JP2009002125A - スレートの補強方法及び該方法により補強されたスレート - Google Patents

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正隆 村井
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Abstract

【課題】スレート表面の付着物除去作業時等に粉塵飛散等を抑制する処理を行い、該処理後、補強部材及び耐候性・断熱効果のある塗膜層を形成して、耐久性等を向上させるスレートの補強方法を提供する。更に、付着物等ごと覆う層を形成して粉塵飛散等を抑制するスレートの補強方法を提供する。上記補強がなされたスレートを提供する。
【解決手段】補強スレート1はスレート基材2に近い順に補強層3と補強部材6と下地層4と表層5が重層となるよう構成される。補強層3は、浸透プライマー使用量の1/3を基材表面に塗布し硬化等させて石綿粉塵飛散抑止層を形成し、該層は表面だけを固め基材内部に浸透させない。その後基材表面の付着物除去等を行う。残る浸透プライマー2/3をスレート基材2表面に塗布するとポーラス状の基材表面から浸透し、劣化部分21及び健全部分22に達して硬化し補強層3を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スレートの補強方法及び該方法により補強されたスレートに関する。
更に詳しくは、既に設置されたスレート基材表面に粉塵飛散抑止のための層又は膜を形成してスレート表面の処理を行い、当該処理後に、粉塵の飛散抑止のための層又は膜の上からスレート基材表面に基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を塗布または吹き付けて補強層を形成し、補強部材を含んだ下地層を補強層と表層の間に設け、表層は耐候性または/および熱反射性を備えるようにしたスレートの補強方法、及び当該方法により補強されたスレートに関する。
従来、建築業界では、繊維等とセメントを練り混ぜて成形され、軽量で加工が容易であり、比較的安価な人工スレート(以下「スレート」という。)が広く普及している。
しかし、スレートは、年月の経過と共に、雨や日光等の影響により表面が劣化して繊維等が露出したり、あるいは経時的硬化によりセメントが収縮して表面がひび割れたりすることがある。また、劣化部分は、黒ずんだり、苔や藻が付いて、見た目も悪くなる。更に、黒ずんだスレートによりその表面温度が上がりやすくなり、スレートが付設された施設内の室内温度が上昇して空調機器の効きが悪くなり、結果として消費電力増加に繋がるといった悪循環が生じる。
このため、老朽化したスレートの表面の汚れや劣化部分等を削る等して除去し、その後に塗料等を塗布して補強する工法が実施されている。
ところで、今日ではスレートとしては石綿を使用しない無石綿スレートが普及しているが、かつては、スレートとして石綿とセメントを原料とするいわゆる石綿スレートなどが一般的であった。その後、石綿の粉塵が人体に与える健康被害が報告されて大きな社会問題となったため、現在は石綿スレートの製造は禁止されている。
しかし、今でも、古い建物の屋根等には石綿スレートが使用されていることがあり、そのままの状態にしていると、やがて劣化した部分から石綿が露出し、その粉塵が周囲に飛散及び浮遊(以下「飛散等」という。)する可能性がある。このため、何らかの対策を取る必要があるが、このような石綿スレートに上記のような補強工法を使用すると、作業時に飛散等する石綿の粉塵により作業者や周辺住民が被曝するおそれがあり、また、石綿を含んでいなくても環境汚染に繋がる。
そこで、下記特許文献1に示すような塗装を施すスレート補強方法が提案されている。下記特許文献1記載の発明を実施する際、塗装の前処理として、スレート表面の汚れを水噴射により洗い流して除去するのであるが、この方法によれば、作業時に石綿等の粉塵の飛散等を抑制することができる。
特開平4−161552号
しかし、特許文献1に係る発明を実施した場合、作業時には石綿等の粉塵飛散を抑制できても、作業後に水噴射によって削られた粉塵が洗浄水に含まれて流出し、その後乾燥して作業場近辺の大気中に飛散等するおそれがある、という課題があった。
また、作業の度に粉塵を含む洗浄水を回収して別途処分する方法も考えられるが、費用と手間が掛かることが想定され、現実的ではない。
(発明の目的)
そこで、本発明の目的としては、スレート基材の表面に塗膜を形成するにあたり、付着物除去等の作業時に周囲へ粉塵(石綿を含むもの及び含まないもののいずれをも含む粉塵をいう。以下同じ。)の飛散等を抑制でき、かつ、スレートの耐久性および耐候性を向上させる、スレートの補強方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的としては、スレート基材の付着物除去等の作業を行わないことによって粉塵の飛散等を抑制し、作業者及び周辺住民の安全性が向上したスレートの補強方法を提供することにある。
更にまた、本発明の他の目的としては、耐久性および対候性が向上した補強スレートを提供することにある。
本発明の他の目的としては、断熱性が向上した補強スレートを提供することにある。また、本発明の他の目的としては、断熱性を向上させるスレートの補強方法を提供することにある。
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
本発明は、
既に設置されたスレート(1)のスレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)を形成するスレートの補強方法であって、
スレート基材(2)表面に付着物除去作業の際に発生する粉塵の飛散抑止のための層又は膜を形成し、その後にスレート基材(2)表面の付着物除去または/および清掃作業を行い、
上記の粉塵飛散抑止のための層又は膜の上から、スレート基材(2)表面に、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を塗布または吹き付けて補強層(3)を形成し、
次いで、上記補強層(3)表面に、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)を接着又は配置し、
次いで、上記補強部材(6)を含む補強層(3)表面に、下地材を塗布または吹き付けて下地層(4)を形成し、
次いで、下地層(4)表面に、耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層(5)を形成する、
スレートの補強方法である。
なお、上記上記スレートの補強方法においては、ストレート基材(2)内部に浸透して硬化する液状塗剤を、スレート基材(2)表面と劣化部分(21)、またはスレート基材(2)表面と劣化部分(21)に加えて健全部分(22)の一部まで浸透させて補強層(3)を形成したものであってもよい。
また、本発明は、
既に設置されたスレート(1)のスレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)を形成するスレートの補強方法であって、
スレート基材(2)表面の付着物除去および清掃作業を行わずに、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を付着物を含む表面に塗布または吹き付けして、上記液状塗剤を付着物を含むスレート基材(2)表面と劣化部分(21)、または付着物を含むスレート基材(2)表面と劣化部分(21)及び健全部分(22)の一部まで浸透させ、該液状塗剤を硬化させて補強層(3)を形成し、
次いで、上記補強層(3)表面に、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)を接着又は配置し、
次いで、上記補強部材(6)を含む補強層(3)表面に、下地材を塗布または吹き付けて下地層(4)を形成し、
次いで、下地層(4)表面に、耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層(5)を形成する、
スレートの補強方法である。
なお、上記スレートの補強方法においては、補強部材(6)は、シート状物、メッシュ状物またはネット状物であってもよい。
また、上記スレートの補強方法においては、下地層(4)が断熱性を備えるものであってもよい。
更に、本発明は、
スレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)が形成されたスレート(1)であって、
補強層(3)は、スレート基材(2)内部に浸透して硬化する液状塗剤を、スレート基材(2)表面に塗布または吹き付けて形成されており、
下地層(4)は補強層(3)と表層(5)の間に設けられており、
上記補強層(3)と下地層(4)の間には、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)が配置されており、
表層(5)は耐候性または/および熱反射性を備える、
スレートである。
また、上記発明は、補強部材(6)は、シート状物、メッシュ状物またはネット状物であってもよい。
更に、上記発明は、下地層(4)が断熱性を備えるものであってもよい。
スレート基材は、石綿スレートのみならず、例えば他の人工スレートであってもよいし、天然スレートであってもよい。
付着物除去または/および清掃作業とは、付着物除去または清掃作業のいずれか一方を行うこともあるし、あるいは、付着物除去および清掃作業の両方を行うこともある、という意味で使用している。
基材内部に浸透して硬化する液状塗剤は、例えば、SRプライマー(ロックペイント株式会社製品)、ダイヤプライマー(恒和化学株式会社製品)、SKスーパーシーラー(エスケー化研)が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、同様の効果を備える塗剤を使用して形成してもよい。
破損防止のための補強部材としては、シート状物、メッシュ状物またはネット状物が挙げられ、例えば、ガラス繊維や合成樹脂、金属薄膜等で形成されたシート状物を補強層の上から接着し、その上に下地層を形成してもよいし、上記シート状物に液状の下地材が通過可能な孔を複数設けて、下地層内に塗り込めるようにして配置してもよい。
また、補強部材として使用する、メッシュ状物またはネット状物は、例えば、ガラス繊維糸、合成樹脂、金属線材をメッシュ又はネット状に形成したものが挙げられるが、線状物は当該部材に限定されるものではなく、他の公知部材であってもよい。
下地層は、下地材を塗布することにより基材表面の凹凸を整え、表層を形成しやすくしたものであり、更に断熱効果を有するもの、例えばケミカルカチオン(ムライケミカルパック株式会社製品)が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、同様の効果を備える塗剤を使用して形成してもよい。
耐候性または/および熱反射性を備えるとは、耐候性または熱反射性のいずれか一方を備えることもあるし、あるいは、耐候性および熱反射性の両方を備えるということもある、という意味で使用している。
劣化部分は、基材となるスレートのうち、雨や日光等の影響により表面が劣化して繊維等が露出したり、凹凸が生じたり、あるいは経時的硬化によりセメントが収縮して表面がひび割れたり、また、黒ずんだり、苔や藻が発生した部分等をいう。一方、健全部分は、基材となるスレートのうち、上記劣化部分を除く部分をいう。
(作 用)
本発明に係るスレートの補強方法を説明する。
本発明に係るスレートの補強方法は以下の手順にて行う。
(1)既に設置されたスレートのスレート基材の表面に塗膜を形成するにあたり、スレート基材表面に粉塵の飛散抑止のための層又は膜を形成し、その後にスレート基材表面の付着物除去および清掃作業を行う。当該作業により、作業時に粉塵の飛散等が抑制される。
(2)上記スレート表面の処理後に、粉塵の飛散抑止のための層又は膜の上からスレート基材表面に基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を塗布または吹き付けて補強層を形成する。当該補強層表面に補強部材を接着又は配置する。
(3)補強層及び補強部材の表面に下地材を塗布または吹き付けて下地層を形成し、下地層表面に耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層を形成して、スレート基材を補強する。
これにより、設置中の劣化したスレートが再生される。
(4)また、ストレート基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を、スレート基材表面と劣化部分、またはスレート基材表面と劣化部分に加えて健全部分の一部まで浸透させて補強層を形成する。これにより、設置中の劣化したスレートが再生される。
(5)更に、本発明に係る他のスレートの補強方法によれば、スレート基材表面の付着物除去および清掃作業を行わずに、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を付着物を含む表面に塗布または吹き付けして、上記液状塗剤を付着物を含むスレート基材表面と劣化部分、または付着物を含むスレート基材表面と劣化部分及び健全部分の一部まで浸透させ、該液状塗剤を硬化させて補強層を形成し、補強層表面に、下地材を塗布または吹き付けて下地層を形成し、下地層表面に、耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層を形成する。これにより、作業時に粉塵の飛散等が抑制され、設置中の劣化したスレートが再生される。
(6)また、補強部材としてシート状物、メッシュ状物またはネット状物を使用したものは、作業性及び下地層との親和性が良い。
(7)なお、下地層が断熱性を備えているものは、耐候性または/および熱反射性を備える表層との相乗効果により、補強したスレートが設置された建物内部の温度上昇または放熱を抑制する。
本発明に係るスレートの作用を説明する。
本発明に係るスレートは、スレート基材内部に浸透して硬化する液状塗剤をスレート基材表面に塗布または吹き付けて補強層を形成し、該補強層と下地層の間に可撓性又は柔軟性を有する補強部材を配置し、下地層は補強層と表層の間に設けており、表層は、耐候性または/および熱反射性を備えるよう形成している。スレート基材表面のみならず内部の劣化部分に浸透した液状塗剤が硬化して、スレートの耐久性が向上する。
また、補強部材としてシート状物、メッシュ状物またはネット状物を使用したものは、作業性及び下地層との親和性が良い。
なお、下地層が断熱性を備えているものは、耐候性または/および熱反射性を備える表層との相乗効果により、スレートが設置された建物内部の温度上昇または放熱を抑制する。
本発明によれば、次の効果を奏する。
(1)本発明に係るスレートの補強方法によれば、既に設置中の劣化したスレートを再生することができるので、全面張替工事を行った場合に廃棄処分となる既存のスレートをそのまま有効利用できる。これにより廃棄物の発生を抑制し、ひいては、新たな産業廃棄物処分場等の開発の必要性を低減させ、環境負荷の低減に寄与する効果が期待できる。また、スレートの補強作業時に、スレートの付着物除去等の作業時にスレートの表面に塗膜を形成するため、周囲へ粉塵の飛散等を抑止でき、環境汚染を抑制し、作業者及び周辺住民の安全を図ることができる。
(2)設置中のスレート表面の付着物除去および清掃作業を行わずに、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を表面に直接塗布し又は直接吹き付け、上記液状塗剤をスレート表面及び内部の劣化部分、または劣化部分及び健全部分に達するまで浸透させ、該液状塗剤を硬化させて補強層を形成するスレートの補強方法が提供できる。これにより、作業時に石綿粉塵の飛散等による環境汚染を抑制し、作業者及び周辺住民の安全を図ることができる。また、付着物除去、洗浄等の作業工程が省略できるので、工期が短縮され、工費抑制に寄与する。
(3)スレート基材表面に形成された補強層、下地層、表層により耐久性および耐候性が向上したスレートを提供することができる。これにより、スレートの長寿命化を実現できる。また、補強層と下地層の間に配置された補強部材により、スレートの耐加重性、耐破断性が向上する。
(4)下地層が断熱性を備えた上記スレートを使用した建物内部では、夏期は温度上昇、冬季は放熱を抑制できる。これにより、施設の省エネルギーを達成することができ、ひいては、発電所等が排出するCO削減につながって環境保全に貢献する効果が期待できる。
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明に係るスレートの構造を示した斜視説明図及び一部を拡大した断面図である。
図1に示すスレート1について説明する。
スレート1は、スレート基材2に近い順に、補強層3と、補強部材6と、下地層4と、表層5が重層になるよう構成されている。
なお、本実施の形態では、スレート1は数年間屋外に設置されたものであって、スレート基材2はその表面に劣化部分21が生じている。
スレート基材2の上には補強層3が形成されている。補強層3は、設置中のスレートであるスレート基材2表面の付着物除去や清掃あるいは洗浄作業を行わずに、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤(以下「浸透プライマー」という。)を直接塗布して形成されており、該浸透プライマーは、スレート基材2の劣化部分21及び健全部分22の一部まで浸透して硬化している。
なお、浸透プライマーとしては、浸透性がよい一液型の湿気硬化型ウレタン樹脂塗料が好適であり、その濃度は15%から30%の範囲内が好ましい。濃度が15%未満の場合は、表面は塗装面が硬化せず、表面を塗ることはできても乾燥後に塗膜が無くなり、一方30%を超えると健全部分まで浸透しにくくなる。
より好ましくは、上記浸透プライマーの濃度が15%から20%の範囲内であることが好適である。
更には、浸透プライマーは二度塗りを行うことが好ましく、その場合、付着物等除去作業前に塗布する浸透プライマーは表面だけ固化すればよいので充填密度は低い方がよく、逆に、付着物等除去後に塗布する浸透プライマーの濃度は、付着物等除去作業前に塗布する浸透プライマーの濃度より濃い方が充填密度が高くなり健全部分と一体化するので好ましい
補強層3の上には、補強部材6が設けられている。
本実施の形態においては、補強部材6はガラス繊維糸により形成したネット状物を使用しており、スレート1の表面を覆っている
補強層3及び補強部材6の上には、下地層4が形成されている。下地層4は、ケミカルカチオン(ムライケミカルパック株式会社製品)を塗布して形成されている。下地層4は、網状の補強部材6の隙間から補強層3に達しており、補強部材6が塗り込まれるようにして固着してある。
下地層4の上には、表層5が形成されている。表層5は、ケミカルパックMS60(ムライケミカルパック株式会社製品)を塗布して形成されている。
(作 用)
図1を参照して、スレート1の作用を説明する。
まず、屋外等に設置されているスレート1のスレート基材2表面の処理を行う。
当該作業で使用する浸透プライマーの分量の3分の1をスレート基材2表面に塗布し、硬化あるいは乾燥させて粉塵飛散抑止層(膜)を形成する。なお、粉塵飛散抑止層(膜)は表面だけを固め、スレート基材2内部には浸透しないようにする。
その後、剥がし又は研磨等の作業を行うことにより、スレート基材2表面の付着物除去および清掃作業を行う。
これら一連の処理により、作業時のスレート等の粉塵が飛散することが抑制される。
その後、当該作業で使用する浸透プライマーの分量の3分の2を、スレート基材2表面に塗布する。この際に、スレート基材2表面はポーラス状になっているので、浸透プライマーはその小孔あるいは隙間から浸透していく。
上記塗布された浸透プライマーは、劣化部分21に加えて健全部分22にまで達した後に硬化し、(図1拡大部分参照)、補強層3を構成する。これにより、硬化した劣化部分21と健全部分22とが剥離しにくくなって耐久性が向上し、劣化したスレートが再生される。
次に、スレート1の表面を覆うように上記補強層3表面に補強部材6を配置し、補強層3及び補強部材6の表面に、下地材として断熱性を備えるケミカルカチオンを塗布して下地層4を形成する。
なお、補強部材6は、接着して位置を固定しても良いが、接着せずに補強部材6の上から直接ケミカルカチオンを塗布し、補強部材6を塗り込むようにして下地層4を形成しても良い。
その後、下地層表面に、耐候性および熱反射性を備えるケミカルパックMS60を塗布して表層5を形成する。
下地層4および表層5は、その相乗効果により、補強スレート1が設置された建物内部の温度上昇または放熱を抑制する。
なお、スレート基材2表面に泥や埃あるいは苔等の付着物が無い又は少ない場合、あるいは、これらの付着物の存在を許容して施行する場合、補強層3は、設置中のスレート基材2表面の付着物除去や清掃あるいは洗浄作業を行わずに、浸透プライマーを表面に直接塗布し、スレート基材2の劣化部分21及び健全部分22の一部まで浸透させて硬化させてもよい。その補強工事施工の際に、スレート表面の汚れ等を落とす手間が省けるので、工期が短縮され、工費抑制に寄与する。また、作業時における粉塵飛散等を抑止し、環境汚染を抑制できる。
次に、以下の条件で本願発明の施行前後における温度差測定について測定した。
試験名 :本願発明の施行前後における温度差測定
1.試験方法:夏期に、本願発明の施工前のスレートの表面温度、裏面温度、室内温度を温度計にて計測し、本願発明の施工後のスレートの表面温度、裏面温度、室内温度を温度計にて計測した。
測定結果を下記表1及び表2に表す。
上記表1及び表2の試験結果から明らかな通り、本願発明の施工後の補強スレート1の表面温度、裏面温度、室内温度は、施行前のスレートの上記各数値を下回った。つまり、補強スレート1を使用した建物内部は、夏期は室温上昇、冬季は放熱が抑制できる。これにより、施設の省エネルギーを達成することができ、ひいては、発電所等が排出するCO削減につながって環境保全に貢献する効果が期待できる。
また、以下の条件で本実施の形態に係る補強方法を施したスレートの強度試験を行った。
強度試験(1):本願発明の施行前後における曲げ破壊荷重試験
強度試験(2):本願発明の施行前後における耐衝撃性試験
強度試験(1)の試験方法:万能試験引張り・圧縮試験機(オートグラフ AGS−1000D 島津製作所 製)によって曲げ破壊加重を測定した。
強度試験(1)の試験体作成方法:大波の古スレート(経過年数不明)1枚から幅40cm(3山)、長さ60cmの寸法で3枚切り出し、1枚は無加工、1枚は補強層と下地層と表層を付したもの(表中では「カチオンパック処理」という。)、1枚は、補強層と補強部材と下地層と表層を付したもの(表中では「カチオンパック処理ガラスメッシュ貼付け」という。)として試験体とする。
なお、上記加工処理を行った試験体については、処理後4週間の養生を行った。
その後上記3つの試験体について同日に試験を行った。
試験結果を下記表3に表す。
上記表3の試験結果から明らかな通り、試験体のスレートについて無加工のものの補強効果を100%として比較した場合、補強層と下地層と表層を付したものの強度は107%になっており、また、補強層と補強部材と下地層と表層を付したものの強度は124%になっている。
強度試験(2)の試験方法:落球式衝撃試験機(安田精機 製)によって質量500gの鋼球を試験体表面に落下させ、試験体裏面のひび割れの有無を観察する。ひび割れが見られない場合は更に落下高さを上げ、試験を継続する。
強度試験(2)の試験体:試験(1)を終了した各スレートから幅13cm(1山)、長さ27cmの寸法で切り出したものを試験体とする。
試験(1)の2日後に試験を行った。
試験結果を下記表4に表す。
上記表4の試験結果から明らかな通り、無処理のスレートは60cmからの落下で微少ひび割れが生じ、70cmからの落下でひび割れが生じた。これに対して、補強層と下地層と表層を付したスレート及び補強層と補強部材と下地層と表層を付したスレートは、それぞれ70cmからの落下でもひび割れは生じず、80cmからの落下でひび割れが生じた。
強度試験(1)及び(2)の結果、他の試験体と比較して、補強層と補強部材と下地層と表層を付したスレートの強度が高いことが実証された。
また、更に、各試験体について割れるまで強制的に押し曲げる試験を行ったところ、補強層と補強部材と下地層と表層を付したスレートのみが完全破断することがなかった。このことから、
(a)スレート上における作業の際に、スレートを踏み抜く危険性が減少する、
(b)飛来物及び落下物により衝撃を受けた場合でも、スレートが完全破壊される危険性が減少する、
という効果が期待される。
本実施の形態では、スレート基材表面の処理の際に、当該作業で使用する浸透プライマーの分量の3分の1をスレート基材2表面に塗布して粉塵飛散抑止層(膜)を形成し、その後に残りの3分の2をスレート基材内部に浸透させて補強層を形成しているが、この数値に限定するものではなく、浸透プライマーの濃度等の変更によって塗布する量の配分を変更してもよい。また、表面を固定するための塗料と、補強層を形成するための塗料は、別のものであってもよい。
本明細書及び特許請求の範囲で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書及び特許請求の範囲に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
本発明に係るスレートの構造を示した斜視説明図及び一部を拡大した断面図。
符号の説明
1 スレート
2 スレート基材
21 劣化部分
22 健全部分
3 補強層
4 下地層
5 表層
6 補強部材

Claims (8)

  1. 既に設置されたスレート(1)のスレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)を形成するスレートの補強方法であって、
    スレート基材(2)表面に付着物除去作業の際に発生する粉塵の飛散抑止のための層又は膜を形成し、その後にスレート基材(2)表面の付着物除去または/および清掃作業を行い、
    上記の粉塵飛散抑止のための層又は膜の上から、スレート基材(2)表面に、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を塗布または吹き付けて補強層(3)を形成し、
    次いで、上記補強層(3)表面に、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)を接着又は配置し、
    次いで、上記補強部材(6)を含む補強層(3)表面に、下地材を塗布または吹き付けて下地層(4)を形成し、
    次いで、下地層(4)表面に、耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層(5)を形成する、
    スレートの補強方法。
  2. ストレート基材(2)内部に浸透して硬化する液状塗剤を、スレート基材(2)表面と劣化部分(21)、またはスレート基材(2)表面と劣化部分(21)に加えて健全部分(22)の一部まで浸透させて補強層(3)を形成する、
    請求項1記載のスレートの補強方法。
  3. 既に設置されたスレート(1)のスレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)を形成するスレートの補強方法であって、
    スレート基材(2)表面の付着物除去および清掃作業を行わずに、基材内部に浸透して硬化する液状塗剤を付着物を含む表面に塗布または吹き付けして、上記液状塗剤を付着物を含むスレート基材(2)表面と劣化部分(21)、または付着物を含むスレート基材(2)表面と劣化部分(21)及び健全部分(22)の一部まで浸透させ、該液状塗剤を硬化させて補強層(3)を形成し、
    次いで、上記補強層(3)表面に、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)を接着又は配置し、
    次いで、上記補強部材(6)を含む補強層(3)表面に、下地材を塗布または吹き付けて下地層(4)を形成し、
    次いで、下地層(4)表面に、耐候性または/および熱反射性を備える塗剤を塗布または吹き付けて表層(5)を形成する、
    スレートの補強方法。
  4. 補強部材(6)は、シート状物、メッシュ状物またはネット状物である、
    請求項1または3記載のスレートの補強方法。
  5. 下地層(4)は断熱性を備える、
    請求項1または3記載のスレートの補強方法。
  6. スレート基材(2)表面に、補強層(3)、下地層(4)、表層(5)が形成されたスレート(1)であって、
    補強層(3)は、スレート基材(2)内部に浸透して硬化する液状塗剤を、スレート基材(2)表面に塗布または吹き付けて形成されており、
    下地層(4)は補強層(3)と表層(5)の間に設けられており、
    上記補強層(3)と下地層(4)の間には、可撓性又は柔軟性を有し、スレート基材(2)の破損を防止するための補強部材(6)が配置されており、
    表層(5)は耐候性または/および熱反射性を備える、
    スレート。
  7. 補強部材(6)は、シート状物、メッシュ状物またはネット状物である、
    請求項6記載のスレート。
  8. 下地層(4)は断熱性を備える、
    請求項6記載のスレート。
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