JP2010001707A - コンクリート構造物表面の強化コーティング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】コンクリート構造物の表面の汚れを除去し、コンクリート構造物表面に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けたのちにガラス連続繊維シートを貼着し、その上から透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けてガラス連続繊維シートに含侵させ、これを乾燥させることで固化させて透明又は半透明の第一コーティング層を形成する。
【選択図】図1
Description
ここでひび割れが発見され、これに対処する必要があると判断された場合には、構造物の補修が行われることとなる。また構造物の耐震性能を向上させるためにその補強を行が行われることもある。
そのためこのような従来の表面補修補強工法による補強層で覆われたコンクリート構造物では、素地の状態を外部から目視によって観察するために、表面に施された既存の補強層の一部を除去して素地を露出させるための点検用窓を形成していた。
なおコーティング層はコンクリートの中性化を起こす酸性物質の透過を防止することで、コンクリート構造物の中性化による劣化を防ぐ役割も有している。
以下、本発明のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法の好ましい実施例について具体的に説明する。
コーティングを施すコンクリート構造物は、まずその表面の汚れ(劣化した素地も含む)を、水を高圧で吹き付けることにより洗浄してやるか、ワイヤブラシで擦りケレンしてやることで除去して下地処理をする。
なお従来の強化コーティング方法では、洗浄等を行った後にプライマーが塗布されてプライマー層が素地上に形成されるのが一般的であるが、本発明ではプライマーの塗布は必要とされない。
次に下地処理をしたコンクリート構造物の表面にハンドローラなどを用いて透明ポリウレタン樹脂液を塗布してやる。塗布は樹脂液が垂れ落ちない程度にコンクリート構造物の表面に均一に行ってやる。このポリウレタン樹脂液にはLiquid Plastics Limited(LPL)社製の「デカサンクリアグレイズ」(英国登録商標)が用いられる。
この「デカサンクリアグレイズ」は、無色透明の脂肪族ポリウレタンコーティング剤である。従来のコーティング剤(塗料)は、塗膜の形成過程で、水分の影響を多大に受けて数々の問題が発生していたが、デカサンクリアグレイズは水分の影響を最小限に抑えて塗膜を形成することができる新しいタイプのコーティング剤(塗料)である。その塗膜は耐久性に富み、建物を効果的に水分の浸透から守り、セメント・コンクリートの中性化を防ぐことができる。また透明で、ウェット感のある美しい光沢性の仕上がりであり、黄ばむことなく、また、一液性で、化学反応を起こしにくい脂肪族であり、優れた接着力、加水分解が起こりにくい性質、ブラシまたはローラーにより簡単に塗布可能で、さらに通常はプライマーが不要で、熱や紫外線に強く年中施工可能であり、部分補修が簡単といった特徴も有している。
表1に「デカサンクリアグレイズ」に関するデータをまとめた。
ガラス連続繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼着したあとには、さらにその上にハンドローラを用いて透明ポリウレタン樹脂液を塗り付けることでガラス連続繊維シートに十分にこれを含侵させてやりこれを乾燥させる。この乾燥時間は1時間以上とする。なおポリウレタン樹脂液を含侵させる前のガラス連続繊維シートは白色をしているが、ポリウレタン樹脂液を含侵させることで透明(半透明)となり、これを乾燥させて固化させることで透明又は半透明の第一コーティング層が形成される。
最後にファイナルコーティングとしてさらに透明ポリウレタン樹脂溶液をその上に塗り付けてこれを乾燥・固化させることで施行が終了する。なおこのファイナルコーティングは形成したコーティング層の保護の観点から好ましいものではあるが必須のものではない。
したがって、コンクリート構造物に異常をきたした場合にも、これを外部から目視によって確認することができる。例えばコンクリート構造物表面にクラックが発生した場合には、コーティングに白い筋が浮き上がるため、容易に異常の発生を発見することができる。
すなわち本実施例の工法は第一〜第三工程で形成した第一コーティング層上にさらに第二コーティング層を形成するものである。
第三工程で乾燥・固化させたポリウレタン樹脂の表面にハンドローラなどを用いて透明ポリウレタン樹脂液を塗布し、このポリウレタン樹脂溶液が固化する前にその上にガラス連続繊維シートを貼着してやる。
ガラス連続繊維シートをコンクリート構造物の表面に貼着したあとには、さらにその上にハンドローラを用いて透明ポリウレタン樹脂液を塗り付けることでガラス連続繊維シートに十分にこれを含侵させてやりこれを乾燥・固化させることで透明又は半透明の第二コーティング層が形成される。
最後にさらに透明ポリウレタン樹脂溶液を第二コーティング層上に塗り付けてこれを乾燥・固化させることで施行が終了する。この工程は実施例1と同様であり、またファイナルコーティングは好ましいものではあるが必須のものではないことも実施例1と同様である。
最後に従来の表面補修補強工法(アラミド繊維シートをエポキシ樹脂により含浸接着させて補強する工法)と上記の実施例2で形成した強化コーティング(スケルトン耐震防災強化コーティング(2層))との強度を比較するために行った各種試験の試験結果を表3に示した。この結果からも接着試験を除き本発明による強化コーティングは、従来の表面補修補強工法によるコーティングとほぼ同様かそれ以上の強度を有していることがわかる。
なお使用されるアラミド繊維シートは繊維のコシが強く硬いため、コーナー部分・ハンチなどの細かい部分の施工が難しく、また液体樹脂を含浸しにくいといった不都合があったところ、本発明では柔らかくて施工性がよく、液体樹脂の含浸性もよいガラス連続繊維シートを採用することでかかる問題を解決し、かつ、透明な強化コーティング層を形成することができる。なおガラス連続繊維シートとポリウレタン樹脂との組み合わせによる強化コーティング方法(工法)では、従来工法のようなプライマー処理が必要ないためその工期を短縮することができる。
Claims (4)
- コンクリート構造物の表面を高圧洗浄又はケレンすることで汚れを除去する第一工程と、
コンクリート構造物表面に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けたのちにガラス連続繊維シートを貼着する第二工程と、
その上から透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けてガラス連続繊維シートに含侵させ、これを乾燥させることで固化させて透明又は半透明の第一コーティング層を形成する第三工程と、を含む、ことを特徴とするコンクリート構造物表面の強化コーティング方法。 - 前記第一コーティング層上に透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けたのちにガラス連続繊維シートを貼着する第四工程と、
さらにその上から透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けてガラス連続繊維シートに含侵させ、これを乾燥させることで固化させて透明又は半透明の第二コーティング層を形成する第五工程と、を含む、ことを特徴とするコンクリート構造物表面の強化コーティング方法。 - ファイナルコーティングとしてさらに透明ポリウレタン樹脂溶液を塗り付けてこれを乾燥させ固化させる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法。
- コンクリート構造物の表面に施された既存の補強層の一部に開口して形成された点検用窓を塞ぐように前記コーティング層を形成する、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のコンクリート構造物表面の強化コーティング方法。
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