JP6082666B2 - コンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シート - Google Patents

コンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シート Download PDF

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Description

本発明は、コンクリート製のトンネル、高架車道、橋梁、建築物などのコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートに関するものである。
コンクリート構造物は風雨に曝されるため経年劣化し、約30〜40年で変状を来たすようになる。しかし、造り直すには莫大な費用がかかるため、ひび割れやがれた部分を補修又は補強をしながら使用しているのが現状である。
一方で橋梁やトンネルなどの検査は目視確認や打音調査が主流となっている。
従来において、コンクリート構造物の補修又は補強は、繊維シートやフッ素シートを接着剤で貼り付けるため、これらは不透明であり、施工を行った後は、目視検査が出来ないという問題があった。
また、一部には、目視確認が出来るように透明性を上げる工法も開発されているが、ガラス繊維やビニロン繊維を用いたメッシュ状物をコンクリートに直接貼り付け、それに屈折率を合わせたエポキシ樹脂やアクリル樹脂などの硬化性樹脂を含浸するため、紫外線硬化設備を必要とし、気泡が入り込んだり、繊維が白く浮いて見えるなど問題があった。
一方、本出願人は、コンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シートについて鋭意検討し、少なくとも(i)透明樹脂からなる非通気性層、及び(ii)補強繊維によって所定の開口部が形成されたメッシュ体に該非通気性層と相溶性を有する硬化性透明樹脂を含浸して硬化した繊維強化樹脂本体層を備える繊維強化樹脂シートを提案した(特許文献1参照)。
特許文献1により提案された繊維強化樹脂シートは、メッシュ体の開口部は透明であるが、メッシュ体を構成する繊維が不透明であるため、この部分の陰のコンクリート表面は観察することができず、小さなひび割れを見落とす可能性があった。
また、これまでに防煙垂壁用途などでは、高透明な繊維強化樹脂(FRP)は存在していたが、天井面等のコンクリート剥落防止用途では、コンクリートに固着させる必要から、ガラス繊維等の補強繊維を現地現場で含浸硬化させる工法しかなかった。
特開2010−242493号公報
そこで、本発明者らは、コンクリート剥落防止用の補強シートについて鋭意検討した結果、FRPなど補強繊維を用いたもので補強するという概念を捨て、強度を備えた透明な延伸フィルムで覆うという新しい着想に到達した。ただし、コンクリートの剥落防止の補強シートとしては、コンクリート片の剥落部分が分かるように後述する押抜き試験において、10mm以上の伸びが必要とされているため、延伸フィルムを用いて、種々の実験を行った。
まず、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(以下、単に「PETフィルム」ということがある。)単体を接着剤でコンクリートに貼り付けて押抜き試験を行ったところ、早い段階で亀裂が入り、亀裂を起点に裂けていく為、押抜き試験で必要な耐力が出ないことが判明した。
これは、接着剤(エポキシ系)自体に伸びが無いため、PETフィルムを接着剤で貼り付けるとPETフィルムのどこか一点に応力が集中して裂けるのが原因であった。
この応力集中を回避し、応力を分散させるために、PETフィルムにパンチング処理をして丸孔を設けると少しは伸びによる変形に対して追従するが、この場合も一旦亀裂が発生するとマジックカットのようになって、亀裂が速く進行した。
次にパンチング処理無しのPETフィルムの両面を軟質樹脂で挟み込んだが、当然ながら応力集中による亀裂の発生を抑える効果は認められなかった。
そもそも、二軸延伸PETフィルムは、それ自体は強靭であり、引張試験においても連続繊維工法に使用されるFRPと同等の強度、弾性率、伸びを有している。しかし、難点はフィルムであるが故に応力集中しやすく、応力集中した部分に亀裂が発生し、さらに延伸しているため裂けやすいことが上記の実験から確認できた。
本発明は、劣化したコンクリート構造物のひび割れ部分を補修又は補強した後、その後当該補修又は補強部位のコンクリート構造物のひび割れ等の欠陥の進展の有無を目視観察できる透明な補強用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者は、延伸フィルムを用いても亀裂の進行のない補強シートの構成について鋭意検討し、二軸延伸フィルムにパンチング処理(加工)した場合、パンチング孔はエッジ部分が僅かにギザギザしているので、そこを起点に亀裂が発生するが、パンチング穴に埋めるように軟質な透明樹脂で包んで複合シートにすると、亀裂の進行が抑えられ、コンクリート構造物の補修又は補強シートの機能を発現することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、(1)可視光線透過率が80%以上のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートであって、該透明複合シートは、(i)軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)を硬化してなる非通気性層、(ii)一方の面が該非通気性層に積層され、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%である透明な二軸延伸フィルム、及び(iii)該二軸延伸フィルムの丸孔部を充填し、かつ二軸延伸フィルムの他方の面を覆うように、非通気性層と相溶性を有する軟質な硬化性透明樹脂組成物(B)を硬化してなる透明本体樹脂層、を備えることを特徴とするコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シート、
(2)前記軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)及び(B)が、共にウレタンアクリレート樹脂を主成分としてなる、(1)に記載の透明複合シート、及び
(3)二軸延伸フィルムがフィルム厚み50〜250μmのポリエステル製二軸延伸フィルムである(1)又は(2)に記載の透明複合シート、
を提供するものである。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%である透明な二軸延伸フィルムを補強材とし、該二軸延伸フィルムと軟質な硬化性透明樹脂組成物の硬化物との複合シートとすることで、二軸延伸フィルムの強度における方向性がなく、かつ複合シートに作用した応力が均等に分散され、繊維状メッシュ材を補強材とした場合と同様に、補修又は補強性能を発現でき、かつ、可視光線透過率が80%以上なので、コンクリート構造物表面の視認が可能な透明複合シートを提供できる。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)を硬化してなる非通気性層を有しているので、透明複合シートを工事対象箇所に貼するに際して、コンクリート表面に塗布された未硬化状の接着剤が、透明複合シートの透明本体樹脂層に不可避的に存在する気泡等に起因する貫通孔から滴下することが無いので、施工時に表面を養生シートで覆い、硬化後に補強シート表面に垂れ下がった接着剤を除去する等の付随的な作業が不要であり、非常に簡易化された施工法とすることができ、かつ、ピンホールや気泡による欠陥部分がないので、コンクリート面を外気から遮断して、塩化物イオン等によるコンクリート表面の劣化を防止できる。
(A)本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートの一例の上面模式図、(B)X−X線拡大断面模式図である。 (A)本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートの層構成を示す模式斜視図、(B)丸孔を有する二軸延伸フィルムの模式斜視図である。 (A)丸孔を有する二軸延伸フィルムのおける60°千鳥状丸孔パターンの説明図、(B)同45°千鳥状丸孔パターンの説明図である。 実施例1による透明複合シートの押抜き試験における荷重−変位曲線を示すチャートである。 (A)本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートの他の例の上面模式図、(B)X−X線拡大断面模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、添付図面に示された各実施形態は、本発明に係わる代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、(1)可視光線透過率が80%以上のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートであって、(i)軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)を硬化してなる非通気性層、(ii)一方の面が該非通気性層に積層され、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%である透明な二軸延伸フィルム、及び(iii)該二軸延伸フィルムの丸孔部を充填し、かつ二軸延伸フィルムの他方の面を覆うように、非通気性層と相溶性を有する軟質な硬化性透明樹脂組成物(B)を硬化してなる透明本体樹脂層、を備えることを特徴とする。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、施工後のコンクリート構造物の表面のひび割れなど微細な変化を経時的に観察できる透明性を確保する観点から、可視光線透過率が80%以上であることを要する。
本発明において、非通気性層とは、施工時にコンクリート構造物に透明複合シートを接着剤により貼り付ける際に、ピンホール等がなく、接着剤が浸透漏出することのない程度の非通気性層を意味する。非通気性層は、接着剤を浸透漏出させない観点から25〜125μmの厚みであることが好ましい。
非通気性層は、軟質な硬化性樹脂組成物(A)を硬化して形成された層であり、軟質な硬化性樹脂組成物(A)は、硬化後の該非通気性層に積層される二軸延伸フィルムの丸孔(開口)部を通して接触し、硬化後に当該丸孔開口部を充填し、かつ二軸延伸フィルムの他方の面を覆う透明本体樹脂層を形成する軟質な硬化性樹脂組成物(B)と相溶性を有するものから選択され、軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)と(B)は同一であってもよい。
硬化性樹脂組成物(A)及び(B)は、硬化した後にあっては、丸孔開口部を有する二軸延伸フィルムと一体的に接着して、透明複合シートを構成する。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートを製造するには、一例として、キャリアフィルム上に軟質な硬化性透明樹脂(A)を塗布しこれを硬化する非通気性層形成工程と、形成された非通気性層上で、丸孔の開口率が5〜30%二軸延伸フィルム、及び非通気性層に対して相溶性を有する軟質な硬化性透明樹脂(B)とをカバーフィルムとの間に挟み込んで、前記二軸延伸フィルムの丸孔開口部に前記硬化性透明樹脂(B)を含浸・硬化し、透明本体樹脂層を形成する工程とを備える、製造方法を提案することができる。
また、非通気性層は、施工時に未硬化状の接着剤等の液体を通さないという機能の点からは、透明複合シートの少なくとも片面に1層あればよいが、カバーフィルムを既に硬化した軟質な透明樹脂フィルムとし、その上で二軸延伸フィルムに硬化性透明樹脂(B)を含浸・硬化することもできる。
なお、キャリアフィルム上への硬化性透明樹脂組成物(A)の塗布や、形成された非通気性層上、もしくは非通気性層上に導入された二軸延伸フィルム上への硬化性透明樹脂組成物(B)の塗布には、一般的な塗工装置が使用でき、例えばグラビアリバース、グラビアダイレクト、三本リバース、ダイコートなどの中から選んで使用できる。
非通気性層に用いられる軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)としては、透明本体樹脂層に用いられる軟質な硬化性透明樹脂組成物(B)と相溶性(接着性を含む)を有し、かつ、機械的物性において透明複合シートの構成材料としての機能を有する硬化性透明樹脂から選択される。この種の軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)及び(B)〔以下、軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)及び(B)を区分することなく「硬化性透明樹脂組成物」ということがある。〕として、具体的には、ウレタンアクリレート樹脂(a)、ビニルエステル樹脂(b)、重合性単量体(c)、光重合開始剤(d)、及び熱重合開始剤(e)を含むものから構成されるものを挙げることができる。
さらに、本発明に用いられる軟質な硬化性透明樹脂組成物は、ウレタンアクリレート樹脂を主成分とするものが好ましい。
具体的には、ウレタンアクリレート樹脂(a)及びビニルエステル樹脂(b)は、軟質な硬化性透明樹脂の本体を構成するものであり、ウレタンアクリレート樹脂(a)とビニルエステル樹脂(b)との質量比は、ウレタンアクリレート樹脂(a)/ビニルエステル樹脂(b)で概ね10/0〜5/5とするのが好ましい。質量比が5/5を超えてビニルエステル樹脂(b)の比が高くなると柔軟性が低下する。
本発明において前記ウレタンアクリレート樹脂(a)とは、不飽和ポリエステル製造時に使用される多価アルコール類、または不飽和ポリエステル製造時に使用される飽和2塩基酸またはその無水物と該多価アルコールとのエステル化反応で得られる飽和のポリエステルポリオールと、トリレンジイソシアナート(一般にTDIと呼ばれている)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアナート(一般にMDIと呼ばれている)または3−イソシアナートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル−イソシアナート(一般にIPDIと呼ばれている)とを、付加反応させて分子の末端にイソシアナート基を有するウレタン化合物を合成し、次に2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルアクリレートを付加反応させるか、または先ず2−ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルアクリレートとTDI,MDIまたはIPDIとを付加反応させて分子の片方の端にイソシアナート基を有する化合物を合成し、次にこれと該多価アルコールまたは該飽和のポリエステルポリオールとを付加反応させて得られるウレタンアクリレートを、架橋剤として使用される重合性単量体に溶解した液状の樹脂である。
本発明に使用できるビニルエステル樹脂(b)としては、例えばエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応によって製造されるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂、末端カルボキシル基を有するポリブタジエンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によって製造されるポリブタジエンタイプのビニルエステル樹脂などが挙げられ、耐食性及び機械的強度が優れるものである。
なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する表記である。
かかるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたもの、ノボラックタイプのエポキシ樹脂と(メタ)アクリロリル基を有するカルボン酸とを反応させたものを挙げることができる。
上記ビスフェノールタイプのエポキシ樹脂としては、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られる実質的に1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、メチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの反応により得られるジメチルグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂、あるいはビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物とエピクロルヒドリン若しくはメチルエピクロルヒドリンとから得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
また、上記ノボラックタイプのエポキシ樹脂としては、例えばノボラック型フェノール樹脂又はノボラック型クレゾール樹脂とエピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂などが挙げられる。
本発明に使用できる重合性単量体(c)としては、前記のウレタンアクリレート樹脂(a)及びビニルエステル樹脂(b)と重合可能な液状重合性単量体であって、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、及びヒドロキシエチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン等挙げられる。これらのうち、低温で反応させる観点から、メチルメタクリレート、あるいは高沸点である観点からスチレンが好ましく、これらは単独又は2種以上を併用して用いることができる。
本発明に使用できる硬化性透明樹脂組成物は、光重合開始剤(d)を含有することができる。
使用できる光重合開始剤(d)としては、光の作用または増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸、および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。本発明において光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400〜200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、またはイオンビーム等に感度を有するものを適宜選択して使用することができる。ただし、カバーフィルムを透過することが条件として挙げられる。
光重合開始剤(d)としては、例えば、芳香族ケトン類、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物等を挙げることができる。
より具体的には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、などの光重合開始剤が特に好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(d)は、ウレタンアクリレート樹脂(a)とビニルエステル樹脂(b)との合計100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲で使用するのが好適である。光重合開始剤(d)が0.1〜2質量部の範囲であれば、硬化速度と生産速度のバランスが取れ、気泡の発生も抑止でき、透明複合シートが硬化不足となることもなく、多すぎて不経済となることもない。
本発明に用いられる硬化性透明樹脂組成物は、熱重合開始剤(e)を含有することができる。使用できる熱重合開始剤としては、50〜120℃程度で硬化可能な中温硬化型の有機過酸化物及びそのエステル類、有機アゾ化合物などを挙げることができる。
有機過酸化物としては、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,2,5−トリメチルシクロヘキサン(日油社製パーヘキサ3M−95)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン(日油社製パーヘキサCD)、1,1,3,3−テトラメチルヒドロペルオキシド(日油社製パーオクタH)、1,1−ジメチルブチルペルオキシド(日油社製パーヘキシルH)、ビス(1−t−ブチルペルオキシ−1−メチルエチル)ベンゼン(日油社製パーブチルP)、ジクミルペルオキシド(日油社製パークミルD)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油社製パーヘキサ25
B)、t−ブチルクミルペルオキシド(日油社製パーブチルC)、ジ−t−ブチルペルオキシド(日油社製パーブチルD)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン(日油社製パーヘキシン25B)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル(日油社製パーロイルL)、過酸化デカノイル(三建化工社製サンペロックス−DPO)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート(三建化工社製サンペロックス−CD)、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(日油社製パーロイルTCP)、t−ブチル2−エチルペルヘキサノエート(日油社製パーブチルO)、(1,1−ジメチルプロピル)2−エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社製トリゴノックス121)、(1,1−ジメチルブチル)2−エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社製カヤエステルHO)、t−ブチル3,5,5−トリメチルペルヘキサノエート(日油社製パーブチル355)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製パーヘキシルI)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製パーブチルI)、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製パーブチルE)、過マレイン酸t−ブチル(日油社製パーブチルMA)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油社製パーオクタO)、過ラウリン酸t−ブチル(日油社製パーブチルL)、過安息香酸t−ブチル(日油社製パーブチルZ)などを例示することができる。これらの熱重合開始剤は単独でも、複数混合して用いてもよい。
熱重合開始剤は、ウレタンアクリレート樹脂(a)とビニルエステル樹脂(b)との合計100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲で使用するのが好適である。熱重合開始剤が0.1〜5質量部の範囲であれば、透明複合シートが硬化不足となることもなく、多すぎて不経済となることもない。
硬化性透明樹脂組成物(A)及び(B)には、さらに熱重合開始剤の反応性を制御するために、重合禁止剤や促進剤を加えることができる。重合禁止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、p−ベンゾキノン、2−エチルアントラキノン、ジラウリルチオジプロピオネート、クペロンなどを例示することができる。
促進剤としては、遷移金属の塩、例えばナフテン酸コバルトなどを用いることができる。
また、硬化性透明樹脂組成物には、所望の透明性が得られる範囲内で、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを更に含有していてもよい。透明本体樹脂層の硬化性透明樹脂組成物(B)の粘度は100〜2000cPであることが好ましく、800〜1000cPであることがより好ましい。
硬化性透明樹脂組成物の粘度が低いと液垂れが発生し易くなる傾向があり、硬化性透明樹脂組成物の粘度が高いと丸孔の開口部への含浸が不良となって、形成される透明樹脂層内に気泡が発生し易くなる傾向がある。
また、紫外線吸収剤は、屋外での直射日光による二軸延伸フィルムを含む透明複合シートの劣化を防ぐのに有用である。かかる紫外線吸収剤の具体例としては、上記の硬化性透明樹脂組成物に溶解するものであれば特に限定されず、各種紫外線吸収剤を使用することができる。具体的には、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、トリアゾール系、ヒドロキシベンゾエート系、シアノアクリレート系などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤は複数を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、ウレタンアクリレート系化合物との相溶性の点で、ベンゾフェノン系またはトリアゾール系、具体的には、(2−ヒドロキシ−4−オクチロキシ−フェニル)−フェニル−メタノン、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−tert−オクチル−フェノール等の紫外線吸収剤が好ましい。
紫外線吸収剤の含有割合は、硬化性透明樹脂組成物100質量部に対して、通常0.1〜3質量部であることが好ましく、特に好ましくは1〜2質量部である。かかる紫外線吸収剤が少なすぎると耐光性が低下する傾向があり、多すぎると硬化性透明樹脂組成物を光硬化する場合には紫外線照射エネルギーを消費して硬化がし難くなる傾向がある。
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートにおいて、補強機能を担う透明な二軸延伸フィルムとして、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%のものが用いられる。
本発明に使用できる透明な二軸延伸フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製二軸延伸フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)製二軸延伸フィルムなどのポリエステル製二軸延伸フィルム、ポリプロピレン(PP)製二軸延伸フィルムが、透明性、パンチングによる丸孔加工性、機械物性、耐低温性、耐水性、経済性等の観点から好ましく、さらに耐熱性、等方性の観点からポリエステル製二軸延伸フィルムが特に好ましい。また、ポリエステル製二軸延伸フィルムにおいては、低温特性及び紫外線バリア性に優れ、機械的強度が高いという物性上の観点からPEN製二軸延伸フィルムが特に好ましい。
二軸延伸フィルムには、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開している。
かかる丸孔を60°又は45°の千鳥状に連続状に展開させるには、鋼板(ステンレス、鉄、アルミニウム等)にプレスでたくさんの孔を開けるパンチング処理の技術、設備を応用して穿孔すればよい。
丸孔の内径は、直径1〜2mmとすることが、後述する開口率及び基準列と隣列とが千鳥状に展開する上で重要である。
図3(A)は60°千鳥状の丸孔の配列の上面を示す説明図である。同図では、丸孔2は、内径がDで二軸延伸フィルム3の厚みを突き抜けた開口部21を有しており、基準列間の丸孔のピッチはP1、基準列に隣り合う隣列間の丸孔のピッチP2、丸孔間の二軸延伸フィルムの実在(ホネ)部の距離を基準列内についてB1、基準列と隣列間をB2とし、基準列と隣列の各丸孔2の隣り合う中心を結ぶ線の角度を60°とすると、ピッチは、P2=P1×cos30°、実在部の距離は、B1=B2となって、丸孔2が、方向性がない全て均等の間隔で配列される。したがって、60°千鳥状に丸孔が連続的に展開された二軸延伸フィルムでは、荷重が一点に集中することなく分散されるので、さらに、丸孔の内径及び開口率が所定の条件を満たすようにすれば、従来の補強用メッシュ状物と同様にコンクリート構造物の補修又は補強用透明樹脂シートの補強材として使用することができる。
図3(B)は、45°千鳥状の丸孔の配列の上面を示す説明図である。基準列と隣列の各丸孔2の隣り合う中心を結ぶ線の角度を45°とすると、ピッチは、P1=2×P2となり基準列と45°をなす方向の丸孔の密度が高く、60°の場合と比較して方向性があるが、45°千鳥状の丸孔の配列でも、従来の補強用メッシュ状物と同様にコンクリート構造物の補修又は補強用透明樹脂シートの補強材として使用することができることが確認された。
丸孔の内径は、直径1〜2mmであることを要し、直径が1mm未満では、丸孔部を充填するための硬化性透明樹脂組成物(B)が含浸され難く、気泡発生の原因となって、透明複合シートの光線透過率を低下させ、また打ち抜きのための金型作製のコストも上昇するので実用的でない。
直径が2mmを超えると、開口率が大きくなって、二軸延伸フィルムの補強材としての機能が低下する。
本発明に使用する二軸延伸フィルムにおける丸孔の開口率は、5〜30%であることを要する。開口率が5%未満では、付着強度及び押抜き試験の最大荷重が規定値を満足せず、30%を超えると押抜き試験の最大変位長さが小さく、かつ最大荷重も規定値に達しない。
60°千鳥の場合のピッチP1は、開口率X(%)と丸孔の直径Dに基づき、関係式
開口率X(%)=(D2/P12)×90.6 から求めることができる。
同様に45°千鳥のピッチP1は、開口率X(%)と丸孔の直径Dに基づき、関係式
開口率X(%)=(D2/P12)×157 から求めることができる。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。まず、本発明で使用した特性値の評価方法を下記に示す。
(1)二軸延伸フィルムの強伸度の測定
本発明の透明複合シートに用いる、丸孔が所定の直径及びピッチで45°又は60°の千鳥状に展開された二軸延伸フィルムについて、長手方向に沿って25mm幅のサンプルを用意し、JIS C2318−1997「引張強さ及び伸び率」に準じて25mm幅の強伸度を測定した。比較例6のPP/PE複合繊維によるメッシュ体についても、25mm幅のサンプルで同様に強伸度を測定した。
(2)コンクリート表面の視認性
コンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートとして施工した際に、その後のコンクリート表面のひび割れ等の経時観察が可能であるかを判定するため、後述の「はく落防止の押抜き試験方法」において、透明な接着剤を用いて上ぶた式U形側溝(ふた)に透明複合シートを貼り付け、接着剤を硬化した状態で、コンクリート表面の視認性を評価した。陰となる部分がなく、貼り付けた透明複合シートの全面においてコンクリートの表面を観察できる場合を「○」、ネットを構成する繊維等の陰でコンクリート表面の全面を観察できない場合を「×」とした。
(3)可視光線透過率
透明複合シートの可視光線透過率を日本分光(株)製の「紫外可視近赤外分光光度計V−670」を用い、可視光領域の波長で測定した。
(4)シート厚み
テクロック(株)製「シックネスゲージSM−528」を用いて、各サンプルについて3点測定して、その平均を求めた。
(5)付着強度
得られた透明複合シートについて、NEXCO(旧日本道路公団)規格、試験法425−2004:「はく落防止の耐久性能試験方法」の7.3「付着強さ試験」に準じて、コンクリートとの付着強度試験を行なった。エポキシ樹脂(日米レジン社製:XL−1902)を用い、塗布量600g/m2で透明複合シートをコンクリートに貼り付け、硬化養生させ、付着強度試験を行なった。
なお、NEXCO規格では、1.5N/mm2以上が合格とされている。
(6)押抜き試験
NEXCO(旧日本道路公団)規格、試験法424−2004:「はく落防止の押抜き試験方法」に準じて、コンクリート片剥落における押し抜き性能の評価としての押抜き試験を行った。
なお、NEXCO規格では、最大変位10mm以上、最大荷重1.5kN以上を合格としている。
実施例1
厚さ50μmのPET製二軸延伸フィルム(東レ(株)製:ルミラー50S10)に、直径1.3mm、ピッチ間隔3.5mmで45°千鳥状に連続状に丸孔が展開するパンチング孔加工を行ない、開口率が21.7%のパンチング処理PET製二軸延伸フィルムを得た。
非通気性層形成用の硬化性透明樹脂組成物(A)として、エポキシアクリレート8.0質量%、ウレタンアクリレート72質量%、及びメタクリル酸メチル20質量%の硬化性透明樹脂(日本ユピカ(株)製、製品名:ネオポール8136)100質量部(粘度1,000cP、25℃)に有機過酸化物(日油(株)製、商品名:パーオクタO−70S)を2質量部添加して、透明樹脂からなる非通気性層を形成するための硬化性透明樹脂組成物(A)を調製した。
この硬化性透明樹脂組成物(A)を、キャリアフィルムとしてのPETフィルム(厚さ25μm)上に塗付し、塗布厚み50μmに調製した。
次いで、加熱炉内にて100℃で10分間加熱によりモノマー(メタクリル酸メチル)を重合させ、非通気性層を形成した。当該非通気性層上に、前述のパンチング処理PET製二軸延伸フィルムと、透明硬化性樹脂組成物(B)(非通気性層を形成するための硬化性透明樹脂組成物(A)と同一組成)を供給し、カバーフィルム(PETフィルム(厚さ25μm))の間に挟みこみ、スクイズローラを用いて厚み300μmに調整した。次いで、加熱炉内にて100℃で10分間加熱によりモノマーを重合させパンチング処理済みの二軸延伸フィルムを積層した透明複合シートを得た。
得られた透明複合シートは、非通気性層の厚みが50μmで、その上にパンチング処理二軸延伸フィルムと透明本体樹脂層が一体に積層され、かつ、パンチングによる丸孔開口部にも透明硬化性樹脂組成物(B)が含浸・硬化しており、透明本体樹脂層の厚みが150μmで、全体厚みが250μm、単位質量270g/m2(キャリアフィルム及びカバーフィルムを除く)であった。
また、得られたシートの評価物性は、可視光線透過率が88%、コンクリートとの付着強度が3.73N/mm2、押抜き試験の最大荷重変位が12mm、最大荷重が2.23kNであり、10mm以上及び1.5kN以上の規格値を満足し、コンクリート構造物の補修又は補強用シートの機能を備えていた。本実施例の透明複合シートの押抜き試験の荷重−変位曲線を図4に示す。
以上、透明複合シートの構成及び評価結果をまとめて表1に示す。
実施例2
実施例1において、透明本体樹脂層の単位面積質量を160g/m2から120g/m2として、シート厚みを220μmとした他は、実施例1と同様にして透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例3
実施例1において、二軸延伸PET製フィルムのパンチングパターンを、丸孔直径2mm、ピッチ3.5mmの60°千鳥状に変更し、開口率を29.6%とした他は実施例1と同様にして透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例4
実施例2において、二軸延伸PET製フィルムの厚みを125μmとした他は、実施例2と同様にして透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例5
実施例4において厚み125μmの二軸延伸PET製フィルムに替えて、ポリプロピレン(PP)製二軸延伸フィルム(東レ(株)製、トレファン2500H、厚み60μm)を2枚貼り合せて125μmとしたものを使用し、実施例4(実施例1にも同じ。)と同一のパンチングパターンを施した他は、実施例4と同様にして透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例6
実施例1において、PETフィルム(厚み50μm、開口率21.7%)を2枚用い、シート厚みを250μmから300μmとして、非通気層/PETフィルム層/透明本体樹脂層/PETフィルム層/透明本体樹脂層の5層の構成の透明複合シートとした他は、実施例1と同様に得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例7
厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)二軸延伸フィルム〔帝人デュポンフィルム(株)製:テオネックス〕に直径1.3mm、ピッチ間隔3.5mmで45°千鳥状に連続状に丸孔が展開するパンチング孔加工を行ない、開口率が21.7%のパンチング処理PEN製二軸延伸フィルムを得た。実施例1においてPETフィルムに替えて得られたPENフィルムを用いた他は、実施例1と同様にして透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
実施例8
実施例6において、PETフィルムの替わりにPENフィルム(厚み50μm、開口率21.7%)を2枚用い、非通気層/PENフィルム層/透明本体樹脂層/PENフィルム層/透明本体樹脂層の5層の構成の透明複合シートを実施例6と同様に得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表1に示す。
Figure 0006082666
比較例1及び比較例5
パンチング処理二軸延伸PETフィルムとして厚み23μm(東レ(株)製、ルミラー25S10)を用いた比較例1、厚み350μm(東レ(株)製、ルミラー350S10)を用いた比較例5において、その他は実施例1と同様にして、透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。表2に示すように、PETフィルムの厚みが薄い比較例1では押抜き試験が不合格であり、厚みの厚い比較例5では付着強度が1.5N以上の基準に未達であった。
比較例2
実施例3において、丸孔の直径を3mm、ピッチ5mmの60°千鳥状で、開口率が32.6%のパンチング処理二軸延伸PETフィルムに置き換えた他は、実施例3と同様にして、透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。表2に示すように、PETフィルムの開口率が32.6%と高いため、押抜き試験が不合格であった。
比較例3
実施例1において、非通気性層を形成することなく、キャリアフィルム上に直接パンチング処理二軸延伸PETフィルム及び硬化性樹脂組成物(B)を供給しカバーフィルムで挟み込んだ他は、実施例1と同様にして、透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。表2に示すように、付着強度、押抜き試験が不合格であった。
比較例4
実施例1において、非通気性層を形成した後、その上面にパンチング処理二軸延伸PETフィルムを載置し、硬化性透明樹脂組成物部(B)を供給することなく、カバーフィルムで挟み込んで加熱炉内にて100℃で10分間加熱して、パンチング処理二軸延伸フィルムを積層した透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。表2に示すように、付着強度、押抜き試験がいずれも劣り、不合格であった。
比較例6
実施例1において、パンチング処理二軸延伸フィルムに換えて、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)からなる芯鞘複合繊維束の鞘部を融合一体化した海島繊維を三軸に積層した、厚み300μm、単位面積質量75g/m2、開口率54%のメッシュ体(宇部日東化成(株)製、シムメッシュ)の両面にコロナ放電処理を施したものを使用した他は、実施例1と同様にして繊維強化樹脂シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。
表2に示すように、可視光線透過率が10〜70%であり、メッシュ体を構成する繊維の陰の部分のコンクリート表面を視認することができないので、付着強度や押抜き試験には優れているが、コンクリート表面の細かなひびを観察する必要がある部位の補強又は補修用シートとしては不向きであることが確認された。
比較例7
実施例1において、丸孔の直径を0.5mm、ピッチ3.5mmの60°千鳥状で開口率が1.8%のパンチング処理二軸延伸PETフィルムに置き換えた他は、実施例1と同様にして、透明複合シートを得、性能評価を行った。評価結果をまとめて表2に示す。表2に示すように、PETフィルムの開口率が1.8%と小さいため、付着強度及び押抜き試験の最大荷重が劣り、補強用シートとしては不合格であった。
Figure 0006082666
本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%である透明な二軸延伸フィルムを補強材とし、該二軸延伸フィルムと軟質な硬化性透明樹脂組成物の硬化物との複合シートであり、かつ、可視光線透過率が80%以上なので、コンクリート構造物表面の視認が可能な透明複合シートとして利用できる。
また、本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)を硬化してなる非通気性層を有しているので、補強シート等を工事対象箇所に貼付するに際して、コンクリート表面に塗布された未硬化状の接着剤が、透明複合シートの透明本体樹脂層に不可避的に存在する気泡等に起因する貫通孔から滴下することが無いので、施工時に表面を養生シートで覆い、硬化後に補強シート表面に垂れ下がった接着剤を除去する等の付随的な作業が不要であり、非常に簡易化された施工が可能な透明複合シートとして、コンクリート構造物の補修又は補強に利用でできる。
さらに、本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートは、ピンホールや気泡による欠陥部分がないので、コンクリート面を外気から遮断して、塩化物イオン等によるコンクリート表面の劣化を防止できる複合透明シートとして利用できる。
1 非通気性層
2 丸孔
2′ 丸孔に充填された透明硬化性樹脂の硬化物
3 二軸延伸フィルム
4 透明本体樹脂層
10 透明複合シート
21 丸孔の開口部
31 二軸延伸フィルムの実在部
D 丸孔の直径
B1 基準列内の孔部間の実在(ホネ)部
B2 基準列と隣列の孔部間の実在(ホネ)部
P1 基準列(長手方向)内の丸孔の間隔(ピッチ)
P2 隣列との間隔

Claims (3)

  1. 可視光線透過率が80%以上のコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シートであって、該透明複合シートは、(i)軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)を硬化してなる非通気性層と、少なくとも1層の(ii)一方の面が該非通気性層に積層され、内径1〜2mmの丸孔が60°又は45°の千鳥状に連続状に展開し、丸孔の開口率が5〜30%である透明な二軸延伸フィルム、及び(iii)該二軸延伸フィルムの丸孔部を充填し、かつ二軸延伸フィルムの他方の面を覆うように、非通気性層と相溶性を有する軟質な硬化性透明樹脂組成物(B)を硬化してなる透明本体樹脂層、を備えることを特徴とするコンクリート構造物の補修又は補強用透明複合シート。
  2. 前記軟質な硬化性透明樹脂組成物(A)及び(B)が、共にウレタンアクリレート樹脂を主成分としてなる、請求項1に記載の透明複合シート。
  3. 二軸延伸フィルムがフィルム厚み50〜250μmのポリエステル製二軸延伸フィルムである請求項1又は2に記載の透明複合シート。
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