JP6325014B2 - スロープユニット構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、乗用車等の車両において、車椅子等の積載物を乗降させるために好適に使用されるスロープユニット構造体に関する。
例えば、特許文献1には、複数のスロープ板が相互にスライド自在に結合されたスライドスロープユニットと、スライドスロープユニットを重合させて格納するスロープ格納手段とを備えた収納式スライドスロープが開示されている。
スロープ格納手段は、車幅方向の両側に配置されてスライドスロープユニットのスライドをガイドするガイドベースと、上部に積載部を有する天板とから構成され、車室後部のフロア上に配設されている。
特開2001−276134号公報
しかしながら、特許文献1に開示された収納式スライドスロープでは、車室後部のフロア上にガイドベースが固定されているため、フロア上にガイドベースが常時存在することとなり、例えば、荷物の積載性等の車体活用の自由が制約されるおそれがある。
また、特許文献1に開示された収納式スライドスロープでは、ガイドベースがスライドスロープユニットと別体で設けられているため、部品点数が多くなって製造コストが高騰する。
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、積載面の凹凸を抑制して製造コストを低減することが可能なスロープユニット構造体を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、1以上のスロープ板で構成されたスロープユニットを有する構造体であって、前記スロープユニットを車体の取付面に対して取り付けるブラケット機構と、前記ブラケット機構に対する前記スロープユニットの移動を許容するスライド機構と、を備え、前記ブラケット機構は、前記スロープユニットの展開方向と交差する方向に延出し、且つ、前記取付面の展開側の位置に設置されて前記スロープユニットを支持する支持板部と、前記支持板部から前記スロープユニットの収納方向へ延出する回動補助部とを有し、前記回動補助部は、前記スライド機構に係合して前記スロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を有することを特徴とする。
本発明によれば、ブラケット機構に対してスロープユニットの移動を許容するスライド機構を設けると共に、回動補助部には、スライド機構に係合してスロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を設けている。これにより、本発明では、例えば、スロープ板の積載面から上方に向かって突出するスライドガイド等の部材が不要になり、スロープ板の積載面における凹凸を抑制することができる。この結果、本発明は、積載物の積載性等、取付面の上方に位置する有効空間の自由度を向上させることができる。また、本発明は、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
また、本発明は、前記スライドユニット及び前記支持板部が、第1回動軸を介して前記取付面に対して回動可能に取り付けられ、収納状態において前記スライド機構によって前記スロープユニットを展開方向へスライドさせる第1展開状態から、第2回動軸を回動中心として前記スロープユニットを起立状態へ、さらに、前記起立状態から前記第1回動軸を回動中心として前記スロープユニット及び前記支持板部を展開方向へ回動させて前記スロープユニットを接地面に接地させる第2展開状態へ形態を変化させることを特徴とする。
本発明によれば、第2回動軸を回動中心としてスロープユニットを回動させた起立状態から、第1回動軸を回動中心としてスロープユニット及び支持板部を展開方向へ回動させる。これにより、本発明では、第1回動軸から第2回動軸(枢支手段)までの離間距離の長さ分だけ接地点に近い位置からスロープユニットを展開させることできると共に、スロープユニットの展開方向に沿った長さを短縮することが可能となる。この結果、本発明では、スロープユニットの小型化且つ軽量化を達成することができる。
さらに、本発明は、前記スライド機構が、スライド溝と、前記スライド溝に係合し且つ前記枢支手段と結合したスライダとを有し、前記スライダは、前記回動補助部に向かって突出する突起部を有し、前記回動補助部は、前記突起部と係合し前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置(起立状態)まで前記スロープユニットが回動することを許容すると共に、略同一直線状に並ぶ位置から前記スロープユニットを収納する方向への回動を禁止する案内溝と、前記案内溝の端部で前記突起部を係止し前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置で前記突起部をロックする第1ロック機構と、前記第1ロック機構のロック状態を解除する第1ロック解除機構と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、スロープユニットを起立状態で車内に収納する場合、第1ロック機構及び案内溝により、支持板部とスロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置で保持(固定)することができる。これにより、本発明では、スロープユニットが略垂直に起立する起立状態からさらに収納方向へ回動動作することが禁止される。この結果、本発明では、例えば、操作者の誤操作により車内に積載された積載物等に向かってスロープユニットが倒れ込むことを確実に防止することができる。
さらにまた、本発明は、少なくとも前記スロープユニット又は前記回動補助部のいずれか一方が、ストライカを有し、前記車体の後方端部で側部内側には、前記ストライカを係止して前記スロープユニットを略垂直に起立する状態でロックする第2ロック機構が配置されることを特徴とする。
本発明によれば、スロープユニットを略垂直に起立する状態でロックする第2ロック機構を設けている。例えば、支持板部が回動しない構成とした場合、第2ロック機構が重量物であるスロープユニットをさらに支持し、ブラケット機構と協働してスロープユニットの起立状態を維持することができる。このため、ブラケット機構の支持板部を簡易な構造とすることができる。
また、例えば、支持板部が回動する構成とした場合、第2ロック機構でスロープユニットに設けられたストライカを係止してスロープユニットを起立状態で保持(固定)することにより、支持板部とスロープユニットとが略直線状に並ぶ位置で且つスロープユニットが略垂直に起立する状態を容易に維持することができる。さらに、本発明では、例えば、操作者の誤操作によって車内に積載された積載物等に向かってスロープユニットが傾倒することを確実に防止することができる。
さらにまた、本発明は、前記取付面に、スロープユニット収納部が設けられ、前記支持板部の下端から前記枢支手段までの間の離間寸法と、前記スロープユニット収納部の高さ方向における最大寸法とが略同等であることを特徴とする。
本発明によれば、支持板部の下端から枢支手段までの間の離間寸法と、スロープユニット収納部の高さ方向における最大寸法とが略同等であるため、スロープユニットを収納方向へ略水平方向にスライドさせて収納することができる。これにより、接地面に対してスロープユニットを、略水平の位置とすることができる。また、このような構造からなるスロープユニット収納部を設けることで、スロープユニットの小型化に寄与しつつ、積載物の積載性等の空間自由度を確保することができる。
さらにまた、本発明は、前記回動補助部が、前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置である前記スロープユニットの起立収態において、該回動補助部を側面視して、前記枢支手段を回動中心とし、前記枢支手段から鉛直下方向の前記スロープユニットの下方端部までの長さを略半径とする円弧状の回動ガイドを一体的に有し、前記回動ガイドは、前記スロープユニットの第1展開状態から前記スロープユニットの起立状態に至るまで、前記スロープユニットの下方端部を支持可能であることを特徴とする。
本発明によれば、回動ガイドが、スロープユニットの第1展開状態からスロープユニットの起立状態に至るまで、スロープユニットの下方端部を支持可能とすることがきる。これにより、本発明は、回動ガイドによってスロープユニットのさらなる下方への変位が規制され、第1展開状態から起立状態に至るまでのスロープユニットの回動動作を安定して遂行することができる。
本発明では、車体上のガイドベースを不要として製造コストを低減することが可能なスロープユニット構造体を得ることができる。
本発明の実施形態に係るスロープユニット構造体のスロープユニットを車室内後方に水平収納した水平収納状態を示す斜視図である。 図1に示す水平収納状態からスロープユニットを車外後方に略水平に引き出した第1展開状態を示す斜視図である。 図4に示す起立状態からスロープユニット及び支持板部を車室外方向へ回動させ、スロープユニットを構成する複数のスロープを車両後方にスライドさせた後、接地面に接地した第2展開状態を示す斜視図である。 図2に示す第1展開状態から第1回動軸を回動中心としてスロープユニットを車室内方向へ回動させた起立状態を示す斜視図である。 (a)は、スロープユニット構造体の水平収納状態を示す模式図、(b)は、(a)に示すスロープユニットを車外方向に引き出した第1展開状態を示す模式図、(c)は、(b)に示す第1展開状態からスロープユニットを反時計回り方向に回動させて上下方向に起立収納した起立状態を示す模式図、(d)は、(c)に示す起立状態からスロープユニット及び支持板部を時計回り方向に回動させた状態を示す模式図、(e)は、(d)に示す状態から各スロープを展開させてスロープユニットを接地面に接地した第2展開状態を示す模式図である。 車体を省略してスロープユニットを接地面に接地した第2展開状態を示す斜視図である。 (a)は、図1の部分拡大斜視図、(b)は、(a)のB−B線に沿った拡大縦断面図である。 スライダとスライド溝と回動補助部との関係を示す分解斜視図である。 (a)は、第1ロック機構のアンロック状態を示す部分拡大斜視図、(b)は、第1ロック機構のロック状態を示す部分拡大斜視図である。 第2ロック機構によってスロープユニットが起立状態にロックされた状態を示す斜視図である。 スロープユニット収納部の変形例を示す一部省略斜視図である。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、「前後」は、車両前後方向、「左右」は、運転席から見た左右方向(車幅方向)、「上下」は、鉛直上下方向をそれぞれ示している。
先ず、本発明の実施形態に係るスロープユニット構造体10の動作について、概略説明する。
スロープユニット構造体10は、車室内に水平収納されたスロープユニット18(図1、図5(a)参照)の全体を車室外方向へスライド溝24に沿って略水平にスライドさせることにより第1展開状態となる(図2、図5(b)参照)。さらに、スロープユニット18を後記する支持ピン(枢支手段)48を回動中心として車室側(反時計回り方向)へ回動させることにより、略上下方向に沿って起立した起立状態(図4、図5(c)参照)となる。続いて、後記するヒンジ部36を回動中心としてスロープユニット18及び支持板部34を車室外方向(時計回り方向)へ回動させる(図5(d)参照)。さらに、スロープユニット18構成する第1〜第3スロープ16a〜16cを車室外方向に向かってそれぞれスライドさせ、接地面22に接地させることにより、第2展開状態(図3、図5(d)参照)へ形態が変化する。
このように、スロープユニット構造体10は、スロープユニット18が略水平に車室内に収納される水平収納状態(図5(a))、第1展開状態(図5(b))、起立状態(図5(c))、及び、車室外へ展開されて(図5(d))接地される第2展開状態(図5(e))へ簡便に移行することができる。
さらに、前記とは逆に第1〜第3スロープ16a〜16cを車外前方にそれぞれスライドさせて積層状態(図5(d)参照)とした後、ヒンジ部36を回動軸としてスロープユニット18を車室側へ回動させることにより、略上下方向に沿って起立した起立状態(図4、図5(c)参照)となる。なお、起立状態から第1展開状態へ移行し、スロープユニット18を車室内へスライドさせることにより、水平収納状態へ移行することができる。
図1、図2に示されるように、車体12は、車室を構成する車体フロア19を備えている。車体フロア19には、車両後方に向かうにつれて徐々に下方に位置するように傾斜した傾斜面(スロープユニット収納部)21が設けられている。この傾斜面21には、接地されたスロープユニット18を介して搭載された車椅子(図3の二点鎖線参照)が載置される。傾斜面21の車両後方位置には、車両後方に向かって下る斜面からなる車体後部25が設けられている(図1及び図2参照)。
図1及び図3に示されるように、本実施形態に係るスロープユニット構造体10は、複数のスロープ(スロープ板)16a〜16cを有するスロープユニット18と、このスロープユニット18を車体フロア(取付面)19上に取り付けるブラケット機構14とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、3枚のスロープ16a〜16cを例示しているが、これに限定されるものではなく、少なくとも1枚以上のスロープで構成されていればよい。
本実施形態に係るスロープユニット構造体10は、例えば、車体後部開口部20を開閉するバックドア(テールゲート)23(図3参照)が設けられた車両に用いられる。なお、スロープユニット構造体10は、バックドア23を有する車両に限定されるものではなく、例えば、図示しない左右のリヤドアを有する車両にも用いることが可能である。
図3に示されるように、スロープユニット18は、車体後部開口部20と接地面(路面)22との間に掛け渡されるものであり、車室内への水平収納時において、上下方向に沿って積層された3枚のスロープ16a〜16cによって構成されている。
図1に示されるように、第1スロープ16aは、水平収納時において最も下方に位置しブラケット機構14を介して車外方向にスライド可能、且つ、回動可能に設けられている。第2スロープ16bは、水平収納時において第1スロープ16aの上方に位置し、第1スロープ16aの展開時に第1スロープ16aの上面に対し内側のスライド溝を介してスライド可能に設けられている。第3スロープ16cは、水平収納時において最も上方に位置し第2プレート16bの展開時に第2スロープ16bの上面に対し内側のスライド溝を介してスライド可能に設けられている。
第1スロープ16aは、平面視して矩形状からなる平板状のスロープ本体26と、スロープ本体26の車幅方向に沿った両側にそれぞれ対向して配置され、車両前後方向に沿って延在する一対の側壁28、28とを備える。各側壁28の車幅方向外側面には、図8に示されるように、内側に向かって窪む略断面矩形状(図7(b)参照)のスライド溝24が形成されている。このスライド溝24は、側壁28の長手方向に沿った略全長にわたって直線状に形成されている。
図1及び図8に示されるように、スライド溝24内には、該スライド溝24と摺動可能なスライダ44が収容されている。このスライダ44は、各側壁28に形成された断面矩形状のスライド溝24の断面形状に対応する断面形状を有する長尺なプレート体からなる。スライド溝24及びスライダ44は、ブラケット機構14に対しスロープユニット18の移動を許容する「スライド機構」として機能するものである。
図7(b)に示されるように、スライド機構は、さらに、スライダ44の外面とスライド溝24の内面との間に配置されスライダ44に装着されてスライダ44と一体的に摺動する摺動部材46と、後記する支持ピン48の外周面とスライダ44との間に介装され、側壁28に対するスライダ44の接触を防止するフランジ付円筒部材50とを有する。
なお、本実施形態では、可動側である第1スロープ16aにスライド溝24を形成し、固定側である後記する回動補助部38にスライダ44を固定して相対的に摺動変位するように構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、回動補助部38側にスライド溝24を形成し、第1スロープ16a側にスライダ44を設けるように構成してもよい。
第2スロープ16b及び第3スロープ16cは、スライド溝24及びスライダ44が設けられていない点を除いて第1スロープ16aと概略同一に構成されている。また、第3スロープ16cの車両後方端部は、第2展開状態の完了時に接地面22に対して接地される。
第3スロープ16cの車両後方端部の近傍部位には、操作者によって把持可能な取っ手30が設けられている(図1参照)。スロープユニット18を車室内の水平収納状態から車外に展開させる場合、作業者は、車体12の奥部側へ体をかがめることなく、取っ手30を把持して容易にスロープユニット18を車外に引き出して展開させることができる。
図6は、車体を省略して車両前後方向に沿ってスライドさせた第2展開状態を示すスロープユニットの斜視図である。
図6に示されるように、ブラケット機構14は、図示しないボルト及びナット等の締結手段を介して車体フロア19に固定される板状のスロープ固定部32(図3参照)と、スロープ固定部32を介して車体12に固定される矩形平板状の支持板部34と、スロープ固定部32と支持板部34との境界に配置され、スロープ固定部32に対して支持板部34を回動可能にヒンジ結合するヒンジ部36と、支持板部34の車幅方向に沿った両側の上部に固定されてスロープユニット18の回動状態を補助する一対の回動補助部38とを有する。なお、ヒンジ部36は、支持板部34を展開方向へ回動させる「第1回動軸」として機能するものである。
図1に示されるように、水平収納状態において、支持板部34は、スロープユニット18の展開方向と交差する方向に延出し、且つ、車体フロア19の展開側の位置に設置されてスロープユニット18を支持するものである。また、回動補助部38は、支持板部34からスロープユニット18の水平収納の方向へ延出するように構成されている。
図7(a)及び図8に示されるように、各回動補助部38は、側面視して略扇状を呈し、車両後方端40aが支持板部34に固定される本体部40と、スライド溝24に収容されるスライダ44を介して、スロープユニット18をスライド可能且つ回動可能に支持する支持ピン48とを備えている。この支持ピン48は、「枢支手段」、及び、「第2回動軸」として機能するものである。
本体部40は、支持板部34からスロープユニット18に向かって略円弧状に湾曲する周縁部40bを有する。周縁部40bには、断面略L字状からなり車幅方向内側に向かって折曲する回動ガイド42が設けられている(図10参照)。この回動ガイド42は、スロープユニット18の起立状態において、回動補助部38を側面視して、支持ピン48を回動中心とし、支持ピン48から鉛直下方向のスロープユニット18の下方端部18aまでの長さを略半径とする円弧状に、本体部40と一体的に形成されている。これにより、回動ガイド42は、スロープユニット18の第1展開状態から、支持板部34とスロープユニット18とが略同一直線状に並ぶ位置(起立状態)に至るまでスロープユニット18の下方端部18aを支持可能に設けられている。
支持ピン48は、回動補助部38を貫通して回動補助部38とスライダ44とを連結(結合)している。これにより、支持ピン48を回動中心として、スロープユニット18を後記する案内溝52の範囲内で回動可能に支持すると共に、スライダ44をスライド溝24と摺動可能に支持している。
本体部40の上部側には、側面視して略円弧状からなる案内溝52が形成されている。支持ピン48から所定距離離間するスライダ44の車両前方側の一端部には、車幅方向外側に向かって突出して案内溝52を貫通する突起部54が設けられている。回動補助部38の案内溝52とスライダ44の突起部54とが係合しながら、突起部54が案内溝52に沿って変位する。これにより、支持板部34とスロープユニット18とが略同一直線状の起立状態の位置となるまでスロープユニット18の回動動作が許容される。さらに、、突起部54が案内溝52の後方端部に当接することで、略同一直線状の起立状態の位置からスロープユニット18を水平収納する車両前方へのスロープユニット18の回動動作が禁止される。
換言すると、スライドユニット18は、スライダ44に対して摺動するスライド溝24を介して、第1展開方向側へスライド可能に設けられている。また、スライドユニット18は、案内溝52に対して突起部54が係合しながら、支持ピン48を回動中心として所定角度だけ回動可能に設けられている。
図7(a)に示されるように、回動補助部38には、案内溝52の端部(車両後方側の端部)で突起部54を係止し支持板部34とスロープユニット18とが略同一直線状に並ぶ位置(例えば、図3に示す第2展開状態、図4に示す起立状態等)で突起部54を固定(ロック)する第1ロック機構56と、第1ロック機構56によるロック状態を解除する第1ロック解除機構58とがそれぞれ配設されている。アンロック状態(図9(a)参照)から第1ロック機構56によってロック状態となった場合(図9(b)参照)、スロープユニット18は、支持板部34とスロープユニット18とが略直線状に保持(固定)され、スロープユニット18の車両前後方向へのスライド及び回動動作が共に禁止される。
図7(a)に示されるように、第1ロック機構56は、本体部40に軸着されたピン60を中心として所定角度だけ回動可能に設けられた円板部62と、突起部54が挿入可能な凹部64を形成する二股分岐部66と、円板部62の外周面から半径外方向に所定長だけ突出するロック爪68とを有する。
突起部54が案内溝52に沿って変位し案内溝52の車両後端側の終端に到達した際、突起部54が二股分岐部66を押圧し、車体左側からみて円板部62が時計回り方向に回転する。これにより、突起部54が凹部64の底面に到達して二股分岐部66の間に挟まれると共に、ロック爪68が後記するスライドバー70に係止されることでロック状態となる。なお、第1ロック機構56の円板部62は、図示しないばね部材のばね力を介して突起部54が凹部64から離間してロック状態が容易に解除されるように反時計回り方向に付勢されている。
第1ロック解除機構58は、先端に鋭利な鋭角部72を有し長尺な矩形状からなるスライドバー70を備える。このスライドバー70は、鋭角部72の斜辺72aがロック爪68の外側先端に当接することでロック解除状態(図9(a)に示すアンロック状態)となると共に、鋭角部72がロック爪68の内側に入り込み鋭角部72でロック爪68を係止することでロック状態(図9(b)参照)となる。このスライドバー70は、図示しないばね部材のばね力によって車両前後方向に沿って進退動作可能に付勢されている。
スロープユニット18は、スライド溝24に対しスライダ44が係合しながら、車室内に収納されたスロープユニット18(第1〜第3スロープ16a〜16c)を車室外方向へそれぞれスライドさせる第1展開状態を構成する。さらに、スロープユニット18は、第1〜第3スロープ16a〜16cを車室外方向に向かってそれぞれスライドさせ、接地面22へ接地させることにより、第2展開状態(図3、図5(e)参照)を構成する。
支持板部34は、ヒンジ部36から支持ピン48までの間の離間距離(ブラケット高)を、車体フロア19の傾斜面21の最大の高さ(傾斜面高)と略同等となるように設けられている(図5(a)参照)。この点については、後記で詳細に説明する。
図10は、第2ロック機構によってスロープユニットが起立状態にロックされた状態を示す斜視図である。
図10に示されるように、さらに、車体12及びスロープユニット18には、起立状態におけるスロープユニット18をロックする第2ロック機構74が設けられている。第2ロック機構74は、回動補助部38の上部側に固定され、平面視して略コ字状に屈曲して形成されたストライカ76と、車体側部の内側に固定されて図示しないラッチ爪を有するロック部材78とから構成されている。
回動補助部38に固定されたストライカ76が該回動補助部38と一体的に回動変位してスロープユニット18が起立状態となった際、ストライカ76がロック部材78の図示しないラッチ爪に係止されることで、ロック状態となる。また、図示しないロック解除手段を介してラッチ爪によるストライカ76の係止状態が解除されることにより、ロック解除状態(アンロック状態)となる。なお、本実施形態では、ストライカ76を回動補助部38に設けた場合を例示しているが、これに限定されるものではなく、例えば、ストライカ76をスロープガイド28に設けるようにしてもよい。
本実施形態では、例えば、車椅子の車内乗車完了時、ヒンジ部36を回動中心として、スロープユニット18を上方に持ち上げる操作のみによってスロープユニット18が回動し、起立状態となったスロープユニット18を第2ロック機構74で容易にロックすることができる。
本実施形態に係るスロープユニット構造体10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
本実施形態では、ブラケット機構14に対してスロープユニット18の移動を許容するスライド機構(スライド溝24、スライダ44)を設けると共に、回動補助部38には、スライダ44に連結してスロープユニット18をスライド可能、且つ、回動可能に支持する支持ピン48を設けている。これにより、本実施形態では、例えば、第1スロープ16aの積載面から上方に向かって突出するスライドガイド等の部材が不要になり、スロープユニット18の積載面における凹凸を抑制することができる。この結果、本実施形態は、積載物の積載性等、車体フロア19の上方に位置する有効空間の自由度を向上させることができる。また、本実施形態は、部品点数を削減して製造コストを低減することができる。
また、本実施形態では、スロープユニット18を略垂直に起立する起立状態でロックする第2ロック機構74を設けている。これにより、本実施形態では、例えば、操作者の誤操作によって車内に積載された積載物等に向かってスロープユニット18が傾倒することを確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、スロープユニット18を起立状態で車内に収納する場合、第1ロック機構56及び案内溝52により、支持板部34とスロープユニット18とが略同一直線状に並ぶ位置で保持(固定)することができる。これにより、本実施形態では、スロープユニット18が略垂直に起立する起立状態からさらに収納方向へ回動動作することが禁止される。この結果、本実施形態では、例えば、操作者の誤操作により車内に積載された積載物等に向かってスロープユニット18が倒れ込むことを確実に防止することができる。
さらにまた、本実施形態では、支持板部34が車体フロア19に対してヒンジ部36を回動中心として回動するように構成した場合であっても、スロープユニット18の展開状態において支持板部34とスロープユニット18を略同一直線状に並ぶ位置で保持(固定)することができる。これにより、本実施形態では、支持板部34とスロープユニット18とが支持ピン48を中心として折れ曲がることを好適に回避することができる。
さらにまた、本実施形態では、ヒンジ部36を回動中心として支持板部34が回動する構成が採用されている。これにより、本実施形態では、第2ロック機構74で回動補助部38に設けられたストライカ76を係止してスロープユニット18を起立状態で保持(固定)することにより、支持板部34とスロープユニット18とが略直線状に並ぶ位置で、且つ、スロープユニット18が略垂直に起立する状態を容易に維持することができる。
さらにまた、本実施形態では、図5(a)に示されるように、スロープユニット18の水平収納状態において、支持板部34の下端に位置するヒンジ部36と支持ピン48との間の離間距離(ブラケット高)が傾斜面21の最大高さ寸法(傾斜面高)と同等に設定されているため(ブラケット高=傾斜面高)、スロープユニット18を車体12へスライドさせて水平収納させることで、トランクルームの積載面として機能するスロープユニット18の上面を地面(接地面22)に対して略平行に形成することができる。これにより、車体12の車体フロア19に傾斜面21を設ける効果を生かしつつ、積載物の積載自由度を確保することができる。
なお、本実施形態では、スロープユニット収納部として機能し、車両後方に向かうにつれて徐々に下方に位置するように傾斜した傾斜面21(図2参照)を車体フロア19に設けた場合を例示しているが、これに限定されるものではない。例えば、図11に示されるように、車体フロア19の車両後方に下方(接地面22)に向かって略鉛直下方向に窪む凹部92を設け、この凹部92の内側底面94に積載物を搭載するようにしてもよい。このようにすることで、例えば、ハイト系ワゴンよりも車高が低い車両であっても、スロープユニット収納部を容易に確保することができる利点がある。また、支持板部34の上下方向に沿った一端34aと他端34bとの間の距離は、車体フロア19と凹部92の内側底面94との間の高さと略同等となるように設けられている
さらにまた、本実施形態では、円弧状のフランジからなる回動ガイド42が、スロープユニット18の第1展開状態からスロープユニット18の起立状態に至るまで、スロープユニット18の下方端部18aを支持可能とすることができる。これにより、本実施形態では、回動ガイド42によってスロープユニット18のさらなる下方への変位が規制され、第1展開状態から起立状態に至るまでのスロープユニット18の回動動作を安定して遂行することができる。
さらにまた、本実施形態では、第1ロック機構56及び第2ロック機構74によってスロープユニット18が起立状態にロックされているとき、例えば、操作者の誤操作等によってロック状態が解除された場合であっても、回動ガイド42によってスロープユニット18の落下を回避することができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープユニット18が起立状態から第2展開状態に移行する際、展開するスロープユニット18の第1スロープ16aが車体後部25の上面(車体後方で傾斜面21に連続する斜面)に当接し、第1スロープ16aを車体後部25によって下方から支持することで、回動可能に設けられるスロープユニット18の展開角度を規制することができる。また、第2展開状態完了時において、車体後部25を支持板部34の下方に位置するように設定することで、支持板部34が車体フロア面19との接地点(支点)となり、重い積載物を搬入又は搬出した場合であっても長尺なスロープ形状を維持することができる。この結果、スロープユニット18及び積載物の荷重を車体後部25によって好適に支持することができる。
さらにまた、本実施形態では、車幅方向に沿った両側に一対の回動補助部38を設け、一方の回動補助部38と他方の回動補助部38との間に支持板部34を設けている。これにより、本実施形態では、スロープユニット18が回動して第2展開状態となった場合、スロープ固定部32及び支持板部34がスロープユニット18(第1〜第3スロープ16a〜16c)と結合して車椅子等の積載物の乗降路の一部として機能させることができる。
さらにまた、本実施形態では、スロープユニット18の起立状態において、車体12内側の側部12aにスロープユニット18をロックする第2ロック機構74を備えている。これにより、回動補助部38に設けられた第1ロック機構56及び第1ロック解除機構58により、スロープユニット18の下方向へのスライドを禁止して起立状態を維持するスロープユニット18に対して、さらに第2ロック機構74でスロープユニット18を支持し、第1ロック機構56と協働してスロープユニット18の起立状態を形成することにより、スロープユニット18の起立状態を安定的に維持することができる。
10 スロープユニット構造体
12 車体
12a 側部
14 ブラケット機構
16a〜16c スロープ(スロープ板)
18 スロープユニット
18a 下方端部
19 車体フロア(取付面)
21 傾斜面(スロープユニット収納部)
22 接地面
24 スライド溝(スライド機構)
34 支持板部
36 ヒンジ部(第1回動軸)
38 回動補助部
42 回動ガイド
44 スライダ(スライド機構)
48 支持ピン(枢支手段、第2回動軸)
52 案内溝
54 突起部
56 第1ロック機構
58 第1ロック解除機構
74 第2ロック機構
76 ストライカ
94 内側底面(スロープユニット収納部)

Claims (5)

  1. 1以上のスロープ板で構成されたスロープユニットを有する構造体であって、
    前記スロープユニットを車体の取付面に対して取り付けるブラケット機構と、
    前記ブラケット機構に対する前記スロープユニットの移動を許容するスライド機構と、
    を備え、
    前記ブラケット機構は、前記スロープユニットの展開方向と交差する方向に延出し、且つ、前記取付面の展開側の位置に設置されて前記スロープユニットを支持する支持板部と、前記支持板部から前記スロープユニットの収納方向へ延出する回動補助部とを有し
    前記回動補助部は、前記スライド機構に係合して前記スロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を有し、
    前記スロープユニット及び前記支持板部は、第1回動軸を介して前記取付面に対して回動可能に取り付けられ、
    収納状態において前記スライド機構によって前記スロープユニットを展開方向へスライドさせる第1展開状態から、第2回動軸を回動中心として前記スロープユニットを起立状態へ、さらに、前記起立状態から前記第1回動軸を回動中心として前記スロープユニット及び前記支持板部を展開方向へ回動させて前記スロープユニットを接地面に接地させる第2展開状態へ形態を変化させることを特徴とするスロープユニット構造体。
  2. 1以上のスロープ板で構成されたスロープユニットを有する構造体であって、
    前記スロープユニットを車体の取付面に対して取り付けるブラケット機構と、
    前記ブラケット機構に対する前記スロープユニットの移動を許容するスライド機構と、
    を備え、
    前記ブラケット機構は、前記スロープユニットの展開方向と交差する方向に延出し、且つ、前記取付面の展開側の位置に設置されて前記スロープユニットを支持する支持板部と、前記支持板部から前記スロープユニットの収納方向へ延出する回動補助部とを有し
    前記回動補助部は、前記スライド機構に係合して前記スロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を有し、
    前記スライド機構は、スライド溝と、前記スライド溝に係合し且つ前記枢支手段と結合したスライダとを有し、
    前記スライダは、前記回動補助部に向かって突出する突起部を有し、
    前記回動補助部は、
    前記突起部と係合し前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置(起立状態)まで前記スロープユニットが回動することを許容すると共に、略同一直線状に並ぶ位置から前記スロープユニットを収納する方向への回動を禁止する案内溝と、
    前記案内溝の端部で前記突起部を係止し前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置で前記突起部をロックする第1ロック機構と、
    前記第1ロック機構のロック状態を解除する第1ロック解除機構と、
    を有することを特徴とするスロープユニット構造体。
  3. 1以上のスロープ板で構成されたスロープユニットを有する構造体であって、
    前記スロープユニットを車体の取付面に対して取り付けるブラケット機構と、
    前記ブラケット機構に対する前記スロープユニットの移動を許容するスライド機構と、
    を備え、
    前記ブラケット機構は、前記スロープユニットの展開方向と交差する方向に延出し、且つ、前記取付面の展開側の位置に設置されて前記スロープユニットを支持する支持板部と、前記支持板部から前記スロープユニットの収納方向へ延出する回動補助部とを有し
    前記回動補助部は、前記スライド機構に係合して前記スロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を有し、
    少なくとも前記スロープユニット又は前記回動補助部のいずれか一方は、ストライカを有し、
    前記車体の後方端部で側部内側には、前記ストライカを係止して前記スロープユニットを略垂直に起立する状態でロックする第2ロック機構が配置されることを特徴とするスロープユニット構造体。
  4. 1以上のスロープ板で構成されたスロープユニットを有する構造体であって、
    前記スロープユニットを車体の取付面に対して取り付けるブラケット機構と、
    前記ブラケット機構に対する前記スロープユニットの移動を許容するスライド機構と、
    を備え、
    前記ブラケット機構は、前記スロープユニットの展開方向と交差する方向に延出し、且つ、前記取付面の展開側の位置に設置されて前記スロープユニットを支持する支持板部と、前記支持板部から前記スロープユニットの収納方向へ延出する回動補助部とを有し
    前記回動補助部は、前記スライド機構に係合して前記スロープユニットをスライド可能、且つ、回動可能に支持する枢支手段を有し、
    前記回動補助部は、前記支持板部と前記スロープユニットとが略同一直線状に並ぶ位置である前記スロープユニットの起立収態において、該回動補助部を側面視して、前記枢支手段を回動中心とし、前記枢支手段から鉛直下方向の前記スロープユニットの下方端部までの長さを略半径とする円弧状の回動ガイドを一体的に有し、
    前記回動ガイドは、前記スロープユニットの第1展開状態から前記スロープユニットの起立状態に至るまで、前記スロープユニットの下方端部を支持可能であることを特徴とするスロープユニット構造体。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のスロープユニット構造体において、
    前記取付面には、スロープユニット収納部が設けられ、
    前記支持板部の下端から前記枢支手段までの間の離間寸法と、前記スロープユニット収納部の高さ方向における最大寸法とが略同等であることを特徴とするスロープユニット構造体。
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