JP2007270513A - 石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 建材として使用されている状態にある石綿含有成形板表面の脆く汚れている層を除去することなく利用することによって強固な被覆層を形成することができる表面固定化処理方法を提供する。
【解決手段】 使用されている状態の石綿含有成形板の露出面に樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りながら樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成することを特徴とする石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、住宅、工場、倉庫、駅舎等の建築物に用いられている石綿含有成形板の露出面を固定化処理して石綿成分の脱落・飛散を防止する固定化処理方法に関する。
建築物に使用されている石綿含有成形板は、石綿とセメントを主体として水を混合し、押し出し機で押し出し、加圧成形等の二次加工を施して製品化されており、建築物の屋根材、外壁・軒天の外装材、内壁・天井の内装材等、幅広く使用されてきている。
近年、建築物に使用されている各種の石綿含有成形板については、建築物からの石綿の除去、建築物の解体作業時の石綿の飛散防止、その作業に従事する労働者の石綿ばく露による健康リスクの予防の立場から制定された「石綿障害予防規則(石綿則)」(2005年7月1日施行)を受けて、建設業労働災害防止協会が作成した「建築物解体工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」に3段階の作業レベルが示されている。
ここで、作業レベル1は発じん性が「著しく高い」で、作業レベル2は「高い」であり、作業レベル3は発じんが「比較的低い」と予測されている建材である。
近年、建築物に使用されている各種の石綿含有成形板については、建築物からの石綿の除去、建築物の解体作業時の石綿の飛散防止、その作業に従事する労働者の石綿ばく露による健康リスクの予防の立場から制定された「石綿障害予防規則(石綿則)」(2005年7月1日施行)を受けて、建設業労働災害防止協会が作成した「建築物解体工事における石綿粉じんへのばく露防止マニュアル」に3段階の作業レベルが示されている。
ここで、作業レベル1は発じん性が「著しく高い」で、作業レベル2は「高い」であり、作業レベル3は発じんが「比較的低い」と予測されている建材である。
前記「石綿則」の管理規定によれば、労働者を就業させる管理者には、建造物における石綿使用箇所を特定し、その現場を目視して状態をチェックし、層表面に毛羽立ち、繊維崩れ、垂れ下がり、層の浮きや剥がれ、等が確認されれば、そのような箇所を「除去」、「封じ込め」、「囲い込み」等の発じん防止対策を講じることが義務付けられている。
石綿成形板のうち、屋根材、外壁・軒天の外装材、内壁・天井の内装材等として使用されているものの多くは、石綿の含有率が10質量%〜15質量%程度の成形体であり、作業レベル3の発じんが「比較的低い」と予測されている建材である。
しかし、このような建築物に使用されている作業レベル3の石綿含有成形板であっても、長年月、風雨、太陽光、塵埃、腐食性ガス等に曝されている間に劣化することは避けられず、そのため、建築物を解体、修理作業時の衝撃によって、劣化して脆くなっている表面層部分から微細な石綿繊維を含有する石綿粉じんが大量に飛散する恐れがある。
しかし、このような建築物に使用されている作業レベル3の石綿含有成形板であっても、長年月、風雨、太陽光、塵埃、腐食性ガス等に曝されている間に劣化することは避けられず、そのため、建築物を解体、修理作業時の衝撃によって、劣化して脆くなっている表面層部分から微細な石綿繊維を含有する石綿粉じんが大量に飛散する恐れがある。
それ故、前記作業レベル3とされている石綿含有成形板についても、使用状態を目視して前記したような「除去」、「封じ込め」、「囲い込み」等の発じん防止対策を講じることが明らかに必要となっている箇所についてのみならず、そのような状態に至っていない未だ使用可能な状態である石綿含有成形板についても、前記発じん防止対策が必要とする以前に、予防措置を講じておくことが好ましいことはいうまでもないことである。
上記のような現状に鑑み、すでに、住宅や工場等の屋根や外壁に使用されている石綿含有成形板であるスレート板の表面を補強するための方法が各種提案されている。たとえば、スレート板表面にウレタン樹脂塗料等によるプライマー塗布施工を行なってプライマー層を形成し、該プライマー層上にポリエステル樹脂塗料等によりガラス繊維等の補強芯材を付着施工し、さらに該補強芯材層面にポリエステル樹脂液等によるライニング層を施工する方法の発明(特許文献1:特開平11−336293号公報)、スレート板面に浸透性セメント強化材を塗布浸透させ、その後、低汚染型塗料や反射断熱塗料を塗布して表面を保護する方法の発明(特許文献2:特開2002−89050号公報)、石綿含有物の表面にシリコーンとアルコキシシランからなる珪素化合物を含有する処理剤を塗布して浸透・固化し、その上にさらにアクリル系材料と無機材料を含有するカバーリング材料で被覆して保護する方法の発明(特許文献3:特開2006−63299号公報)等が提案されている。
上記のような石綿含有成形板の表面を被覆する発じん防止方法はいずれも有効な発じん防止方法であるが、被覆層と石綿成形板表面とが太陽光、風雨、塵埃、腐食性ガス等に曝されている間に剥離して石綿含有成形板面が再び露出することを避けるために、さらに保護層を設けたり、高価な補強材を使用する複雑な工法であったりするものであるために、施工が複雑で熟練を要する。
また、前記従来方の場合、石綿含有成形板の表面に形成する被覆層と成形板表面の密着性をよくして被覆層が剥離することを防止するためには、石綿含有成形板表面の汚れを除去する必要があるが、乾燥状態の石綿含有成形板面には埃だけでなく、簡単に除去できない雑草類や苔類が発生している場合も多いことから、これらの汚れを除去使用とすると表層の石綿繊維も除去されたり、飛散するおそれがあるし、水で洗浄して除去する場合にも汚れと一緒に表層の石綿繊維が除去されることが避けられないために洗浄水の処理が解決すべき問題として残る難点がある。
このような表面汚れの除去をすることなく、石綿含有成形板の表面に密着性のよい被覆層を形成できる塗料としてエポキシ樹脂ワニスのような反応型合成樹脂ワニスで処理することも考えられるが、前記したように苔類等が発生している面に対する密着性の良好化被覆層を形成するための有効な手段とはならないし、トルエンやキシレンのような有機溶剤を使用しているので環境面の問題もある。
また、有機溶剤を使用しないエポキシ樹脂ワニスもあるが、石綿板への浸透性、固着性に劣る。
また、有機溶剤を使用しないエポキシ樹脂ワニスもあるが、石綿板への浸透性、固着性に劣る。
他に、樹脂入りセメントペーストでスレート面を封じ込め処理することも考えられ、この方法は、セメントペーストを石綿表面に塗布するだけなので、表層とのなじみは良くなるが、表層の脆い層が完全に除かれているわけではないので、依然として被覆層の剥離問題は残る。
特開平11−336293号公報
特開2002−89050号公報
特開2006−63299号公報
本発明は、前記作業レベル3とされている石綿含有成形板について、「封じ込め」、「囲い込み」等の発じん防止対策を講じることが明らかに必要となっている箇所についてのみならず、そのような状態に至っていない未だ使用可能な状態である石綿含有成形板についても、使用されている状態のままで、高価な材料を使用することなく、それらの表面に密着性のよい強固な被覆層を形成することができる石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法を提供することを目的とするものである。特に、表層に汚れがありかつ脆くなっている石綿含有成形板表面の脆く汚れている層を除去するこよなく、積極的に利用することによって強固な被覆層を形成することができる施工方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決することができる本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)使用されている状態の石綿含有成形板の露出面に樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りながら樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成することを特徴とする石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(1)使用されている状態の石綿含有成形板の露出面に樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りながら樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成することを特徴とする石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(2)前記建築物に使用されている状態の石綿含有成形板は、屋根材又は外壁材として使用されている状態のスレート板であることを特徴とする(1)項記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(3)前記樹脂含有被覆層形成用組成物は、溶液型液状組成物、エマルション型液状組成物及びポリマーセメント型液状組成物から選ばれる1種であることを特徴とする(1)項又は(2)項に記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(4)前記溶液型液状組成物は、反応型合成樹脂ワニスであることを特徴とする(3)項記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(5)前記反応型合成樹脂ワニスは、エポキシ樹脂系塗料又はウレタン樹脂系塗料であることを特徴とする(4)項記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
(6)前記泥状層を硬化させた固化層上にさらに保護層形成用組成物を塗工・乾燥して保護層を形成することを特徴とする(1)項〜(5)項のいずれか1項に記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
本発明の方法によれば、従来提案されている石綿含有成形板の表面を被覆する発じん防止方法で使用されている表面被覆用の被覆層形成用組成物を使用できるのみならず、通常入手できる、耐候性を有しかつ接着強度に優れた塗料組成物をそのまま使用し、かつ、使用状態にあって汚れがあり、脆くなっている表層部分を積極的に被覆層の強化材料として利用することにより、簡単な塗装作業によって使用状態にある石綿含有成形板表面に強固な被覆層を形成することができる。
また、本発明の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法は、固定化処理作業が石綿含有成形板面を湿潤状態で処理する方法であるため発じんがなく作業することができる。
また、本発明の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法は、固定化処理作業が石綿含有成形板面を湿潤状態で処理する方法であるため発じんがなく作業することができる。
本発明の固定化処理方法を適用する対象は、建築物に現在使用されている状態にある石綿含有成形板の表面領域である。建築物に使用されている石綿含有成形板の表層は、前述したように、太陽光、風雨、塵埃、腐食性ガス等に曝されていて経年的に脆くなっている層であり、埃や苔類等が付着している汚れた層でもあるので、剥離、飛散することを防止するための処理が必要とされている箇所である。具体的には、住宅や工場等の建築物の屋根材として使用されているスレート板、外壁の外装材として使用されているスレート板等が挙げられる。
石綿含有成形板面の固定化処理方法に使用される樹脂含有被覆層形成用組成物は、溶液型液状組成物、エマルション型液状組成物及びポリマーセメント型液状組成物から選ばれる1種である。これらの液状組成物に使用できる樹脂成分としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。好ましい液状組成物としては、反応型エポキシ樹脂塗料やウレタン樹脂系塗料で、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂と硬化剤として芳香族系ポリアミンを含有する樹脂塗料やイソシアネートと硬化剤としてポリオールを含有するウレタン樹脂系塗料が挙げられる。
本発明の固定化処理方法は、建築物の屋根材等として使用されている埃等によって汚れている状態のままの石綿含有成形板の表面に対して、樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りつつ樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成する方法である。
施工対象となる埃や苔、雑草等によって汚れている状態のままの石綿含有成形板の表面から洗浄等により埃や苔、雑草等を除く処理をすることなく、そのままの状態で樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布して被覆層を形成することが本発明の重要な特徴である。
使用状態にある石綿含有成形板の表層は、前述したように、太陽光、風雨、塵埃、腐食性ガス等に曝されていて経年的に脆くなっている層であるが、本発明の方法によれば、表面層の埃等と石綿繊維をも共に樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して被覆層の強化材として利用することができる。
使用状態にある石綿含有成形板の表層は、前述したように、太陽光、風雨、塵埃、腐食性ガス等に曝されていて経年的に脆くなっている層であるが、本発明の方法によれば、表面層の埃等と石綿繊維をも共に樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して被覆層の強化材として利用することができる。
本発明の方法に従ってスレート板面に形成した上記被覆層面には、さらに、該被覆層を保護、強化する目的で上塗り被覆層を形成することが好ましい。上塗り被覆層は、スレート板面に形成した上記被覆層面は石綿繊維を含有する層であるので、該層面が外気に露出しないように被覆保護できる層であれば特に制限はないが、耐候性、耐熱性等を備えた被覆層であることが好ましいことはいうまでもない。
上塗り被覆層を形成するための塗工用組成物としては、耐熱性、耐候性塗料として知られているものから適宜選択して使用することができる。また、スレート板面に被覆層を形成するために使用される樹脂含有被覆層形成用組成物を使用することも可能である。
上塗り被覆層を形成するための塗工用組成物としては、耐熱性、耐候性塗料として知られているものから適宜選択して使用することができる。また、スレート板面に被覆層を形成するために使用される樹脂含有被覆層形成用組成物を使用することも可能である。
本発明の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法を、屋根材として使用されているスレート板を処理する場合を例として説明する。
まず、埃等が付着しているままの汚れたスレート板1枚分の表面に対して樹脂含有硬化性液状組成物を十分に塗布した状態でデッキブラシ等により表層をブラッシングする。ブラッシング中に樹脂含有被覆層形成用組成物を少しずつ追加供給しながらブラッシングを続けてスレート板表層部分を粉末状に削り取る。ブラッシングは表層から削り取られたスレート板表層部分からなる粉末と樹脂含有被覆層形成用組成物とが均一混合されて泥状物が形成されるまで継続される。形成された泥状物がスレート板表面に止まれるような粘度となったらブラッシングを止めて、泥状物の表面を平滑化し、泥状層を固化させて被覆層を形成する。
まず、埃等が付着しているままの汚れたスレート板1枚分の表面に対して樹脂含有硬化性液状組成物を十分に塗布した状態でデッキブラシ等により表層をブラッシングする。ブラッシング中に樹脂含有被覆層形成用組成物を少しずつ追加供給しながらブラッシングを続けてスレート板表層部分を粉末状に削り取る。ブラッシングは表層から削り取られたスレート板表層部分からなる粉末と樹脂含有被覆層形成用組成物とが均一混合されて泥状物が形成されるまで継続される。形成された泥状物がスレート板表面に止まれるような粘度となったらブラッシングを止めて、泥状物の表面を平滑化し、泥状層を固化させて被覆層を形成する。
次いで、前述したように、形成された被覆層を下塗り層として、その上に該下塗り層を被覆保護するための上塗り層を形成することが好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法の具体例を説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
実施例1及び比較例1
建築後約30年経過した工場の屋根に使用されている老朽化したスレート板2枚を未洗浄のまま被覆処理対象とした。
被覆層形成用の樹脂含有被覆層形成用組成物としては、JASS I8 M-201に規定する反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)を使用した。
比較例1のスレート板には、ローラーで該樹脂ワニスを塗付量合計が固形分として250g/m2となるように二度に分けて塗布し、乾燥・固化させて被覆層を形成した。
なお、塗布を二度に分けた理由は、ローラー塗布で上記塗布量を一度に塗布することができないためである。
実施例1のスレート板には、まず、上記樹脂ワニスをスレート板上に流し、流し込み部分を束子でブラッシングして表層部分を削り取り、残りの樹脂ワニスを流し込みながら全面をブラッシングして樹脂ワニスが粘度の高い泥状物となるまでブラッシングを続けた。
次いで、泥状物層表面を平滑化し、乾燥・固化させて下塗り層とする被覆層を形成した。
上記のように下塗り層としての被覆層を形成した比較例1と実施例1の2枚のスレート板の該下塗り層面に、JIS K 5656に規定する2液形ポリウレタンエナメルを、合計塗布量が固形分として100g/m2となるようにローラーで2回塗りし、乾燥して上塗り層を形成した。
建築後約30年経過した工場の屋根に使用されている老朽化したスレート板2枚を未洗浄のまま被覆処理対象とした。
被覆層形成用の樹脂含有被覆層形成用組成物としては、JASS I8 M-201に規定する反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)を使用した。
比較例1のスレート板には、ローラーで該樹脂ワニスを塗付量合計が固形分として250g/m2となるように二度に分けて塗布し、乾燥・固化させて被覆層を形成した。
なお、塗布を二度に分けた理由は、ローラー塗布で上記塗布量を一度に塗布することができないためである。
実施例1のスレート板には、まず、上記樹脂ワニスをスレート板上に流し、流し込み部分を束子でブラッシングして表層部分を削り取り、残りの樹脂ワニスを流し込みながら全面をブラッシングして樹脂ワニスが粘度の高い泥状物となるまでブラッシングを続けた。
次いで、泥状物層表面を平滑化し、乾燥・固化させて下塗り層とする被覆層を形成した。
上記のように下塗り層としての被覆層を形成した比較例1と実施例1の2枚のスレート板の該下塗り層面に、JIS K 5656に規定する2液形ポリウレタンエナメルを、合計塗布量が固形分として100g/m2となるようにローラーで2回塗りし、乾燥して上塗り層を形成した。
上記のように表面を固定化処理した比較例1と実施例1の2枚のスレート板の被覆層の密着強度をテストするために、2枚のスレート板の中央部の被覆層に矩形の切込を入れ、該矩形の被覆層面に接着テープ(商品名「包装用粘着テープ392」、リンレイテープ株式会社製)を貼付した後、該接着テープを剥離して矩形被覆層部分の状態を観察した。
接着テープを剥離した後の被覆層表面の状態と剥離した接着剤テープ面の状態を写真撮影した結果を図1及び図2に示す。
図1から明らかなように、ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例1のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行している。
他方、図2から明らかなように、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例1のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着している。
接着テープを剥離した後の被覆層表面の状態と剥離した接着剤テープ面の状態を写真撮影した結果を図1及び図2に示す。
図1から明らかなように、ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例1のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行している。
他方、図2から明らかなように、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例1のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着している。
実施例2及び比較例2
反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)の代わりに、Polymer/Cement=20vol%のポリマーセメントペースト(商品名「セメンシャス#2000」恒和化学工業株式会社製)を用いてスレート板面に被覆層を形成し、実施例1及び比較例1のスレート板と同様に上塗り層を形成し、被覆層の剥離テストを行なった結果を図3及び図4に示す。
図3から明らかなように、ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例2のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行している。
他方、図4から明らかなように、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例2のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着している。
反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)の代わりに、Polymer/Cement=20vol%のポリマーセメントペースト(商品名「セメンシャス#2000」恒和化学工業株式会社製)を用いてスレート板面に被覆層を形成し、実施例1及び比較例1のスレート板と同様に上塗り層を形成し、被覆層の剥離テストを行なった結果を図3及び図4に示す。
図3から明らかなように、ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例2のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行している。
他方、図4から明らかなように、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例2のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着している。
実施例3及び比較例3
反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)の代わりに、ウレタン樹脂系塗料(商品名「ダイヤガンコシーラーマイルド」恒和化学工業株式会社製)を用いて、塗付量合計が固形分として250g/m2となるように塗布し、乾燥・固化させて被覆層を形成し、実施例1及び比較例1のスレート板と同様に上塗り層を形成し、被覆層の剥離テストを行なった。
ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例3のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行していた。
他方、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例3のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着していた。
反応形合成樹脂ワニス(2液形エポキシ樹脂ワニス)の代わりに、ウレタン樹脂系塗料(商品名「ダイヤガンコシーラーマイルド」恒和化学工業株式会社製)を用いて、塗付量合計が固形分として250g/m2となるように塗布し、乾燥・固化させて被覆層を形成し、実施例1及び比較例1のスレート板と同様に上塗り層を形成し、被覆層の剥離テストを行なった。
ローラー塗布して形成した被覆層を有する比較例3のスレート板は、被覆層とスレート板表面との密着性が悪く、矩形の被覆層部分がスレート板表面から剥離して接着テープの接着剤層に移行していた。
他方、本発明の方法に従ってブラッシングを行ないながら塗布して被覆層を形成している実施例3のスレート板の被覆層は、矩形の部分が接着テープを剥がしても剥離することがなく、スレート板面にしっかりと密着していた。
以上の実施例1〜3及び比較例1〜3の結果から明らかなように、石綿含有成形板の露出面に樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りながら樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成する本発明の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法に従えば、スレート板面との密着性のよい被覆層を形成することが可能である。
また、本発明の方法によってスレート板面に形成される被覆層は、ブラッシングによってスレート板表層から削り取られる埃や石綿繊維を含むスレート板形成材料が被覆層中に含まれていて一種の補強材となるので、高強度の被覆層が形成される。
また、本発明の方法によってスレート板面に形成される被覆層は、ブラッシングによってスレート板表層から削り取られる埃や石綿繊維を含むスレート板形成材料が被覆層中に含まれていて一種の補強材となるので、高強度の被覆層が形成される。
Claims (6)
- 建築物に使用されている状態の石綿含有成形板の露出面に樹脂含有被覆層形成用組成物を塗布し、石綿含有成形板の露出面表層部分をブラッシングによって削り取りながら樹脂含有被覆層形成用組成物と混合して均一泥状物層を形成し、該泥状物層を硬化させて石綿含有固化表層を形成することを特徴とする石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
- 前記建築物に使用されている状態の石綿含有成形板は、屋根材又は外壁材として使用されている状態のスレート板であることを特徴とする請求項1記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
- 前記樹脂含有被覆層形成用組成物は、溶液型液状組成物、エマルション型液状組成物及びポリマーセメント型組成物から選ばれる1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
- 前記溶液型液状組成物は、反応型合成樹脂ワニスであることを特徴とする請求項3記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
- 前記反応型合成樹脂ワニスは、エポキシ樹脂系塗料又はウレタン樹脂系塗料であることを特徴とする請求項4記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
- 前記泥状層を硬化させた固化層上にさらに保護層形成用組成物を塗工・乾燥して保護層を形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法。
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JP2006097441A JP2007270513A (ja) | 2006-03-31 | 2006-03-31 | 石綿含有成形板の露出面の固定化処理方法 |
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JP2009162576A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Shimizu Corp | 評価装置、評価方法及びコンピュータプログラム |
JP2010043426A (ja) * | 2008-08-11 | 2010-02-25 | Fuji Ultrasonic Engineering Co Ltd | スレート建材に対するアスベスト飛散防止処理工法 |
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2006
- 2006-03-31 JP JP2006097441A patent/JP2007270513A/ja active Pending
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