JP6195412B2 - 液体現像剤 - Google Patents
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Description
〔1〕 樹脂と顔料とを含有するトナー粒子が絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体が、炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有してなる、液体現像剤、並びに
〔2〕 樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤の製造方法であって、
工程1:樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体が炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有する、液体現像剤の製造方法
に関する。
オレフィンは、二重結合を有しているために飽和炭化水素に比べて極性が高く、樹脂との親和性が高い。そのため、オレフィンを特定量含有することにより、定着時に高温に加熱した際、樹脂を可塑化又は膨潤しやすくすることで定着性が向上する。一方、オレフィンの炭素数を12〜18とすることで、液体が適度な粘度をもち、使用時に分散媒蒸気の発生が問題となることがなく、また固化することも避けられるとともに、分散液中においてオレフィンが樹脂中に浸透することが抑制され、保存安定性が向上するものと考えられる。
本発明の液体現像剤における樹脂はトナー粒子の結着樹脂となる樹脂であり、例えば、ポリスチレン、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体であるスチレン系樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリウレタン、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。炭素数2〜20の2価のアルコールとして、具体的には、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。
顔料としては、トナー用着色剤として用いられている顔料のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、イソインドリン、ジスアゾエロー等を用いることができる。本発明において、トナー粒子は、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。
トナー粒子を得る方法としては、樹脂や顔料を含有するトナー原料を溶融混練し、得られた溶融混練物を粉砕して得る方法、水系樹脂分散液と水系顔料分散液を混合し樹脂粒子と顔料粒子を合一させる方法、及び水系樹脂分散液と顔料を高速攪拌する方法等が挙げられる。液体現像剤の現像性及び定着性を向上させる観点から、トナー原料を溶融混練した後に粉砕する方法が好ましい。
トナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させて液体現像剤が得られる。液体現像剤中のトナー粒子の粒子径を小さくする観点及び粘度を低減する観点から、トナー粒子を絶縁性液体中に分散させた後、トナー粒子を湿式粉砕して液体現像剤を得るのが好ましい。
絶縁性液体の25℃における粘度は、液体現像剤の定着性を向上させる観点、及び液体現像剤中のトナー粒子の分散安定性を向上させ保存安定性を向上させる観点から、1mPa・s以上が好ましく、2mPa・s以上がより好ましく、3mPa・s以上がさらに好ましく、また、液体現像剤の定着性及び保存安定性を向上させる観点から、55mPa・s以下が好ましく、40mPa・s以下がより好ましく、30mPa・s以下がさらに好ましく、15mPa・s以下がさらに好ましく、4mPa・s以下がさらに好ましい。絶縁性液体を2種以上組み合わせて用いる場合には、組み合わせた絶縁性液体混合物の粘度が上記範囲内であればよい。なお、絶縁性液体の25℃における粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
分散剤は、トナー粒子を絶縁性液体中に安定に分散させるために用いるもので、本発明では、樹脂、特にポリエステルへの吸着性を向上させる観点から、吸着基として塩基性吸着基を有する塩基性分散剤が好ましい。
湿式粉砕とは、絶縁性液体中に分散させたトナー粒子を、絶縁性液体に分散した状態で機械的に粉砕処理する方法である。
工程1:樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体が炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有する、液体現像剤の製造方法。
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所社製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、吸熱ピークを測定する。吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度とする。
JIS K0070の方法により測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
6mL容のガラス製サンプル管「スクリューNo.2」(マルエム社製)に測定液を4〜5mL入れ、回転振動式粘度計「ビスコメイトVM-10A-L」(セコニック社製)を用いて、25℃にて粘度を測定する。
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:100μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)を5質量%の濃度となるよう前記電解液に溶解させる。
分散条件:前記分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、前記電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させて、試料分散液を調製する。
測定条件:前記電解液100mlに、3万個の粒子の粒径を20秒間で測定できる濃度となるように、前記試料分散液を加え、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
トナー粒子分散液又は液体現像剤10質量部をヘキサン90質量部で希釈し、遠心分離装置「H-201F」(コクサン社製)を用いて、回転数25000r/minにて、20分間回転させる。静置後、上澄み液をデカンテーションにて除去した後、90質量部のヘキサンで希釈し、同様の条件で再び遠心分離を行う。上澄み液をデカンテーションにて除去した後、下層を真空乾燥機にて0.5kPa、40℃にて8時間乾燥させ、以下の式より固形分濃度を計算する。
レーザー回折/散乱式粒径測定装置「マスターサイザー2000」(マルバーン社製)を用いて、測定用セルにアイソパーG(エクソンモービル社製、イソパラフィン)を加え、散乱強度が5〜15%になる濃度で、粒子屈折率1.58(虚数部0.1)、分散媒屈折率1.42の条件にて、体積中位粒径(D50)を測定する。
表1に示す原料モノマーと、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、230℃に昇温して反応率が90%に達するまで反応させ、さらに8.3kPaにて反応を行い、軟化点が80℃に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有する樹脂Aを得た。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
表1に示す原料モノマーと、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した10L容の四つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行い、反応率が90%に達するまで反応させた。さらに8.3kPaにて反応を行い、軟化点が86℃に達した時点で反応を終了し、表1に示す物性を有する樹脂Bを得た。
キシレン1567gを窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱電対を装備した5L容の四つ口フラスコに入れ、130℃に昇温した。表2に示す原料モノマー及び重合開始剤の混合液を130℃で攪拌しながら1.5時間かけて滴下し、さらに1.5時間同温度を保持して付加重合反応を行った。160℃に昇温し、1時間反応を行った後、200℃に昇温し、1時間保持してキシレンを除去した。さらに8.3kPaにて残りのキシレンを除去し、表2に示す物性を有する樹脂Cを得た。
攪拌装置付きフラスコに1-オクタデカノール「カルコール8098」(花王社製)7000g(25.9モル)、固体酸触媒としてγ―アルミナ(STREM Chemicals,Inc社製)1050g(原料アルコールに対して15質量%)を仕込み、攪拌下、285℃にて系内に窒素(7000ml/min)を流通させながら13時間、反応を行った。反応終了後のアルコール転化率は100%、C18内部オレフィン純度は98.5%であった。得られた粗内部オレフィンを蒸留用フラスコに移し、148-158℃/0.5mmHgで蒸留することでオレフィン純度100%の炭素数18の内部オレフィンAを得た。
内部オレフィンに対しジメチルジスルフィドを反応させることでジチオ化誘導体とした後、炭素鎖長及び二重結合位置の異なる各成分をガスクロマトグラフィー(GC)で分離する。それぞれのピーク面積より内部オレフィンの存在割合を求める。二重結合位置は質量分析計(MS)により同定する。
GC装置:6890(アジレントテクノロジー社製)
カラム:BPX-35 25m×0.22mm×0.25μm(SGE社製)
キャリアーガス:He(カラム流量1.0mL/min)
インジェクションモード:スプリット(100:1)
インジェクター温度:300℃
カラムオーブン温度:60℃から2℃/minで昇温し、300℃で5min保持
MS装置:5975(アジレントテクノロジー社製)
イオン源温度:230℃
アナライザー温度:150℃(四重極)
トランスファーライン温度:300℃
イオン化モード:EI
スキャン範囲:m/z 25〜500
樹脂A 85質量部及び顔料「ECB-301」(大日精化社製、フタロシアニンブルー15:3)15質量部を、予め20L容のヘンシェルミキサーを使用し、回転数1500r/min(周速度21.6m/sec)で3分間攪拌混合後、以下に示す条件で溶融混練した。
連続式二本オープンロール型混練機「ニーデックス」(日本コークス工業社製、ロール外径:14cm、有効ロール長:55cm)を使用した。連続式二本オープンロール型混練機の運転条件は、高回転側ロール(フロントロール)回転数75r/min(周速度32.4m/min)、低回転側ロール(バックロール)回転数35r/min(周速度15.0m/min)、原料投入側端部のロール間隙0.1mmであった。ロール内の加熱媒体温度及び冷却媒体温度は、高回転側ロールの原料投入側が90℃及び混練物排出側が85℃であり、低回転側ロールの原料投入側が35℃及び混練物排出側が35℃であった。また、原料混合物の上記混練機への供給速度は10kg/h、上記混練機中の平均滞留時間は約3分間であった。
液体現像剤10gを20mLのガラス製サンプル管「スクリューNo.5」(マルエム社製)に入れ、40℃の恒温槽にて24時間保存した。保存前後の粘度を測定し、保存後の粘度/保存前の粘度の値から保存安定性を評価した。結果を表4に示す。数値が1に近いほど保存安定性に優れることを示す。
6cm四方に裁断した「PODグロスコート紙」(王子製紙社製)に液体現像剤を滴下し、スピンコーター「MS-A150」(ミカサ社製)を用いて回転させ、薄膜を作製した。紙上に載った液体現像剤が0.05g±0.003gになるように滴下量や回転数、回転時間を調整した。
Claims (8)
- 樹脂と顔料とを含有するトナー粒子が絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤であって、前記絶縁性液体が、炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有してなる、液体現像剤。
- 樹脂がポリエステルを含有してなる、請求項1記載の液体現像剤。
- ポリエステルの酸価が3mgKOH/g以上110mgKOH/g以下である、請求項2記載の液体現像剤。
- オレフィンが内部オレフィンである、請求項1〜3いずれか記載の液体現像剤。
- オレフィン1分子中の二重結合の個数が3個以下である、請求項1〜4いずれか記載の液体現像剤。
- 絶縁性液体中のオレフィンの含有量が40質量%以上である、請求項1〜5いずれか記載の液体現像剤。
- 絶縁性液体の25℃における粘度が1mPa・s以上55mPa・s以下である、請求項1〜6いずれか記載の液体現像剤。
- 樹脂及び顔料を含有するトナー粒子が絶縁性液体中に分散してなる液体現像剤の製造方法であって、
工程1:樹脂及び顔料を溶融混練し、粉砕してトナー粒子を得る工程、
工程2:工程1で得られたトナー粒子を分散剤の存在下で絶縁性液体中に分散させ、トナー粒子分散液を得る工程、及び
工程3:工程2で得られたトナー粒子分散液を湿式粉砕し、液体現像剤を得る工程
を含み、
前記絶縁性液体が炭素数12以上18以下のオレフィンを10質量%以上含有する、液体現像剤の製造方法。
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