JP2019012220A - 液体現像剤の製造方法 - Google Patents
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Description
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を有する、液体現像剤の製造方法であって、前記ポリエステル系樹脂の軟化点が120℃以下であり、前記工程1における混練を高回転側ロールと低回転側ロールを有する連続式オープンロール型混練機を用いて行い、該高回転側ロールの温度が100℃以下、該低回転側ロールの温度が27℃以下である、液体現像剤の製造方法
に関する。
本発明では、軟化点が低いポリエステル系樹脂を用いることにより低温定着性を確保することができ、乾式工程においてトナー粒子中に離型剤を配合することにより、高温定着性を向上させることができる。
また、本発明では、乾式工程においてトナー粒子原料の混練に連続式オープンロール型混練機を用い、さらに低回転側ロールの温度を従来よりも低く設定することで、乾式工程で得られるトナー粒子中の離型剤の分散性が向上するとともに、湿式工程で得られる液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性が向上させることができる。この理由は定かではないが、特定の連続式オープンロール型混練機を用いることにより、トナー粒子中での離型剤の分散性が良好になるため、湿式工程で得られるトナー粒子表面への分散剤の吸着性が向上し、分散安定性が向上したものと考えられる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
ロールの温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2箇所以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよいが、その場合、いずれもの温度が上記範囲内であるものとする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
JIS K 0070の方法に基づき測定する。ただし、測定溶媒のみJIS K 0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(Mw 5.9×103)、P-50(Mw 4.73×104)、P-200(Mw 2.12×105)、P-800(Mw 7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として1.00mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-2(Mw 1.81×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-40(Mw 4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
試料25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)を用いて、回転数25,000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れた。180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させた。さらに、8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A1、A3)を得た。なお、樹脂製造例において、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、230℃に昇温した後、230℃にて8時間反応させ、さらに8.3kPaに減圧して1時間反応させた。
170℃に降温し、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を滴下ロートにより1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去及び、両反応性モノマーとポリエステル部位の反応を行い、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する複合樹脂(樹脂A2)を得た。
ジペンタエリスリトール254g(1.0mol)とステアリン酸1707g(6.0mol)を、5L容の4つ口フラスコに入れ、窒素気流下、生成水を留去しながら、220℃で10時間反応した。
その後、トルエン500g及び2-プロパノール330g、10質量%水酸化カリウム水溶液267gを加え、70℃で1時間撹拌し、30分間静置後、水層部を除去した。イオン交換水を用い、70℃でpHが7になるまで洗浄した。得られたワックス含有溶液から減圧下で溶媒を留去し、ろ過、固化、粉砕を経て、ジペンタエリスリトールのステアリン酸によるエステル置換数が6であるエステルワックス(ワックスA)を得た。ワックスAの水酸基価は1.2mgKOH/g、融点は78℃であった。
塩基性窒素含有基原料としてポリエチレンイミン(ポリエチレンイミン300、純正化学(株)製、Mn:1500)20質量部を冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、分散性基原料としてポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)(OLOA15500、シェブロンジャパン(株)製、有効分:78質量%、Mn:1100)266質量部を、キシレン286質量部に溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、分散剤A(Mn:4500、塩基性窒素含有基原料/分散性基(質量比):9/91)を得た。
〔工程1〕
樹脂A 80質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部、及びワックスA 5質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。高回転側ロールの温度は95℃であり、低回転側ロールの温度は表2に示す。また、上記攪拌混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.9質量部、及び分散剤A 1.1質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
「PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。続いて、プリンター「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が80℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。その後、定着ロール温度を130℃まで10℃ずつ上昇させながら、上記のような定着処理を行い、各温度で定着画像を得た。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエムジャパン(株)製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印字部分を各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着率が90%以上になった最も低い温度を低温定着温度、オフセットが発生しない最も高い温度を高温定着温度とした。結果を表2に示す。
これに対し、離型剤を使用していない比較例1では高温定着性が欠けており、また、連続式オープンロール型混練機の低回転側ロールの温度が高すぎる比較例2では、液体現像剤が高粘度化し、トナー粒子の分散安定性に欠けている。
Claims (9)
- 工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤及び離型剤を含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を有する、液体現像剤の製造方法であって、前記ポリエステル系樹脂の軟化点が120℃以下であり、前記工程1における混練を高回転側ロールと低回転側ロールを有する連続式オープンロール型混練機を用いて行い、該高回転側ロールの温度が100℃以下、該低回転側ロールの温度が27℃以下である、液体現像剤の製造方法。 - 高回転側ロールと低回転側ロールの温度差が68℃以上である、請求項1記載の液体現像剤の製造方法。
- 高回転側ロールの周速度が、2m/min以上100m/min以下であり、低回転側ロールと高回転側ロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)が、1/10以上9/10以下である、請求項1又は2記載の液体現像剤の製造方法。
- ポリエステル系樹脂の軟化点と離型剤の融点の差が50℃以下である、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- ポリエステル系樹脂の酸価が、3mgKOH/g以上60mgKOH/g以下である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- ポリエステル系樹脂が、ポリエステル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を含有する複合樹脂である、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- 離型剤が、合成エステルワックスを含有する、請求項1〜6いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- 合成エステルワックスが、ジペンタエリスリトールの炭素数14以上24以下の脂肪族カルボン酸エステルからなるエステルワックスを含有する、請求項7記載の液体現像剤の製造方法。
- 分散剤が、塩基性窒素含有基を有する塩基性分散剤を含有する、請求項1〜8いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
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