さらに好ましくは3.0以上であり、そして、好ましくは10以下、より好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下である。
ポリエステル系樹脂Pと着色剤の合計含有量は、トナー粒子中、好ましくは65質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上である。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、結着樹脂、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤等の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤等の分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1~5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。なお、トナー粒子は、絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
湿式粉砕に供するトナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
絶縁性液体の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。特に、臭気、無害性及びコストの点から、流動パラフィン、イソパラフィン、ポリイソブテン等の脂肪族炭化水素が好ましい。脂肪族炭化水素の市販品としては、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK(以上、エクソンモービル社製)、シェルゾール71(シェルケミカルズジャパン(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2080(以上、出光興産(株)製)、モレスコホワイトP-55、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-260(以上、松村石油(株)製)、コスモホワイトP-60、コスモホワイトP-70(以上、コスモ石油ルブリカンツ(株)製)、ライトール(Sonneborn社製)、NAS-3、NAS-4、NAS-5H(以上、日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでは、イソパラフィン又はポリイソブテンが好ましく、低温定着性の観点から、イソパラフィンがより好ましい。
絶縁性液体の沸点は、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、液体現像剤の低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは0.5mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上であり、そして、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下、さらに好ましくは3mPa・s以下である。
液体現像剤は、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体に加えて、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
液体現像剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させて得られる。トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、湿式粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
なお、ポリエステル系樹脂Pは、自己分散型の樹脂であるため、実質的に分散剤を用いていなくても、絶縁性液体中にトナー粒子を分散させることができる。なお、「実質的に分散剤を用いない」とは、分散剤の含有量が、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、さらに好ましくは0.05質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%未満、さらに好ましくは0質量%である液体現像剤を製造することを意味する。分散剤は、通常液体現像剤の分散剤として用いられているものであれば特に限定されないが、例えば、ポリアミン系のポリマー型分散剤(ソルスパース11200、ソルスパース13940、ソルスパース24000SC、ソルスパース32000(以上、日本ルブリゾール社製)、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)等)、アクリル共重合物のポリマー型分散剤(BYK-116(ビックケミー社製)等)等が挙げられる。
トナー粒子と絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは3.5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.6μm以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、さらに好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは4mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは32mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下、さらに好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下、さらに好ましくは12mPa・s以下である。なお、ここでいう固形分濃度が25質量%の液体現像剤の粘度とは、絶縁性液体の量を調整して液体現像剤の固形分濃度を25質量%に調整して測定した粘度を意味する。液体現像剤の固形分濃度は、25質量%より高い場合は、同じ絶縁性液体により希釈することにより、25質量%よりも低い場合は、絶縁性液体を濃縮等により除去することによって、それぞれ調整することができる。ここで、固形分濃度とは、結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤中の絶縁性液体以外の原料の割合を指す。絶縁性液体以外の原料には、結着樹脂及び着色剤以外に、必要に応じて用いられる、離型剤、荷電制御剤等の添加剤も含まれる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔α-オレフィン重合体の酸変性物の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
示差走査熱量計「DSC Q20」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。吸熱の最大ピーク温度が検出されないものは非晶質であり、検出される場合は樹脂と同様の方法により軟化点を測定して、結晶性指数(軟化点/吸熱の最大ピーク温度)を算出して判断する。
〔α-オレフィン重合体の酸変性物の重量平均分子量(Mw)〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、試料をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
〔樹脂及び酸変性物の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01~0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070:1992の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔分散剤の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散剤(分散剤溶液から絶縁性液体を留去)をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散剤(分散剤溶液から絶縁性液体を留去)をテトラヒドロフランに溶解させた。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とした。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
〔分散剤のアミン価〕
ASTM D2074の方法により測定する。但し、試料の溶解溶媒にはクロロホルムを用い、滴定溶液には0.1mol/L過塩素酸酢酸標準溶液を用いる。
ASTM D2074の方法により測定する。但し、試料の溶解溶媒にはクロロホルムを用い、滴定溶液には0.1mol/L過塩素酸酢酸標準溶液を用いる。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0~8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6~7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5~15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P1~P4)を得た。
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。190℃まで冷却し、表1に示す酸変性物を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P1~P4)を得た。
樹脂製造例2
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で20時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P5)を得た。
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で20時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂P5)を得た。
樹脂製造例3
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂1)を得た。
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、235℃に昇温した後、235℃で1時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂1)を得た。
樹脂製造例4
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。160℃まで冷却し、表1に示すドデセニル無水コハク酸を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で5時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂2)を得た。
表1に示すアルコール成分を、窒素導入管を装備した脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10リットル容の四つ口フラスコに入れ、100℃に昇温した後、表1に示すテレフタル酸を添加し、160℃まで昇温し、表1に示すエステル化触媒とエステル化助触媒を添加し、235℃まで昇温し、235℃で10時間反応させた後、235℃、8.0kPaにて1時間反応させた。160℃まで冷却し、表1に示すドデセニル無水コハク酸を添加し、再度、235℃まで昇温し、235℃で5時間重縮合反応させ、さらに235℃、8.0kPaにて表1に示す軟化点に到達するまで反応させて、ポリエステル樹脂(樹脂2)を得た。
分散剤の製造例1
溶媒(メチルエチルケトン)100gを、冷却管、窒素導入管、撹拌機及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を80℃に加温して、表2に示す原料モノマーと重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、80℃でさらに3時間反応させた。80℃で溶媒を留去し、表2に示す物性を有するアミノ基含有共重合体(分散剤D)を得た。
溶媒(メチルエチルケトン)100gを、冷却管、窒素導入管、撹拌機及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を80℃に加温して、表2に示す原料モノマーと重合開始剤の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、80℃でさらに3時間反応させた。80℃で溶媒を留去し、表2に示す物性を有するアミノ基含有共重合体(分散剤D)を得た。
マゼンタ液体現像剤の製造例1
表3に示す結着樹脂と着色剤を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
表3に示す結着樹脂と着色剤を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が120℃及び混練物排出側が100℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子35質量部と表3に示す絶縁性液体(「アイソパーL」(エクソンモービル社製、イソパラフィン、導電率6.2×10-13S/m、沸点:203℃、25℃における粘度1mPa・s)又は「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s))65質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度35質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「アイソパーL」(エクソンモービル社製)40質量部を加えて希釈し、固形分濃度が25質量%の、表3に示す物性を有するマゼンタ液体現像剤(M1~M9、M14~M16)を得た。
マゼンタ液体現像剤の製造例2
表3に示す結着樹脂を用い、実施例1と同様の方法で湿式粉砕を行ったが、途中でトナー粒子の体積中位粒径(D50)が低下しなくなったため中断し、実施例1と同様にビーズろ過及び絶縁性液体による希釈を行い、表3に示す物性を有するマゼンタ液体現像剤(M10、M12、M13)を得た。
表3に示す結着樹脂を用い、実施例1と同様の方法で湿式粉砕を行ったが、途中でトナー粒子の体積中位粒径(D50)が低下しなくなったため中断し、実施例1と同様にビーズろ過及び絶縁性液体による希釈を行い、表3に示す物性を有するマゼンタ液体現像剤(M10、M12、M13)を得た。
マゼンタ液体現像剤の製造例3
トナー粒子分散液を得る際に、絶縁性液体の使用量を63.6質量部に変更し、分散剤Dを1.4質量部使用して、トナー粒子とともに攪拌した以外は、マゼンタ液体現像剤M1と同様の方法で、表3に示す物性を有するマゼンタ液体現像剤(M11)を得た。
トナー粒子分散液を得る際に、絶縁性液体の使用量を63.6質量部に変更し、分散剤Dを1.4質量部使用して、トナー粒子とともに攪拌した以外は、マゼンタ液体現像剤M1と同様の方法で、表3に示す物性を有するマゼンタ液体現像剤(M11)を得た。
イエロー液体現像剤の製造例1
表4に示す結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体を使用し、マゼンタ液体現像剤M1と同様の方法で、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y1~Y7、Y10、Y13)を得た。
表4に示す結着樹脂、着色剤、及び絶縁性液体を使用し、マゼンタ液体現像剤M1と同様の方法で、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y1~Y7、Y10、Y13)を得た。
イエロー液体現像剤の製造例2
表4に示す結着樹脂を用い、実施例1と同様の方法で湿式粉砕を行ったが、途中でトナー粒子の体積中位粒径(D50)が低下しなくなったため中断し、実施例1と同様にビーズろ過及び絶縁性液体による希釈を行い、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y8、Y11、Y12)を得た。
表4に示す結着樹脂を用い、実施例1と同様の方法で湿式粉砕を行ったが、途中でトナー粒子の体積中位粒径(D50)が低下しなくなったため中断し、実施例1と同様にビーズろ過及び絶縁性液体による希釈を行い、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y8、Y11、Y12)を得た。
イエロー液体現像剤の製造例3
トナー粒子分散液を得る際に絶縁性液体の使用量を63.6質量部に変更し、分散剤Dを1.4質量部使用して攪拌した以外は、イエロー液体現像剤Y1と同様の方法で、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y9)を得た。
トナー粒子分散液を得る際に絶縁性液体の使用量を63.6質量部に変更し、分散剤Dを1.4質量部使用して攪拌した以外は、イエロー液体現像剤Y1と同様の方法で、表4に示す物性を有するイエロー液体現像剤(Y9)を得た。
実施例1~11及び比較例1~7
表5に示すマゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を組み合わせ、下記試験に供し、積層画像の低温定着性と濃度均一性を評価した。
表5に示すマゼンタ液体現像剤とイエロー液体現像剤を組み合わせ、下記試験に供し、積層画像の低温定着性と濃度均一性を評価した。
(1) マゼンタ層とイエロー層の積層画像の低温定着性
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)にマゼンタ液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その上に、イエロー液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が80℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。その後、定着ロール温度を120℃まで5℃ずつ上昇させながら、上記のような定着処理を行い、各温度で定着画像を得た。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエムジャパン(株)製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後のマゼンタ、イエロー各色の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印字部分を各5点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。マゼンタ、イエロー各色の定着率(%)を、それぞれ剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から算出し、マゼンタとイエローの定着率の平均からマゼンタ層とイエロー層の積層画像の定着率(M/Y重ね時の定着率)を算出した。M/Y重ね時の定着率が最初に90%以上となる定着ロールの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表5に示す。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを示す。
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)にマゼンタ液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その上に、イエロー液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が80℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。その後、定着ロール温度を120℃まで5℃ずつ上昇させながら、上記のような定着処理を行い、各温度で定着画像を得た。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエムジャパン(株)製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後のマゼンタ、イエロー各色の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印字部分を各5点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。マゼンタ、イエロー各色の定着率(%)を、それぞれ剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から算出し、マゼンタとイエローの定着率の平均からマゼンタ層とイエロー層の積層画像の定着率(M/Y重ね時の定着率)を算出した。M/Y重ね時の定着率が最初に90%以上となる定着ロールの温度を最低定着温度とし、低温定着性を評価した。結果を表5に示す。最低定着温度が低いほど低温定着性に優れることを示す。
(2) マゼンタ層とイエロー層の積層画像の画像濃度及び濃度均一性
低音定着性の評価において、最低定着温度での定着画像を用い、マゼンタ、イエロー各色の画像印字部分の画像濃度を各5点測定し、その平均値を画像濃度(OD)として算出した。さらに、5点の測定値の最大値から最小値を引いた値(ODmax-ODmin)を算出し、画像の濃度均一性を評価した。結果を表5に示す。ODmax-ODminが小さいほど濃度均一性に優れることを示す。
低音定着性の評価において、最低定着温度での定着画像を用い、マゼンタ、イエロー各色の画像印字部分の画像濃度を各5点測定し、その平均値を画像濃度(OD)として算出した。さらに、5点の測定値の最大値から最小値を引いた値(ODmax-ODmin)を算出し、画像の濃度均一性を評価した。結果を表5に示す。ODmax-ODminが小さいほど濃度均一性に優れることを示す。
以上の結果より、実施例1~11の液体現像剤セットは、小粒径、低粘度で、マゼンタ層とイエロー層を重ねても、低温定着性、画像濃度、及び画像濃度の均一性がいずれも良好であることが分かる。実施例1と10の比較より、自己分散型のポリエステル樹脂Pのみを用いた方がいずれの性能も優れることがわかる。また、実施例1と11の比較より、ポリエステル樹脂Pとして、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、酸変性物Aが重縮合した重縮合物を用いた場合の方がいずれの性能も優れることがわかる。
これに対して、比較例1~7では、少なくともいずれかに欠けている。例えば、所定の着色剤以外のものを用いた比較例3、6、7では、画像濃度が低く、画像濃度の均一性も不十分である。また、非自己分散型のポリエステル樹脂を含む比較例1は、小粒径、低粘度化が不十分であり、画像濃度が低く、画像濃度の均一性も不十分である一方、比較例2に示すように、分散剤を併用することで、小粒径、低粘度化しやすくなるものの、低温定着性がさらに低下することが分かる。
これに対して、比較例1~7では、少なくともいずれかに欠けている。例えば、所定の着色剤以外のものを用いた比較例3、6、7では、画像濃度が低く、画像濃度の均一性も不十分である。また、非自己分散型のポリエステル樹脂を含む比較例1は、小粒径、低粘度化が不十分であり、画像濃度が低く、画像濃度の均一性も不十分である一方、比較例2に示すように、分散剤を併用することで、小粒径、低粘度化しやすくなるものの、低温定着性がさらに低下することが分かる。
本発明の液体現像剤セットは、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (6)
- 結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と絶縁性液体とを含有し、該結着樹脂が、アルコール成分由来の構成単位と、炭素数3以上18以下のα-オレフィンの重合体の酸変性物Aを含むカルボン酸成分由来の構成単位を含むポリエステル系樹脂Pを60質量%以上含有する、液体現像剤のセットであって、前記着色剤が、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド146、又はC.I.ピグメントレッド122であるマゼンタ液体現像剤と、前記着色剤が、C.I.ピグメントイエロー185であるイエロー液体現像剤を含む、液体現像剤セット。
- 酸変性物A由来の構成単位の量が、アルコール成分由来の構成単位と酸変性物A以外のカルボン酸成分由来の構成単位の合計100質量部に対して、10質量部以上45質量部以下である、請求項1記載の液体現像剤セット。
- 着色剤の含有量が、トナー粒子中、10質量%以上35質量%以下である、請求項1又は2記載の液体現像剤セット。
- ポリエステル系樹脂Pが、アルコール成分と酸変性物A以外のカルボン酸成分との重縮合物に、該酸変性物Aが重縮合した重縮合物である、請求項1~3いずれか記載の液体現像剤セット。
- トナー粒子中のポリエステル系樹脂Pと着色剤の質量比(ポリエステル系樹脂P/着色剤)が、2.1以上10以下である、請求項1~4いずれか記載の液体現像剤セット。
- ポリエステル系樹脂Pと着色剤の合計含有量が、トナー粒子中、65質量%以上である、請求項1~5いずれか記載の液体現像剤セット。
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