JP2010101128A - スレート屋根の補強構造および補強方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工場や倉庫の劣化したスレートの強度を回復でき、補修等の施工において安全性を確実に高めることが出来るスレート屋根の補強構造およびスレート屋根の補強方法を提供する。
【解決手段】スレート屋根の補強構造は、スレート屋根(1)にプライマー層(2)、樹脂モルタル層(4)を順次に積層して成り、プライマー層(2)は、スレートに対して浸透性を有する浸透型プライマーにより構成され、樹脂モルタル層(4)には、補強芯材(3)が埋設されている。また、スレート屋根の補強方法においては、上記の補強構造によりスレート屋根(1)を補強する方法であり、スレート屋根(1)のスレート表面に浸透型プライマーを塗布してプライマー層(2)を形成し、当該プライマー層の表面に補強芯材(3)を配置した後、樹脂モルタルを塗布し、補強芯材(3)が埋設された樹脂モルタル層(4)を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スレート屋根の補強構造および補強方法に関するものであり、詳しくは、劣化したスレート屋根を補強するためのスレート屋根の補強構造および補強方法に関するものである。
スレート屋根は、各種の工場や倉庫に施工されているが、雨水や太陽光により経年劣化が進み、その強度が低下するため、種々の方法で補強が図られている。劣化したスレート屋根に対する補強構造としては、例えば、グラスファイバー等のメッシュ材をスレートの表面に積層し、更にその表面側を塗膜防水材でコーティングしてメッシュ材をスレート材に固定した「スレート材の補強構造」が提案されている。
特開2001−317162号公報
ところで、屋根の補修工事などの際には、スレートを支える桁や桟に相当する箇所を歩行したり、屋根の上面に歩行用の仮設足場(渡り板)を配置しながら作業するにせよ、誤ってスレートに荷重を掛ける場合がある。経年劣化したスレートは、特にその表層部分(屋根の上表面部分)が劣化して層状に分離し、荷重を支持し得る実質的な厚さが大幅に減少しているため、メッシュ材を積層するにしても、荷重を掛けた場合には、スレート自体が容易に破損する。その結果、作業中に屋根を踏み抜く危険性があり、そして、メッシュ材の強度によっては、更に落下の危険もある。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、劣化したスレートの強度を回復でき、しかも、補修等の施工において安全性を確実に高めることが出来るスレート屋根の補強構造およびスレート屋根の補強方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明では、浸透型プライマーによりスレート表面と一体化したプライマー層を形成してスレート自体の強度を略初期の強度まで回復させ且つ樹脂モルタル層を形成して更に強度を補完すると共に、樹脂モルタル層に補強芯材を埋設することにより、補修施工などにおいて仮にスレートに直接荷重を掛けてスレートを破損させた場合でも、補強芯材が一体化した樹脂モルタル層により、踏抜き、落下を防止する様にした。
すなわち、本発明の第1の要旨は、スレート屋根にプライマー層および樹脂モルタル層を順次に積層して成るスレート屋根の補強構造であって、前記プライマー層は、スレートに対して浸透性を有する浸透型プライマーにより構成され、前記樹脂モルタル層には、補強芯材が埋設されていることを特徴とするスレート屋根の補強構造に存する。
また、本発明の第2の要旨は、上記の補強構造によりスレート屋根を補強する方法であって、スレート屋根のスレート表面に浸透型プライマーを塗布してプライマー層を形成し、次いで、当該プライマー層の表面に補強芯材を配置した後、樹脂モルタルを塗布し、前記補強芯材が埋設された樹脂モルタル層を形成することを特徴とするスレート屋根の補強方法に存する。
本発明によれば、スレート表面に一体化したプライマー層と樹脂モルタル層により初期の強度まで回復でき、しかも、施工時に荷重を掛けて仮にスレートが損傷した場合でも、補強芯材が一体化した樹脂モルタル層により踏抜きを防止でき且つ落下を防止できる。従って、補修などに際し、一層安全かつ効率的に施工することが出来る。また、石綿スレートの補修に適用した場合には、表層に露出している石綿をプライマー層および樹脂モルタル層により完全に封じ込めることが出来、石綿の飛散を防止できる。
本発明に係るスレート屋根の補強構造(以下、「補強構造」と略記する。)及びスレート屋根の補強方法(以下、「補強方法」と略記する。)の実施形態を図面に基づいて説明する。図は、本発明の補強構造における層構成を示した斜視図であり、図1及び図2は、各々、補強芯材の違いによる補強構造の各態様を示す図である。
先ず、本発明の補強構造について説明する。本発明の補強構造は、工場、倉庫などの比較的大型の建物に施工されたスレート屋根に適用される構造であり、図1及び図2に示す様に、スレート屋根(1)にプライマー層(2)及び樹脂モルタル層(4)を順次に積層して構成される。
スレート屋根(1)のスレートは、周知の通り、セメントに無機繊維を混合し、これを板状に抄造してプレス成型した屋根葺き材である。上記のスレートとしては、通常、小波、中波、大波、リブ波などの各種波形スレートが挙げられ、断熱性能を高めるために発泡樹脂シートを裏面に貼り合わせたものもある。
本発明においては、劣化したスレートの強度を回復するため、スレートの表面にプライマー層(2)が設けられる。プライマー層(2)は、劣化が進行して剥離し易い状態にあるスレートの表層部分を硬化させ且つ劣化していない部位と一体化させるため、スレートに対して浸透性を有する浸透型プライマーにより構成される。浸透型プライマーは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂などの樹脂成分とケイ酸ソーダとを含む水溶性エマルジョンとして構成される。上記のプライマーの中でも、スレートに対する浸透性の良さ及び表面硬化の観点からは、エポキシ系プライマーが好ましい。プライマー層(2)の厚さは、通常、スレートへの浸透部分を含めて0.05〜1.0mm程度である。
樹脂モルタル層(4)は、プライマー層(2)で補強したスレートの強度を更に補完すると共に、後述する補強芯材(3)をスレート屋根(1)に固定するために使用される。樹脂モルタル層(4)の厚さは、補強芯材(3)の固定力、スレート屋根(1)に対する荷重の増加、スレート屋根(1)の施工後の強度、施工性などを勘案して決定され、通常は約2〜10mmとされる。
上記の樹脂モルタル層(4)としては、土木・建築分野で一般的に使用される公知の各種の樹脂モルタルを使用することが出来る。樹脂モルタルは、セメントを含む微粒子及び珪石粉を混合した骨材としての粉末成分と、バインダとしての接着剤系樹脂とから成る組成物であり、短時間に強度が得られ、硬化までの時間制御が可能であり、しかも、硬化した際の体積変化が少ないなどの優れた特性を有する。また、樹脂モルタル層(4)を設けることにより、スレート屋根(1)の断熱効果を高めることが出来る。
例えば、樹脂モルタル層(4)は、酢酸ビニル樹脂エマルジョン若しくは水分散可能な変性ポリアミドアミン及び/又はポリアミンの存在下、液状のビスフェノールA型又はビスフェノールA/F型のエポキシ樹脂を水に乳化させてエポキシ樹脂エマルションを調製した後、このエポキシ樹脂エマルションに、セメント、珪砂、その他の骨材、充填材などが含まれる粉末成分を配合して得られる。なお、骨材としては、粒度50〜500μ程度の人工または天然の粒子、例えばベントナイト、パーライト等の無機系軽量骨材が使用され、充填材としては、鉱物繊維などが使用される。また、増粘剤などの各種添加剤が必要に応じて配合される。
本発明においては、施工時の安全を確保するため、樹脂モルタル層(4)には、補強芯材(3)が埋設される。すなわち、本発明の補強構造は、プライマー層(2)が設けられたスレート屋根(1)の表面に補強芯材(3)を配置し、斯かる補強芯材(3)を樹脂モルタル層(4)で被覆して構成される。補強芯材(3)としては、図1に示す様な所定ピッチで配列された鋼線(3a)、あるいは、図2に示す様なネット(3b)が挙げられる。
図1に示す様に、補強芯材(3)として鋼線(3a)を使用する場合、斯かる鋼線(3a)としては、ピアノ線、硬鋼線、オイルテンパー線、ステンレス鋼線などの各種の鋼種の線材を使用できるが、施工コストを低減する観点から、通常は鉄線(JIS G3532に規定される線材)が使用される。斯かる鉄線は、めっき鉄線もよいが、コストを低減し且つ耐候性を高める観点から、塩化ビニル樹脂やポリエチレンで被覆された被覆鋼線が好ましい。
鋼線(3a)は、例えばなまし鉄線の場合、通常、その直径が1.6〜6.0mmであり、補強層において40〜200mm程度のピッチで配列される。通常、波形スレートに対しては、谷部に沿って鋼線(3a)が配置され、その配列ピッチは、小波スレートの場合で例えば63.5mm、大波スレートの場合で例えば130mmである。なお、例えば波形スレートの1つの谷部に沿わせる一条の鋼線(3a)は、複数本を組合せたものでもよい。
鋼線(3a)の直径および配列ピッチを上記の範囲に規定する理由は次の通りである。すなわち、直径が1.6mm未満の場合は、小さな荷重で変形するため、スレートを踏み抜いた際に身体を確保することが出来なくなる虞がある。一方、直径が6.0mmを越えた場合は、質量が大きくなるために取扱い難くなり、かつ、樹脂モルタル層(4)の吹付けで鋼線(3a)を固定できなくなる。また、配列ピッチが40mm未満の場合は、施工性が低下し且つコスト高となり、そして、配列ピッチが200mmを越えた場合には、安全に身体を確保することが出来なくなる虞がある。
また、図2に示す様に、補強芯材(3)としてネット(3b)を使用する場合、ネット(3b)としては、通常、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等の樹脂製ネット(網)が使用される。そして、その目開きは10〜500mm、網を構成する紐の破断力は300N/50mm以上とされる。
ネット(3b)の目開き及び破断力を上記の範囲に規定する理由は次の通りである。すなわち、目開きが10mm未満の場合は、スレート表面に対する樹脂モルタル層(4)の接着面積が不足し、施工後に補強層が剥れる虞がある。一方、目開きが500mmを越えた場合には、作業中にスレートを踏み抜いた際、転倒することなく安全に身体を確保することが出来なくなる虞がある。また、ネット(3b)を構成する紐の破断力が300N/50mm未満の場合は、スレートを踏み抜いた際にネット(3b)が破損する危険がある。
上記の様に、補強芯材(3)は、身体を確実に確保でき且つスレートに樹脂モルタル層(4)で固定し得る様に配置される必要がある。具体的には、スパン(離間距離)800mmの2つの支点で水平に支持したスレートの表面に補強芯材(3)を配置し、1mの高さから錘としての質量25kgの砂袋(又は土嚢)をスレート中央部に落下させた場合に、スレートに割れが生じても補強芯材(3)によって錘を受け止められる様に、補強芯材(3)の素材と配置が設計される。
また、本発明においては、耐候性、耐久性、防水性を高めるため、樹脂モルタル層(4)の表面に防水層(5)が設けられる。防水層(5)は、アクリル樹脂またはウレタン樹脂から成る塗膜で形成される。防水層(5)の厚さは、耐久性、防水性、樹脂モルタル層(4)に生じた微小なクラックに対する追従性およびコストの観点から、通常は0.5〜4mmに設定される。
上記の防水層(5)は、例えば、アクリル樹脂を含む水性エマルジョン系防水塗料組成物で構成される。アクリル樹脂としては、アクリル酸エステル類を主成分とするアクリル系共重合体が挙げられ、アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アクリル酸エステル類は、上に例示したものに限定されるものではなく、1種でも2種類以上の混合物であってもよい。
上記アクリル酸エステル類と共重合可能な化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−ブチルスチレン、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、イソブチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、マレイン酸メチル、マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、無水マレイン酸、フマール酸、フマール酸エチル、フマール酸ブチル、イタコン酸、イタコン酸メチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレインなどが挙げられる。共重合可能な化合物は、上に例示したものに限定されるものではなく、1種でも2種類以上の混合物であってもよい。
上記の水性エマルジョン系防水塗料組成物には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー、珪藻土、ゼオライト、マイカ、酸化チタン等の無機充填材が含まれていてもよい。また、水性エマルジョン系防水塗料組成物には、必要に応じて、通常の各種添加剤が配合されていてもよい。斯かる添加剤としては、例えば、有機繊維、増粘剤、消泡剤、防腐剤、防錆剤、分散剤、湿潤剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。更に、水性エマルジョン系防水塗料組成物に適度のチクソトロピー性を確保する際には、増粘剤、分散剤などを配合するのが好ましい。
また、防水層(5)を構成するウレタン樹脂としては、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と、水酸基を2個以上有するポリオール化合物、ポリアミン、水などの活性水素を有する化合物などとを反応して得られる2液混合型のポリウレタン樹脂またはポリウレア樹脂が挙げられる。ポリイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)等のプレポリマー又は変性物が挙げられる。ポリオールとしては、グリコール系、エステル系、エーテル系、ヒマシ油系などが挙げられる。
本発明においては、防水層(5)の表面に更に遮熱層(6)が設けられてもよい。遮熱層(6)は、防水層(5)の劣化を低減し且つ建物内の昇温を緩和するために設けられ、遮熱顔料の配合により赤外線の反射効率を高める様にしたいわゆる遮熱塗料(太陽熱高反射塗料)を塗布して構成される。遮熱層(6)の塗膜は、アクリル樹脂、アクリル・スチレン樹脂、アクリル・ウレタン樹脂など、好ましくはシリコーン変性アクリル樹脂から成る。斯かるシリコーン変性アクリル樹脂は、アクリルシリコン等の樹脂にカーボンを含まない有機系顔料を配合したものが好ましく、前記の顔料の配合により、近赤外領域の光に対する反射率を約60%以上に高めることが出来る。遮熱層(6)の厚さは、遮熱性能およびコストを考慮し、通常は0.05〜0.5mmに設定される。なお、遮熱層(6)を構成する塗料は、弱溶剤(塗料用シンナー)型、溶剤型または水性フッ素樹脂塗料、シリコン・アクリル樹脂塗料、ポリウレア樹脂塗料、アクリル・ウレタン樹脂塗料として一般に入手可能である。
次に、上記の補強構造を利用した補強方法について説明する。本発明の補強方法は、通常、経年劣化したスレート屋根(1)の改修工事において適用される。
スレート屋根(1)の改修工事においては、最初に準備作業として、スレート屋根(1)の周囲に作業用の仮設足場を組み、スレート固定用のフックボルトをストッパーとして歩み板を配置し、安全帯を引掛ける綱(親綱)を張設する。また、屋内の天井下には、施工時の安全管理の観点から、落下防止用ネットを張る。スレート屋根(1)の施工においては、先ず、スレート屋根(1)のスレート表面の塵埃を除去した後、スレート表面に浸透型プライマーとして例えば浸透型エポキシ樹脂を塗布し、これを養生してプライマー層(2)を形成する。通常、エポキシ樹脂の塗布においては、仮設足場の上から長手のスプレーガンを使用するか、あるいは、高所作業車の昇降可能な作業台からスプレーガンを使用し、スプレー塗布を行う。
次いで、プライマー層(2)が形成されたスレート屋根(1)の上面、すなわち、プライマー層(2)の表面に補強芯材(3)を配置する。補強芯材(3)として図1に示す鋼線(3a)を使用する場合は、スレート屋根(1)のスレートの凹溝(波の谷部)に沿わせて、前述の一定のピッチで鋼線(3a)を配列する。
その際、鋼線(3a)の滑り落ちを防止するため、プライマー層(2)表面の鋼線(3a)を配置する位置、例えばスレートの凹溝の軒先近傍(最下部)にパテ、コーキング材などのパテ状接着材料を補強芯材係止手段として例えば直径3〜5mm程度の小山状に予め塗布し、配置した鋼線(3a)を仮止めするのが好ましい。パテ状接着材料により鋼線(3a)を仮止めすることにより、鋼線(3a)の滑落を防止でき、一層安全に且つ効率的に施工できる。なお、スレートの1つの凹溝に対して複数本の鋼線(3a)を直線的に配置する場合は、予め鋼線(3a)の端縁同士を針金などで連結するか、あるいは、上記のパテ状接着材料を各鋼線(3a)に対応させて塗布することにより仮止めするのがよい。
また、補強芯材(3)として図2に示すネット(3b)を使用する場合は、施工する屋根面全体を覆う状態にネット(3b)を張設する。その際、ネット(3b)の滑り落ちを防止するため、ネット(3b)の外周部は、軒先などの屋根周縁に仮止めし、また、複数枚のネット(3b)を使用する場合は、ネット同士を連結する。更に、前述の鋼線(3a)を使用する場合と同様に、パテ状接着材料を補強芯材係止手段として使用し、ネット(3b)を仮止めしてもよい。また、一般的な接着剤を使用し、スレートの形状に沿ってネット(3b)を張設してもよい。
スレート屋根(1)の上面に補強芯材(3)を配置した後は、当該補強芯材の上から樹脂モルタルを塗布し、これを養生して、補強芯材(3)が埋設された樹脂モルタル層(4)を形成する。樹脂モルタル層(4)の塗布においては、通常、スプレーを使用して補強芯材(3)の上から樹脂モルタル層(4)を吹き付ける。また、必要に応じて、吹き付けた樹脂モルタル層(4)の表面を鏝やレーキによって平滑にならす。勿論、樹脂モルタル層(4)の施工においては、最初から鏝やレーキにより樹脂モルタルを塗布してもよい。なお、樹脂モルタル層(4)の塗布作業は、前述の歩み板または屋根の桁や桟に相当する箇所を足場にして行う。
次いで、樹脂モルタル層(4)の表面に防水層(5)を設ける。防水層(5)の施工においては、エアーレス吹付け機を使用し、例えば水性アクリル樹脂エマルジョン系防水塗料を吹付け塗布する。また、ウレタン樹脂を使用する場合は、スプレーガンを使用し、溶剤を含む液状の塗料としてのウレタン樹脂をスプレー塗布するか、または、塗料としてのポリイソシアネート化合物およびポリオール化合物をスプレー塗布する。そして、塗布した樹脂を養生、乾燥させる。なお、防水層(5)の施工においては、上記の様な各樹脂を刷毛塗工により塗布することも出来る。
更に、防水層(5)を設けた後は、当該防水層の表面に遮熱層(6)を設ける。遮熱層(6)の施工においては、前述の防水層(5)と同様にスプレーガン等を使用し、前述の遮熱塗料を塗布し、これを養生、乾燥させる。遮熱層(6)の施工においても、遮熱塗料を刷毛またはローラー塗工により塗布してもよい。
上記の様に、本発明では、浸透型プライマーによりスレート表面と一体化したプライマー層(2)を形成してスレート自体の強度を略初期の強度まで回復させ、かつ、樹脂モルタル層(4)を形成して更に強度を補完する。すなわち、本発明においては、スレート表面に一体化したプライマー層(2)と樹脂モルタル層(4)により、スレート屋根(1)を初期の強度まで回復できる。そして、本発明においては、樹脂モルタル層(4)に補強芯材(3)を埋設することにより、施工において仮にスレートに直接荷重を掛けてスレートが破損した場合でも、補強芯材(3)が一体化した樹脂モルタル層(4)により踏抜きを防止でき且つ落下を防止できる。従って、補修などに際し、一層安全かつ効率的に施工することが出来る。また、本発明は、浸透型プライマーによりプライマー層(2)を形成するため、石綿スレートの補修に適用した場合には、表層に露出している石綿をプライマー層(2)により封じ込めることが出来、石綿の飛散を防止できる。
スレート屋根(1)に使用されていた劣化スレートを準備し、その表面にプライマー層(2)及び樹脂モルタル層(4)を設け且つ当該樹脂モルタル層に補強芯材(3)を埋設して試験片を複数作製すると共に、各試験片におけるプライマー層(2)の構成材料、補強芯材(3)の材料を変更し、これら試験片の曲げ破壊荷重(JIS A5430に準拠した曲げ強度)を測定した。準備した劣化スレートは、敷設後約40年経過した小波スレートであり、製造時における曲げ破壊荷重は1470N以上であった。
また、各試験片に対して錘の落下試験を行った。落下試験では、スパン800mmの2つの支点で水平に支持したスレートの中央部に1mの高さから質量25kgの砂袋を錘として落下させ、錘の突き抜け状況を確認した。
実施例1:
樹脂モルタル層(4)は、三菱樹脂(株)製のMYルーファー下地調整材(平場用)(商品名)として市販されている樹脂モルタルを塗布して厚さ6mmの層を形成した。上記の樹脂モルタルの組成は表1に示す通りである。補強芯材(3)としては直径1.8mmの鋼線(3a)を使用し、その配列ピッチは63.5mmであった。また、プライマー層(2)は、厚さ0.2mmに塗布形成し、その構成材料として、スレートに対して浸透性を有する浸透型プライマーを使用した。斯かる浸透型プライマーは、三菱樹脂(株)製のMYルーファーSP(商品名)として市販されているエポキシ系プライマーであり、表2に示す組成を有していた。
Figure 2010101128
Figure 2010101128
試験の結果、曲げ破壊荷重は1492Nであり、また、落下試験においては、スレート自体は破損したが、錘は補強芯材(3)によって受け止められ、床面まで落下することはなかった。試験結果を表4に示す。なお、表4中、上記の樹脂モルタルを「MYルーファー」と表記し、浸透型プライマーを「SP」と表記する。
実施例2:
補強芯材(3)として、紐径2mm、目開き30mmのビニロン製のネット(3b)(破断力:460N/50mm)を使用した。樹脂モルタル層(4)及びプライマー層(2)の構成は、実施例1と同様であった。試験の結果、曲げ破壊荷重は1480Nであり、また、落下試験においては、実施例1と同様に、スレートは破損したが、錘は補強芯材(3)によって受け止められた。試験結果を表4に示す。
比較例1:
プライマー層(2)は、厚さ0.2mmに塗布形成し、その構成材料として、スレートに対する浸透性のない通常のプライマーを使用した。斯かるプライマーは、三菱樹脂(株)製のMYルーファープライマーAP(商品名)として市販されているエポキシ・アクリル系プライマーであり、表3に示す組成を有していた。なお、樹脂モルタル層(4)及び補強芯材(3)の構成は、実施例1と同様であった。試験の結果、曲げ破壊荷重は900Nであり、また、落下試験においては、実施例1と同様に、スレートは破損したが、錘は補強芯材(3)によって受け止められた。試験結果を表4に示す。なお、表4中、上記のプライマーを「AP」と表記する。
Figure 2010101128
比較例2:
プライマー層(2)の構成材料として、比較例1と同様のプライマーを使用した。樹脂モルタル層(4)及び補強芯材(3)の構成は、実施例2と同様であった。試験の結果、曲げ破壊荷重は860Nであり、また、落下試験においては、実施例1と同様に、スレートは破損したが、錘は補強芯材(3)によって受け止められた。試験結果を表4に示す。
比較例3:
試験片に使用した未処理の劣化スレートの強度を測定したところ、曲げ破壊荷重が750Nであった。落下試験においては、スレートが破損し、錘を受け止めることが出来なかった。参考までに測定結果を表4に示す。
Figure 2010101128
本発明に係るスレート屋根の補強構造の一態様を部分的に破断して示す斜視図である。 本発明に係るスレート屋根の補強構造の他の態様を部分的に破断して示す斜視図である。
符号の説明
1 :スレート屋根
2 :プライマー層
3 :補強芯材
3a:鋼線
3b:ネット
4 :樹脂モルタル層
5 :防水層
6 :遮熱層

Claims (7)

  1. スレート屋根にプライマー層および樹脂モルタル層を順次に積層して成るスレート屋根の補強構造であって、前記プライマー層は、スレートに対して浸透性を有する浸透型プライマーにより構成され、前記樹脂モルタル層には、補強芯材が埋設されていることを特徴とするスレート屋根の補強構造。
  2. 補強芯材が所定ピッチで配列された鋼線である請求項1に記載の補強構造。
  3. 補強芯材がネットである請求項1に記載の補強構造。
  4. 樹脂モルタル層の表面に防水層が設けられている請求項1〜3の何れかに記載の補強構造。
  5. 防水層の表面に更に遮熱層が設けられている請求項4に記載の補強構造。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の補強構造によりスレート屋根を補強する方法であって、スレート屋根のスレート表面に浸透型プライマーを塗布してプライマー層を形成し、次いで、当該プライマー層の表面に補強芯材を配置した後、樹脂モルタルを塗布し、前記補強芯材が埋設された樹脂モルタル層を形成することを特徴とするスレート屋根の補強方法。
  7. 補強芯材を配置するに際して、プライマー層の表面にパテ状接着材料を間欠的に塗布し、当該パテ状接着材料により補強芯材を仮止めする請求項6に記載の補強方法。
JP2008275572A 2008-10-27 2008-10-27 スレート屋根の補強構造および補強方法 Pending JP2010101128A (ja)

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