JP6172856B2 - 液体現像剤の製造方法 - Google Patents
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〔1〕 工程1:ポリエステルを含有する樹脂、顔料、及び炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程、
を含む、液体現像剤の製造方法、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の方法により得られる液体現像剤
に関する。
炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩をトナー粒子とともに絶縁性液体中に分散させて使用した場合、一部はトナー粒子表面に吸着し正の帯電性を付与するが、吸着せずに絶縁性液体中に遊離した金属塩も多く存在するためその効果は小さくなる。本発明では、炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を樹脂と顔料とともに溶融混練しトナー粒子中に分散させることで、主鎖にエステル基を多数有し極性が高いポリエステルと炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩が相溶化しやすく、主鎖が低極性で側鎖に極性部位を持ちうるビニル系樹脂に比べ、金属塩が均一にトナー粒子中に分散される。その結果、帯電性が向上し電気泳動性に優れるとともに、炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩がポリエステル樹脂を可塑化させるため、定着性が向上するものと考えられる。
工程1は、ポリエステルを含有する樹脂、顔料、及び炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程である。
本発明において用いる樹脂はトナー粒子の結着樹脂となる樹脂であり、トナー粒子の帯電性を向上させ電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルを含有する。ポリエステルの含有量は、樹脂中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましく、100質量%、即ち樹脂として、ポリエステルのみを用いることがさらに好ましいが、本願の効果が損なわれない範囲において、ポリエステル以外の他の樹脂が含有されていてもよい。ポリエステル以外の樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2以上20以下の2価のジオールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
本発明では、炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を樹脂等とともに溶融混練に供することによりトナー粒子中に含有させる。これにより、エステル基を多数有し極性が高いポリエステルと炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩が相溶化し、金属塩が均一にトナー粒子中に分散され、帯電性が向上し電気泳動性に優れるとともに、炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩がポリエステル樹脂を可塑化させるため、定着性が向上する。すなわち、炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩は荷電制御剤としての役割を担う。
工程1において、トナー粒子を得る方法としては、液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、樹脂、顔料、及び炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を含むトナー原料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る方法が好ましい。
工程2は、工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程である。
絶縁性液体の25℃における粘度は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.2mPa・s以上、さらに好ましくは1.3mPa・s以上である。また、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下、さらに好ましくは3mPa・s以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせて用いる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の粘度が上記範囲内であればよい。なお、絶縁性液体の25℃における粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
工程1で得られたトナー粒子は、分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させることが好ましい。分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いるもので、本発明では、樹脂、特にポリエステルへの吸着性を向上させる観点から、吸着基として塩基性吸着基を有する塩基性分散剤が好ましい。
工程3は、工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
である。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
工程2:工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程、
を含む、液体現像剤の製造方法。
<3> ポリエステルのアルコール成分が、1,2-プロパンジオール及び/又は式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有することが好ましく、式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を含有することがより好ましい、前記<1>又は<2>記載の製造方法。
<4> 式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<3>記載の製造方法。
<5> ポリエステルのカルボン酸成分が、テレフタル酸及び/又はフマル酸を含有することが好ましく、テレフタル酸がより好ましい、前記<1>〜<4>いずれか記載の製造方法。
<6> テレフタル酸の含有量は、カルボン酸成分中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<5>記載の製造方法。
<7> ポリエステルの軟化点は、好ましくは160℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下であり、好ましくは70℃以上、より好ましくは75℃以上である、前記<1>〜<6>いずれか記載の製造方法。
<8> ポリエステルのガラス転移温度は、好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下、さらに好ましくは60℃以下であり、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上である、前記<1>〜<7>いずれか記載の製造方法。
<9> ポリエステルの酸価は、好ましくは110mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下であり、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上である、前記<1>〜<8>いずれか記載の製造方法。
<10> カルボン酸の金属塩のカルボン酸成分の炭素数は、好ましくは14以上、より好ましくは16以上であり、好ましくは22以下、より好ましくは20以下である、前記<1>〜<9>いずれか記載の製造方法。
<11> 炭素数12以上24以下のカルボン酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、パルミチン酸及び/又はステアリン酸がより好ましく、ステアリン酸がさらに好ましい、前記<1>〜<10>いずれか記載の製造方法。
<12> 炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩の金属種は、リチウム、アルミニウム、バリウム及び亜鉛からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく、リチウム、アルミニウム及びバリウムからなる群より選ばれた少なくとも1種がより好ましく、アルミニウム及び/又はバリウムがさらに好ましく、アルミニウムがさらに好ましい、前記<1>〜<11>いずれか記載の製造方法。
<13> 炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩の使用量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下である、前記<1>〜<12>いずれか記載の製造方法。
<14> 工程1が、樹脂、顔料、及び炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を含むトナー原料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る方法である、前記<1>〜<13>いずれか記載の製造方法。
<15> 溶融混練を、オープンロール型混練機を用いて行うことが好ましい、前記<1>〜<14>いずれか記載の製造方法。
<16> 絶縁性液体の25℃における粘度は、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.2mPa・s以上、さらに好ましくは1.3mPa・s以上であり、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下、さらに好ましくは3mPa・s以下である、前記<1>〜<15>いずれか記載の製造方法。
<17> 絶縁性液体は、炭素数12以上18以下のオレフィンを含有することが好ましく、炭素数12以上16以下のオレフィンを含有することがより好ましい、前記<1>〜<16>いずれか記載の製造方法。
<18> オレフィンは、α-オレフィンが好ましい、前記<17>記載の製造方法。
<19> 炭素数12以上18以下のオレフィンの含有量は、絶縁性液体中、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましく、100質量%がさらに好ましい、前記<17>又は<18>記載の製造方法。
<20> 工程1で得られたトナー粒子は、分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させることが好ましい、前記<1>〜<19>いずれか記載の製造方法。
<21> 分散剤は、吸着基として塩基性吸着基を有する塩基性分散剤が好ましい、前記<20>記載の製造方法。
<22> 塩基性分散剤は、同一分子中に塩基性吸着基と分散基をもつ構造を有するものが好ましく、アミノ基、アミド基及びイミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の塩基性吸着基を主鎖、炭化水素鎖又はヒドロキシ炭化水素鎖を持つ分散基を側鎖にもつ構造を有するものがより好ましく、ポリイミンとカルボン酸の縮合物を含有することがさらに好ましい、前記<21>記載の製造方法。
<23> ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるポリイミンは、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい、前記<22>記載の製造方法。
<24> ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるカルボン酸は、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、及び/又はその縮合体が好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸及び/又はその縮合体がより好ましい、前記<22>又は<23>記載の製造方法。
<25> 分散剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、有効分として、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である、前記<20>〜<24>いずれか記載の製造方法。
<26> 分散剤中のポリイミンとカルボン酸の縮合物の含有量は、分散剤の有効分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である、前記<21>〜<25>いずれか記載の製造方法。
<27> トナー粒子分散液の固形分濃度は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である、前記<1>〜<26>いずれか記載の製造方法。
<28> 湿式粉砕に、ビーズミルを使用することが好ましい、前記<1>〜<27>いずれか記載の製造方法。
<29> 液体現像剤の固形分濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である、前記<1>〜<28>いずれか記載の製造方法。
<30> 液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下であり、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である、前記<1>〜<29>いずれか記載の製造方法。
<31> 液体現像剤の25℃における粘度は、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは32mPa・s以下であり、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、さらに好ましくは13mPa・s以上、さらに好ましくは16mPa・s以上である、前記<1>〜<30>いずれか記載の製造方法。
<32> 前記<1>〜<31>いずれか記載の方法により得られる液体現像剤。
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」(コクサン社製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーG(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、軟化点が93℃に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有する樹脂Aを得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示す原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌機及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃に昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、軟化点が96℃に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有する樹脂Bを得た。
キシレン1567gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、130℃に昇温した。表2に示す原料モノマー及び重合開始剤の混合液を130℃で攪拌しながら1.5時間かけて滴下し、さらに1.5時間同温度を保持して付加重合反応を行った。160℃に昇温し、1時間反応を行った後、200℃に昇温し、1時間保持してキシレンを除去した。さらに8.3kPaにて残りのキシレンを除去し、表2に示す物性を有する樹脂Cを得た。
樹脂A 75質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部及び添加剤A10質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、原料投入側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
実施例1において、樹脂Aの添加量を80質量部に、添加剤Aの添加量を5質量部に変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、樹脂Aの添加量を70質量部に、添加剤Aの添加量を15質量部に変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、樹脂Aを樹脂Bに変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、添加剤Aを添加剤Bに変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、添加剤Aを添加剤Cに変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、絶縁性液体aを絶縁性液体bに変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、樹脂Aの添加量を85質量部に変更し、添加剤Aを用いなかったこと以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
比較例1のトナー粒子分散液を得る工程において、トナー粒子を35質量部、絶縁性液体を57.125質量部、塩基性分散剤「ソルスパース13940」を4.375質量部、及び添加剤Aを3.5質量部用いたこと以外は比較例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
実施例1において、樹脂Aを樹脂Cに変更した以外は実施例1と同様にして表5に示す物性を有する液体現像剤を得た。
テフロン(登録商標)製容器(外寸W6.3cm×D4cm×H6.3cm、内寸W5cm×D1.1cm×H5cm)にあらかじめ質量を測定した2枚の電極(ステンレス鋼製、W4cm×D0.5cm×H5cm)を挿入した(電極間距離0.1cm)。液体現像剤1gを絶縁性液体7.75gで希釈して試料液とし、この試料液3gを2枚の電極間に入れ、直流電源装置「TMK1.5-50」(高砂製作所社製)を用いて両極に±300Vの直流電圧を90秒間印加した。両電極を抜き出し、真空乾燥機にて0.5kPa、100℃にて1時間乾燥させ、乾燥後の各電極の質量を測定した。正負極それぞれについて(乾燥後の電極の質量)−(電圧印加前の電極の質量)の値を求め、各電極に付着したトナーの質量とした。結果を表5に示す。負極上のトナー粒子の質量が大きく、正極上のトナー粒子の質量が小さいほど正帯電性に優れることを示す。
「PODグロスコート紙」(王子製紙社製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(3M社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「Spectroeye」(X-Rite社製)にて測定した。画像印字部は各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着性を評価した。結果を表5に示す。数値が大きいほど定着性に優れることを示す。
Claims (7)
- 工程1:ポリエステルを含有する樹脂、顔料、及び炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程、
を含む、液体現像剤の製造方法。 - 炭素数12以上24以下のカルボン酸の金属塩の金属種が、リチウム、アルミニウム、バリウム及び亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1記載の液体現像剤の製造方法。
- 炭素数12以上24以下のカルボン酸が、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びベヘン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2記載の液体現像剤の製造方法。
- 液体現像剤の25℃における粘度が5mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- ポリエステルの含有量が樹脂中90質量%以上である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- 絶縁性液体が炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有する、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1〜6いずれか記載の方法により得られる液体現像剤。
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