JP6604735B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤及びその製造方法に関する。
電子写真用現像剤には、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー成分を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー成分が絶縁性の担体液中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤は、トナー粒子の小粒径化が可能であることから画質の面で優れており、商業印刷用途に適している。
特許文献1には、静電潜像をベルト又はローラー部材上に塗布された液体トナーによって現像するプロセスにおいて、液体トナーが着色剤と少なくとも反応性シリコーン化合物との共重合体と非水系分散媒とから成ることを特徴とする画像形成方法が開示されている。
特許文献2には、高絶縁性担体液に着色剤と樹脂とを主成分とするトナー又はインクを分散してなる電子写真用液体現像剤であって、反応性シリコーン化合物を含有することを特徴とする電子写真現像剤が開示されている。
特開平11−160918号公報 特開2000−206738号公報
近年、高速化への要求が高まっていることから、液体現像剤の低粘度化が求められている。つまり、トナー粒子が低粘度で安定に分散した液体現像剤が求められている。また、トナーの粉砕性、低温定着性、耐擦過性に優れた、液体現像剤が求められている。
本発明は、低粘度でありながら、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性に優れた液体現像剤及びその製造方法に関する。
本発明は、
〔1〕 酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記分散剤が、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換してなるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000mm2/s以下である、液体現像剤、並びに
〔2〕 工程1:少なくとも、酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
工程2:工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記分散剤が、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換してなるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000m2/s以下である、液体現像剤の製造方法
に関する。
本発明の液体現像剤は、低粘度でありながら、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性に優れるという効果を奏する。
本発明の液体現像剤は、所定の酸価を有するポリエステル樹脂Pと顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散した液体現像剤であって、分散剤が、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAを含有している点に1つの特徴を有している。
即ち、前記アミノ変性シリコーン中のアミノ基がポリエステル樹脂Pのカルボキシ基と適度な親和性を有することで、アミノ変性シリコーンが前記トナー粒子に適度に吸着しており、また、前記アミノ変性シリコーン中のシリコーン鎖が絶縁性液体と適度な親和性を有することで、該トナー粒子が、アミノ変性シリコーンを介して、絶縁性液体中に分散されていると考えられ、本発明の液体現像剤は低粘度でありながら、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性に優れる。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明の液体現像剤が低粘度であるのは、トナー粒子に吸着したアミノ変性シリコーンのシリコーン鎖同士が立体反発することによるものであると考えられる。
また、粉砕性が向上するのは、粉砕により生じたトナー粒子の界面に存在するポリエステル樹脂Pのカルボキシ基とアミノ変性シリコーンのアミノ基とが結合することで、アミノ変性シリコーンが素早く吸着し、再凝集を抑制できるためと考えられる。
さらに、低温定着性が向上するのは、定着時の熱により、トナー粒子からアミノ変性シリコーンが脱離するとともに、絶縁性液体が気化することで、トナー粒子同士がポリエステル樹脂Pを介して、容易に凝集・融着するためと考えられる。
また、耐擦過性に優れるのは、定着時に画像表面にブリードしたアミノ変性シリコーンのシリコーン鎖が画像表面上に広がるためと推定される。
本発明の液体現像剤において、ポリエステル樹脂Pはトナー粒子の結着樹脂となる樹脂であり、所定の酸価を有するものである。
本発明において、ポリエステル樹脂Pの酸価は、低温定着性及び粉砕性の観点から、3mgKOH/g以上であり、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは7mgKOH/g以上であり、低粘度化、低温定着性、及び耐擦過性の観点から、80mgKOH/g以下であり、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂Pの酸価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
ポリエステル樹脂Pは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合を含む工程により得られる。
アルコール成分としては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられ、トナーの低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
脂肪族ジオールの炭素数は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、好ましくは6以下、より好ましくは4以下である。
脂肪族ジオールとしては、トナーの低粘度化、粉砕性及び低温定着性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。具体的には、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分は、低粘度化、粉砕性及び低温定着性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物を含有することが好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。なお、ジカルボン酸化合物とは、ジカルボン酸、カルボン酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル及び酸無水物を指す。
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、低粘度化、粉砕性、及び低温定着性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
また、トナーの耐高温オフセット性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、3価以上のカルボン酸化合物を含有していてもよい。
3価以上のカルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等が挙げられ、トナーの耐高温オフセット性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)及びその酸無水物が好ましく、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸の無水物(無水トリメリット酸)がより好ましい。
3価以上のカルボン酸化合物の含有量は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは30モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下、さらに好ましくは1モル%以下であり、好ましくは0モル%以上であり、0モル%が好ましい。
他のカルボン酸成分としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;未精製ロジン、精製ロジン等のロジン;フマル酸、マレイン酸又はアクリル酸等で変性されたロジン、これらの酸無水物、アルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、ポリエステル樹脂Pの軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂Pにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂Pの酸価を低減する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上であり、好ましくは1.15以下、より好ましくは1.10以下である。
アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合は、例えば、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは180℃以上250℃以下程度の温度で行うことができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上1.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上1.0質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0.01質量部以上0.1質量部以下である。
本発明において、ポリエステル樹脂とは、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合により形成されるポリエステルユニットを含む樹脂をいい、ポリエステル、ポリエステルポリアミド、ポリエステル成分を含む2種以上の樹脂成分を有する複合樹脂、例えば、ポリエステル成分と付加重合系樹脂成分とが両反応性モノマーを介して部分的に化学結合したハイブリッド樹脂等が含まれる。ポリエステルユニットの含有量は、ポリエステル樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である。
また、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されていてもよい。例えば、変性されたポリエステルとしては、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
ポリエステル樹脂Pの軟化点は、トナーの耐高温オフセット性、耐擦過性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは75℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上であり、トナーの低温定着性及び粉砕性を向上させる観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは95℃以下、さらに好ましくは90℃以下である。
ポリエステル樹脂の軟化点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度は、耐擦過性、耐久性及び耐熱保存性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは43℃以上、さらに好ましくは45℃以上であり、トナーの低温定着性及び粉砕性を向上させる観点から、好ましくは65℃以下、より好ましくは60℃以下、さらに好ましくは55℃以下である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等によって制御することができる。
本発明の液体現像剤は、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル樹脂P以外の他の樹脂が含有されていてもよいが、ポリエステル樹脂Pの含有量は、樹脂の総量中、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%であり、即ち樹脂として、ポリエステル樹脂Pのみを用いることがさらに好ましい。ポリエステル樹脂P以外の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂P以外のポリエステル樹脂、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
顔料の含有量は、トナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であり、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。
本発明では、トナー原料として、さらに、離型剤、荷電制御剤、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用されていてもよい。
本発明の液体現像剤は、ポリエステル樹脂Pと顔料を含有するトナー粒子を、分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散したものである。
本発明において、分散剤は、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAを含有する。
本発明に用いられるアミノ変性シリコーンは特別な構造のものでもよいが一般に市販されている汎用のものが使用できる。汎用のアミノ変性シリコーンには変性基の種類、位置、置換度及び重合度が異なるものがある。
アミノ基を含む変性基としては、式(I):
Figure 0006604735
(式中、nは3以上20以下の整数、A及びBは同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1以上22以下の炭化水素基、又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1以上22以下のアミノアルキル基である)
で表される基が好ましい。
変性基に含まれるアミノ基には、炭化水素基、ヒドロキシ炭化水素基等により置換された置換アミノ基も含む。
従って、式(I)で表される変性基において、アミノ基を1個含む基(モノアミノ基)としては、3-アミノプロピル基、N-アルキル(炭素数1以上22以下)アミノプロピル基、N,N-ジメチルアミノプロピル基、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピル基等が、アミノ基を2個含む基(ジアミノ基)としては、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基、N-(2-ジメチルアミノエチル)-3-アミノプロピル基等が挙げられる。これらのなかでは、3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基、及びN-(2-ジメチルアミノエチル)-3-アミノプロピル基が好ましく、入手し易さの観点から、3-アミノプロピル基がより好ましい。
アミノ基を含む変性基の置換位置は、片末端及び側鎖の少なくとも一方である。片末端と側鎖では側鎖が好ましく、片末端と側鎖の両方にアミノ基を含む変性基を有していてもよい。両末端の場合、アミノ変性シリコーンがトナー粒子同士の架橋剤として働くためか、トナー粒子が凝集し易くなる。本発明において、アミノ変性シリコーンAは本発明の効果を損なわない範囲で、他の変性基、例えば、フェニル基、アルキル基、ポリエーテル基等で共変性されていてもよい。
シリコーン鎖の側鎖にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAの具体例としては、式(II):
Figure 0006604735
(式中、R1〜R9は、独立して、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、より好ましくはメチル基であり、X1はアミノ基を含む変性基、好ましくは式(I)で表される基であり、n及びmは1以上の整数を示す。nとmの和は、好ましくは50以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは100以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。)
で表されるアミノ変性シリコーンが好ましい。式(II)において、X1を含む繰り返し単位とX1を含まない繰り返し単位は、ランダムに並んでいてもよい。
シリコーン鎖の片末端にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAの具体例としては、式(III):
Figure 0006604735
(式中、R10〜R16は、独立して、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、好ましくは炭素数1以上3以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、より好ましくはメチル基であり、X2はアミノ基を含む変性基、好ましくは式(I)で表される基であり、pは1以上の整数を示し、好ましくは50以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは100以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは800以下である。)
で表されるアミノ変性シリコーンが、好ましい。
アミノ変性シリコーンAの動粘度は、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性の観点から、200mm2/s以上であり、さらに粉砕性の観点から、好ましくは300mm2/s以上、より好ましくは500mm2/s以上、耐擦過性の観点から、さらに好ましくは700mm2/s以上、さらに好ましくは800mm2/s以上、さらに好ましくは1000mm2/s以上であり、粉砕性及び低温定着性の観点から、10000mm2/s以下であり、好ましくは5000mm2/s以下、より好ましくは3000mm2/s以下、さらに好ましくは2000mm2/s以下、さらに好ましくは1500mm2/s以下である。アミノ変性シリコーンの動粘度は、分子量と正の相関があると考えられる。
アミノ変性シリコーンAのアミン価は、粉砕性及び低温定着性の観点から、好ましくは2mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上であり、粉砕性、低温定着性、及び粘度の観点から、好ましくは150mgKOH/g以下、より好ましくは120mgKOH/g以下、さらに好ましくは100mgKOH/g以下、さらに好ましくは80mgKOH/g以下、さらに好ましくは60mgKOH/g以下である。
アミン価は、分散剤であるアミノ変性シリコーン1gを中和するに必要な、塩酸のモル数に、水酸化カリウム(KOH)の1モルの質量(56000mg)を乗じた値である。
同じ分子量のアミノ変性シリコーンの場合、アミン価が小さいことは、1分子中のアミノ基の存在量が少ないことを意味し、アミン価が大きいことは、1分子中のアミノ基の存在量が多いことを意味する。
アミノ変性シリコーンAの含有量は、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、耐擦過性、粉砕性、粘度の観点から、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは4質量部以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である。
アミノ変性シリコーンAのアミノ基とポリエステル樹脂Pのカルボキシ基のモル比(アミノ変性シリコーンAのアミノ基/ポリエステル樹脂Pのカルボキシ基)は、耐擦過性、粉砕性、及び粘度の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下、さらに好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である。
ここで、アミノ変性シリコーンAのアミノ基のモル数は、前記の通り、アミン価(mgKOH/g)/56000×使用量(g)より算出できる。また、ポリエステル樹脂Pのカルボキシ基のモル数も、酸価を用いて同様に算出することでき、即ち、酸価(mgKOH/g)/56000×使用量(g)より算出できる。
本発明の液体現像剤には、アミノ変性シリコーンA以外の公知の分散剤が含まれていてもよいが、アミノ変性シリコーンAの含有量は、分散剤中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率が、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。また、絶縁性液体は、誘電率が3.5以下であることが好ましい。
絶縁性液体の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等の炭化水素系溶媒、ポリシロキサン、植物油等が挙げられ、炭化水素系溶媒及びポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらのなかでは、低温定着性の観点から、炭化水素系溶媒がより好ましく、低粘度であり、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性のバランスに優れていることから、脂肪族炭化水素がさらに好ましい。脂肪族炭化水素としては、パラフィン系炭化水素、炭素数12以上18以下のオレフィン等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。脂肪族炭化水素のなかでは、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点及び抵抗を高める観点から、パラフィン系炭化水素が好ましい。パラフィン系炭化水素としては、流動パラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。
脂肪族炭化水素の市販品としては、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK、アイソパーM(以上、いずれもエクソンモービル社製)、シェルゾール71、シェルゾールTM(以上、いずれもシェルケミカルズジャパン社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上、いずれも出光興産社製)、モレスコホワイトP-55、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-260(以上、いずれもMORESCO社製)、コスモホワイトP-60、コスモホワイトP-70(以上、いずれもコスモ石油ルブリカンツ社製)、ライトール(Sonneborn社製)、アイソゾール400(JX日鉱日石エネルギー社製)、リニアレン14、リニアレン16、リニアレン18、リニアレン124、リニアレン148、リニアレン168(以上、いずれも出光興産社製)等が挙げられる。
炭化水素系溶媒の含有量は、絶縁性液体中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
絶縁性液体の25℃における粘度は、液体現像剤の現像性を向上させる観点から、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下であり、液体現像剤中でのトナー粒子の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上である。なお、絶縁性液体の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
本発明において、トナー粒子を得る方法としては、ポリエステル樹脂Pや顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、及び水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。かかる観点から、本発明の液体現像剤は、
工程1:少なくとも、ポリエステル樹脂Pと顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
工程2:トナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
を含む方法により製造することが好ましい。
工程1では、少なくとも、ポリエステル樹脂Pと顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る。
工程1の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。混練の繰り返しや分散助剤の使用をしなくても、樹脂中に顔料を効率よく高分散させることができる観点から、オープンロール型混練機を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂Pと顔料は、あらかじめヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。また、必要に応じて、離型剤、荷電制御剤等の添加剤を樹脂等とともに溶融混練に供してもよい。
オープンロール型混練機とは、混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。また、連続式オープンロール型混練機は、少なくとも2本のロールを備えた混練機であることが好ましく、本発明に用いられる連続式オープンロール型混練機は、周速度の異なる2本のロール、即ち、周速度の高い高回転側ロールと周速度の低い低回転側ロールとの2本のロールを備えた混練機である。本発明においては、樹脂への顔料の分散性を向上させる観点から、高回転側ロールは加熱ロール、低回転側ロールは冷却ロールであることが好ましい。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2箇所以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
高回転側ロールの原料投入側端部温度は、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂Pへの分散性を向上させる観点から、80℃以上、160℃以下が好ましく、同様の観点から、低回転側ロールの原料投入側端部温度は30℃以上、100℃以下が好ましい。
高回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出の端部の設定温度の差が、混練物のロールからの脱離を防止する観点、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは2℃以上であり、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは30℃以下である。低回転側ロールは、原料投入側端部と混練物排出端部の設定温度の差が、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料の樹脂への分散性を向上させる観点から、好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下であり、0℃以上であってもよい。
高回転側ロールの周速度は、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料のポリエステル樹脂Pへの分散性を向上させる観点から、好ましくは2m/min以上、より好ましくは10m/min以上、さらに好ましくは25m/min以上であり、好ましくは100m/min以下、より好ましくは75m/min以下であり、さらに好ましくは50m/min以下である。低回転側ロールの周速度は、同様の観点から、好ましくは1m/min以上、より好ましくは5m/min以上、さらに好ましくは10m/min以上であり、好ましくは90m/min以下、より好ましくは60m/min以下、さらに好ましくは30m/min以下、さらに好ましくは20m/min以下であり、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、好ましくは1/10以上、より好ましくは3/10以上であり、好ましくは9/10以下、より好ましくは8/10以下である。
ロールの構造、大きさ、材料等は特に限定されず、ロール表面も、平滑、波型、凸凹型等のいずれであってもよいが、溶融混練時の機械力を低減し、発熱を抑制する観点、及び顔料の樹脂への分散性を向上させる観点から、各ロールの表面には複数の螺旋状の溝が刻んであることが好ましい。
溶融混練により得られた混練物を、粉砕可能な硬度に達するまで適宜冷却し、粉砕する。
粉砕は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、樹脂混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに所望の粒径に微粉砕してもよい。
粉砕に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、ハンマーミル、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられる。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、気流式ジェットミル、流動層式カウンタージェットミル、衝突板式ジェットミル、回転型機械式ミル等が挙げられる。
工程1において、粉砕の後、得られたトナー粒子は、必要に応じて、分級することが好ましい。
分級に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程を繰り返してもよい。
工程1により得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
工程2は、工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程である。
本発明では、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、以下の工程2−1及び工程2−2を含む方法により、工程2を行うことが好ましい。
工程2−1:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程2−2:工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
工程2−1において、トナー粒子、絶縁性液体、及び分散剤の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
トナー粒子と絶縁性液体及び分散剤を高速攪拌混合装置により混合することによって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
続く工程2−2は、工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程である。湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
湿式粉砕に供するトナー粒子分散液の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、トナー粒子分散液の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
湿式粉砕に使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機及び混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及びトナー粒子分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
液体現像剤の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、液体現像剤の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。トナー粒子分散液調製後、希釈、濃縮等の操作がなければ、トナー粒子分散液の固形分濃度が液体現像剤の固形分濃度となるが、湿式粉砕後に絶縁性液体で希釈して固形分濃度を調整してもよい。
本発明の液体現像剤中、ポリエステル樹脂Pの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ、低粘度化の観点から、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、液体現像剤の粉砕性を向上させる観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。なお、ここでの液体現像剤中のポリエステル樹脂Pの含有量とは、液体現像剤を製造する際に、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を得た後、希釈した場合は、希釈後の液体現像剤中の含有量とする。以下、顔料、分散剤、及びアミノ変性シリコーンAについても同様である。
本発明の液体現像剤中、顔料の含有量は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2質量%以上であり、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性の向上、及び低粘度化の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは6質量%以下である。
本発明の液体現像剤中、分散剤の含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ、低粘度化の観点及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
また、本発明の液体現像剤中、アミノ変性シリコーンAの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ、低粘度化の観点及び耐擦過性の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくし、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下であり、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。なお、液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
液体現像剤の25℃における粘度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは15mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下であり、液体現像剤中でのトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは2mPa・s以上、さらに好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは4mPa・s以上である。なお、液体現像剤の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の液体現像剤及びその製造方法を開示する。
<1> 酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記分散剤が、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換してなるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000mm2/s以下である、液体現像剤。
<2> ポリエステル樹脂Pの酸価が、5mgKOH/g以上、好ましくは7mgKOH/g以上であり、60mgKOH/g以下、好ましくは40mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下、さらに好ましくは20mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/g以下である、前記<1>記載の液体現像剤。
<3> ポリエステル樹脂Pが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られた樹脂である、前記<1>又は<2>記載の液体現像剤。
<4> ポリエステル樹脂Pが、アルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合して得られた樹脂である、前記<1>〜<3>いずれか記載の液体現像剤。
<5> ポリエステル樹脂Pが、脂肪族ジオールを含むアルコール成分と芳香族ジカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分とを重縮合して得られた樹脂である、前記<1>〜<4>いずれか記載の液体現像剤。
<6> 脂肪族ジオールの炭素数が、2以上、好ましくは3以上であり、6以下、好ましくは4以下である、前記<3>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> 脂肪族ジオールが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含む、前記<3>〜<6>いずれか記載の液体現像剤。
<8> 脂肪族ジオールの含有量が、アルコール成分中、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、100モル%以下、好ましくは実質的に100モル%、より好ましくは100モル%である、前記<3>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> 第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量が、アルコール成分中、80モル%以上、好ましくは90モル%以上、より好ましくは95モル%以上であり、100モル%以下、好ましくは実質的に100モル%、より好ましくは100モル%である、前記<7>又は<8>記載の液体現像剤。
<10> 芳香族ジカルボン酸化合物の含有量が、カルボン酸成分中、50モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上であり、100モル%以下、好ましくは実質的に100モル%、より好ましくは100モル%である、前記<4>〜<9>いずれか記載の液体現像剤。
<11> ポリエステル樹脂Pが、ポリエステルユニットを含む樹脂であり、該ポリエステルユニットの含有量が、ポリエステル樹脂中、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、好ましくは100質量%以下、より好ましくは100質量%である、前記<1>〜<10>いずれか記載の液体現像剤。
<12> ポリエステル樹脂Pの軟化点が、75℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上であり、120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは90℃以下である、前記<1>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> ポリエステル樹脂Pのガラス転移温度が、40℃以上、好ましくは43℃以上、より好ましくは45℃以上であり、65℃以下、好ましくは60℃以下、より好ましくは55℃以下である、前記<1>〜<12>いずれか記載の液体現像剤。
<14> 顔料の含有量が、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下であり、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である、前記<1>〜<13>いずれか記載の液体現像剤。
<15> アミノ基を含む変性基が、式(I)で表される基である、前記<1>〜<14>いずれか記載の液体現像剤。
<16> 式(I)で表される変性基が、3-アミノプロピル基、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基、及びN-(2-ジメチルアミノエチル)-3-アミノプロピル基からなる群より選ばれた少なくとも1種、好ましくは3-アミノプロピル基である、前記<15>記載の液体現像剤。
<17> アミノ基を含む変性基がシリコーン鎖の側鎖に置換してなる、前記<1>〜<16>いずれか記載の液体現像剤。
<18> シリコーン鎖の側鎖にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAが、式(II)で表されるアミノ変性シリコーンである、前記<1>〜<17>いずれか記載の液体現像剤。
<19> シリコーン鎖の片末端にアミノ基を含む変性基が置換したアミノ変性シリコーンAが、式(III)で表されるアミノ変性シリコーンである、前記<1>〜<18>いずれか記載の液体現像剤。
<20> アミノ変性シリコーンAの動粘度が、300mm2/s以上、好ましくは500mm2/s以上、より好ましくは700mm2/s以上、さらに好ましくは800mm2/s以上、さらに好ましくは1000mm2/s以上であり、5000mm2/s以下、好ましくは3000mm2/s以下、より好ましくは2000mm2/s以下、さらに好ましくは1500mm2/s以下である、前記<1>〜<19>いずれか記載の液体現像剤。
<21> アミノ変性シリコーンAのアミン価が、2mgKOH/g以上、好ましくは3mgKOH/g以上であり、150mgKOH/g以下、好ましくは120mgKOH/g以下、より好ましくは100mgKOH/g以下、さらに好ましくは80mgKOH/g以下、さらに好ましくは60mgKOH/g以下である、前記<1>〜<20>いずれか記載の液体現像剤。
<22> アミノ変性シリコーンAの含有量が、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは4質量部以上であり、50質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下である、前記<1>〜<21>いずれか記載の液体現像剤。
<23> アミノ変性シリコーンAのアミノ基とポリエステル樹脂Pのカルボキシ基のモル比(アミノ変性シリコーンAのアミノ基/ポリエステル樹脂Pのカルボキシ基)が、0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.15以上であり、5以下、好ましくは3以下、より好ましくは1以下、さらに好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.5以下、さらに好ましくは0.3以下である、前記<1>〜<22>いずれか記載の液体現像剤。
<24> アミノ変性シリコーンAの含有量が、分散剤中、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは実質的に100質量%、より好ましくは100質量%である、前記<1>〜<23>いずれか記載の液体現像剤。
<25> 絶縁性液体が、炭化水素系溶媒及びポリシロキサンからなる群から選ばれる1種以上、好ましくは炭化水素系溶媒、より好ましくは脂肪族炭化水素、さらに好ましくはパラフィン系炭化水素及び/又は炭素数12以上18以下のオレフィン、さらに好ましくはパラフィン系炭化水素である、前記<1>〜<24>いずれか記載の液体現像剤。
<26> 炭化水素系溶媒の含有量が、絶縁性液体中、60質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下、好ましくは実質的に100質量%、より好ましくは100質量%である、前記<25>記載の液体現像剤。
<27> 絶縁性液体の25℃における粘度が、100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下であり、1mPa・s以上、好ましくは1.5mPa・s以上である、前記<1>〜<26>いずれか記載の液体現像剤。
<28> 液体現像剤中、ポリエステル樹脂Pの含有量が、3質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である、前記<1>〜<27>いずれか記載の液体現像剤。
<29> 液体現像剤中、顔料の含有量が、1質量%以上、好ましくは1.5質量%以上、より好ましくは2質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは8質量%以下、より好ましくは6質量%以下である、前記<1>〜<28>いずれか記載の液体現像剤。
<30> 液体現像剤中、分散剤の含有量が、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、8質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<29>いずれか記載の液体現像剤。
<31> 液体現像剤中、アミノ変性シリコーンAの含有量が、0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上であり、8質量%以下、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下である、前記<1>〜<30>いずれか記載の液体現像剤。
<32> 液体現像剤の25℃における粘度が、30mPa・s以下、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下であり、1mPa・s以上、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは4mPa・s以上である、前記<1>〜<31>いずれか記載の液体現像剤。
<33> 工程1:少なくとも、酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
工程2:工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記分散剤が、シリコーン鎖の片末端及び側鎖の少なくとも一方にアミノ基を含む変性基が置換してなるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000m2/s以下である、液体現像剤の製造方法。
<34> 工程1における溶融混練を、オープンロール型混練機を用いて行う、前記<33>記載の液体現像剤の製造方法。
<35> 工程2が、
工程2−1:工程1で得られたトナー粒子に分散剤を加え、絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程2−2:工程2−1で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含む、前記<33>又は<34>記載の液体現像剤の製造方法。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(株式会社島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q20」(TA instruments社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔アミノ変性シリコーンの動粘度〕
JIS Z 8803に従って測定する。
〔アミノ変性シリコーンのアミン価〕
200mL容のマイヤーフラスコに試料1gを精秤し、これにイソプロピルアルコール25mL、トルエン25mLを加え充分撹拌する。次に、自動適定装置を用いて0.1N塩酸水溶液で当量点まで滴定し、次式によりアミン価を算出する。
アミン価(mgKOH/g)=0.1N塩酸使用量(mL)/1000×56000)
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター株式会社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター株式会社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター株式会社製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー社製US-1、出力:80W)にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」(マルエム社製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を液体現像剤に浸し、20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」(コクサン社製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
Figure 0006604735
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1〔樹脂A〜C、E、G〕
表1に示す原料モノマーPと、エステル化触媒(2-エチルヘキサン酸錫(II))50gを、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2〔樹脂D〕
キシレン1567gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5L容の四つ口フラスコに入れ、130℃に昇温した。表1に示す原料モノマーS及び重合開始剤(ジブチルパーオキサイド)193gの混合液を130℃で攪拌しながら1.5時間かけて滴下し、さらに1.5時間同温度を保持して付加重合反応を行った。160℃に昇温し、1時間反応を行った後、200℃に昇温し、1時間保持してキシレンを除去した。さらに8.3kPaにて残りのキシレンを除去し、表1に示す物性を有するスチレンアクリル樹脂を得た。
樹脂製造例3〔樹脂F〕
表1に示す原料モノマーPと、エステル化触媒(2-エチルヘキサン酸錫(II))50gを、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、235℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
Figure 0006604735
実施例1〜15及び比較例1〜7(実施例6は参考例である)
表4〜6に示す樹脂 85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、1500r/min(21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(三井鉱山社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
上記で得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック社製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子115.5g、表4〜6に示す絶縁性液体211g、及び表4〜6に示す分散剤を2L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミックス社製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36〜38質量%のトナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6連式サンドミル「TSG-6」(アイメックス社製)で回転数1300r/min(4.8m/sec)にて4時間湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去し、絶縁性液体で希釈して固形分濃度を25質量%に調整後、表4〜6に示す粘度を有する液体現像剤を得た。
実施例及び比較例で用いた分散剤及び絶縁性液体の詳細を表2、3に示す。
Figure 0006604735
Figure 0006604735
試験例1〔粉砕性〕
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)、即ち液体現像剤の製造過程において、4時間湿式粉砕した後のトナー粒子の体積中位粒径(D50)の値から粉砕性を評価した。結果を表4〜6に示す。体積中位粒径が小さいほど粉砕性、即ち分散剤の分散性能に優れることを示し、その値は、3.0μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.0μm以下がさらに好ましい。
試験例2〔低温定着性〕
液体現像剤を白紙「OK金藤」(王子製紙社製、坪量:84.9g/m2、紙厚:75μm)に滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後重量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。
作製した薄膜を、80℃の恒温槽中で10秒間保持した後、「OKI MICROLINE 3010」(沖データ社製)の定着機を外部に取り出した外部定着機にて、定着ロールの温度を80〜160℃に設定し、280mm/secの定着速度で定着させた。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(3M社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)にて測定した。画像印字部は各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着率が90%以上の温度を最低定着温度として定着性を評価した。結果を表4〜6に示す。最低定着温度が低いほど定着性に優れることを示し、その温度は、120℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましく、105℃以下がさらに好ましい。
試験例3〔耐擦過性〕
底面が20mm×20mmの500gの重りに、白紙「OK金藤」(王子製紙社製、坪量:84.9g/m2、紙厚:75μm)を巻きつけ、試験例2において最低定着温度で定着された印字物の上に、紙同士が擦れるように置き、10cmの幅を10往復させた。その後、重りから紙を剥がし、擦れた部分の画像濃度3点の平均値をDaとし、擦れていない部分の画像濃度3点の平均値をDbとし、その差ΔD(Db−Da)を算出した。結果を表4〜6に示す。ΔDが小さいほど、耐紙擦り性、即ち耐擦過性に優れることを示し、その値は、0.21以下が好ましく、0.15以下がより好ましく、0.10以下がさらに好ましく、0.07以下がさらに好ましい。
Figure 0006604735
Figure 0006604735
Figure 0006604735
実施例1〜5、9、比較例1〜4の対比において、分散剤の動粘度が1100〜1200mm2/sである実施例1、3が、低粘度、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性のバランスにより優れることがわかる。
実施例1、6の対比において、ポリエステル樹脂のアルコール成分が、脂肪族アルコールである実施例1が、芳香族アルコールである実施例6よりも、粘度、粉砕性、及び低温定着性により優れることがわかる。
実施例1、7の対比において、ポリエステル樹脂のカルボン酸成分中、芳香族ジカルボン酸化合物が80モル%以上含む実施例1が、50モル%である実施例6よりも、粘度、粉砕性、及び低温定着性により優れることがわかる。
実施例1、8、10〜11の対比において、ポリエステル樹脂の酸価が10mgKOH/gである実施例1が低粘度、粉砕性、低温定着性、及び耐擦過性のバランスにより優れることがわかる。
実施例1、12、13の対比において、ポリエステル樹脂P100質量部に対してアミノ変性シリコーンAを5.9質量部用いた実施例1が粘度、粉砕性、及び低温定着性、耐擦過性のバランスにより優れることがわかる。
実施例1、14、15の対比において、絶縁性液体としてパラフィン系炭化水素を用いた実施例1が、低粘度、粉砕性、低温定着性及び耐擦過性のバランスに優れることがわかる。
比較例5、6の液体現像剤は、アミノ変性シリコーンの変性基をシリコーン鎖の両末端に有しているため、トナー粒子が凝集し、現像剤として使用することができないことが分かる。
比較例7の液体現像剤は、ポリエステル樹脂ではなくスチレン樹脂を含有しているため、トナー粒子が凝集し、液体現像剤として使用できないことがわかる。
本発明の液体現像剤は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (8)

  1. 酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを含有するトナー粒子が分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記ポリエステル樹脂Pが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られた樹脂であり、前記分散剤が、シリコーン鎖の側鎖にアミノ基を含む変性基が置換してなる、式(II):
    Figure 0006604735
    (式中、R1〜R9は、独立して、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、X1はアミノ基を含む変性基であり、n及びmは1以上の整数を示す。)
    で表されるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000mm2/s以下であり、前記絶縁性液体の量を変化させ、固形分濃度25質量%に調整した場合の、回転振動式粘度計により測定した液体現像剤の25℃における粘度が30mPa・s以下1mPa・s以上である、液体現像剤。
  2. アミノ変性シリコーンAの含有量が、ポリエステル樹脂P 100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下である、請求項1記載の液体現像剤。
  3. カルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含む、請求項1又は2記載の液体現像剤。
  4. アミノ変性シリコーンAのアミノ基とポリエステル樹脂Pのカルボキシ基のモル比(アミノ変性シリコーンAのアミノ基/ポリエステル樹脂Pのカルボキシ基)が、0.01以上5以下である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  5. ポリエステル樹脂Pが、ポリエステルユニットを60質量%以上含む樹脂である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  6. 1が、式(I):
    Figure 0006604735
    (式中、nは3以上20以下の整数、A及びBは同一又は異なって、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1以上22以下の炭化水素基、又はヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1以上22以下のアミノアルキル基である)
    で表される基である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  7. 工程1:少なくとも、酸価が3mgKOH/g以上80mgKOH/g以下のポリエステル樹脂Pと顔料とを溶融混練し、得られた混練物を、粉砕して、トナー粒子を得る工程、及び
    工程2:工程1で得られたトナー粒子を、分散剤の存在下で、絶縁性液体中に分散させる工程
    を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記ポリエステル樹脂Pが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを80モル%以上含むアルコール成分とカルボン酸成分とを重縮合して得られた樹脂であり、前記分散剤が、シリコーン鎖の側鎖にアミノ基を含む変性基が置換してなる、式(II):
    Figure 0006604735
    (式中、R1〜R9は、独立して、炭素数1以上12以下の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、X1はアミノ基を含む変性基であり、n及びmは1以上の整数を示す。)
    で表されるアミノ変性シリコーンAを含有し、該アミノ変性シリコーンAの動粘度が200mm2/s以上10000m2/s以下であり、前記絶縁性液体の量を変化させ、固形分濃度25質量%に調整した場合の液体現像剤の、回転振動式粘度計により測定した25℃における粘度が30mPa・s以下1mPa・s以上である、液体現像剤の製造方法。
  8. 工程1における溶融混練を、オープンロール型混練機を用いて行う、請求項記載の製造方法。
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