JP5580925B1 - 断熱システムの施工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物等に対する発泡ウレタンの吹き付け工事を、工場の稼動を止めずに施工を可能とすることを目的とする。
【解決手段】建物又は構築物に断熱層を施工する方法であって、(1)建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程、(2)前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程、及び(3)前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程、を含む断熱層の施工方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、断熱システムの施工方法に関する。
昨今の建築情勢により益々省エネルギー化・低炭素化の関心が高まっている。特に、東日本大震災以後の電力供給の不安定化により、建築・建造物にも省エネルギー化を強く求められている。工場用又は倉庫用の建物の、建築耐用年数は約30年と言われており、多くは波型スレート屋根や折板屋根が使用されている。これらの使用材料の多くは、経年劣化が進み、補修工事の時期を迎えると共に、断熱対策をしていない為、光熱費のランニングコストが上がってしまう。
建築業界では、省エネ住宅に対する基準及び認定制度に対する流れが加速しており、2020年の住宅には低炭素建築物認定制度に即した省エネ住宅基準適合の義務化を見据えた動きが活発化している。その結果、2020年以降は、同基準を満たさない建物や建造物は、省エネルギー化への修繕、改修等の対応が求められる。
しかしながら、従来の工場の改修工事では、工場の内側で修繕、改修等が行なわれていたため、工場の稼動を一時的にストップして工期を確保する必要があった。
また、特許文献1及び2には、屋根の表面に発泡ウレタン断熱防水用層、耐候性を有するウレタン防水層及び紫外線遮断用トップコート層が設けられた断熱防水層が開示されている。
実用新案登録3148781号公報 特開2008-69563号公報
本発明は、建物等に発泡ウレタン吹きつけ工事を行い、工場の稼動を止めずに施工を可能とすることを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、建物等に断熱層を施工する方法において、建物等の屋根等の表面に発泡ウレタン層を形成する工程と、前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程と、前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程とを、順に備えることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の通りである。
項1. 建物又は構築物に断熱層を施工する方法であって、
(1)建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程、
(2)前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程、及び
(3)前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程、
を含む断熱層の施工方法。
項2. 前記発泡ウレタン層が、触媒を添加せずに形成する層である、前記項1に記載の施工方法。
項3. 前記水系ポリマーセメント塗膜保護層が、エチレン酢酸ビニル共重合体及び水を含む液体混合物Aと、カルシウムアルミネート、結晶質酸化珪素及び無機質充填材を含む固体混合物Bとから形成する層である、前記項1又は2に記載の施工方法。
項4. 前記耐候性トップ層が、難燃剤を含む層である、前記項1〜3のいずれかに記載の施工方法。
項5. 前記工程(1)が、建物又は構築物の屋根の軒先約30〜70cmに発泡ウレタン層を形成しない工程である、前記項1〜4のいずれかに記載の施工方法。
項6. 前記建物又は構築物が表面に一定間隔で並べられた複数の瓦棒を備える瓦棒屋根であり、前記工程(1)が、瓦棒にバッカーを取り付けた後に、瓦棒屋根の表面に発泡ウレタン層を形成する工程である、前記項1〜5のいずれかに記載の施工方法。
項7. 建物又は構築物の表面上に養生シートを設置するための養生シート設置具であって、
前記建物又は構築物の表面上に設けられた突起物が係合する係合部と、
前記係合部を介して前記表面に固定可能な基台部と、
前記基台部の表面に縦設された支柱部と、を備え、
前記支柱部には、隣接する支柱部との間に養生シートを設置するための紐材を通すための紐通し孔を有する第1の取付具が設けられている養生シート設置具。
項8. 前記支柱部には、隣接する支柱部との間に掛け渡される紐材を通すための紐通し孔を有する第2の取付具がさらに設けられ、
前記第2の取付具は、前記支柱部の下端から約80〜120cmの高さに設けられている前記項7に記載の養生シート設置具。
項9. 前記建物又は構築物は、表面形状が複数の山と谷とが交互に連続した波形状のスレート屋根又は折板屋根であり、
前記係合部は、前記基台部に形成され、スレート屋根又は折板屋根の表面から突き出るボルトを挿通可能な挿通孔により構成される前記項7又は8に記載の養生シート設置具。
項10. 前記建物又は構築物は、表面に一定間隔で瓦棒が複数並べられた瓦棒屋根であり、
前記係合部は、前記基台部が固定された状態で隣接する瓦棒上に掛け渡される一対のフレーム部材と、前記フレーム部材を瓦棒との間で挟みこんで固定する複数の固定部材と、により構成される前記項7又は8に記載の養生シート設置具。
本発明の施工方法によれば、建物等に発泡ウレタン吹き付け工事を行い、工場の稼動を止めずに施工を可能とすることが可能である。
本発明に係る断熱層の一実施例を示す説明図である。 基台部及び支柱部の正面図(A)及び上面図(B)である。 フレーム部材の正面図(A)及び側面図(B)である。 第1実施形態の養生シート設置具の斜視図である。 固定部材の背面図である。 固定部材の正面図である。 固定部材の側面図である。 第2実施形態の養生シート設置具の要部を拡大した斜視図である。 スレート屋根の断面図である。 折板屋根の断面図である。 瓦棒屋根の断面図である。 吹付機の概略構成図である。 スプレーガンの正面図である。 本発明の断熱システム(スレート板)の温度測定結果である。
以下、本発明の施工方法について詳細に説明する。
本発明は、建物又は構築物に断熱層を施工する方法であって、
(1)建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程、
(2)前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程、及び
(3)前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程、
を含む。
本発明の断熱層の施工方法は、下地(建物又は構築物の表面)に発泡ウレタンフォーム(断熱)を吹付け、その表面にポリマーセメント保護材及び耐候性に優れたトップコートを塗布するものである。下地は、金属屋根が好ましく、スレート屋根、折板屋根、瓦棒屋根が好ましい。
本発明の施工方法によれば、建物等の外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行うことにより、工場及び倉庫の操業を止めずに断熱施工が可能である。また、下地処理が簡単な上、既存屋根を利用するので、工期を短縮することが可能である。
本発明の施工方法により、高い断熱効果のある発泡ウレタンと、高耐候性を持つ保護材との複合断熱システムを提供することができる。年数を重ねても経年変化の少ない断熱層により、十分な断熱効果を発揮できる。断熱層は、均一な塗膜厚で形成され、シームレスで高品質な塗膜となることから、建物の空調にかかる費用を大きく低減できる。
更に、下地が脆弱になっていても、断熱層により耐久性の強い屋根になることから、屋根の延命化に繋がる。また、断熱層により、プレス工場等の騒音工場の低音化に繋がり、また、折板屋根等の金属屋根での雨音を軽減できる。また、アスベストを含有するスレート屋根においては、断熱層によって、屋根を外部から遮断でき、アスベストの飛散を抑制できる。断熱層は2〜5kg/mと軽く、建物への負担が少なく、これは、屋根材を重ねる場合に比べて、半分以下の重さである。
本発明の施工方法によれば、品質面でも高い断熱性能及び高耐候性を兼ね備える断熱層を施工できることから、光熱費やCO2の削減等、建築物の低炭素化により、環境面で効果的な施工方法である。夏場では、外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行った建物等の施工面の裏面温度は、未施工面の裏面温度又は遮熱塗料のみを塗布した面の裏面温度と比べて、低下させることができる。冬場では、発泡ウレタン層が断熱層となり、内部熱の放出を防ぐ効果がある。
本発明の施工方法によれば、建物の躯体の品質性能を向上させることができ、建築設備の効率化に繋がる。
(1)施工場所の養生
(1-1) 養生シート設置具
断熱施工時には、風等の影響により施工場所の周囲に吹き付け材料(発泡ウレタン材、水系ポリマーセメント材及び耐候性トップ材)が飛散することがある。よって、吹き付け材料の飛散を防ぐ目的で、布等の養生シートを設置することが求められる。ここで、断熱施工を行う建物や構築物が近隣の住宅等と隣接している場合、建物や構築物の周りに足場を組み立てることができない。そのため、例えば、建物や構築物の屋根を断熱施工する場合には、屋根の上に養生シートを設置して吹き付け材料の飛散防止を行う必要があるが、本発明の養生シート設置具によれば、養生シート設置具を屋根に容易に取り付けることができるので、養生シートの設置作業が簡単であり、また、作業者は、建物や構築物の屋根上で作業を行うことに対して安心できる。
本発明の養生シート設置具6は、図2〜図8に示すように、建物又は構築物(屋根)の表面上に設けられた突起物が係合する係合部7と、係合部7を介して建物又は構築物(屋根)の表面に固定可能な基台部8と、基台部8の表面に縦設された支柱部9と、を備えている。
基台部8は、所定の厚みを有する平面視矩形状の板材からなり、例えば鉄や鉄鋼などの金属製である。基台部8の対向する2辺の略中央位置には、固定孔80がそれぞれ形成されているとともに、固定孔80の内側位置に係合孔70がそれぞれ形成されている。基台部8の略中央部には支柱部9が垂直に延びるように設けられている。
支柱部9は、所定の高さを有する平面視矩形状の角柱からなり、例えば鉄や鉄鋼などの金属製である。支柱部9の高さは、特に限定されるものではないが、吹き付け材料の飛散を効果的に防止するためには、少なくとも160cm程度あればよい。
支柱部9の上端面には、第1の取付具90が一体に設けられている。第1の取付具90は、紐材を通すことが可能な紐通し孔91を有するリング状のものであり、棒状の接続具92を介して支柱部9に取り付けられている。支柱部9を屋根の周囲に沿って所定間隔をあけて複数並べた後、例えば、各支柱部9の第1の取付具90に紐材を通しながらぴんと張った状態で紐材を張設して、屋根上の周囲に沿って紐材を掛け渡す。そして、この紐材に例えば養生シートを掛けて垂らすことで、隣接する支柱部9の間に養生シートを設置できる。または、養生シートの両側縁に一対の紐材を取り付け、各紐材を隣り合う支柱部9の第1の取付具90に結んで支柱部9間に吊り下げることで、隣接する支柱部9の間に養生シートを設置することもできる。
支柱部9の第1の取付具90よりも下方の側面には、第2の取付具93が一体に設けられている。第2の取付具93は、紐材を通すことが可能な紐通し孔94を有するリング状のものであり、棒状の接続具95を介して支柱部9に取り付けられている。第2の取付具93の設置高さは、特に限定されるものではないが、屋根の上で作業する作業者の腰の位置に対応していることが望ましく、例えば支柱部9の下端から約80〜120cmの高さに設けられている。屋根の周囲に沿って所定間隔をあけて複数並べられた支柱部9の第2の取付具93に紐材を通しながらぴんと張った状態で紐材を張設して、屋根上の周囲に沿って紐材を掛け渡すことで、紐材により屋根の上に柵が形成される。よって、屋根の上で作業する作業者が作業中に誤って屋根から転落することが防止されるので、作業者は、屋根上で安心して作業を行うができる。
係合部7は、基台部8を屋根の上に固定するためのものである。ここで、工場や倉庫等の建物又は構築物の屋根としては、図9や図10に示されているような、表面形状が複数の山と谷とが交互に連続した波形状のスレート屋根や折板屋根、あるいは、図11に示すような、表面に一定間隔で瓦棒10が複数並べられた瓦棒屋根、が多く使用されている。このように、一般に多く使用されている屋根には、ボルト11や瓦棒10などの突起物が設けられており、本発明の養生シート設置具6は、この突起物に係合部7を係合させることで、基台部8を屋根の上に固定している。
まず、図9や図10のスレート屋根や折板屋根に基台部8を固定するための方法としては、スレート屋根や折板屋根は、ボルト11及びナット12により支持梁(図示せず)に固定されており、スレート屋根や折板屋根の表面からはボルト11の先端部が突き出ている。このボルト11は、予め決められた所定間隔で設けられている。そこで、このような図9や図10のスレート屋根や折板屋根に基台部8を固定する際には、基台部8に形成された係合孔70を係合部7として機能させる。具体的には、一対の係合孔70にボルト11の先端が挿通されるようにして基台部8を屋根の上に配置し、係合孔70から突き出たボルト11の先端にナット(図示せず)を締め付けることで、基台部8を屋根の上に固定する。
一方で、図11の瓦棒屋根に基台部8を固定するためには、係合部7として、図5〜図7に示すような、基台部8を固定した状態で隣接する瓦棒10上に掛け渡される一対のフレーム部材71と、フレーム部材71を瓦棒10との間で挟みこんで固定する複数(図示例では4つ)の固定部材72とを用意する。瓦棒屋根は、一般的には、本体となる溝板13と、吊子14と、キャップ15とで構成される。
フレーム部材71は、所定の厚みを有する断面視L字状の板材からなり、L字の一方の板面の略中央部には貫通孔73が形成されている。一対のフレーム部材71の各貫通孔73に各固定孔80が合致するように基台部8を配置して、ボルト74及びナット75で両フレーム部材71及び基台部8を締め付けることで両者が固定される。
固定部材72は、上部材76と下部材77とからなる。下部材77は、本実施形態では、図示例の瓦棒10の形状と合うように、所定の厚みを有する断面視コ字状(又は略コ字状)の板材からなり、底壁部77Aと一対の側壁部77Bとを備えている。下部材77は、底壁部77Aが瓦棒10(キャップ15)の上面の凹んだ平面部15A上に配置されるとともに、側壁部77Bが瓦棒10(キャップ15)の上面の凹んだ側面部15Bに沿うように、その大きさが設定されている。なお、底壁部77Aは、必ずしも平らな平板状である必要はなく、瓦棒10(キャップ15)の上面の平面部15Aの形状に沿うような形に形成されていてもよい。下部材77の長さ方向の他方端側には、両側壁部77Bの上端から瓦棒10(キャップ15)の側面部15Bを跨ぐようにして逆U字状に延びる引っ掛け部77Cが設けられている。この引っ掛け部77Cが瓦棒10(キャップ15)の側面部15Bに引っ掛かることで、下部材77が瓦棒10から容易に外れることが防止されている。下部材77の長さ方向の略中央位置には、両側壁部77Aの上端に取っ手部77Dが設けられている。両取っ手部77Dの略中央部にはボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。
上部材76は、所定の厚みを有し、下部材77よりもひと回り大きい断面視コ字状(又は略コ字状)の板材からなり、上壁部76Aと、一対の側壁部76Bと、端壁部76Cと、を備えている。上部材76は、側壁部76Bの下端が端壁部76Cの下端よりも下方に延びているとともに、瓦棒10(キャップ15)の各側面部15Bから斜め下方外側に延び先端部が鈎状に内側へ折り曲げられた折り返し部15Cの下端に回り込んで係止するように、折れ曲がっている。両側壁部76Bの長さ方向の他方端側には、ボルト挿通孔(図示せず)が形成されている。ボルト78を上部材76及び下部材77のボルト挿通孔に通し、ボルト78とナット79とで上部材76及び下部材77を締め付けることで、上部材76と下部材77とで瓦棒10が挟持される。これにより、固定部材72が瓦棒10に固定される。両側壁部76Bの長さ方向の一方端側には、上下方向の略中央位置に水平に延びる長孔76Dが形成されている。この長孔76Dには、フレーム部材71のL字の一方の板面が挿入される。また、上壁部76Aの長さ方向の一方端側には、押え片76Eが一体に設けられている。この押え片76Eは、フレーム部材71のL字の一方の板面が長孔76Dに挿入された際に、フレーム部材71のL字の他方の板面上に当接して上から押さえつける。これにより、フレーム部材71は、固定部材72と瓦棒10との間で挟みこまれて固定される。よって、フレーム部材71に固定された基台部8が屋根の上に固定される。
以上の通り、本発明の養生シート設置具6によると、スレート屋根や折板屋根であっても、また、瓦棒屋根であっても、容易に屋根の上に取り付けることができるので、養生シートの設置作業が簡単である。
(1-2) キャスター移動式テント
施工場所が建物や構築物の屋根である場合には、吹き付け材料の飛散をさらに効果的に防ぐ目的で、屋根上に、キャスター移動式テントを設置してもよい。キャスター移動式テント内で、発泡ウレタン等の吹き付けを行なうことで、吹き付け材料の飛散を確実に防止することができる。
(1-3) 下地処理
発泡ウレタンは、殆どの下地にプライマーなしで接着させることができる。
発泡ウレタン層を形成するために、発泡ウレタンを吹き付ける際の下地処理は、雑草、ゴミ、石を除去するだけでよく、高圧洗浄等の大掛かりな清掃は不要であり、細かなゴミ等は発泡ウレタンを吹き付けることによって固定される。
建物又は構築物に対して、下地処理を施してから、発泡ウレタン層を吹き付けることが好ましい。例えば、下地の塗膜が腐食している場合は、下地を高圧洗浄、ケレン掛け等の処理を施すことが好ましい。
下地が金属の屋根材である場合は、金属の腐食を防止するために、屋根材に錆止め用プライマーを塗布することが好ましい。
下地処理により、断熱層を構成する材料と屋根材との接着が向上する。
・バッカーの取り付け
建物又は構築物が瓦棒屋根である場合、図11に示すように、瓦棒10にバッカー16を取り付けた後に、瓦棒の表面に発泡ウレタン層を形成する工程であることが好ましい。
瓦棒10のハゼ入隅部17に、バッカー10として、断面視三角形状の、例えば糊付き発泡ポリスチレンなどを取り付けることにより、面取りを行なうことができる。瓦棒10の入隅部17にシームレスに発泡ウレタン層を形成することができる。
・ボトルキャップの切り取り
建物又は構築物がスレート屋根や折板屋根である場合、上述したように、屋根材を支持梁に取り付けるための取付用のボルト(図9及び図12の符号11を参照)等が屋根上に突き出ている。このボルトの突出する先端を切り取ることで、ボルトを巻き込んで、発泡ウレタン層を形成することができ、断熱層をシームレスに施工することができる。
・ジョイントテープの貼り付け
建物又は構築物がスレート屋根や折板屋根である場合には、屋根材を複数重ね合わせることで施工されるが、屋根材の重ね部分(ジョイント)には、不陸調整及び発泡ウレタン層のクラック防止の目的で、ジョイントテープを貼り付けることが好ましい。例えば、素地であるスレートに破損された開口部等の不連続部を、連続にできる。開口部に対し、布、合成樹脂等のシート等の補修材を被せ、その上から発泡ウレタン層を吹付けることにより開口部をシームレスに塞ぐことが可能である。不連続部は、この他、素地の繋ぎ部や、角処理部等も同様である。
・補強布の取り付け
建物又は構築物がスレート屋根や折板屋根である場合、屋根材の重ね部分(ジョイント)の隙間に、一液性の断熱発泡ウレタンフォームで充填し、次いで重ね部分(ジョイント)を跨ぐように補強布を貼り付けて補強することが好ましい。ワーキング防止の効果がある。断熱層をシームレスに施工することができる。
また、屋根材が破損し、孔が開いているような場合には、発泡ウレタンを吹き付ける前にその孔の部分を塞ぐことが好ましい。例えば、シート、木板等で塞ぐことが好ましい。その表面を、発泡ウレタン層で覆うことで、シートや木板等の補修材を固定する必要もなく、強度的にも十分な値が得られる。
・ブチルテープの貼り付け
建物又は構築物の屋根の鉄部取り合いは、ジョイント部をブチルテープで補強することが好ましい。ワーキング防止の効果がある。断熱層をシームレスに施工することができる。
(2)建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程
本発明の建物又は構築物に断熱層を施工する方法は、工程(1)として、建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程を有する。下地(建物又は構築物の表面)に発泡ウレタンフォーム(断熱)を吹付け、その表面にポリマーセメント保護材及び耐候性に優れたトップコートを塗布するものである。
建物又は構築物の表面である、スレート、コンクリート、防水シート、木質材等の非金属材、又は金属製の建物の屋根又は壁の下地は、その支持梁に対し固定されている。下地に対し、その表面に、ポリウレタン系樹脂の樹脂製発泡材で構成された発泡ウレタン層を吹き付ける。
古いスレート屋根等の屋根材は、アスベストを含む場合が多く、撤去作業や下地清掃の際には細心の注意が必要で、高圧洗浄が困難である。下地表面のゴミや石を除去するだけで、下地の上に直接発泡ウレタンを吹き付けて、被覆、固着するので、アスベスト撤去の必要もなく、施工が容易である。
古くなった折板屋根やスレート屋根の場合、経年劣化や自然災害等によって破損しているケースもある。発泡ウレタンが強固に接着するため、屋根が部分的に破損している場合でも、金属版、スレート版等で塞ぎ、その上から発泡ウレタンを吹付けるのみで一体化するという利点がある。
建物又は構築物は、断熱層を施工する下地となる。下地は、金属屋根が好ましく、スレート屋根、折板屋根、瓦棒屋根が好ましい。
発泡ウレタン層は、ポリウレタン系樹脂の樹脂製発泡材で構成された材料である。発泡ウレタンは、特に制限されない。発泡剤として二酸化炭素又はフロン類を用いるものが好ましい。発泡ウレタンは、主剤としてポリオール、ポリプレングリコール等を主成分とする樹脂を用いる。主剤に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比、略1:1で、混合して発泡させ、必要に応じて、充填材、添加剤等を加えて、吹付施工する。
ポリオール、ポリプレングリコール等を主成分とする樹脂(主剤)に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比1:1(体積比)程度で、混合し、発泡させる。液温を35℃程度が好ましい。必要に応じて、充填材、添加剤等を加えることができる。発泡後の発泡ウレタンは、専用の最適な特殊ノズルを備えるスプレーガンにより、吹き付け施工する。
発泡ウレタンの吹き付けは、材料を、トラックに搭載した吹付機から現場へホースで送り、スプレーガンにより吹き付ける。スプレーガンの中で主剤と硬化剤とが混合され、噴出されると同時にも混合され、直ちに硬化・発泡が始まる。発泡ウレタンは吹き付け後、すぐに発泡し、硬化が始まる。発泡及び硬化の際には、反応熱が発生し、その熱による効果で更に反応が促進される。吹き付け後、荷重をかけられるようになるまでの時間は、約3分後であり、工事期間の短縮に寄与する。
下地に対して、吹き付けによりシームレスで被覆することができるため、発ガン物質であるアスベストを飛散より封じ込めることができ、更にアスベストの廃材を発生しないので、環境上極めて効果を発揮できる。
吹き付け施工であるため、膜厚は自由に調節できるため、素地の取付用のボルト等の取付具を、巻き込んで施工したり、素地の端部側面及び断熱発泡層の端部側面を、或いは素地の端部側面又は断熱発泡層の端部側面をカバーしたり、繋ぎ部等の不連続部をシームレスでカバーすることができる。取付具は、長期間の腐食により、錆が発生する。それらをカバーするため、水と酸素を遮断することにより、錆や腐食の進行を防止することができる。
下地の端部側面を、発泡ウレタン層及び水系ポリマーセメント塗膜保護層とで防水したり、発泡ウレタン層の端部側面を、カバーすることにより水系ポリマーセメント塗膜保護層で防水を行うことができる。通常なら漏水の発生しやすいその他の前記不連続部もシームレスに保護することができる。
発泡ウレタン層は、クッション性を有するため、台風や強風による飛来物が、屋根を直撃しても衝撃を吸収することができ破損を防止することができる。
瞬間硬化型であるため施工時間が短く、能率的に作業を行うことができる。
使用するフロンガスのHFCやCO2は、オゾン層破壊係数が0であり、環境に配慮できる。また、トルエン、キシレン等の有機溶剤を使用しないので、臭いや作業環境にも配慮できる。
建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程において、建物又は構築物の表面が低温である場合には、吹き付け作業を2回に分け、1回目の吹き付け作業により下層の発泡ウレタン層を形成した後、20秒〜3分以下の時間経過後に、2回目の吹き付け作業を行い上層の発泡ウレタン層を形成することが好ましい。
施工の標準仕様は、発泡ウレタン層が2〜5kg/m2程度、水系ポリマーセメント塗膜保護層が0.5〜2.5kg/m2程度(好ましくは2kg/m2程度)、耐候性トップ層が0.5kg/m2程度である。
発泡ウレタン層を形成する発泡ウレタンを屋根材等の表面に吹き付ける際の機械の設定は、吐出圧60〜70bar、材料温度はポリオール(主剤)50〜60℃、イソシアネート(硬化剤)40〜50℃を標準設定とすることが好ましい。温度又は吐出圧を上げると粒子が細かくなる。材料温度を上げると、発泡、反応時間が短くなる。
発泡ウレタンは、下地清掃が困難なアスベストを含む屋根でも、そのまま施工できる。その場合、5〜6mm程度の厚みで下吹きし、浮いている石やゴミなどを固定してから、再度厚めに吹き付けることが好ましい。
水はイソシアネートと結合し易い。下地に水分が残っていると、ポリオールとイソシアネートが十分に結合せず、発泡ウレタン層の物性の低下を招く傾向がある。そのため、下地には水分が残っていない状態であることが好ましい。
好ましい施工条件は下記の通りである。
下地の施工可能含水率:8%以下が好ましい。
下地の施工可能温度:10℃以上が好ましい。
施工可能な気温:5℃以上が好ましい。
施工可能な相対湿度:理論上は90%以下が好ましい。
発泡及び硬化の際には反応熱が発生し、その熱による効果で反応が促進される。下地温度が規定値より低いと、必要な反応熱が下地に奪われ、順当な反応(発泡及び硬化)が行なわれなくなる。そのため、硬化が遅く、発泡しない下層の膜が形成されてしまう。下地温度が10℃を下回る場合は、発泡率が低くなり、膨れにくくなる。その場合の施工方法として、発泡ウレタン剤を2回に分けて吹付け、硬化させるようにすることが好ましい。先ず、下層だけを吹き付けておく(下吹き)ことにより、下地の温度を上げることができる。次に、下層の上に再度同じ発泡ウレタン剤を吹き付け、発泡、硬化せしめることにより、上層の発泡ウレタン層を形成することができる。
硬化(発泡)反応は混合直後から始まり、その後約30秒間反応が続く。従って、1回目の下吹きにより下層の膜を形成してから、2回目の吹付けを行うまでの時間間隔は20秒〜3分程度の短時間とすることが望ましい。3分以上の間隔が明くと下層の膜の温度が下地の温度まで低下し、下吹きをした効果が半減するからである。また、20秒未満では、反応熱が十分でなく、2回に分けて吹き付ける意味が失われるからである。
硬化終了後荷重をかけられるようになるまでの時間は、15分程度である。
1層目の吹き付け厚みは5〜20mm程度以内が好ましい。2層目移行の吹き付け厚みは各層が10〜20mm程度以内になるように、重ね吹きすることが好ましい。
屋根に施工する場合、発泡ウレタンを屋根の棟(高い所)から吹付け開始し、軒(低い所)へ向かって作業することが好ましい。その理由は、軒(低い所)から高い方へ向かって施工すると、施工中又は施工中断期間中に雨が降ると、発泡ウレタン層の上端部に雨水が溜まり、その水の排出、乾燥作業に手間がかかる傾向があるからである。更に、未施工部分に水が溜まることにより、最悪の場合には水漏れ事故につながる傾向があるからである。
隣接する屋根材同士が重なっている箇所においては、重なっている上側の屋根材の方から下側の屋根材の方へ向かって吹き付けることが好ましい。屋根材の重ね部分を確実にシールするためである。
屋根の軒先での調整
工程(1)は、建物又は構築物の屋根を断熱施工する際には、屋根の軒先約30〜70cm(50cm程度がより好ましい)に発泡ウレタン層を形成しない工程であることが好ましい。
建物又は構築物の屋根材(下地)の軒先約30〜70cmでは、発泡ウレタン層を吹き付けず、直接水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成することが好ましい。屋根材に対する断熱層の接着性が向上する。その結果断熱層の耐風圧性が向上する。
屋根に構造物が設置される場合の調整
建物又は構築物の屋根上にエアコン室外機等の構造物が設置されている場合は、構造物が設置されている部分に対しては発泡ウレタン層を吹き付けず、直接水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成することが好ましい。屋根材に対する断熱層の接着性が向上する。
例えば、屋根に構造物が設置されている部分に、成形板の断熱材(ポリスチレンフォーム)及び補強パネル(ケイカル板)を取り付けて、その表面に直接水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成することが好ましい。耐荷重性及び断熱性も向上する。
発泡ウレタン層の特性
発泡ウレタン層のかさ密度は27.0±1.5Kg/m3程度が好ましい。
発泡ウレタンのカサ密度(自由発泡)は、好ましくは10〜40Kg/m3程度であり、より好ましくは15〜35Kg/m3程度であり、更に好ましくは20〜30Kg/m3程度である。
発泡ウレタンのコア密度(JIS K 7222)は、好ましくは20〜50Kg/m3程度であり、より好ましくは25〜45Kg/m3程度であり、更に好ましくは30〜40Kg/m3程度である。
発泡ウレタンの圧縮強度(JIS A 9526、発泡方向に平行方向)は、好ましくは70〜200Kpa程度であり、より好ましくは80〜190Kpa程度であり、更に好ましくは85〜180Kpa程度である。
発泡ウレタンの自己接着強度(JIS A 9526)は、好ましくは80〜210Kpa程度であり、より好ましくは85〜200Kpa程度であり、更に好ましくは90〜195Kpa程度である。
発泡ウレタンの寸法変化率(ASTM D 2126、発泡方向に平行方向)は、耐熱(70℃、48h)で、好ましくは△L%=0.7〜1.1程度であり、より好ましくは△L%=0.8〜1程度である。また、寸法変化率(耐熱、発泡方向に垂直方向)は、好ましくは△L%=0.6〜1程度であり、より好ましくは△L%=0.7〜0.9程度である。
発泡ウレタンの寸法変化率(ASTM D 2126、発泡方向に平行方向)は、耐冷(−30℃、48h)で、好ましくは△L%=0.2〜0.6程度であり、より好ましくは△L%=0.3〜0.5程度である。また、寸法変化率(耐冷、発泡方向に垂直方向)は、好ましくは△L%=0.3〜0.7程度であり、より好ましくは△L%=0.4〜0.6程度である。
発泡ウレタンの独立気泡率(ASTM D 2856)は、好ましくは120〜70%程度であり、より好ましくは100〜80%程度である。
発泡ウレタンの給水量(JIS A 9511)は、好ましくは0.8〜2g/100cm2程度であり、より好ましくは、1〜1.5g/100cm2程度である。
発泡ウレタンの透湿率(JIS A 9526、厚さ25mm当たり)は、好ましくは1〜15 ng/msPa程度であり、より好ましくは2〜10 ng/msPa程度であり、更に好ましくは3〜9 ng/msPa程度である。
発泡ウレタンの熱伝導率(JIS A 9526)は、好ましくは0.01〜0.045W/(m・K)程度であり、より好ましくは0.015〜0.04W/(m・K)程度であり、更に好ましくは0.021〜0.026W/(m・K)程度である。
発泡ウレタンの燃焼性は(JIS A 9526)は、好ましくは20〜50mm程度/30〜60sec程度、より好ましくは25〜45mm程度/35〜55sec程度で、適合することが良い。
上記各試験項目測定値は、JISA9526(2006)「建築物断熱用吹付け硬質ウレタンフォーム」、及びその他のJIS規格に準拠する。
発泡ウレタンの発泡、硬化後の密度(発泡密度)が上記範囲内であることで、屋根の強度を良好に維持し、材料費のコスト面及び断熱性能の点から好ましい。
発泡ウレタンの発泡層の圧縮強度が上記範囲にあることで、発泡ウレタン層で覆われた面は、劣化して荷重に耐えられなくなった下地の機械的強度(耐荷重性、耐衝撃性)を増し、屋根の破損を未然に防ぐことができる。
発泡ウレタンは、一般的な断熱材であるグラスウールや発泡スチロールと比較して、熱伝導率が小さい。極めて高い断熱性を発揮できる。
発泡ウレタン層は、耐温冷性が高い。連続高温の場合120℃まで、短時間高温の場合200℃まで、冷温は−180℃(40kg/m3)までの耐性を有する。
発泡ウレタン層の厚さは、2〜100mm程度が好ましい。2mm以下では、防水性と断熱性能が不十分で効果が発揮できない傾向がある。100mm以上となると、重量が重くなり、下地に過度の荷重を掛かり、施工コストが高くなる傾向がある。効果的な断熱性能を得るためには、発泡、硬化後の発泡ウレタン層の厚さを5〜50mm程度とすることがより好ましく、5〜30mm程度が更に好ましい。厚みが十分取れるため、防水性及び防音性が高いという利点を有する。
イソシアネート成分は、外観が黒褐色で、粘度(20℃)が100〜350m.Pa.s程度であることが好ましい。イソシアネート成分の液比重は、1〜2程度であることが好ましい。ポリオール成分は、外観が青色、赤色等で、粘度(20℃)が100〜400m.Pa.s程度であることが好ましい。ポリオール成分の液比重は、1〜2程度であることが好ましい。
イソシアネート成分としては、ポリメチレンポリイソシアネートの変性物を使用することが好ましい。その成分は、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)であることが好ましい。イソシアネート成分としては、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)を45質量%程度含むことがより好ましい。
また、ポリイソシアネート混合物を使用することができる。その成分は、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート及び4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを含むことが好ましい。ポリイソシアネート混合物としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを97質量%以上含み、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを45質量%程度含むことがより好ましい。
また、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートの単一製品を使用することができる。その成分はポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを99質量%以上含むことが好ましい。4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを44質量%程度含むことが好ましい。
イソシアネート成分として、例えば、株式会社ソフランウイズ社製のソフラン-R S-220Sがある。
ポリオール成分としては、ブレンドポリオールを使用することができる。ブレンドポリオールとしては、ポリオール、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、ポリオキシアルキシレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー、3級アミン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン及び1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンを含むことが好ましい。ブレンドポリオールとしては、ポリオール60〜70質量%程度、トリス(クロロプロピル)ホスフェート10〜20質量%程度、ポリオキシアルキシレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー1〜5質量%程度、3級アミン5〜10質量%程度、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとの混合物10〜20質量%程度を含むことがより好ましい。
ポリオール成分として、例えば、株式会社ソフランウイズ社製のソフラン-R NSP3-BWGがある。
ポリオール成分には、触媒が含まれていても良い。触媒が含まれることで、発泡ウレタンの硬化が促進される。更に、硬化を促進させる為に、別添の触媒を添加することが可能である。別添の触媒として、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛50〜60質量%程度、炭化水素35〜45質量%程度、プソイドキュメン1〜5質量%程度、純キシレン1〜5質量%程度、エチルベンゼン1質量%程度未満を含む混合物がある。触媒として、例えば、株式会社ソフランウイズ社製のSPCがある。
発泡ウレタン層は、発泡ウレタンを1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい。
ポリオール、ポリプレングリコール等を主成分とする樹脂(主剤)に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比1:1(体積比)程度で、混合し、発泡させる。施工面に対して、ウレタンフォームが5〜30mm程度の厚みで均一に吹き付けることが好ましい。
別添の触媒の不添加
発泡ウレタン層は、別添の触媒を添加せずに形成する層であることが好ましい。別添の触媒を添加しない場合は、発泡ウレタンの硬化速度を遅くすることができる。
発泡ウレタン層と水系ポリマーセメント塗膜保護層との接着性、断熱層の美観性、ピンホール抑制等を向上させる目的で、発泡ウレタン層の表面を平滑(フラット)に形成することが好ましい。発泡ウレタン層を形成する場合に、発泡ウレタンには別添の触媒を添加しないことで、硬化速度を遅らせることができ、特に発泡ウレタン層の表面をより平滑(フラット)にすることができる。また、硬化速度を遅らせることで、発泡ウレタンの表面に粉が吹くことを抑制できる。
(3)発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程
本発明の建物又は構築物に断熱層を施工する方法は、工程(2)として、前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程を有する。
水系ポリマーセメント塗膜保護層は、吹き付け、又は刷毛、ローラー等を用いた塗布により形成される。
施工の標準仕様は、水系ポリマーセメント塗膜保護層が1.5〜2.5kg/m2程度が好ましい。水系ポリマーセメント塗膜保護層の施工は2kg/m2程度がより好ましい。
水系ポリマーセメント塗膜保護層の形成には、専用吹付機を使用することが好ましい。
吹付機
水系ポリマーセメントは、粘度が高い為、混練圧送力の高い吹付機で現場まで圧送することが好ましい。吹付機20は、例えば図12に示すように、材料を貯留するホッパー21と、ホッパー21と接続された圧送用のポンプ手段22とを備えている。ポンプ手段22としては、図示は省略するが、インバータ付き3点ローラースクイズポンプを使用することが好ましい。これにより、材料の流れに脈動が生じることが抑制され、粘土の高い材料でも好適に現場まで圧送することができる。ポンプ手段22には、コンプレッサー23からの高圧エアの供給ライン24が接続されるとともに、材料圧送ライン25と高圧エアライン26とを介してスプレーガン30が接続されており、材料を高圧エアによってスプレーガン30から施工対象面に吹き付けられるようになっている。また、専用のリモコン(図示せず)で、ポンプ手段の正転・停止・逆転に加え、材料の圧送量を制御できるようになっている。
スプレーガン
スプレーガン30は、図13に示すように、先端に吹出口31Aを有するノズル31と、一端にノズル31が連結され、吹出口31Aに連通する材料搬送路(図示せず)を内部に有するガン本体32とから構成されている。ノズル31及びガン本体32は、その多くの部分の素材にアルミニウムを使用しており、軽量化を実現している。ガン本体32の他端には、材料圧送ライン25が挿入され、吹付機20(ポンプ手段22)から施工対象面に吹き付けるための材料が供給される。ガン本体32の他端には、材料圧送ライン25を着脱自在に連結するための着脱手段33が設けられている。着脱手段33としては、一対のレバー33Aがガン本体32の外周面に回動自在に取り付けられ、レバー33Aの基端にはカム33Bが設けられている。レバー33Aを起立させると、材料圧送ライン25はガン本体32の他端に着脱自在に挿入可能である一方、材料圧送ライン25をガン本体32の他端に挿入した状態で、レバー33Aを回転させて倒伏させると、材料圧送ライン25はカム33Bにより挟持され、ガン本体32の他端に固定される。ガン本体32には、エア導入管34が一体に設けられている。ガン本体32には、エア導入管34内のエア導入路(図示せず)と連通し、材料搬送路に沿うエア供給路(図示せず)が内装されており、エア供給路は吹出口31Aの近傍に臨むエア噴出口(図示せず)を有している。エア導入管34には、高圧エアライン26が着脱自在に連結される。コンプレッサー23から圧送される高圧エアは、エア導入管34内のエア導入路、ガン本体32内のエア供給路を経てエア噴出口から噴出され、材料搬送路から吹出口31Aへと供給される材料は、高圧エアを伴いつつ吹出口31Aから噴射され、施工対象面に吹き付けられる。なお、図13中、符号35は操作レバーを示しており、操作レバー35を回転させることで、エア導入管34内に内装されたバルブ(図示せず)が駆動し、エア導入管34内のエア導入路を開閉自在とする。本実施形態のスプレーガン30は、ガン本体32の他端からノズル31の先端までの長さが196mm程度と従来のものより短く設定されており、さらに、ノズル31の全長及び直径も18.5mm程度及び6mm程度と従来のものより短く設定されているため、コンパクト化を実現し、狭所で施工対象面までの距離が短くても材料の広範囲の吹き付けが可能であり、かつ、材料を施工対象面に薄く吹き付けることができるので、厚みの調整も容易である。なお、吹付機20(ポンプ手段22)からの材料の吐出量を調整することで、材料を施工対象面に厚く吹き付けることも可能である。
水系ポリマーセメント塗膜
水系ポリマーセメント塗膜は、特に制限されない。水系ポリマーセメント塗膜保護層は溶剤を使用しない完全水系の環境対応型保護材である。
水系ポリマーセメント塗膜保護層の引張強度は、1〜50N/mm2の高強度とすることが好ましい。1N/mm2未満では、補強効果が不十分となる傾向がある。50N/mm2を超えると、強度的に作業者の荷重に対しそれ以上は必要なく、コストもかかる傾向がある。
水系ポリマーセメント塗膜保護層は、最小厚さ0.5〜10mm程度で吹付けることにより、高強度と共に、高い防水性を発揮できる。補強強度、防水性及び断熱性能を良好に発揮できる。施工コストも高くならない。より好ましくは1〜5mm程度である。
水系ポリマーセメント塗膜保護層は伸延性を有しており、スレート等である下地が割れても、水系ポリマーセメント塗膜保護層は破損することなく追従することができる。
水系ポリマーセメント塗膜保護層の伸び率は50〜200%程度の伸びであることが好ましい。これは、発泡ウレタン層では、破損を防止することが困難である弱点を補強する大きな特長を発揮するものである。この点も引例特許文献の構造にない大きな性能の差を発揮する点である。
長期の使用により表面層に紫外線等の太陽光線や、雨、雪等による劣化、経年変化が起こり、クラックが発生する。クラックより断熱発泡層の微細な開孔に雨水が浸入し、凍結等により割れや変質が発生し、断熱発泡層を破壊するが、その表層側の水系ポリマーセメント塗膜保護層により、これらを防止することにより達成される。
水系ポリマーセメント塗膜保護層の成分は、特に制限されない。
水系ポリマーセメント塗膜保護層は、液体混合物Aと固体混合物Bとの混合物であることが好ましい。
液体混合物Aは、エチレン酢酸ビニル共重合体及び水を含むことが好ましい。液体混合物Aは、エチレン酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル、エチレングリコール、水及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤、防腐剤等を含むことがより好ましい。液体混合物Aは、エチレン酢酸ビニル共重合体52質量%程度、酢酸ビニル0.1質量%程度、エチレングリコール0.4質量%程度、水47質量%程度及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤、防腐剤等0.2質量%程度を含むことが更に好ましい。液体混合物Aは白色乳化液であることが好ましい。液体混合物Aの粘度は400±200mPa・s程度(25℃)であることが好ましい。不揮発分は53±1.5質量%程度であることが好ましい。pHは4.5±1程度であることが好ましい。
固体混合物Bは、カルシウムアルミネート(CaO・Al2O3)、結晶質酸化珪素(SiO2)及び無機質充填材(粘土質充填材等、SiO2・Al2O3)を含むことが好ましい。固体混合物Bは、カルシウムアルミネート(CaO・Al2O3)、結晶質酸化珪素(SiO2)、無機質充填材(粘土質充填材等、SiO2・Al2O3)及び繊維(セルロース等)を含むことがより好ましい。固体混合物Bは、カルシウムアルミネート21質量%程度、結晶質酸化珪素67質量%程度、無機質充填材11質量%程度及び繊維1質量%程度を含むことが更に好ましい。固体混合物Bは褐色粉体であることが好ましい。固体混合物Bの見かけ比重は0.9±0.2g/cm3であることが好ましい。含水分は2質量%程度以下であることが好ましい。篩い分けは、212μm保持が5質量%程度以下であり、90μm通過が70質量%程度以下であることが好ましい。固体混合物の不揮発分は99質量%程度である。
液体混合物Aとしては、双洋ケミカル株式会社製のスカイコート555がある。固体混合物Bとしては、双洋ケミカル株式会社製のスカイパウダー634がある。水系ポリマーセメント塗膜保護層は、スカイコート555とスカイパウダー634とから形成する層であることが好ましい。
先ず液体混合物Aと水とを、攪拌容器(ポリバケツ、ペール缶等)で前攪拌を行なう。次に固体混合物Bを前記容器の中に少しずつ加えながら、ダマが出来ない様に十分に攪拌する(2〜3分程度)。液体混合物Aと固体混合物Bとを、質量比9:7程度で混合して調製することが好ましい。更に水を加えても良い。その場合、液体混合物A:固体混合物B:水=9:7:0.2程度とすることが好ましい。
次に混練した材料をムラ無く、2.0kg/m2程度の吹付量で吹付けることが好ましい。手塗りの場合は、ローラー刷毛、刷毛等で、2.0kg/m2程度塗布することが好ましい。厚みを平均化させるため、吹付け方向を変えることが好ましい。
調製後の水系ポリマーセメント塗膜物性は、比重は1.5g/cm3程度であることが好ましい。粘度は4,500〜25,000mPa・s程度(25℃)であることが好ましい。引張強度は2.8N/mm2程度であることが好ましい。伸びは100%程度であることが好ましい。引裂強度は23N/mm程度であることが好ましい。抗張積は56N/mm程度であることが好ましい。
難燃剤
従来、断熱層を建物又は構築物の表面(屋外側)に形成することはなかった。そのため、断熱層に難燃剤を配合する必要はなかった。
本発明では、断熱層を建物又は構築物の表面(屋外側)に形成するので、水系ポリマーセメント塗膜保護層に難燃剤を配合することが好ましい。難燃剤を添加することで、断熱層の難燃性を向上できる。難燃剤は、特に制限されない。
難燃剤は、水系ポリマーセメント塗膜保護層に対して5〜20質量%程度配合することが好ましい。また、水系ポリマーセメント塗膜保護層中の難燃剤の配合量は、7〜15質量%程度がより好ましく、8〜12質量%程度が更に好ましい。
難燃剤としては、ハロゲン多価金属酸化物が好ましい。例えば、アンチモン-ハロゲン系の水分散物が好ましい。淡黄色ペースト状又は淡黄白色粉末状であるものが好ましい。固形分は70〜100質量%程度が好ましい。pH8程度が好ましい。平均粒子径1〜10μm程度の粒子が好ましい。
難燃剤としては、丸菱油化工業株式会社製のノンネンR023-6、ノンネンSAN-2がある。
水系ポリマーセメント塗膜保護層は、難燃剤を1種含むものであってもよいし、また2種以上を任意に組み合わせて含むものであってもよい。
(4)保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程
本発明の建物又は構築物に断熱層を施工する方法は、工程(3)として、前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程を有する。
耐候性トップ層は、ローラーや刷毛による塗装や、エアレス吹付機等により塗装することができる。
施工の標準仕様は、耐候性トップ層が0.5kg/m2程度が好ましい。
耐候性トップ層は、耐紫外線等の耐太陽光性、耐火性、耐飛び火性等の効果を奏する。耐候性トップ層は、火の粉等の飛火に対し対抗する飛び火性能を有している。水系ポリマーセメント塗膜保護層及び発泡ウレタン層は、紫外線等からの劣化を防止することができ、長期間の変質防止効果を発揮することができる。
耐候性トップ層は、1層又は複数層の表面層を、塗布又は吹付けることができる。
耐候性トップ層の厚さは、20μm〜1mm程度が望ましい。20μm以下では、耐紫外線等の耐太陽光性、耐火性、耐飛び火性が、不十分となる傾向がある。1mmを超えると、水系ポリマーセメント塗膜保護層等の熱膨張により割れが、発生し、施工時間が過大となり、施工コストが高くなる傾向がある。更に好ましく、20μm〜60μm程度である。
施工方法、施工構造の発泡ウレタン層、水系ポリマーセメント塗膜保護層及び耐候性トップ層は、その構成により、耐候性もきわめて高く通常−5℃の低温でも弾性を失うことなく、80℃の高温でも弾性力を維持できる。
耐候性トップ層の成分は、特に制限されない。
耐候性トップ層は、結晶質酸化珪素(珪砂、珪藻土等)、エチレン酢酸ビニル共重合体及び水を含むことが好ましい。耐候性トップ層は、結晶質酸化珪素(珪砂、珪藻土等)、エチレン酢酸ビニル共重合体、水、珪酸アルミニウム及び二酸化チタンを含むことがより好ましい。耐候性トップ層は、結晶質酸化珪素(珪砂、珪藻土等)49〜52質量%程度、エチレン酢酸ビニル共重合体17〜18質量%程度、水21〜23質量%程度、珪酸アルミニウム4〜5質量%程度、二酸化チタン1〜5質量%程度、酢酸ビニル0.1質量%程度以下、及び消泡剤、防腐剤等1〜2質量%程度を含むことが更に好ましい。耐候性トップ層の塗膜物性は、粘度は2800mPa・s程度である(25℃)。不揮発分は40質量%程度である。
耐候性トップ層の塗膜成分としては、双洋ケミカル株式会社製のスカイトップがある。
先ず、耐候性トップ層の塗膜成分と水とを、攪拌容器(ポリバケツ、ペール缶等)で十分に攪拌する。添加水配合比は、耐候性トップ層の塗膜成分:水=10:0.5程度であることが好ましい。
次に十分に攪拌した材料を、ローラー刷毛、刷毛、吹付け機等で、ムラ無く均一に、0.5kg/m2程度塗布することが好ましい。乾燥時間は2時間程度(23℃)、3時間程度(5℃)である。
難燃剤
従来、断熱層を建物又は構築物の表面(屋外側)に形成することはなかった。そのため、断熱層に難燃剤を配合する必要はなかった。
本発明では、断熱層を建物又は構築物の表面(屋外側)に形成するので、耐候性トップ層に難燃剤を配合することが好ましい。難燃剤を添加することで、断熱層の難燃性を向上できる。難燃剤は、特に制限されない。
難燃剤は、耐候性トップ層に対して5〜20質量%程度配合することが好ましい。また、耐候性トップ層中の難燃剤の配合量は、7〜15質量%程度がより好ましく、8〜12質量%程度が更に好ましい。
難燃剤としては、上記水系ポリマーセメント塗膜保護層で使用できるものを使用することができる。
本発明の施工方法によれば、建物等の外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行うことにより、工場及び倉庫の操業を止めずに断熱施工が可能である。また、下地処理が簡単な上、既存屋根を利用するので、工期を短縮することが可能である。
本発明の施工方法によれば、品質面でも高い断熱性能及び高耐候性を兼ね備える断熱層を施工できることから、光熱費やCO2の削減等、建築物の低炭素化により、環境面で効果的な施工方法である。夏場では、外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行った建物等の施工面の裏面温度は、未施工面の裏面温度又は遮熱塗料のみを塗布した面の裏面温度比べて、低下させることができる。本発明の施工方法によれば、建物の外皮の断熱性能を向上させることができ、建築物の省エネルギー化に繋がる。
(5)断熱層
本発明の断熱層は、前述の本発明の断熱層の施工方法により製造される。本発明の断熱層は建物又は構築物の表面に形成されるものであり、発泡ウレタン層があり、前記発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層があり、前記保護層の表面に更に耐候性トップ層がある構造である。建物又は構築物の表面である下地は、金属屋根が好ましく、スレート屋根、折板屋根、瓦棒屋根が好ましい。
断熱層の適用
本発明の断熱層は、高い断熱効果のある発泡ウレタンと、高耐候性を持つ保護材との複合断熱システムを提供することができる。年数を重ねても経年変化の少ない断熱層により、十分な断熱効果を発揮できる。断熱層は、均一な塗膜厚で形成され、シームレスで高品質な塗膜となることから、建物の空調にかかる費用を大きく低減できる。
更に、下地が脆弱になっていても、断熱層により耐久性の強い屋根になることから、屋根の延命化に繋がる。また、断熱層により、騒音工場の低音化に繋がり、また、折板屋根等の金属屋根での雨音を軽減できる。また、アスベストを含有するスレート屋根においては、断熱層によって、屋根を外部から遮断でき、アスベストの飛散を抑制できる。断熱層は2〜5kg/m2と軽く、建物への負担が少なく、これは、屋根材を重ねる場合に比べて、半分以下の重さである。
1 梁
2 建物又は構築物
3 発泡ウレタン層
4 水系ポリマーセメント塗膜保護層
5 耐候性トップ層
6 養生シート設置具
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
実施例
(1)断熱層に用いた成分
断熱層の成分を示す。
A.建物又は構築物
スレート屋根、折板屋根及び瓦棒屋根
B.発泡ウレタン層
イソシアネート成分(ソフラン-R S-220S、株式会社ソフランウイズ社製):ポリメチレンポリイソシアネートの変性物、メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート)45質量%を含む。
ポリオール成分(ソフラン-R NSP3-BWG、株式会社ソフランウイズ社製):ブレンドポリオール、ポリオール60〜70質量%程度、トリス(クロロプロピル)ホスフェート10〜20質量%程度、ポリオキシアルキシレン・ジメチルポリシロキサンコポリマー1〜5質量%程度、3級アミン5〜10質量%程度、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパンと1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタンとの混合物10〜20質量%程度を含む。
C.水系ポリマーセメント塗膜保護層
液体混合物A(スカイコート555、双洋ケミカル株式会社製):エチレン酢酸ビニル共重合体52質量%程度、酢酸ビニル0.1質量%程度、エチレングリコール0.4質量%程度、水47質量%程度及びポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤、防腐剤等0.2質量%程度を含む。
固体混合物B(スカイパウダー634、双洋ケミカル株式会社製):カルシウムアルミネート21質量%程度、結晶質酸化珪素67質量%程度、無機質充填材11質量%程度及び繊維1質量%程度を含む。
D.耐候性トップ層
スカイトップ(双洋ケミカル株式会社製)
結晶質酸化珪素49〜52質量%程度、エチレン酢酸ビニル共重合体17〜18質量%程度、水21〜23質量%程度、珪酸アルミニウム4〜5質量%程度、二酸化チタン1〜5質量%程度、酢酸ビニル0.1質量%程度以下、及び消泡剤、防腐剤等1〜2質量%程度を含む。
(2)断熱層の製造
(2-1)工程(1)発泡ウレタン層の形成
ポリオール、ポリプレングリコール等を主成分とする樹脂(主剤)に対し、イソシアネート等の架橋剤を、混合比1:1(体積比)程度で、混合し、発泡させた。次いで、スレート屋根、折板屋根又は瓦棒屋根からなる施工面に対して、ウレタンフォームが5mm、15mm又は30mm程度の厚みで均一に吹き付けた。
(2-2)工程(2)水系ポリマーセメント塗膜保護層の形成
先ず液体混合物Aと水とを、攪拌容器(ポリバケツ、ペール缶等)で前攪拌を行った。次いで、固体混合物Bを前記容器の中に少しずつ加えながら、ダマが出来ない様に十分に攪拌した(2〜3分程度)。液体混合物A:固体混合物B:水=9:7:0.2程度とした。次に混練した材料をムラ無く、2kg/m2程度の吹付量で吹付けた。厚みを平均化させるため、吹付け方向を変えた。
(2-3)工程(3)耐候性トップ層の形成
先ず、耐候性トップ層の塗膜成分と水とを、攪拌容器(ポリバケツ、ペール缶等)で十分に攪拌した。添加水配合比は、耐候性トップ層の塗膜成分:水=10:0.5程度とした。次いで、十分に攪拌した材料を、吹付け機で、ムラ無く均一に、0.5 kg/m2程度塗布した。
(3)評価試験
(3-1)断熱特性
断熱厚み別照射試験によって、断熱特性を評価した。実験開始後、1〜6時間後の温度差を測定した。
ブランクとは、無断熱である。ウレタンフォーム15mm及び30mmを形成した。
照射内部温度とは、外部想定温度Aである。照射外部温度とは、内部想定温度Bである。内外部の温度差とは、外部想定温度A−内部想定温度Bである。
表面温度とは、スカイコート工法の表面温度Aである。裏面温度とは、スカイコート工法の裏面温度Bである。表・裏面の温度差とは、スカイコート工法の表面温度A−スカイコート工法の裏面温度Bである。
断熱特性については、内外部の温度差が大きい程、断熱効果がある。表・裏面の温度差が大きい程、断熱効果がある。
結果を表1及び図14に示す。
Figure 0005580925
15mm又は30mm程度のウレタンフォームにより、断熱効果を示した。
(3-2)難燃特性1
12mm合板にウレタンを吹き付け、発泡させた(ウレタンフォーム)。そのウレタンフォームに、スカイコート剤(スカイコート555/スカイパウダー634)を形成し、更にトップ剤(トップ)を形成した。スカイコート剤及び/又はトップ剤に、難燃剤を添加した。難燃剤として、ノンネンR023-6(アンチモン-ハロゲン系 水分散物)[丸菱油化工業株式会社])を使用した。
Figure 0005580925
発泡済みウレタンフォームの基体に、下塗りを1m2当たり2kg刷毛にて塗布し、一晩乾燥させた。その後、上塗りを1m2当たり0.5kg刷毛にて塗布し、4〜5日乾燥させた。
45度メッケルバーナー法(2分加熱)にて燃焼試験(建築用薄物材料の難燃性試験方法:JIS A 1322)を行い、その際の残炎や残塵を測定した。
Figure 0005580925
残炎については、その時間が短い程、難燃効果がある。残塵については、その時間が短い程、難燃効果がある。
難燃剤を添加することによって、断熱層及び保護層の延焼防止の効果を示した。
(3-3)難燃特性2
12mm合板にウレタンを吹き付け、発泡させた(ウレタンフォーム)。そのウレタンフォームに、水系ポリマーセメント塗膜保護層(スカイコート剤)を形成し、更に耐候性トップ層(耐候性トップ剤)を形成した。スカイコート剤及び耐候性トップ剤に、難燃剤を添加した。難燃剤として、ノンネンR023-6(アンチモン-ハロゲン系 水分散物)[丸菱油化工業株式会社])を使用した。難燃剤を、塗料に対して10質量%添加した。
供試体は以下のA及びBである。
A:金属屋根+ウレタン30mm+スカイコート+保護塗料(難燃剤不使用)
B:金属屋根+ウレタン30mm+難燃剤添加スカイコート+難燃剤添加保護塗料
供試体を水平に設置し、その端部から約50cmの所に火の着いたクリブを置き、次いでクリブに対して、ほぼ水平に扇風機の風を送った。風速は約3m/sとした。次いで、30分間、風を送り続け、炎が端部に達しないか確認した。
供試体A
試験開始後、直ぐに塗料に着火したため、風により炎が端部に向かい進行していた。徐々に激しくなったため、約5分の時点で水により消火を行った。塗膜の燃焼及びウレタン部分の燃焼を確認した。
供試体B
クリブの炎が風に煽られ、端部方向に進んでは行くが、クリブの消火と共に自己消火が見られた。クリブ直下の塗膜及びウレタン部分の燃焼はあるようだが、延焼している状況は見られにくい。
Figure 0005580925
スカイコート及び保護塗料に難燃剤ノンネンR023-6を添加することにより、難燃の効果は見られた。難燃剤を添加する事により、塗膜が燃えにくくなり、塗膜形状を維持し、その為、ウレタンの燃焼が押さえられていると考えられる。
<考察>
本発明の施工方法によれば、建物等の外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行うことにより、工場及び倉庫の操業を止めずに断熱施工が可能である。また、下地処理が簡単な上、既存屋根を利用するので、工期を短縮することが可能である。
本発明の施工方法により、高い断熱効果のある発泡ウレタンと、高耐候性を持つ保護材との複合断熱システムを提供することができる。年数を重ねても経年変化の少ない断熱層により、十分な断熱効果を発揮できる。断熱層は、均一な塗膜厚で形成され、シームレスで高品質な塗膜となることから、建物の空調にかかる費用を大きく低減できる。
更に、下地が脆弱になっていても、断熱層により耐久性の強い屋根になることから、屋根の延命化に繋がる。また、断熱層により、プレス工場等の騒音工場の低音化に繋がり、また、折板屋根等の金属屋根での雨音を軽減できる。また、アスベストを含有するスレート屋根においては、断熱層によって、屋根を外部から遮断でき、アスベストの飛散を抑制できる。断熱層は2〜5 kg/mと軽く、建物への負担が少なく、これは、屋根材を重ねる場合に比べて、半分以下の重さである。
本発明の施工方法によれば、高い断熱性能及び高耐候性を兼ね備える断熱層を施工できることから、光熱費やCO2の削減等、建築物の低炭素化により、環境面で効果的な施工方法である。夏場では、外側から発泡ウレタン吹きつけ工事を行った建物等の施工面の裏面温度は、未施工面の裏面温度又は遮熱塗料のみを塗布した面の裏面温度比べて、低下させることができる。本発明の施工方法によれば、建物の外皮の断熱性能を向上させることができ、建築物の省エネルギー化に繋がる。

Claims (5)

  1. 建物又は構築物に断熱層を施工する方法であって、
    (1)建物又は構築物の屋根の軒先約30〜70cmに発泡ウレタン層を形成しないように、該建物又は構築物の表面に発泡ウレタン層を形成する工程、
    (2)前記発泡ウレタン層を形成していない建物又は構築物の屋根、及び発泡ウレタン層の表面に水系ポリマーセメント塗膜保護層を形成する工程、及び
    (3)前記保護層の表面に更に耐候性トップ層を形成する工程、
    を含む断熱層の施工方法。
  2. 前記発泡ウレタン層が、触媒を添加せずに形成する層である、請求項1に記載の施工方法。
  3. 前記水系ポリマーセメント塗膜保護層が、エチレン酢酸ビニル共重合体及び水を含む液体混合物Aと、カルシウムアルミネート、結晶質酸化珪素及び無機質充填材を含む固体混合物Bとから形成する層である、請求項1又は2に記載の施工方法。
  4. 前記耐候性トップ層が、難燃剤を含む層である、請求項1〜3のいずれかに記載の施工方法。
  5. 前記建物又は構築物が表面に一定間隔で並べられた複数の瓦棒を備える瓦棒屋根であり、前記工程(1)が、瓦棒にバッカーを取り付けた後に、瓦棒屋根の表面に発泡ウレタン層を形成する工程である、請求項1〜4のいずれかに記載の施工方法。
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