JP6489931B2 - コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム - Google Patents
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Description
以下、硬化性樹脂組成物[i]について説明する。
かかる硬化性樹脂組成物[i]としては、好ましくは、不飽和基を有する化合物を含有してなる硬化性樹脂組成物である。不飽和基を有する化合物としては、例えば、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマーや反応性モノマーが挙げられる。
本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]は、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(D)を含有してなるものである。
以下、各成分について説明する。
本発明におけるバインダーポリマー(A)は、未硬化膜の適度な柔軟性および表面の粘着性抑制、硬化膜の耐久性向上および硬度の調整の目的で用いるものであり、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。中でも、硬化膜の耐久性および硬度の調整を容易にするという点で(メタ)アクリル系樹脂(a1)が好ましく、本発明ではバインダーポリマー(A)として(メタ)アクリル系樹脂(a1)が用いられる。
以下、(メタ)アクリル系樹脂(a1)について更に具体的に説明する。
なお、(メタ)アクリルはアクリルまたはメタクリルを、(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを表す。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂(a1)とは、(メタ)アクリル系モノマーを含有するモノマー成分を重合してなるものである。(メタ)アクリル系樹脂(a1)は、1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の脂肪族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、(メタ)アクリル酸フェニルエステル等の芳香族系(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが挙げられる。
その他の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
上記アミド基含有モノマーおよび上記アミノ基含有モノマーを除くその他の窒素含有モノマーとしては、例えば、アクリロイルモルフォリン等が挙げられる。
1/Tg=w1/Tg1+w2/Tg2+・・・・・・・・・・・・Wk/Tgk
但し、Tgは共重合体のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,・・・・・・・・Tgkは各単量体成分の単独共重合体のTgであり、w1,w2,・・・・・・・・・・wkは各単量体成分のモル分率を表し、w1+w2+・・・・・・・・・wk=1である。
かかる重量平均分子量が小さすぎると、未硬化の硬化性樹脂組成物が軟弱になるとともに、必要以上に粘着性が高くなり、ハンドリング性が低下する傾向があり、さらに硬化後の硬化性樹脂組成物が脆くなってしまう傾向がある。また、かかる重量平均分子量が大きすぎると、塗工前の硬化性樹脂組成物の粘度が高くなりすぎたり、あるいは濃度を高めることが困難になるなどの塗工性の低下を招く傾向があり、さらには硬化前の硬化性樹脂組成物の柔軟性が失われてロール状に巻き取ることが困難になるなどの傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters2695(本体)」と「Waters2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定することができる。
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。中でも、硬化後の膜に適度な弾性を付与するという点でウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が好ましい。
以下、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)について更に具体的に説明する。
本発明で用いるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)としては、水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)、多価イソシアネート系化合物(b3)及びポリオール系化合物(b4)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)が挙げられる。
なお、粘度はE型粘度計により測定することができる。
水酸基含有(メタ)アクリレート系化合物(b2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、脂肪酸変性−グリシジル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイル−オキシプロピルメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
多価イソシアネート系化合物(b3)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族系ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環式系ポリイソシアネート、或いはこれらポリイソシアネートの3量体化合物又は多量体化合物、アロファネート型ポリイソシアネート、ビュレット型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネート(例えば、日本ポリウレタン工業(株)製の「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」「アクアネート210」等)等が挙げられる。
ポリオール系化合物(b4)としては、例えば、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、(メタ)アクリル系ポリオール、ポリシロキサン系ポリオール等の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグルコール等のアルキレングリコール等も挙げられる。
ポリブタジエン系ポリオールは、その構造中に含まれるエチレン性不飽和基の全部または一部が水素化された水添化ポリブタジエンポリオールであってもよい。
本発明における不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)としては、例えば、単官能モノマー、2官能モノマー、3官能以上のモノマー、その他のエチレン性不飽和モノマー等を用いることができる。
反応性モノマー(C)の含有量が少なすぎると、貼合前の被覆層の柔軟性が損なわれて加工性が著しく損なわれる傾向があり、多すぎると被覆層が硬くなりすぎて耐衝撃性が低下し脆くなる傾向がある。
本発明における重合開始剤(D)としては、例えば、熱重合開始剤及び光重合開始剤が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル、ジメチル−2,2′−アゾビスイソオブチレート、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1,1′−アゾビス(1−アセトキシ1−フェニルエタン)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾビス系化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、エチルメチルケトンペルオキシド、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
中でも上記のアゾビス系化合物が好ましく用いられ、更に10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物が特に好ましい。10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピネート)等が挙げられる。
重合開始剤(D)の含有量が少なすぎると、被覆層が硬化不足となり十分な弾性又は硬度が得られず、膜が脆くなってしまい機能が果たせなくなる傾向があり、含有量が多すぎると、反応前の膜の保管時に重合開始剤(D)がブリードアウトして、被覆層の中で結晶が析出したりする傾向がある。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I](以下、硬化性樹脂組成物層[I]ともいう。)と、支持フィルム[II]とが積層された構造を有する。図1は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを模式的に示す断面図であり、図中の(1)は硬化性樹脂組成物層[I]、(2)は支持フィルム[II]、(10)は本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムである。本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムには、硬化性樹脂組成物層[I]の支持フィルム[II]に対して反対側に、保護フィルム[III](不図示)が積層されていてもよい。
中でも、フィルム形成時および被膜硬化時の耐熱性の点で、PETフィルム、あるいは樹脂層をその表面に積層した紙を用いることが特に好ましい。
支持フィルム[II]の厚みは、5μm以上が好ましく、特には10〜100μm、更には20〜50μmが好ましい。
保護フィルム[III]の厚みは、5μm以上が好ましく、特には10〜100μm、更には15〜50μmが好ましい。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムにおいて、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させた被覆層に意匠性を付与する場合には、硬化性樹脂組成物層[I]の厚みは、150μm以上が好ましく、特には150〜500μm、更には250〜300μmが好ましい。
かかる硬化性樹脂組成物層[I]の厚みが薄すぎると、コンクリート表面に機械的に保護するのに適当な厚みを得るために積層する枚数が多くなりすぎて積層工程が煩雑となったり、コストが高くなりすぎたりする傾向があり、あるいは保護するのに適当な厚みが得られずコンクリート表面の破損の抑制が困難となる傾向がある。また、かかる厚みが厚すぎると、被覆層がコンクリート表面から剥離しやすくなる傾向があり、コストが高くなりすぎる傾向がある。
軽量気泡コンクリート(ALC)ボードは、その製造会社あるいはロット毎にその表面性は異なるが、そのままの表面に対して被覆しても良いし、サンドペーパー等を用いて表面を研磨し、内部発泡部分を露出させてから被覆することも可能である。
軽量コンクリート(ALC)ボードに、そのまま本発明の積層フィルムを乗せるだけで積層しても良く、或いは本発明の積層フィルムを貼合することより積層しても良い。特に、予め軽量気泡コンクリート(ALC)ボードを予熱又は乾燥してから本発明の積層フィルムを貼合することが好ましい。
貼合に際しては、例えば、表面温度を70℃以上に加熱したロール(以下、熱ロールともいう。)で、軽量気泡コンクリート(ALC)ボード上に本発明の積層フィルムを押し当てながら貼り合わせることができる。なお、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムが保護フィルム[III]を有する場合は、保護フィルム[III]を剥離しながら又は剥離した後、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボードに接するように貼り合わせる。
熱ロールの加重線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード表面に充分浸透し難くなり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの加重線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボードに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
なお、貼合に際して用いられるロールは上記の熱ロールに限らず、加熱されていない(即ち、雰囲気温度の)ロールを用いることもできる。
例えば、上記で貼合した第一のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの支持フィルム[II]を剥離して露出した第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]上に、同様にして第二のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを貼合して、第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[I−2]とを積層してもよい。
また、あらかじめ第一の硬化性樹脂組成物層[I−1]と第二の硬化性樹脂組成物層[I−2]とをラミネート貼合し、厚膜の硬化性樹脂組成物層を形成した後、上記と同様にして、軽量気泡コンクリート(ALC)ボード表面に貼合することも可能である。
本発明のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを用いてコンクリートの表面に被覆層を形成するには、上記の積層(貼合)を行なうことにより、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリートに積層して、硬化性樹脂組成物層[I]をコンクリート表面と接触させたうえで、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることによって行なうことができる。硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法としては、硬化性樹脂組成物層[I]が重合開始剤(D)として熱重合開始剤を含有する場合には、例えば、下記の第1、第2、第3及び第4の方法が挙げられる。
第1の方法は、熱ロールでコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法である。熱ロールは、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
熱ロールとしては、例えば、ロールの数が1本の単独ロール機、ロール軸に対して交差する方向に複数のロールが配置された連続ロール機等が用いられる。連続ロール機における複数のロールは、積層フィルムに与える熱量が次第に大きくなるように、表面温度を次第に大きく設定して配置することが好ましい。尚、ロールを構成する材料としては、例えば、金属またはゴムが挙げられ、温度調整が容易である点から金属が好ましい。また、連続ロール機におけるロールの数は、通常、2〜10本であり、好ましくは3〜8本、特に好ましくは4〜6本である。
熱ロールの線圧が小さすぎたり、熱ロールの移動速度が高すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱ロールの線圧が大きすぎたり、熱ロールの移動速度が低すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
第2の方法は、熱板でコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧し、硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法である。熱板は、好ましくは積層フィルム上に配置し、積層フィルムを介してコンクリート表面を押圧する。
熱板の圧力が小さすぎたり、押圧時間が短すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]の硬化が不十分となり、硬化後の硬化性樹脂組成物層[I]の剥離の原因となる傾向がある。また、熱板の圧力が大きすぎたり、押圧時間が長すぎたりすると、硬化性樹脂組成物層[I]が軽量気泡コンクリート(ALC)ボード等のコンクリートに完全に浸透してしまって表面に被覆するための樹脂分が残らなくなる傾向がある。
第3の方法は、高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させることによって、コンクリート表面に被覆層を形成する方法である。雰囲気温度は、70℃以上、特に好ましくは100℃〜180℃、さらに好ましくは130℃〜160℃である。高温の雰囲気中にて硬化性樹脂組成物層[I]を硬化させる方法としては、例えば、上記雰囲気温度に調整された恒温槽内にコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを放置する方法、上記雰囲気温度に調整された雰囲気炉内でコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを移動させる方法が挙げられる。
この第3の方法は、上記の第1の方法又は第2の方法と組み合わせてもよい。
また、第1の方法で用いる熱ロールや第2の方法で用いる熱板を、表面温度が上記温度に満たないロール、エンボスロール、平板、エンボス板に変更して、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムをコンクリート表面に押圧しながら、又は押圧した後に、この第3の方法を行なってもよい。
第4の方法は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]をコンクリート表面と接触させた後、単層フィルム又は複層フィルムからなる袋に入れ、減圧密封した包装体の雰囲気温度を90℃以上にすることによって、コンクリート表面に被覆層を形成する方法である。
コンクリートとコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムとの積層体を入れる袋は、単層フィルム又は複層フィルムからなる袋である。
単層フィルム又は複層フィルムを構成するフィルムとしては、熱可塑性樹脂フィルムを用いることができ、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリウレタンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリアクリロニトリル系フィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム等が挙げられる。
前記共重合体のうちアクリル酸やメタクリル酸との共重合体は、ナトリウム、亜鉛、アルミニウムなどで架橋されていても良いし、また酢酸ビニルとの共重合体は、酢酸ビニル成分の一部または全てがケン化されていても良い。またポリエチレンは、無水マレイン酸などのカルボン酸でグラフト変性されていても良い。
ポリオレフィン系フィルムの中でも、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、フッ素系フィルムが好ましい。
かかる酸成分としては、例えば、テレフタル酸、シュウ酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオキシカルボン酸などが挙げられる。
かかるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコールが挙げられる。
蒸着層に用いられる金属又は金属酸化物としては、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、コバルト、クロム、スズなどの金属又は金属酸化物を用いることができる。それらのなかでも、アルミニウム、金、銀、スズが好ましく用いられ、特にアルミニウムが、コストの面から好ましく用いられる。かかる蒸着層の厚みは、通常50〜1000Å、特には200〜1000Åが好ましい。金属又は金属酸化物の蒸着方法としては、例えば、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法、高周波誘導加熱蒸着法、電子ビーム加熱蒸着法などの一般的な真空蒸着法を用いることができる。
接着剤層における接着剤としては、例えば、有機チタン化合物、イソシアネート化合物、ポリエステル系化合物等が挙げられる。
なお、平板やエンボス板等を、袋に該積層体を入れた包装体の積層フィルム側に乗せて、下記の熱処理や活性エネルギー線照射を行なっても良い。
このように包装体の雰囲気を高温にすることによって、熱重合開始剤を含有する硬化性樹脂組成物層[I]が熱硬化反応を起こし、所望の硬化被覆層となる。
硬化性樹脂組成物層[I]が光重合開始剤を含有する場合は、活性エネルギー線をコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの硬化性樹脂組成物層[I]に照射する。尚、活性エネルギー線は、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルムの支持フィルム[II]側から照射してもよく、支持フィルム[II]上の平板やエンボス板を通して照射してもよく、さらに支持フィルム[II]を剥離した後に硬化性樹脂組成物層[I]に直接照射してもよい。
かかる活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極ランプ、LEDランプ等を用いて、100〜3000mJ/cm2程度を照射する方法が挙げられる。
紫外線照射後は、必要に応じて、加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
軽量気泡コンクリート(ALC)ボード上に貼合された後、硬化反応を施したコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムは、その荷重等により、ボードの端面で樹脂がはみ出すなどして不要部分が残存する場合があり、この不要部分を切断あるいは切削等で除去しても良い。
さらに、端面の一部にコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムが欠落した部分や、加工の際に敷設しきれなかった部分に、本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]と同じあるいは類似の樹脂組成物、或いは本発明で用いる硬化性樹脂組成物[i]を構成するバインダーポリマー(A)又はそのバインダーポリマー(A)と類似の樹脂を塗布等によって補っても良い。
尚、例中「%」および「部」とあるのは重量基準を意味する。
各成分として、以下のものを用意した。
(A1):ポリメチルメタクリレート(ガラス転移温度:105℃)(三菱レイヨン社製「ダイヤナールBR−83」)
反応性オリゴマー(B1)として以下のものを調製した。
(B1):温度計、攪拌機、水冷コンデンサー、窒素ガス吹き込み口を備えた4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート16.1g(0.07モル)、2官能ポリエステルポリオール(水酸基価54mgKOH/g)75.2g(0.04モル)、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.02g、反応触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを仕込み、60℃で3時間反応させ、2−ヒドロキシエチルアクリレート8.6g(0.07モル)を仕込み、60℃で3時間反応させ、残存イソシアネート基が0.3%となった時点で反応を終了し、2官能ウレタンアクリレート(B1)(重量平均分子量10,000、60℃における粘度15,000mPa・s)を得た。
(C1):メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(新中村化学工業社製「M−90G」)
(C2):ペンタエリスリトールとアクリル酸の縮合物(大阪有機化学工業社製「ビスコート300」、3官能以上のモノマーに相当する。)
(D1):2,2′−アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬社製「V−60」)
(D2):1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル(和光純薬社製「V−40」)
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で40:60になるように混合した後、更に、反応性モノマー(C1)を、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)の不揮発分合計100部に対して20部となるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、(C1)の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D1)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−1]溶液を得た。
この硬化性樹脂組成物[i−1]溶液を厚さ25μmのポリエステルフィルム[II]上にギャップ幅0.5mmにセットしたコンマコーターで連続的に流延して、これをさらに連続的に70℃で12分間と90℃で6分間乾燥することで、厚さ220μmの硬化性樹脂組成物層[I−1]を形成し、コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)(以下、単に積層フィルムともいう。)を得た。
即ち、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))(P)の外壁側となる表面に、上記のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)の硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、これを150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートした(1回目ラミネート)。
その後、この積層フィルム(IV−1)からポリエステルフィルム[II]を剥離して、その硬化性樹脂組成物層[I−1]の上に、更に、上記と同様にして製造した別のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルムを硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、これを先と同様に、150℃に加熱したゴムロールで線圧2kg/cmで押しつけながら0. 25m/分の速度でラミネートして(2回目ラミネート)、未硬化のパネル積層体を得た。
2回のラミネートで得られたパネル積層体の面積と同じ面積であって、かつ表面が平滑な鉄板の上に、かかるパネル積層体を積層フィルムが積層された面を下にして載置し、この状態で130℃に熱した恒温槽内に入れ1時間放置することで硬化性樹脂組成物層[I−1]を硬化させて、コンクリートパネル(P)の表面に被覆層が形成された評価用のパネル積層体〔α〕を得た。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
実施例1で得られたコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)を用いて、下記のとおり、評価用のパネル積層体〔β〕を得た。
即ち、80℃、24時間乾燥させた後、室温まで冷却したコンクリートパネル(旭化成建材社製「ヘーベルパワーボードフラットパネル」(厚さ37mm))(P)の外壁側となる表面に、上記のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)の硬化性樹脂組成物層[I−1]面側が重なるように積層し、さらにコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)のポリエステルフィルム[II]の上に、厚さ10mmの平滑なアルミ板を積層して積層体を得た。この積層体を、アルミホイルとポリエチレンフィルムとを積層ラミネートしてなる減圧包装袋の内部に挿入し、この減圧包装袋を真空包装機にて600Paまで減圧してから封止(封入)し、これを常圧に戻すことで、先のコンクリートパネル(P)とコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム(IV−1)とアルミ板とを密着させた。
また、この硬化膜面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で37:63になるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D1)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−2]溶液を得た。
また、この硬化膜(被覆層)面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
バインダーポリマー(A1)を酢酸エチルで40%に希釈した樹脂溶液と、反応性オリゴマー(B1)を2−ブタノンで70%に希釈したオリゴマー溶液とを、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)が不揮発分の重量比で40:60になるように混合した後、更に、反応性モノマー(C2)を、バインダーポリマー(A1)と反応性オリゴマー(B1)の不揮発分合計100部に対して12部となるように混合した。
次いで、(A1)、(B1)、(C2)の混合物の不揮発分100部に対して2部となるように、熱重合開始剤(D2)を混合し、不揮発分濃度が56%となる硬化性樹脂組成物[i−3]溶液を得た。
また、この硬化膜(被覆層)面にカッターナイフで直線的な切り傷2本を十文字に入れて、この切り傷の交差部を中心に覆うように市販のガムテープを貼合して、重さ5kgのロールを10往復させて完全に貼合した。このガムテープを端部から10m/分の定速で剥離したところ、該切り傷部分に硬化膜(被覆層)の剥がれは認められなかった。
2:支持フィルム[II]
3:コンクリート
3a:コンクリート表面
4:被覆層
5:コンクリート製建材
10:コンクリート表面被覆層形成用積層フィルム
Claims (6)
- 硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]と、支持フィルム[II]とが積層されてなり、
硬化性樹脂組成物[i]が、バインダーポリマー(A)、不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)、不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)及び重合開始剤(D)を含有してなる硬化性樹脂組成物であり、
バインダーポリマー(A)が、(メタ)アクリル系樹脂(a1)であることを特徴とするコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。 - 不飽和基を1個以上有する反応性オリゴマー(B)が、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(b1)であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
- 不飽和基を1個以上有する反応性モノマー(C)が、多官能(メタ)アクリレート系化合物(c1)であることを特徴とする請求項1または2記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
- 重合開始剤(D)が、10時間半減温度が50℃以上のアゾビス系化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
- 硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]の厚みが、80μm以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
- 更に、硬化性樹脂組成物[i]からなる層[I]の支持フィルム[II]に対して反対側に保護フィルム[III]が積層されてなることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のコンクリート表面被覆層形成用積層フィルム。
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