JP7020621B2 - 繊維強化樹脂シート、及びその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、コンクリート表面に、補強ネットを全光線透過率が30%以上の可視硬化型ビニルエステル樹脂により直貼りするコンクリート補強層の形成方法が提案されている(特許文献2参照)。
(1)繊維強化樹脂シートが重く、作業時の取り扱い性が悪い場合がある。
(2)繊維強化樹脂シートの厚みがほぼ均一で、剛性が高い(硬い)ため、構築物に接着剤を塗布し、これに沿わせて施工する際、繊維強化樹脂シートが構築部に追従し難く、介在する接着剤均一に扱き難い場合がある。
(3)繊維強化樹脂シートと接着剤の接着性をより向上させたい。
(4)施工時には繊維強化樹脂シートの両面に貼り合わされた保護シート(剥離シート)を除去した後、繊維強化樹脂本体層が構築部側と対峙する状態で接着剤により貼り合わされるが、保護シートは、同一の厚みのフィルムを用いており、外観による見分けがつかず、間違って、表裏逆である、バリア層をコンクリート構築物側に貼付すると、期待する接着強度が発現されず、繊維強化樹脂シートの補強効果が発現し得ない。
(5)繊維強化樹脂シートの透明樹脂成分は可燃性で延焼性が高く、有害ガスの発生があるので、透明樹脂成分は減量されることが望ましい。
〔1〕透明樹脂からなる非通気性のバリア層と、補強繊維によって所定の開口部が形成されたメッシュ体に該バリア層と接着性を有する透明硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させた繊維強化樹脂本体層とを積層一体化させてなる透明性繊維強化樹脂シートであって、前記繊維強化樹脂本体層はバリア層の反対面に凹部を有し、該凹部の最大深さが該メッシュ体厚みの50%以上であり、前記透明性繊維強化樹脂シートの単位質量が、350g/m2以下であり、かつ、
前記繊維強化樹脂本体層の透明硬化性樹脂の質量Wrとメッシュ体の質量Wmの比(Wr/Wm)が2.5(倍)以下である、ことを特徴とするコンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シート。
〔2〕前記メッシュ体が織布、網、編布、及び積層布からなり、前記補強繊維が、低融点成分と高融点成分を含むポリオレフィン系複合繊維である前記〔1〕に記載の繊維強化樹脂シート。
〔3〕前記バリア層が(メタ)アクリル系樹脂から形成され、さらに、前記透明硬化性樹脂組成物の透明硬化性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である、前記〔1〕又は〔2〕のいずれかに記載の繊維強化樹脂シート。
〔4〕バリア層に接して、補強繊維によるメッシュ体に透明硬化性樹脂組成物(A)を含浸、硬化してなる繊維強化樹脂本体層を積層一体化してなるコンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シートの製造方法であって、該製造方法は下記の工程(1)~(3)を含むことを特徴とする繊維強化樹脂シートの製造方法。
(1)第1のキャリアフィルムにバリア層用の透明硬化性樹脂(B)を塗布し、これを第2のキャリアフィルム間に挟んで、2本の金属ローラー間で厚みを調整し、硬化装置に通してバリア層を形成し、第2のキャリアフィルムを剥離する工程、
(2)第1のキャリアフィルム上に形成された該バリア層上に、メッシュ体と本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を供給し、該第2のキャリアフィルムで挟み、下部が金属ローラー、上部がゴムローラー又は金属ローラーからなる一対のローラー間で挟持しつつ厚みを調整する液層厚みの調整工程、
(3)硬化装置に導いて、メッシュ体に含浸、保持された本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を硬化し、バリア層の反対面に凹部を有する繊維強化樹脂本体層を形成する工程。
〔5〕前記(2)の工程で用いる上部のローラーがゴムローラーでありそのA硬度(JISK 6253-3:2012、デュロメーター タイプA)が50°~70°であり、下部の金属ローラーが0.2~4mm/1600mmのクラウンを有してなる、前記〔4〕に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法。
〔6〕前記透明硬化性樹脂組成物(A)及び透明硬化性樹脂(B)が共に光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であり、紫外線及び/又は熱により硬化する前記〔4〕又は〔5〕に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法。
本発明の製造方法は、バリア層の反対面に凹部を有し、顕著な効果を有する上記の繊維強化樹脂シートを再現性よく、効率的に連続的に製造する方法を提供できる。
また、本発明の製造方法と相俟って、表裏の保護フィルムを剥離する際の剥離状態が異なるので、その違いによって、コンクリート構造面に対峙する面を識別して、施工作業を遂行することができる。
さらに、透明硬化性樹脂(A)としては、機械的物性において繊維強化樹脂シートの構成材料としての機能を有する透明性樹脂から選択することが好ましい。この種の樹脂として、(メタ)アクリル樹脂又はビニルエステル樹脂が好ましい。なお、(メタ)アクリル樹脂は、アクリル基又はメタクリル基を有する重合性モノマーの重合により形成される重合体を主成分とする樹脂である。
バリア層1は、本願の繊維強化樹脂シートの製造方法の一例を図3で示すように、第1のキャリアフィルム31上に透明硬化性樹脂(B)50を塗布し、これを硬化することにより形成することができる。
また、バリア層1は、施工時に未硬化状の接着剤等の液体を通さないという機能の点から、コンクリート構造物の補強又は補修に使用する場合において外表面側となる面に形成される。
開口部は開口率が40%以上であることが好ましく、45%以上であることが特に好ましい。開口率の上限は75%以下が好ましい。開口率が40%未満では、透明硬化性樹脂組成物がメッシュ体に浸入しにくく補強効果が期待できず、またコンクリート表面層の観察もし難い。開口率が75%を超えると、メッシュ体を構成する補強繊維が少なくなって、補強効果が低減する。
本発明において、開口率は、メッシュ体の構成と、使用する補強繊維の幅から算出される。
メッシュ体としては、積層布を使用することが好ましい。積層布は、組布とも称されるもので、経方向、斜方向、逆斜方向の少なくとも3方向に積層した3軸のものを一般的に使用できる。積層布は、メッシュ体としての低コスト性を有しているので、経済的なメリットもある。積層布の製造は、例えば特開平11-20059号公報に記載の方法により製造できる。
図1は、本発明のコンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シートの一例の上面図であり、メッシュ体4は透明樹脂層を介して見えている状態を示している。同図に示すメッシュ体4は、補強繊維2を構成糸として、下経糸層11上に、斜交層12及び逆斜交層13、上経糸層14を積層し、各層の交点を加熱により熱融着したものである。
メッシュ体4を形成した後、さらに加熱加圧してメッシュ体4全体を薄肉化してもよい。これによりメッシュ体4の柔軟性や可撓性を更に向上させることができる。その際の加熱温度は、海部を構成する熱可塑性樹脂の融点近傍がよい。加圧は、ローラー押圧などの方法で行うことができる。
なかでも、メッシュ体4は、前述の海島型複合糸により構成したものが好ましい。すなわち、(a)ポリオレフィン系樹脂からなる芯成分と、(b)該芯成分の融点よりも20℃以上低い融点を有するポリオレフィン系樹脂からなる鞘成分と、からなる鞘芯型複合繊維の鞘成分を融合させた海島型複合糸を用いれば、該海島複合糸の交点を熱融着してなるメッシュ体、特に3軸積層布とすることが、補強効果、耐低温性、耐接着剤性などの観点から好適である。
本発明のメッシュ体に使用する海島型複合糸に使用できるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン、プロピレン、ブテン-1等のα-オレフィンの2元共重合体、又は3元共重合体等が挙げられる。
芯成分と鞘成分の好適な組み合わせとしては、例えば、芯成分としてアイソタクチックポリプロピレン(mp=163℃)、鞘成分として直鎖状低密度ポリエチレン(mp=102℃)を用いる組み合わせが挙げられる。
かかる、海島型複合糸は、例えばスピンドロー方式により、定法の複合紡糸設備、芯鞘型複合紡糸ノズルを用い、所定の鞘/芯断面比となるように紡糸し、直結する延伸装置に導いて、飽和水蒸気圧下で延伸し、延伸と共に鞘成分で複数数の繊維間を融合して得ることができる。また、特開2003-326609号公報に記載の方法により製造することができる。
海島型複合糸の繊度は100~5000dtexが好ましい。100dtex未満であると、目的とする物性が得られ難くなる傾向があり、5000dtexを超えると柔軟性や追随性が損なわれ易くなる傾向がある。500~3000dtexの繊度がより好ましい。
図2は、3軸積層布によるメッシュ体4を用いた繊維強化樹脂シート100の構造の一例を模式的に示す、X-X’断面模式拡大図であり、バリア層1上に積層されたメッシュ体4の、当該メッシュ体4を形成する補強繊維11、12、13、14を透明硬化性樹脂組成物の硬化物5によって固定(包埋)しており、メッシュ体4の開口部3及び最低厚みの補強繊維14(上経糸)の上部を含む凹部7を有している。凹部7は、バリア層1側が最深部dとなるように形成され、上端側は開口し、硬化した透明性樹脂5によって、メッシュ体4を構成する補強繊維をバリア層1上に接着固定した繊維強化樹脂本体層6が形成された繊維強化樹脂シート100を得ることができる。なお、繊維強化樹脂シート100の上下両面には、保護フィルムを有しているが、本図においては図示を省略している。
本発明の繊維強化樹脂シート100において、コンクリート構造物の補修又は補強のために接着剤により繊維強化樹脂シートを貼り合わせる際には、凹部7の上端の開口部3’側から、接着剤が入り込むので、従来の凹部を有しない平坦状の繊維強化樹脂シートを用いる場合よりも、接着面積が増え、かつ、凹部の存在によるアンカー効果も作用して接着強度の一層の向上を図ることができる。
本発明の透明性繊維強化樹脂シートにおいて、単位質量を350g/m2以下とするのは、コンクリート構築物に対する補修又は補強の施工作業における作業員の取り扱い性に基づくものである。すなわち、施工作業は、通常2.5~5m2の大きさの補強シートを作業員2人が持ちながら構築物への貼り付け作業を行うが、透明性繊維強化樹脂シートの両面には、表面保護のため保護フィルムを有しており、保護フィルムとして、厚み25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いると両面で70g/m2となる。これらを合計すると5m2の大きさの補強シートの場合では、2.10kgである。この質量であれば、施工時の作業者への質量負荷が従来に比べて軽減され、作業性が向上できる。
一方、バリア層の反対面に凹部を有しない透明性繊維強化樹脂シートにおいては、例えば単位質量が500g/m2である場合、前記と同一の保護フィルムを使用すると、5m2の大きさの補強シートの場合では、2.85kgとなり、重いため施工作業時の取り扱い性に欠ける。
図3は、本発明の繊維強化樹脂シートの製造方法の一例の説明図である。同図に示す製造方法は、第1のキャリアフィルム31上に、所定厚みのバリア層1を形成するため、重合性モノマーを含む光硬化性透明樹脂組成物(B)50を塗布し、これを第2のキャリアフィルム(カバーフィルムともいう)32間に挟んで、2本の金属ローラー33,34からなる第1スクイズローラーにより厚みを調整し、次いで紫外線硬化炉35に挿通して、プレ硬化し、ローラー36を介して第2のキャリアフィルム32を剥離し、プレ硬化状のバリア層1’の表面を露出する。
露出したバリア層1’上にメッシュ体4と本体用透明硬化性樹脂組成物(A)51を供給し、再度前記の第2のキャリアフィルム32で挟持し、下部ローラー37が金属ローラー、上部ローラー38がゴムローラー又は金属ローラーからなる一対の第2スクイズローラー間で樹脂導入量を調整する。連続して紫外線硬化炉39及び熱硬化炉40に通して、プレ硬化状態のバリア層1’及び本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を硬化して、バリア層の反対面に凹部7を有する繊維強化樹脂本体層6を形成する。なお、凹部7は、第2のキャリアフィルムを剥離した後により明確に確認できる。
また、バリア層の反対面に凹部を有する繊維強化樹脂本体層における凹部の最大深さdは、本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を第2スクイズローラー間で絞るに際して、上部の第2のキャリアフィルムを介して、上部ローラー38により、メッシュ体の開口部を含む空間に含浸させる本体用透明硬化性樹脂組成物(A)の量に依存している。
上部のゴムローラーをJIS K 6253-3:2012、デュロメーター タイプAに基づく、A硬度を50°~70°とすることが、凹部の最大深さdを深くして、繊維強化樹脂シートの単位質量を低下させる観点から好ましい。
また、凹部の形成には、本体用透明硬化性樹脂組成物の粘度も影響し、組成物の樹脂粘度を50~300cPと低粘度にすれば、上部ローラー38に金属ローラーを用いることもできる。低粘度化は、本体用透明硬化性樹脂組成物の温度を40℃程度に上昇させることでも達成できる。
さらに、第2スクイズローラーの上部にゴムローラーを使用する場合は、下部の金属ローラーは、0.2~4mm/1600mmのクラウンを有していることが、製品幅方向の厚みの均一化の観点から好ましい。本発明において、クラウンは、操作中における第2スクイズローラーにおけるローラー本体のたわみを補正して上下ローラー間を均等に接触させるためのもので、クラウンの種類としては、ラジアルクラウン(バーレルクラウン)の採用が好適である。クラウンの量は、相対するゴムローラーの構成、ゴムの硬度やゴム層の厚み等も考慮して決定される。
さらに、硬化性樹脂組成物(A)及び/又は硬化性樹脂組成物(B)には粘着剤成分を含有してもよい。粘着剤成分(例えば粘着性付与剤)を含むことによって、施工時にコンクリート構造物側の接着剤層と接着し易くなって、施工がはかどるなどの効果が期待できる。また、保護フィルムとの粘着により、繊維強化樹脂シートを有効に保護できる。
硬化性樹脂組成物は、所望の透明性が得られる範囲内で、紫外線吸収剤、酸化防止剤などを更に含有していてもよい。硬化性樹脂組成物の粘度は100~50000cPであることが好ましく、800~1000cPであることがより好ましい。
硬化性樹脂組成物の粘度が低いと液垂れが発生し易くなる傾向があり、硬化性樹脂組成物の粘度が高いと含浸不良となって、形成される透明樹脂層内に気泡が発生し易くなる傾向がある。
電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線によって架橋ないし重合反応を起こして硬化するプレポリマー(又はオリゴマー)、単量体、或いは両者を混合したものを用いる。かかるプレポリマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、不飽和ポリエステル、エポキシ化合物等が用いられる。また、単量体としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4-ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が用いられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタアクリレートを意味する表記である。また、電離放射線としては、電子線等の粒子線、或いは前述の紫外線、可視光線、X線等の電磁波が用いられる。特に、紫外線或いは可視光線で硬化させる場合には、通常、ベンゾフェノン、アセトフェノン、芳香族ヨウドニウム、メタロセン化合物等を光反応開始剤(「硬化剤」ともいう)として添加する。
非通気性のバリア層に用いられる透明硬化性樹脂組成物(B)としては、透明本体樹脂層に用いられる透明硬化性樹脂組成物(A)と接着性を有し、かつ、機械的物性において繊維強化樹脂シートの構成材料としての機能を有する透明硬化性樹脂から選択される。この種の透明硬化性樹脂組成物(A)及び(B)〔以下、透明硬化性樹脂組成物(A)及び(B)を区分することなく「透明硬化性樹脂組成物」ということがある。〕として、具体的には、ウレタンアクリレート樹脂(a)、ビニルエステル樹脂(b)、重合性単量体(c)、光重合開始剤(d)、及び熱重合開始剤(e)を含むものから構成されるものを挙げることができる。
さらに、本発明に用いられる透明硬化性樹脂組成物は、ウレタンアクリレート樹脂を主成分とするものが好ましい。
具体的には、ウレタンアクリレート樹脂(a)及びビニルエステル樹脂(b)は、透明硬化性樹脂の本体を構成するものであり、ウレタンアクリレート樹脂(a)とビニルエステル樹脂(b)との質量比は、ウレタンアクリレート樹脂(a)/ビニルエステル樹脂(b)で概ね10/0~5/5とするのが好ましい。質量比が5/5を超えてビニルエステル樹脂(b)の比が高くなると柔軟性が低下する。
なお、本発明において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する表記である。
使用できる光重合開始剤(d)としては、光の作用または増感色素の電子励起状態との相互作用を経て、化学変化を生じ、ラジカル、酸、および塩基のうちの少なくともいずれか1種を生成する化合物である。本発明において光重合開始剤は、照射される活性光線、例えば、400~200nmの紫外線、遠紫外線、g線、h線、i線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光、電子線、X線、分子線、またはイオンビーム等に感度を有するものを適宜選択して使用することができる。ただし、カバーフィルムを透過することが条件として挙げられる。
より具体的には、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,6-ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホシフィンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、などの光重合開始剤が特に好ましい。これらの光重合開始剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
有機過酸化物としては、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,2,5-トリメチルシクロヘキサン(日油社製パーヘキサ3M-95)、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロドデカン(日油社製パーヘキサCD)、1,1,3,3-テトラメチルヒドロペルオキシド(日油社製パーオクタH)、1,1-ジメチルブチルペルオキシド(日油社製パーヘキシルH)、ビス(1-t-ブチルペルオキシ-1-メチルエチル)ベンゼン(日油社製パーブチルP)、ジクミルペルオキシド(日油社製パークミルD)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン(日油社製パーヘキサ25
B)、t-ブチルクミルペルオキシド(日油社製パーブチルC)、ジ-t-ブチルペルオキシド(日油社製パーブチルD)、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン(日油社製パーヘキシン25B)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル(日油社製パーロイルL)、過酸化デカノイル(三建化工社製サンペロックス-DPO)、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート(三建化工社製サンペロックス-CD)、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート(日油社製パーロイルTCP)、t-ブチル2-エチルペルヘキサノエート(日油社製パーブチルO)、(1,1-ジメチルプロピル)2-エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社製トリゴノックス121)、(1,1-ジメチルブチル)2-エチルペルヘキサノエート(化薬アクゾ社製カヤエステルHO)、t-ブチル3,5,5-トリメチルペルヘキサノエート(日油社製パーブチル355)、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製パーヘキシルI)、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート(日油社製パーブチルI)、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート(日油社製パーブチルE)、過マレイン酸t-ブチル(日油社製パーブチルMA)、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油社製パーオクタO)、過ラウリン酸t-ブチル(日油社製パーブチルL)、過安息香酸t-ブチル(日油社製パーブチルZ)などを例示することができる。これらの熱重合開始剤は単独でも、複数混合して用いてもよい。
促進剤としては、遷移金属の塩、例えばナフテン酸コバルトなどを用いることができる。
紫外線吸収剤の含有割合は、透明硬化性樹脂組成物100質量部に対して、通常0.1~3質量部であることが好ましく、特に好ましくは1~2質量部である。かかる紫外線吸収剤が少なすぎると耐光性が低下する傾向があり、多すぎると透明硬化性樹脂組成物を光硬化する場合には紫外線照射エネルギーを消費して硬化がし難くなる傾向がある。
親水化処理による表面改質は、JIS K6768による濡れ性試験方法による測定において、濡れ指数が55~75mN/mとすることが好ましい。
芯成分にアイソタクチックポリプロピレン(mp=163℃)、鞘成分にメタロセン触媒による直鎖状低密度ポリエチレン(mp=102℃)を使用し、定法の複合紡糸設備、芯鞘型複合紡糸ノズル(240ホール)を用い、鞘/芯断面比が35/65となるように260℃で紡糸し、直結する延伸装置に導いて、0.42MPa、145℃の飽和水蒸気圧下で、延伸倍率13倍で延伸を行い、延伸と共に鞘成分で繊維間を融合したトータル繊度1,850dtex、フィラメント数240本の、芯のポリプロピレンを島成分、鞘の直鎖状低密度ポリエチレンを海成分とする海島型複合糸を得た(スピンドロー方式)。
この海島型複合糸の引張強度は、6.5cN/dtex、破断伸度は、15%、ヤング率は、92.0cN/dtex、140℃で測定した熱収縮率は、6.8%であった。
海島型複合糸からなるモノフィラメント(商品名:シムテックス複合モノフィラメント、宇部エクシモ(株)製、ポリオレフィン系繊維、1850dtex)を複合繊維2として、積層布製造装置に配置し、経方向糸11、14、に対して60°に斜方向糸12及び-60°に逆斜方向糸13の3軸方向積層し、経方向糸を10mm又は20mmピッチとしてメッシュ状積層体を得た。次いで、この積層体を表面温度150℃~170℃の一対の加熱ローラー間に挿通し、接触加熱して海島型複合糸の海部樹脂を溶融し各方向の複合糸が接着した3軸のメッシュ体4を得た。なお、目合い形状は、経方向糸の間隔が10mm又は20mmであって、高さ或いは、ロクボウセイの中央の六角形の相対する辺の距離がこれらの間隔である、正三角形、又はロクボウセイ(六芒星)とした。
次いで、得られた3軸積層布の連続メッシュ体を、押圧力4.5kgf、プレス温度70℃で熱プレスし、さらに、メッシュ体をコロナ放電処理装置(春日電機社製、機種名:発振器AGI-023、電極アルミ製6山)に通して、電極距離2mm、出力3.6kWで処理して、濡れ指数56mN/mに調製した。なお、表面改質度(濡れ指数)の評価方法は、JISK6768による濡れ性試験方法を用いた。
得られたメッシュ体4の目付け(単位質量)は、32.5g/m2、及び65g/m2であった。
本発明の繊維強化樹脂シートの製造に用いた素材(キャリアーカバー、保護フィルムを含む)を表1に示す。なお、透明樹脂層に用いたウレタンアクリレートメタクリル酸エステル重合体は、調合槽において、15min攪拌後、真空度-100KPa以下になるように容器内を真空にして脱泡処理を行った。また、液温を25℃、40℃程度に調整することで、液粘度に差をもたせた。
バリア層形成用の透明硬化性樹脂(B)及び本体層形成用の透明硬化性樹脂組成物(A)に同一組成物を使用することとして、エポキシアクリレート8.0質量%、ウレタンアクリレート72質量%、及びメタクリル酸メチル20質量%の透明硬化性樹脂(日本ユピカ(株)製、製品名:ネオポール8136)100質量部(粘度1,000cP、25℃)に、光重合開始剤(ダブルボンドケミカル社製、製品名:DOUBLECURE 200)2質量部、熱重合開始剤(日油(株)製、商品名:パーオクタO-70S)を2質量部、消泡剤(ビックケミー・ジャパン社製、商品名:BYK-A515)0.5質量部、紫外線吸収剤(BASF社製、商品名:TINUVIN 400)4質量部、光安定剤(ダブルボンドケミカル社製、商品名:Chisorb 292)1質量部を添加して、透明硬化性樹脂組成物(B)及び(A)を調製した。
上記の透明硬化性樹脂組成物の調製は、透明硬化性樹脂を34kgとして、50Lの調合槽で、15分間攪拌後、真空度-100kPa以下になるように調合槽を真空にして、脱泡を行った。また、本体層形成用の樹脂組成物として使用する場合は、液温を25℃又は40℃として粘度の調整を行った。
第1のキャリアフィルムとしての厚さ25μmのPETフィルムに、この透明硬化性樹脂組成物(B)を所定量塗布し、その上部を同じ厚み、材質の第2のキャリアフィルムで覆い、これをローラー間のギャップの調整が可能な2本の金属ローラー間に挿通し、次いで、紫外線硬化炉内に通してブラックライト(BLB)による紫外線を照射して、モノマー(メタクリル酸メチル)を重合させてプレ硬化したバリア層を形成した。ローラー間ギャップの調整により、最終の繊維強化樹脂シートにおいて、厚み45~150μmのバリア層を形成するように、各実施例、参考例及び比較例において調整した。
なお、引取(走行)速度は、0.8m/min、紫外線(UV)照射強度は300mJ/cm2、照射時間は1minとした。
上記のプレ硬化したバリア層から第2のキャリアフィルムのみを剥離して、当該プレ硬化したバリア層上に、上述の三軸メッシュ体と本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を供給し、剥離後に回遊させた第2のキャリアフィルムで再度覆い、2本のローラーからなる第2スクイズローラー間に挟み込むようにして、ローラーの材質、ローラー間のギャップ(間隙)、速度を適宜調整して未硬化状の樹脂を扱きつつ、3軸メッシュ体に含浸した。次いで、ブラックライト(BLB)による紫外線を照射してBステージ状に硬化させた後、110℃の熱硬化炉で、本硬化させ、繊維強化樹脂本体層を含む繊維強化樹脂シートを得た。
<繊維強化樹脂シートの作製の条件変更の影響の検討>
以下の条件を変更して、実施例、参考例及び比較例の繊維強化樹脂シートを得た。
(i)バリア層厚み:バリア層作成時の第1スクイズローラー間のギャップにより厚みを調整した。
(ii)三軸メッシュ体:プレ硬化したバリア層上に供給する前に本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を予備的に含浸させる処理の有無の影響を確認した。
(iii)第2スクイズローラー:上下が共に金属ローラー、上側ローラーがデュロメーター タイプAのA硬度60°のゴムローラーと下側ローラーが2mm/1600mmのラジアルクラウンを有する金属ローラーとの組み合わせ(ローラー外径は、100mm、金属ローラー芯外径は、80mm、ゴム層厚みは、10mm)
(iv)第2スクイズローラーのギャップ:完全ニップ(押圧管理有り)又はギャップ有り
以上の条件の変更下に、引取り速度を0.8m/min、紫外線硬化炉のUV照射強度を300mJ/cm2、照射時間を5minとし、後続の熱硬化のための、熱硬化炉温度を100℃、炉内での硬化時間を10minとして、両面に保護フィルム(キャリアフィルム)を有する繊維強化樹脂シートを得た。
作製条件をまとめて表2に示す。
<厚み測定>
(1)バリア層厚み(t1):測定対象部を鉛直方向に片刃でカットし、マイクロスコープにて断面観察を行い、厚み解析により測定した。
(2)メッシュ厚み(t2):メッシュ作製時に、ダイアルゲージにて測定した。
(3)メッシュ体の最多交点部の厚み(t3):測定対象部を鉛直方向に片刃でカットし、マイクロスコープにて断面観察を行い、厚み解析により測定した。
(4)凹部の底部までの厚み(t4):測定対象の開口部中央を鉛直方向に片刃でカットし、マイクロスコープにて断面観察を行い、厚み解析により測定した。
(5)本体樹脂の最多交点部上厚み(t5):測定対象部を鉛直方向に片刃でカットし、マイクロスコープにて断面観察を行い、厚み解析により測定した。
(6)凹部の最大深さ d:d=t3-t4から算出した。
(7)凹部の凹(へこ)み率(%):d/t2から算出した。
(11)バリア層質量(w1):厚み(t1)に本体層樹脂密度(1.15g/cm3)を乗じて算出した。
(12)メッシュ体質量(Wm):作製したメッシュ体を1m角に切り取り、電子天秤により測定した。
(13)繊維強化樹脂シート質量(w3):作製した両面に保護フィルムが付いた繊維強化樹脂シートを1m角に切り取り、両面の保護フィルムを剥がして、電子天秤により測定した。
(14)本体樹脂層の透明硬化性樹脂の質量(Wr):
繊維強化樹脂シート質量(w3)-〔バリア層質量(w1)+メッシュ体質量(Wm)〕により算出した。
(15)本体樹脂層の透明硬化性樹脂質量(Wr)とメッシュ体質量(Wm)の比:Wr/Wm
以上の厚み及び質量の測定結果について、表2に示す。
<繊維強化樹脂本体層面の識別性>
施工により補強効果を発現させるためには、繊維強化樹脂本体層を被補強構造物側として接着剤により貼り合わせる必要があるが、本発明の繊維強化樹脂シートは、製造工程における必要性および取り扱い時の保護の目的で、両面に保護フィルムを有しているので、いずれの面が、本体層であるか識別し難い。
そこで、両面にある保護フィルムについての本体層及びバリア層からの剥離性について比較して、実施例、参考例及び比較例で有意差を確認した。
(16)180°剥離試験:第2のキャリアフィルムに最も近いメッシュ体原糸(図1の上経糸14)の方向が、試験方向に対して垂直になるように、5cm幅×25cm長にカットした短冊状の繊維強化樹脂シートのバリア層側と本体層側の保護フィルムについて、10cmの長さについて、剥離速度100mm/分にて180°剥離試験をして、両面のチャートの波形差(保護フィルム表・裏)及び剥離強力(kN/50mm)を比較した(代表例として、実施例1、4及び比較例1のチャートを図4に示す)。サンプル群ごとに平均剥離強力、最大剥離強力(max)及び、これらの比率(%)を算出した。また、バリア層側と本体層側の最大剥離強力の比率を「表裏剥離強力max比」(%)として示した。
(17)追従性能試験:本体層側の保護フィルムを剥離しつつ、1m幅×2.5m長の繊維強化樹脂シートを、接着剤(日米レジン製:アルプロンXL-1902)で、垂直凹凸の角に水切り部として、120°の二等辺三角形凸部(底辺50mm)を設けたコンクリート壁に貼り合わせた。この時凸部には、速乾性接着剤(クイックメンダー)を施した。性能評価は、凸部に施工したシートの浮きの有無により行った。
(18)片持ち試験:繊維強化樹脂シートを5cm幅20cm長にカットした。このシートの長手方向端部に、5gの重りを取り付けて、図5に示すように、逆側10cmを下方に直角の壁面を有する測定台上に固定して、片持ち状に垂らした際の、台から先端までの鉛直方向距離(Lv)と壁面からの水平方向距離(Lh)を測定した。鉛直方向距離と水平方向距離を比較して、柔軟性を評価して、追従性能の指標とした。
(19)反り具合試験:150mmRで巻き取った製品ロール中央から、癖のついた保護フィルム付きの本体シートを20cm角にカットした。これを水平な台上において中央部の浮き具合をデプス計で測定した。常温にて、1日間、及び7日間静置した際の浮き具合の経時変化を追跡し対比した。
(20)NEXCO(旧日本道路公団)規格の試験法738-2011:「トンネル補修材料の延焼性試験方法」に準じて、試験体として、ケイ酸カルシウム板(縦900mm×横600mm×12mm厚)に、接着剤(日米レジン製:アルプロンXL-1902)を0.6kg/m2の塗布量で、繊維強化樹脂シートを全面に貼り付け、1週間以上常温で養生した。
上記試験体を45°に傾け、縦300mm(下部からの距離)、横300mm(端部からの距離)に、メッケルバーナー(火炎温度:1200℃以上)の火炎を、ノズル出口から65mmの位置であて、10min間燃焼させ続けた。その後、炎が消えるまで放置した。
接炎部から燃焼範囲(上端)を測定し、燃焼距離を対比し評価した。
(21)NEXCO試験指定の「ガス有害性試験・評価方法」に準じて、防耐火性能試験における上記の耐延焼性能試験と同じく1週間以上常温で養生した試験体を準備した。
繊維強化樹脂シート面を燃焼させたガス(冷却済み)をマウスに吸入させ、行動記録を15min間とり続けた。マウスの行動記録より、Xs(行動時間X-標準偏差δ)を求め、その値を対比し評価した。
(22)NEXCO試験法734-2011:「トンネルはく落防止用繊維シート接着工の押し抜き試験方法」に準じて、コンクリートU字溝蓋板(600mm×400mm×60mm厚)の中央部にΦ100mmのコアくり抜き加工をして、くり抜いたコアの上部5mmをシリコーンコーキングで固定するため、発泡バックアップ材を仮固定した後、シリコーンコーキングをして、硬化するまで養生した。硬化後、接着剤(日米レジン製:アルプロンXL-1902、0.6kg/m2の塗布量)で繊維強化樹脂シートを溝蓋板の全面に貼り付け、1週間以上常温で養生した。
コア部を変位2.0mmまでは0.2mm/min、変位2.0mm以上では、1.0mm/minの速度で載荷し、変位2.0mm毎に2min間停止した。荷重曲線より、任意変位時の最大荷重値より接着能力を対比し評価した。
メッシュ体の原糸間隔10mm及び原糸間隔20mmについて、それぞれ変位23mm時の押し抜き荷重に基づき表3に示すように評価した。
上記の評価項目における結果の表示方法について、表3にまとめて示す。
また、本発明の繊維強化樹脂シートは、柔軟であるため、施工の際の構築物の水切り部への追従性能も実用上良好であった。柔軟性については、片持ち試験により、反り具合のテストから、本発明品が柔軟性を有していることが確認できた。表4に示すように、本発明の繊維強化樹脂シートは、耐延焼性能の向上及び有害ガスの低減化を達成できていることが確認された。押し抜き性能では、実施例4の本発明の繊維強化樹脂シートに対して、対応する従来品の比較例1では、識別性能、追従性能が劣ることは元より、押し抜き性能が低いことが確認された。
本発明の繊維強化樹脂シートは、総合判定において、各性能評価項目に優れていることが確認された。
本発明の製造方法は、バリア層の反対面に凹部を有し、顕著な効果を有する上記の繊維強化樹脂シートを再現性よく、効率的に連続的に製造する方法として有効に利用できる。
2 補強繊維(海島型複合糸)
3 開口部
3’ 透明硬化性樹脂硬化物で固定されたメッシュ体の開口部3
4 メッシュ体
5 透明硬化性樹脂硬化物
6 繊維強化樹脂本体層
7 凹部
11 下経糸
12 斜交糸(層)
13 逆斜交糸(層)
14 上経糸(層)
21,22 保護フィルム
31 第1のキャリアフィルム
32 第2のキャリアフィルム
33,34 第1スクイズローラー
35 紫外線硬化炉
36 第2のキャリアフィルムの分離ローラー
37,38 第2スクイズローラー
39 紫外線硬化炉
40 熱硬化炉
41 耳部カッター
42 引取機
43 定尺カッター
44 巻取機
50 透明硬化性樹脂(B)
51 透明硬化性樹脂(A)
100 繊維強化樹脂シート
Claims (6)
- 透明樹脂からなる非通気性のバリア層と、
補強繊維によって所定の開口部が形成されたメッシュ体に該バリア層と接着性を有する透明硬化性樹脂組成物を含浸、硬化させた繊維強化樹脂本体層とを積層一体化させてなる透明性繊維強化樹脂シートであって、
前記繊維強化樹脂本体層はバリア層の反対面に凹部を有し、該凹部の最大深さが該メッシュ体厚みの50%以上であり、
前記透明性繊維強化樹脂シートの単位質量が、350g/m2以下であり、
かつ、前記繊維強化樹脂本体層の透明硬化性樹脂の質量Wrとメッシュ体の質量Wmの比(Wr/Wm)が2.5(倍)以下である、
ことを特徴とするコンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シート。 - 前記メッシュ体が織布、網、編布、及び積層布からなり、前記補強繊維が、低融点成分と高融点成分を含むポリオレフィン系複合繊維である、
請求項1に記載の繊維強化樹脂シート。 - 前記バリア層が(メタ)アクリル系樹脂から形成され、さらに、前記透明硬化性樹脂組成物の透明硬化性樹脂が(メタ)アクリル系樹脂である、請求項1又は2に記載の繊維強化樹脂シート。
- バリア層に接して、補強繊維によって所定の開口部が形成されたメッシュ体に透明硬化性樹脂組成物(A)を含浸、硬化してなる繊維強化樹脂本体層を積層一体化してなるコンクリート構造物の補修又は補強用繊維強化樹脂シートの製造方法であって、該製造方法は下記の工程(1)~(3)を含むことを特徴とする繊維強化樹脂シートの製造方法。
(1)第1のキャリアフィルムにバリア層用の透明硬化性樹脂(B)を塗布し、これを第2のキャリアフィルム間に挟んで、2本の金属ローラー間で厚みを調整し、硬化装置に通してバリア層を形成し、第2のキャリアフィルムを剥離する工程、
(2)第1のキャリアフィルム上に形成された該バリア層上に、透明硬化性樹脂(A)を予備的に含浸させていない該メッシュ体と本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を供給し、該第2のキャリアフィルムで挟み、下部が金属ローラー、上部がゴムローラーからなる一対のローラー間で挟持しつつ厚みを調整する液層厚みの調整工程、
(3)硬化装置に導いて、メッシュ体に含浸、保持された本体用透明硬化性樹脂組成物(A)を硬化し、バリア層の反対面に該メッシュ体の開口部の部位に対応する凹部を有する繊維強化樹脂本体層を形成し、かつ、前記繊維強化樹脂本体層の透明硬化性樹脂の質量Wrと該メッシュ体の質量Wmの比(Wr/Wm)を2.38(倍)未満とする工程。 - 前記(2)の工程で用いる上部のローラーがゴムローラーであり、そのA硬度(JIS K 6253-3:2012、デュロメーター タイプA)が50°~70°であり、下部の金属ローラーが0.2~4mm/1600mmのクラウンを有してなる、請求項4に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法。
- 前記透明硬化性樹脂組成物(A)及び透明硬化性樹脂(B)が共に光硬化性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂であり、紫外線及び/又は熱により硬化する請求項4又は5に記載の繊維強化樹脂シートの製造方法。
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