JP6086028B2 - 車両用ロック装置 - Google Patents
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Description
特許文献1の技術は、バックドアのロック装置に関する技術であり、ボディのドア開口部側に設けられたストライカと、バックドア側に設けられ、前記ストライカと係合可能に構成されたロック機構とを備えている。さらに、バックドア側には、ロック解除操作部が設けられており、そのロック解除操作部のロック解除動作がワイヤー等によりロック機構に伝達されるようになっている。即ち、ロック解除操作部を操作することで、その操作力がワイヤー等によりロック機構に伝達され、ロック機構のロック状態が解除される。
このため、ロック解除操作部、及びワイヤー等の収納スペースが広く必要になる。
車両のボディと、そのボディに対して回動可能に連結された板状部材と、前記板状部材の回動をその板状部材の幅方向両側でロックする一対のロック機構と、前記一対のロック機構のロック状態を解除できるロック解除機構とを備える車両用ロック装置であって、前記ロック解除機構は、ロック解除操作部と、そのロック解除操作部の動作を前記一対のロック機構に伝達する動作力伝達機構とを備えており、前記動作力伝達機構は、前記ロック解除操作部の動作を受けて一定方向に回動可能に構成された操作部用ブラケットと、前記操作部用ブラケットの回動動作を受けて同方向に回動し、一方のロック機構のロック状態を解除可能な一方のブラケットと、前記操作部用ブラケットの回動動作を受けて同方向に回動し、他方のロック機構のロック状態を解除可能な他方のブラケットとを有しており、 前記動作力伝達機構は、前記一対のロック機構間にあって、それらのロック機構をむすぶ仮想線に沿う同方向の力を各々のロック機構に加えてロック状態を解除できるように構成されていることを特徴とする。
本発明によると、ロック解除操作部の動作を一対のロック機構に伝達する動作力伝達機構は、一対のロック機構間にあって、それらのロック機構をむすぶ仮想線に沿う同方向の力を各々のロック機構に加えてロック状態を解除できるように構成されている。このため、一対のロック機構をむすぶ仮想線上に動作力伝達機構を配置でき、動作力伝達機構を一対のロック機構間にコンパクトに収納できるようになる。このため、ロック解除機構のロック解除操作部、動作力伝達機構に広い収納スペースが必要なくなる。
請求項3の発明によると、一方のブラケットの回動自由端側に一方のロック機構側の部材が連結されており、他方のブラケットの回動自由端側に他方のロック機構側の部材が連結されており、前記一方のブラケットの回動自由端側と前記他方のブラケットの回動自由端側とが回動中心に対して同方向に配置されていることを特徴とする。
即ち、動作力伝達機構は、ワイヤーとロッドとを使用することで、一方のロック機構と他方のロック機構とに同一方向の力を加えて、ロック状態を解除できるようになる。
このため、例えば、経時的にワイヤーが延びてワイヤー用ブラケットのロック解除位置とロッド用ブラケットのロック解除位置とがずれた場合でも対応が可能になる。即ち、ロッド用ブラケットがロック解除位置まで回動して一定方向の回動が禁止された場合でも、第2弾性体が弾性変形することでロッド用ブラケットに対する操作部用ブラケットとワイヤー用ブラケットとの一定方向の回動が可能になる。これにより、例えば、経時的にワイヤーが延びた場合でも、ロック解除操作部の操作量を増加させることで、ワイヤー用ブラケットをロック解除位置まで回動させることができる。
また、上記とは逆に、ロック解除位置にあるワイヤー用ブラケットに対する操作部用ブラケットの一定方向の回動は第1弾性体が弾性変形することで吸収される。
即ち、ワイヤー用ブラケットとロッド用ブラケットとのロック解除位置のずれを第1弾性体、あるいは第2弾性体の部分で吸収できるようになる。
以下、図1から図14に基づいて本発明の実施形態1に係る車両用ロック装置について説明する。本実施形態に係る車両用ロック装置は、スロープ装置10のスロープ板本体部20を起立状態でワンボックス車両内に格納したときに、そのスロープ板本体部20を起立位置でロックするための装置(後倒規制用ロック装置40)である。
ここで、図中に示す前後左右及び上下はスロープ装置10を備えるワンボックス車両Cの前後左右及び上下に対応している。
スロープ装置10を説明する前に、先ず、ワンボックス車両Cの概要について簡単に説明する。
ワンボックス車両Cは、図1、図2に示すように、ボディの後部に後側開口部Hを備えており、その後側開口部Hが上方に跳ね上げ式のバックドアDbによって開閉可能に構成されている。そして、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの内側に、乗員を車椅子で後側開口部Hから乗降させる際に使用されるスロープ装置10が設けられている。
また、ワンボックス車両Cはスロープ装置10を使用する際に、後部を後輪に対して予め決められた寸法だけ下降させられるように構成されている。これにより、車室のフロア面Frは、図2に示すように、後側開口部Hが低くなるように傾斜した状態に保持される。
スロープ装置10は、上記したように、乗員を車椅子で後側開口部Hから乗降させる際に使用される装置であり、図1〜図4に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30と後倒規制用ロック装置40と前倒規制用ロック機構50とから構成されている。
スロープ板本体部20は、図1〜図3に示すように、車椅子用のスロープ板を構成する板部であり、第1平板部21と、その第1平板部21を前後スライド可能な状態で収納する第2収納板部22とから構成されている。
第2収納板部22は、図3等に示すように、底板部22fと、その底板部22fの幅方向両側(左右両側)に立設された帯板状の側板部22wとにより断面扁平U字形に形成されている。
第1平板部21は、第2収納板部22の底板部22fに重ねられた状態でその第2収納板部22に収納される。さらに、第1平板部21を第2収納板部22から引き出すことで、スロープ板本体部20の長さ寸法を調整することが可能になる。
テールゲート部30は、図3〜図5に示されるように、スロープ板本体部20(第2収納板部22)の基端部を支持してワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4に上下回動可能な状態で連結する部材である。
テールゲート部30は、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4に沿って車幅方向に延びるように配置される横梁部34を備えている。横梁部34は、図5に示すように、内側(前側)に空間が形成されるように、横断面形状が略コ字形に形成されている。そして、横梁部34の左右端下側がワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4(図4〜図6等参照)に後倒しヒンジ機構31を介して上下回動可能な状態で連結されている。
テールゲート部30の横梁部34の内側(前側)には、図4、図5に示すように、車幅方向両側(左右)位置にカム板32がスロープ板本体部20の基端部を幅方向両側から挟むように固定されている。そして、図5に示すように、左右のカム板32と横梁部34とに前倒しヒンジ機構35(後記する)を介してスロープ板取付けブラケット37が上下回動可能な状態で連結されている。左右のスロープ板取付けブラケット37には、スロープ板本体部20(第2収納板部22)の基端部が幅方向両側から挟まれてボルト等により固定されている。
また、テールゲート部30の左右のカム板32と左右のスロープ板取付けブラケット37間には、図5に示すように、テールゲート部30とスロープ板本体部20とが一体で起立位置と展開位置間で上下回動可能なように両者32,37を係合させる前倒規制用ロック機構50(後記する)が設けられている。
上記構成により、前倒規制用ロック機構50がロック状態で、後倒規制用ロック装置40のロック機構45のロック状態が解除されると、図7に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30とは後倒しヒンジ機構31を中心に一体で展開位置まで後方に回動が可能となる。また、後倒規制用ロック装置40のロック機構45がロック状態で、前倒規制用ロック機構50のロック状態が解除されると、図4(二点鎖線参照)、図8(A)に示すように、スロープ板本体部20は起立位置にあるテールゲート部30に対して前倒しヒンジ機構35を中心に前方に回動が可能になる。
ここで、テールゲート部30の横梁部34は、装飾パネル34e(図1参照)によって覆われており、その横梁部34及び後倒しヒンジ機構31等は外から見えないようになっている。
即ち、スロープ板本体部20と左右のスロープ板取付けブラケット37とが本発明の板状部材に相当する。
前倒しヒンジ機構35は、図5、図8に示すように、テールゲート部30のカム板32の上端位置から車幅方向に内側に突出する支軸321と、スロープ板取付けブラケット37の基端部の位置で前記支軸321が通される支軸穴371と筒体373とを備えている。筒体373は、スロープ板取付けブラケット37の側壁面に直角に固定されて車幅方向に内側に突出するよう形成されている。そして、筒体373の先端部分が横梁部34に固定された軸受部344によって回転自在に支持されている。即ち、テールゲート部30のカム板32の支軸321を中心にスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)と筒体373とが回動できるように構成されている。
さらに、前記筒体373には、図5、図8に示すように、軸受部344から突出する部分が円周方向に一定角度切り欠かれることで突出壁部373tが形成されている。突出壁部373tは、前倒規制用ロック機構50がロック状態にあるとき、即ち、図5に示すように、テールゲート部30とスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)とが共に起立位置にあるとき、後倒規制用ロック装置40の操作部用ブラケット622(後記する)のロック解除動作(左回動)を妨げないように構成されている。また、図8(A)に示すように、テールゲート部30に対してスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)が前方に倒伏し、筒体373がスロープ板取付けブラケット37と共に回動すると、その筒体373に形成された突出壁部373tは後倒規制用ロック装置40の操作部用ブラケット622(後記する)のロック解除動作(左回動)を妨げる位置まで回動する(図8(B)参照)。
なお、筒体373の周囲に装着されているコイルバネ35xは、テールゲート部30に対してスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)を起立位置に保持する方向に付勢されている。
前倒規制用ロック機構50は、テールゲート部30に対するスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)の前倒しを規制し、テールゲート部30とスロープ板本体部20とを一体で起立位置と後方の展開位置間で上下回動させるための機構である。前倒規制用ロック機構50は、左右のスロープ板取付けブラケット37とテールゲート部30間に個別に設けられている。
前倒規制用ロック機構50は、図9〜図11等に示すように、スロープ板取付けブラケット37に沿って回動可能に構成されたレバー部材52と、テールゲート部30のカム板32の外周に形成されたカム面54と、レバー部材52をロック位置に保持するバネ材57とから構成されている。
レバー部材52は、図9等に示すように、そのレバー部材52の途中位置が連結ピン51によってスロープ板取付けブラケット37に上下回動可能な状態で連結されている。レバー部材52には、先端側に取手部525が設けられており、その取手部525の近傍に位置にバネ材57の一端が掛けられるバネ受け部527が形成されている。また、レバー部材52の基端部には、スロープ板取付けブラケット37がテールゲート部30に対して前倒しされる際に、カム板32のカム面54に沿って摺動可能に構成されたロックピン521が設けられている。前記バネ材57は、他端側がスロープ板取付けブラケット37に連結されており、レバー部材52を図9において左回動させる方向に付勢されている。このため、レバー部材52のロックピン521は、常にバネ材57のバネ力により、カム板32のカム面54に押付けられている。
また、図9に示すように、レバー部材52の取手部525を把持して、レバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して右回動させると、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541から外れ、ロック状態が解除される。これにより、図10に示すように、スロープ板取付けブラケット37、スロープ板本体部20の前倒しが可能になる。そして、スロープ板取付けブラケット37が前倒しヒンジ機構35の支軸321を中心に前倒し方向に回動すると、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54に沿って摺動しつつ下方に移動する。このようにして、図11に示すように、スロープ板取付けブラケット37が前倒し位置に到達すると、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の下部ロック溝542と嵌合して、この位置でロック状態に保持される。
後倒規制用ロック装置40は、ワンボックス車両Cに対するテールゲート部30の上下回動を禁止して、図4等に示すように、そのテールゲート部30を起立位置に保持するための機構である。
後倒規制用ロック装置40は、図6に示すように、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの内側壁に固定された左右一対のボディ側ストライカ43と、テールゲート部30の横梁部34の左右両側に固定されたロック機構45と、図12に示すように、左右のロック機構45のロック状態を解除するロック解除機構60とから構成されている。
ボディ側ストライカ43は、門形のストライカであり、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの左右両側にほぼ水平に取付けられている。
左右のロック機構45は、図4等に示すように、テールゲート部30が起立位置にある状態で左右のボディ側ストライカ43とそれぞれ係合可能に構成されている。なお、図4等では、ボディ側ストライカ43は省略されている。
ロック解除機構60は、図12に示すように、使用者が引き操作するロック解除操作部61と、そのロック解除操作部61の引き操作をロッド63、及びワイヤー部材64を介して左右一対のロック機構45に伝達する動作力伝達機構62とを備えている。
ロック解除機構60は、テールゲート部30の横梁部34の裏側(前側)に収納されており、図3に示すように、ロック解除操作部61の把持部61hのみがテールゲート部30の外側に配置されている。
ここで、右側のロック機構45は、図12に示すように、そのロック機構45のロック解除レバー45rをワイヤー部材64のワイヤー64wにより左方向に引っ張ることでボディ側ストライカ43との係合状態(ロック状態)を解除できるように構成されている。また、左側のロック機構45は、そのロック機構45のロック解除レバー45fをロッド63により左方向に押圧することでボディ側ストライカ43との係合状態(ロック状態)を解除できるように構成されている。
即ち、動作力伝達機構は、左右のロック機構45間にあって、それらのロック機構45をむすぶ仮想線に沿う左方向の力を各々のロック機構45に加えてロック状態を解除できるように構成されている。
動作力伝達機構62のベースブラケット621は、動作力伝達機構62をテールゲート部30の裏側に固定するためのブラケットであり、そのベースブラケット621の中央位置に、図13に示すように、水平前方に突出するセンターピン621pが設けられている。センターピン621pは、ロッド用ブラケット623と操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とを回動可能に支持するピンであり、そのセンターピン621pの先端部分に雄ネジ(図示省略)が形成されている。そして、センターピン621pがロッド用ブラケット623の貫通孔623h、操作部用ブラケット622の貫通孔622h、ワイヤー用ブラケット624の貫通孔624hに順番に挿通された後、図14に示すように、先端部分の雄ネジにナット621nが締付られるように構成されている。
操作部用ブラケット622は、図13に示すように、ロック解除操作部61のベルト部61bが連結されるレバー状のブラケットであり、略Z字形に折り曲げ成形されている。そして、操作部用ブラケット622の基端部にセンターピン621pが通される貫通孔622hが形成されており、回動自由端側(先端側)にロック解除操作部61のベルト部61bが連結される連結ピン622cが形成されている。さらに、操作部用ブラケット622には、連結ピン622cよりも先端側に鉤状部622fが形成されている。
上記構成により、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されると、操作部用ブラケット622は戻しバネ628のバネ力に抗してセンターピン621pの回りを左回動するようになる。また、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されない状態では、操作部用ブラケット622は戻しバネ628のバネ力で初期位置(右回動限位置)に保持されている。
ロッド用ブラケット623と操作部用ブラケット622間には、図13、図14に示すように、操作部用ブラケット622に対してロッド用ブラケット623が左回動するように付勢された第2バネ626が装着されている。このため、ロッド用ブラケット623は第2バネ626のバネ力を受けて左回動し、そのロッド用ブラケット623の係合爪623tが操作部用ブラケット622のストッパピン622pに掛けられている。この状態で、操作部用ブラケット622とロッド用ブラケット623とは一体で回動できるようになる。ここで、第2バネ626のバネ力は、ロック機構45のロック解除レバー45fの操作力よりも大きな値に設定されている。
即ち、前記第1バネ627が本発明の第1弾性体に相当し、第2バネ626が本発明の第2弾性体に相当する。
上記構成により、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されると、操作部用ブラケット622の連結ピン622cが引き上げられて、操作部用ブラケット622が戻しバネ628のバネ力に抗して図13において左回動する。これにより、ワイヤー用ブラケット624とロッド用ブラケット623とが第1バネ627、第2バネ626を介して操作部用ブラケット622と共に左回動する。ワイヤー用ブラケット624が左回動することでワイヤー部材64のワイヤー64wにより右側のロック機構45のロック解除レバー45rが左方向に引っ張られる。そして、ワイヤー用ブラケット624がロック解除位置まで左回動することで、右側のロック機構45のロック状態が解除される。また、ロッド用ブラケット623が左回動することでロッド63により左側のロック機構45のロック解除レバー45fが左方向に押圧される。そして、ロッド用ブラケット623がロック解除位置まで左回動することで、左側のロック機構45のロック状態が解除される。
この場合、ロッド用ブラケット623がロック解除位置まで左回動してそれ以上の回動が禁止された場合でも、第2バネ626が弾性変形することでロッド用ブラケット623に対する操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624との左回動が可能になる。これにより、例えば、経時的にワイヤー64wが延びてもロック解除操作部61の引き操作量を大きくすることで、ワイヤー用ブラケット624をロック解除位置まで回動させることができる。
なお、上記とは逆に、ロック解除位置にあるワイヤー用ブラケット624に対する操作部用ブラケット622の一定方向の回動は第1バネ626が弾性変形することで吸収される。
スロープ装置10がワンボックス車両Cに格納されている状態では、図3、図4等に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30は共に起立位置にあって後倒規制用ロック装置40と前倒規制用ロック機構50とがロック状態に保持されている。
ここで、前倒規制用ロック機構50がロック状態に保持されている状態では、図5に示すように、前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tが後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の鉤状部622fと当接しない位置に配置されている。これにより、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622は左回動が可能となる。
この状態から乗員を車椅子で乗車させる場合には、図1に示すように、バックドアDbを開き、ワンボックス車両Cの後部を所定位置まで下降させる。次に、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60におけるロック解除操作部61の把持部61hを引き操作する。これにより、ロック解除機構60の操作部用ブラケット622が図13において左回動し、ワイヤー用ブラケット624とロッド用ブラケット623とが第1バネ627、第2バネ626を介して操作部用ブラケット622と共に左回動する。この結果、右側のロック機構45のロック解除レバー45rがワイヤー64wにより左方向に引っ張られてロック状態が解除される。また、左側のロック機構45のロック解除レバー45fがロッド63により左方向に押圧されてロック状態が解除される。
次に、図6、図7に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30とを一体で後倒しヒンジ機構31の回動中心の回りに展開位置まで後方に回動させる。そして、スロープ板本体部20の第2収納板部22から第1平板部21を引き出してスロープ装置10を展開する。この状態で、図2に示すように、スロープ板本体部20がワンボックス車両Cの後側開口部Hと地面との間に掛け渡され、そのスロープ板本体部20を利用して車椅子の乗員を後側開口部Hから乗車させることが可能になる。
また、図4に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30が起立位置にある状態からワンボックス車両Cに荷物を積載する場合には、左右の前倒規制用ロック機構50のロック状態を解除する。即ち、図9に示すように、前倒規制用ロック機構50のレバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して右回動させる。これにより、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541から外れ、前倒規制用ロック機構50のロック状態が解除される。これにより、図10、図11に示すように、スロープ板本体部20を前倒しヒンジ機構35の回動中心(支軸321)の回りに前方に回動させ、スロープ板本体部20をフロア面上に倒伏させる。この状態で、前記スロープ板本体部20上に荷物を積載することが可能になる。
この状態では、図8(A)に示すように、スロープ板本体部20(スロープ板取付けブラケット37)と共に回動した筒体373の突出壁部373tが後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の鉤状部622fと当接する位置まで回動する(図8(B)参照)。これにより、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の左回動が禁止される。即ち、スロープ板本体部20がフロア面Fr上に倒伏している状態では、後倒規制用ロック装置40のロック状態が解除されることがない。
本実施形態に係る車両用ロック装置によると、ロック解除操作部61の動作を左右のロック機構45に伝達する動作力伝達機構62は、左右のロック機構45間にあって、それらのロック機構45をむすぶ仮想線に沿う左方向の力を各々のロック機構45に加えてロック状態を解除できる。このため、左右のロック機構45をむすぶ仮想線上に動作力伝達機構62を配置でき、動作力伝達機構62を一対のロック機構間にコンパクトに収納できるようになる。このため、ロック解除機構60のロック解除操作部61、動作力伝達機構62に広い収納スペースが不要になる。
また、動作力伝達機構62では、操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とは第1バネ627を介して一体で回動可能に連結されており、操作部用ブラケット622とロッド用ブラケット623とは第2バネ626を介して一体で回動可能に連結されている。
このため、例えば、経時的にワイヤー64wが延びてワイヤー用ブラケット624のロック解除位置がロッド用ブラケット623のロック解除位置からずれた場合でも対応が可能である。即ち、ロッド用ブラケット623がロック解除位置まで左回動してそれ以上の回動が禁止された場合でも、第2バネ626が弾性変形することでロッド用ブラケット623に対する操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624との左回動が可能になる。これにより、例えば、ワイヤー64wが延びた場合でも、ロック解除操作部61の操作量を増加させることで、ワイヤー用ブラケット624をロック解除位置まで回動させることができる。
なお、上記とは逆に、ロック解除位置にあるワイヤー用ブラケット624に対する操作部用ブラケット622の一定方向の回動は第1バネ626が弾性変形することで吸収される。
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、ロック解除機構60における動作力伝達機構62の操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とを一体回動できるように連結する第1バネ627をコイルバネ状に形成する例を示した。しかし、第1バネ627の代わりにブロック状の弾性体を介して操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とを連結することも可能である。同様に、第2バネ626の代わりにブロック状の弾性体を使用して操作部用ブラケット622とロッド用ブラケット623とを連結することも可能である。
また、スロープ装置10の後倒規制用ロック装置40に本発明の車両用ロック装置を適用する例を示したが、前倒規制用ロック機構50に本発明の車両用ロック装置を適用することも可能である。
また、スロープ装置10のロック装置40に本発明を適用する例を示したが、ドア等のロック装置に本発明を適用することも可能である。
21・・・・第1平板部(板状部材)
22・・・・第2収納板部(板状部材)
37・・・・スロープ板取付けブラケット(板状部材)
40・・・・後倒規制用ロック装置
43・・・・ボディ側ストライカ
45・・・・ロック機構
45r・・・ロック解除レバー
45f・・・ロック解除レバー
60・・・・ロック解除機構
61・・・・ロック解除操作部
62・・・・動作力伝達機構
63・・・・ロッド
64w・・・ワイヤー
64・・・・ワイヤー部材
622・・・操作部用ブラケット
623・・・ロッド用ブラケット
624・・・ワイヤー用ブラケット
626・・・第2バネ(第2弾性体)
627・・・第1バネ(第1弾性体)
Claims (6)
- 車両のボディと、そのボディに対して回動可能に連結された板状部材と、前記板状部材の回動をその板状部材の幅方向両側でロックする一対のロック機構と、前記一対のロック機構のロック状態を解除できるロック解除機構とを備える車両用ロック装置であって、
前記ロック解除機構は、ロック解除操作部と、そのロック解除操作部の動作を前記一対のロック機構に伝達する動作力伝達機構とを備えており、
前記動作力伝達機構は、前記ロック解除操作部の動作を受けて一定方向に回動可能に構成された操作部用ブラケットと、前記操作部用ブラケットの回動動作を受けて同方向に回動し、一方のロック機構のロック状態を解除可能な一方のブラケットと、前記操作部用ブラケットの回動動作を受けて同方向に回動し、他方のロック機構のロック状態を解除可能な他方のブラケットとを有しており、
前記動作力伝達機構は、前記一対のロック機構間にあって、それらのロック機構をむすぶ仮想線に沿う同方向の力を各々のロック機構に加えてロック状態を解除できるように構成されていることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項1に記載された車両用ロック装置であって、
前記操作部用ブラケットと、前記一方のブラケットと、前記他方のブラケットとは、同一の軸心回りに回動可能に構成されていることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項2に記載された車両用ロック装置であって、
前記一方のブラケットの回動自由端側に一方のロック機構側の部材が連結されており、
前記他方のブラケットの回動自由端側に他方のロック機構側の部材が連結されており、
前記一方のブラケットの回動自由端側と前記他方のブラケットの回動自由端側とが回動中心に対して同方向に配置されていることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載された車両用ロック装置であって、
前記一方のブラケットは、一方のロック機構に連結されたワイヤーを引っ張るワイヤー用ブラケットであり、
前記他方のブラケットは、他方のロック機構に連結されたロッドを軸方向に押圧するロッド用ブラケットであることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項4に記載された車両用ロック装置であって、
前記操作部用ブラケットとワイヤー用ブラケットとは第1弾性体を介した状態で連結されて一体で回動できるように構成されており、
前記操作部用ブラケットとロッド用ブラケットとは第2弾性体を介した状態で連結されて一体で回動できるように構成されていることを特徴とする車両用ロック装置。 - 請求項1から請求項5のいずれかに記載された車両用ロック装置であって、
前記板状部材は、ボディのドア開口部の下辺位置に上下回動可能な状態で連結されて、前記ドア開口部と地面との間に掛け渡されるスロープ板であることを特徴とする車両用ロック装置。
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