JP3131191U - 屋根又は壁の補修施工構造。 - Google Patents

屋根又は壁の補修施工構造。 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間の経年変化による強度低下や破損を防止し、取付部や破損部等からの雨漏り、美観の低下を防止する。
【解決手段】建物の屋根又は壁の素地に対し、その表面に速乾性を有する断熱発泡層を吹付、前記断熱発泡層の表面に、高強度の樹脂製の伸延性を有する補強防水層を吹付、前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付たことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
【選択図】図1

Description

本考案は、屋根又は壁の補修吹付施工構造に関する。
従来より、工場、倉庫、体育館等の屋根又は壁は、波形スレート葺き、又は金属製の折板、瓦葺き、コンクリート、モルタル葺き等により施工されてきたが、長期間の経年変化により、強度低下や破損が発生したり、取付部や破損部等からの雨漏りの発生、美観の低下、又は断熱強化のための定期的補修を必要としてきた。
特に、スレート葺き屋根の場合は、その強度低下が著しく、その補修施工のため作業者が、その上に乗ると、劣化したスレートが割れて墜落災害が頻繁に発生し、その災害防止が、厚生労働省、国土交通省をはじめとし叫ばれ、未だに建設業での労働災害の重要課題となっている。
又、従来のスレート構造は、発癌性のあるアスベストが含有されており、補修時にそのダストが周辺や作業者に飛散し、又廃材の処理の困難性等に対し環境問題として大きく取り上げられている。加えて近年地球温暖化防止のため、これらの旧構造の断熱性能を改善し、冷暖房の省エネルギーを図るための補修も大きく必要となってきている。
これらの問題を解消しようとする従来例も、提案されているが、いずれも、補修時、又は補修後の強度を重視したものが無く、前述の墜落防止災害を予防できるものとなっていなかった。
加えて、防水性に関しても、表面のトップコート層に、経年変化によりクラックが発生すると、断熱発泡層の微細な開孔に雨水が浸入し、凍結等により割れや変質が発生し、断熱発泡層を破壊するものとなっていた。
その一例として「特開平7−166655」号があるが、前述の如く、素地の強度劣化による墜落防止は着目されておらず、従って作業者が、乗ったときの補強強度については、確保されていないため、強度劣化による墜落災害防止対策は全くその目的に無く、現実上問題の解決となっていなかった。
更に、表面のトップコート層は、塗装幕の層であるため、十分な幕厚を有することは困難であるため、これに対し、紫外線等の太陽光線や、雨、雪等による劣化、経年変化が必ず発生し、トップコート層にクラックが発生する。そうなるとそのクラックより断熱発泡層の微細な開孔に雨水が浸入し、凍結等により割れや変質が発生し、断熱発泡層を破壊し、返って断熱発泡層が吸水し、安全性を妨げる可能性があり、それらの解決策とはなっておらずその改善が強く望まれていた。
特開平7−166655号公報
本考案は、これらの問題点を現実的に排除する極めて実用的な施工構造を提供するものである。
スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
該素地の表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層を吹付、
前記断熱発泡層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、
前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付たことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
該素地の表面に、プライマー層を塗装又は吹付により形成し、該プライマー層の表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層を吹付、前記断熱発泡層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、
前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付たことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
該素地の表面に、プライマー層を塗装又は吹付により形成し、該プライマー層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付により施工し、断熱発泡層を設けることなく構成したことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
請求項1、又は2、又は3記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
前記断熱発泡層は、最小厚さ5.0mm以上〜最大厚さ100mm以下で吹付、及び/又は前記補強防水層は引張強度、最小10.0N/mm〜最大50.0N/mm以下の強度を有し、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を、最小厚さ0.5mm以上〜最大10mm以下で吹付ることを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
請求項1、又は2、又は3、又は4記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
前記断熱発泡層は、独立気孔系のポリウレタン等の樹脂製発泡剤であることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造を提供する。
請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
前記素地の取付のためのボルト等の取付具、及び/又は素地の端部側面、及び/又は断熱発泡層の端部側面、及び/又は不連続部を、前記断熱発泡層、及び/又は前記補強防水層で巻き込み、シームレス構造としたことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造を提供する。
請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
前記断熱発泡層及び/又は、前記補強防水層の材料に、短寸のガラス繊維、又は、短寸のカーボン繊維、又は短寸のステンレス、あるいはチタン等の金属繊維を混入することにより、更に高強度とすることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造を提供する。
請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7記載の屋根及び/又は壁の構造であって、
前記補強防水層の材料に、耐紫外線等の耐太陽光性を付与する材料を混入させ、及び/又は、耐火性、耐飛び火性を有する材料を混入させ、及び/又は、社ねTるせいを有する材料を混入させることにより、表面層を省略し、直接、補強防水層を最上面とすることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造を提供する。
1.断熱発泡層3及び補強防水層4は、熱伝導率が非常に小さいため、極めて高い断熱性を発揮でき、省エネルギー効果による地球温暖化防止と、又結露防止効果を発揮する。又、高い断熱性は、冬季における素地1の内側表面温度を高めることにより、結露防止効果も発揮することができる。
2.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、厚みが十分取れるため、防水性が高いこと、更に防音性が高いという利点を有する。
3.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、素地1に対して、吹付によりシームレスで被覆することができるため、発ガン物質であるアスベストを飛散より封じ込めることができ、更にアスベストの廃材を発生しないので、環境上極めて効果を発揮できる。
4.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、吹付施工であるため、幕厚は自由に調節できるため、素地の取付用のボルト等の取付具を、巻き込んで施工したり、素地1の端部側面、又は不連続部をカバーし、シームレスで施工することができる。
5.素地1の取付具7は、長期間の腐食により、錆が発生しているが、本考案の工法により、酸素を遮断することにより、錆や腐食の進行を防止することができるのである。
6.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、素地1に破損された開口部1aがある場合も、布、合成樹脂のシート等の補修材9を被せて、シームレスに塞ぐことが可能である。
7.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、瞬間硬化型であるため施工時間が短く、極めて能率的に作業を行うことができる。
8.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、難燃剤を添加することができるので、火災に対しても、耐火性を発揮することができる。
9.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、クッション性を有するため、台風や強風による飛来物が、屋根を直撃しても衝撃を吸収することができ破損を防止することができる。
10.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、臭いの発生や、環境を配慮し、トルエン、キシレン等の有機溶剤を不使用とすることができるので、施工中の臭いの発生や、環境への配慮が可能である。
11.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4は、フロンガスを用いないので、オゾン層破壊係数を〇とすることができる。
12.補強防水層4は、高強度であり、前述の補修施工時のスレートの破損による墜落災害を防止する効果を発揮することができる。
13.補強防水層4は、速乾性であり、作業者が、吹付て2.0〜15秒には、その上に乗ることができる強度を発生するため、極めて安全性の高い工法であり、スレート屋根の踏抜き災害をほとんど防止できると言える画期的な特長を発揮することができる。
14.補強防水層4は、伸延性を有しており、スレート等である素地1が割れても補強防水層4は破損することなく追従することができる。
15.補強防水層4により、保証寿命を従来の通常10年から20年と向上することができる。
16.断熱発泡層3及び/又は補強防水層4に補強繊維を混入することにより更に強度を高めることが出来る。
17.補強防水層4に、アクリル系、又は2成分系のポリウレタン樹脂等で耐紫外線等の耐太陽光性を有する材料を混入させ、又は耐火性、又は耐飛び火性を有する材料を所定の割合で、混入させることにより、その耐久性能により表面層5を省略し、施工時間の大幅な短縮と、コスト削減効果を発揮できる。
18.表面層5は、火の粉等の飛火に対し対抗する飛び火性能を有している。従って建築基準法第22条区域内の建築物の屋根に対し火災の発生を防止する耐火構造とすることができる。
19.表面層5は、前記補強防水層4、及び断熱発泡層3を、紫外線等の太陽光線からの劣化を防止することができ、長期間の変質防止効果を発揮することができる。
20.表面層5は、遮熱塗料により、太陽光を反射し、断熱効果を発揮することもできる。
21.断熱発泡層3、補強防水層4、及び表面層5は、その構成により、耐候性もきわめて高く通常−50℃の低温でも弾性を失うことなく、又、110℃の高温でも弾性力を維持できる。
本考案は、前述した如く、屋根及び/又は壁の補修に係る問題点を解決する補修構造を提供するものである。
なお、本考案の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本考案の技術的範囲を限定するものではない。以下図面に基づいて詳細を説明する。
以下、本考案の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、施工工程順の施工後の構造を示す斜視図であり、図2は、素地の波形と直角方向の断面図である。
全体の概略工程、及び構造を説明すると、スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地1は、その支持梁2に対し固定されている。
前記素地1に対し、その表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層3を吹付る。
次に前記断熱発泡層3の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層4を吹付る。
次に、前記補強防水層4の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層5を、塗布又は吹付る。
次に、夫々の工程及び構造の詳細について述べる。
断熱発泡層3は、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された材料であって、通常イソシアネート、ウレタンプレポリマー等の主剤とポリオール、ポリアミン等の硬化剤の2剤を、混合比、略1:1で、混合して発泡させ、充填材、添加剤等を加えて、専用の最適な特殊ノズルの吹付機により、吹付施工する。
特に、本考案の効果を高めるため、断熱発泡層3は、独立気孔系の気孔とすることにより、水分の浸入の防止と断熱性を高めることができる。
断熱発泡層3は、密度は20〜70kg/mであり、圧縮強度は、3〜5kgf/cmであり、吹付後、10〜60秒で、強度を発揮し、ある程度の補強効果を有している。
又、熱伝導率は、0.015〜0.025W/mKと非常に小さいため、極めて高い断熱性を発揮できる。
断熱発泡層3の厚さは、最小5.0mm〜最大100mmくらいが望ましい。
これは、5.0mm以下では、防水性と断熱性能が不十分で効果が発揮できないためである。又、100mm以上となると、重量が重くなり、素地1に過度の荷重を掛けるためと、施工コストが高くなるためである。
更に望ましくは、10mm〜50mmである。
以上のように厚みが十分取れるため、断熱性が高いこと、防水性が高いこと、更に防音性が高いという利点を有するのである。
又、素地1に対して、吹付によりシームレスで被覆することができるため、発ガン物質であるアスベストを飛散より封じ込めることができ、更にアスベストの廃材を発生しないので、環境上極めて効果を発揮できる。前記補強防水層4も同様である。
又、吹付施工であるため、幕厚は自由に調節できるため、例えば図4、図5に示すように、素地の取付用のボルト等の取付具を、巻き込んで施工したり、図7、図8のように素地1の端部側面及び/又は断熱発泡層3の端部側面をカバーしたり、繋ぎ部等の不連続部をシームレスでカバーすることができる。前記補強防水層4も同様である。
又、断熱発泡層3は、クッション性を有するため、台風や強風による飛来物が、屋根を直撃しても衝撃を吸収することができ破損を防止することができる。前記補強防水層4も同様である。
又、難燃剤を添加することができるので、火災に対しても、建築基準法施工令第1条第6号で定める難燃材料の性能評価基準、JIS A1321に定める難燃3級試験に適合する難燃性を有している。
又瞬間硬化型であるため施工時間が短く、能率的に作業を行うことができる。
又、臭いの発生や、環境を配慮し、トルエン、キシレン等の有機溶剤無添加とすることができる。
又、フロンガスを用いないので、オゾン層破壊係数を、〇とすることができる。前記補強防水層4も同様である。
次に、補強防水層4について説明すると、この層が、本考案の特徴を最も発揮する層である。
材質は、その一例として、通常イソシアネート、ウレタンプレポリマー等の主剤とポリオール、ポリアミン等の硬化剤の2成分を、混合比、略1:1で、混合して充填材、添加剤等を加えて、専用の最適な特殊ノズルの吹付機により、吹付施工する。
図3に、補強防水層4の実験データの一例であるJIS A−6021「建築用塗装皮膜防水剤」に準ずる物性測定の結果を示す。
本データに示される破断時引張性状では、引張強さは、規格値2.3N/mmに対し本考案構造の補強防水層4は、18.0N/mmの大幅な強度を有している。又破断時の伸び率では、規格値450%以上に対し、480%となっている。
劣化処理を行った後の引張性状に関しても、規格値に対し全て適合しており、劣化しにくいことを表している。
但し、本考案での補強防水層4は、このデータの範囲を含むものであり、このデータに限定されるものではない。
従って、本考案での補強防水層4の引張強度は、最小10.0N/mm〜最大50.0N/mm以下の高強度としている。
これは10.0N/mm以下では、補強効果が不十分であるからである。又、最大50.0N/mmとしたのは、強度的に作業者の荷重に対しそれ以上は必要なく、コストもかかるためである。
又、本考案での補強防水層4は、最小厚さ0.5mm以上〜最大10mm以下で吹付ることにより、高強度と共に、高い防水性を発揮できる。
補強防水層4は、速乾性であり、高強度で、かつ伸延性がある材質となっている。従って、作業者が、吹付て2.0〜15秒には、その上に乗ることができ、極めて安全性の高い工法であり、前述の補修施工時のスレートの破損による踏抜き災害を全て防止できる、画期的な特長を発揮することができる。
補強防水層4は、伸延性を有しており、図3に示す如く破断時の伸び率は、480%となっており、スレート等である素地1が割れても補強防水層4は破損することなく追従することができる。
但し、本考案での補強防水層4は、このデータの範囲を含むものであり、このデータに限定されるものではない。
従って、本考案での補強防水層4の伸び率は最小400%〜最大800%の伸びを発揮できる。
これは、断熱発泡層3では、破損を防止することが困難である弱点を補強する大きな特長を発揮するものである。この点も引例特許文献の構造にない大きな性能の差を発揮する点である。
又、熱伝導率も0.015〜0.025W/mKと非常に小さいため、極めて高い断熱性を発揮できる。そのため、省エネルギー効果により、冷暖房費の削減が可能となり、地球温暖化防止に寄与することができる。
又、高い断熱性は、冬季における素地1の内側表面温度を高めることにより、結露防止効果も発揮することができる。
次に、防水性能は、補強防水層4を設けないときは、その寿命保証値は、通常10年間としているが、補強防水層4の防水性向上により、寿命保証値を20年とすることができる。
このことは、前述の従来例の如く、長期の使用により表面層に紫外線等の太陽光線や、雨、雪等による劣化、経年変化が起こりクラックが発生する。そうなるとそのクラックより断熱発泡層の微細な開孔に雨水が浸入し、凍結等により割れや変質が発生し、断熱発泡層を破壊するが、その表層側の補強防水層4により、これらを防止することにより達成されるのである。
補強防水層4の厚さは、最小0.5mm〜最大10mmくらいが望ましい。
これは、0.5mm以下では、補強強度と防水性と断熱性能が不十分であるためである。
又、10mm以上となると、強度は十分であり、返って吹付施工時間が長くなり、能率を阻害することと、施工コストが高くなるためである。
更に望ましくは、1.0mm〜5.0mmである。
次に、前記補強防水層4の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層5を、塗布又は吹付る。
表面層5は、火の粉等の飛火に対し対抗する飛び火性能を有している。従って建築基準法第22条区域内の建築物の屋根に対し火災の発生を防止する耐火構造とすることができるのである。
又、耐紫外線等の耐太陽光性を有する材料を塗装又は吹付により塗布する。
その効果により、前記補強防水層4、及び断熱発泡層3は、紫外線等からの劣化を防止することができ、長期間の変質防止効果を発揮することができるのである。
又遮熱塗料により、太陽光を反射し、断熱効果を発揮することもできる。
表面層5は、ローラーや刷毛による塗装や、エアレス吹付機等により塗装することができる。
表面層5の厚さは、最小20ミクロン〜最大1.0mmくらいが望ましい。
これは、20ミクロン以下では、耐紫外線等の耐太陽光性、耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性が、不十分となるためである。
又、1.0mm以上となると、補強防水層4等の熱膨張により割れが、発生し、施工時間が過大となり、施工コストが高くなるためである。
更に望ましくは、20ミクロン〜60ミクロンである。
本考案の施工方法、施工構造の断熱発泡層3、補強防水層4、及び表面層5は、その構成により、耐候性もきわめて高く通常−50℃の低温でも弾性を失うことなく、又、110℃の高温でも弾性力を維持できる。
図4、又、図5は、前述の如く素地の取付用のボルト等の取付具7を、巻き込んで施工することが、シームレスで、行うことができることを示した断面図である。図5は、ボルト保護キャップ8が設けられているときの補修状態を示す。
又、図6は、素地1であるスレートに破損された開口部1a等の不連続部が、ある場合の補修工法を示すものである。開口部1aに対し、布、合成樹脂のシート等の補修材9を被せ、その上から断熱発泡層3を吹付ることにより開口部1aをシームレスに塞ぐことが可能である。不連続部は、この他、素地1の繋ぎ部や、角処理部等も同様である。
次に、図7、図10のように素地1の端部側面1bを、断熱発泡層3と、補強防水層4で防水したり、断熱発泡層3の端部側面3bを、カバーすることにより、補強防水層4で防水を行うことができる。これらは、局部的な一例であるが、このように、通常なら漏水の発生しやすいその他の前記不連続部もシームレスに保護することができる。
図4、又、図5の取付具7は、長期間の腐食により、錆が発生しているが、本考案の工法により、それらをカバーするため酸素を遮断することにより、錆や腐食の進行を防止することができるのである。
以下、本考案の実施例2は、スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
その表面に、プライマー層6を塗装又は吹付により形成し、該プライマー層6の表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された速乾性の断熱発泡層3を吹付ることにより、断熱発泡層3の素地1に対する密着度を向上させたものである。
図8は、施工工程順の施工後の構造を示す斜視図であり、図9は、素地の波形と直角方向の断面図である。図10は、実施例2での素地1の端部側面1bを、断熱発泡層3と、補強防水層4で防水したり、断熱発泡層3の端部側面3bを、カバーする補修構造を示す断面図である。
このプライマー層6は、必須のものではないが、通常、屋根の素地1の表面には、藻、カビ、ゴミ、レイタンス等が付着しておることが多く、付着の著しい所はそれらを洗浄で除いても良いが、全体的には、プライマー層6を設けることにより、断熱発泡層3の密着度を向上させることができる。材料は、水性又は油性プライマー等、もしくは、それらの混合物が選択される。このプライマー層6により、前述のアスベスト封止効果を更に高めることもできる。
本考案の実施例3は、断熱発泡層3を無くし、素地1の表面に、プライマー層6を塗装又は吹付により形成し、その表面に、直接、補強防水層4を吹付により施工し、更に、その表面に、表面層5を施工する構造である。
図11は、施工工程順の施工後の構造を示す斜視図であり、図12は、素地の波形と直角方向の断面図である。
このように構成すると、断熱発泡層3がないため施工厚さが大幅に削減でき、重量の軽減、施工時間の大幅な短縮により、大幅なコスト削減を図ることができる。
本実施例は、図13に構造の拡大模式図を示すごとく、断熱発泡層3及び/又は、補強防水層4の材料に、短寸のガラス繊維、又は、短寸のカーボン繊維、又は短寸のステンレスあるいは、チタン等の金属繊維等の補強繊維10を混入するものである。補強繊維10の線径、長さ等は、その材料にあわせて最適な物を選定使用し、補強効果を調節することができる。例えば、ガラス繊維又はカーボン繊維の例で示すと素線の線径は、3〜20ミクロン(μm)であり、それを単独で混入したり、又は撚りあわせて0.5〜2.0ミリ(mm)の繊維束として混入する。素線、又は繊維束の長さは、1〜30ミリ(mm)とすることにより、断熱発泡層3及び/又は、補強防水層4の材料に、混入することが容易であり、大幅な補強効果を与えることが出来る。
これらの補強繊維10の補強効果により断熱発泡層3及び/又は、補強防水層4は、更に高強度を発揮でき、施工厚さが削減でき、重量の軽減、施工時間の大幅な短縮が図られ樹脂材料の使用料を減らすコスト削減効果を得ることができる。
本実施例は、補強防水層4の材料に、表面層5の耐紫外線等の耐太陽光性を有する材料、及び/又は、又は耐火性・耐飛び火性を有する材料を、混入することにより表面層5を省略し、表面補強防水層11を、最上面とする構造である。
例えば、アクリル系、又は2成分系のポリウレタン樹脂等を混入させることにより、耐紫外線等の耐太陽光性を強化することが出来る。表面補強防水層11の材料の実施例としては、例えば旭硝子ポリウレタン建材株式会社(登録商標)製の製品名「サラセーヌT」(登録商標)等を混入した材料が用いられる。
又、表面補強防水層11の耐火性・耐飛び火性に対しては、通常7号珪砂と呼称される粒径が0.2〜0.3ミリ(mm)φの珪砂を混入することにより付与することが出来る。
そして、これらの耐久性能により表面層5を省略し、直接表面補強防水層11を、最上面とすることが出来るのである。
この実施例では、表面層5の工程と材料を削減することが出来るので、施工時間の大幅な短縮による能率化と、更に表面層5の樹脂材料の使用量を減らすコスト削減効果がある。
本考案の活用例としては、以上説明したように、建物の屋根又は壁に対し、極めて多くの特徴を有する補修構造を提供することにより、コストダウン及び施工時間の短縮化による新技術の新たな需要増大により産業の活性化に寄与すると共に、労働災害の現象、アスベストの環境問題、地球温暖化を防止する省エネ対策と、現在の抱えている諸問題の解決を図る大幅な効果を発揮するものである。
本考案による実施例1の施工構造の斜視図である。 図1の素地の波形と直角方向の断面図である。 防水補強層4の実験データの一例である。 素地1の取付具7を巻き込んだ補修構造を示す断面図である。 ボルト保護キャップ8を巻き込んだ補修構造を示す断面図である。 素地1の破損された開口部1aの補修構造を示す断面図である。 素地1の端部側面1bを巻き込んだ補修構造を示す断面図である。 本考案による実施例2の施工構造の斜視図である。 図8の素地の波形と直角方向の断面図である。 素地1の端部側面1bを巻き込んだ補修構造を示す断面図である。 本考案による実施例3の施工構造の斜視図である。 図11の素地の波形と直角方向の断面図である。 本考案による実施例4の拡大模式図である。 本考案による実施例5の施工構造の斜視図である。 図14の素地の波形と直角方向の断面図である。
符号の説明
1 素地
1a 開口部
1b 端部側面
2 梁
3 断熱発泡層
3b 端部側面
4 補強防水層
5 表面層
6 プライマー層
7 取付具
8 ボルト保護キャップ
9 補修材
10 補強繊維
11 表面補強防水層

Claims (8)

  1. スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
    該素地の表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層を吹付、
    前記断熱発泡層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、
    前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付たことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造。
  2. スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
    該素地の表面に、プライマー層を塗装又は吹付により形成し、該プライマー層の表面に、ポリウレタン等の樹脂製発泡材で構成された断熱発泡層を吹付、前記断熱発泡層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、
    前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付たことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造。
  3. スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の素地に対し、
    該素地の表面に、プライマー層を塗装又は吹付により形成し、該プライマー層の表面に、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を吹付、前記補強防水層の表面に耐紫外線等の耐太陽光性、又は耐火性、又は耐飛び火性、又は遮熱性等のいずれか、又はそれらの組合せによる1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付により施工し、断熱発泡層を設けることなく構成したことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造。
  4. 請求項1、又は2、又は3記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
    前記断熱発泡層は、最小厚さ5.0mm以上〜最大厚さ100mm以下で吹付、及び/又は前記補強防水層は引張強度、最小10.0N/mm〜最大50.0N/mm以下の強度を有し、速乾性と伸延性を有するポリウレタン等の高強度樹脂製の補強防水層を、最小厚さ0.5mm以上〜最大10mm以下で吹付ることを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造。
  5. 請求項1、又は2、又は3、又は4記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
    前記断熱発泡層は、独立気孔系のポリウレタン等の樹脂製発泡剤であることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造。
  6. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
    前記素地の取付のためのボルト等の取付具、及び/又は素地の端部側面、及び/又は断熱発泡層の端部側面、及び/又は不連続部を、前記断熱発泡層、及び/又は前記補強防水層で巻き込み、シームレス構造としたことを特徴とする屋根及び/又は壁の施工構造。
  7. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6記載の屋根及び/又は壁の施工構造であって、
    前記断熱発泡層及び/又は、前記補強防水層の材料に、短寸のガラス繊維、又は、短寸のカーボン繊維、又は短寸のステンレス、あるいはチタン等の金属繊維を混入することにより、更に高強度とすることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造。
  8. 請求項1、又は2、又は3、又は4、又は5、又は6、又は7記載の屋根及び/又は壁の構造であって、
    前記補強防水層の材料に、耐紫外線等の耐太陽光性を付与する材料を混入させ、及び/又は、耐火性、耐飛び火性を有する珪砂等の材料を混入させることにより、表面層を省略し、直接、表面補強防水層を最上面とすることを特徴とする屋根及び/又は壁の構造。
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