JP2021173957A - 液体現像剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナー粒子が小粒径で、低温定着性及び耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤に関すること。【解決手段】非晶質ポリエステル系樹脂を含有する結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、前記トナー粒子が、さらに、没食子酸エステルを含有する、液体現像剤。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤に関する。
電子写真用現像剤としては、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー成分を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー成分が絶縁性液体中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤ではトナー粒子が絶縁性液体中に油中分散しているので、乾式現像剤と比べて小粒径化が可能である。従って、オフセット印刷を凌駕する高画質の印字物を得ることができるので、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっていることから、液体現像剤の低粘度化が求められている。また、少ない熱量でトナー粒子が溶融定着可能な液体現像剤、すなわち低温定着性に優れる液体現像剤が求められている。
トナーの小粒径化や定着温度を低くするためには、可塑剤等をトナー中に添加してトナーを柔らかくしたり溶融しやすくしたりすればよいが、可塑剤によりトナーが柔らかくなったり溶融しやすしたりすると、画像面と画像面が密着した状態で重ねて印刷物を保管すると、画像面同士が接着する現象、いわゆるドキュメントオフセットが発生しやすくなるという課題が生じる。
一方、特許文献1には、現像剤の劣化を防止するために、ピロガロール等の芳香族化合物を絶縁性液体中に分散させた液体現像剤が開示されている。
また、特許文献2には、液体現像剤の品質劣化を防止するための酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤が用いられている。酸化防止剤は、トナー粒子や分散剤とともに絶縁性液体と混合し、絶縁性液体の酸化を防止する。
本発明は、トナー粒子が小粒径で、低温定着性及び耐ドキュメントオフセット性に優れた液体現像剤に関する。
本発明は、非晶質ポリエステル系樹脂を含有する結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、前記トナー粒子が、さらに、没食子酸エステルを含有する、液体現像剤に関する。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子が小粒径で、低温定着性及び耐ドキュメントオフセット性に優れるという効果を奏するものである。
本発明の液体現像剤は、結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤及び絶縁性液体を含有するものであって、結着樹脂として非晶質ポリエステル系樹脂を含有し、トナー粒子がさらに没食子酸エステルを含有している点に大きな特徴を有するものであり、これにより、トナー粒子が小粒径で、低温定着性及び耐ドキュメントオフセット性に優れるものである。
このような効果を奏する理由は定かではないが、没食子酸エステルが、混練時には溶融し非晶質ポリエステル系樹脂と相溶するが、混練後の室温では、結晶化してトナー粒子中に微分散された状態になり、粉砕時の粉砕起点となり小粒径化が進行するものと推定される。
また、没食子酸エステルが、定着時には速やかに溶融し、非晶質ポリエステルを相溶・可塑化することでトナー粒子の低温定着性が向上するとともに、定着後の室温では、結晶化が促進されることにより定着時に一旦低下した非晶性ポリエステルのガラス転移温度が回復しやすく、ドキュメントオフセットの発生が抑制されるものと推定される。
また、没食子酸エステルが、定着時には速やかに溶融し、非晶質ポリエステルを相溶・可塑化することでトナー粒子の低温定着性が向上するとともに、定着後の室温では、結晶化が促進されることにより定着時に一旦低下した非晶性ポリエステルのガラス転移温度が回復しやすく、ドキュメントオフセットの発生が抑制されるものと推定される。
没食子酸エステルとしては、没食子酸アルキルエステル、没食子酸アルケニルエステル等が挙げられ、これらの中では、没食子酸エステルの結晶性の観点から、没食子酸アルキルエステルが好ましい。
没食子酸アルキルエステルとしては、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル、没食子酸へキシル、没食子酸オクチル、没食子酸ラウリル、没食子酸ステアリル、没食子酸アラキジル、没食子酸ベヘニル、没食子酸リグノセリル等が挙げられる。
没食子酸アルキルエステルのアルキル基の炭素数は、結晶性の観点から、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上、さらに好ましくは12以上、さらに好ましくは14以上、さらに好ましくは16以上であり、そして、非晶質ポリエステル系樹脂への相溶性の観点から、好ましくは24以下、より好ましくは22以下、さらに好ましくは20以下である。
没食子酸エステルの含有量は、トナー粒子中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
本発明において、結着樹脂は非晶質ポリエステル系樹脂を含有し、該非晶質ポリエステル系樹脂は、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分の重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最大ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最大ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。非晶質樹脂は、結晶性指数が1.4を超える、好ましくは1.5を超える、より好ましくは1.6以上の樹脂であるか、または、0.6未満、好ましくは0.5以下の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最大ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を指す。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、式(I):
(式中、OR及びROはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン基及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の値は、1以上、好ましくは1.5以上であり、16以下、好ましくは8以下、より好ましくは4以下である)
で表される化合物が好ましい。
で表される化合物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、好ましくは、式(I)においてRがエチレン基であるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を含有することが好ましい。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物は、適度に極性が高いため、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物を用いた非晶質ポリエステル樹脂は、定着時の高温では没食子酸エステルと相溶しトナーを溶融しやすくするが、定着後の室温では没食子酸エステルと非相溶となり、ドキュメントオフセットの発生を抑制する。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物の含有量は、耐ドキュメントオフセット性の観点から、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物中、好ましくは45モル%以上、より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは80モル%以下、より好ましくは70モル%以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物には、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物以外のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が含まれていてもよい。ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物以外のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物は、低温定着性の観点から、好ましくはビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、より好ましくは式(I)においてRがプロピレン基であるビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物である。
ビスフェノールAのアルキレン付加物におけるビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のモル比(ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物/ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)は、耐ドキュメントオフセット性の観点から、好ましくは45/55以上、より好ましくは55/45以上、さらに好ましくは60/40以上であり、低温定着性の観点から、好ましくは80/20以下、より好ましくは70/30以下である。
ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは80モル%以上、より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは100モル%である。
他のアルコール成分としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、グリセリン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
カルボン酸成分としては、帯電性の観点から、芳香族ジカルボン酸系化合物を含んでいることが好ましい。なお、本発明において、カルボン酸系化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及びアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステルも含まれる。
芳香族ジカルボン酸系化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸;それらの酸の無水物又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。これらの中では、低温定着性の観点から、テレフタル酸又はイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸系化合物の含有量は、カルボン酸成分中、帯電性の観点から、好ましくは80モル%以上、より好ましくは85モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上である。
芳香族ジカルボン酸系化合物以外のカルボン酸成分としては、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)等の3価以上のカルボン酸、それらの無水物又はアルキル基の炭素数が1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
なお、アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸系化合物が、ポリエステル樹脂の分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
非晶質ポリエステル樹脂におけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステル樹脂の軟化点を調整する観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上であり、そして、好ましくは1.1以下、より好ましくは1.05以下である。
ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中、好ましくはエステル化触媒の存在下、さらに必要に応じて、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130℃以上、より好ましくは170℃以上、そして、好ましくは250℃以下、より好ましくは240℃以下の温度で重縮合させて製造することができる。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、錫化合物が好ましい。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、そして、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
なお、本発明において、ポリエステル樹脂は、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステル樹脂であってもよい。変性されたポリエステル樹脂としては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステル樹脂が挙げられるが、変性されたポリエステル樹脂のなかでは、ポリエステル樹脂をポリイソシアネート化合物でウレタン伸長したウレタン変性ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明において、非晶質ポリエステル系樹脂は、低温定着性の観点から、前記非晶質ポリエステル樹脂とスチレン系樹脂とを含有する非晶質複合樹脂であってもよい。
非晶質ポリエステル系樹脂の軟化点は、保存安定性の観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下である。
非晶質ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は、保存安定性の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、低温定着性の観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下である。
非晶質ポリエステル系樹脂の酸価は、帯電の立ち上がり性の観点から、好ましくは1mgKOH/g以上、より好ましくは3mgKOH/g以上、さらに好ましくは5mgKOH/g以上であり、そして、吸湿性の観点から、好ましくは20mgKOH/g以下、より好ましくは10mgKOH/g以下である。
非晶質ポリエステル系樹脂の含有量は、結着樹脂中、低温定着性の観点から、好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。ただし、非晶質ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレンもしくはスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フェノール系樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等の樹脂から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
結着樹脂の含有量は、トナー粒子中、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、そして、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下である。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等を使用することができる。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等が挙げられる。なお、本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
着色剤の含有量は、画像濃度を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上であり、そして、トナーの粉砕性を向上させて小粒径にできる観点、低温定着性を向上させる観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下である。
トナー粒子の製造方法としては、結着樹脂、没食子酸エステル、及び着色剤を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法等が挙げられる。現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
先ず、結着樹脂、没食子酸エステル、着色剤、必要に応じて用いる添加剤等を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましく、結着樹脂中での着色剤等の分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーがより好ましい。
ヘンシェルミキサーでの混合は、攪拌の周速度、及び攪拌時間を調整しながら行う。周速度は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、着色剤等の分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
次いで、トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができる。本発明においては、着色剤等の分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機が好ましい。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
オープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。
トナー原料の混合性を向上させる観点から、ロールの設定温度は、樹脂の軟化点より10℃高い温度以下であることが好ましい。
また、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側のロールの設定温度は下流側のものよりも高いことが好ましい。
ロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましい。前記の2本のロールを備えたオープンロール型混練機においては、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、温度の高い加熱ロールが高回転側ロールであり、温度の低い冷却ロールが低回転側ロールであることが好ましい。
次いで、溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等を経て、トナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けてもよい。例えば、溶融混練物を、約1〜5mmに粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、例えば、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。なお、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
この工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、そして、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。なお、トナー粒子は、分散剤及び絶縁性液体と混合後、湿式粉砕等によりさらに微細化されることが好ましい。
湿式粉砕に供するトナー粒子の含有量は、絶縁性液体100質量部に対して、高速印刷性の観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上、さらに好ましくは50質量部以上であり、そして、分散安定性の向上の観点から、好ましくは100質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下である。
本発明における分散剤は、非晶質ポリエステル系樹脂への吸着性が高い観点から、塩基性窒素含有基を有する塩基性分散剤を含むことが好ましい。塩基性窒素含有基としては、アミノ基(-NH2、-NHR、-NHRR’)、アミド基(-C(=O)-NRR’)、イミド基(-N(COR)2)、ニトロ基(-NO2)、イミノ基(=NH)、シアノ基(-CN)、アゾ基(-N=N-)、ジアゾ基(=N2)、及びアジ基(-N3)からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。ここで、R、R’は炭素数1〜5の炭化水素基を表す。分散剤のトナー粒子への吸着性の観点からは、アミノ基及び/又はイミノ基が好ましく、トナー粒子の帯電性の観点からは、イミノ基がより好ましい。
塩基性窒素含有基以外に含まれる官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、ホルミル基、アセタール基、オキシム基、チオール基等が挙げられる。
塩基性分散剤における塩基性窒素含有基の占める割合は、分散安定性の観点から、ヘテロ原子の個数換算で、好ましくは70個数%以上、より好ましくは80個数%以上、さらに好ましくは90個数%以上、さらに好ましくは95個数%以上、さらに好ましくは100個数%である。
塩基性分散剤は、液体現像剤の分散性の観点から、炭素数16以上の炭化水素、ハロゲン原子で一部置換された炭素数16以上の炭化水素、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、炭素数16以上のヒドロキシカルボン酸の重合体、炭素数2以上22以下の二塩基酸と炭素数2以上22以下のジオールの重合体、炭素数16以上のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、ポリオレフィン等に由来する基(以下、「分散性基」ともいう)を含んでいることが好ましい。
炭素数16以上の炭化水素としては、炭素数16以上24以下の炭化水素が好ましく、例えば、ヘキサデセン、オクタデセン、エイコサン、ドコサン等が挙げられる。
ハロゲン原子で一部置換された炭素数16以上の炭化水素としては、ハロゲン原子で一部置換された炭素数16以上24以下の炭化水素が好ましく、例えば、クロロヘキサデカン、ブロモヘキサデカン、クロロオクタデカン、ブロモオクタデカン、クロロエイコサン、ブロモエイコサン、クロロドコサン、ブロモドコサン等が挙げられる。
反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素としては、反応性の官能基を有する炭素数16以上24以下の炭化水素が好ましく、例えば、ヘキサデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、エイコセニルコハク酸、ドコセニルコハク酸、ヘキサデシルグリシジルエーテル、オクタデシルグリシジルエーテル、エイコシルグリシジルエーテル、ドコシルグリシジルエーテル等が挙げられる。
炭素数16以上のヒドロキシカルボン酸の重合体としては、炭素数16以上24以下のヒドロキシカルボン酸の重合体が好ましく、例えば、18-ヒドロキシステアリン酸の重合体等が挙げられる。
炭素数2以上22以下の二塩基酸と炭素数2以上22以下のジオールの重合体としては、例えば、エチレングリコールとセバシン酸の重合体、1,4-ブタンジオールとフマル酸の重合体、1,6-ヘキサンジオールとフマル酸の重合体、1,10-デカンジオールとセバシン酸の重合体、1,12-ドデカンジオールと1,12-ドデカン二酸の重合体等が挙げられる。
炭素数16以上のアルキル(メタ)アクリレートの重合体としては、炭素数16以上24以下のアルキル(メタ)アクリレートの重合体が好ましく、例えば、ヘキサデシルメタクリレートの重合体、オクタデシルメタクリレートの重合体、ドコシルメタクリレートの重合体等が挙げられる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブテン、ポリメチルペンテン、ポリテトラデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン、ポリエイコセン、ポリドコセン等が挙げられる。
塩基性分散剤は、トナー粒子の分散性の観点から、ポリオレフィン骨格を有することが好ましく、ポリプロピレン骨格及び/又はポリイソブテン骨格を有することがより好ましく、分散剤の絶縁性液体への溶解性の観点から、ポリイソブテン骨格を有することがさらに好ましい。従って、前記分散性基のなかでは、ポリオレフィンに由来する基が好ましく、ポリプロピレンに由来する基及び/又はポリイソブテンに由来する基がより好ましく、ポリイソブテンに由来する基がさらに好ましい。
塩基性分散剤は、特に限定されるものではないが、例えば、塩基性窒素含有基原料と分散性基原料とを反応させて得られる。
塩基性窒素含有基原料としては、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート等のポリアミノアルキルメタクリレート等が挙げられる。
塩基性窒素含有基原料の数平均分子量は、非晶質ポリエステル系樹脂の有する樹脂への吸着性の観点から、好ましくは100以上、より好ましくは500以上、さらに好ましくは1,000以上であり、そして、トナー粒子の分散性の観点から、好ましくは15,000以下、より好ましくは10,000以下、さらに好ましくは5,000以下である。
分散性基原料としては、ハロゲン化された炭素数16以上の炭化水素、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、炭素数16以上のヒドロキシカルボン酸の重合体、炭素数2以上22以下の二塩基酸と炭素数2以上22以下のジオールの重合体、反応性の官能基を有する炭素数16以上のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、反応性の官能基を有するポリオレフィン等が挙げられる。これらのなかでは、原料の入手性及び反応性の観点から、ハロゲン化された炭素数16以上の炭化水素、反応性の官能基を有する炭素数16以上の炭化水素、反応性の官能基を有する炭素数16以上24以下のアルキル(メタ)アクリレートの重合体、又は反応性の官能基を有するポリオレフィンが好ましい。反応性の官能基としては、カルボキシ基、エポキシ基、ホルミル基、イソシアネート基等が挙げられ、これらの中では、安全性及び反応性の観点から、カルボキシ基又はエポキシ基が好ましい。従って、反応性の官能基を有する化合物としては、カルボン酸系化合物が好ましい。カルボン酸系化合物としては、フマル酸、マレイン酸、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、酒石酸、それらの無水物、又はそれらの炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。分散性基原料の具体例としては、クロロオクタデカン等のハロゲン化アルカン、エポキシ変性されたポリオクタデシルメタクリレート、ポリエチレン無水コハク酸、塩素化ポリプロピレン、ポリプロピレン無水コハク酸、ポリイソブテン無水コハク酸等が挙げられる。
分散性基原料におけるポリオレフィン骨格を有する化合物の含有量は、トナー粒子の分散性の観点から、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
分散性基原料の数平均分子量は、トナー粒子の分散性の観点から、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、さらに好ましくは900以上であり、そして、分散剤のトナー粒子への吸着性の観点から、好ましくは5,000以下、より好ましくは4,000以下、さらに好ましくは3,000以下である。
塩基性分散剤における塩基性窒素含有基と分散性基の質量比(塩基性窒素含有基/分散性基)は、トナー粒子への吸着性の観点から、好ましくは3/97以上であり、より好ましくは5/95以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは20/80以下であり、より好ましくは15/85以下である。なお、塩基性分散剤における塩基性窒素含有基と分散性基の質量比は、塩基性分散剤のNMRで測定できる。
また、塩基性分散剤の数平均分子量は、低粘度化及び低温定着性の観点から、好ましくは2,000以上、より好ましくは2,500以上、さらに好ましくは3,000以上、さらに好ましくは3,500以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは10,000以下、より好ましくは9,000以下、さらに好ましくは8,000以下である。
塩基性分散剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、トナー粒子の分散安定性の観点から、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、そして、トナーの帯電性観点から、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下である。
本発明の液体現像剤には、前記塩基性分散剤以外の公知の分散剤が含まれていてもよいが、前記塩基性分散剤の含有量は、分散剤中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。
本発明における絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、絶縁性液体の導電率は、好ましくは1.0×10-11S/m以下、より好ましくは5.0×10-12S/m以下であり、そして、好ましくは1.0×10-13S/m以上である。
本発明の液体現像剤における絶縁性液体は、分散安定性及び帯電性の観点から、ポリイソブテンを含有する絶縁性液体が好ましい。
本発明においてポリイソブテンとは、イソブテンを公知の方法、例えば触媒を用いたカチオン重合法によって重合した後、末端の二重結合に水素添加を行って得られるものである。
ポリイソブテンの重合度は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下、さらに好ましくは3以下である。また、チャージャー汚染を抑制する観点から、好ましくは2以上、より好ましくは3以上である。
ポリイソブテンの含有量は、分散安定性及び帯電性の観点から、観点から、絶縁性液体中、好ましくは5質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
ポリイソブテンを含有する絶縁性液体の市販品としては、「NAS-3」、「NAS-4」、「NAS-5H」(以上、いずれも日油(株)製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせることができる。
ポリイソブテン以外の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。
絶縁性液体の沸点は、トナー粒子の分散安定性をより向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは120℃以上、より好ましくは140℃以上、さらに好ましくは160℃以上であり、そして、トナーの低温定着性をより向上させる観点、湿式粉砕時にトナーの粉砕性をより向上させて小粒径のトナー粒子を得る観点から、好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは260℃以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の沸点が上記範囲内であることが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、現像性を向上させる観点、及び液体現像剤中でのトナー粒子の保存安定性を向上させる観点から、好ましくは1mPa・s以上であり、そして、好ましくは100mPa・s以下、より好ましくは50mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下である。
液体現像剤は、結着樹脂、没食子酸エステル、着色剤、分散剤、及び絶縁性液体に加えて、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜含有していてもよい。
液体現像剤は、トナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて得られる。トナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、湿式粉砕して液体現像剤を得ることが好ましい。
トナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス(株)製)、クレアミックス(エム・テクニック(株)製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
高速攪拌混合装置による混合によって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工(株)製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス(株)製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機又は混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、トナー粒子の粒径を小さくする観点、及びトナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点、及びその分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
液体現像剤の固形分濃度は、画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、そして、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは3μm以下、より好ましくは2.5μm以下である。
固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度は、トナー粒子の分散安定性を向上させて保存安定性を向上させる観点から、好ましくは3mPa・s以上、より好ましくは5mPa・s以上、さらに好ましくは6mPa・s以上、さらに好ましくは7mPa・s以上であり、そして、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは37mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは32mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下、さらに好ましくは24mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下、さらに好ましくは16mPa・s以下である。なお、ここでいう固形分濃度が25質量%の液体現像剤の粘度とは、絶縁性液体の量を調整して液体現像剤の固形分濃度を25質量%に調整して測定した粘度を意味する。液体現像剤の固形分濃度は、25質量%より高い場合は、同じ絶縁性液体により希釈することにより、25質量%よりも低い場合は、絶縁性液体を濃縮等により除去することによって、それぞれ調整することができる。ここで、固形分濃度とは、結着樹脂、着色剤、没食子酸エステル及び絶縁性液体を含有する液体現像剤中の絶縁性液体以外の原料の割合を指す。絶縁性液体以外の原料には、結着樹脂、着色剤及び没食子酸エステル以外に、必要に応じて用いられる、離型剤、荷電制御剤等の添加剤も含まれる。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
フローテスター「CFT-500D」((株)島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最大ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温(25℃)から降温速度10℃/minで0℃まで冷却し、0℃にて1分間維持する。その後、昇温速度10℃/minで測定する。観測される吸熱ピークのうち、ピーク面積が最大のピークの温度を吸熱の最大ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最大ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター(株)製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマン・コールター(株)製)
電解液:アイソトンII(ベックマン・コールター(株)製)
分散液:電解液にエマルゲン109P(花王(株)製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB(グリフィン):13.6)を溶解して5質量%に調整したもの
分散条件:前記分散液5mLに測定試料10mgを添加し、超音波分散機(機械名:(株)エスエヌディー製US-1、出力:80W)にて1分間分散させる。その後、前記電解液25mLを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mLに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔塩基性窒素含有基原料の数平均分子量〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(Mw 5.9×103)、P-50(Mw 4.73×104)、P-200(Mw 2.12×105)、P-800(Mw 7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、試料を0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液に溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として0.15mol/LでNa2SO4を1%酢酸水溶液に溶解させた溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の標準プルラン(昭和電工(株)製のP-5(Mw 5.9×103)、P-50(Mw 4.73×104)、P-200(Mw 2.12×105)、P-800(Mw 7.08×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8320GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:α+α-M+α-M(東ソー(株)製)
〔分散性基原料の数平均分子量〕
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mLになるように、分散性基原料をテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量分布測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-1000(Mw 1.01×103)、A-2500(Mw 2.63×103)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-1(Mw 1.02×104)、F-2(Mw 1.81×104)、F-4(Mw 3.97×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-20(Mw 1.90×105)、F-40(Mw 4.27×105)、F-80(Mw 7.06×105)、F-128(Mw 1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:TSKgel GMHXL+TSKgel G3000HXL(東ソー(株)製)
〔分散剤の数平均分子量〕
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として1.00mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-2(Mw 1.81×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-40(Mw 4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
以下に示す、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.2g/100mLになるように、分散剤をクロロホルムに溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター「FP-200」(住友電気工業(株)製)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液として1.00mmol/LのファーミンDM2098(花王(株)製)のクロロホルム溶液を、毎分1mLの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μLを注入して測定を行う。試料の分子量は、予め作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー(株)製のA-500(Mw 5.0×102)、A-5000(Mw 5.97×103)、F-2(Mw 1.81×104)、F-10(Mw 9.64×104)、F-40(Mw 4.27×105))を標準試料として作成したものを用いる。括弧内は分子量を示す。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー(株)製)
分析カラム:K-804L(昭和電工(株)製)
〔絶縁性液体の導電率〕
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
絶縁性液体25gを40mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.7」((株)マルエム製)に入れ、非水系導電率計「DT-700」(Dispersion Technology社製)を用いて、電極を絶縁性液体に浸し、25℃で20回測定を行って平均値を算出し、導電率を測定する。数値が小さいほど高抵抗であることを示す。
〔絶縁性液体の沸点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業(株)製)を用いて、試料6.0〜8.0mgをアルミパンに計量し、昇温速度10℃/minで350℃まで昇温し、吸熱ピークを測定する。最も高温側の吸熱ピークを沸点とする。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
10mL容のスクリュー管に測定液を6〜7mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」((株)セコニック製、検出端子:チタン製、φ8mm)を用い、検出端子の先端部の15mm上に液面が来る位置にスクリュー管を固定し、25℃にて粘度を測定する。
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーL(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
樹脂製造例1
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、230℃まで昇温し230℃で8時間反応させ、さらに8.3kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A)を得た。
表1に示すアルコール成分、カルボン酸成分、及びエステル化触媒を窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、230℃まで昇温し230℃で8時間反応させ、さらに8.3kPaにて表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する非晶質ポリエステル樹脂(樹脂A)を得た。
分散剤の製造例1
塩基性窒素含有基原料として表2に示すポリエチレンイミン(ポリエチレンイミン600、純正化学(株)製)を冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、分散性基原料として表2に示すポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)(H1000、Dover社製)を表2に示すキシレンに溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、表2に示す物性を有する分散剤Aを得た。
塩基性窒素含有基原料として表2に示すポリエチレンイミン(ポリエチレンイミン600、純正化学(株)製)を冷却管、窒素導入管、撹拌機、脱水管及び熱電対を装備した2L容の四つ口フラスコに入れ、窒素ガスで反応容器内を置換した。撹拌しながら、分散性基原料として表2に示すポリイソブテン無水コハク酸(PIBSA)(H1000、Dover社製)を表2に示すキシレンに溶解した溶液を室温で1時間かけて滴下した。滴下終了後、30分間室温で保持した。その後、反応容器内を150℃に加温して1時間保持した後、160℃に昇温して1時間保持した。160℃で8.3kPaに減圧して溶剤を留去し、IR分析からPIBSA由来の酸無水物のピーク(1780cm-1)が消失し、イミド結合由来のピーク(1700cm-1)が生じた時点を反応終点として、表2に示す物性を有する分散剤Aを得た。
トナー粒子の製造例1、2
表3に示す結着樹脂72質量部と没食子酸アルキルエステル8質量部、及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
表3に示す結着樹脂72質量部と没食子酸アルキルエステル8質量部、及び着色剤「ECB-301」(大日精化工業(株)製、フタロシアニンブルー15:3)20質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業(株)製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)周速度75r/min(32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)周速度35r/min(15.0m/min)、混練物供給口側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
得られた混練物を冷却ロールで圧延冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック(株)製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子A、Bを得た。
トナー粒子の製造例3
結着樹脂の使用量を80質量部に変更し、没食子酸アルキルエステルを使用しなかった以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子Cを得た。
結着樹脂の使用量を80質量部に変更し、没食子酸アルキルエステルを使用しなかった以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子Cを得た。
トナー粒子の製造例4
没食子酸アルキルエステルの代わりに、ソルビタンアルキルエステル(花王(株)製、レオドールSP-S10V、ソルビタンステアリル)を使用した以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子Dを得た。
没食子酸アルキルエステルの代わりに、ソルビタンアルキルエステル(花王(株)製、レオドールSP-S10V、ソルビタンステアリル)を使用した以外は、製造例1と同様にして、トナー粒子Dを得た。
実施例1、2及び比較例1、3
表4に示すトナー粒子35質量部、絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、重合度:4、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.95質量部、及び分散剤A 1.05質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
表4に示すトナー粒子35質量部、絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、重合度:4、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.95質量部、及び分散剤A 1.05質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表4に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)44質量部を加えて希釈し、固形分濃度が25質量%の、表4に示す物性を有する液体現像剤を得た。
比較例2
表4に示すトナー粒子32.2質量部、没食子酸アルキルエステル(没食子酸ステアリル)2.8質量部、絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、重合度:4、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.95質量部、及び分散剤A 1.05質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
表4に示すトナー粒子32.2質量部、没食子酸アルキルエステル(没食子酸ステアリル)2.8質量部、絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製、ポリイソブテン、重合度:4、導電率:1.52×10-12S/m、沸点:247℃、25℃における粘度:2mPa・s)63.95質量部、及び分散剤A 1.05質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス(株)製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度36質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス(株)製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表4に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去した後、ろ液100質量部に対し絶縁性液体「NAS-4」(日油(株)製)44質量部を加えて希釈し、固形分濃度が25質量%の、表4に示す物性を有する液体現像剤を得た。
試験例1〔低温定着性〕
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が3.4g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
「OKトップコート紙」(王子製紙(株)製、坪量:127.9g/m2、紙厚:約103μm)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後のトナー質量が3.4g/m2になるように薄膜を作製した。その後、80℃の恒温槽中で10秒間保持した。
続いて、「OKI MICROLINE 3010」((株)沖データ製)から取り出した定着機を用いて、定着ロールの温度が80℃、定着速度が280mm/secで定着処理を行った。その後、定着ロール温度を160℃まで10℃ずつ上昇させながら、同様に定着処理を行い、各温度で定着画像を得た。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(スリーエムジャパン(株)製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「GretagMacbeth Spectroeye」(グレタグ社製)を用いて測定した。画像印字部分を各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。定着率(%)は、剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から算出し、定着率が90%以上で、かつオフセットが発生しない温度範囲において最も低い温度を最低定着温度とした。結果を表4に示す。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを示している。
試験例2〔耐ドキュメントオフセット性〕
試験例1において、140℃定着させた定着画像部を対向するように2枚の用紙を重ね合わせたものに、面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下で1日静置した。その後、重ね合わせた用紙を取り出し、剥離した。定着画像部の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表4に示す。
試験例1において、140℃定着させた定着画像部を対向するように2枚の用紙を重ね合わせたものに、面圧80g/cm2の荷重をかけて温度50℃の環境下で1日静置した。その後、重ね合わせた用紙を取り出し、剥離した。定着画像部の状態を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐ドキュメントオフセット性を評価した。結果を表4に示す。
〔評価基準〕
A:剥離時に全く剥離音がなく、画像の欠損も見られない
B:剥離時に剥離音がするが、画像の欠損は見られない
C:剥離時に剥離音がし、微小な画像の欠損が見られる
D:剥離時に剥離音がし、大きな画像の欠損が見られる
E:融着して剥離できない。
A:剥離時に全く剥離音がなく、画像の欠損も見られない
B:剥離時に剥離音がするが、画像の欠損は見られない
C:剥離時に剥離音がし、微小な画像の欠損が見られる
D:剥離時に剥離音がし、大きな画像の欠損が見られる
E:融着して剥離できない。
以上の結果より、実施例1、2の液体現像剤は、トナー粒子の小粒径化、低温定着性、及び耐ドキュメントオフセット性がいずれも良好であることが分かる。
これに対し、没食子酸エステルを用いていない比較例1では、トナー粒子の小粒径化が不十分であり、また低温定着性にも劣っており、没食子酸エステルをトナー粒子中に添加せず、トナー粒子と混合した比較例2も、トナー粒子の小粒径化及び低温定着性が不十分である。また、没食子酸エステルの代わりにソルビタンエステルを使用した比較例3では、耐ドキュメントオフセット性が不十分である。
これに対し、没食子酸エステルを用いていない比較例1では、トナー粒子の小粒径化が不十分であり、また低温定着性にも劣っており、没食子酸エステルをトナー粒子中に添加せず、トナー粒子と混合した比較例2も、トナー粒子の小粒径化及び低温定着性が不十分である。また、没食子酸エステルの代わりにソルビタンエステルを使用した比較例3では、耐ドキュメントオフセット性が不十分である。
本発明の液体現像剤は、例えば、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。
Claims (7)
- 非晶質ポリエステル系樹脂を含有する結着樹脂と着色剤を含有するトナー粒子、分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤であって、前記トナー粒子が、さらに、没食子酸エステルを含有する、液体現像剤。
- 没食子酸エステルが、アルキル基の炭素数が4以上24以下である没食子酸アルキルエステルである、請求項1記載の液体現像剤。
- 没食子酸エステルの含有量が、トナー粒子中、5質量%以上30質量%以下である、請求項1又は2記載の液体現像剤。
- 非晶質ポリエステル系樹脂が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含むアルコール成分とカルボン酸成分の重縮合物である非晶質ポリエステル樹脂を含む、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤。
- 分散剤が、塩基性窒素含有基を有する塩基性分散剤を含む、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤。
- トナー粒子の体積中位粒径が、0.5μm以上3μm以下である、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤。
- 固形分濃度が25質量%の液体現像剤の25℃における粘度が、3mPa・s以上40mPa・s以下である、請求項1〜6いずれか記載の液体現像剤。
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