JP6131472B2 - 車両用付属装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両のボディに回動可能な状態で連結されたボディ側部材と、そのボディ側部材に回動可能な状態で連結された板状部材と、前記ボディ側部材が格納位置にあるときに前記ボディに対するボディ側部材の回動を規制する主ロック機構と、前記ボディ側部材に対して回動基準位置にある板状部材の回動を規制する補助ロック機構とを備える車両用付属装置に関する。
この車両用付属装置に関連する技術が特許文献1に記載されている。
特許文献1は、車両の付属装置であるスロープ装置に関する技術である。スロープ装置は、車両ボディの後側開口部の下辺位置に上下回動可能な状態で連結されたボディ側部材(テールゲート部)と、そのテールゲート部に支持されたスロープ板とから構成されている。そして、テールゲート部とスロープ板とが後方に回動することで、スロープ板が車両の後側開口部と地面との間に掛け渡され、車椅子等の乗降が可能になる。また、テールゲート部とスロープ板とが起立位置まで上方に回動することでスロープ装置は車両の後側開口部の内側に格納される。
ここで、前記スロープ装置には、格納位置でボディに対するテールゲート部とスロープ板との回動を規制するロック機構が設けられている。
特開2006−056408号
上記したスロープ装置では、テールゲート部とスロープ板とを起立させた状態で後側開口部の内側に格納するため、例えば、車両の後側開口部から荷物を積載する場合には、ロック機構のロック状態を解除してテールゲート部とスロープ板とを後方に回動させる必要がある。このため、荷物の積載等に手間が掛かる。
この点を改善するため、テールゲート部を起立させた状態で、スロープ板をテールゲート部に対して前方(車室内側)に回動させる構成が考えられる。この場合、テールゲート部とスロープ板間に前記スロープ板の前方の回動を規制するロック機構が必要になる。
即ち、スロープ板を前後に回動させることが可能なスロープ装置では、テールゲート部に対するスロープ板の前方の回動を規制する前側ロック機構と、ボディに対するテールゲート部の後方の回動を規制する後側ロック機構とが必要になる。したがって、前側ロック機構と後側ロック機構とのロック状態を解除する際の誤操作を防止する機構が必要になる。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、例えば、スロープ装置等の車両用付属装置においてロック解除をする際の誤操作を防止できるようにすることである。
上記した課題は、各請求項の発明によって解決される。
請求項1の発明は、車両のボディに回動可能な状態で連結されたボディ側部材と、そのボディ側部材に回動可能な状態で連結された板状部材と、前記ボディ側部材が格納位置にあるときに前記ボディに対するボディ側部材の回動を規制する主ロック機構と、前記ボディ側部材に対して回動基準位置にある板状部材の回動を規制する補助ロック機構とを備える車両用付属装置であって、前記板状部材には、その板状部材が回動基準位置から回動したときに、前記主ロック機構のロック解除動作を妨げられるように構成された規制部が設けられており、前記ボディ側部材と前記板状部材とを回動可能に連結するヒンジ機構は、前記ボディ側部材に設けられた支軸と、前記板状部材に設けられ、前記支軸が挿入される筒体とを備え、前記筒体に前記規制部が設けられており、前記筒体の規制部は、前記筒体の先端を円周方向に一定角度切り欠くことで突出壁状に形成されていることを特徴とする。
本発明によると、板状部材には、その板状部材がボディ側部材に対する回動基準位置から回動したときに、主ロック機構のロック解除動作を妨げる規制部が設けられている。即ち、補助ロック機構がロック解除されて、板状部材がボディ側部材に対して回動基準位置から回動したときは、主ロック機構のロック状態を解除しようとしても、そのロック解除動作は板状部材の規制部によって禁止される。したがって、補助ロック機構がロック解除されているときに、誤って主ロック機構がロック解除されるような不具合が生じない。
また、前記規制部は、筒体の先端を円周方向に一定角度切り欠くことで突出壁状に形成されているため、比較的簡単な構成で前記規制部を製作できる。このため、コスト低減を図れるとともに、信頼性も向上する。
請求項2の発明によると、ボディ側部材は、車両のボディに対して上下回動可能な状態で連結されて、そのボディ側部材が起立する位置が前記ボディ側部材の格納位置であり、板状部材は、前記ボディ側部材に対して上下回動可能な状態で連結されて、前記ボディ側部材と共に起立している位置が、前記板状部材の前記回動基準位置であり、補助ロック機構は、前記板状部材が前記回動基準位置にあるときと、前記格納位置にある前記ボディ側部材に対して前記板状部材が前方に倒伏しているときとで、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動を規制できるように構成されていることを特徴とする。
即ち、格納位置にあるボディ側部材に対して板状部材が前方に倒伏しているとき、例えば、板状部材が車両のフロア面上に倒伏しているときに、補助ロック機構がボディ側部材に対する板状部材の回動を規制することができる。このため、車両走行時の振動等により板状部材が車両のフロア面上でバタツキ難くなる。
請求項3の発明によると、補助ロック機構は、前記板状部材が前方に倒伏しているときに、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動角度が異なる複数位置で、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の上回動を規制できるように構成されていることを特徴とする。
このため、部品のばらつき、車両のボディのばらつき等があっても、前記板状部材が前方に倒伏しているときに、その板状部材のいずれかの上回動規制位置が車両のフロア面に合った位置となる。したがって、車両走行時の振動等により板状部材が車両のフロア面上でバタツクようなことがなく、商品力が向上する。
請求項4の発明によると、補助ロック機構は、前記ボディ側部材と板状部材との幅方向両側に個別に設けられていることを特徴とする。
このため、左右の補助ロック機構を同時にロック解除しないとボディ側部材に対して板状部材を回動させることができない。このため、誤操作が生じ難くなる。
請求項5の発明によると、補助ロック機構は、ボディ側部材に設けられ、カム面を備えるカム板と、前記板状部材に設けられ、その板状部材が前記ボディ側部材に対して上下回動する際に前記カム板のカム面に沿って摺動する摺動部を備えるレバー部材とを有しており、前記レバー部材の摺動部が前記カム板のカム面に形成されたロック溝と係合することで前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動が規制される構成であること特徴とする。
このように、板状部材がボディ側部材に対して上下回動する際にレバー部材の摺動部がカム板のカム面に沿って摺動するため、カム板のカム面に対する摺動部の摺動がブレーキとなり、ボディ側部材に対する板状部材の下回動速度を抑制できる。
請求項6の発明によると、摺動部はローラ状に形成されて、その摺動部の外周面が前記カム面のロック溝に形成された円弧状凹面に嵌ることで、前記摺動部と前記カム面のロック溝とが係合すること特徴とする。
このため、カム面のロック溝に円弧状凹面を複数設けることで、回動角度が異なる複数位置において前記ボディ側部材に対する前記板状部材の上回動を規制できるようなる。
本発明によると、車両用付属装置においてロック解除をする際の誤操作を防止できるようになる。
本発明の本実施形態1に係る車両のスロープ装置におけるスロープ板本体部の格納状態を表す模式斜視図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の展開状態を表す模式斜視図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の格納状態を車両後方から見た全体斜視図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の格納状態を表す側面図(図3のIV-IV側面図)である。 スロープ装置のスロープ板本体部の格納状態におけるテールゲート部の内側を車両前方から見た斜視図である。 車両のボディの後側開口部と、前記後倒規制用ロック装置のロック機構とストライカを表す斜視図である。 スロープ装置のスロープ板本体部とテールゲート部との後倒し状態(展開状態)を表す側面図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の前倒し状態を表す斜視図(A図)、及びA図のB部拡大図(B図)である。 スロープ装置のスロープ板本体部の前倒し動作を表す側面図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の前倒し動作を表す側面図である。 スロープ装置のスロープ板本体部の前倒し動作を表す側面図である。 スロープ装置における後倒規制用ロック装置を表す全体斜視図である。 前記後倒規制用ロック装置のロック解除機構の駆動力伝達機構を表す分解斜視図である。 前記後倒規制用ロック装置のロック解除機構の駆動力伝達機構を表す全体斜視図である。 本発明の本実施形態2に係る車両のスロープ装置における前倒規制用ロック機構を表す側面図である。 前倒規制用ロック機構の動作を表す側面図である。 図16におけるXVII部の拡大図である。
[実施形態1]
以下、図1から図14に基づいて本発明の実施形態1に係る車両用付属装置について説明する。本実施形態に係る車両用付属装置は、ワンボックス車両Cに対する車椅子の乗降に使用されるスロープ装置10である。
ここで、図中に示す前後左右及び上下はスロープ装置10を備えるワンボックス車両Cの前後左右及び上下に対応している。
<ワンボックス車両Cの概要について>
スロープ装置10を説明する前に、先ず、ワンボックス車両Cの概要について簡単に説明する。
ワンボックス車両Cは、図1、図2に示すように、ボディの後部に後側開口部Hを備えており、その後側開口部Hが上方に跳ね上げ式のバックドアDbによって開閉可能に構成されている。そして、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの内側に、乗員を車椅子で後側開口部Hから乗降させる際に使用されるスロープ装置10が設けられている。
また、ワンボックス車両Cはスロープ装置10を使用する際に、後部を後輪に対して予め決められた寸法だけ下降させられるように構成されている。これにより、車室のフロア面Frは、図2に示すように、後側開口部Hが低くなるように傾斜した状態に保持される。
<スロープ装置10ついて>
スロープ装置10は、上記したように、乗員を車椅子で後側開口部Hから乗降させる際に使用される装置であり、図1〜図4に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30と後倒規制用ロック装置40と前倒規制用ロック機構50とから構成されている。
スロープ板本体部20は、図1〜図3に示すように、車椅子用のスロープ板を構成する板部であり、第1平板部21と、その第1平板部21を前後スライド可能な状態で収納する第2収納板部22とから構成されている。
第2収納板部22は、図3等に示すように、底板部22fと、その底板部22fの幅方向両側(左右両側)に立設された帯板状の側板部22wとにより断面扁平U字形に形成されている。
第1平板部21は、第2収納板部22の底板部22fに重ねられた状態でその第2収納板部22に収納される。さらに、第1平板部21を第2収納板部22から引き出すことで、スロープ板本体部20の長さ寸法を調整することが可能になる。
<テールゲート部30について>
テールゲート部30は、図3〜図5に示されるように、スロープ板本体部20(第2収納板部22)の基端部を支持してワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4に上下回動可能な状態で連結する部材である。
テールゲート部30は、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4に沿って車幅方向に延びるように配置される横梁部34を備えている。横梁部34は、図5に示すように、内側(前側)に空間が形成されるように、横断面形状が略コ字形に形成されている。そして、横梁部34の幅方向両側の設けられたカム板32(後記する)の下端部がワンボックス車両Cの後側開口部Hの下辺位置4(図4〜図6等参照)に後倒しヒンジ機構31を介して上下回動可能な状態で連結されている。
左右のカム板32間には、図4、図5に示すように、スロープ板本体部20の基端部が幅方向両側から挟まれている。そして、図5に示すように、左右のカム板32と横梁部34とに前倒しヒンジ機構35(後記する)を介してスロープ板取付けブラケット37が上下回動可能な状態で連結されている。左右のスロープ板取付けブラケット37には、スロープ板本体部20(第2収納板部22)の基端部が幅方向両側から挟まれてボルト等により固定されている。
テールゲート部30の横梁部34には、図4に示すように、左右のカム板32の車幅方向外側位置に後倒規制用ロック装置40(後記する)のロック機構45が固定されている。前記ロック機構45は、テールゲート部30が起立位置まで上方に回動した状態で、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの左右両側に取付けられたボディ側ストライカ43(図6参照)と係合可能に構成されている。
また、テールゲート部30の左右のカム板32と左右のスロープ板取付けブラケット37間には、図5に示すように、テールゲート部30とスロープ板本体部20とが一体で起立位置と展開位置間で上下回動可能なように両者32,37を係合させる前倒規制用ロック機構50(後記する)が設けられている。
上記構成により、前倒規制用ロック機構50がロック状態で、後倒規制用ロック装置40のロック機構45のロック状態が解除されると、図7に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30とは後倒しヒンジ機構31を中心に一体で展開位置まで後方に回動が可能となる。また、後倒規制用ロック装置40のロック機構45がロック状態で、前倒規制用ロック機構50のロック状態が解除されると、図4(二点鎖線参照)、図8(A)に示すように、スロープ板本体部20は起立位置にあるテールゲート部30に対して前倒しヒンジ機構35を中心に前方に回動が可能になる。
ここで、テールゲート部30の横梁部34は、装飾パネル34e(図1参照)によって覆われており、その横梁部34及び後倒しヒンジ機構31等は外から見えないようになっている。
即ち、テールゲート部30が本発明のボディ側部材に相当し、スロープ板本体部20と左右のスロープ板取付けブラケット37とが本発明の板状部材に相当する。また、テールゲート部30(ボディ側部材)の起立位置が本発明におけるボディ側部材の格納位置に相当する。
また、図4に示すように、テールゲート部30と共にスロープ板本体部20が起立している位置が、本発明におけるスロープ板本体部20の回動基準位置となる。
<前倒しヒンジ機構35について>
前倒しヒンジ機構35は、図5、図8に示すように、テールゲート部30のカム板32の上端位置から車幅方向に内側に突出する支軸321と、スロープ板取付けブラケット37の基端部の位置で前記支軸321が通される支軸穴371と筒体373とを備えている。筒体373は、スロープ板取付けブラケット37の側壁面に直角に固定されて車幅方向に内側に突出するよう形成されている。そして、筒体373の先端部分が横梁部34に固定された軸受部344によって回転自在に支持されている。即ち、テールゲート部30のカム板32の支軸321を中心にスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)と筒体373とが回動できるように構成されている。
さらに、前記筒体373には、図5、図8に示すように、軸受部344から突出する部分が円周方向に一定角度切り欠かれることで突出壁部373tが形成されている。突出壁部373tは、前倒規制用ロック機構50がロック状態にあるとき、即ち、図5に示すように、テールゲート部30とスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)とが共に起立位置にあるとき、後倒規制用ロック装置40の操作部用ブラケット622(後記する)のロック解除動作(左回動)を妨げないように構成されている。また、図8(A)に示すように、テールゲート部30に対してスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)が前方に倒伏し、筒体373がスロープ板取付けブラケット37と共に回動すると、その筒体373に形成された突出壁部373tは後倒規制用ロック装置40の操作部用ブラケット622(後記する)のロック解除動作(左回動)を妨げる位置まで回動する(図8(B)参照)。
即ち、前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tが本発明の筒体に設けられた規制部に相当する。
なお、筒体373の周囲に装着されているコイルバネ35xは、テールゲート部30に対してスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)を起立位置に保持する方向に付勢されている。
<前倒規制用ロック機構50について>
前倒規制用ロック機構50は、テールゲート部30に対するスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)の前倒しを規制し、テールゲート部30とスロープ板本体部20とを一体で起立位置と後方の展開位置間で上下回動させるための機構である。前倒規制用ロック機構50は、左右のスロープ板取付けブラケット37とテールゲート部30間に個別に設けられている。
前倒規制用ロック機構50は、図9〜図11等に示すように、スロープ板取付けブラケット37に沿って回動可能に構成されたレバー部材52と、テールゲート部30のカム板32の外周に形成されたカム面54と、レバー部材52をロック位置に保持するバネ材57とから構成されている。
レバー部材52は、図9等に示すように、そのレバー部材52の途中位置が連結ピン51によってスロープ板取付けブラケット37に上下回動可能な状態で連結されている。レバー部材52には、先端側に取手部525が設けられており、その取手部525の近傍に位置にバネ材57の一端が掛けられるバネ受け部527が形成されている。前記バネ材57は、他端側がスロープ板取付けブラケット37に連結されており、レバー部材52を連結ピン51の回りに図9において左回動させる方向に付勢されている。また、レバー部材52の基端部には、ロックピン521が設けられており、そのロックピン521がバネ材57のバネ力によりカム板32のカム面54に押付けられている。そして、スロープ板取付けブラケット37がコイルバネ35x(図5、図8参照)のバネ力に抗してテールゲート部30に対して前倒しされる際に、図10に示すように、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54に沿って摺動するようになる。
前記カム板32のカム面54には、上端位置にレバー部材52のロックピン521が嵌合する上部ロック溝541が形成されており、下端位置に同じくロックピン521が嵌合する下部ロック溝542が形成されている。そして、バネ材57のバネ力により、図4等に示すように、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541と嵌合した状態で、前倒規制用ロック機構50はロック状態に保持され、テールゲート部30のカム板32に対するスロープ板取付けブラケット37の上下回動が禁止される。
また、図9に示すように、レバー部材52の取手部525を把持して、レバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して右回動させると、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541から外れ、ロック状態が解除される。これにより、図10に示すように、スロープ板取付けブラケット37、スロープ板本体部20をコイルバネ35x(図5、図8参照)のバネ力に抗して前倒しすることが可能になる。そして、スロープ板取付けブラケット37が前倒しヒンジ機構35の支軸321を中心に前倒し方向に回動すると、レバー部材52がスロープ板取付けブラケット37(スロープ板本体部20)と共に前倒し方向に回動する。これにより、レバー部材52のロックピン521がバネ材57のバネ力を受けた状態でカム板32のカム面54に沿って摺動しつつ下方に移動する。このとき、カム板32のカム面54に対するレバー部材52のロックピン521の摺動によりスロープ板本体部20の前倒しスピードを抑えることができる。
このようにして、図11に示すように、スロープ板取付けブラケット37が前倒し位置に到達すると、レバー部材52のロックピン521がバネ材57のバネ力によりカム板32のカム面54の下部ロック溝542と嵌合して、この位置でロック状態に保持される。
即ち、前倒規制用ロック機構50が本発明の補助ロック機構に相当し、ロックピン521が本発明のローラ状に形成された摺動部に相当する。
<後倒規制用ロック装置40について>
後倒規制用ロック装置40は、ワンボックス車両Cに対するテールゲート部30の上下回動を禁止して、図4等に示すように、そのテールゲート部30を起立位置に保持するための機構である。
後倒規制用ロック装置40は、図6に示すように、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの内側壁に固定された左右一対のボディ側ストライカ43と、テールゲート部30の横梁部34の左右両側に固定されたロック機構45と、図12に示すように、左右のロック機構45のロック状態を解除するロック解除機構60とから構成されている。
ボディ側ストライカ43は、門形のストライカであり、ワンボックス車両Cの後側開口部Hの左右両側にほぼ水平に取付けられている。
左右のロック機構45は、図4等に示すように、テールゲート部30が起立位置にある状態で左右のボディ側ストライカ43とそれぞれ係合可能に構成されている。なお、図4等では、ボディ側ストライカ43は省略されている。
即ち、後倒規制用ロック装置40が本発明の主ロック機構に相当する。
<ロック解除機構60について>
ロック解除機構60は、図12に示すように、使用者が引き操作するロック解除操作部61と、そのロック解除操作部61の引き操作をロッド63、及びワイヤー部材64を介して左右一対のロック機構45に伝達する動作力伝達機構62とを備えている。
ロック解除機構60は、テールゲート部30の横梁部34の裏側(前側)に収納されており、図3に示すように、ロック解除操作部61の把持部61hのみがテールゲート部30の外側に配置されている。
ここで、右側のロック機構45は、図12に示すように、そのロック機構45のロック解除レバー45rをワイヤー部材64のワイヤー64wにより左方向に引っ張ることでボディ側ストライカ43との係合状態(ロック状態)を解除できるように構成されている。また、左側のロック機構45は、そのロック機構45のロック解除レバー45fをロッド63により左方向に押圧することでボディ側ストライカ43との係合状態(ロック状態)を解除できるように構成されている。
即ち、動作力伝達機構は、左右のロック機構45間にあって、それらのロック機構45をむすぶ仮想線に沿う左方向の力を各々のロック機構45に加えてロック状態を解除できるように構成されている。
ロック解除機構60の動作力伝達機構62は、ロック解除操作部61の把持部61hの引き操作を受けてワイヤー部材64のワイヤー64wを左方向に引っ張り、さらにロッド63を左方向に押圧する機構である。即ち、動作力伝達機構62は、図13、図14に示すように、ベースブラケット621と、操作部用ブラケット622と、ロッド用ブラケット623と、ワイヤー用ブラケット624とを備えている。ここで、図13、図14は、図12に示す動作力伝達機構62を裏側(前側)から見た状態を表している。
動作力伝達機構62のベースブラケット621は、動作力伝達機構62をテールゲート部30の裏側に固定するためのブラケットであり、そのベースブラケット621の中央位置に、図13に示すように、水平前方に突出するセンターピン621pが設けられている。センターピン621pは、ロッド用ブラケット623と操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とを回動可能に支持するピンであり、そのセンターピン621pの先端部分に雄ネジ(図示省略)が形成されている。そして、センターピン621pがロッド用ブラケット623の貫通孔623h、操作部用ブラケット622の貫通孔622h、ワイヤー用ブラケット624の貫通孔624hに順番に挿通された後、図14に示すように、先端部分の雄ネジにナット621nが締付られるように構成されている。
ロッド用ブラケット623は、センターピン621pの回りを図13において左回動することで、ロッド63を左方向に押圧するブラケットである。ロッド用ブラケット623には、上部にセンターピン621pが通される貫通孔623hが形成されており、回動自由端側(下端側)にロッド63の一端が連結されるロッド固定部623sが設けられている。さらに、ロッド用ブラケット623の貫通孔623hの外周部分には、ロッド用ブラケット623が図13において左回動する際に、操作部用ブラケット622のストッパピン622p(図14参照)に掛けられる係合爪623tが形成されている。
操作部用ブラケット622は、図13に示すように、ロック解除操作部61のベルト部61bが連結されるレバー状のブラケットであり、略Z字形に折り曲げ成形されている。そして、操作部用ブラケット622の基端部にセンターピン621pが通される貫通孔622hが形成されており、回動自由端側(先端側)にロック解除操作部61のベルト部61bが連結される連結ピン622cが形成されている。さらに、操作部用ブラケット622には、連結ピン622cよりも先端側に鉤状部622fが形成されている。
また、操作部用ブラケット622の基端部には、図13、図14に示すように、その操作部用ブラケット622から前方側と後方側とに突出するストッパピン622pがセンターピン621pと平行に設けられている。さらに、操作部用ブラケット622とベースブラケット621間には、操作部用ブラケット622を初期位置(右回動限位置)に保持するように付勢された戻しバネ628が設けられている。
上記構成により、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されると、操作部用ブラケット622は戻しバネ628のバネ力に抗してセンターピン621pの回りを左回動するようになる。また、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されない状態では、操作部用ブラケット622は戻しバネ628のバネ力で初期位置(右回動限位置)に保持されている。
ワイヤー用ブラケット624は、センターピン621pの回りを図13において左回動することで、ワイヤー部材64のワイヤー64wを左方向に引っ張るブラケットである。ワイヤー用ブラケット624には、図13に示すように、上部にセンターピン621pが通される貫通孔624hが形成されており、回動自由端側(下端側)にワイヤー部材64のワイヤー64wの一端が連結されるワイヤー固定部624sが設けられている。さらに、ワイヤー用ブラケット624の貫通孔624hの外周部分には、ワイヤー用ブラケット624が図13において左回動する際に、操作部用ブラケット622のストッパピン622p(図14参照)に掛けられる係合爪624tが形成されている。
ワイヤー用ブラケット624と操作部用ブラケット622間には、図13、図14に示すように、操作部用ブラケット622に対してワイヤー用ブラケット624が左回動するように付勢された第1バネ627が装着されている。このため、ワイヤー用ブラケット624は第1バネ627のバネ力を受けて左回動し、そのワイヤー用ブラケット624の係合爪624tが操作部用ブラケット622のストッパピン622pに掛けられている。この状態で、操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624とは一体で回動できるようになる。ここで、第1バネ627のバネ力は、ロック機構45のロック解除レバー45rの操作力よりも大きな値に設定されている。
ロッド用ブラケット623と操作部用ブラケット622間には、図13、図14に示すように、操作部用ブラケット622に対してロッド用ブラケット623が左回動するように付勢された第2バネ626が装着されている。このため、ロッド用ブラケット623は第2バネ626のバネ力を受けて左回動し、そのロッド用ブラケット623の係合爪623tが操作部用ブラケット622のストッパピン622pに掛けられている。この状態で、操作部用ブラケット622とロッド用ブラケット623とは一体で回動できるようになる。ここで、第2バネ626のバネ力は、ロック機構45のロック解除レバー45fの操作力よりも大きな値に設定されている。
<ロック解除機構60の動作について>
上記構成により、ロック解除操作部61の把持部61hが引き操作されると、操作部用ブラケット622の連結ピン622cが引き上げられて、操作部用ブラケット622が戻しバネ628のバネ力に抗して図13において左回動する。これにより、ワイヤー用ブラケット624とロッド用ブラケット623とが第1バネ627、第2バネ626を介して操作部用ブラケット622と共に左回動する。ワイヤー用ブラケット624が左回動することでワイヤー部材64のワイヤー64wにより右側のロック機構45のロック解除レバー45rが左方向に引っ張られる。そして、ワイヤー用ブラケット624がロック解除位置まで左回動することで、右側のロック機構45のロック状態が解除される。また、ロッド用ブラケット623が左回動することでロッド63により左側のロック機構45のロック解除レバー45fが左方向に押圧される。そして、ロッド用ブラケット623がロック解除位置まで左回動することで、左側のロック機構45のロック状態が解除される。
次に、ワイヤー部材64のワイヤー64wが経時的に延びてワイヤー用ブラケット624のロック解除位置がロッド用ブラケット623のロック解除位置からずれた場合を考える。
この場合、ロッド用ブラケット623がロック解除位置まで左回動してそれ以上の回動が禁止された場合でも、第2バネ626が弾性変形することでロッド用ブラケット623に対する操作部用ブラケット622とワイヤー用ブラケット624との左回動が可能になる。これにより、例えば、経時的にワイヤー64wが延びてもロック解除操作部61の引き操作量を大きくすることで、ワイヤー用ブラケット624をロック解除位置まで回動させることができる。
なお、上記とは逆に、ロック解除位置にあるワイヤー用ブラケット624に対する操作部用ブラケット622の一定方向の回動は第1バネ626が弾性変形することで吸収される。
<スロープ装置10の取扱いについて>
スロープ装置10がワンボックス車両Cに格納されている状態では、図3、図4等に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30は共に起立位置にあって後倒規制用ロック装置40と前倒規制用ロック機構50とがロック状態に保持されている。
ここで、前倒規制用ロック機構50がロック状態に保持されている状態では、図5に示すように、前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tが後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の鉤状部622fと当接しない位置に配置されている。これにより、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622は左回動が可能となる。
この状態から乗員を車椅子で乗車させる場合には、図1に示すように、バックドアDbを開き、ワンボックス車両Cの後部を所定位置まで下降させる。次に、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60におけるロック解除操作部61の把持部61hを引き操作する。これにより、ロック解除機構60の操作部用ブラケット622が図13において左回動し、ワイヤー用ブラケット624とロッド用ブラケット623とが第1バネ627、第2バネ626を介して操作部用ブラケット622と共に左回動する。この結果、右側のロック機構45のロック解除レバー45rがワイヤー64wにより左方向に引っ張られてロック状態が解除される。また、左側のロック機構45のロック解除レバー45fがロッド63により左方向に押圧されてロック状態が解除される。
次に、図6、図7に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30とを一体で後倒しヒンジ機構31の回動中心の回りに展開位置まで後方に回動させる。そして、スロープ板本体部20の第2収納板部22から第1平板部21を引き出してスロープ装置10を展開する。この状態で、図2に示すように、スロープ板本体部20がワンボックス車両Cの後側開口部Hと地面との間に掛け渡され、そのスロープ板本体部20を利用して車椅子の乗員を後側開口部Hから乗車させることが可能になる。
乗員を車椅子で乗車させた後は、スロープ板本体部20の第1平板部21を第2収納板部22に収納し、前記スロープ板本体部20とテールゲート部30とを一体で後倒しヒンジ機構31の回動中心の回りに上方に回動させる。そして、スロープ板本体部20とテールゲート部30とが、図3、図4等に示すように、起立位置まで到達した段階で、後倒規制用ロック装置40の左右のロック機構45が左右のボディ側ストライカ43と係合し、後倒規制用ロック装置40がロック状態となる。これにより、スロープ板本体部20とテールゲート部30とが起立位置に保持される。
また、図4に示すように、スロープ板本体部20とテールゲート部30が起立位置にある状態からワンボックス車両Cに荷物を積載する場合には、左右の前倒規制用ロック機構50のロック状態を解除する。即ち、図9に示すように、前倒規制用ロック機構50のレバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して右回動させる。これにより、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541から外れ、前倒規制用ロック機構50のロック状態が解除される。これにより、図10、図11に示すように、スロープ板本体部20をコイルバネ35x(図5、図8参照)のバネ力に抗して前倒しヒンジ機構35の回動中心(支軸321)の回りに前方に回動させ、スロープ板本体部20をフロア面Fr上に倒伏させる。この状態で、前記スロープ板本体部20上に荷物を積載することが可能になる。
この状態では、図8(A)に示すように、スロープ板本体部20(スロープ板取付けブラケット37)と共に回動した筒体373の突出壁部373tが後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の鉤状部622fと当接する位置まで回動する(図8(B)参照)。これにより、後倒規制用ロック装置40のロック解除機構60における操作部用ブラケット622の左回動が禁止される。即ち、スロープ板本体部20がフロア面Fr上に倒伏している状態では、後倒規制用ロック装置40のロック状態が解除されることがない。
<本実施形態に係るスロープ装置10の長所について>
本実施形態に係るスロープ装置10によると、テールゲート部30(ボディ側部材)とスロープ板本体部20(板状部材)とを回動可能に連結する前倒しヒンジ機構35の筒体373には突出壁部373t(規制部)が設けられている。即ち、突出壁部373t(規制部)は、前倒しヒンジ機構35の筒体373がスロープ板本体部20と共にテールゲート部30に対する回動基準位置から回動したときに、後倒規制用ロック装置40(主ロック機構)のロック解除動作を妨げるように構成されている。このため、前倒規制用ロック機構50(補助ロック機構)がロック解除されて、スロープ板本体部20がテールゲート部30に対して回動基準位置から回動したときは、後倒規制用ロック装置40のロック状態を解除しようとしても、そのロック解除動作は前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tによって禁止される。したがって、前倒規制用ロック機構50(補助ロック機構)のロック状態が解除されているときに、誤って後倒規制用ロック装置40がロック解除されるような不具合が生じない。
また、前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tは、筒体373の先端を円周方向に一定角度切り欠くことで形成されているため、比較的簡単に筒体373の突出壁部373tを製作できる。このため、コスト低減を図れるとともに、信頼性も向上する。
また、前倒規制用ロック機構50は、スロープ板本体部20とテールゲート部30との幅方向両側に個別に設けられている。このため、左右の前倒規制用ロック機構50を同時にロック解除しないとテールゲート部30に対してスロープ板本体部20を回動させることができない。このため、誤操作が生じ難くなる。
さらに、テールゲート部30の幅方向両側にはカム面54を備えるカム板32が設けられており、スロープ板本体部20(スロープ板取付けブラケット37)の幅方向両側には、そのスロープ板本体部20がテールゲート部30に対して上下回動する際にカム板32のカム面54に沿って摺動するレバー部材52のロックピン521(摺動部)が設けられている。
このため、カム板32のカム面54に対するロックピン521(摺動部)の摺動がブレーキとなることでテールゲート部30に対するスロープ板本体部20の下回動速度を抑制できる。
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、前倒しヒンジ機構35の筒体373の突出壁部373tにより、後倒規制用ロック装置40における操作部用ブラケット622の解錠方向の回動(左回動)を制限する例を示した。しかし、前倒しヒンジ機構35の筒体373に溝部を形成し、操作部用ブラケット622の鉤状部622fが筒体373の溝部を通過可能、あるいは通過不能とすることで、操作部用ブラケット622の解錠方向の回動(左回動)を制限する構成でも可能である。さらに、前倒しヒンジ機構35の筒体373に半径方向外側に突出する突起を形成し、その突起を利用して操作部用ブラケット622の解錠方向の回動(左回動)を制限する構成でも可能である。
[実施形態2]
以下、図15から図17に基づいて本発明の実施形態2に係る車両用付属装置(スロープ装置10)について説明する。
本実施形態に係るスロープ装置10は、実施形態1で説明したスロープ装置10の前倒規制用ロック機構50の一部を改良したものであり、その他の構成については実施形態1のスロープ装置10と同様である。このため、実施形態1のスロープ装置10と同様な機構、部材については同一の符号を付して説明を省略する。
実施形態1において説明したスロープ装置10では、図11に示すように、スロープ板本体部20がフロア面Fr上の前倒し位置まで前方に倒伏すると、前倒規制用ロック機構50がロック状態に保持されてスロープ板本体部20の上下回動が禁止される。
しかし、部品のばらつき、車両のボディのばらつきにより、スロープ板本体部20を前倒したときの前倒規制用ロック機構50のロック位置がフロア面Frに対してずれることがある。例えば、スロープ板本体部20がフロア面Frに当接する前に前倒規制用ロック機構50がロックされると、前倒し位置にあるスロープ板本体部20とフロア面Frとの間に隙が生じて、バタツキが発生し易くなり、商品力が低下する。
<前倒規制用ロック機構70の構成について>
本実施形態に係るスロープ装置10の前倒規制用ロック機構70では、前倒し位置の複数箇所でスロープ板本体部20の上回動を規制できるようにして、前倒し位置に保持されているスロープ板本体部20とフロア面Frとの間に隙が生じないようにしている。
本実施形態に係る前倒規制用ロック機構70では、図15から図17に示すように、カム板32のカム面54に形成された下部ロック溝72に改良が加えられている。即ち、カム板32の下部ロック溝72は、下方が開放された切欠き状に形成されて、実施形態1で説明したカム板32の下部ロック溝542よりも深さ寸法が大きく設定されている。そして、前記カム板32の下部ロック溝72の前側壁部には、図17に示すように、レバー部材52のロックピン521が嵌合できるように構成された第1〜第3円弧状凹面72e,72f,72gが下部ロック溝72の深さ方向に並んで形成されている。
ここで、レバー部材52のロックピン521は、前述のように円柱形のローラ状に形成されており、そのロックピン521の半径寸法が第1〜第3円弧状凹面72e,72f,72gを構成する円弧の半径寸法と等しい値に設定されている。
このため、図16に示すように、スロープ板本体部20が前倒しヒンジ機構35の支軸321を中心に前倒し位置まで下回動(左回動)すると、前倒規制用ロック機構70のレバー部材52のロックピン521はバネ材57のバネ力を受けて、先ず、カム板32の下部ロック溝72の入口に設けられた第1円弧状凹面72eと嵌合する(図17参照)。レバー部材52のロックピン521が下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eと嵌合した状態では、ロックピン521の外周面は第1円弧状凹面72eと面接触するようになる。
この状態で、例えば、スロープ板本体部20に対して起立させる方向、即ち、前倒しヒンジ機構35の支軸321を中心に右回動させる方向に力が加わると、レバー部材52のロックピン521はカム板32の下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eに対してほぼ直角に押付けられる。これにより、スロープ板本体部20の起立方向の回動(上回動)が禁止され、前倒規制用ロック機構70は上回動規制ロック状態に保持される。
しかし、前倒規制用ロック機構70が上回動規制ロック状態であっても、スロープ板本体部20に対して下回動方向(左回動方向)に力が加わると、レバー部材52のロックピン521には下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eの接線方向に力が加わるようになる。これにより、レバー部材52のロックピン521は、下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eから外れて、下部ロック溝72の奥方向(図17の上方向)に移動する。即ち、前倒規制用ロック機構70が上回動規制ロック状態であっても、スロープ板本体部20はさらに下回動(左回動)が可能になる。
そして、スロープ板本体部20が前倒規制用ロック機構70の上回動規制ロック状態からさらに下回動(左回動)することで、レバー部材52のロックピン521が下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eから外れ、第2円弧状凹面72fと嵌合するようになる。これにより、前倒規制用ロック機構70は、再び、上回動規制ロック状態となる。
そして、この状態からさらにスロープ板本体部20に対して下回動方向(左回動方向)に力が加えられると、レバー部材52のロックピン521は下部ロック溝72の第2円弧状凹面72fから外れ、第3円弧状凹面72gと嵌合するようになる。そして、レバー部材52のロックピン521が下部ロック溝72の第3円弧状凹面72gと嵌合することで、前倒規制用ロック機構70が上回動規制ロック状態となる。
即ち、スロープ板本体部20は、レバー部材52のロックピン521が第3円弧状凹面72gと嵌合するまで下回動方向(左回動方向)が可能であり、この位置でスロープ板本体部20の上回動が規制される。
そして、前倒規制用ロック機構70が上回動規制ロック状態のときに、レバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して連結ピン51の回りに右回動操作することで、レバー部材52のロックピン521が第3円弧状凹面72g等から離れ、上回動規制ロック状態が解除される。これにより、スロープ板本体部20を起立方向に回動させることが可能になる。
<前倒規制用ロック機構70の取扱いについて>
次に、前倒規制用ロック機構70の取扱いについて説明する。
図15に示すように、スロープ板本体部20が起立位置にある状態からワンボックス車両Cに荷物を積載する場合には、左右の前倒規制用ロック機構70のロック状態を解除する。即ち、前倒規制用ロック機構70のレバー部材52をバネ材57のバネ力に抗して右回動させる。これにより、レバー部材52のロックピン521がカム板32のカム面54の上部ロック溝541から外れ、前倒規制用ロック機構70のロック状態が解除される。これにより、図16に示すように、スロープ板本体部20をコイルバネ35x(図5、図8参照)のバネ力に抗して前倒しヒンジ機構35の回動中心(支軸321)の回りに前方に回動(左回動)させ、スロープ板本体部20をフロア面Fr上に倒伏させることが可能になる。
スロープ板本体部20が前倒し位置まで下回動(左回動)すると、図16、図17に示すように、前倒規制用ロック機構70のレバー部材52のロックピン521はバネ材57のバネ力を受けて、先ず、カム板32の下部ロック溝72の入口に設けられた第1円弧状凹面72eと嵌合する。この状態で、前倒規制用ロック機構70は上回動規制ロック状態となるため、スロープ板本体部20の起立方向の回動(上回動)が禁止される。
この状態で、スロープ板本体部20とフロア面Frとの間に隙がある場合には、スロープ板本体部20を下方に押圧し、フロア面Frに対してスロープ板本体部20を押付けるようにする。これにより、スロープ板本体部20が下回動(左回動)し、レバー部材52のロックピン521は下部ロック溝72の第1円弧状凹面72eから外れて第2円弧状凹面72f、あるいは第3円弧状凹面72gと嵌合するようになる。即ち、スロープ板本体部20が下回動(左回動)することで、前倒規制用ロック機構70は、再び、上回動規制ロック状態となり、スロープ板本体部20の起立方向の回動(上回動)が禁止される。この状態で、スロープ板本体部20とフロア面Frとの間の隙が最小限となり、フロア面Frに対するスロープ板本体部20のバタツキを抑えることができる。
<前倒規制用ロック機構70の長所について>
本実施形態に係る前倒規制用ロック機構70によると、スロープ板本体部20を前倒し位置まで前倒しさせた状態で、スロープ板本体部20の上回動を回動角度が異なる複数位置で規制できるようになる。これにより、フロア面Frに合った位置でスロープ板本体部20の上回動を規制できるようになる。したがって、車両走行時の振動等によりスロープ板本体部20が車両のフロア面Fr上でバタツクようなことがなく、商品力が向上する。
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態では、前倒規制用ロック機構70のカム板32の下部ロック溝72に円弧状凹面72e,72f,72gを三個形成する例を示した。しかし、前記円弧状凹面72e,72f,72gの個数を増やして、スロープ板本体部20の上回動を規制できる位置を増やすことも可能である。
また、実施形態1、2では、補助ロック機構である前倒規制用ロック機構50のロック状態を手動操作により解除する例を示したが、アクチュエータ等を利用して間接的に解除する構成でも可能である。
また、実施形態1、2では、車両用付属装置としてスロープ装置10を例示したが、トラックの荷台の扉等に本発明を適用することも可能である。
10・・・・スロープ装置(車両用付属装置)
20・・・・スロープ板本体部(板状部材)
30・・・・テールゲート部(ボディ側部材)
32・・・・カム板
35・・・・前倒しヒンジ機構(ヒンジ機構)
321・・・支軸
373・・・筒体
373t・・突出壁部(規制部)
37・・・・スロープ板取付けブラケット(板状部材)
40・・・・後倒規制用ロック装置(主ロック機構)
50・・・・前倒規制用ロック機構(補助ロック機構)
54・・・・カム面
521・・・ロックピン(摺動部)
70・・・・前倒規制用ロック機構(補助ロック機構)
72・・・・下部ロック溝
72e・・・第1円弧状凹面
72f・・・第2円弧状凹面
72g・・・第3円弧状凹面

Claims (6)

  1. 車両のボディに回動可能な状態で連結されたボディ側部材と、そのボディ側部材に回動可能な状態で連結された板状部材と、前記ボディ側部材が格納位置にあるときに前記ボディに対するボディ側部材の回動を規制する主ロック機構と、前記ボディ側部材に対して回動基準位置にある板状部材の回動を規制する補助ロック機構とを備える車両用付属装置であって、
    前記板状部材には、その板状部材が回動基準位置から回動したときに、前記主ロック機構のロック解除動作を妨げられるように構成された規制部が設けられており、
    前記ボディ側部材と前記板状部材とを回動可能に連結するヒンジ機構は、前記ボディ側部材に設けられた支軸と、前記板状部材に設けられ、前記支軸が挿入される筒体とを備え、前記筒体に前記規制部が設けられており、
    前記筒体の規制部は、前記筒体の先端を円周方向に一定角度切り欠くことで突出壁状に形成されていることを特徴とする車両用付属装置。
  2. 請求項1に記載された車両用付属装置であって、
    前記ボディ側部材は、車両のボディに対して上下回動可能な状態で連結されて、そのボディ側部材が起立する位置が前記ボディ側部材の格納位置であり、
    前記板状部材は、前記ボディ側部材に対して上下回動可能な状態で連結されて、前記ボディ側部材と共に起立している位置が、前記板状部材の前記回動基準位置であり、
    前記補助ロック機構は、前記板状部材が前記回動基準位置にあるときと、前記格納位置にある前記ボディ側部材に対して前記板状部材が前方に倒伏しているときとで、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動を規制できるように構成されていることを特徴とする車両用付属装置。
  3. 請求項2に記載された車両用付属装置であって、
    前記補助ロック機構は、前記板状部材が前方に倒伏しているときに、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動角度が異なる複数位置で、前記ボディ側部材に対する前記板状部材の上回動を規制できるように構成されていることを特徴とする車両用付属装置。
  4. 請求項2又は請求項3のいずれかに記載された車両用付属装置であって、
    前記補助ロック機構は、前記ボディ側部材と板状部材との幅方向両側に個別に設けられていることを特徴とする車両用付属装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれかに記載された車両用付属装置であって、
    前記補助ロック機構は、前記ボディ側部材に設けられ、カム面を備えるカム板と、前記板状部材に設けられ、その板状部材が前記ボディ側部材に対して上下回動する際に前記カム板のカム面に沿って摺動する摺動部を備えるレバー部材とを有しており、
    前記レバー部材の摺動部が前記カム板のカム面に形成されたロック溝と係合することで前記ボディ側部材に対する前記板状部材の回動が規制される構成であること特徴とする車両用付属装置。
  6. 請求項5に記載された車両用付属装置であって、
    前記摺動部はローラ状に形成されて、その摺動部の外周面が前記カム面のロック溝に形成された円弧状凹面に嵌ることで、前記摺動部と前記カム面のロック溝とが係合すること特徴とする車両用付属装置。
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