JP2002079606A - 耐火性能を有する鋼材 - Google Patents

耐火性能を有する鋼材

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JP2002079606A
JP2002079606A JP2001148567A JP2001148567A JP2002079606A JP 2002079606 A JP2002079606 A JP 2002079606A JP 2001148567 A JP2001148567 A JP 2001148567A JP 2001148567 A JP2001148567 A JP 2001148567A JP 2002079606 A JP2002079606 A JP 2002079606A
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refractory
foamed
steel
foamed refractory
paint
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JP2001148567A
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Keiichi Kato
圭一 加藤
Koji Maruyama
浩司 丸山
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
Original Assignee
Kikusui Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 建設現場での施工を少なくし又、材料のロス
が少なく、十分な耐火性能を有する鋼材を提供する。 【解決手段】 組付け前の建設用鋼材が発泡耐火材によ
り形成された厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲であ
る耐火膜の被覆層を有するものである。さらに、前記発
泡耐火材により形成された耐火膜の発泡倍率が1.2倍
〜50.0倍であるものである。また、前記発泡耐火材
が合成樹脂を主成分とする発泡耐火塗料であるもの又
は、前記耐火膜が発泡耐火シートと、その発泡耐火シー
トと同じ主成分の接着材により形成されたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、鉄骨造の柱、梁
に使用される鋼材のうち、火災にさらされたときに発泡
して、断熱層を形成する発泡耐火材を、組付け前の建設
用鋼材に予め被覆するものである、耐火性能を有する鋼
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来では、建設用鋼材に対する耐火被覆
は、建設用鋼材を建設現場に搬送し、組み立てが終了後
に行っていた。この耐火被覆は、スラリー状の耐火被覆
材又は液状の発泡耐火塗料などを塗布するものである。
【0003】このように、耐火被覆材層又は発泡耐火塗
料層により被覆された鋼材は、耐火性能を有するもので
ある。また、耐火被覆材又は発泡耐火塗料により、組み
立てられた鋼材の形状に合わせ、被覆されるため、収ま
りが良いものである。特に、耐火被覆材は、被覆厚みが
あるため、鋼材が組みつけられた後に、被覆した方が収
まりなど良い場合がある。さらに、発泡耐火塗料による
被覆は、耐火被覆材による被覆に比べ、被覆厚が薄いた
め、被覆材料の使用量が少なく、被覆作業の効率が優れ
たものである。
【0004】この発泡耐火塗料は、被塗装物に発泡耐火
塗料により被覆された塗膜が火災などの高温にさらされ
ると塗膜が発泡し、発泡された塗膜には、断熱効果を有
し、この断熱効果などにより耐火性能を発揮するもので
ある。この発泡耐火塗料層の耐火性能については、後で
詳しく述べる。前記耐火被覆材や発泡耐火塗料の塗布方
法は、作業効率が良いために、スプレーガンなどを用い
た吹き付けにより行われ、耐火被覆層を形成することが
多いものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、建設現場で
組み立てられた鋼材に耐火被覆材や発泡耐火塗料を吹き
付けにより被覆される場合には、耐火被覆材や発泡耐火
塗料を壁、床など被覆を必要としない箇所には、ビニー
ルシートなどで予め覆って養生する必要がある。この養
生は、耐火被覆材あるいは発泡耐火塗料の被覆を吹き付
けにより行う際、それらが飛散することに起因する。
【0006】建設用鋼材は、H形鋼、角形鋼管などの断
面形状が複雑な鉄骨が多く、壁面などの平坦部へ被覆す
るより多くの耐火被覆材や発泡耐火塗料が飛散すること
になる。この飛散する耐火被覆材や発泡耐火塗料が多い
ほど、これら耐火被覆材や発泡耐火塗料のロスが多いこ
とになり、材料や施工のコストが上昇することや、被覆
層の厚みが不足し、十分な耐火性能を有しないことも考
えられる。
【0007】また、耐火被覆材を組み付け前の鋼材に被
覆しておくことが考えられたが、耐火被覆材は、セメン
トなどの無機系結合材を主成分とするものが多く、その
被覆厚が数十mmと厚いため、組み付け前の鋼材に被覆
が行われていると鋼材同士のボルト止めによる接合がで
きないという問題点や無機結合材を主成分とする耐火被
覆材層による被覆は、鋼材に対する付着強度及び耐火被
覆材そのものの圧縮強度が弱く、被覆材層が固いため、
輸送時及び鋼材の組み付け時に割れ、欠けが生じること
がある。
【0008】この発明は、上記のような従来技術に存在
する問題点に着目してなされたものである。その目的と
するところは、建設現場での施工を少なくし又、材料の
ロスが少なく、十分な耐火性能を有する耐火性能を有す
る鋼材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明の耐火性能を有する鋼材
は、組付け前の建設用鋼材が発泡耐火材により形成され
た厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲である耐火膜の
被覆層を有するものである。
【0010】請求項2に記載の発明の耐火性能を有する
鋼材は、請求項1に記載の発明において、前記発泡耐火
材により形成された耐火膜の発泡倍率が1.2倍〜5
0.0倍であるものである。
【0011】請求項3に記載の発明の耐火性能を有する
鋼材は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記発泡耐火材が合成樹脂を主成分とする発泡耐火塗料
であるものである。
【0012】請求項4に記載の発明の耐火性能を有する
鋼材は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の発
明において、前記耐火膜が発泡耐火シートと、その発泡
耐火シートと同じ主成分の接着材により形成されたもの
である。
【0013】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態について詳細
に説明する。この耐火性能を有する鋼材は、組付け前の
建設用鋼材が発泡耐火材により形成された厚みが0.1
mm〜6.0mmの範囲である耐火膜の被覆層を有する
ものである。
【0014】まず、建設用鋼材は、主に構造物の柱、梁
又は胴縁など構造物の骨組みとして用いられる鉄骨、屋
根などに用いられる鋼板又は床や天井として用いられる
デッキプレートなどのことである。その鋼材は、防錆処
理がされていることが好ましい。防錆処理されることか
ら鋼材の錆びの発生を防止することができる。
【0015】鉄骨又は鋼板には、その断面形状より、等
辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不等厚山形鋼、球平形
鋼、溝形鋼、T形鋼、I形鋼、H形鋼、鋼板、平鋼、鋼
帯、棒鋼などがある。また、JIS分類により、JIS
G3101規定の一般構造用圧延鋼材、JIS G3
106規定の溶接構造用圧延鋼材、JIS G3136
規定の建築構造用圧延鋼材、JIS G3302規定の
一般構造用圧延鋼材、JIS G3312規定の塗装溶
融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯、JIS G3350規定の
一般構造用軽量形鋼、JIS G3353規定の一般構
造用溶接軽量H形鋼、JISG3444規定の一般構造
用炭素鋼管、JIS G3466規定の一般構造用角形
鋼管、JIS G3108規定のみがき棒鋼用一般鋼
材、JIS G3109規定のPC鋼棒、JIS G3
111規定の再生鋼材、JIS G3114規定の溶接
構造用耐候性熱間圧延鋼材、JIS G3123規定の
みがき棒鋼、JIS G3125規定の高耐候性圧延鋼
材、JIS G3128規定の溶接構造用高降伏点鋼
板、JIS G3129規定の鉄塔用高張力鋼鋼材、J
IS G3138規定の建築構造用圧延棒鋼、さらに、
JIS G3320規定の塗装ステンレス鋼板、JIS
G3352規定のデッキプレートなどに分類される。
【0016】前記一般構造用圧延鋼材、溶接構造用圧延
鋼材、建築構造用圧延鋼材、一般構造用圧延鋼材、塗装
溶融亜鉛めっき鋼板及び鋼帯には、形状の分類がある。
その形状には、鋼板、平鋼、鋼帯など平板状のもの、棒
状の棒鋼などがあり又、形鋼などがある。形鋼には、形
鋼の断面形状から等辺山形鋼、不等辺山形鋼、不等辺不
等厚山形鋼、球平形鋼、溝形鋼、T形鋼、I形鋼、H形
鋼がある。
【0017】また、一般構造用軽量形鋼には、軽溝形
鋼、軽Z形鋼、軽山形鋼、リップ溝形鋼、リップZ形
鋼、ハット形鋼があり、一般構造用溶接軽量H形鋼に
は、軽量H形鋼、軽量リップ形鋼がある。
【0018】発泡耐火材とは、火災等の温度上昇により
発泡することで断熱層を形成し、その断熱層により断熱
効果を発現することにより、発泡耐火材で被覆された鋼
材の温度上昇を抑制し、かつ、吸熱反応により鋼材の温
度を下げることによって耐火性能を得るものである。従
来より多く用いられる耐火被覆材は、セメントを主成分
とするものであり、その耐火被覆材により形成される耐
火被覆層は、数十mmと厚く、その厚みにより、耐火性
を得るものである。
【0019】この発泡耐火材により形成された耐火膜の
厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲であり、好ましく
は、0.1mm〜3.0mmの範囲のものである。0.
1より少ない場合は、耐火膜による被覆層が薄いため、
十分な耐火性能を期待することができない。6.0mm
より大きい場合は、発泡耐火材により被覆した鋼材の組
み付けが困難になる。
【0020】さらに、発泡耐火材が後述される発泡耐火
塗料の場合には、その発泡耐火塗料から得られる耐火膜
の乾燥に時間がかるため、製造効率の低下になる。0.
1mm〜3.0mmの範囲の耐火膜による被覆層を有す
る組付け前の建設用鋼材では、耐火性能があり、また、
その鋼材を用いての組み付けも容易なものである。
【0021】組付け前の建設用鋼材に被覆された耐火膜
の発泡倍率が1.2倍〜50.0倍であることが好まし
く、3.0倍〜25.0倍がより好ましい。形成される
塗膜の発泡倍率が1.2倍より少ない場合は、耐火膜の
発泡による断熱効果が期待できないことがあり、耐火膜
欠陥を補う機能が不十分である。また、50.0倍より
多い場合は、加熱、発泡によって得られる気相含有断熱
層が脆弱で脱落しやすくなり、耐火性能が低下する場合
がある。
【0022】前記発泡耐火材は、発泡耐火塗料や発泡耐
火シートを挙げることができる。発泡耐火塗料は、その
発泡耐火塗料を鋼材に塗布し、耐火膜を形成し、被覆層
を得るものである。その形成された耐火膜は、火災等の
温度上昇により発泡することで断熱層を形成するなどに
より耐火性能を得るものである。
【0023】発泡耐火塗料は、合成樹脂を主成分とする
ものであり、その主成分の他の主要成分により、リン酸
塩系発泡耐火塗料、珪酸塩系発泡耐火塗料、含水系発泡
耐火塗料と分類することができる。
【0024】リン酸塩系発泡耐火塗料は、主要成分がリ
ン酸アンモニウムなどのリン酸塩と、ペンタエリスリト
ールなどの多価アルコールを用いたものであり、珪酸塩
系発泡耐火塗料は、珪酸ナトリウムなどの珪酸塩を使用
したものである。また、含水系発泡耐火塗料は、水酸化
アルミニウムなどの含水化合物を使用したものである。
【0025】前記発泡耐火塗料の中では、リン酸塩発泡
耐火塗料は、形成された塗膜の発泡性、発泡した後の断
熱性が良いものであることなど耐火性能が優れ、発泡耐
火塗料の塗布作業が容易に行うことができることより好
ましく用いられる。このリン酸塩系発泡耐火塗料は、主
に、温度上昇により不燃性ガスを発生する発泡剤として
のリン酸塩と、炭化して多孔質の炭化層を形成する炭化
剤としての多価アルコールと、これらを結合する結合材
としての合成樹脂とにより構成されているものである。
【0026】まず、発泡剤としてのリン酸塩は、ポリリ
ン酸アンモニウム、リン酸アンモニウムなどのリン酸
塩、リン、その他のリン化合物などの難燃性のものが挙
げられる。また、リン酸塩以外の発泡剤として、アミ
ド、メラミン、尿素などが挙げられ、リン酸塩の発泡剤
と併用して用いることができる。これらの発泡剤は、加
熱することによって、アンモニアガスなどの不燃性ガス
を発生して発泡し、断熱層を形成するものである。ま
た、それと同時に発泡の際の吸熱反応によって鋼材の温
度を引き下げるものである。
【0027】炭化層を形成する炭化剤としての多価アル
コールは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリ
トールなどを挙げることができる。また、多価アルコー
ル以外には、メラミンなどを挙げることができ、多価ア
ルコールと併用して用いることができる。これらの炭化
剤は、加熱することによって、リン酸塩系の発泡剤と脱
水、縮合反応を起こし発泡剤は分解ガスにより発泡耐火
塗料層に炭化層を形成するものであり、その炭化層によ
って、さらに断熱効果を得るものである。
【0028】発泡剤のリン酸塩は、炭化剤であるペンタ
エリスリトールなどの多価アルコールとの脱水、縮合反
応を250〜300℃で生じる。また、メラミンを併用
した場合には、350〜400℃の間で分解して、分解
ガスにより発泡し、断熱層を形成し、さらに、炭化層を
形成し、より断熱効果を得ることができる。このよう
に、メラミンを併用した場合には、2段階で、断熱層を
形成することができる。
【0029】発泡耐火塗料の結合材が合成樹脂であるこ
とが好ましい。結合材は、各成分同士を結合させるため
のものであり、結合材が合成樹脂であることにより、鋼
材との密着性が良く、柔軟性に富んだ塗膜が得られるの
で、発泡耐火塗料層を被覆した鋼材の搬送時の外部から
の衝撃に十分耐えることができる。合成樹脂としては、
アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン
樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂などの樹脂を単
独又は共重合したものを有機溶媒に溶解させたものまた
は、エマルションとして水に分散させたものが用いられ
る。
【0030】前記合成樹脂は、熱可塑性樹脂であり、乾
燥によりフィルム形成するものが好ましい。乾燥により
フィルム形成するものは、熱硬化性樹脂などの反応硬化
型樹脂のように可使時間の限定がないため、鋼材に塗布
したときに、周囲に飛散した塗料を回収し、回収した塗
料を再び鋼材に塗布することができる。また、余った発
泡耐火塗料を次の機会に塗布することができる。また、
発泡耐火塗料の使いやすさ、製造の容易さ、入手の容易
さより合成樹脂エマルションが好ましく用いられる。ま
た、合成樹脂が合成樹脂エマルションの場合には、発泡
耐火塗料の乾燥時に水が蒸発するものであり、大気など
を汚染することが少ないため、作業環境を悪化させるこ
とがないものである。
【0031】また、前記合成樹脂は、その分解開始温度
が250℃以下であって、300℃までに全固形分の5
0wt%以上90wt%以下が分解するものが好まし
い。分解開始温度が250℃以上のもの及び300℃ま
でに全固形分の50wt%以下しか分解しないものは、
発泡剤及び炭化剤の脱水縮合を妨げ、十分な発泡層が形
成できない。また300℃までに全固形分の90wt%
以上が分解してしまうものは、発泡のしすぎによって発
泡層が脆弱になり、脱落が生じやすい。
【0032】また、発泡耐火塗料には、二酸化チタンや
膨張性黒鉛を添加することも可能である。二酸化チタン
の添加により、その触媒効果によって発泡層の結合が促
進され、形状維持性の高い発泡層が形成される。二酸化
チタンの結晶型には、アナターゼ型とルチル型があり、
アナターゼ型の二酸化チタンが好ましく用いられる。ア
ナターゼ型の二酸化チタンにより、その触媒効果がより
促進される。
【0033】膨張性黒鉛は、加熱すると黒鉛層間に存在
する化合物が熱分解して、全体が膨張する性質を持つも
のであり、膨張性黒鉛を加えることにより、より薄膜で
耐火性能の高い発泡耐火塗料が得られる。膨張性黒鉛を
添加された塗膜は、火災時などの加熱により、急激に膨
張することで、発泡層の断熱性能を向上させるものであ
る。このような膨張性黒鉛としては、黒鉛酸性硫酸塩、
ナトリウム黒鉛、カリウム黒鉛、ハロゲン化黒鉛、黒鉛
酸化物、塩化アルミニウム黒鉛化合物、塩化第二鉄黒鉛
などが挙げられる。
【0034】さらに、この発泡耐火塗料には、前記の成
分の以外に、その他の成分を含有することができる。そ
の他の成分は、発泡耐火塗料の効果を損なわない範囲内
において含有することができる。その成分としては、炭
酸カルシウム、クレー、珪砂、水酸化アルミニウム、ア
ルミナ、シリカ、無機繊維、ロックウールなどの充填材
や体質顔料、ハロゲン系、リン系、三酸化アンチモン系
などの難燃剤及び消泡剤、分散剤、湿潤剤などの界面活
性剤、可塑剤、造膜助剤、防凍剤などの溶剤、着色顔
料、金属石鹸、安定剤、粘度・粘性調整のための増粘
剤、防腐剤、防黴剤などがある。前記の材料により構成
される発泡耐火塗料は、撹拌及び混合などの常法により
得ることができる。
【0035】また、前記耐火膜が発泡耐火シートと、そ
の発泡耐火シートと同じ主成分の接着材により形成され
たものでも良い。発泡耐火シートとそれと同じ主成分の
接着材を用いて、組み付け前の鋼材に耐火膜を被覆する
ことにより、その鋼材の耐火性能を得るものである。
【0036】発泡耐火シートとは、前記発泡耐火塗料と
同様の成分により構成され、火災等の温度上昇により発
泡することで断熱層を形成するなどにより耐火性能を得
るものである。発泡耐火シートは、発泡耐火塗料と同様
に、合成樹脂を主成分とするものであり、その主成分の
他の主要成分により、リン酸塩系、珪酸塩系、含水系と
分類することができ、リン酸塩系の発泡耐火シートがシ
ートの発泡性、発泡した後の断熱性が良いことにより、
好ましく用いられる。
【0037】このリン酸塩系の発泡耐火シートは、発泡
耐火塗料と同じく、温度上昇により不燃性ガスを発生す
る発泡剤としてのリン酸塩と、炭化して多孔質の炭化層
を形成する炭化剤としての多価アルコールと、これらを
結合する結合材としての合成樹脂とにより構成されてい
るものである。発泡剤としてのリン酸塩と炭化剤として
の多価アルコールは、リン酸塩系発泡耐火塗料と同じも
のを用いるものであり、その効果も同じである。
【0038】また、結合材としての合成樹脂は、発泡
剤、炭化剤と同じで、前記発泡耐火塗料と同様なものを
用いることができる。しかし、発泡耐火シートは、鋼材
の複雑な形状に対応しなければならないことがあるた
め、可撓性を有することが好ましい。可撓性が無い場合
には、鋼材が複雑な形状の場合に貼り付けることが難し
く、鋼材に生じる動きに追随できないことがある。
【0039】この可撓性とは、発泡耐火シートが屈曲す
ることができる曲率半径により示すことができる。つま
り、曲率半径が大きいものは、可撓性が劣ることにな
る。そのため、合成樹脂のガラス転移点(以下、Tgと
言う。)は、−30℃〜50℃の範囲が好ましく、−2
0℃〜40℃の範囲がより好ましい。
【0040】−30℃より低い場合には、発泡耐火シー
トに粘着性が発現することがあり、シートの保管時、貼
り付け作業時にシート同士が引っ付いた状態となり、扱
いが困難な場合が生じる。また、50℃より高い場合に
は、発泡耐火シートに十分な可撓性がなく、鋼材が複雑
な形状の場合に貼り付けることが難しく、鋼材に生じる
動きに追随できないことがある。
【0041】Tgは、−20℃〜40℃の範囲の合成樹
脂を用いた場合には、発泡耐火シートの取り扱いも良
く、可撓性のあるバランスのとれたものである。また、
発泡耐火シートの可撓性は、可塑剤の添加によりコント
ロールすることもできる。この可塑剤の添加量は、必要
とされる可撓性、添加剤の種類、添加される合成樹脂の
種類、Tgなどにより変化する。前記合成樹脂のTgが
60℃より高い場合には、可塑剤の添加量が増え、発泡
耐火シートの物性を低下させることがある。
【0042】発泡耐火シートの接着に用いられる接着材
は、発泡耐火シートと同じ主成分のものを用いるもので
ある。また、この接着材は、液状のものであることが好
ましい。
【0043】接着材を液状とするためには、その結合材
に液状の合成樹脂を用いることが良い。接着材が液状で
あることにより、発泡耐火シートの成型前の混合物を接
着材として用いることができる。さらに、発泡耐火シー
トの成型する際にも、任意の形状のシートを成型するこ
とが容易となる。合成樹脂が液状である形態としては、
有機溶媒に溶解させたもの、弱溶剤に分散させたもの又
は、エマルジョンとして水に分散させたものがある。こ
の形態の中では、エマルジョンとして水に分散させたも
のが好ましい。
【0044】合成樹脂がエマルションの形態であること
により、発泡耐火シートの成型時、そのシートの貼り付
け時に複雑な設備を用いることなく作業環境を快適にす
ることができ、また、入手が容易なものである。また、
この発泡耐火シート及び接着材には、発泡耐火塗料と同
様に、二酸化チタンや膨張性黒鉛を添加することも可能
であり、同様な効果を得ることができる。
【0045】この発泡耐火シート及び接着材には、前記
の成分の以外に、その他の成分を含有することができ
る。その他の成分は、発泡耐火シート及び接着材の効果
を損なわない範囲内において含有することができる。そ
の成分としては、炭酸カルシウム、クレー、珪砂、水酸
化アルミニウム、アルミナ、シリカ、無機繊維、ロック
ウールなどの充填材や体質顔料、ハロゲン系、リン系、
三酸化アンチモン系などの難燃剤及び消泡剤、分散剤、
湿潤剤などの界面活性剤、可塑剤、造膜助剤、防凍剤な
どの溶剤、着色顔料、金属石鹸、安定剤、粘度・粘性調
整のための増粘剤、防腐剤、防黴剤などがあり、必要な
ものを適宜選択し用いることができる。
【0046】さらに、発泡耐火シートの成型方法につい
て説明する。まず、発泡耐火シートは、前記に記載され
た主成分及び各成分を混合し、スラリー状のものを得
る。この得られたスラリー状のものを離型紙の上に必要
とする厚みに塗布し、乾燥させることにより発泡耐火シ
ートを得ることができる。また、離型紙の他にも離型性
のある平面のものであれば、使うことができる。その他
にも、アルミ箔や不燃性の不織布、織布等の布状物に発
泡耐火塗料を塗布又は含浸させ、硬化乾燥させた発泡耐
火シートでも良い。
【0047】この得られた発泡耐火シートは、必要な大
きさに切断し、組み付け前の鋼材に貼り付けることがで
きる。スラリー状のものを塗布する方法は、スプレー、
ローラーなどの塗装方法やフローコーター、ナイフコー
ターなどの塗付装置を用いる方法が挙げられる。この塗
布する方法は、特に制限されることは無く、一般的な方
法により行うことができる。また、発泡耐火シートの形
状によっては、成型用の型を用いることも可能である。
【0048】成形型を用いることにより、発泡耐火シー
トに岩石の割れ肌模様などの凹凸模様を容易に付けるこ
とができる。また、乾燥させる方法としては、常温で自
然乾燥させる方法や加熱させ乾燥させる方法などが挙げ
られる。特に乾燥させる方法は制限されるものではな
く、一般的な方法により行うことができる。しかし、加
熱して乾燥させる場合には、その加熱温度は、発泡耐火
シートの発泡する温度より低くなければならない。
【0049】前記のように硬化乾燥させることにより発
泡耐火シートを得ることができる。この発泡耐火シート
の表面側に耐久性を向上させるため、着色又は意匠性を
向上させるために塗装することも可能である。この塗装
に用いられる塗料は、その目的に応じて選択することが
できる。また、離型紙を用いて発泡耐火シートを得る場
合には、被覆物に貼り付けた後に剥がすことができる。
【0050】次に、発泡耐火塗料、発泡耐火シート及び
そのシートの接着剤に用いられる発泡剤、炭化剤及び合
成樹脂の配合割合について説明する。発泡耐火塗料、発
泡耐火シート及びそのシートの接着剤の配合割合は、合
成樹脂の固形分を100重量部の場合、発泡剤が50〜
200重量部、炭化剤が5〜40重量部である。この範
囲の配合割合である場合には、発泡層の発泡が十分で、
脱落のないバランスの取れたものであり、耐火性能の優
れたものである。
【0051】また、発泡剤としてのメラミンの含有量
は、合成樹脂の固形分を100重量部に対し、5〜40
重量部の範囲が好ましく、5〜30重量部の範囲がより
好ましい。5重量部より少ない場合には、発泡層の発泡
が含有させない場合と大差が無く、40重量部を超える
場合には、発泡のしすぎによる発泡層の脱落が生じるこ
とがあり、5〜30重量部の範囲を選択した場合には、
よりバランスの取れた発泡層を形成する。
【0052】発泡耐火材により形成された耐火膜の耐火
性能を次のように測定する。すなわち、JIS G34
66に規定する長さ1mのSTKR400正方形一般構
造用角形鋼管(一辺が300mmで部材厚みが9mm)
に2mm厚で耐火膜を形成させ、試験体を作成する。そ
の試験体をJIS A1304の標準曲線にしたがって
加熱試験を行い、試験体の裏面温度が500℃に達した
時間を測定する。
【0053】試験体の裏面温度が500℃に達した時間
が45分以上のものが好ましい耐火性能である。45分
より短い場合は、発泡耐火材としての耐火性能がやや劣
ることになる。鋼材を組み付ける前に発泡耐火材により
形成された厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲である
耐火膜の被覆層することで、鋼材を組み付けた後に形成
する場合とは異なり、耐火膜の形成作業に適した場所で
作業をすることができ、鋼材を移動することや鋼材の向
きを変えることができるため、効率の良い作業及び工程
をとることができ、建設現場での施工を少なくし又、材
料のロスが少なく、十分な耐火性能を有する耐火性能を
有する鋼材を得ることができる。
【0054】また、発泡耐火材が発泡耐火塗料の場合に
は、鋼材がH形、角形などの複雑な形状のため、塗布す
る発泡耐火塗料の約30〜50%が鋼材以外の箇所に飛
散してしまい、外壁面などへの被覆に比べて材料損失が
非常に大きい。組み付け前に塗装に適した場所で塗装す
ることにより、周囲に飛散した塗料を回収及び再利用す
ることができる。飛散した塗料を回収及び再利用するこ
とで塗料の損失を最小限にくい止めることができ、発泡
耐火塗料の材料損失を減少させることができる。
【0055】発泡耐火塗料を鋼材に塗布するための塗装
方法は、スプレー、ローラー、コテ、ハケ、ヘラなど一
般に用いられる塗装方法により行うことができる。鋼材
を組み付ける前に塗装することで鋼材の移動や方向転換
が容易なことから、鋼材全体を塗料中に浸漬するディッ
ピング方法や一定の厚みの型枠に沿って塗料を流し込む
流し込み方法が可能となる。
【0056】さらに、発泡耐火材が発泡耐火シート及び
そのシートと同じ主成分の接着材により形成したもので
ある場合には、鋼材の移動や方向転換が容易なことか
ら、耐火膜の形成作業に適した場所で、その作業を行う
ことができる。前記のように、組付け前の建設用鋼材が
発泡耐火材により形成された厚みが0.1mm〜6.0
mmの範囲である耐火膜の被覆層した鋼材は得られる。
得られた耐火膜を被覆した鋼材は、構造物を構築すると
ころに、構造物として組み付けられる。前もって耐火膜
が不必要な部分には、塗装前の鋼材に養生を行い、耐火
膜を形成させないことも可能である。この耐火膜が不必
要な部分は、地中に埋められる部分などがある。
【0057】また、耐火膜を被覆させた後、その耐火膜
を保護するためのものを被覆することや色調を施すため
に塗料を塗布することも可能である。耐火膜を被覆した
鋼材の組み付け方法としては、ボルト、ナット、リベッ
ト、溶接などの一般的な方法が挙げられる。耐火膜を被
覆している鋼材を組み付けるため、溶接による組み付け
は、好ましくない。溶接による組み付けは、溶接する箇
所の耐火膜を剥がす必要がある。また、溶接時の加熱に
より耐火膜が発泡することがある。
【0058】組み付けを行ったボルト、ナット、リベッ
ト部分は、被覆に用いた発泡耐火塗料、発泡耐火シート
を接着した接着材などを刷毛、ローラ、鏝などの塗布用
具により塗布する。また、発泡耐火材により形成された
耐火膜を被覆した鋼材を用いることで、搬送時及び組み
付け時に外部から衝撃を受け、耐火膜に欠陥が生じた場
合でもハケ、ローラー、鏝などで容易に補修ができ、欠
陥を放置していても火災による熱で発泡し、欠陥部を発
泡で覆ってしまうため、耐火性能が低下することがほと
んど生じない。
【0059】以上のように、この実施形態によれば次の
ような効果が発揮される。 ・ 組付け前の建設用鋼材が発泡耐火材により形成され
た厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲である耐火膜の
被覆層を有するものであることにより、建設現場での施
工を少なくし又、材料のロスが少なく、十分な耐火性能
を有する耐火性能を有するものである。また、前記のよ
うな範囲の耐火膜の厚みであることにより、十分な耐火
性能を期待することができ、発泡耐火材により被覆した
鋼材の組み付けが容易なものである。
【0060】・ 前記発泡耐火材により形成された耐火
膜の発泡倍率が1.2倍〜50.0倍であるものである
ことにより、耐火膜の発泡による断熱効果が期待でき、
耐火膜欠陥を補う機能が十分である。また、加熱、発泡
によって得られる気相含有断熱層が脆弱で脱落しやすく
なり、耐火性能が低下することがないものである。
【0061】・ 前記発泡耐火材が合成樹脂を主成分と
する発泡耐火塗料であるものであることにより、周囲に
飛散した塗料を回収及び再利用することができる。飛散
した塗料を回収及び再利用することで塗料の損失を最小
限にくい止めることができ、発泡耐火塗料の材料損失を
減少させることができるものである。
【0062】・ 前記耐火膜が発泡耐火シートと、その
発泡耐火シートと同じ主成分の接着材により形成された
ものであることにより、鋼材の移動や方向転換が容易な
ことから、耐火膜の形成作業に適した場所で、その作業
を行うことができるものである。
【0063】・ さらに、0.1mm〜3.0mmの範
囲の耐火膜による被覆層を有する組付け前の建設用鋼材
であることにより、その鋼材を用いての組み付けがより
容易なものである。
【0064】・ 前記発泡耐火材がリン酸塩系の発泡耐
火塗料、発泡耐火シート及び接着材であることにより、
形成された耐火膜の発泡性、発泡した後の断熱性が良い
ものであることなど耐火性能が優れたものである。
【0065】・ 前記発泡耐火塗料、発泡耐火シート及
び接着材に二酸化チタン及び/又は膨張性黒鉛を添加す
ることにより、発泡層の結合が促進され、形状維持性の
高い発泡層が形成され、発泡層の断熱性能を向上させる
ものである。
【0066】・ 前記発泡耐火材の結合材が合成樹脂で
あることにより、柔軟性に富んだ耐火膜が得られるの
で、耐火膜を被覆した鋼材の搬送時の外部からの衝撃に
十分耐えることができるものである。さらに、発泡耐火
材が発泡耐火塗料又は接着材の場合には、鋼材との密着
性が良いものである。
【0067】・ 前記合成樹脂が乾燥によりフィルム形
成するものであることにより、可使時間の限定がないも
のである。また、発泡耐火材が発泡耐火塗料の場合に
は、鋼材に塗布したときに、周囲に飛散した塗料を回収
し、回収した塗料を再び鋼材に塗布することができる。
また、余った発泡耐火塗料を次の機会に塗布することが
できる。
【0068】・ 前記発泡耐火シートが可撓性を有する
ものであることにより、鋼材が複雑な形状の場合に貼り
付けること容易で、鋼材に生じる動きに追随できないこ
とがある。
【0069】・ 前記発泡耐火シートに用いられる合成
樹脂のガラス転移点が−30℃〜50℃の範囲であるこ
とにより、扱いが容易で、十分な可撓性があるものであ
る。
【0070】・ 前記発泡耐火シートに用いられる合成
樹脂がエマルションであることにより、発泡耐火シート
の成型時、そのシートの貼り付け時に複雑な設備を用い
ることなく作業環境を快適にすることができ、また、入
手が容易なものである。
【0071】・ 前記発泡耐火塗料、発泡耐火シート及
び接着材の配合割合が合成樹脂の固形分を100重量部
の場合、発泡剤が50〜200重量部、炭化剤が5〜4
0重量部であることにより、発泡層の発泡が十分で、脱
落のないバランスの取れたものであり、耐火性能の優れ
たものである。
【0072】・ 耐火膜を被覆させた後、塗料を塗布す
ることにより、その耐火膜を保護することや色調を施す
ことができるものである。
【0073】
【実施例】以下、前記実施形態を実施例に基づいて、さ
らに詳細に説明する。材料の損失の測定、耐衝撃性試験
及び加熱試験の各試験を行った。実施例1として発泡耐
火塗料にリン酸塩系のものを用いた。このリン酸塩系発
泡耐火塗料は、結合材に合成樹脂エマルションを用いた
ものである。比較例1としてロックウール、比較例2と
して軽量モルタルを用いた。ロックウール及び軽量モル
タルの結合材には、セメントを用いた。塗布方法として
は、スプレーガンによりスプレー塗装を行った。
【0074】材料の損失の測定は、縦200mm、横4
00mm、厚み13mm、フランジの厚み8mm、長さ
1000mmのH形鋼5本に実施例1、比較例1及び比
較例2の耐火被覆材100kgを使用し、5本のH形鋼
全体が均一に被覆されるように塗布し、材料の損失を計
算した。なお、H形鋼の塗布量は、塗布前のH形鋼の重
量と塗布後のH形鋼の重量のさを求めた。
【0075】実施例1のリン酸塩系発泡耐火塗料では、
使用量100kgに対して塗布量が94kgであった。
つまり、材料の損失は、6kgであった。一方、比較例
1のロックウールでは、塗布量が47kgであり、材料
の損失は、53kgであり、比較例2の軽量モルタルで
は、塗布量が56kgであり、材料の損失は、44kg
であった。実施例1のリン酸塩系発泡耐火塗料は、飛散
したリン酸塩系発泡耐火塗料が回収可能であるため、そ
の回収したリン酸塩系発泡耐火塗料を再利用したため、
材料の損失量が比較例1及び比較例2と比較した場合、
かなり少ないものであった。比較例1及び比較例2のも
のは、セメントを結合材に用いられたものであるため、
材料に可使時間の限定があり、飛散した材料を回収、再
利用することができなかった。
【0076】次に、耐衝撃性試験を行った。耐衝撃性試
験は、縦300mm、横300mm、厚み9mmのSS
400鋼板に、実施例1、比較例1及び比較例2の各種
耐火被覆材を塗布し、室内で28日間静置し、その室内
の室温で乾燥を行い、試験体を得た。それぞれの耐火被
覆材の被覆厚さはJIS A1304に規定する1時間
耐火の性能がある厚みとした。この厚みは、実施例1の
リン酸塩系発泡耐火塗料では、2.5mmであった。比
較例1のロックウールでは、30mmであり、比較例2
の軽量モルタルでは、20mmであった。この試験体を
それぞれ2枚作り、耐衝撃性試験と加熱試験に用いた。
【0077】この耐衝撃性試験は、試験体の試験面を上
にして水平に置き、試験体表面から高さ1mの地点から
重さ5kgの鉄球を落下させるものである。その結果、
実施例1のリン酸塩系発泡耐火塗料を用いたものでは、
塗料層の剥離又は欠損が全く生じなかった。比較例1及
び比較例2で用いたものでは、被覆材層の一部が剥離
し、表面に衝撃痕が生じた。
【0078】実施例1では、合成樹脂エマルションを用
いたものであることにより、塗料層と鋼板との密着性が
良く、柔軟性に富んだものであることがわかる。比較例
1及び比較例2では、セメントを用いたものであること
により、被覆材層と鋼板との密着性があまり良く、被覆
材層に柔軟性がないことが言える。耐衝撃性試験が終了
した試験体と、耐衝撃性試験を行ってない試験体にJI
SA1304に規定する標準加熱曲線に従って加熱試験
を行った。試験体には、予め熱電対を取り付け、裏面温
度を測定し、500℃に到達した時間を耐火時間とし
た。
【0079】実施例1の耐衝撃性試験を行ってない試験
体が61分であり、耐衝撃性試験の試験体が62分であ
った。比較例1では、耐衝撃性試験を行ってない試験体
が84分であり、耐衝撃性試験後の試験体が46分であ
った。また、比較例2では、耐衝撃性試験を行ってない
試験体が90分であり、耐衝撃性試験後の試験体が52
分であった。
【0080】この結果より、耐衝撃性試験を行っていな
い試験体では、実施例1、比較例1及び比較例2の各試
験体の耐火性能は、60分以上有り、十分に耐火性能あ
ることがわかる。また、実施例1では、耐衝撃性試験後
の試験体においても、十分な耐火性能があることがわか
る。しかし、耐衝撃性試験後の試験体では、試験体表面
の被覆層が一部剥離しているために耐火性能が低下して
いることがわかる。
【0081】次に、前記実施形態から把握できる技術的
思想について以下に記載する。 ・ 前記発泡耐火材がリン酸塩系の発泡形耐火塗料、発
泡耐火シート及び接着材であることを特徴とする請求項
1ないし請求項4のいずれかに記載の発泡耐火塗料層を
被覆した鋼材。ことにより、形成された耐火膜の発泡
性、発泡した後の断熱性が良いものであることなど耐火
性能が優れたものである。
【0082】・ 前記合成樹脂が乾燥によりフィルム形
成するものであることを特徴とする請求項1ないし請求
項4のいずれかに記載の発泡耐火塗料層を被覆した鋼
材。このことにより、発泡耐火塗料の可使時間がないた
め、鋼材に塗布したときに、周囲に飛散した塗料を回収
し、再び回収した発泡耐火塗料を鋼材に塗布することが
でき、また、使い残した発泡耐火塗料を次の機会に塗布
することができるものである。
【0083】・ 前記発泡耐火シートが可撓性を有する
ものであることを特徴とする請求項1ないし請求項4の
いずれかに記載の発泡耐火塗料層を被覆した鋼材。この
ことにより、鋼材が複雑な形状の場合に貼り付けること
容易で、鋼材に生じる動きに追随できないことがある。
【0084】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発
明の発泡耐火塗料層を被覆した鋼材によれば、建設現場
での施工を少なくし又、材料のロスが少なく、十分な耐
火性能を有する耐火性能を有するものである。また、前
記のような範囲の耐火膜の厚みであることにより、十分
な耐火性能を期待することができ、発泡耐火材により被
覆した鋼材の組み付けが容易なものである。
【0085】請求項2に記載の発明の発泡耐火塗料層を
被覆した鋼材によれば、請求項1に記載の発明の効果に
加え、耐火膜の発泡による断熱効果が期待でき、耐火膜
欠陥を補う機能が十分である。また、加熱、発泡によっ
て得られる気相含有断熱層が脆弱で脱落しやすくなり、
耐火性能が低下することがないものである。
【0086】請求項3に記載の発明の発泡耐火塗料層を
被覆した鋼材によれば、請求項1又は請求項2に記載の
発明の効果に加え、周囲に飛散した塗料を回収及び再利
用することができる。飛散した塗料を回収及び再利用す
ることで塗料の損失を最小限にくい止めることができ、
発泡耐火塗料の材料損失を減少させることができるもの
である。
【0087】請求項4に記載の発明の発泡耐火塗料層を
被覆した鋼材によれば、請求項1ないし請求項2のいず
れかに記載の発明の効果に加え、鋼材の移動や方向転換
が容易なことから、耐火膜の形成作業に適した場所で、
その作業を行うことができるものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 2E001 DE01 DE04 EA05 FA01 FA02 FA13 GA06 GA08 HF12 JD01 KA01 LA04 4F100 AA03 AB03A AK01B AK01C BA03 BA06 BA10B BA10C CB00 CC00B CC00C DD31 DJ01B DJ01C DJ04B DJ04C GB07 JJ02 JJ03B JJ03C JJ03G JJ07B JJ07C JJ07G JL01 YY00B YY00C 4J038 CD021 CF021 CG001 DA161 DB001 DD001 DD231 DG001 HA216 HA416 HA456 KA14 MA06 NA15 PB05 PC02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組付け前の建設用鋼材が発泡耐火材によ
    り形成された厚みが0.1mm〜6.0mmの範囲であ
    る耐火膜の被覆層を有することを特徴とする耐火性能を
    有する鋼材。
  2. 【請求項2】 前記発泡耐火材により形成された耐火膜
    の発泡倍率が1.2倍〜50.0倍であることを特徴と
    する請求項1に記載の耐火性能を有する鋼材。
  3. 【請求項3】 前記発泡耐火材が合成樹脂を主成分とす
    る発泡耐火塗料であることを特徴とする請求項1又は請
    求項2に記載の耐火性能を有する鋼材。
  4. 【請求項4】 前記耐火膜が発泡耐火シートと、その発
    泡耐火シートと同じ主成分の接着材により形成されたも
    のであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の耐火性能を有する鋼材。
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