JP6284358B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる液体現像剤に関する。
電子写真用現像剤には、着色剤及び結着樹脂を含む材料からなるトナー成分を乾式状態で用いる乾式現像剤と、トナー成分が絶縁性の担体液中に分散した液体現像剤がある。
液体現像剤は、トナー粒子の小粒径化が可能であることから画質の面で優れており、商業印刷用途に適している。また、近年、高速化への要求が高まっていることから、液体現像剤の低粘度化も求められている。つまり、トナー粒子が小粒径、低粘度で安定に分散した液体現像剤が求められている。
さらに、高速化に対応するため、トナー粒子が高い電気泳動特性を示す、すなわち帯電性に優れる液体現像剤が求められている。
特許文献1には、正帯電性の帯電特性及び環境安定性に優れ、かつ、適度な粒径のトナー粒子が分散した液体現像剤として、トナー粒子が絶縁性液体中に分散した正帯電性の液体現像剤であって、前記トナー粒子は、表面にアニオン性基を有する母粒子と、前記母粒子を被覆する膜とで構成され、前記膜は、前記母粒子側から順に、少なくとも、カチオン性基と疎水性基と重合性基とを有するカチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有する第1のカチオン層と、アニオン性基と疎水性基と重合性基とを有するアニオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し単位を有するアニオン層と、前記カチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有する第2のカチオン層とを積層したものであり、前記膜の最外層が、前記カチオン性重合性界面活性剤から誘導された繰り返し構造単位を有するカチオン層であることを特徴とする液体現像剤が開示されている。
特許文献2には、フラン環を有する非晶質ポリエステルを含有してなるトナー用結着樹脂が、低温定着性と保存性に優れたトナー用結着樹脂であることが記載されている。
また、特許文献3には、少なくともカルボン酸成分とアルコール成分とを含む原料モノマーを縮重合させて得られるフラン環を有する非晶質ポリエステルを含有してなるトナー用結着樹脂であって、前記原料モノマーが、フラン環を有する特定構造のカルボン酸又はアルコールから選ばれる1種以上と、フラン環を有する特定構造のカルボン酸以外のフラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有する特定構造のアルコール以外のフラン環を有するアルコールから選ばれる1種以上とを含有するトナー用結着樹脂が、低温定着性と保存性に優れ、高温高湿下でも良好な帯電安定性を有するトナー用結着樹脂であることが開示されている。
特開2007−121660号公報 特開2012−107228号公報 特開2013−231911号公報
液体現像剤では、トナー粒子の小粒径化及び絶縁性液体の低粘度化により、トナー粒子の絶縁性液体中での分散安定性が低下する。これを改善するために分散剤が用いられるが、分散剤自身が荷電性であるため帯電性に影響を与えやすく、トナー粒子の電気泳動性を低下させてしまう。また、トナー粒子に帯電性を付与するために帯電制御剤等を使用する場合にも、トナー粒子から絶縁性液体中に遊離したものが存在すると十分な帯電効果が得られないことがあり、トナー粒子の分散安定性、即ち保存安定性を確保しつつ、トナー粒子の電気泳動性を向上させることが困難である。
本発明は、保存安定性、電気泳動性及び定着性に優れた液体現像剤に関する。
本発明は、樹脂を含有するトナー粒子及び塩基性分散剤を絶縁性液体中に含有する液体現像剤であって、前記樹脂がフラン環を有するポリエステルAを含有する、液体現像剤に関する。
本発明の液体現像剤は、保存安定性と、電気泳動性及び定着性に優れるという効果を奏する。
本発明の液体現像剤は、フラン環を含有するポリエステル樹脂と塩基性分散剤を含有する点に特徴を有しており、保存安定性、電気泳動性及び定着性に優れる液体現像剤が得られる。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。
本発明ではフラン環を含有するポリエステル樹脂を含有する。フラン環骨格は酸性度が高いため、塩基性化合物と引き合いやすい。そのため、フラン環を含有するポリエステル樹脂を用いたトナー粒子上に塩基性分散剤が強固に吸着する。これにより、液体現像剤中でトナー粒子に吸着していない遊離の塩基性分散剤の割合が減るとともに、塩基性分散剤の吸着量が増したトナー粒子が相対的に正の帯電性が高まるため、電気泳動性が向上するものと考えられる。また、分散剤の吸着量が増すことでトナー粒子は分散安定性が向上するため、液体現像剤の保存安定性が向上する。さらに、塩基性分散剤が加熱定着時に樹脂を可塑化するとともに、塩基性分散剤の複数の吸着基がトナー粒子間のフラン環を有するポリエステル樹脂に吸着することで、トナー粒子間をつないで定着強度が増すため、定着性が向上するものと考えられる。
[樹脂]
本発明の液体現像剤における樹脂はトナー粒子の結着樹脂となる樹脂であり、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、フラン環を有するポリエステルAを含有する。
ポリエステルAの含有量は、樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%、即ち樹脂としてポリエステルAのみを用いることがさらに好ましいが、本願の効果が損なわれない範囲において、ポリエステルA以外の他の樹脂が含有されていてもよい。ポリエステルA以外の樹脂としては、例えば、ポリエステルA以外のポリエステル、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環式炭化水素樹脂等が挙げられる。
ポリエステルAは、原料モノマーとして少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分を用い、カルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合させて得られるポリエステルが好ましく、フラン環としては、式(Ia)又は(Ib):
Figure 0006284358
で表される構造が好ましい。
フラン環を有するカルボン酸化合物としては、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等のフランジカルボン酸化合物;2-フランカルボン酸、3-フランカルボン酸等のフランカルボン酸化合物;5-ヒドロキシメチル-フラン-2-カルボン酸等のヒドロキシフランカルボン酸化合物;フルフリル酢酸化合物、3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオネート等のカルボン酸化合物等が挙げられる。なお、本明細書中、カルボン酸化合物はカルボン酸、カルボン酸と炭素数1以上3以下のアルコールとのエステル及び酸無水物を含む。また、ヒドロキシカルボン酸化合物はカルボン酸化合物に含める。
これらの中では、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、フランジカルボン酸化合物がより好ましく、2,5-フランジカルボン酸がより好ましい。
フラン環を有するアルコールとしては、ジヒドロキシフラン等のフランジアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフリルアルコール等のヒドロキシメチルフルフリルアルコール;フルフリルアルコール;5-ヒドロキシメチルフルフラール等が挙げられる。
フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルAのカルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上である。また、好ましくは100モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である。
さらに、フラン環を有するカルボン酸化合物の含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルAのカルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
フランジカルボン酸化合物の含有量は、同様の観点から、ポリエステルAのカルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
フラン環を有するアルコールの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエステルAのアルコール成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、また、好ましくは100モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下である。
なお、結着樹脂が複数のポリエステルAを含有する場合、上記のフラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量、フラン環を有するカルボン酸化合物の含有量、フランジカルボン酸化合物の含有量及びフラン環を有するアルコールの含有量は、各ポリエステルAにおけるそれぞれの化合物の含有量と各ポリエステルAの質量分率の積の和によって求める。
フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分として、2価以上のアルコールを含有してもよい。
2価のアルコールとしては、脂肪族ジオール、芳香族ジオール等が挙げられるが、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、脂肪族ジオールが好ましい。脂肪族ジオールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、また、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは4以下である。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3-ブタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ヘキサンジオール、3,4-ヘキサンジオール、2,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール等が挙げられる。
上記脂肪族ジオールの中では、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましい。具体的な好適例としては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、1,2-プロパンジオールが好ましい。
脂肪族ジオールの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
アルコール成分がフラン環を有するアルコールを含んでいない場合、脂肪族ジオールの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、アルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
アルコール成分がフラン環を有するアルコールを含んでいない場合、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、アルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である。
芳香族ジオールの具体例としては、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、式(II):
Figure 0006284358
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は好ましくは1以上16以下、より好ましくは1以上8以下、さらに好ましくは1.5以上4以下である。)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。
式(II)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の具体例としては、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシプロピレン付加物、及び2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンのポリオキシエチレン付加物等のビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、具体的には、ソルビトール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセロール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
フラン環を有するカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分として、2価以上のカルボン酸化合物を含有してもよい。本発明においては、カルボン酸、酸無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等の誘導体等を含め、総称してカルボン酸化合物という。
フラン環を有するカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸化合物、脂肪族ジカルボン酸化合物及び3価以上のカルボン酸化合物等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、これらの無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、炭素数1以上20以下のアルキル基又は炭素数2以上20以下のアルケニル基で置換されたコハク酸、これらの無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
3価以上のカルボン酸化合物としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、これらの無水物、炭素数1以上3以下のアルキルエステル等が挙げられる。
これらの中では、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、フラン環を有するカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、テレフタル酸及びフマル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
アルコール成分にはフラン環を有さない1価のアルコールが、カルボン酸成分にはフラン環を有さない1価のカルボン酸化合物が、ポリエステルの分子量及び軟化点を調整する観点から、適宜含有されていてもよい。
ポリエステルAにおけるカルボン酸成分とアルコール成分との当量比(COOH基/OH基)は、ポリエステルAの酸価を低減する観点から、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.75以上であり、また、好ましくは1.10以下、より好ましくは1.05以下である。
エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上であり、また、好ましくは1.5質量部以下、より好ましくは1.0質量部以下である。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。重合禁止剤としては、t-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下である。
ポリエステルAの軟化点は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは160℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下である。また、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上、さらに好ましくは88℃以上である。
ポリエステルAの軟化点は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
ポリエステルAのガラス転移温度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、好ましくは80℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは60℃以下である。また、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上である。
ポリエステルAのガラス転移温度は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比等によって制御することができる。
ポリエステルAの酸価は、液体現像剤の粘度を低減する観点、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは110mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下である。また、同様の観点から、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上である。
ポリエステルAの酸価は、アルコール成分やカルボン酸成分の種類や組成比、触媒量等の調整、反応温度や反応時間、反応圧力等の反応条件の選択によって制御することができる。
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
[顔料]
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
顔料の含有量は、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、樹脂100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは70質量部以下、さらに好ましくは50質量部以下、さらに好ましくは25質量部以下である。また、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、さらに好ましくは15質量部以上である。
本発明では、トナー原料として、さらに、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤を適宜使用してもよい。
[トナー粒子の製造方法]
トナー粒子を得る方法としては、樹脂や顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、及び水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
トナー原料の溶融混練は、密閉式ニーダー、一軸もしくは二軸の混練機、連続式オープンロール型混練機等の公知の混練機を用いて行うことができるが、本発明の液体現像剤の製造方法においては、顔料の樹脂中での分散性を向上させる観点、及び粉砕後のトナー粒子の収率を向上させる観点から、オープンロール型混練機を用いて行うことが好ましい。
樹脂、顔料を含有するトナー原料は、あらかじめヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ボールミル等の混合機で混合した後、混練機に供給することが好ましい。これらの混合機の中では、顔料の樹脂中での分散性を向上させる観点から、ヘンシェルミキサーが好ましい。
ヘンシェルミキサーでのトナー原料の混合は、攪拌の周速度、及び混合時間を調整することで行う。攪拌の周速度は、顔料の樹脂中での分散性を向上させる観点から、好ましくは10m/sec以上30m/sec以下である。また、攪拌時間は、顔料の樹脂中での分散性を向上させる観点から、好ましくは1分以上10分以下である。
オープンロール型混練機とは、溶融混練部が密閉されておらず開放されているものをいい、溶融混練の際に発生する混練熱を容易に放熱することができる。本発明で使用するオープンロール型混練機は、ロールの軸方向に沿って設けられた複数の原料供給口と混練物排出口を備えており、生産効率の観点から、連続式オープンロール型混練機であることが好ましい。
本発明で用いるオープンロール型混練機は、少なくとも温度の異なる2本の混練用ロールを有していることが好ましい。ロール温度は、例えば、ロール内部に通す熱媒体の温度により調整することができ、各ロールには、ロール内部を2箇所以上に分割して温度の異なる熱媒体を通じてもよい。
本発明において、混練機の混練物排出部の温度は、トナー原料の混合性を向上させる観点から、いずれのロールにおいても、樹脂の軟化点より10℃高い温度以下に設定することが好ましい。
加熱ロールにおける混練の上流側と混練の下流側の設定温度は、上流側で混練物のロールへの張り付きを良好にして、下流側で強く混練する観点から、上流側の設定温度が下流側よりも高いことが好ましい。
混練の上流側の設定温度が低い方のロール(冷却ロールともいう)において、混練の上流側の設定温度は、混練の下流側の設定温度と同じであっても異なっていてもよい。
オープンロール型混練機のロールは、互いに周速度が異なっていることが好ましく、前記の2本のロールを備えたオープンロール型混練機においては、液体現像剤の定着性を向上させる観点から、温度の高い加熱ロールが周速度の高い方のロール(高回転側ロール)、温度の低い冷却ロールが周速度の低い方のロール(低回転側ロール)であることが好ましい。
高回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは5m/min以上であり、また、好ましくは100m/min以下、より好ましくは75m/min以下である。低回転側ロールの周速度は、好ましくは2m/min以上、より好ましくは4m/min以上であり、また、好ましくは100m/min以下、より好ましくは60m/min以下、さらに好ましくは50m/min以下である。また、2本のロールの周速度の比(低回転側ロール/高回転側ロール)は、好ましくは1/10〜9/10、より好ましくは3/10〜8/10である。
2本のロールの間隙(クリアランス)は、混練の上流側端部で好ましくは0.1mm以上であり、また、好ましくは3mm以下、より好ましくは1mm以下である。
また、各ロールの構造、大きさ、材料等について特に限定はない。ロール表面は、混練に用いられる溝を有しており、この形状は直線状、螺旋状、波型、凸凹型等が挙げられる。
原料混合物の供給速度及び平均滞留時間は、用いるロールのサイズや原料の組成等により異なるので、これらの条件により最適な条件を選択すればよい。
オープンロール型混練機による溶融混練により得られた溶融混練物を粉砕が可能な程度に冷却した後、粉砕工程、及び必要に応じて分級工程等の通常の方法を経て、本発明のトナー粒子を得ることができる。
粉砕工程は、多段階に分けて行ってもよい。例えば、溶融混練物を、1〜5mm程度に粗粉砕した後、さらに微粉砕してもよい。また、粉砕工程時の生産性を向上させるために、溶融混練物を疎水性シリカ等の無機微粒子と混合した後、粉砕してもよい。
粉砕工程に用いられる粉砕機は特に限定されないが、例えば、粗粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、アトマイザー、ロートプレックス等が挙げられるが、ハンマーミル等を用いてもよい。また、微粉砕に好適に用いられる粉砕機としては、流動層式ジェットミル、気流式ジェットミル、機械式ミル等が挙げられる。
前記粉砕物は必要に応じて分級機を用いて分級してもよい。分級工程に用いられる分級機としては、気流式分級機、慣性式分級機、篩式分級機等が挙げられる。分級工程の際、粉砕が不十分で除去された粉砕物は再度粉砕工程に供してもよく、必要に応じて粉砕工程と分級工程とを繰り返してもよい。
前記粉砕工程及び必要に応じて行う分級工程で得られるトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の湿式粉砕工程の生産性を向上させる観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また、好ましくは15μm以下、より好ましくは12μm以下である。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
[液体現像剤の製造方法]
トナー粒子を塩基性分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて液体現像剤が得られる。液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、トナー粒子を湿式粉砕して液体現像剤を得るのが好ましい。
[塩基性分散剤]
分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いるものであるが、本発明では、ポリエステルAへの吸着性を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、吸着基として塩基性吸着基を有する塩基性分散剤を含有する。
塩基性分散剤は、同一分子中に塩基性吸着基と分散基をもつ構造を有するものが好ましく、塩基性吸着基を主鎖、分散基を側鎖にもつ構造を有するものがより好ましい。塩基性吸着基としては、アミノ基、アミド基、イミノ基、ピロリドン基、ピリジン基等が挙げられ、ポリエステルAへの吸着性を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、アミノ基、アミド基及びイミノ基が好ましい。分散基としては、絶縁性液体と相溶する基が好ましく、具体的には炭化水素鎖又はヒドロキシ炭化水素鎖を持つものがより好ましい。このような塩基性分散剤の中でも、ポリエステルAへの吸着性を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリイミンとカルボン酸の縮合物が好ましい。
ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるポリイミンとしては、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリアルキレンイミンが好ましい。ポリアルキレンイミンの具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリブチレンイミン等が挙げられるが、ポリエステルAへの吸着性を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ポリエチレンイミンがより好ましい。
ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるカルボン酸としては、液体現像剤の定着性を向上させる観点、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸が好ましく、直鎖の飽和又は不飽和の脂肪族カルボン酸がより好ましい。具体的なカルボン酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の直鎖飽和脂肪族カルボン酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の直鎖不飽和脂肪族カルボン酸等が挙げられる。
また、ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるカルボン酸は、ヒドロキシ基等の置換基を有していてもよく、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、ヒドロキシ基を置換基として有する、ヒドロキシカルボン酸であることが好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、メバロン酸、リシノール酸、12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸はその縮合体であってもよい。
上記観点から、ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるカルボン酸としては、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、及びその縮合体が好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸及びその縮合体がより好ましい。
ポリイミンとカルボン酸の縮合物の具体例としては、ソルスパース11200、ソルスパース13940(以上、いずれも日本ルーブリゾール社製)等が挙げられる。
塩基性分散剤の添加量は、ポリエステルAへの吸着量を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、トナー粒子の凝集を抑制し、液体現像剤の粘度を低減する観点から、トナー粒子100質量部に対して、有効分として好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上である。また、遊離の分散剤を低減しトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である。
また、塩基性分散剤中のポリイミンとカルボン酸の縮合物の含有量は、ポリエステルAへの吸着性を向上させトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、トナー粒子の凝集を抑制し、液体現像剤の粘度を低減する観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、塩基性分散剤の有効分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である。
[絶縁性液体]
絶縁性液体の25℃における粘度は、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.2mPa・s以上、さらに好ましくは1.3mPa・s以上である。また、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下、さらに好ましくは3mPa・s以下である。絶縁性液体を2種以上組み合わせて用いる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の粘度が上記範囲内であればよい。なお、絶縁性液体の25℃における粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
絶縁性液体とは、電気が流れにくい液体のことを意味するが、本発明においては、誘電率3.5以下、体積抵抗率107Ωcm以上の液体が好ましい。
絶縁性液体の具体例としては、例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン、植物油等が挙げられる。特に、臭気、無害性及びコストの点から、流動パラフィン、イソパラフィン、炭素数12以上18以下のオレフィン等の脂肪族炭化水素が好ましい。脂肪族炭化水素の市販品としては、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーK、アイソパーM(以上、いずれもエクソンモービル社製)、シェルゾール71、シェルゾールTM(以上、いずれもシェルケミカルズジャパン社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(以上、いずれも出光興産社製)、モレスコホワイトP-55、モレスコホワイトP-70、モレスコホワイトP-100、モレスコホワイトP-150、モレスコホワイトP-260(以上、いずれもMORESCO社製)、コスモホワイトP-60、コスモホワイトP-70(以上、いずれもコスモ石油ルブリカンツ社製)、ライトール(Sonneborn社製)、アイソゾール400(JX日鉱日石エネルギー社製)、リニアレン14、リニアレン16、リニアレン18、リニアレン124、リニアレン148、リニアレン168(以上、いずれも出光興産社製)等が挙げられる。これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び湿式粉砕時にトナー粒子の粉砕性を向上させ小粒径の液体現像剤を得る観点から、炭素数12以上18以下のオレフィンが好ましく、炭素数12以上16以下のオレフィンがより好ましい。また、オレフィンの中でも、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び入手性の観点から、α-オレフィンが好ましい。
絶縁性液体中に炭素数12以上18以下のオレフィンを含有する場合、該オレフィンの含有量は、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、絶縁性液体中、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、60質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%がさらに好ましく、100質量%がさらに好ましい。
トナー粒子、絶縁性液体、及び塩基性分散剤の混合方法としては、攪拌混合装置により攪拌する方法等が好ましい。
撹拌混合装置は、特に限定はされないが、トナー粒子分散液の生産性及び保存安定性を向上させる観点から、高速攪拌混合装置が好ましく、具体的には、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー、T.K.ホモディスパー、T.K.ロボミックス(以上、いずれもプライミクス社製)、クレアミックス(エム・テクニック社製)、ケイディーミル(ケイディー・インターナショナル社製)等が好ましい。
トナー粒子と絶縁性液体及び塩基性分散剤を高速攪拌混合装置により混合することによって、トナー粒子が予備分散され、トナー粒子分散液を得ることができ、次の湿式粉砕による液体現像剤の生産性が向上する。
トナー粒子分散液の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上である。また、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、トナー粒子分散液の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
[湿式粉砕]
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
湿式粉砕に使用する装置としては、例えば、アンカー翼等の一般に用いられている撹拌混合装置を用いることができる。撹拌混合装置の中では、デスパ(浅田鉄工社製)、T.K.ホモミクサー(プライミクス社製)等の高速攪拌混合装置、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の粉砕機及び混練機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。
これらの中では、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくする観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点、及びトナー粒子分散液の粘度を低減する観点から、ビーズミルの使用が好ましい。
ビーズミルでは、用いるメディアの粒径や充填率、ローターの周速度、滞留時間等を制御することにより所望の粒径、粒径分布を持ったトナー粒子を得ることができる。
液体現像剤の固形分濃度は、液体現像剤の画像濃度を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。また、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点、液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、液体現像剤の固形分濃度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。トナー粒子分散液調製後、希釈、濃縮等の操作がなければ、トナー粒子分散液の固形分濃度が液体現像剤の固形分濃度となる。
液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、液体現像剤中のトナー粒子の粒径を小さくし、液体現像剤の画質を向上させる観点から、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下である。また、液体現像剤の粘度を低減する観点から、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である。なお、液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
液体現像剤の25℃における粘度は、液体現像剤中のトナー粒子の電気泳動性を向上させる観点から、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下である。また、液体現像剤中でのトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、さらに好ましくは13mPa・s以上、さらに好ましくは16mPa・s以上である。なお、液体現像剤の粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の液体現像剤を開示する。
<1> 樹脂を含有するトナー粒子及び塩基性分散剤を絶縁性液体中に含有する液体現像剤であって、前記樹脂がフラン環を有するポリエステルAを含有する、液体現像剤。
<2> ポリエステルAの含有量が、樹脂中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%、即ち樹脂としてポリエステルAのみを用いることがさらに好ましい、前記<1>記載の液体現像剤。
<3> ポリエステルAが、原料モノマーとして少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分を用い、カルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合させて得られるポリエステルである、前記<1>又は<2>いずれか記載の液体現像剤。
<4> フラン環を有するカルボン酸化合物が、フランジカルボン酸化合物、フランカルボン酸化合物及びヒドロキシフランカルボン酸化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましく、フランジカルボン酸化合物がより好ましく、2,5-フランジカルボン酸がより好ましい、前記<3>記載の液体現像剤。
<5> フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量が、ポリエステルAのカルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは30モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下、さらに好ましくは50モル%以下である、前記<3>又は<4>記載の液体現像剤。
<6> フラン環を有するカルボン酸化合物の含有量が、ポリエステルAのカルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<3>〜<5>いずれか記載の液体現像剤。
<7> フランジカルボン酸化合物の含有量が、ポリエステルAのカルボン酸成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは40モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<4>〜<6>いずれか記載の液体現像剤。
<8> フラン環を有するアルコールの含有量が、ポリエステルAのアルコール成分中、好ましくは10モル%以上、より好ましくは20モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、より好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは80モル%以下、さらに好ましくは60モル%以下である、前記<3>〜<7>いずれか記載の液体現像剤。
<9> アルコール成分が脂肪族ジオールを含有する、前記<3>〜<8>いずれか記載の液体現像剤。
<10> 脂肪族ジオールの炭素数が、好ましくは2以上、より好ましくは3以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは4以下である、前記<9>記載の液体現像剤。
<11> 脂肪族ジオールは、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールが好ましい、前記<9>又は<10>記載の液体現像剤。
<12> 脂肪族ジオールの含有量が、フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<9>〜<11>いずれか記載の液体現像剤。
<13> 第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量が、フラン環を有するアルコール以外のアルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<11>又は<12>記載の液体現像剤。
<14> アルコール成分がフラン環を有するアルコールを含んでいない場合、脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<9>〜<13>いずれか記載の液体現像剤。
<15> アルコール成分がフラン環を有するアルコールを含んでいない場合、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、アルコール成分中、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは実質的に100モル%、さらに好ましくは100モル%である、前記<11>〜<14>いずれか記載の液体現像剤。
<16> カルボン酸成分が、テレフタル酸及び/又はフマル酸を含有することが好ましく、テレフタル酸を含有することがより好ましい、前記<3>〜<15>いずれか記載の液体現像剤。
<17> ポリエステルAの軟化点が、好ましくは160℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは110℃以下、さらに好ましくは105℃以下であり、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上、さらに好ましくは88℃以上である、前記<1>〜<16>いずれか記載の液体現像剤。
<18> ポリエステルAのガラス転移温度が、好ましくは80℃以下、より好ましくは65℃以下、さらに好ましくは60℃以下であり、好ましくは40℃以上、より好ましくは45℃以上、さらに好ましくは50℃以上である、前記<1>〜<17>いずれか記載の液体現像剤。
<19> ポリエステルAの酸価が、好ましくは110mgKOH/g以下、より好ましくは70mgKOH/g以下、さらに好ましくは50mgKOH/g以下、さらに好ましくは30mgKOH/g以下であり、好ましくは3mgKOH/g以上、より好ましくは5mgKOH/g以上、さらに好ましくは8mgKOH/g以上である、前記<1>〜<18>いずれか記載の液体現像剤。
<20> トナー粒子が、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する工程を含む方法により得られる、前記<1>〜<19>いずれか記載の液体現像剤。
<21> トナー原料の溶融混練を、オープンロール型混練機を用いて行うことが好ましい、前記<20>記載の液体現像剤。
<22> トナー粒子を塩基性分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させた後、トナー粒子を湿式粉砕する工程を含む方法により得られる、前記<1>〜<21>いずれか記載の液体現像剤。
<23> 湿式粉砕に、ビーズミルを使用することが好ましい、前記<22>記載の液体現像剤。
<24> 塩基性分散剤は、同一分子中に塩基性吸着基と分散基をもつ構造を有するものが好ましく、アミノ基、アミド基及びイミノ基からなる群より選ばれた少なくとも1種の塩基性吸着基を主鎖、炭化水素鎖又はヒドロキシ炭化水素鎖を持つ分散基を側鎖にもつ構造を有するものがより好ましく、ポリイミンとカルボン酸の縮合物を含有することがさらに好ましい、前記<1>〜<23>いずれか記載の液体現像剤。
<25> ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるポリイミンは、ポリアルキレンイミンが好ましく、ポリエチレンイミンがより好ましい、前記<24>記載の液体現像剤。
<26> ポリイミンとカルボン酸の縮合物の原料となるカルボン酸は、好ましくは炭素数10以上30以下、より好ましくは炭素数12以上24以下、さらに好ましくは炭素数16以上22以下のヒドロキシ脂肪族カルボン酸、及び/又はその縮合体が好ましく、12-ヒドロキシステアリン酸及び/又はその縮合体がより好ましい、前記<24>又は<25>記載の液体現像剤。
<27> 塩基性分散剤の添加量が、トナー粒子100質量部に対して、有効分として好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは7質量部以下である、前記<1>〜<26>いずれか記載の液体現像剤。
<28> 塩基性分散剤中のポリイミンとカルボン酸の縮合物の含有量が、塩基性分散剤の有効分中、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは実質的に100質量%、さらに好ましくは100質量%である、前記<24>〜<27>いずれか記載の液体現像剤。
<29> 絶縁性液体の25℃における粘度が、好ましくは1.0mPa・s以上、より好ましくは1.2mPa・s以上、さらに好ましくは1.3mPa・s以上であり、好ましくは30mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下、さらに好ましくは5mPa・s以下、さらに好ましくは3mPa・s以下である、前記<1>〜<28>いずれか記載の液体現像剤。
<30> 絶縁性液体は、脂肪族炭化水素が好ましい、前記<1>〜<29>いずれか記載の液体現像剤。
<31> 脂肪族炭化水素は、炭素数12以上18以下のオレフィンが好ましく、好ましくは炭素数12以上16以下のオレフィンがより好ましい、前記<30>記載の液体現像剤。
<32> オレフィンは、α-オレフィンが好ましい、前記<31>記載の液体現像剤。
<33> トナー粒子を塩基性分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて得られるトナー粒子分散液の固形分濃度は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは33質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である、前記<22>〜<32>いずれか記載の液体現像剤。
<34> 液体現像剤の固形分濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である、前記<1>〜<33>いずれか記載の液体現像剤。
<35> 液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)は、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、さらに好ましくは2.5μm以下であり、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上である、前記<1>〜<34>いずれか記載の液体現像剤。
<36> 液体現像剤の25℃における粘度は、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは35mPa・s以下、さらに好ましくは30mPa・s以下、さらに好ましくは28mPa・s以下であり、好ましくは5mPa・s以上、より好ましくは10mPa・s以上、さらに好ましくは13mPa・s以上、さらに好ましくは16mPa・s以上である、前記<1>〜<35>いずれか記載の液体現像剤。
樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価(AV)〕
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔絶縁性液体と混合する前のトナー粒子の体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔絶縁性液体及び液体現像剤の25℃における粘度〕
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
〔トナー粒子分散液及び液体現像剤の固形分濃度〕
試料10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」(コクサン社製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
Figure 0006284358
〔液体現像剤中のトナー粒子の体積中位粒径(D50)及び10μm以上の粒子の割合〕
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーG(エクソンモービル社製、イソパラフィン、25℃における粘度1mPa・s)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。また、得られた体積粒度分布から10μm以上の粒子の割合を計算する。
樹脂製造例1(樹脂A〜H)
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管、及び窒素導入管を装備した5L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、180℃に昇温した後、210℃まで10時間かけて昇温を行い、210℃にて反応率が90%に到達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、表1に示す軟化点に達するまで反応を行って、表1に示す物性を有する樹脂を得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
樹脂製造例2(樹脂I)
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を温度計、ステンレス製攪拌棒、脱水管、及び窒素導入管を装備した5L容の四つ口フラスコに入れ、マントルヒーターを用いて、230℃まで昇温した後、230℃にて反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて、軟化点が95℃に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有する樹脂Iを得た。
Figure 0006284358
実施例及び比較例で用いた絶縁性液体を表2に示す。
Figure 0006284358
実施例1〜8及び比較例1、2
表3に示す樹脂85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
〔溶融混練条件〕
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、原料投入側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
上記で得られた混練物を冷却ロールで冷却した後、ハンマーミルを用いて1mm程度に粗粉砕した。得られた粗粉砕物を気流式ジェットミル「IDS」(日本ニューマチック社製)により微粉砕及び分級し、体積中位粒径(D50)が10μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子35質量部と表3に示す絶縁性液体60.625質量部、及び塩基性分散剤「ソルスパース13940」(日本ルーブリゾール社製、ポリイミンとカルボン酸の縮合物、有効分40%)4.375質量部を1L容のポリエチレン製容器に入れ、「T.K.ロボミックス」(プライミクス社製)を用いて、氷冷下、回転数7000r/minにて30分間攪拌を行い、固形分濃度を37質量%のトナー粒子分散液を得た。
次に、得られたトナー粒子分散液を、直径0.8mmのジルコニアビーズを用いて、体積充填率60体積%にて、6筒式サンドミル「TSG-6」(アイメックス社製)で回転数1300r/min(周速度4.8m/sec)にて表3に示す体積中位粒径(D50)になるまで湿式粉砕した。ビーズをろ過により除去し、固形分濃度37質量%の、表3に示す物性を有する液体現像剤を得た。
比較例3
実施例1において、塩基性分散剤「ソルスパース13940」(日本ルーブリゾール社製、ポリイミンとカルボン酸の縮合物、有効分40%)4.375質量部を酸性分散剤「ソルスパース21000」(日本ルーブリゾール社製、ポリカルボン酸系化合物、有効分100%)1.75質量部に、絶縁性液体60.625質量部を63.25質量部に、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして製造を行ったが、湿式粉砕時に増粘しトナー粒子が分散できなくなり、液体現像剤を得られなかった。
Figure 0006284358
試験例1〔保存安定性〕
液体現像剤10gを20mLのガラス製サンプル管「スクリューNo.5」(マルエム社製)に入れ、40℃の恒温槽にて24時間保存した。保存前後の体積中位粒径を測定し、得られた体積粒度分布から10μm以上の粒子の割合を計算し、保存前後の差分の値から保存安定性を評価した。結果を表4に示す。数値が0に近いほどトナー粒子の分散安定性が良好であり、保存安定性に優れることを示す。
試験例2〔電気泳動性〕
テフロン(登録商標)製容器(外寸W6.3cm×D4cm×H6.3cm、内寸W5cm×D1.1cm×H5cm)にあらかじめ質量を測定した2枚の電極(ステンレス鋼製、W4cm×D0.5cm×H5cm)を挿入した(電極間距離0.1cm)。液体現像剤1gを絶縁性液体7.75gで希釈して試料液とし、この試料液3gを2枚の電極間に入れ、直流電源装置「TMK1.5-50」(高砂製作所社製)を用いて両極に±300Vの直流電圧を90秒間印加した。両電極を抜き出し、真空乾燥機にて0.5kPa、100℃にて1時間乾燥させ、乾燥後の各電極の質量を測定した。正負極それぞれついて(乾燥後の電極の質量)−(電圧印加前の電極の質量)の値を求め、各電極に付着したトナーの質量とした。結果を表4に示す。負極上のトナー粒子の質量が大きく、正極上のトナー粒子の質量が小さいほど正帯電性に優れることを示す。
試験例3〔定着性〕
「PODグロスコート紙」(王子製紙社製)に液体現像剤を滴下し、ワイヤーバーにより乾燥後の質量が1.2g/m2になるように薄膜を作製した。
作製した薄膜を、60℃の恒温槽中で10秒間保持した後、「OKI MICROLINE 3010」(沖データ社製)の定着機を外部に取り出した外部定着機にて、定着ロールの温度を140℃に設定し、140mm/secの定着速度で定着させた。
得られた定着画像にメンディングテープ「Scotchメンディングテープ810」(3M社製、幅18mm)を貼り付け、500gの荷重がかかるようにローラーでテープに圧力をかけた後、テープを剥離した。テープ剥離前と剥離後の画像濃度を、色彩計「Spectroeye」(X-Rite社製)にて測定した。画像印字部は各3点測定し、その平均値を画像濃度として算出した。剥離後の画像濃度/剥離前の画像濃度×100の値から定着率(%)を算出し、定着性を評価した。結果を表4に示す。数値が大きいほど定着性に優れることを示す。
Figure 0006284358
表4から明らかなように、比較例1〜3と対比して、実施例1〜8の液体現像剤は、保存安定性、電気泳動性に優れ、定着性にも優れることが分かる。
本発明の液体現像剤は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に好適に用いられるものである。

Claims (7)

  1. 樹脂を含有するトナー粒子及び塩基性分散剤を絶縁性液体中に含有する液体現像剤であって、前記樹脂がフラン環を有するポリエステルAを含有する、液体現像剤。
  2. フラン環を有するポリエステルAが、原料モノマーとして少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分を用い、カルボン酸成分とアルコール成分とを重縮合させて得られるポリエステルである、請求項1記載の液体現像剤。
  3. フラン環を有するカルボン酸化合物とフラン環を有するアルコールとの合計量が、ポリエステルAのカルボン酸成分とアルコール成分との合計量中、10モル%以上100モル%以下である、請求項2記載の液体現像剤。
  4. アルコール成分が脂肪族ジオールを含有する、請求項2又は3記載の液体現像剤。
  5. フラン環を有するポリエステルAの含有量が、樹脂中、50質量%以上である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  6. 液体現像剤の25℃における粘度が5mPa・s以上50mPa・s以下である、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
  7. 塩基性分散剤がポリイミンとカルボン酸の縮合物を含有する、請求項1〜いずれか記載の液体現像剤。
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