JP4692927B2 - コンクリート製水路壁面構造体の補修工法及びコンクリート製水路壁面構造体 - Google Patents

コンクリート製水路壁面構造体の補修工法及びコンクリート製水路壁面構造体 Download PDF

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本発明は、取水用あるいは排水用の水理関連設備等として工業用水路や農業用水路に用いられるコンクリート製の水路構造物について、使用により生じたその表面構造等の構造的な劣化部位、脆弱部位を、補強することで構成されるコンクリート製水路壁面構造体と、このような構造体に修復するための補修工法に関する。
数多くの用途で使用されている用水路設備の形態として、樋形状すなわちトラフ形状の断面を有するコンクリート製の水路構造物がある。この種の水路構造物は、一般に10年以上に亘り使用されるが、水路構造物の施工された地盤環境やその後の使用状況等の各種要因によって、それよりも短期で何らかの保全処置が必要となる場合がある。すなわち当初の想定よりも短期間で構造物の劣化が急激に進行し、施工当初の強度が維持できなくなるもの、あるいは何らかの原因によってクラック(亀裂)、割れ、欠け又はひび等の欠陥が発生し構造物の脆弱化した部位より漏水するといった問題が発生するもの、さらに壁面の平滑性が失われる事による流量低下の改善、外観品位や周辺環境が著しく劣悪な状態となり、環境美化等のためにも水路の補修、改修あるいは修復が要望されるものもあり、必然的に劣化した部位あるいは脆弱な部位の補修や改修を施さねばならなくなるという場合である。
このような劣化部位の補修、改修を行う際には、まず水路構造物の劣化部位を除去し、次いで補修材を充填施工するということが一般に行われているが、施工する材料や施工箇所、施工方法によっては、補修完了後の間もない時期に施工された補修材が剥離する、あるいは補修材の膨張収縮に起因するひび割れ、亀裂等が多発することによって、外観品位や水路としての機能に支障をきたす場合が認められ、このような問題を解消するためにこれまでにも多数の発明、改善が行われてきた。
例えば特許文献1では、コンクリート製トラフについて亀裂等の発生した目地部にモルタルあるいはコーキング剤を充填し、その上に無機質浸透性防水塗材と特殊アクリル混和液とを所定比率で混合した軟質防水薄膜層、アクリル系エマルジョン等を含有するハイブリッドモルタルよりなる軟質補強層、さらにその上に軟質表面防水層を順次覆設した構成となるコンクリートトラフ用目地防水皮膜が開示されている。また特許文献2には目地部に低伸縮性のメッシュ状のシート材を施工するという補強方法も開示されている。さらに特許文献3には、複雑な断面形状を有する構造体の目地部に充填するために使用されるエチレン・プロピレンゴム、高純度クロロプレンゴム、天然ゴム、再生ゴム、高減衰ゴムの何れかで成形した漏水防止用シール材が開示されている。また特許文献4には水路等の水密性が要求される内表面に発生した亀裂を修復刷する方法として高吸水性ゲル化物の乾燥粒体を充填するという発明も開示されている。
特開2003−027573号公報 特開2001−271326号公報 特開2005−282180号公報 特開平5−321362号公報
しかしながらこれまでに開示された工法だけでは、各種の用途に適用され、施工環境の良いものから劣悪なものまで多様な状態にあるコンクリート製の水路構造物に発生する種々の問題を改善するには充分なものではない。特許文献1や特許文献2にあるような構成は、それなりに高い性能を有するものではあるが、水路の壁面全体についての改善を実現できるものではなく、また施工後の目地部が水路内面へ盛り上がった状態となるため、水路底面に流れの滞る澱みを作りやすく、形成された澱みが新たな目地の欠陥を発生させる原因となる虞もある。また特許文献3に開示された内容については、水路の断面構造が複雑であるために施工に高額な費用が必要となるものであり、また長時間の施工工期が必要となるという問題もある。また特許文献4に記載された方法についても、施工が水路の局所に限定されたものとなるため、長期に亘る信頼性という点では不十分なものとなる場合があり、その用途も限定されるものである。
本発明は、係る状況に鑑み、農業用水路等の水理関連設備に用いられるコンクリート製水路構造体について、種々の原因により発生する劣化部位、脆弱部位を適切に改善し、従前以上の強度を実現して、施工後の硬化体表面に発生する微細なクラック、亀裂を抑止し、長期に亘り強度面、剛性面、そして化学的な耐久性について、高い信頼性、安定性を有する水路の構造を構築できるコンクリート製水路壁面構造体と、このようなコンクリート製水路壁面構造体に容易に修復することができる作業性の良好な補修工法の提供を課題とする。
本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、モルタル基材を塗工することにより補修されてなるコンクリート製水路壁面構造体であって、前記モルタル基材は、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるものであり、水路壁面の該モルタル基材の接続部に、20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材を介して弾性衝撃吸収材が当接され、弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材とが、隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない塗工モルタル基材と弾性保護材とにより覆設されてなる目地部を有することを特徴とする。
ここで、モルタル基材を塗工することにより補修されてなるコンクリート製水路壁面構造体であって、前記モルタル基材は、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるものであり、水路壁面の該モルタル基材の接続部に、20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材を介して弾性衝撃吸収材が当接され、弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材とが、隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない塗工モルタル基材と弾性保護材とにより覆設されてなる目地部を有するとは、劣化部位が除去されて水路壁面に露出したコンクリートの健全部に、モルタル基材が塗工され、補修されてなるコンクリート製水路壁面構造体であって、前記モルタル基材は、セメント、砂及び弾性率が20GPa以上の繊維を含有してなるものであり、水路壁面のモルタル基材の流水方向に略直交する接続部は、前記コンクリートの健全部に形成された流水方向に略直交する溝部と、該溝部内の溝幅方向の中央部に、弾性率が20GPa以上の繊維を含有するセメントモルタル系固定材により挟持状態で固定された弾性衝撃吸収材と、該弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材上に位置するところの隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない前記モルタル基材の各接続端部と、該弾性衝撃吸収材の上面を覆って保護する弾性保護材とにより構成されてなる目地部とを有することを特徴とすることを表している。隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない前記モルタル基材とは、その塗工工程において先に塗工されたモルタル基材が充分濡れているうちに塗り継がれたものであり、硬化乾燥後のモルタル面に塗り継いだいわゆるコールドジョイントがない事を表している。
セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材は、それぞれ含有成分の配合比について特に限定されるものではなく、公知の配合比をもって使用することができる。またこれらの成分以外にも複数の添加物を必要に応じて配合することが可能である。また水路壁面のモルタル基材の接続部については、平面であることが好ましいが、必ずしも平面である必要はない。弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材についてもその平面性については同様である。
またセメントモルタル系固定材については、周囲のコンクリートと同程度の膨張収縮性を有することが大切である。このような観点から、セメントモルタル系固定材についてもモルタル基材と同じような材料を採用するのが好ましいが、その塗りつけ厚がモルタル基材よりも厚くなるため、塗工時のダレやズレの小さい配合となるようにする事が望ましい。
本発明に係る20GPa以上の弾性率の繊維としては、チョップ、連続繊維、シート、ネットあるいはメッシュ状のものが好ましいが、他の形態例えば圧延布状、あるいはマット状であってもよい。ネットあるいはメッシュ状のシートについては、繊維を製織したものであっても、不織形態のものであってもよい。製織された形態のものである場合には、例えば絡み織り、平織り等の公知の織り形式によるものを採用することができ、不織形態であれば組布のようなものであってもよい。繊維製のシートには、必要に応じて複数の有機樹脂剤を公知の方法によって塗布することができ、シートの固さやハンドリング性を適切な状態に調整することができる。
本発明に係る20GPa以上の弾性率の繊維の材質としては、耐アルカリガラス繊維、カーボン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、アラミド繊維などがある。耐アルカリガラス繊維としては、例えば質量百分率表示で、SiO2 54〜65%、ZrO2 14〜25%、Li2O 0〜5%、Na2O 10〜17%、K2O 0〜8%、RO(ただし、Rは、Mg、Ca、Sr、Ba、Znの合量を表す) 0〜10%、TiO2 0〜7%、Al23 0〜2%が好適であって、より好ましくは、質量%で、SiO2 57〜64%、ZrO2 18〜24%、Li2O 0.5〜3%、Na2O 11〜15%、K2O 1〜5%、R’O(ただし、R’は、Mg、Ca、Sr、Ba、Znの合量を表す)0.2〜8%、TiO2 0.5〜5%、Al23 0〜1%が好ましい。
20GPa以上の弾性率の繊維であることを確認する方法としては、公知の方法であって正確な再現性を有する方法であればよく、例えば繊維が耐アルカリガラス繊維であればJIS R3420(1999)に記載の方法により測定した引張強さと伸びにより弾性率を計算すればよく、カーボン繊維であれば、JIS R7606(2000)に記載の方法で、他の繊維であればJIS R3420に記載の方法を準用すればよい。
水路壁面のモルタル基材に含有されるモルタルについては、どのような構成を有するものであっても、いわゆるセメントモルタルで、一般的に建築土木用材料として用いられるセメント、細骨材、軽量骨材、水、水性ポリマーディスパージョンを適量含有するモルタルあるいはポリマーセメントモルタルを使用することができる。そしてここにさらに各種の混和剤を適切な配分で適宜添加混合することも可能である。砂/セメント比が大きいほど一般的に高強度であるが、乾燥収縮が大きくなりひび割れなどの発生する危険性が高くなるため、砂/セメント比が1〜3の範囲内にあるなら好ましい。
この各種の混和剤としては、モルタルの特定の性能を向上するものであればどのようなものであっても添加することが可能である。例えば硬化促進剤や硬化遅延剤として、モルタルやコンクリートの温度や外気温度の影響を軽減化する場合や混合後に打設するまでの時間により凝結速度を調節するために使用されるものを使用することができる。またスラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の珪素含有混和剤等を添加し、長期的な強度、水和熱低減効果、耐浸食性あるいは耐熱性の向上、さらに水密性や流動性の向上、また収縮率低減などの諸機能を付与するために使用することもできる。またAE剤(Air Entraining Agent:空気連行剤ともいう)として、コンクリート中に無数の微細気泡を混入せしめ、型枠内へコンクリートを打ち込む際の作業性や硬化コンクリートの耐久性、耐凍害性を向上するために用いられるコンクリート混和材料を使用することもできる。さらに減水剤として、コンクリート中に混和させて作業性を損なうことなく使用水量を減少させることができる混和剤を使用することもできる。そして鉄筋等が使用されている場合には防錆剤として、コンクリート中に含有される塩分(主に塩化成分)に起因する鉄筋等酸化性骨材の腐食制御のために使用される混和剤を使用することもできる。またモルタルおよびコンクリート中に多量の気泡を含ませて軽量化、断熱性等の性質付与のため使用される気泡剤も使用できる。また弾性率の低い繊維を添加する事でごく初期のモルタル表面に発生するひび割れを低減することもできる。さらに上記以外にも、流動化剤、増粘剤、防水剤、着色剤、あるいは急結剤等を適宜必要に応じて添加してもよい。
またモルタルに混合される砂については、特に限定されるものではないが、例えばJIS A 5308(2003)の付属書1に規定されている砕砂や砂であれば、より好ましい。さらには、本発明の塗工厚が薄いことから、その最大粒径を2.5mm以下とする事で、施工された水路壁の表面の仕上がりが良好な状態となるので好ましい。また、0.15mm以下の微粉が少ない方がモルタルの耐摩耗性が向上するためよい。
さらにモルタルに使用する水に関しても、特段のものは必要としない。ただし水の可溶成分としてセメントの水和反応による硬化を妨げるような働きをする成分が添加されたものを使用するのは好ましくなく、例えばJIS A 5308(2003)レディーミクストコンクリートに規定される水を使用することができる。
モルタル基材の接続部に配設される弾性衝撃吸収材としては、長期間の化学的な耐久性を実現し、衝撃などの外力を吸収する適度な弾力性を有し、温度変化や乾湿の変化よって発生するモルタル基材の伸縮により、モルタル製基材に作用する引張力、押圧力を吸収することができる材料により構成されるものであれば、その大きさ、厚さや材料構成についてはどのようなものであってもよい。
また弾性衝撃吸収材としては、複数の材料で構成したものであっても単独の材料を採用したものであってもよい。また弾性保護材についても、弾性衝撃吸収材と同等以上の変形追従性を有し弾性衝撃吸収材を保護する機能を有するものであれば、どのような材料構成であってもよく、複数の材料あるいは単独材料により構成されるものであってもよい。
弾性保護材について例示すれば、建築材料として一般的に使用されているシーリング材あるいはコーキング材と呼ばれる有機材料が使用できる。その材質としては、アクリル系、ウレタン系、シリコン系、変性シリコン系、又はポリサルファイド系などの材質を使用でき、特にシリコン系あるいはポリサルファイド系の材質は耐久性が高く長期の耐久性が要求される場合に適している。
またこの弾性保護材の施工方法については、建築材料として弾性保護材が使用される場合と同様の公知の方法を使用することができる。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、上述に加えモルタル基材中に、20GPa以上の弾性率の繊維製シート材が略全面に亘って埋設されてなるものであれば、水路壁面の略全面について、安定した経時的な強度と化学的な耐久性を実現することができ、その表面のひび割れを効果的に抑制することができる。特に目地部を構成する弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材とを弾性保護材とシート材を含む塗工モルタルで覆設する場合に、シート材を隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない塗工モルタル基材の端部まで埋設するならば、最もひび割れの発生しやすい目地部においてもひび割れを抑制することができる。
20GPa以上の弾性率の繊維製シート材を水路の略全面に亘って埋設する方法については、どのような方法によるものであってもよいが、シート材をモルタル基材に貼設することで水路の略全面に施工するものであることが重要である。シート材は、単層であっても複層構造であってもよく、特に漏水等を危惧する箇所ではシートを二重以上に重ねて施工することによって、より強度の高い構造とすることが可能である。また、シート材のつなぎ目はその重ね代を5cm以上取れば、シート材同士のつなぎ目あるいはその近傍に於けるモルタル基材のひび割れ、亀裂等を効果的に抑制できる。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、上述に加えモルタル基材が、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル樹脂、及びSBR樹脂の何れかを含有するものであれば、水路壁面の構造体の長期的な耐久性や表面の強度、耐摩耗性、養生性、あるいは防水性などの水路の性能を最適なものとすることができる。
ここで、モルタル基材が、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル樹脂、及びSBR樹脂の何れかを含有するものとは、モルタル基材が、酢酸ビニルとエチレンとの共重合反応による生成物であるか、あるいはアクリル酸、メタクリル酸およびこれらの誘導体であるか、スチレンとブタジエンのラジカル共重合物のいずれか1種以上を含有するということを表している。
酢酸ビニルーエチレン共重合体、アクリル樹脂、及びSBR樹脂の何れかの添加形態としては、エマルジョンのような液体成分として添加することもできるし、粉末や顆粒等の形態として添加することもできるし、このような形態のいずれをも併用することが可能である。いずれの有機樹脂についてもセメントに対して0〜50質量%の範囲内、すなわち50質量%以下の添加量とすることで、適量を必要に応じて増減させることができる。有機樹脂の添加量が、セメントに対して50質量%を越える添加量とすると、モルタルの塗工作業性に問題の発生する場合があるので好ましくない。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、上述に加え弾性衝撃吸収材が、木質繊維含有材料、発泡樹脂含有材料、ゴム含有材料、弾性プラスチック含有材料、紙含有材料又は布含有材料よりなるものであれば、水路壁面について施工当初のモルタルの硬化反応や乾燥収縮によって生じる施工面のひび割れやクラック、迫り上がり現象等を抑止することができる。
ここで、弾性衝撃吸収材が、木質繊維含有材料、発泡樹脂含有材料、ゴム含有材料、弾性プラスチック含有材料、紙含有材料又は布含有材料よりなるものであるとは、水路壁面のモルタル基材の接続部に当接される弾性衝撃吸収材が天然木の繊維を含む材料、気泡を含有する樹脂材料、有機あるいはSi(シリコン)のゴム成分を含む材料、弾性係数の高いプラスチックを含む材料、紙を含む材料、布を含む材料の内の少なくとも1種以上により構成されることを表している。
具体的に上述の材料について例示すれば、米国ASTM D1751(83)の規格に合格している瀝青質繊維質目地板のアオイ化学工業(株)製のケンタイト(登録商標)やエラスタイト(登録商標)等の複合材質、発泡スチロール及びその成形品、シリコンゴム応用製品、アスファルト含有製品を適宜利用する材料などを適用可能である。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、上述に加え弾性衝撃吸収材が、厚さ5mmから50mmの範囲内の長尺体であるならば、取り扱い易く、施工が容易であり、作業効率が向上するので好ましい。
ここで、弾性衝撃吸収材が、厚さ5mmから50mmの範囲内の長尺体であるとは、モルタル基材の伸縮を緩和するようにモルタル基材の接続部に当接される弾性衝撃吸収材料の平均厚み寸法が5×10-3mから5×10-2mの範囲内にあるような長尺形状を有する構成物であることを表している。
長尺体であれば、棒状物であっても板状物であってもよく、断面形状が略三角形、略四角形、略五角形などの略多面体構造であっても、略楕円形等の形状であっても支障ない。また長尺体の一方での断面形状と他方での断面形状や寸法が異なる構成であっても所定の性能が実現できるならばよい。また複数の材料を折りたたんだり巻き込んだりすることによって形成された長尺体であっても支障ない。
弾性衝撃吸収材の厚み寸法が5mmに満たないとモルタル基材の膨張収縮を充分に緩和することができない場合があるため好ましくない。また弾性衝撃吸収材料の厚み寸法が50mmを越えるとその厚みに応じた効果が期待できなくなる一方、施工費用は高額になるので好ましくない。ここでの弾性衝撃吸収材の厚み寸法とは、平均厚み寸法を意味している。
本発明のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法は、水路壁面に生じた劣化部位を除去し、露出したコンクリートの健全部にモルタル基材を塗工することにより補修するコンクリート製水路壁面構造体の補修工法であって、前記水路壁面のコンクリートの健全部に、弾性衝撃吸収材を流水方向に略直交する方向に配置して固定する衝撃吸収材配設工程と、その後に衝撃吸収材の両側の健全部上の隣り合う接続部間に打ち継ぎ部のないモルタル基材を塗工する塗工工程とを有し、前記モルタル基材の流水方向に略直交する接続部を形成することを特徴とする。
ここで、水路壁面に生じた劣化部位を除去し、露出したコンクリートの健全部にモルタル基材を塗工することにより補修するコンクリート製水路壁面構造体の補修工法であって、前記水路壁面のコンクリートの健全部に、弾性衝撃吸収材を流水方向に略直交する方向に配置して固定する衝撃吸収材配設工程と、その後に衝撃吸収材の両側の健全部上の隣り合う接続部間に打ち継ぎ部のないモルタル基材を塗工する塗工工程とを有し、前記モルタル基材の流水方向に略直交する接続部を形成するとは、前記したように水路壁面に生じた劣化部位を各種方法により適切に除去し、除去によって露出した健全部にモルタル基材を塗工するコンクリート製水路壁面構造体の補修工法について、衝撃吸収材配設工程とその後に行われるモルタル基材を塗工する塗工工程の少なくとも2つの工程を有し、衝撃吸収材配設工程は水路内の流水方向にほぼ直交するような配設位置に衝撃吸収材を配設して固定する工程であり、衝撃吸収材の両側の健全部上に隣り合う接続部間に打ち継ぎ部がないようにモルタル基材を塗工する塗工工程については、配設され固定された衝撃吸収材の両側であって、しかも健全部の上方にモルタル基材を所定の工具等を使用して、先に塗工されたモルタル基材が充分濡れているうちに隣り合う接続部間を塗り継ぐものであり、硬化乾燥後のモルタル面に塗り継ぐいわゆるコールドジョイントがないように塗工する事を表している。
ここで、衝撃吸収材配設工程と衝撃吸収材の両側の健全部上にモルタル基材を塗工する塗工工程の2つの工程については、配設された衝撃吸収材の両側の健全部について、その隣に配設された衝撃吸収材までの間の健全部上方の面の塗工を衝撃吸収材の配設の後で行うということを対象としたものであって、それより離れた位置にある健全部上についても工程の順番を必ずしも限定するものではない。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法は、上述に加え衝撃吸収材配設工程が、水路壁面のコンクリートの健全部に流水方向に略直交する溝部を形成し、該溝部内の溝幅方向の中央部に20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材で弾性衝撃吸収材を挟持状態に固定する工程であって、塗工工程が、弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材上に、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材の各接続端部が位置するように、かつ隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずに塗工する工程であり、かつ、該弾性衝撃吸収材の上面を弾性保護材で覆って保護する目地部形成工程を有するものであれば、前記した衝撃吸収材配設工程では、まず流水方向とほぼ直交する方向に延びる溝を形成し、その溝の溝幅のほぼ中央位置に20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材を配し、弾性衝撃吸収材の両側を挟むように固定するもので、塗工工程が弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材の上方にセメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材の各接続端部が配接されるようにするとともに、各接続端から他端までの間(接続部とその隣の接続部との間)に打ち継ぎ部がないようにするもので、さらに弾性衝撃吸収材の上面を弾性保護材で被覆することにより保護する目地部形成工程を有するものであることを表している。
該溝部内の溝幅方向の中央部に20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材で弾性衝撃吸収材を挟持状態に固定する工程については、適当な仮固定具や木枠等を適宜使用することが可能であって、一時的に弾性衝撃吸収材が動かないように固定しつつ、20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材により挟持状態に固定することができればよい。
また塗工工程が、弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材上に、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材の各接続端部が位置するように、かつ隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずに塗工する工程については、公知の工具や機具を必要に応じて使用することにより平坦な面を形成することができ、さらに必要に応じてその表面に板状材などを施工する、あるいは模様や凹凸などの所定の段差を形成することもできる。
また該弾性衝撃吸収材の上面を弾性保護材で覆って保護する目地部形成工程については、押圧を要する場合には、均等な圧力を加えることのできる治具などを使用することもできる。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法は、上述に加えモルタル基材の塗工において、20GPa以上の弾性率のメッシュ状繊維をモルタル基材中に伏せ込むものであれば、施工面の強度を施工前同等以上に向上させることができるので好ましい。
20GPa以上の弾性率のメッシュ状繊維については、メッシュ状繊維の目間隔やメッシュ状繊維の織りの種類についても特に限定されるものではない。すなわちメッシュの目間隔については、メッシュを構成する繊維束間の空隙の大きさを規定するものであり、空隙の最大寸法を問題とするものであって、所定の織り方を採用した場合に、繰り返される繊維束の織り模様によって発生する繊維束間の空隙箇所の内、最も大きい空隙箇所についてその繊維束断面の中心から1つの空隙を挟んだ他の繊維束断面の中心までの寸法を意味している。そしてメッシュ状繊維は、そもそもメッシュの目間隔を有するものであって、メッシュ状繊維による織物であれば、メッシュの目間隔によって限定されないということを意味している。またメッシュ状繊維の織物の織り方については、例えば複数のたて糸をよこ糸に絡ませた絡み織り、たて糸とよこ糸が1本ごとに上下しながら交差する平織り、あるいは組布等の種々の形態が可能であって好適であるが、それ以外にも二軸や三軸あるいは四軸さらに多軸のような構成で、格子を形成するメッシュ織物でもかまわない。同様に、その格子の形状は四角や三角あるいはそれ以上の多角形を有するものであってもかまわない。三軸以上のネットの場合、繊維の重なりが3重や4重になる交点が発生するが、その交点をずらすような織り方に調整できるなら、メッシュ織物の厚み寸法が厚くなりすぎないため好ましい。
ただし、本発明に係るメッシュ状繊維は、上述に加えその目間隔が小さい程モルタルのクラックを防止し易い性能を実現できるので好ましいが、目間隔を極端に小さくし過ぎるとメッシュ織物の生産性を低くする場合もあり、モルタルとメッシュ状繊維による織物の馴染みが悪く、施工状態によっては剥離を生じる場合もあるので、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上とすることである。
また本発明のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法は、上記のコンクリート製水路壁面構造体に補修するものであれば、コンクリート製水路壁面構造体の耐用期間を当初設計時よりも長期間にすることができるので好ましい。
本発明のコンクリート製水路壁面構造体とその施工方法は、農業用水路ばかりでなく灌漑用水路や工業用水路、さらに河川の壁面構造についても適用することができるものであり、高い信頼性を実現することが可能となる。
(1)以上のように、本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、モルタル基材を塗工することにより補修されてなるコンクリート製水路壁面構造体であって、前記モルタル基材は、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるものであり、水路壁面の該モルタル基材の接続部に、20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材を介して弾性衝撃吸収材が当接され、弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材とが、隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない塗工モルタル基材と弾性保護材とにより覆設されてなる目地部を有するため、施工が容易で作業性が良好であり、しかも長期に亘り強度面、防水面、剛性面、そして化学的な耐久性について、高い信頼性を実現することのできる水路の壁表面を構築することができる。
(2)また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、モルタル基材中に、20GPa以上の弾性率の繊維製シート材が略全面に亘って埋設されてなるものであれば、目地部ばかりでなく水路の側壁面や底面についても充分な保全を行うことができ、目地部以外で発生する危険性のある亀裂等をも未然に防止することができる。
(3)さらに本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、モルタル基材が、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル樹脂、及びSBR樹脂の何れかを含有するものであれば、水路壁面の構造体の長期的な耐久性や表面の強度、耐摩耗性、養生性、防水性などの水路の性能を最適なものとすることができる。
(4)また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、弾性衝撃吸収材が、木質繊維含有材料、発泡樹脂含有材料、ゴム含有材料、弾性プラスチック含有材料、紙含有材料又は布含有材料よりなるものであれば、モルタル基材の塗工当初の膨張収縮ばかりでなく、長期に亘る膨張収縮現象の振幅を確実に緩和することができるので、水路の使用寿命を延長することが可能となる。
(5)また本発明のコンクリート製水路壁面構造体は、弾性衝撃吸収材が、厚さ5mmから50mmの範囲内の長尺体であるならば、取り扱い易く塗工作業や操作が容易であって、このため塗工の際の誤操作等が発生しにくいため、高い信頼感あるコンクリート製水路壁面構造体の補修が容易となる。
(6)本発明のコンクリート製水路壁面構造体の施工方法は、水路壁面に生じた劣化部位を除去し、露出したコンクリートの健全部にモルタル基材を塗工することにより補修するコンクリート製水路壁面構造体の補修工法であって、
前記水路壁面のコンクリートの健全部に、弾性衝撃吸収材を流水方向に略直交する方向に配置して固定する衝撃吸収材配設工程と、その後に衝撃吸収材の両側の健全部上の隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずにモルタル基材を塗工する塗工工程とを有し、前記モルタル基材の流水方向に略直交する接続部を形成するものであれば、弾性衝撃吸収材を適切な寸法で適切な箇所に配設することができ、水路全体について側壁面や底面等の膨張伸縮により生じる亀裂やクラック、ひび等の欠陥を充分に抑止する構造体とすることのできるものである。
(7)また本発明のコンクリート製水路壁面構造体の施工方法は、衝撃吸収材配設工程が、水路壁面のコンクリートの健全部に流水方向に略直交する溝部を形成し、該溝部内の溝幅方向の中央部に20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材で弾性衝撃吸収材を挟持状態に固定する工程であって、塗工工程が、弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材上に、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材の各接続端部が位置するように、かつ隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずに塗工する工程であり、かつ、該弾性衝撃吸収材の上面を弾性保護材で覆って保護する目地部形成工程を有するものであるため、目地部を経時的に頑丈な構造にすることが可能であり、補修後の目地部についての耐用期間を延ばすことができるものである。
(8)さらに本発明のコンクリート製水路壁面構造体の施工方法は、モルタル基材の塗工において、20GPa以上の弾性率のメッシュ状繊維をモルタル基材中に伏せ込むものであれば、メッシュ状繊維の高い機械的な性能を利用することによって、モルタル基材の塗工面の略全面についての強度品位をより高い水準で維持することができ、特別な注意を払うことなく脆弱な表面を形成しにくくすることが容易となり、安定した表面を実現することができる。
(9)また本発明のコンクリート製水路壁面構造体の施工方法は、上記のコンクリート製水路壁面構造体に補修するものであれば、コンクリート製水路壁面構造体に発生する劣化部位を効率よく補修することができ、施工に要する費用を抑制することができる。
以下に本発明の補修されたコンクリート製水路壁面構造体とコンクリート製水路壁面構造体の補修工法について、実施例に基づいて具体的に説明する。
図1に本発明の補修されたコンクリート製水路壁面構造体について示す。図中で10は水路壁構造体、11はコンクリートの健全部、20は目地、21は弾性衝撃吸収材料、22は弾性衝撃吸収材料21のセメントモルタル系固定材である詰め込みモルタル、23は弾性保護材、24はモルタル基材、24aは下塗り層、24bは上塗り層、25はシート状繊維、Wは水路をそれぞれ表している。本実施例のコンクリート製水路壁面構造体10は、図1に示すように水路の流れ方向に沿ってチョップ状有機繊維を含有するモルタル基材24よりなる鉄筋Tが配設された構造体であって、その略直角の方向にモルタル基材24の当接箇所があり、その当接箇所には目地20が約10m間隔で施されている。そしてモルタル基材部には、水と直接接触する面にモルタル基材24が形成されており、モルタル基材24にはチョップ状有機繊維を含有するモルタル基材24よりなる下塗り層24aと、シート状繊維25と、チョップ状有機繊維を含有するモルタル基材24よりなる上塗り層24bとを有する層状構造を形成するように施工されたものである。
図1のような構成のコンクリート製水路壁面構造体10とする工法について以下順番に具体的に説明する。また施工工法の工程の順序については、図2にその順番をブロック図の形式で示す。コンクリートに劣化の発生した水路Wの補修を行う場合、まず対象となる水路Wについての調査を行う。ここで対象となる水路は、農業用水路、特に稲作等の灌漑用途で使用される水供給用として使用される用水路についてのものであるが、経年変化によりコンクリート製水路壁の表面及びその近傍に劣化部位が発生したため、改善、あるいは補修するための処理が必要となったものである。
水路Wの調査の後、まず補修工法を適用する水路W内に堆積する土砂、ヘドロ及び水草等の除去を行う。水路内の土砂等の除去作業が完了後に、10〜20MPa程度の高圧水により、除去作業で充分に取りきれなかった藻や苔等と一緒に、老朽化して脆弱化し劣化部位となったコンクリート水路Wの表面の除去を行う。この時、わずかに健全部11が除去される程度まで確実に劣化部位が除去されるようにコンクリートの除去を行う。
老朽化による劣化部位の除去が完了した段階で、水路コンクリートの損傷の程度を調査し、大きなひび割れ、鉄筋の露出、大きな欠損等の位置や大きさを特定した。露出している鉄筋Tに対しては日本化成(株)製の「NSメンテペースト」(商品名)を用いて防錆処理を、大きな欠損に対しては、吸水調整材Kとして日本化成(株)製の樹脂性水性接着剤「NS−ハイフレックス HF−1000」(商品名)をプライマー処理として被覆を行い、下地処理としてモルタルによる埋め戻しを行う。
鉄筋の防錆処理と欠損部の埋め戻しと並行し、約10mの間隔で目地20を形成する。目地20については、次の手順で形成する。まず水路の幅方向に弾性衝撃吸収材を配設するための溝を作成する。溝の幅はおおよそ10cmで深さは5cm程度とする。側壁の高さおよび底面の幅にそれぞれ切断した厚み10mm、幅40mmの断面を有する瀝青質繊維質目地板(商品名 ケンタイト(登録商標))を弾性衝撃吸収材料21として施工箇所に据え、その周囲に弾性衝撃吸収材のセメントモルタル系固定材として20GPa以上の弾性率のチョップ、具体的には弾性率が約74GPaのガラス製チョップを質量百分率で2%の含有率で含む詰め込みモルタル材を弾性衝撃吸収材21の両側に挟接するように詰め込み、弾性衝撃吸収材料21を固定する。
欠損部の埋め戻しモルタルと目地部の詰め込みモルタルが硬化後、弾性保護材を施工するための仮目地を設置し、吸水調整材Kとして日本化成(株)製の樹脂性水性接着剤「NS−ハイフレックス HF−1000」(商品名)をプライマー処理として施工全面に被覆を行う。
次いで水路壁構造体10の健全部11に予め準備したセメント配合材を鏝などの適切な工具を使用して仮目地の部分を除いて隣り合う目地間に打ち継ぎ部のないように一定の厚みで均等に塗工する。セメント配合材の調整としては、質量部表示で、セメント 100部、砂 200部、ガラス繊維 0.7部、酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルジョン 10部、チョップ状有機樹脂繊維 0.7部、水 45部となるように調整したものである。ここで、ガラス繊維については、日本電気硝子(株)製の耐アルカリガラス繊維製「スーパークラックノン・パック」(商品名)のARGチョップドストランドを、また酢酸ビニル−エチレン共重合体エマルジョンについては、日本化成(株)製の「NS−ハイフレックス HF−1000」(商品名)を使用する。またチョップ状の有機樹脂繊維としては、長尺寸法6mm、直径寸法0.1mmであって、アスペクト比の値が60のポリプロピレン製チョップドストランドを使用している。
こうして水路構造体10の露出面の健全部11について、下塗り層24aが約6mmの厚みで施工された状態となる。このような下地処理を終えた後、露出面の健全部11に次いで平坦に均された下塗り層24aの表面にシート状繊維として日本電気硝子(株)製の組布タイプの耐アルカリガラス繊維製ネット「TD5×5」(商品名)25を仕上げ用鏝と櫛形ローラーを用いて浮きのないように伏せ込む。
そして耐アルカリガラス繊維製ネット25の上方より前記したと同様の配合組成を有するセメント配合材を前記したと同様の手順により均等に連続して塗工していき、下塗り層24aとの合計の厚みが10mmとなるように調整し、その表面を平坦で平滑な状態に仕上げた。
塗工モルタルが硬化後、仮目地を取り外し、弾性保護材23を施工し、図1の水路壁構造体10の構造となる。
以上のように本発明のコンクリート製水路構造体10についての補修工法を採用することによって、目地20がモルタル基材24の膨張収縮を緩和し、亀裂やクラック、ひびなどの欠陥が発生しにくい、非常に強固で頑強な耐久性の高い構成物となる。またコンクリート製水路壁の補修工法では、上記のような手順で作業を行うため、目地20を適所に配設することができ、また施工後の硬化体表面を安定した状態に維持でき、硬化直後に発生する微細なクラックやひび割れをも効果的に抑制することができる。
本発明のコンクリート製水路壁面構造体の説明図であって、(A)は部分断面斜視図、(B)は(A)の部分断面要部X−Xの拡大図。 本発明のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法の施工の順番を示すブロック図。
符号の説明
10 水路壁構造体
11 コンクリート健全部
20 目地
21 弾性衝撃吸収材
22 詰め込みモルタル(セメントモルタル系固定材)
23 弾性保護材
24 モルタル基材
24a 下塗り層
24b 上塗り層
25 耐アルカリガラス繊維製ネット(シート状繊維)
S 土壌
T 鉄筋
W 水路

Claims (9)

  1. モルタル基材を塗工することにより補修されてなるコンクリート製水路壁面構造体であって、
    前記モルタル基材は、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるものであり、水路壁面の該モルタル基材の接続部に、20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材を介して弾性衝撃吸収材が当接され、弾性衝撃吸収材とそれを挟接するセメントモルタル系固定材とが、隣り合う目地間に打ち継ぎ部のない塗工モルタル基材と弾性保護材とにより覆設されてなる目地部を有することを特徴とするコンクリート製水路壁面構造体。
  2. モルタル基材中に、20GPa以上の弾性率の繊維製シート材が略全面に亘って埋設されてなることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート製水路壁面構造体。
  3. モルタル基材が、酢酸ビニル−エチレン共重合体、アクリル樹脂、及びSBR樹脂の何れかを含有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート製水路壁面構造体。
  4. 弾性衝撃吸収材が、木質繊維含有材料、発泡樹脂含有材料、ゴム含有材料、弾性プラスチック含有材料、紙含有材料又は布含有材料よりなるものであることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のコンクリート製水路壁面構造体。
  5. 弾性衝撃吸収材が、厚さ5mmから50mmの範囲内の長尺体であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のコンクリート製水路壁面構造体。
  6. 水路壁面に生じた劣化部位を除去し、露出したコンクリートの健全部にモルタル基材を塗工することにより補修するコンクリート製水路壁面構造体の補修工法であって、
    前記水路壁面のコンクリートの健全部に、弾性衝撃吸収材を流水方向に略直交する方向に配置して固定する衝撃吸収材配設工程と、その後に衝撃吸収材の両側の健全部上の隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずにモルタル基材を塗工する塗工工程とを有し、前記モルタル基材の流水方向に略直交する接続部を形成することを特徴とするコンクリート製水路壁面構造体の補修工法。
  7. 衝撃吸収材配設工程が、水路壁面のコンクリートの健全部に流水方向に略直交する溝部を形成し、該溝部内の溝幅方向の中央部に20GPa以上の弾性率の繊維を含有するセメントモルタル系固定材で弾性衝撃吸収材を挟持状態に固定する工程であって、塗工工程が、弾性衝撃吸収材の両側のセメントモルタル系固定材上に、セメント、砂及び20GPa以上の弾性率の繊維を含有してなるモルタル基材の各接続端部が位置するように、かつ隣り合う接続部間に打ち継ぎ部を設けずに塗工する工程であり、かつ、該弾性衝撃吸収材の上面を弾性保護材で覆って保護する目地部形成工程を有するものであることを特徴とする請求項6に記載のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法。
  8. モルタル基材の塗工において、20GPa以上の弾性率のメッシュ状繊維をモルタル基材中に伏せ込むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法。
  9. 請求項1から請求項5の何れかに記載のコンクリート製水路壁面構造体に補修することを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載のコンクリート製水路壁面構造体の補修工法。
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