JP2019184873A - 液体現像剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー粒子の分散安定性と耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤の製造方法に関すること。【解決手段】工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物である、液体現像剤の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤の製造方法に関する。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているので、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるため、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっていることから、少ない熱量でトナー粒子が溶融定着可能な液体現像剤、すなわち低温定着性に優れる液体現像剤が求められている。
特許文献1では、絶縁性液体に溶解するワックスを添加することで転写時の画像の乱れを抑制し高画質な印字物が得られことが開示されている。
特許文献2では、結着樹脂、及び該結着樹脂のガラス転移温度未満の温度下において絶縁性液体に溶出しないワックスを含むトナーが、ドキュメントオフセットを抑制することが開示されている。
特許文献3では、結着樹脂、ワックス、絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、該トナー粒子がワックス相溶化剤を含有することで、絶縁性液体中での分散安定性、定着性に優れることが開示されている。
しかしながら、トナー粒子中に含有されるワックスの分散性が悪いと、絶縁性液体にワックスが溶解し絶縁性液体中の粘度が高くなることで、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性が悪化することがある。また、トナー粒子中にワックス分散剤、例えば、分子内に結晶性を有する疎水性ユニットと塩基性窒素含有基を有するユニットを有する物質を含有しワックス分散を良好にすると、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性と定着性が優れる一方で、画像面と画像面が密着した状態で重ねて印刷物を保管すると、画像面同士が接着する現象、いわゆるドキュメントオフセットが発生しやすくなるという課題が生じる。
本発明は、トナー粒子の分散安定性と耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤の製造方法に関する。
本発明は、
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物である、液体現像剤の製造方法に関する。
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物である、液体現像剤の製造方法に関する。
本発明の方法により、トナー粒子の分散安定性と耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤が得られる。
本発明は、
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物であり、トナー粒子の分散安定性と耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤が得られる方法である。
工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物であり、トナー粒子の分散安定性と耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤が得られる方法である。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
液体現像剤の製造方法として、予め結着樹脂、着色剤等の原料を、乾式で混合し、混練、粉砕した後、得られたトナー粒子を、絶縁性液体等と混合して、さらに粉砕、好ましくは湿式粉砕することにより、着色剤等の添加剤が結着樹脂により均一に分散し、かつ小粒径のトナー粒子が分散した液体現像剤を得る方法が広く採用されており、本発明においても、乾式で行う工程1と湿式で行う工程2を行う。
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料からなる。通常、結着樹脂とワックスは非相溶な関係であるため、工程1での混練後の結着樹脂中におけるワックスの分散が悪くなる。そこで、本発明では、工程1の混練時に化合物Xをトナー粒子中に含有させることで、結着樹脂の酸性基と化合物Xの塩基性窒素含有基との酸塩基相互作用により、結着樹脂中に化合物Xが分散し、且つ、化合物Xのワックス分散性基とワックスが相互作用するため、結着樹脂中でのワックスの分散が向上する。次いで、工程2における湿式粉砕時に結着樹脂中でワックスが分散しているため、絶縁性液体中にワックスが溶解し難く分散安定性に優れる液体現像剤が得られる。また、トナー粒子中にワックスが含有していることで、紙面上に印字された画像表面にワックスがブリードアウトするため、表面でのスペーサー効果によって、耐ドキュメントオフセット性が向上する。
液体現像剤の製造方法として、予め結着樹脂、着色剤等の原料を、乾式で混合し、混練、粉砕した後、得られたトナー粒子を、絶縁性液体等と混合して、さらに粉砕、好ましくは湿式粉砕することにより、着色剤等の添加剤が結着樹脂により均一に分散し、かつ小粒径のトナー粒子が分散した液体現像剤を得る方法が広く採用されており、本発明においても、乾式で行う工程1と湿式で行う工程2を行う。
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料からなる。通常、結着樹脂とワックスは非相溶な関係であるため、工程1での混練後の結着樹脂中におけるワックスの分散が悪くなる。そこで、本発明では、工程1の混練時に化合物Xをトナー粒子中に含有させることで、結着樹脂の酸性基と化合物Xの塩基性窒素含有基との酸塩基相互作用により、結着樹脂中に化合物Xが分散し、且つ、化合物Xのワックス分散性基とワックスが相互作用するため、結着樹脂中でのワックスの分散が向上する。次いで、工程2における湿式粉砕時に結着樹脂中でワックスが分散しているため、絶縁性液体中にワックスが溶解し難く分散安定性に優れる液体現像剤が得られる。また、トナー粒子中にワックスが含有していることで、紙面上に印字された画像表面にワックスがブリードアウトするため、表面でのスペーサー効果によって、耐ドキュメントオフセット性が向上する。
本発明は、後述の工程1及び工程2を含む方法により、液体現像剤を製造する方法である。
工程1は、ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程である。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂等の他の樹脂とを含有する複合樹脂等が挙げられ、ポリエステル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を含有する複合樹脂が好ましい。
ポリエステル樹脂は、2価以上のアルコールを含むアルコール成分と2価以上のカルボン酸系化合物を含むカルボン酸成分との重縮合物が好ましい。
2価のアルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール、好ましくは炭素数2以上20以下、より好ましくは炭素数2以上15以下の脂肪族ジオールや、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、そして、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは4以下である)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。脂肪族ジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられる。
アルコール成分としては、乾式工程で得られるトナー粒子の粉砕性を向上させ、小粒径のトナー粒子を含む液体現像剤を得る観点、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
2価のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数3以上30以下、好ましくは炭素数3以上20以下、より好ましくは炭素数3以上10以下のジカルボン酸、それらの無水物、又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。ジカルボン酸の具体例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸や、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、液体現像剤の低温定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、脂肪族ジカルボン系化合物が好ましく、フマル酸がより好ましい。脂肪族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
3価以上のカルボン酸系化合物としては、例えば、炭素数4以上20以下、好ましくは炭素数6以上20以下、より好ましくは炭素数7以上15以下、さらに好ましくは炭素数8以上12以下、さらに好ましくは炭素数9以上10以下の3価以上のカルボン酸、それらの無水物、又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等が挙げられる。具体的には、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、又はそれらの酸無水物等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸系化合物の含有量は、乾式工程におけるトナー粒子の粉砕性の観点から、カルボン酸成分中、好ましくは30モル%以下、より好ましくは20モル%以下である。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステル樹脂におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
また、ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂を有する複合樹脂について、その原料モノマー及び製造方法は、特開2017−62379号公報の段落〔0017〕〜〔0048〕に記載の複合樹脂HCと同様である。
ポリエステル系樹脂の軟化点は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上であり、そして、液体現像剤の低温定着性の観点から、好ましくは120℃以下、より好ましくは115℃以下、さらに好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。
ポリエステル系樹脂の酸価は、トナー粒子への分散剤の吸着の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは60mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル系樹脂の含有量は、結着樹脂中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、100質量%、即ち、ポリエステル系樹脂のみを用いることがさらに好ましい。ただし、本発明の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂を含有してもよい。ポリエステル系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン-Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の使用量は、画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、乾式工程によって得られるトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径化する観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。
ワックスは、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、サゾールワックス等の炭化水素系ワックス又はそれらの酸化物;カルナウバワックス、モンタンワックス又はそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス;脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられる。これらの中でも、耐ホットオフセット性をより向上させる観点から、炭化水素系ワックス及びエステル系ワックスから選ばれた1種以上が好ましく、炭化水素系ワックスがより好ましく、パラフィンワックスがさらに好ましい。
ワックスの融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、そして、好ましくは140℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下である。
ワックスの使用量は、結着樹脂100質量部に対して、耐オフセット性の観点から、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、そして、液体現像液中の分散安定性の観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
本発明では、トナー粒子中でワックスを微分散させるために化合物Xを用いる。化合物Xは、塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物である。
塩基性窒素含有基は、アミノ基(-NH2、-NHR、-NHRR’)、イミノ基(=NH)、シアノ基(-CN)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(=N2)、及びアジ基(-N3)からなる群より選ばれた少なくとも1種である。ここで、R、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。トナー粒子中でのワックス分散性の観点からは、イミノ基及び/又はアミノ基が好ましく、液体現像剤の帯電性の観点から、アミノ基がより好ましい。
塩基性窒素含有基以外に含まれる官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、ホルミル基、アセタール基、オキシム基、チオール基等が挙げられる。
化合物Xにおける塩基性窒素含有基の占める割合は、トナー粒子中でのワックス分散性の観点から、ヘテロ原子の個数換算で、好ましくは70個数%以上、より好ましくは80個数%以上、さらに好ましくは90個数%以上、さらに好ましくは95個数%以上、さらに好ましくは100個数%である。
塩基性窒素含有基原料としては、ポリアルキレンアミン、ポリアリルアミン、及びポリアミノアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のポリアミン化合物が好ましく、ポリアルキレンアミン又はポリアリルアミンがより好ましく、ポリアルキレンアミンがさらに好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、酸性基を有する結着樹脂との酸塩基相互作用の観点から、1級及び2級から選ばれる少なくとも1種のアミノ基を有するポリアルキレンアミンが好ましい。
ポリアルキレンアミンとしては、例えば、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミン、ポリブチレンアミン等が挙げられ、これらの中ではポリエチレンアミンが好ましい。
ポリエチレンアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンヘキサミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。これらの中では、結着樹脂中でのワックス分散を向上させる観点から、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、又はポリエチレンイミンが好ましい。
ポリエチレンイミンは、1級アミノ基、2級アミノ基、及び3級アミノ基を含む、分岐構造を有することが好ましい。
ポリエチレンイミンの数平均分子量は、300以上が好ましく、好ましくは15,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下、さらに好ましくは2,000以下である。
ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、「エポミン」シリーズの「SP-003」、「SP-006」、「SP-012」、「SP-018」(以上、純正化学(株)製)が挙げられる。
ポリアリルアミンとしては、例えば、アリルアミン重合体、ジメチルアリルアミン共重合体、部分メトキシカルボニル化アリルアミン重合体等が挙げられる。
ポリアミノアルキルメタクリレートとしては、例えば、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートが挙げられる。
塩基性窒素含有基原料の数平均分子量は、酸性基を有する結着樹脂への吸着性の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは300以上、さらに好ましくは500以上、さらに好ましくは1,000以上であり、そして、好ましくは15,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは5,000以下、さらに好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下、さらに好ましくは2,000以下である。
ワックス分散性基原料としては、炭素数16以上の炭化水素基と反応性の官能基を有する化合物が好ましい。
炭素数16以上の炭化水素基はワックス分散性基として作用するものであり、炭素数16以上24以下の炭化水素基が好ましく、例えば、ヘキサデカン、オクタデカン、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコサン、ドコサン等に由来する基が挙げられるが、重合体であるポリオレフィンに由来する基であってもよく、化合物Xはトナーの高温定着性の観点からポリオレフィン骨格を有していることが好ましい点から、数平均分子量が1,000以上のポリオレフィンに由来する基が好ましい。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリメチルペンテン、ポリテトラデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン、ポリエイコセン、ポリドコセン等が挙げられ、これらの中では、ポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、化合物Xの高融点化の観点から、ポリプロピレンがより好ましい。
反応性の官能基としては、カルボキシ基、エポキシ基、ホルミル基、イソシアネート基、ハロゲン原子等が挙げられ、これらの中では、安全性及び反応性の観点から、カルボキシ基又はエポキシ基が好ましく、カルボキシ基がより好ましい。
ワックス分散性基原料としては、ハロゲン原子で一部置換された炭素数16以上の炭化水素、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、炭素数16以上のヒドロキシカルボン酸の重合体、炭素数2以上22以下の二塩基酸と炭素数2以上22以下のジオールの重合体(ただし、二塩基酸とジオールのいずれかの炭素数は16以上22以下)、炭素数16以上のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、反応性の官能基を有するポリオレフィン等が挙げられ、これらの中では、前記観点から、反応性の官能基を有するポリオレフィンが好ましく、カルボン酸系化合物で少なくとも片末端が変性されたポリオレフィンがより好ましく、カルボン酸系化合物で少なくとも片末端が変性されたポリエチレン又はポリプロピレンがさらに好ましく、カルボン酸系化合物で少なくとも片末端が変性されたポリプロピレンがさらに好ましい。
カルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、それらの無水物、又はそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
ポリオレフィン骨格を有するワックス分散性基原料の融点は、トナーの分散安定性の観点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、そして、トナー粒子中でのワックス分散性の観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。
化合物Xの融点は、トナーの分散安定性の観点から、34℃以上であり、好ましくは45℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、トナー粒子中でのワックス分散性の観点から、好ましくは150℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
化合物Xとワックスの質量比(化合物X/ワックス)は、トナーの帯電性の観点から、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは3以下、さらに好ましくは1以下であり、そして、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性の観点から、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上である。
トナー粒子は、結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xに加えて、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
混練に供する結着樹脂、着色剤、ワックス、化合物X、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
トナー原料の溶融混練には、密閉式ニーダー、一軸押出機、又は二軸押出機、オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。着色剤を分散する観点から、オープンロール型混練機又は高温条件に設定することのできる二軸押出機が好ましい。二軸押出機としては、軸の回転方向が同方向に回転できるタイプが好ましい。二軸押出機の市販品としては、生産性を向上させる観点から高速での2軸の噛み合わせが良好な、二軸押出機PCMシリーズ((株)池貝製)が好ましく例示される。
次いで、混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕して、トナー粒子を得る。
粉砕は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1〜5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
工程1において、粉砕後、必要に応じて粉砕物の分級等を行ってもよい。
分級に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
工程1により得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、工程2の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。トナー粒子は、分散剤及び絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
工程2は、工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕(好ましくは湿式粉砕)する工程である。
工程2に供するトナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
工程2における分散剤は、特に限定されず、市販の分散剤(ソルスパース13940(Lubrizol製)等)を使用することができるが、これ以外に化合物Xを工程2の分散剤として使用してもよい。化合物Xは工程1で使用したものと同一であっても、異なっていてもよい。
分散剤の使用量は、トナー粒子100質量部に対して、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、そして、トナーの帯電性観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
絶縁性液体としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系絶縁性液体、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。本発明において、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、絶縁性液体は、炭化水素系絶縁性液体を含有することが好ましく、脂肪族炭化水素系溶媒を含有することがより好ましく、分散安定性及び帯電性の観点から、ポリイソブテンを含有することがさらに好ましい。
ポリイソブテンの重合度は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、チャージャー汚染を抑制する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
ポリイソブテンを含有する絶縁性液体の市販品としては、「NAS-3」、「NAS-4」、「NAS-5H」(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせることができる。
炭化水素系絶縁性液体の含有量は、絶縁性液体中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
絶縁性液体、好ましくは炭化水素系絶縁性液体の沸点は、液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらに好ましくは200℃以上、さらに好ましくは220℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナーの粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤のローラー上での増粘を抑制し成膜性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは1.5mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。
トナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕のような粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
工程2における粉砕は、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、湿式粉砕が好ましい。湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、さらに好ましくは5mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の分散安定性を向上させ、凝集を防止する観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下である。
前記の如く、本発明の方法により、工程2における湿式粉砕時に結着樹脂中でワックスが分散しているため、絶縁性液体中にワックスが溶解し難く分散安定性に優れる液体現像剤が得られる。従って、温度25℃、相対湿度50%の環境下で液体現像剤中でのワックスの絶縁性液体に対する溶解率は、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは9質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下である。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070:1992の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070:1992の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔ワックスの融点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで200℃まで昇温し、その温度から降温速度5℃/minで-10℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで180℃まで昇温し測定する。そこで得られた融解吸熱カーブから観察される吸熱の最高ピーク温度を離型剤の融点とする。
〔塩基性窒素含有基原料の数平均分子量(Mn)〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(5.9×103)、P-50(4.73×104)、P-200(2.12×105)、P-800(7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(5.9×103)、P-50(4.73×104)、P-200(2.12×105)、P-800(7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
〔ワックス分散性基原料及び化合物Xの融点〕
示差走査熱量計「Q20」(TA instruments社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで-50℃まで冷却する。次に試料を-50℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱ピークのピークトップを融点とする。
示差走査熱量計「Q20」(TA instruments社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで-50℃まで冷却する。次に試料を-50℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱ピークのピークトップを融点とする。
〔分散性基原料の数平均分子量(Mn)〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー(株)製)
〔分散剤の数平均分子量(Mn)〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として1.00mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-5000(5.97×103)、F-2(1.81×104)、F-10(9.64×104)、F-40(4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として1.00mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(5.0×102)、A-5000(5.97×103)、F-2(1.81×104)、F-10(9.64×104)、F-40(4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
〔工程1により得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体の導電率〕
試料25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
試料25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)を用いて、回転数25,000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「3-30KS」(シグマ社製)を用いて、回転数25,000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
〔液体現像剤中のワックスの絶縁性液体に対する溶解率〕
遠沈管にトナー粒子を100mgと900mgの絶縁性液体を計量した後、温度25℃、相対湿度50%の環境下でボールミルで24時間撹拌を行った後、ワックス100mgと絶縁性液体900mgを30mL用の遠沈管に入れた後、ボールミルにて24時間撹拌する。その後、遠心分離機にてワックスと絶縁性液体を分離し、上澄みの絶縁性液体をアルミカップに採取し真空乾燥機にて絶縁性液体を除去する。得られた重さ(g)/0.1g(ワックスの重さ)×100からワックスの絶縁性液体に対する溶解率(%)を算出する。
遠沈管にトナー粒子を100mgと900mgの絶縁性液体を計量した後、温度25℃、相対湿度50%の環境下でボールミルで24時間撹拌を行った後、ワックス100mgと絶縁性液体900mgを30mL用の遠沈管に入れた後、ボールミルにて24時間撹拌する。その後、遠心分離機にてワックスと絶縁性液体を分離し、上澄みの絶縁性液体をアルミカップに採取し真空乾燥機にて絶縁性液体を除去する。得られた重さ(g)/0.1g(ワックスの重さ)×100からワックスの絶縁性液体に対する溶解率(%)を算出する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、210℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A1)を得た。
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒、及び重合禁止剤を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、210℃で反応を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A1)を得た。
樹脂製造例2
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A2)を得た。なお、樹脂製造例において、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマーとエステル化触媒を、窒素導入管、98℃の熱水を通した分留管を装備した脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、目的の軟化点に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有するポリエステル樹脂(樹脂A2)を得た。なお、樹脂製造例において、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例3
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温した後、230℃にて8時間反応させ、さらに8.3kPaに減圧して1時間反応させた。170℃に降温し、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去、及び両反応性モノマーとポリエステル樹脂部位の反応を行い、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する複合樹脂(樹脂A3)を得た。
表1に示すポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒、及びエステル化助触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温した後、230℃にて8時間反応させ、さらに8.3kPaに減圧して1時間反応させた。170℃に降温し、表1に示すスチレン系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及び重合開始剤を1時間かけて滴下した。170℃に保持したまま1時間付加重合反応を熟成させた後、210℃に昇温し、8.3kPaにて1時間スチレン系樹脂の原料モノマーの除去、及び両反応性モノマーとポリエステル樹脂部位の反応を行い、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する複合樹脂(樹脂A3)を得た。
化合物Xの製造例1
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した内容積2Lの四つ口フラスコに、表2に示す塩基性窒素含有基原料、ワックス分散性基原料、及びキシレン(和光純薬工業(株)製)328gを入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、さらに、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、化合物X1、X2、X5〜X8を得た。物性を表2に示す。
冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した内容積2Lの四つ口フラスコに、表2に示す塩基性窒素含有基原料、ワックス分散性基原料、及びキシレン(和光純薬工業(株)製)328gを入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持し、さらに、フラスコ内の圧力を下げ、8.3kPaに減圧して溶剤を留去しながら反応を行った。IR分析から、PPSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じたことを確認して、化合物X1、X2、X5〜X8を得た。物性を表2に示す。
化合物Xの製造例2
テトラエチレンペンタミン20gを冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、反応原料として30℃で溶融したイソシアン酸オクタデシル200gを添加し、30分間撹拌した。その後、反応容器内を160℃に加温して1時間保持して、表2に示す物性を有する化合物X3を得た。
テトラエチレンペンタミン20gを冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、反応原料として30℃で溶融したイソシアン酸オクタデシル200gを添加し、30分間撹拌した。その後、反応容器内を160℃に加温して1時間保持して、表2に示す物性を有する化合物X3を得た。
化合物Xの製造例3
表2に示す塩基性窒素含有基原料、ワックス分散性基原料(ハロゲン化アルカン)、炭酸カリウム微細粉末(和光純薬工業(株)製)、及び超脱水アセトニトリル(和光純薬工業(株)製)を、冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管、及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。その後、反応容器内を80℃に昇温して200時間保持した後、減圧して溶剤を留去し、NMR分析によるポリエチレンイミンの1級及び2級アミンのプロトンピークの残留率から、反応率が95%以上であることを確認し、表2に示す物性を有する化合物X4を得た。
表2に示す塩基性窒素含有基原料、ワックス分散性基原料(ハロゲン化アルカン)、炭酸カリウム微細粉末(和光純薬工業(株)製)、及び超脱水アセトニトリル(和光純薬工業(株)製)を、冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管、及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。その後、反応容器内を80℃に昇温して200時間保持した後、減圧して溶剤を留去し、NMR分析によるポリエチレンイミンの1級及び2級アミンのプロトンピークの残留率から、反応率が95%以上であることを確認し、表2に示す物性を有する化合物X4を得た。
分散剤の製造例
塩基性窒素含有基原料としてポリエチレンイミン(ポリエチレンイミン300、純正化学(株)製、Mn:1500)20質量部を冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、分散性基原料としてポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)(OLOA15500、シェブロンジャパン(株)製、有効分:78質量%、Mn:1100)266質量部を、キシレン286質量部に溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、分散剤D(Mn:4500、塩基性窒素含有基原料/分散性基原料(質量比):9/91)を得た。なお、分散剤Dは融点を有しておらず、室温で液体であった。
塩基性窒素含有基原料としてポリエチレンイミン(ポリエチレンイミン300、純正化学(株)製、Mn:1500)20質量部を冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、分散性基原料としてポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)(OLOA15500、シェブロンジャパン(株)製、有効分:78質量%、Mn:1100)266質量部を、キシレン286質量部に溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、分散剤D(Mn:4500、塩基性窒素含有基原料/分散性基原料(質量比):9/91)を得た。なお、分散剤Dは融点を有しておらず、室温で液体であった。
実施例1〜13
<工程1>
表3に示す結着樹脂 79質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部、及び表3に示すワックス6質量部、表3に示す化合物X 3質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
<工程1>
表3に示す結着樹脂 79質量部、着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部、及び表3に示すワックス6質量部、表3に示す化合物X 3質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
同方向回転二軸押出機PCM-30(池貝鉄工社製、軸の直径 2.9cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用した。運転条件は、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。
同方向回転二軸押出機PCM-30(池貝鉄工社製、軸の直径 2.9cm、軸の断面積 7.06cm2)を使用した。運転条件は、バレル設定温度 100℃、軸回転数 200r/min(軸の回転の周速 0.30m/sec)、混合物供給速度 10kg/h(軸の単位断面積あたりの混合物供給量 1.42kg/h・cm2)であった。
得られた混練物を冷却し、粉砕機「ロートプレックス」(ホソカワミクロン社製)により粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
<工程2>
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.9質量部、及び分散剤D 1.1質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子35質量部と絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.9質量部、及び分散剤D 1.1質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)40質量部を加えて希釈し、固形分濃度を26質量%の液体現像剤を得た。
比較例1
化合物Xを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度を26質量%の液体現像剤を得た。
化合物Xを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度を26質量%の液体現像剤を得た。
比較例2
<工程1>
化合物Xを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
<工程1>
化合物Xを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
<工程2>
得られたトナー粒子を用い、実施例1と同様にして、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
得られたトナー粒子を用い、実施例1と同様にして、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、固形分濃度を36質量%のろ液を得た。
得られたろ液100質量部に、絶縁性液体「NAS-4」85質量部にワックスW115質量部を50℃で1時間かけて溶解させて調製したワックス分散溶液(ワックス濃度15質量%)100質量部を加えて希釈し、固形分濃度を26質量%の液体現像剤を得た。
試験例1〔分散安定性〕
液体現像剤を6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定し、分散安定性を評価した。結果を表3に示す。測定した時の粘度が低い程、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性が優れるといえる。
液体現像剤を6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定し、分散安定性を評価した。結果を表3に示す。測定した時の粘度が低い程、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性が優れるといえる。
試験例2〔耐ドキュメントオフセット性〕
PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が120℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。定着した定着画像部を対向させ重ね合わせたものに面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下に静置した。1日静置後、重ね合わせた画像を取り出し、開いたあとの定着画像部の状態を観察し、下記基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表3に示す。
PODグロスコート紙」(王子製紙(株)製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が120℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。定着した定着画像部を対向させ重ね合わせたものに面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下に静置した。1日静置後、重ね合わせた画像を取り出し、開いたあとの定着画像部の状態を観察し、下記基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表3に示す。
〔評価基準〕
A:剥離時に全く剥離音がなく、画像の欠損も見られない
B:剥離時に剥離音がするが、画像の欠損は見られない
C:剥離時に剥離音がし、微小な画像の欠損が見られる
D:剥離時に剥離音がし、大きな画像の欠損が見られる
E:融着して剥離できない
A:剥離時に全く剥離音がなく、画像の欠損も見られない
B:剥離時に剥離音がするが、画像の欠損は見られない
C:剥離時に剥離音がし、微小な画像の欠損が見られる
D:剥離時に剥離音がし、大きな画像の欠損が見られる
E:融着して剥離できない
以上の結果より、実施例1〜13の液体現像剤は、分散安定性と耐ドキュメントオフセット性が良好であることが分かる。これに対し、化合物Xを使用していない比較例1と絶縁性液体にワックスを溶解させた比較例2では、分散安定性と耐ドキュメントオフセット性が欠けている。
本発明の方法により得られる液体現像剤は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (6)
- 工程1:ポリエステル系樹脂を含む結着樹脂、着色剤、ワックス、及び化合物Xを含む原料を混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、並びに
工程2:工程1で得られたトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を混合し、粉砕する工程
を含む、液体現像剤の製造方法であって、前記化合物Xが塩基性窒素含有基原料とワックス分散性基原料との反応物であり、融点が34℃以上の化合物である、液体現像剤の製造方法。 - 塩基性窒素含有基原料が、ポリアルキレンアミン、ポリアリルアミン、及びポリアミノアルキルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上のポリアミン化合物である、請求項1記載の液体現像剤の製造方法。
- ワックス分散性基原料が、炭素数16以上の炭化水素基と反応性の官能基を有する、請求項1又は2記載の液体現像剤の製造方法。
- ワックスが、炭化水素系ワックス及びエステル系ワックスから選ばれた1種以上である、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- ワックスの絶縁性液体に対する溶解率が10質量%以下である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- 化合物Xとワックスの質量比(化合物X/ワックス)が、0.01以上10以下である、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
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