JP2008131878A - 揚げ物衣用組成物及び揚げ物 - Google Patents

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雅和 木村
Masanori Kiyozono
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Abstract

【課題】食感が固くなり過ぎず、特に揚げ物の具材が、クリームコロッケ等水分の多いものである場合でも、パンク現象の起こりにくい揚げ物衣用組成物を提供する。
【解決手段】揚げ物衣用組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、揚げ物衣用組成物に関する。詳細には、揚げ物製造時に、衣が破裂するというパンク現象の起こりにくい揚げ物を調製するための揚げ物衣用組成物に関する。
従来から、パン粉を付着させた揚げ物衣(バッター)については、食感改良、風味改良、破裂防止等の種々検討がなされている。しかし、揚げ物の具材が、水分の多いクリームコロッケ等である場合、油調時にバッター被膜に破損や破裂が多く不良品が多発しているのが現状である。
これら不良が起こらない揚げ物衣が検討されており、例えば、小麦粉、小麦グルテン分解物、α化澱粉、グルコマンナン、アルカリ凝固剤からなる粉体プレミックスで、粉体10質量%に対して加水率90〜120質量%において安定したフライ食品用バッターミックス(特許文献1)、衣材中に脱脂粉乳粉末を含有するフライ用衣材(特許文献2)、粒径8〜80μmの粒子を85質量%以上、8〜20μmの粒子を20質量%以上含み、かつタンパク値が7.0質量%未満の小麦粉と、AOAC法による食物繊維含量が50質量%以上の食物繊維素材とを含有する揚げ物衣材(特許文献3)などが挙げられる。
しかし、できあがった揚げ物の衣の食感が固くなり過ぎたり、また、依然として、油調する際、衣の破裂(パンク)が起こりやすくなることが問題となっていた。
特開平9−70263号公報 特開2002−65194号公報 特開2003−23896号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、食感が固くなり過ぎず、特に揚げ物の具材が、クリームコロッケ等水分の多いものである場合でも、パンク現象の起こりにくい揚げ物衣用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、揚げ物衣用組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有することにより、食感が固くなり過ぎず、特に揚げ物の具材が、水分の多いクリームコロッケ等であっても、パンク現象の起こりにくい揚げ物が調製できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものである;
項1.ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする揚げ物衣用組成物。
項2.揚げ物衣用組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによる、揚げ物のパンク現象の抑制方法。
項3.項1に記載の揚げ物衣用組成物により調製された揚げ物。
本発明により、食感が固くなり過ぎず、特に揚げ物の具材が、水分の多いクリームコロッケ等であっても、パンク現象の起こりにくい揚げ物が調製できる。
本発明の揚げ物衣用組成物はヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする。
本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは、広く自然界に存在するセルロース(パルプ)を原料とし、これを水酸化ナトリウムで処理した後、プロピレンオキサイド等のエーテル化剤と反応させて得られる非イオン性の水溶性セルロースエーテルである。ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、室温(25度)時の2%粘度が1mPa・s〜10万mPa・s程度のものであるが、本発明では、中でも粘度の高いもの、具体的には、BL形回転粘度計を用い、回転数を60rpmにて測定した時の、室温時の2%粘度が200mPa・s以上、好ましくは、5000mPa・s以上のものが好ましい。
ヒドロキシプロピルセルロースの揚げ物衣用組成物への添加量は、該組成物の水分量や調製方法により適宜調整することができるが、BL形回転粘度計を用い、回転数を60rpmにて測定した時の、室温時の2%粘度が200mPa・s以上のものを、好ましくは、3.0〜5.0質量%程度が配合される。また、また同じ条件での粘度が5000mPa・s以上のものを、好ましくは、1.0〜2.0質量%を挙げることができる。また、本発明で使用するヒドロキシプロピルセルロースは商業上入手することができ、例えば、ハーキュリーズ社製のAeroWhip〔商標〕630やAeroWhip〔商標〕640など(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社販売)を使用することができる。
本発明でいう揚げ物とは、クリームコロッケ、カレーコロッケ、ポテトコロッケ等のコロッケ類、ミンチカツ、トンカツ、ビーフカツ、チキンカツなどの畜肉類のフライ、エビ、イカ、タコ、マグロ、ホタテ、キス、タイ、カレイなどの魚介類のフライ、タマネギ、なめこ、シイタケ、エノキダケ、銀杏などの野菜類のフライ、また、天ぷら、フリッター、竜田揚げなどを挙げることができる。特には、揚げ物の具材について、水分の多いクリームコロッケ等における、油調時のパンク現象を顕著に抑制し、更には、食感も固くなり過ぎない良好な食味の揚げ物を調製できることが可能になったものである。
また、本発明の揚げ物衣用組成物は、本発明の効果に影響を与えない限り、ヒドロキシプロピルセルロースの他に、通常の揚げ物衣用組成物に用いられる原料を添加することができる。具体的には、澱粉、増粘多糖類、パン粉、油脂、小麦粉、乳化剤、調味料、着香料、着色料、甘味料、酸味料、ベーキングパウダー、日持ち向上剤、保存料、酸化防止剤等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ、分散・溶解したものが用いられる。
例えば、澱粉としては、馬れいしょ澱粉、とうもろこし澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉等を広く挙げることができる。
増粘多糖類としては、ゼラチン、ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、寒天、グァーガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、タマリンドシードガム、タラガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、プルラン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC),カルボキシメチルセルロース(CMC)などのHPC以外の水溶性セルロースエーテル、微小繊維状セルロース、ファーセレラン等が挙げられる。
パン粉としては、乾燥パン粉、生パン粉のいずれを用いてもよい。これらのパン粉を粉砕機やフードカッター等で粉砕した粉砕パン粉も好ましく用いられ、粉砕の度合いとして、具体的には、20メッシュよりも細かい篩で篩通したものを例示することができる。
前記、澱粉、増粘多糖類、パン粉の配合量は、使用する揚げ物によって、適宜配合を調整することができるが、例えば、揚げ物衣用組成物100質量%に対して、澱粉50〜90質量%、パン粉1〜50質量%、増粘多糖類0.05〜10質量%を添加することが出来る。
なお、本発明の揚げ物衣用組成物には、前記以外に、必要に応じて、ビタミン類、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシウム類、鉄、マグネシウム、リン、カリウム等のミネラル類などを添加してもよい。
本発明の揚げ物衣用組成物の調製方法であるが、常法により行えば良く、例えば、揚げ物衣用組成物用原料粉末を篩い、氷水を添加する方法あるいは分散溶解する器具、器械を用いることによって溶解して調製する方法をあげることができる。
また、本発明は、前記の揚げ物衣用組成物を用いてバッターリング、油調、凍結することを特徴とする揚げ物に関する。
本発明は、かかる揚げ物衣用組成物中に揚げ物に用いる具材を浸漬するが(バッターリング:具材への揚げ物衣用組成物の付着工程)、このバッターリング工程は揚げ物衣用組成物に具材を一度浸漬して衣を形成することもできるし、二度浸漬することにより衣を形成してもよい。
揚げ物衣用組成物に具材を一度浸漬して衣を形成する揚げ物で好ましく適用されるフライ製品として、具材の水分含量が比較的低いもの、例えば、エビフライ、イカフライ、タコ、マグロ、ホタテ、キス、タイ、カレイ等の魚介類のフライ;トンカツ、ビーフカツ、チキンカツ等の畜肉類のフライ、タマネギ、なめこ、シイタケ、エノキダケ、銀杏等の野菜類のフライ、餃子、シュウマイ等の惣菜食品のフライ等が挙げられる。
また、揚げ物衣用組成物に具材を通常二度浸漬して衣を形成する揚げ物で好ましく適用されるフライ製品として、具材の水分含量が比較的高いもの、例えば、クリームコロッケ、ポテトコロッケ、カレーコロッケ、ミンチカツ等が挙げられる。揚げ物衣用組成物を具材に二度浸漬を行ってもよいが、本発明の揚げ物衣用組成物を使用すると、一度浸漬でも、衣の付着性がよく、食感も良好な揚げ物を調製することができる。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。特に記載のない限り、「%」は、「質量%」、文中「*」とする。
実施例1:クリームコロッケの調製
(1)揚げ物衣用組成物の調製
下記表1に掲げる処方のうち、10℃のイオン交換水にHPC(ヒドロキシプロピルセルロース)(比較例1はグァーガム)を加え、10分間攪拌溶解した後、バッターミックスを加え、充分に混合して揚げ物衣用組成物を調製した。
Figure 2008131878
注1)HPC;製品名AeroWhip〔商標〕640; Hercules社製造、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社販売(BL形回転粘度計を用い、回転数を60rpmにて測定した時の、室温(20度)時の2%粘度が5000mPa・s以上)
(2)具材の調製
イオン交換水及び牛乳の混合液に、小麦粉、脱脂粉乳、調味料、食塩及び胡椒の粉体混合物を加え、攪拌溶解したものに、撹拌しながら、マーガリン、サラダ油、たん白加工品の混合物を添加し、撹拌しながら80℃まで加熱する。80℃達温で加熱を止め、イオン交換水にて全量を補正した後5℃にまで冷却して、具材を調製した。
Figure 2008131878
(3)成形及び油調
5℃のホワイトソース具材を良くかき混ぜ30gずつ秤量し、それを小麦粉(薄力粉)→(1)で調製した揚げ物衣用組成物→パン粉の順に適量塗布して、俵型に成形した。
−40℃で1時間急速凍結した後、その後冷凍庫へ移し一晩保存した。翌日、冷凍状態のクリームコロッケを170℃の油で4分間揚げて、クリームコロッケを調製した。パンクの有無及び衣の食感について評価した。結果を表3に示す。
Figure 2008131878
表3より、HPCを使用したクリームコロッケは油調時のパンクが起こらず、また、油調後のコロッケの衣の食感も固くなく食べやすかった。それに対して、グァーガムを使用した比較例1のクリームコロッケは油調時にパンクが起こり、クリームの流出が激しかった。
本発明により、食感が固くなり過ぎず、特に揚げ物の具材が、クリームコロッケ等水分の多いものである場合でも、パンク現象の起こりにくい揚げ物衣用組成物を提供できる。

Claims (3)

  1. ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする揚げ物衣用組成物。
  2. 揚げ物衣用組成物にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによる、揚げ物のパンク現象の抑制方法。
  3. 請求項1に記載の揚げ物衣用組成物により調製された揚げ物。
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