JP6893110B2 - コンクリート構造物の剥落防止構造 - Google Patents

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Description

本発明は、作業工程を低減し施工時間を短縮して安価かつ容易に施工できるとともに、施工後はコンクリート構造物の劣化の進行状況を明瞭に観察でき、またコンクリートの剥落を容易に視認でき、コンクリート構造物の安全を確保できるようにした、コンクリート構造物の剥落防止構造に関する。
例えば高速道路のコンクリート構造物は、完成後、数十年経過するとコンクリートの中性化や疲労、塩害、初期欠陥等によって劣化状況が進行し、表面のコンクリート片が剥落し落下する惧れがある。このため、従来よりコンクリート構造物の剥落防止について、種々の対策と提案がされている。
例えば、既設のコンクリート構造物の表面にポリウレタン樹脂を溶剤に溶かして塗布し、これを前記構造物中に含浸させて固化し、その表面に不透水含浸コ−ティング層を形成し、このコ−ティング層上にウレタン樹脂と疎水性樹脂の複合体からなる高粘性ゴム物質を塗布し、硬化せず常時粘性を持続する弾力のある不乾燥性粘着接着剤層を形成し、この粘着接着剤層上に遮水シート部材を接着して、コンクリート構造物を補修する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この補修方法は、コンクリート構造物の表面に種々のシート層を積層配置し、多くの工程と手間を要して施工に時間が掛かり、工費が嵩む等の問題があった。
また、他の剥落防護構造として、コンクリート躯体の要修復部表面に、修復部の表面形状に略対応するアルミニウムとポリエチレン樹脂との積層体よりなる保護パネルをアンカー止めし、この保護パネルとコンクリート躯体表面との間に固結材を充填固化するものがある(例えば、特許文献2参照)。
しかし、この防護構造は、修復部に応じて種々の形状と大きさの保護パネルの加工や製作を要する上に、固結材をムラなく充填する際、注入パイプや抜気パイプを使用する等して作業が煩雑かつ大掛かりになり、また施工に時間が掛かって工費が嵩むという問題があった。
ところで、この種の剥落防止構造は一般に不透明に構成されて施工されるが、施工完成後もコンクリート構造物は劣化が進行するため、その劣化進行状態を適時、目視観察でき、必要な措置を採れるようにして置くことが望ましい。
このような要請に応ずるものとして、例えばコンクリート構造物の表面を高圧洗浄またはケレンして汚れを除去する第1工程と、コンクリート構造物の表面に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗布し、この後、ガラス連続繊維シートを貼着する第2工程と、この繊維シート上から透明ポリウレタン樹脂を塗布してガラス繊維シートに含浸させ、これを乾燥させて固化し、透明または半透明の第1コ−ティング層を形成する第3工程を含む、コンクリート構造物表面の強化コ−ティング方法がある(例えば、特許文献3参照)。
しかし、この強化コ−ティング方法は、第2工程にハンドローラを用いて透明ポリウレタン樹脂をコンクリート構造物の表面に塗布し、また第3工程にハンドローラを用いて透明ポリウレタン樹脂をガラス繊維シート上に塗布するため、作業が煩雑で手間が掛かる上に、形成された強化コ−ティング層は、複数の透明ポリウレタン樹脂層やガラス繊維シートを積層配置しているため、全体の透明度が低下し、外部からコンクリートの素地を明瞭に視認することができなかった。
また、コンクリート表面の応急的な補修構造として、コンクリート表面の重損傷部に、コンクリート表面を透視可能な可撓性の網状体からなる防護シートを接着固定部材と共に接着し、また重損傷部の全周を局部補修材によって局部的に補強し、前記防護シートによってコンクリート表面から剥落したコンクリート片を受け止め、地上へ落下する事態を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献4参照)。
しかし、このコンクリート表面の補修構造は、防護シートをコンクリート表面から離間して配置しているため、防護シートの支持強度に不安があり、剥落したコンクリート塊の受け止めや地上への落下の不安を払拭できない上に、コンクリート表面の適所に局部補修材の突設を要して、施工が煩雑で手間が掛かり、しかも防護シートが細かな網目に覆われているため、コンクリート素地を明瞭に確認することができず、所期の目的を得られないばかりか、網目から前記隙間に空気が出入りするため、コンクリートの中性化や塩害を防止できない等の問題があった。
更に、コンクリート補強層の構造として、コンクリート表面にエポキシ系樹脂を塗布してプライマー層を形成し、このプライマー層上に可視光硬化型ビニルエステル樹脂を下塗りし、かつ可視光を照射して硬化させた全光線透過率30%以上の樹脂層を形成し、該樹脂層の下側に補強ネットを積層して固着し、該補強ネットの要所に透明な補強シートを積層したものがある(例えば、特許文献5参照)。
しかし、このコンクリート補強層の構造は、多部材を積層配置するため、多くの工程を要して作業が煩雑で手間が掛かり、またコンクリート表面の補強層が肉厚になり、光線の屈折率が増加する上に透明度が低下して、コンクリート表面を明瞭に目視観察することが難しいという問題があった。
特許第4237390号公報 特許第3615524号公報 特開2010−1707号公報 特許第4814355号公報 特許第4604261号公報
本発明はこのような問題を解決し、作業工程を低減し施工時間を短縮して安価かつ容易に施工できるとともに、施工後はコンクリート構造物の劣化の進行状況を明瞭に観察でき、またコンクリートの剥落を容易に視認でき、コンクリート構造物の安全を確保できるようにした、コンクリート構造物の剥落防止構造を提供することを目的とする。
請求項1の発明は、コンクリート構造物の表面に、薄厚の補強シートを固着したコンクリート構造物の剥落防止構造において、前記補強シートは複数の合成樹脂製フィルムを積層して一体化した透明なシート状に構成され、該補強シートは強靭なコアフィルムと、該コアフィルムの少なくとも一側に固着した接着し易い極薄の易接着層と、該易接着層に固着し所定の載荷時に一定以上変位して接着層から剥離可能な耐候性を備えた薄膜の耐候層と、からなり、補強シートを複合層の単一のシート状に構成し、この補強シートをコンクリート構造物の表面に、例えば一度接着固定することで施工可能にし、複数のシート層を用意し、これをいちいち接着固定する従来の煩雑を解消し、部品点数と作業工程を低減し施工時間を短縮して安価かつ容易に施工でき、施工後はコンクリート構造物の表面を被覆してコンクリート剥落塊の剥落を防止するとともに、コンクリート構造物の外部から雨水や汚染大気等の劣化因子の浸入を遮蔽して、コンクリート構造物を保護するようにしている。
また、透明な補強シートによってコンクリート構造物の表面を明瞭かつ容易に観察でき、しかも接着層から剥がれ易くなる性状を備えた耐候層によって、コンクリート構造物の劣化の進行状態を適時観察し得て、コンクリート構造物の安全性を確保し、適時必要な措置を採り得るようにしている。
請求項2の発明は、コンクリート構造物の下面に接着層を介して補強シートの耐候層を固着し、該耐候層の下面に易接着層を配置し、該易接着層の下面にコアフィルムを配置し、補強シートをコンパクトかつ安価に製作し、これを合理的かつ安価に施工し得るようにしている。
請求項3の発明は、一体化した補強シートの表層に配置した耐候層と接着層の接合強度を、剥離可能な所定強度に設定し、該耐候層における剥離を最先に形成可能にして、強靭なコアフィルムの代わりに耐候層によって剥離を形成可能にし、コンクリート剥落塊の剥落を補強シートの変状によって、いち早く視認可能にし、コンクリート構造物の異状や変状の監視を強化し、使用上の安全性を確保するようにしている。
請求項4の発明は、コンクリート剥落塊を支持可能な補強シートを下方へ突出変位可能に設け、コンクリート剥落塊が剥落し直下の補強シートに落下した際、補強シートを下方へ突出変位ないし湾曲変位させ、コンクリート剥落塊の剥落を視認可能にしている。
請求項5の発明は、剥落したコンクリート剥落塊を直下の補強シートの内側に保持可能にし、剥落したコンクリート剥落塊の落下を防止するとともに、コンクリート構造物の直下を移動する通行人等の安全を確保するようにしている。
請求項6の発明は、補強シートの下面を平滑な光沢面に形成し、コンクリート剥落塊が剥落し直下の補強シートに落下し、該補強シートが下方へ突出変位ないし湾曲変位した際、補強シートの下面の変状ないし凸状変位を光沢の変化で捕捉し、補強シートの透明と相俟ってコンクリート構造物の監視を強化し得るようにしている。
請求項7の発明は、コアフィルムの両面に易接着層を固着し、該易接着層の他側面に耐候層を固着し、該耐候層の一方をコンクリート構造物の表面に固着し、補強シートの表裏面を気にせず容易に使用し、簡便に施工し得るようにしている。
請求項8の発明は、コアフィルムの厚さを約100μm、耐候層の厚さを約60μm、易接着層の厚さを約0.5〜3μmに形成し、補強シートの厚さを200〜250μmに構成し、その薄厚化と軽量化および折り曲げ性を向上し、その取り扱いと施工の容易化を図るようにしている。
請求項9の発明は、補強シートを、切断かつ捲回可能に構成し、これを適宜寸法に裁断して捲回し、補強シートの取り扱いと施工を至便に行なえるようにしている。
請求項1の発明は、補強シートは複数の合成樹脂製フィルムを積層して一体化した透明なシート状に構成され、該補強シートは強靭なコアフィルムと、該コアフィルムの少なくとも一側に固着した接着し易い極薄の易接着層と、該易接着層に固着し所定の載荷時に一定以上変位して接着層から剥離可能な耐候性を備えた薄膜の耐候層と、からなるから、補強シートを複合層の単一のシート状に構成し、この補強シートをコンクリート構造物の表面に、例えば一度接着固定することで施工可能にし、複数のシート層を用意し、これをいちいち接着固定する従来の煩雑を解消し、部品点数と作業工程を低減し施工時間を短縮して安価かつ容易に施工することができる。
そして、施工後はコンクリート構造物の表面を被覆してコンクリート剥落塊の剥落を防止するとともに、コンクリート構造物の外部から雨水や汚染大気等の劣化因子の浸入を遮蔽して、コンクリート構造物を保護することができる。
また、透明な補強シートによってコンクリート構造物の表面を明瞭かつ容易に観察でき、しかも接着層から剥がれ易くなる性状を備えた耐候層によって、コンクリート構造物の劣化の進行状態を適時観察でき、コンクリート構造物の安全性を確保し、適時必要な措置を採ることができる。
請求項2の発明は、コンクリート構造物の下面に接着層を介して補強シートの耐候層を固着し、該耐候層の下面に易接着層を配置し、該易接着層の下面にコアフィルムを配置したから、補強シートをコンパクトかつ安価に製作でき、これを合理的かつ安価に施工することができる。
請求項3の発明は、一体化した補強シートの表層に配置した耐候層と接着層の接合強度を、剥離可能な所定強度に設定し、該耐候層における剥離を最先に形成可能にしたから、強靭なコアフィルムの代わりに耐候層によって剥離を形成可能にし、コンクリート剥落塊の剥落を補強シートの変状によって、いち早く視認可能にし、コンクリート構造物の異状や変状の監視を強化し、使用上の安全性を確保することができる。
請求項4の発明は、コンクリート剥落塊を支持可能な補強シートを下方へ突出変位可能に設けたから、コンクリート剥落塊が剥落し直下の補強シートに落下した際、補強シートを下方へ突出変位ないし湾曲変位させ、その変状によってコンクリート剥落塊の剥落を視認することができる。
請求項5の発明は、剥落したコンクリート剥落塊を直下の補強シートの内側に保持可能にしたから、剥落したコンクリート片の落下を防止し、コンクリート構造物の直下を移動する通行人等の安全を確保することができる。
請求項6の発明は、補強シートの下面を平滑な光沢面に形成したから、コンクリート剥落塊が剥落し直下の補強シートに落下し、該補強シートが下方へ突出変位ないし湾曲変位した際、補強シートの下面の変状ないし凸状変位を光沢の変化によって捕捉でき、補強シートの透明と相俟ってコンクリート構造物の監視を強化することができる。
請求項7の発明は、コアフィルムの両面に易接着層を固着し、該易接着層の他側面に耐候層を固着し、該耐候層の一方をコンクリート構造物の表面に固着したから、補強シートの表裏面を気にせず容易に使用し、簡便に施工することができる。
請求項8の発明は、前記コアフィルムの厚さを約100μm、耐候層の厚さを約60μm、易接着層の厚さを約0.5〜3μmに形成し、補強シートの厚さを約200〜250μmに構成したから、その薄厚化と軽量化および折り曲げ性を向上し、その取り扱いと施工の容易化を図ることができる。
請求項9の発明は、補強シートを、切断かつ捲回可能に構成したから、これを適宜寸法に裁断して捲回し、補強シートの取り扱いと施工を至便に行なえる効果がある。
本発明を適用した橋梁の断面図である。 図1の要部を拡大して示す断面図である。 本発明に適用した補強シートの要部を拡大して示す断面図である。 本発明を適用した橋梁におけるコンクリート塊の剥落状況を示す断面図で、前記コンクリート塊を補強シートで保持している。
以下、本発明を橋梁に適用した図示の実施形態について説明すると、図1乃至図4において1は橋梁で、そのコンクリート構造物であるスラブ2と橋桁3を備え、前記スラブ2上に舗装道路4が敷設され、その両側に高蘭5が立設されている。
前記スラブ2の要補修部である下部周面に、補修部材として補強シート6が取付けられている。
実施形態では前記スラブ2の下部周面に、エポキシ系接着剤からなる接着層7が設けられ、該接着層7に薄厚透明の補強シート6が接着されている。
前記補強シート6は、後述のコアフィルムを含む複数の合成樹脂フィルムを積層して透明に構成され、その肉厚を約200〜250μmに形成している。
前記補強シート6は、内部の中央に配置したコアフィルム8と、その両面に固着した同様な易接着層9,10と、易接着層9,10の外面に接着した耐候層11,12とを積層して構成され、この耐候層11,12の外面に、保護フィルムである約25μmの薄厚のカバ−フィルム(図示略)を配置し、これを例えば幅500mmに捲回して円筒状に形成して取り扱っている。
前記コアフィルム8は、フィルム状に薄くしても強靭で加工し易い合成樹脂、例えばPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)、PTMT(ポリテトラメチレンテレフタレート)で構成され、その肉厚を約100μmに形成している。
前記コアフィルム8は、例えばその両面に易接着層9,10の樹脂溶液を塗布し、この後易接着層9,10上に耐候層11,12を貼付け、または易接着層9,10の表面に耐候層11,12の樹脂溶液を含浸させて、コアフィルム8と易接着層9,10と耐候層11,12を一体のシート状に形成している。
前記易接着層9,10は接着し易い合成樹脂フィルムで構成され、その肉厚を約0.5〜3μmに形成していて、接着層7から剥がれやすい耐候層11,12をコアフィルム8に固着している。
そして、補強シート6に後述するコンクリートの剥落塊が落下した際、その負荷荷重によっていち早く接着層7から剥離し、補強シート6の変状ないし下方への突出変位を速やかに形成可能にして、コンクリート剥落塊13の剥落位置を特定可能にしている。
すなわち、前記コアフィルム8は、強靭で各層9,10,11,12を対称に配置した際、補強シート6の中心に位置し、板厚方向に荷重を受けた際の変位を生じ難いため、その直近に剥離強度ないし接合強度の最も低い耐候層11,12を配置して、接着層7との固着ないし付着切れを起こし易くし、剥落塊13の適当な荷重によって剥離させるようにして、コンクリートの剥落が生じた際の剥落箇所を視覚的に分かり易くさせている。
実施形態では、易接着層9,10の固着強度を約最大荷重1.5kN以上まで保持させて剥離を阻止し、その最大荷重の負荷時に垂直方向へ10.0mm以上変位可能にしている。
前記耐候層11,12は変形、変色、劣化等を起こし難い耐候性に優れる合成樹脂フィルムで構成され、その肉厚を約60μmに形成していて、その外面に前記カバーフィルム(図示略)を配置している。
この他、図中、13はスラブ2の下部周面から剥落したコンクリート剥落塊、14はその欠落孔である。
このように構成したコンクリート構造物の剥落防止構造は、スラブ2の要補修部である下部周面に補強シート6を接着して施工する。
前記補強シート6は、コアフィルム8の両側に複数の薄厚の樹脂フィルム9,10,11,12を積層して構成され、その薄厚ゆえに例えば500mm幅に裁断して捲回可能にされ、これを円筒状に構成して取り扱いを至便にしている。
前記補強シート6を使用してスラブ2の下部周面を補修する場合は、先ずスラブ2の下部周面の汚れや付着物、錆をブラシ、グラインダ等で除去し、必要に応じて高圧水を噴射して清掃する。
また、コンクリートに浮きがあったり、欠損部や露出・錆鉄筋部、ひび割れがある場合は、パテやモルタル等を用いて当該部を平滑に処理する。
このようにしてスラブ2の下部周面を下地処理した後、接着層7を構成するエポキシ系接着剤を計量・攪拌し、調製した接着剤を刷けやローラブラシを用いて下地処理面に塗布する。
一方、前記塗布作業と前後して、円筒状に捲回した補強シート5を塗布現場へ移動し、該補強シート5をスラブ2の塗布長さ相当に繰り出して裁断し、この裁断片を接着剤の塗布面に押し当てて貼付け、適宜脱泡して平滑に貼付ける。
この場合、補強シート6はコアフィルム8の両側に易接着層9,10と耐候層11,12を配置し、上下に対称に構成しているから、補強シート6の貼付け位置の正誤の問題を気にすることなく、容易かつ速やかに作業できる。
以後、貼付けた補強シート5の隣接位置に新たに接着剤7を塗布し、別途裁断した補強シート5を貼付けて、順次コンクリートの剥落防止を施工する。この状況は図2、3のようである。
このように本発明は、予め複数層に一体形成した単一の補強シート6を、施工面に貼付ければ良く、その作業は接着剤7の塗布と補強シート6の貼付け作業の二工程で足りる。
したがって、従来のように複数のシートを用意し、これをいちいち貼り重ね、また可視光線を照射して硬化する等の作業を要しないから、工程が頗る簡単で資材も少ないから、工期と工費を大幅に低減し得る。
ちなみに、本発明の工法と従来の工法を比較すると、従来の下地処理工は、街路規制と下地処理に2日、街路規制とプライマー塗布に1日掛かり、計3日掛かる。
一方、本発明の下地処理工は、街路規制と下地処理に2日掛かる。
このため、下地処理工の工費は、本発明が従来の略1/2に低減された。
また、従来の剥落防止工(前期)は、街路規制と含浸剤塗布、パテ状樹脂シート貼りと含浸剤塗布に5日掛かり、剥落防止工(後期)は、街路規制と上塗り塗布に1日掛かり、計6日掛かる。
一方、本発明の剥落防止工は、接着剤塗布と補強シート6の貼り付けに4日掛かる。このため、剥落防止工の工費は、本発明が従来の略2/3に低減された。
そして、下地処理工と剥落防止工の全工程では、従来では9日掛かり、本発明が6日掛かり、その総工費は、本発明が従来の略2/3に低減された。
こうしてスラブ2に貼付けた補強シート6は、薄厚で高い透明性を維持し、表面が光沢を有しているから、スラブ2のコンクリート素地を明瞭に視認でき、コンクリートの劣化の進行状態を明確に観察でき、しかも補強シート6の下面の凹凸を光沢によってコンクリート構造物の変状やコンクリート剥落塊13の有無を視認できるから、補強シート6の透明化と相俟って、コンクリート構造物の変状や剥落を精密かつ正確に視認し得る。
したがって、コンクリートの劣化の進行状態や異状に応じて、適時必要な措置を行なえ、スラブ2の下部周面の安全性を確保し得る。
一方、補強シート6の貼付けによるコンクリートの剥落防止施工後も、スラブ2のコンクリートは劣化が進行し、その一部が剥落する事態が生じ得る。
この場合、剥落したコンクリート剥落塊13は、当初は直下の接着層8と、該接着層8に接着した補強シート6によって支持され、補強シート6の表面、すなわち下面に特別の変状を生じない。
その後、前記劣化が進行し、接着層8がコンクリート剥落塊13の重量を支え切れずに破損すると、コンクリート剥落塊13が僅かにずれ落ち、これを補強シート6が支持する
前記コンクリート剥落塊13の重量と落下変位は、直下の補強シート6に局部的に作用し、これに補強シート6の張力が対抗してコンクリート剥落塊13を支持し、当初は補強シート6の変状を阻止する。
一方、前記コンクリート剥落塊13の重量と落下変位は、直下の補強シート6の耐候層11と易接着層9、およびコアフィルム8に作用し、これらがコンクリート剥落塊13を支持する。
その後、それらの下方変位が漸増し、かつそれらの固着力が経時的に低下するに伴い、先ず耐候層11が接着層7から剥離し、以降、補強シート6でコンクリート剥落塊13を支持する。
この場合の剥離時における易接着層9ないし補強シート6の最大荷重として、発明者は実験によって約1.9kNを計測している。
そして、前記耐候層11の剥離後、補強シート6が自身の張力に抗して下方へ押し曲げられて湾曲変位する。
このような補強シート6の突出変位ないし湾曲変位は、下面の光沢ないしその反射光によって容易に視認でき、当該部の変状ないし異状は下方からも容易に視認でき、コンクリート剥落塊13の剥落の事態を推測し得る。
発明者の実験では、補強シート6の垂直下方の最大変位δとして、約11.1mmを計測した。
こうして、補強シート6は最大変位δを形成後も一定時間、コンクリート剥落塊13を支持し、その落下を阻止する。
このように補強シート6は、コンクリート構造物2の表面を被覆してコンクリート剥落塊13の剥落を防止するとともに、コンクリート構造物2の外部から雨水や汚染大気等の劣化因子の侵入を遮蔽して、コンクリート構造物2を保護する。
そして、補強シート6はコアフィルム8の変位に先立ち、その直近に易接着層9,10を配置し、耐候層11を固着させて接着層7との付着切れないし剥離を起こし易くし、適当な荷重によって剥離させるようにして、コンクリート剥落塊13の剥落とその剥落箇所を視覚的に分かり易くし、事後の措置を速やかに行なえるようにしている。
なお、実施形態では、コアフィルム8の両側に易接着層9,10と耐候層11,12を形成しているが、片側に配置した場合であっても良く、そのようにすることで構成が簡単になり、補強シート6のコスト低減を図れる。
このように本発明は、作業工程を低減し施工時間を短縮して安価かつ容易に施工できるとともに、施工後はコンクリート構造物の劣化の進行状況を明瞭に観察でき、またコンクリートの剥落を容易に視認でき、コンクリート構造物の安全を確保できるようにしたから、コンクリート構造物の剥落防止構造に好適である。
2 コンクリート構造物
6 補強シート
8 コアフィルム
9,10 易接着層
11,12 耐候層
13 コンクリート剥落塊

Claims (9)

  1. コンクリート構造物の表面に、薄厚の補強シートを固着したコンクリート構造物の剥落防止構造において、前記補強シートは複数の合成樹脂製フィルムを積層して一体化した透明なシート状に構成され、該補強シートは強靭なコアフィルムと、該コアフィルムの少なくとも一側に固着した接着し易い極薄の易接着層と、該易接着層に固着し所定の載荷時に一定以上変位して接着層から剥離可能な耐候性を備えた薄膜の耐候層と、からなることを特徴とするコンクリート構造物の剥落防止構造。
  2. 前記コンクリート構造物の下面に接着層を介して前記耐候層を配置し、該耐候層の下面に易接着層を固着し、該易接着層の下面にコアフィルムを配置した請求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  3. 前記一体化した補強シートの表層に配置した耐候層と接着層の接合強度を、剥離可能な所定強度に設定し、該耐候層における剥離を最先に形成可能にした請求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  4. ンクリート剥落塊を支持可能な補強シートを下方へ突出変位可能に設けた請求項3記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  5. 剥落したコンクリート剥落塊を直下の補強シートの内側に保持可能にした請求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  6. 前記補強シートの下面を平滑な光沢面に形成した請求項4記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  7. 前記コアフィルムの両面に易接着層を固着し、該易接着層の他側面に耐候層を固着し、該耐候層の一方をコンクリート構造物の表面に固着した請 求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  8. 前記コアフィルムの厚さを約100μm、耐候層の厚さを約60μm、易接着層の厚さを約0.5〜3μmに形成し、補強シートの厚さを約200〜250μmに構成した請求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
  9. 前記補強シートを、切断かつ捲回可能に構成した請求項1記載のコンクリート構造物の剥落防止構造。
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