JP5672110B2 - コンクリートの劣化防止表面被覆工法 - Google Patents
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Description
有機系の表面被覆材としては、エポキシ系又はウレタン系塗料等があり、無機系の表面被覆材としては、ポリマーセメント系のものがある。無機系の表面被覆材としては、例えば、セメント、平均粒径が150μm以上で最大粒径が1180μm未満の増量材及び、アクリル系ポリマーの水性ディスパージョンとを含有し、当該セメント及び当該増量材の無機粉体中、前記増量材は粒径150μm以上600μm未満の粒子が無機粉体中に20〜45質量%含有されるとともに、粒径600μm以上1180μm未満の粒子が無機粉体中1質量%以下の量で含有されてなる、ポリマーセメント系コンクリート表面被覆材(特開2006−248879号公報(特許文献1))が提案されている。
例えば、特開2007−247290号公報(特許文献2)には、コンクリートの表面に、プライマー層(A)、主材層(B)、コンクリート剥落防止用シート(C)、主材層(B)及び上塗り塗膜層(D)を順次積層するコンクリート剥落防止表面被覆工法であって、主材層(B)が20℃における粘度が15〜200Pa・sである水性ポリウレタン塗料(b)によって形成されるものであることを特徴とするコンクリート剥落防止表面被覆工法が、また特開2009−150085号公報(特許文献3)には、コンクリート躯体の表面側に網状の剥落防止材を接着させてコンクリート片の剥落を防止するコンクリート片の剥落防止工法であって、上記コンクリート躯体の表面に、塗布後2時間以内でタックフリーとなるような速乾性を有するプライマーを層状に塗布する工程と、この塗付されたプライマー層の表面に、網状の剥落防止材を層状に配置する工程と、この配置された剥落防止材の表面に、最大引張荷重時の伸びが100%以上で且つ最大引張応力が1.0N/mm2以上の弾性を有する樹脂を含浸材として層状に塗布する工程とを含むことを特徴とするコンクリート片の剥落防止工法が開示されている。
また、該表面被覆材は高弾性対応の伸び性能が良好な材料が使用されており、コンクリートの空隙中の空気が暖められることや、水蒸気透過が不十分な場合等、微小な膨れが表面まで現れることがあった。
例えば、高所(足場等)での作業を行なうに際し、20Lのペール缶等で持ち運びをすること等が通常であるが、従来はその重量が25kgを超えており、施工性が劣っていた。
請求項4記載のコンクリートの劣化防止表面被覆工法は、請求項1〜3いずれかの項記載のコンクリートの劣化防止表面被覆工法において、前記メッシュ繊維シートは、コンクリートの劣化対象部分を覆うように全面的に設置されることを特徴とするコンクリート劣化防止表面被覆工法である。
さらに、コンクリートのひび割れを長期に亘って防止するとともに、コンクリート自体にひび割れが発生しても、表面被覆した表面にひび割れが生じず、また微細な膨れ発生による表面美観を損なうことのない工法である。
従って、二酸化酸素、水分等の侵入を防止するとともに、背面水等の湿分がコンクリートの内側に生じても膨れ等を生じることなく、コンクリートの劣化を防止することが可能となる。更に、高弾性ポリマーセメントモルタルを用いることで、コンクリート構造物の変形に追従することがより可能となる。
本発明のコンクリートの劣化防止表面被覆工法は、コンクリート構造物の表面1に、セメントと真比重が1.0以下の有機フィラーを含有し、−20℃での塗膜の伸びが0.4mm以上でかつ20℃での付着強度が1N/mm2以上のポリマーセメントモルタルである表面被覆材2を塗布し、メッシュの空隙率が50〜80%でかつ目開きの大きさが2mm以下であるメッシュ繊維シートに予め前記表面被覆材を塗布したシート3を貼り付ける工程を含む、コンクリートの劣化防止表面被覆工法である。
また、好ましくは、帯状メッシュ繊維シートへの該表面被覆材の予め行なう塗布は、該帯状メッシュ繊維シートの片面塗布とする。
本発明で使用する該表面被覆材2は、セメントと真比重が1.0以下の有機フィラーを含有し、−20℃での塗膜の伸びが0.4mm以上でかつ20℃での付着強度が1N/mm2以上のポリマーセメントモルタルを適用する。
ここで、塗膜の伸びは、NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の、低温(−20℃)におけるひび割れ追従試験によって測定した値(ゼロスパン伸び)であり、付着強度も、NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の、20℃標準状態での付着強度試験によって測定した値である。
本発明において使用する表面被覆材は、NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の伸びおよび付着強度の品質を満足するものである。
該塗膜の伸びが0.4mm未満であると、上記NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の伸びおよび付着強度の品質を満足することができない。
また、該表面被覆材2の常温、20℃での付着強度は、1N/mm2以上、好ましくは1N/mm2以上でかつ破断面は下地と表面被覆材の界面破断ではなく、下地破断または表面被覆材の部材破断であることが望ましい。
付着強度が1N/mm2未満では、応力がかかったときに剥離するおそれがある。更に、破断面が下地と表面被覆材の界面破断であると、環境の変化により付着強度が低下するおそれがあるからである。
メント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の各種混合セメント等が例示でき、これらは単独又は2種以上で使用可能である。
また、ポリマーとしては、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリル系ポリマーを使用でき、これらは単独又は2種以上で使用可能である。
ポリマーディスパージョンの添加量を、固形分にして100質量部より少なくすると、ひび割れ追従性が低下し、一方、固形分にして140質量部より多くすると、常温での付着強度が悪くなる。
このように真比重を1.0以下となる有機系フィラーを含むことにより、表面被覆材として要求される性能を保持することができるとともに、含有されるポリマーとの接着性も良く、軽量化することができ、施工性を改善することができる。
ここで、有機系フィラーの真比重の測定は、JIS−A1202:2009「土粒子の密度試験方法」に準じて行う。
有機系フィラーとしては、例えば、種々の公知の発泡合成樹脂粒子が例示でき、また樹脂としてはスチレンやポリアクリロニトリル等が例示できる。
また、該有機系フィラーの大きさは、後述するメッシュ繊維シートの目開きの大きさよりも小さくなくてはならず、好ましくは600μm以下であることが望ましい。
セメント:普通ポルトランドセメント、住友大阪セメント株式会社製
石灰石粉:ブレーン比表面積1,200cm2/g
混和剤:セルロース等
有機系フィラー:商品名マツモトマイクロスフェアーMFL80GCA(真比重0.20、粒径20μm)、松本油脂製薬株式会社製
ポリマーエマルション:商品名 リフレベースEZ、住友大阪セメント株式会社製
ここで、有機系フィラーの真比重は、有機系フィラーを細かく砕き、空気などの侵入を防ぎながら、JIS−A1202:2009「土粒子の密度試験方法」に準じて、ピクノメーター法により真比重を測定した。
各表面被覆材のフロー値、単位容積重量、付着強度、ゼロスパン伸びを測定し、その結果も表1に示す。
フロー値:(社)日本建築学会、建築工事標準仕様書・同解説JASS15 M−103「セルフレベリング材の品質基準」で定める方法により測定
ゼロスパン伸び:NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の、低温(−20℃)におけるひび割れ追従試験によって測定した値(ゼロスパン伸び)
付着強度:NEXCO(旧日本道路公団)の規格「コンクリート塗装材の品質規格の試験方法」の、20℃標準状態での付着強度試験によって測定した値
例えば、20Lで、汎用品は25kg程度となるが、単位容積重量が0.65g/cm3であると、15kg程度となり、持ち運び負荷の軽減が図れることになり、シート貼り付け作業が容易になる。
まず、コンクリート構造物1表面(図2a)に、表面被覆材、例えばポリマーセメントモルタルを塗布する(図2b)。塗り重ねが必要であれば、複数回に分けて、表面被覆材2を塗布してもよい。
該各表面被覆材2を塗布する方法として、コンクリート構造物に均一に塗布できるものであれば手段は限定されず、刷毛やローラー、コテ塗り等の通常の塗布手段を任意に選択することにより施工することができる(図2b)。
更に、コンクリート構造物の劣化防止対象箇所に、必要に応じて下地としてプライマーを刷毛塗り等で塗布して硬化させ、次いで、凸部を削ったり、凹部にパテ埋めを行ったりして、不陸修正やレイタンス処理を行い、断面修復処理を施してもよい。
更に必要に応じて、劣化した箇所または劣化するおそれがある箇所にひび割れ部がある場合には、該ひび割れ注入材を予め注入しておいたり、プライマー剤や防錆剤等塗布しておくこともできる。
該メッシュ繊維シートは、帯状とすることが望ましく、該メッシュ繊維シートは、劣化防止をより有効にあらしめるために、劣化対象部分を覆うように全面的に設置、即ち全面張りすることが望ましい。
メッシュ繊維シート3(図2c)を構成する繊維としては、炭素繊維、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維(PBO)、ガラス繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等の公知の繊維を用いることができ、ビニロン繊維を好適に使用する。
またその形状は、特に限定されず、例えば三軸組布、二軸組布等、任意のメッシュ繊維シート3を用いることができる。
コンクリート構造物の表面被覆材表面に発生する微細な膨れは、通常、直径5mm以上のものであり、メッシュの目開きの1辺を2mm以下とすることで、メッシュ面で膨れを押さえ、表面に現れることを防ぐことができる。
該表面被覆材4の塗布方法は、特に限定されず、上記表面被覆材2を塗布する任意の手段を適用することができる。
該表面被覆材4は、該メッシュ繊維シートの両面に塗布しても、片面に塗布してもいずれの塗布であってもよいが、片面塗布が好ましい(図2d)。片面塗布とすることで、シート5を貼り付ける際に、シート5のメッシュ繊維シート3と、コンクリート面に塗布された表面被覆材2とが接触することとなり、接着面積を大きくすることができ、接着をより良好にさせることができる。
このように、予め表面被覆材4がメッシュ繊維シートに塗布されたシート5を用いることで、現場での作業において、表面被覆材を塗り重ねる工程が少なくなり、作業工程を短縮することができる。
該メッシュ繊維シート3を固定方法としては、該メッシュ繊維シート3と塗布した表面被覆材4とからなるシート5を、前記表面被覆材2の面に貼り付ける。表面被覆材4を硬化させることにより固定しても、あるいは、表面被覆材2をコンクリートに塗布した後、該表面被覆材2が硬化する前に該シート5を貼り付けて硬化させることにより固定しても、メッシュ繊維シート3を固定できれば、いずれの工程を用いてもよい。
該メッシュ繊維シート3は、表面被覆材により固定される。また、該表面被覆材は、メッシュ繊維シートを含む、コンクリート構造物の劣化防止施工が必要な箇所全体に塗布される。
該仕上げ材は、前記表面被覆材面の表面仕上げをするための塗装であり、これにより見栄えをよくすることができる。
仕上げ材としては、特に限定されず、従来からコンクリート構造物の表面の仕上げ材として使用されている任意のものを用いることができる。
2 表面被覆材
3 メッシュ繊維シート
4 表面被覆材
5 シート
Claims (4)
- コンクリート構造物の表面に、セメントと真比重が1.0以下で600μm以下の大きさの有機フィラーをセメントと該有機フィラーとを容積比で1:1〜1:20の割合で含有し且つ無機系増量材を含有せず増粘剤や顔料である混和材を含有し、−20℃での塗膜の伸びが0.4mm以上でかつ20℃での付着強度が1N/mm2以上のポリマーセメントモルタルであって、単位容積重量が0.57〜1.03g/cm 3 である表面被覆材を塗布し、メッシュの空隙率が50〜80%でかつ目開きの大きさが2mm以下であるメッシュ繊維シートに予め前記表面被覆材を塗布したシートを貼り付ける工程を含むことを特徴とする、コンクリートの劣化防止表面被覆工法。
- 請求項1記載のコンクリートの劣化防止表面被覆工法において、前記シートは、該メッシュ繊維シートの片面に表面被覆材が予め塗布されていることを特徴とする、コンクリートの劣化防止表面被覆工法。
- 請求項1または2記載のコンクリートの劣化防止表面被覆工法において、該表面被覆材は、ガラス転移温度が−25℃以下のポリマーを、ポリマー固形分/セメントモルタル無機粉体質量比が100〜140%で含むポリマーセメントモルタルであることを特徴とする、コンクリートの劣化防止表面被覆工法。
- 請求項1〜3いずれかの項記載のコンクリートの劣化防止表面被覆工法において、前記メッシュ繊維シートは、コンクリートの劣化対象部分を覆うように全面的に設置されることを特徴とするコンクリート劣化防止表面被覆工法。
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