JP6083118B2 - ラクトアイス又はソフトクリーム用保形剤 - Google Patents
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Description
食品保形剤を付与する方法としては、冷解凍後のホイップドクリームの保形性を維持させるために、セロオリゴ糖を含有させる方法(特許文献1)、食品への安全性の高いカルボキシメチルセルロースを加工食品に添加して加工食品の保形性を付与させる方法などが知られている。
[1] ラクトアイス又はソフトクリーム用の保形剤であって、該保形剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基が0.16〜0.34、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上58%以下のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とするラクトアイス又はソフトクリーム用保形剤。
[2] [1]に記載の前記ラクトアイス又はソフトクリーム用保形剤が含有されることを特徴とする、ラクトアイス又はソフトクリーム。
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)をH−CMCにした。その絶乾H−CMCを1.5〜2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れた。80%メタノール15mLでH−CMCを湿潤し、0.1N−NaOHを100mL加え、室温で3時間振とうした。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N−H2SO4で過剰のNaOHを逆滴定した。CMC−DSは、次式によって算出した。
A=[(100×F−0.1N−H2SO4(mL)×F)×0.1]/(H−CMCの絶乾重量(g))
CM−DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:H−CMCの1gの中和に要する1N−NaOH量(mL)
F:0.1N−H2SO4のファクター
F:0.1N−NaOHのファクター
セルロースI型の結晶化度は、試料のX線回折を測定することで求めた。X線回折の測定は、試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD−6000、島津製作所製)を用いて測定した。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10°〜30°の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6°の002面の回折強度と2θ=18.5°のアモルファス部分の回折強度から次式により算出した。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6°、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5°、アモルファス部分の回折強度
(CMC1の製造)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム10部を水300部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA10部に溶解したモノクロロ酢酸8部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して無水グルコース単位当りのカルボキシメチル置換度(CM−DS)0.05、結晶化度85%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC1)。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム15部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA20部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.16、結晶化度58%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC2)。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム15部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA30部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度40%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC3)。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム30部を水200部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸19部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.19、結晶化度0%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC4)。
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)800部と水酸化ナトリウム33部を水150部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸27部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.34、結晶化度18%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た。(CMC5)
回転数を100rpmに調節した二軸ニーダーにイソプロピルアルコール(IPA)500部と水酸化ナトリウム48部を水100部に溶解したものを加え、市販の溶解パルプ(NDPS、日本製紙ケミカル(株)製)を絶乾で100部仕込んだ。30℃で90分間攪拌、混合しマーセル化セルロースを調製した。更に攪拌しつつ90%IPA45部に溶解したモノクロロ酢酸37部を添加し、70℃に昇温して90分間エーテル化反応させた。反応終了後、中和、脱液、乾燥、粉砕して、CM−DS0.50、結晶化度43%のカルボキシメチルセルロースナトリウムを得た(CMC6)。
下記ラクトアイス処方のうち、果糖ブドウ糖液糖、水あめ、脱脂加糖練乳、ヤシ油及び水を添加し、混和した容器に、脱脂粉乳、砂糖、乳化剤、及び表1のカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を添加して、80℃10分間加熱攪拌溶解し、重量補正後、15MPaで均質化を行う。更に攪拌しながら5℃まで冷却し、5℃にて12時間エージングを行った。エージング後、オーバーラン80%までフリージングし、カップ充填し、−40℃で急速凍結を行い、ラクトアイスを調製した。保形性、ベタツキ、食感を評価した結果を表2に示す。
脂肪加糖練乳 6.5部
脱脂粉乳 4.0部
精製ヤシ油 6.0部
砂糖 6.0部
果糖ブドウ糖液糖 4.0部
水あめ 6.25部
乳化剤 0.3部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3部
得られた食品を静置し、直後及び3時間の食品の形状を下記の基準で目視評価した。
○:3時間後における食品の形状に大きな変化が見られない。
△:直後には食品の形状に変化は見られないが、3時間後における食品の経常に変化が見られる。
×:直後の時点で食品の形状に変化が見られる。
得られた食品を手で触り、下記の基準で評価した。
○:ほとんどべたつきを感じない。
△:僅かにべたつきを感じる。
×:非常にべたつきを感じる。
得た食品を10人に試食してもらった評価結果を下記の基準で評価した。
○:10人中9人以上が食感良好と評価した。
△:10人中6人以上が食感良好と評価した。
×:食感良好と評価した人が10人中5人以下であった。
た。
下記ソフトクリーム処方のうち、牛乳、生クリーム、水あめを混合し40℃まで攪拌しながら加熱し、その中に砂糖、脱脂粉乳、乳化剤及び表1のカルボキシメチルセルロースナトリウムを投入し、その後80℃まで加熱した後に、あらかじめ溶解しておいたバターを入れ、さらに10分間攪拌した。これを150kg/cm2ホモジナイズし、ついでプレート式殺菌(120℃、10秒間)し、取り出した後10℃程度になるまで冷却してソフトクリームを調製した。それをアイスクリームフリーザーにかけて調製したソフトクリームの保形性、ベタツキ、食感を調査した結果を表3に示す。
牛乳 50.0部
生クリーム 16.0部
無塩バター 7.5部
砂糖 4.0部
脱脂粉乳 4.0部
水あめ 4.0部
乳化剤 0.3部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3部
水 適量
好な結果であった。
下記ヨーグルトバー処方のうち、全脂加糖練乳、油脂、果糖ブドウ糖液糖、水あめ及び混合して加温しながら攪拌して溶解した。溶解して混合液が40℃程度になったとき、その中に、脱脂粉乳、砂糖、粉末水あめ、乳化剤及び表1のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、更に80℃で15分間加熱し溶解した。
全脂加糖練乳 5.0部
脱脂粉乳 2.0部
発酵乳 5.0部
油脂 2.0部
砂糖 7.0部
果糖ブドウ糖液糖 3.0部
水あめ(75%) 6.25部
粉末水あめ 3.0部
第一乳酸(50%乳酸) 0.3部
乳化剤 0.15部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3部
ヨーグルトフレーバー 0.2部
水 適量
<プリン処方での調査>
下記プリン処方のうち、水と生クリームを攪拌しながら、プリンフレーバー以外の原料を粉体混合物として添加し80℃10分間攪拌溶解した後、プリンフレーバーを添加し、容器充填後、冷却してプリンを調整した。その後、容器から取り出した際の保形性、食感を調査した結果を表5に示す。
生クリーム 5.0部
砂糖 10.0部
脱脂粉乳 8.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3部
プリンフレーバー 0.1部
水 77.0部
下記ゼリー処方のうち、水を攪拌しながら、砂糖、表1のカルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸三ナトリウム及び乳酸カルシウムの粉体混合物を加え、80℃10分間加熱攪拌溶解後、クエン酸(無水)を添加し、攪拌混合、全量を水にて補正し、容器充填し、85℃30分間殺菌して、水冷固化し、ゼリーを調製した。得られたゼリーの保形性、食感を調査した結果を表6に示す。
砂糖 15.0部
クエン酸 0.2部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.3部
クエン酸三ナトリウム 0.2部
乳酸カルシウム 0.2部
水 84.0部
下記ハンバーグ処方のうち、挽肉、玉ねぎ、パン粉、卵、黒コショウ、食塩、水をSKミキサーで3分間混合した後、表1のカルボキシメチルセルロースナトリウムを加えてよく混ぜ、100gずつ小判型に成形した。このハンバーグをフライパン中で、強火で両面を計2分、その後弱火にしてからフタをして両面を計12分加熱調理した。得られたハンバーグの保形性、食感を調査した結果を表7に示す。
挽肉 57.9部
玉ねぎ 21.1部
パン粉 10.5部
卵 6.3部
黒コショウ 0.1部
食塩 0.8部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.5部
水 3.2部
<参考例23〜28:フィリング(1)ピーナッツバター>
下記フィリング処方のうち、ピーナッツバターに表1のカルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、コンベクションオーブン80℃で10分間焼成した。焼成後の保形性、ベタツキを調査した結果を表8に示す。
(フィリング:ピーナッツバター)
ピーナッツバター 99.0部
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.0部
Claims (2)
- ラクトアイス又はソフトクリーム用の保形剤であって、該保形剤がグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換基が0.16〜0.34、且つセルロースI型の結晶化度が40%以上58%以下のカルボキシメチルセルロース又はその塩であることを特徴とするラクトアイス又はソフトクリーム用保形剤。
- 請求項1に記載の前記ラクトアイス又はソフトクリーム用保形剤が含有されることを特徴とする、ラクトアイス又はソフトクリーム。
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