JP2001269996A - 管状物の補強方法及び管状物用補強材 - Google Patents

管状物の補強方法及び管状物用補強材

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JP2001269996A
JP2001269996A JP2000083705A JP2000083705A JP2001269996A JP 2001269996 A JP2001269996 A JP 2001269996A JP 2000083705 A JP2000083705 A JP 2000083705A JP 2000083705 A JP2000083705 A JP 2000083705A JP 2001269996 A JP2001269996 A JP 2001269996A
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resin
reinforcing
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JP2000083705A
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Masaaki Fundou
正昭 分銅
Koji Takahata
耕治 高畠
Toshio Awaji
敏夫 淡路
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工性に優れ、接着不良が充分に抑制され、
しかも、強度や耐久性等の基本性能を付与しうる管状物
の補強方法を提供する。 【解決手段】 硬化性成形材料層を含む複層材料を巻き
付けることにより管状物を補強する方法であって、該複
層材料は、その片面に粘着層を有する管状物の補強方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、管状物の補強方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】硬化性成形材料層を含んでなる複層材料
は、硬化前は柔軟性を有することから、任意のサイズや
形状に加工することができたり、加工したものを基材に
施工したりすることが容易にできるものであり、また、
硬化後は繊維強化プラスチックと同等の優れた機械的、
化学的、電気的特性等の基本性能を有するものである。
【0003】このような硬化性成形材料層を含んでなる
複層材料は、加工や施工することが容易であって充分な
作業時間が確保でき、また、金属、プラスチック、ゴ
ム、ガラス、陶磁器、石材、木材等の各種の基材におけ
る多様な表面状態や複雑な形状に対応して充分な接着性
を有し、基材への接着不良による不具合の発生が充分に
抑制されたものであれば、各種の建造物、機械類、自動
車、船舶、家庭用品等における構造部材、配管類等や、
それらを補強や補修するための補強材等として様々な用
途への適用が容易となる。
【0004】ところで、構造部材や配管類における管状
物は、樹脂パイプや金属パイプ等の配管として用いられ
る場合には、強度や耐久性を高めて劣化による亀裂や割
れ等の不具合の発生を抑制すること等が要求され、構造
部材の一部を構成する場合には、耐久性よく構造物の強
度を高めること等が要求されている。従って、管状物に
充分な強度や耐久性を付与したり、不具合が発生した管
状物を取り替えることなく再び使用したりするために、
管状物を、簡便に、かつ、充分に補強や補修することが
できる材料が強く求められている。
【0005】特開昭56−157318号公報には、樹
脂パイプの外周にプライマーを塗布して紫外線硬化性プ
リプレグシートを巻き付け、その後、紫外線等により硬
化させることにより、FRPライニングによる補強方法
に比べて施工性を改善して、耐衝撃性や強度等を向上さ
せる樹脂パイプの補強方法が開示されている。しかしな
がら、このような補強方法では、基材によっては充分な
接着性が確保されないおそれがある。また、プリプレグ
やプライマーが施工中に硬化するため、施工時間が制約
されたり、プリプレグを基材に充分に密着することがで
きなかったりすることからも、接着不良を充分に抑制す
ることができないおそれがある。また、プライマーを用
いて施工する必要があるため、施工における作業が煩雑
である。更に、パイプの補強をより充分とするための工
夫の余地があった。即ち、硬化性成形材料を含んでなる
複層材料の管状物への施工においては、材料の取り扱い
易さ、作業時間の短縮、基材の表面状態、形状等への対
応の必要があるが、充分な接着強度を発現させる為に、
複層材料を施工する前に、基材に塗装技術を要するプラ
イマー処理等の前処理を施す工程が必要であり、取り扱
い易さ、作業時間の問題があった。また、管状物の強度
等の基本性能を充分に向上させることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑み、施工性に優れ、接着不良が充分に抑制され、しか
も、強度や耐久性等の基本性能を付与しうる管状物の補
強方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、硬化性成形材
料層を含む複層材料を巻き付けることにより管状物を補
強する方法であって、上記複層材料は、その片面に、粘
着層を有する管状物の補強方法である。本発明はまた、
上記管状物の補強方法に用いられる管状物用補強材であ
る。
【0008】本発明者らは、上記管状物の補強方法につ
いての問題点を綿密に精査したうえで鋭意研究を行った
結果、管状物の補強を上述した方法で行うことにより、
煩雑なプライマー処理等を施さなくても管状物に対して
接着強度の高い強度及び耐久性に優れた硬化層を簡単に
形成し、しかも、管状物の強度や耐久性等の基本性能を
向上させることができる劇的な効果が生じる事実に遭遇
し、本発明に到達したものである。以下に本発明を詳述
する。
【0009】本発明の管状物の補強方法は、硬化性成形
材料層を含む複層材料を巻き付けることにより管状物を
補強する方法である。上記複層材料を構成する各層は、
フィルム状又はシート状である。上記複層材料における
硬化性成形材料層は、硬化前は複層材料を充分に加工や
施工することができる可塑性や柔軟性を有し、硬化後は
充分な曲げ強度や曲げ弾性率等の強度、耐久性を有し、
樹脂や充填剤の種類により、耐候性、耐水性、耐熱性、
耐衝撃性、耐磨耗性、高電気特性等の充分な基本性能を
有する。上記硬化性成形材料層は、加工や施工の作業を
阻害するような表面のベタツキがないものが好ましい。
【0010】上記硬化性成形材料層の形態としては特に
限定されず、例えば、硬化性樹脂を含んでなる樹脂組成
物を熟成して増粘させたシート等が挙げられる。また、
上記硬化性成形材料層は、硬化物が充分な基本性能を有
するものとなるために、補強繊維や充填剤を更に含んで
なる樹脂組成物を熟成して増粘させたプリプレグシート
であることが好ましく、複層材料が多様な用途に対応で
きるようになることから、樹脂組成物が光増感剤を更に
含んでなる光硬化性のシートであることが好ましい。ま
た、異なる成形材料を積層してなるものであってもよ
い。
【0011】上記硬化性樹脂は、重合体及び重合性不飽
和単量体を含んでなる。また、硬化性樹脂を含んでなる
樹脂組成物は、硬化性樹脂の他に、硬化剤等の樹脂組成
物を構成するものを含んでなる。本明細書中において、
樹脂組成物とは、硬化性成形材料層を構成することにな
る材料をすべて含んだ組成物を意味する。上記硬化性樹
脂としては、成形材料として用いることができるもので
あれば特に限定されず、例えば、不飽和ポリエステル樹
脂、ビニルエステル樹脂(エポキシアクリレート樹
脂)、(メタ)アクリルシラップ、ジアリルフタレート
樹脂等のラジカル重合型樹脂;エポキシ樹脂、尿素樹
脂、メラミン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリウレタ
ン、ポリブタジエン等が挙げられる。これらは単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で
も、ラジカル重合型樹脂等の光硬化性のものであること
が好ましい。より好ましくは、複層材料の加工性や施工
性が向上すること、硬化物が充分な基本性能を有するこ
とから、不飽和ポリエステル樹脂である。
【0012】上記不飽和ポリエステル樹脂としては特に
限定されず、例えば、酸成分と、アルコール成分とを縮
合させて得られる重量平均分子量(Mw)が数百〜数万
程度の不飽和ポリエステルを重合性不飽和単量体に溶解
してなるラジカル重合型樹脂等が挙げられる。不飽和ポ
リエステルに用いる酸成分としては特に限定されず、例
えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、無水イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、無
水シトラコン酸等の不飽和二塩基酸;フタル酸、無水フ
タル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタ
ル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ヘット酸、メチルテトラヒドロ無水
フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等
の飽和二塩基酸;トリメリト酸、トリメリト酸無水物、
ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物等の三官能以上の
多塩基酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0013】上記アルコール成分としては特に限定され
ず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化
ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のアルコ
ール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピク
ロルヒドリン等のエポキシド等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0014】上記不飽和ポリエステルにおける酸成分及
びアルコール成分の種類や使用量としては特に限定され
ず、例えば、硬化物に要求される基本性能等に応じて適
宜設定すればよい。上記酸成分のうち5〜100重量%
が不飽和二塩基酸であることが好ましい。また、酸成分
及びアルコール成分を縮合させる方法としては特に限定
されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件も適
宜設定すればよい。また、ジシクロペンタジエン等のジ
エン化合物、末端官能性ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体等のゴム成分等の種々の成分により変性されて
もよい。
【0015】上記ビニルエステル樹脂としては特に限定
されず、例えば、エポキシ樹脂の末端に、ビニル系不飽
和カルボン酸を付加重合させて得られるビニルエステル
を重合性不飽和単量体に溶解してなるラジカル重合型樹
脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂としては特に限定
されず、例えば、ビスフェノールタイプ、ノボラックタ
イプ、環状脂肪族タイプ、エポキシ化ポリブタジエンタ
イプ等のものが挙げられる。上記ビニル系不飽和カルボ
ン酸としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】上記ビニルエステルにおけるエポキシ樹
脂、ビニル系不飽和カルボン酸の種類や使用量としては
特に限定されず、硬化物に要求される基本性能等に応じ
て適宜設定すればよい。また、エポキシ樹脂及びビニル
系不飽和カルボン酸を付加重合させる方法としては特に
限定されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件
も上記と同様に適宜設定すればよい。
【0017】上記(メタ)アクリルシラップとしては特
に限定されず、例えば、単量体である(メタ)アクリル
酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含
んでなる混合物であり、必要に応じて、他の重合性不飽
和単量体を更に含んでなるラジカル重合型樹脂等が挙げ
られる。
【0018】上記(メタ)アクリル酸エステルとしては
特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、
(メタ)アクリルアミドを用いることもできる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。こ
れらの中でも、複層材料の硬化物層による基本性能、外
観、安全性等をより一層向上させることができることか
ら、メチルメタクリレート、又は、メチルメタクリレー
トを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが好まし
い。
【0019】上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体
は、(メタ)アクリル酸エステルや必要に応じて他の重
合性不飽和単量体を含んだものを単量体成分として重合
することにより得られ、その重合度としては特に限定さ
れない。上記(メタ)アクリルシラップにおける(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル
の重合体等の種類や使用量としては特に限定されず、硬
化物に要求される基本性能等に応じて適宜設定すればよ
い。
【0020】上記硬化性樹脂における重合体と重合性不
飽和単量体との重量割合としては、硬化物に要求される
基本性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定され
ず、例えば、硬化性樹脂がラジカル重合型樹脂である場
合には、99/1〜20/80であることが好ましい。
99/1より重合性不飽和単量体の重量割合が少なくな
ると、硬化性が劣るおそれがあり、20/80より重合
性不飽和単量体の重量割合が多くなると、樹脂組成物の
粘度が低くなり過ぎて取り扱いにくくなり、また、硬化
物の強度等の基本性能が劣るおそれがある。より好まし
くは、95/5〜30/70であり、更に好ましくは、
90/10〜40/60である。
【0021】上記硬化性樹脂が二種以上の樹脂を含有
し、混合物となる場合、各々の樹脂の含有量としては特
に限定されない。また、上記硬化性樹脂としてラジカル
重合型樹脂を用いる場合には、上述したラジカル重合型
樹脂以外のラジカル重合型樹脂を含有してもよい。
【0022】上記重合性不飽和単量体とは、硬化性樹脂
に含まれるビニルモノマーや架橋剤等の重合性不飽和結
合を有する単量体を意味する。上記ビニルモノマーとし
ては、反応性モノマーであり、硬化時に上記重合体が有
する不飽和基と架橋反応するものであれば特に限定され
ず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、クロルスチレン、酢酸ビニル、アリルアルコー
ル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル、アクリロニトリル、
マレイミド類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸
等の不飽和モノカルボン酸、及び、これら不飽和モノカ
ルボン酸のモノエステル;マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及び、
これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル;エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベ
ンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。
【0023】上記架橋剤としては特に限定されず、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレー
ト;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリル
イソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】上記硬化性樹脂におけるビニルモノマーや
架橋剤等の重合性不飽和単量体総量の含有割合としては
特に限定されず、例えば、硬化性樹脂がラジカル重合型
樹脂である場合には、硬化性樹脂の全重量に対して1〜
80重量%であることが好ましい。1重量%未満である
と、硬化性が劣るおそれがあり、80重量%を超える
と、樹脂組成物の粘度が低くなり過ぎて取り扱いにくく
なり、また、硬化物の強度等の基本性能が劣るおそれが
ある。より好ましくは、5〜70重量%であり、更に好
ましくは、10〜60重量%である。
【0025】上記樹脂組成物における硬化剤として好ま
しくは、樹脂に光硬化性を与える光増感剤等が挙げられ
る。上記光増感剤としては特に限定されず、例えば、
「表面」、27〔7〕(1989)山岡、p.548
や、「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」(199
4)佐藤、IBP18等に記載の可視光領域に感光性を
有する可視光用開始剤等が挙げられ、このような可視光
用開始剤を用いることが好ましい。上記光増感剤は単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、光増
感剤は光硬化剤と呼称される場合もあり、本明細書中で
は、「光増感剤」と「光硬化剤」との用語を光増感剤に
統一して用いる。上記可視光用開始剤としては、380
〜780nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤等
であれば特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベン
ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエ
ーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイ
ン、ベンジル、ジアセチル、アントラキノン、メチルア
ントラキノン、クロロアントラキノン、カンファーキノ
ン、アセトフェノン、アセトフェノンベンジル、ジメト
キシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノ
ン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケト
ン、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾイルジフェニル
ホスフィンオキサイド等のカルボニル化合物;ジフェニ
ルサルファイド、ジフェニルジサルファイド、ジフェニ
ルスルフィド、ジチオカーバメート、メチルチオキサン
トン等の硫黄原子を有する化合物;α−クロロメチルナ
フタリン等の多縮合環系炭化水素のハロゲン化物類;ア
クリルフラビン、フルオレセン等の色素類;硝酸ウラニ
ル、塩化鉄、塩化銀等の金属塩類;p−メトキシベンゼ
ンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフ
ェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウム等
のオニウム塩;ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ
(ペンタフルオロフェニル)等が挙げられる。また、有
機過酸化物/色素系、ジフェニルヨードニウム塩/色
素、イミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリールビイミ
ダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾ
チアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニ
ン色素、特公昭45−37377号公報に記載のヘキサ
アリールビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の複
合開始剤系等も挙げられる。
【0026】上記光増感剤は、更に、紫外光領域から可
視光領域まで感光性を有する広領域感光剤を用いること
もできる。このような光増感剤としては、例えば、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,
6−トリメチルベンゾイル)−メチルフォスフィンオキ
サイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイ
ル−ジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフ
ィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらは、市
販品を用いることができ、例えば、Darocur11
73(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社
製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキ
サイド(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)と
を75/25(重量比)の割合で混合したイルガキュア
1700(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカル
ズ社製);イルガキュア184(商品名、チバ・スペシ
ャリティー・ケミカルズ社製、1−ヒドロキシ−シクロ
ヘキシル−フェニルケトン)とビス(2,6−ジメトキ
シベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォ
スフィンオキサイド(チバ・スペシャルティー・ケミカ
ルズ社製)とを75/25(重量比)の割合で混合した
イルガキュア1800(商品名、チバ・スペシャルティ
ー・ケミカルズ社製)や50/50(重量比)の割合で
混合したイルガキュア1850(商品名、チバ・スペシ
ャルティー・ケミカルズ社製);イルガキュア819
(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル
ホスフィンオキサイド);Lucirin TPO(商
品名、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル−ジフェニルホスフィンオキサイド);Darocu
r1173(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカ
ルズ社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン)とLucirin TPOとを5
0/50(重量比)の割合で混合したDarocur4
265(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ
社製)等を用いることができる。
【0027】上記光増感剤の含有割合としては特に限定
されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して0.
01〜10重量部であることが好ましい。0.01重量
部未満であると、硬化性成形材料層の光硬化性が劣るお
それがあり、10重量部を超えると硬化物の基本性能が
劣るおそれがある。より好ましくは、0.05〜8重量
部であり、更に好ましくは、0.1〜5重量部である。
【0028】上記樹脂組成物はまた、熱硬化剤等を含ん
でもよく、その場合には、硬化性成形材料層が熱硬化性
を有するものとなる。上記熱硬化剤としては特に限定さ
れず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイル
パーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t
−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキ
シベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、シクロ
ヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、
ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカ
ーボネート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有機過酸
化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2−フ
ェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニ
トリル等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤等が挙げ
られる。上記熱硬化剤の含有割合としては特に限定され
ず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して0〜10
重量部であることが好ましい。10重量部を超えると、
硬化物の基本性能が劣るおそれがある。より好ましく
は、0.01〜8重量部であり、更に好ましくは、0.
05〜5重量部である。
【0029】上記樹脂組成物は、更に、低収縮化剤、内
部剥離剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、減
粘剤、カップリング剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤等を含
んでもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。上記硬化性成形材料層が光硬
化性のものである場合、その光硬化性を阻害しないよう
に、これらの種類や使用量等を適宜設定して用いること
が好ましい。
【0030】上記低収縮化剤としては特に限定されず、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、三次元架橋ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、セルロースブチレート、アセテート(アセチルセル
ロース)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカプ
ロラクトン、飽和ポリエステル等の熱可塑性ポリマー等
が挙げられる。上記低収縮化剤の含有割合としては特に
限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して
0〜30重量部であることが好ましい。30重量部を超
えると、硬化物の強度等の基本性能が低下するおそれが
ある。より好ましくは、0〜15重量部である。上記内
部離型剤としては特に限定されず、例えば、シリコン系
樹脂やステアリン酸塩等が挙げられる。上記内部離型剤
の含有割合としては特に限定されず、例えば、硬化性樹
脂100重量部に対して0〜10重量部であることが好
ましい。10重量部を超えると、硬化物の基本性能が低
下するおそれがある。より好ましくは、0〜5重量部で
ある。
【0031】上記連鎖移動剤としては特に限定されず、
例えば、α−メチルスチレンダイマー;四塩化炭素;t
−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n
−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チ
オフェノール、チオナフトール等の芳香族メルカプタ
ン;チオグリコール酸;チオグリコール酸オクチル、エ
チレングリコールジチオグリコレート、トルメチロール
プロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリス
リトールテトラキス−(チオグリコレート)等のチオグ
リコール酸アルキルエステル;β−メルカプトプロピオ
ン酸;β−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−
ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、ペンタ
エリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネー
ト)等のβ−メクカプトプロピオン酸アルキルエステル
等が挙げられる。上記連鎖移動剤の含有割合としては特
に限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対し
て0〜5重量部であることが好ましい。5重量部を超え
ると、硬化性樹脂の硬化性が劣るおそれがある。より好
ましくは、0〜2重量部である。
【0032】上記重合禁止剤としては特に限定されず、
例えば、p−t−ブチルカテコール、p−メトキシフェ
ノール、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、クロラニ
ル、m−ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、p−フェ
ニルジアミン、硫黄、ジフェニルピクリルヒドラジル、
ジ−p−フルオロフェニルアミン、トリ−p−ニトロフ
ェニルメチル等が挙げられる。上記重合禁止剤の含有割
合としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂100
重量部に対して0〜5重量部であることが好ましい。5
重量部を超えると、硬化性樹脂の硬化性が劣るおそれが
ある。より好ましくは、0.001〜2重量部である。
上記紫外線吸収剤、上記減粘剤及び上記カップリング剤
としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂に対して
使用することができるものを用いることができ、これら
のそれぞれの含有割合としては特に限定されず、例え
ば、硬化性樹脂100重量部に対して、0〜5重量部で
あることが好ましい。5重量部を超えると、硬化性樹脂
の硬化性が劣るおそれがある。より好ましくは、0.0
5〜2重量部である。
【0033】上記増粘剤としては特に限定されず、例え
ば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の
多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム等の多価金属水酸化物;多官能イソシアネート等が挙
げられる。上記増粘剤の使用量としては特に限定され
ず、例えば、多価金属酸化物や多価金属水酸化物の場合
には、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重
量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜
5重量部である。また、多官能イソシアネート等の場合
には、硬化性樹脂100重量部に対して1〜30重量部
であることが好ましく、より好ましくは、3〜40重量
部であり、更に好ましくは、5〜30重量部である。上
記使用量未満であると、樹脂組成物が増粘しにくくなる
おそれがあり、上記使用量を超えると、樹脂組成物を熟
成するときに増粘し過ぎるおそれがある。
【0034】上記着色剤としては特に限定されず、例え
ば、硬化性樹脂に対して使用することができる無機顔
料、有機顔料、及び、トナー等が挙げられる。上記抗菌
剤としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂に対し
て使用することができるものを用いることができる。上
記着色剤及び上記抗菌剤それぞれの使用量としては特に
限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して
0〜10重量部であることが好ましい。より好ましく
は、0.1〜5重量部である。
【0035】上記樹脂組成物が補強繊維や充填剤等の補
強材を更に含むことにより、樹脂と補強材とが複合化さ
れ、硬化性成形材料層が強度等の基本性能に優れたもの
となる。上記補強繊維としては特に限定されず、例え
ば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミックから
なる繊維等の無機繊維;アラミド、ポリエステル、ビニ
ロン、フェノール、テフロン(登録商標)等からなる有
機繊維;天然繊維等が挙げられる。また、これらの繊維
の形態としては特に限定されず、例えば、クロス(織
物)状;チョップストランドマット、プリフォーマブル
マット、コンテニュアンスストランドマット、サーフェ
ーシングマット等のマット状;チョップ状;ロービング
状;不織布状等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ガ
ラス繊維が好ましい。
【0036】上記補強繊維の使用量としては、例えば、
硬化性樹脂100重量部に対して、5〜100重量部と
なるようにすることが好ましい。5重量部未満であって
も、100重量部を超えても、硬化物の基本性能が低下
するおそれがある。より好ましくは、10〜65重量部
である。本明細書中において、樹脂組成物が補強繊維を
含むとは、例えば、樹脂組成物中に補強繊維を混合する
こと;樹脂組成物を補強繊維に含浸すること等を意味す
る。
【0037】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレー、タルク、ガラ
スパウダー、ミルドファイバー、クリストバライト、シ
リカ(珪砂)、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、ガラス
粉末等の無機充填剤;有機充填剤等が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、硬化物の機械的特性等の基本性能が向
上することから、水酸化アルミニウムを必須成分とする
ものであることが好ましい。また、耐摩耗性用途には、
クリストバライト、シリカ、川砂等が好ましい。このよ
うに、これらは複層材料が用いられる用途に応じて選択
することが好ましい。
【0038】上記充填剤の使用量としては、例えば、硬
化性樹脂100重量部に対して0〜300重量部となる
ようにすることが好ましい。300重量部を超えると、
樹脂組成物の流動性が劣るため、硬化性成形材料層の作
製における作業性が低下するおそれがある。より好まし
くは、30〜280重量部である。
【0039】上記硬化性成形材料層は、樹脂組成物を熟
成して増粘させて形成され、その厚みとしては特に限定
されず、例えば、0.1〜10mmであることが好まし
い。0.1mm未満であると、硬化物が充分な強度を有
しないおそれがあり、10mmを超えると、複層材料の
加工性や施工性が低下し、また、硬化性成形材料層の光
硬化性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.
5〜5mmである。
【0040】上記硬化性成形材料層の形成は、例えば、
補強繊維以外の上述した各成分を混合して樹脂混合溶液
として、これを補強繊維に含浸させるSMC(シートモ
ールディングコンパウンド)を作製する方法により得る
ことができる。このような方法としては特に限定され
ず、例えば、キャリアフィルム上に樹脂混合溶液を塗布
して補強繊維を散布若しくは積載し、もう一枚のキャリ
アフィルムに樹脂混合溶液を塗布したもので挟み込んだ
り、又は、キャリアフィルム上に補強繊維を散布若しく
は積載して樹脂混合溶液を塗布したりした後、圧着・含
浸等し、熟成、増粘させることにより行うことができ
る。
【0041】本発明において用いる複層材料は、その片
面に粘着層を有する。上記粘着層は、管状物に対して充
分な接着性を有し、かつ、複層材料を充分に施工するこ
とができる柔軟性を有するものである。上記粘着層によ
り、複層材料が管状物への密着性を有し、密着後、硬化
性成形材料層及び粘着層が形状保持性を有することにな
る。また、粘着剤そのものの強度、硬化後の硬化性成形
材料層との密着性、管状物との密着性により、優れた接
着強度を有することになる。
【0042】上記粘着層の形態としては特に限定され
ず、例えば、粘着剤のみにより形成されるフィルム(支
持体なし);支持体を有する粘着剤層により形成される
フィルム等が挙げられる。また、これらを積層したもの
であってもよい。
【0043】上記粘着剤としては特に限定されず、例え
ば、スチレン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、イ
ソプレンゴム、ブチルゴム等の合成ゴムや天然ゴムを主
成分とするゴム系粘着剤;アクリル樹脂、ポリビニルア
ルコール、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエー
テル、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン
−ブチレンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル等
を主成分とする合成樹脂系粘着剤等が挙げられる。これ
らは、溶剤型、エマルション型、ホットメルト型、水溶
性型等のいずれでもよく、また、単独で用いてもよく、
2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル
系の粘着剤が好ましい。
【0044】上記粘着剤は、必要に応じて、粘着付与
剤、可塑剤や、上述した添加剤等を含有してもよい。こ
れらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。上記粘着付与剤及び上記可塑剤としては、通
常、粘着剤に用いることができるものであれば特に限定
されず、例えば、粘着付与剤としては、ロジン、テルペ
ン系樹脂等の天然樹脂;クマロンインデン樹脂等の石油
炭化水素系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等
が挙げられ、可塑剤としては、プロセスオイル等の石油
系可塑剤;液状ポリイソブチレン、液状ポリブテン等の
液状ゴム系可塑剤;二塩基酸エステル等の樹脂系可塑剤
等が挙げられる。
【0045】上記粘着層は、その性能が優れたものとな
ることから、硬化性を有するものであることが好まし
い。上記粘着層に硬化性を付与する方法としては特に限
定されず、例えば、粘着剤が硬化性樹脂や光増感剤等を
含むことによって光硬化性のものとすることが好まし
い。この場合、粘着層の強度等が向上することから、硬
化性樹脂に含まれる重合性不飽和単量体としては、多官
能(メタ)アクリレートであることが好ましい。また、
硬化性成形材料層中に含まれるスチレン等の重合性不飽
和単量体が粘着層に移行しても、重合性不飽和単量体が
粘着層の硬化に寄与して、粘着層の硬化を充分に行うこ
とができることになる。
【0046】粘着剤層に用いられる支持体としては、複
層材料の施工性を損なうことがない強度及び柔軟性並び
に硬化性成形材料層に含まれる重合性不飽和単量体や溶
媒に対する耐久性を有するものであれば特に限定され
ず、例えば、紙や樹脂材料により形成されるフィルム、
織布、不織布、発泡体等が挙げられ、プレス加工、エン
ボス加工等を施したものであってもよい。上記紙として
は特に限定されず、例えば、天然繊維、合成繊維、無機
繊維等により形成されるもの等が挙げられ、シリコン処
理等で表面処理されたものであってもよい。
【0047】支持体に用いられる樹脂材料としては特に
限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリブテン、ポリスチレン、エチレン−α−オレフィン
共重合体等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル;
テトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
モノクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル等
のフッ素樹脂;ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポ
リアセタール、ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、
ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルホン、
ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリメチルペンテン、アイオノマー樹脂、ポリビニ
ルブチラール、ポリビニルアルコール、セルロースジア
セテート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化
ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステ
ル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0048】上記フィルムは、例えば、樹脂材料に顔料
や添加剤等を混合して、カレンダーフィルム;押し出し
フィルム;キャストフィルム;Tダイ法、インフレーシ
ョン法によるフィルム等として得ることができる。ま
た、一軸延伸フィルムや二軸延伸フィルム等の延伸フィ
ルムとしてもよい。
【0049】上記粘着層の厚みとしては特に限定され
ず、例えば、3μm〜10mmであることが好ましい。
3μm未満であると、複層材料の基材に対する接着不良
が抑制されないおそれがあり、10mmを超えると、複
層材料の加工性や施工性が低下し、また、複層材料の基
本性能が低下するおそれがある。より好ましくは、10
μm〜5mmである。
【0050】本発明における複層材料は、管状物に接着
される前の状態においては、離型層を粘着層の外側に有
するものであることが好ましい。上記離型層は、複層材
料が加工される間、粘着層を保護し、粘着層の粘着性を
保ったまま粘着層と離型層とを剥離することができる作
用(離型性)を有し、かつ、複層材料を充分に施工する
ことができる柔軟性を有するものである。上記離型層の
形態としては特に限定されず、例えば、上述した紙又は
ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料により形成
されるフィルム;アルミ箔等の金属材料により形成され
るフィルム等を離型剤処理したフィルム等が挙げられ
る。上記離型剤としては特に限定されず、例えば、シリ
コン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンワックス等の離型
性樹脂を主成分とするもの等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】上記離型層の厚みとしては特に限定され
ず、例えば、3〜2000μmであることが好ましい。
3μm未満であると、離型層が充分な離型性を有しない
おそれがあり、2000μmを超えると、複層材料の加
工性や施工性が低下するおそれがある。より好ましく
は、10〜500μmである。
【0052】本発明において用いる複層材料は、上記硬
化性成形材料層及び/又は上記粘着層が光硬化性である
場合、粘着層を有する面の他の面に遮光層を有するもの
であることが好ましい。上記遮光層は、複層材料が加工
や施工される間、硬化性成形材料層が硬化することによ
り複層材料の加工性や施工性が損なわれることがないよ
うに硬化性成形材料層を遮光する作用(遮光性)を有
し、かつ、複層材料を充分に加工や施工することができ
る柔軟性を有するものである。上記遮光層により、複層
材料の光硬化が防止され、施工時間を充分に取れ、施工
して遮光層を剥がした後に早く硬化させることができる
ことになる。
【0053】上記遮光層の形態としては特に限定され
ず、例えば、上述した紙や樹脂材料に遮光材を蒸着、コ
ーティング又は分散したフィルム等が挙げられる。ま
た、これらを積層したものであってもよい。例えば、こ
のような紙や樹脂材料に遮光材を蒸着したフィルムとし
ては、遮光材としてアルミニウム等の金属による蒸着膜
を片面又は両面に形成したフィルム等が挙げられ、遮光
材をコーティングしたフィルムとしては、遮光材として
顔料等を分散した塗膜やインキ膜を片面又は両面に形成
したフィルム等が挙げられ、遮光材を分散したフィルム
としては、遮光材として顔料等を分散したフィルム等が
挙げられる。
【0054】上記顔料としては、フィルムに遮光性を付
与することができるものであれば特に限定されず、例え
ば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜
鉛、酸化鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミ
ナ、カオリンクレイ、タルク、マイカ等の無機顔料、ア
ルミニウムやステンレス等の金属粉末、フタロシアニン
ブルー等の有機顔料、ミルドファイバー、コールダスト
等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0055】上記遮光層の厚みとしては特に限定され
ず、例えば、5〜2000μmであることが好ましい。
5μm未満であると、遮光層が充分な剥離に耐える強度
を有しないおそれがあり、2000μmを超えると、複
層材料の施工性が損なわれるおそれがある。より好まし
くは、10〜500μmである。
【0056】上記複層材料における硬化性成形材料層が
光硬化性である場合には、粘着層や離型層が遮光層とと
もに硬化性成形材料層の両面を遮光することにより、複
層材料の加工性や施工性、接着性等を向上して接着不良
を充分に抑制することができることから、粘着層や離型
層が遮光性を有するものであることが好ましい。この場
合、粘着層及び離型層の両方が遮光性を有するものであ
ってもよく、粘着層及び離型層の少なくとも1つが遮光
性を有するものであってもよい。
【0057】上記粘着層に遮光性を付与する方法として
は特に限定されず、例えば、顔料を分散した粘着剤を用
いたり、遮光性を有する支持体を用いたりして行うこと
ができる。上記離型層に遮光性を付与する方法としては
特に限定されず、例えば、遮光性を有する紙やフィルム
を用いることにより行うことができる。本発明における
複層材料は、硬化性成形材料層、粘着層、離型層、遮光
層以外に、更にその他の層を含んでもよく、特に限定さ
れない。
【0058】上記粘着層の形成は、例えば、支持体がな
い場合には、離型層の片面に粘着剤を塗布することによ
り行うことができ、紙、フィルム、織布、不織布等の支
持体がある場合には、支持体の両面に粘着剤を塗布する
ことにより行うことができる。上記離型層の形成は、例
えば、フィルムや紙等の支持体の片面に離型剤を塗布す
ることにより行うことができる。これらの場合、蒸着、
塗布又は印刷前にフィルムの表面をプラズマ処理、コロ
ナ放電処理、薬品処理等してもよい。更に、遮光層の形
成は、例えば、紙や樹脂材料に遮光材としてアルミニウ
ム等の金属による蒸着膜を片面又は両面に形成したり、
遮光材として顔料等を分散した塗膜やインキ膜等を片面
又は両面に形成したり、遮光材として顔料等を分散した
フィルムを上述のフィルムの製造方法等により形成する
ことにより行うことができる。また、これらの遮光膜等
は積層したものであってもよい。これらの場合、蒸着、
塗布又は印刷前にフィルムの表面をプラズマ処理、コロ
ナ放電処理、薬品処理等してもよい。
【0059】本発明の補強方法に用いる複層材料の製造
方法としては特に限定されず、例えば、硬化性成形材料
層、粘着層及び離型層を有し、必要に応じて遮光層を含
む材料を積層することにより得ることができる。この
際、積層させる順序や方法等としては特に限定されず、
例えば、上述したSMCを作製する方法において、キャ
リアフィルムとして遮光層と、粘着層及び離型層を積層
したフィルムを用いることにより、遮光層と粘着層及び
離型層とを硬化性成形材料層の両側に積層させることが
できる。
【0060】本発明の管状物の補強方法は、複層材料を
巻き付けることにより管状物を補強する方法である。本
明細書中において、複層材料を巻き付けることにより管
状物を補強する方法とは、管状物の外周部全体に複層材
料を巻き付けることに限らず、管状物を補強や補修する
ことができる限り、管状物の一部又は大部分に複層材料
を施工することも意味する。
【0061】上記管状物としては特に限定されず、例え
ば、構造材の一部を構成する柱や補強部材;樹脂パイプ
や金属パイプ等の工場配管、上下水道管、ガス管、輸送
用配管、ケーブル用配管等が挙げられ、円形の他、楕円
形、多角形、異形断面の物でも良い。また、その表面が
塗装等されたものであってもよい。上記管状物の材質と
しては特に限定されず、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレ
ン等のプラスチック;金属、ゴム等が挙げられる。これ
らの中でも、本発明の管状物の補強方法は、ポリ塩化ビ
ニル製の管状物に好適に用いることができる。
【0062】上記補強方法は、管状物を補強するためや
補修するために用いることができる。この場合には、複
層材料そのものを管状物に巻き付けたり、複層材料と補
強材料とを組み合わせて、複層材料を巻き付けることに
より補強材料を取り付けたりすることができる。上記補
強材料としては特に限定されず、例えば、棒状、パイプ
状、板状、網状等の補強材が挙げられる。これらは単独
で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよ
い。また、予め複層材料と組み合わされても、施工時に
組み合わされてもよい。
【0063】本発明の管状物の補強方法には、複層材料
と、必要に応じて、補強材料とを含む補強材が用いられ
る。上記補強材は、優れた施工性と接着性とを有するこ
とから、金属、プラスチック、ゴム等の基材による管状
物の多様な表面状態や複雑な形状に対応して複層材料を
充分に接着させて、各種の構造部材や配管類における管
状物を補強や補修することができるものである。また、
複層材料による硬化物が機械的、化学的、電気的特性等
の充分な基本性能を有しつつ、複層材料が硬化により収
縮して管状物を締めつけて強化することから、管状物の
耐圧強度、耐曲げ強度、耐衝撃性、耐久性等の基本性能
を向上させることができるものである。従って、これら
の相乗的な作用により、様々な管状物に対して、接着不
良による不具合の発生を充分に抑制し、しかも、管状物
の性能を向上させて補強や補修することができることに
なる。このような補強材もまた、本発明の一つである。
【0064】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態の一例を図1に
断面図にて、及び、図2に斜視図にて示す。図1では、
本発明の管状物の補強方法により、複層材料を施工した
ときの状態を示す。上記複層材料は、施工する前には、
硬化性成形材料層の片面に内側から粘着層及び離型層を
この順で有している。上記複層材料を管状物に施工する
には、離型層を剥がして粘着層を接着させることにより
行うことができる。この場合には、複層材料の接着性を
向上するために、管状物の表面が下地処理されたもので
あってもよく、また、複層材料の接着不良による不具合
の発生が充分に抑制されることになる限り、管状物の表
面が下地処理されたものでなくてもよい。上記複層材料
を保管や輸送等する間は、遮光性を有するアルミ蒸着フ
ィルム製等の包装材や缶等に複層材料を入れておくこと
が好ましい。
【0065】上記複層材料を管状物に施工する際には、
接着不良による不具合の発生が充分に抑制されることに
なるように、複層材料に圧力を加えて巻き付けたり、管
状物と粘着層との間に入った空気を抜く操作等を行って
もよい。このように巻き付けて接着させた後に、硬化性
成形材料層を硬化させることになる。
【0066】上記硬化性成形材料層は、活性エネルギー
線及び/又は熱により硬化することになるが、複層材料
が充分な基本性能を有するものとなることから、活性エ
ネルギー線を照射することが好ましい。上記活性エネル
ギー線としては特に限定されず、例えば、太陽光線、紫
外線、赤外線、電子線、放射線、レーザー光線、高周
波、マイクロ波等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。上記活性エネルギ
ー線の照射は、屋外等においては太陽光線を用いて行う
ことができるが、硬化性成形材料層を充分に硬化させる
場合や、充分な太陽光線の照射を行うことができない場
合においては、例えば、活性エネルギー線の照射装置を
用いて行うことができる。
【0067】上記活性エネルギー線の照射装置としては
特に限定されず、例えば、紫外線蛍光ランプ、低圧水銀
ランプ、(超)高圧水銀ランプ、キセノンランプ、マー
キュリーハロゲンランプ、アルゴングローランプ、写真
照明用ランプ、カーボンアーク灯、タングステン灯、白
熱灯、エキシマレーザー照射装置等が挙げられる。
【0068】上記複層材料の硬化時間としては特に限定
されず、例えば、太陽光線を用いて硬化させる場合に
は、1分〜10時間で硬化するように設定することが好
ましく、紫外線を用いて硬化させる場合には、1分〜5
時間で硬化するように設定することが好ましい。また、
直射日光で1時間以内で硬化するように設定することが
好ましい。この場合、接着作業中に複層材料が硬化しな
いように設定することが好ましい。上記複層材料が硬化
した後は、その表面に塗装等を施してもよい。
【0069】上記図1では、複層材料を粘着層により管
状物と接着させるため、プライマーやパテによる施工を
必要とせず、複層材料の施工工程を簡略化して施工コス
トを抑制することができることになる。また、接着作業
が容易であり均一に接着することができたり、複層材料
の柔軟性が充分に保たれていたりすることから、複層材
料を安定的に管状物へ接着させることができ、接着不良
が充分に抑制されることになる。更に、各種の管状物に
対して接着性を有し、また、管状物を溶剤等で侵すおそ
れがないことから、複層材料を各種の管状物に適用する
ことができることになる。更にまた、複層材料が硬化し
て収縮することにより、その接着性を向上させるととも
に、管状物が複層材料により締めつけられて強化される
ことから、管状物の耐圧強度や耐久性等の基本性能が向
上することになる。
【0070】上記図1では更に、粘着層が硬化性を有す
るものである場合には、硬化性成形材料層とともに粘着
層も硬化して、管状物との接着性を向上させることがで
きる。この場合、硬化性樹脂に含まれるビニルモノマー
として多官能(メタ)アクリレートを用いたり、硬化性
成形材料層中に含まれるスチレン等のビニルモノマーを
粘着層に移行させたりして、管状物に対する複層材料の
接着強度をより向上させることができる。これにより、
管状物に対してより優れた耐圧強度や耐久性等の基本性
能を付与することができることになる。また、硬化性成
形材料層の硬化が粘着層の硬化よりも速くなるように設
定すると、硬化性成形材料層が粘着層を締めつけること
により、複層材料の環状物に対する接着強度を充分なも
のとし、かつ、複層材料が管状物を充分に締めつけて強
化することにより、管状物の耐圧強度や耐久性等の基本
性能が特段に向上することになるため好ましい。
【0071】上記図1において、管状物の補強方法に用
いる複層材料が、内側から粘着層及びをこの順で有する
面の他の面に遮光層を有する場合では、複層材料を管状
物に施工するには、離型層を剥がして粘着層を上述した
のと同様に接着させることにより行うことができる。こ
のように接着させた後に、遮光層を剥がしてから硬化性
成形材料層を上述したのと同様に硬化させることにな
る。
【0072】この場合には、(1)遮光層により硬化性成
形材料層や粘着層が遮光されており、複層材料を施工す
る間、硬化性成形材料層や粘着層の硬化が抑制されて複
層材料の柔軟性が保たれて充分な作業時間が確保できる
こと、(2)複層材料を粘着層により管状物と接着させる
ため、プライマーやパテによる施工を必要とせず、複層
材料の施工工程を簡略化して作業性を向上したり施工コ
ストを抑制したりすることができること、(3)接着作業
が容易であり均一に接着することができたり、複層材料
の柔軟性が充分に保たれていたりすることから、複層材
料を安定的に管状物へ接着させることができ、接着不良
が充分に抑制されること、(4)各種の管状物に対して接
着性を有し、また、管状物を溶剤等で侵すおそれがない
こと、(5)遮光層と、粘着層及び離型層とにより、硬化
性成形材料層に含まれるスチレン等が複層材料から揮散
されることが抑制されて作業性がよくなることから、こ
れらの相乗的な作用により、複層材料の施工における取
り扱い易さや作業性が特段に向上して、各種の管状物に
対して複層材料の接着強度がより向上することになる。
その結果、管状物に耐圧強度や耐久性等の基本性能を安
定的に付与することができることとなる。
【0073】この場合ではまた、遮光層を剥がした後に
硬化性成形材料層が硬化し始めることから、遮光層を剥
がした後、1分〜1時間程度の短時間で硬化するように
硬化性成形材料層の光硬化性を設定することができるこ
とになる。これにより、作業時間を短縮することがで
き、また、硬化性成形材料層が未硬化の状態で汚れが付
着して取れにくくなることを防止することができること
になる。上記図1では更に、複層材料が光透過性フィル
ムを含むことにより、遮光フィルムを剥がした後に光透
過性フィルムが付いたまま硬化させて、硬化後剥離する
ことによって表面状態を更になめらかにすることができ
る。
【0074】図2では、図1における場合と同様にして
複層材料を管状物へ巻き付けて接着させる状態を示して
おり、管状物の外周部に、複層材料の端が重なるように
して巻き付けられている。この場合では、複層材料が遮
光層を有するときには、遮光層を剥がしながら巻き付け
られることになる。上記図2においては、本発明の管状
物の補強方法により、管状物の外周部表面における補強
・補修箇所全体にわたって容易に施工することができる
ことになる。この場合、複層材料の端を重ね合わせて施
工しても、重ね合わせ部分が充分に接着されることか
ら、充分な補強や補修を行うことができる。また、硬化
性成形材料層や粘着層が光硬化性であるときには、硬化
性成形材料層や粘着層が光透過性となるように設定する
ことが好ましい。これにより、各種の形状を有する管状
物に対しても、簡便に補強や補修ができ、また、補強・
補修箇所全体にわたって耐圧強度や耐久性等の基本性能
を付与することができることとなる。
【0075】本発明の管状物の補強方法はこれらの実施
形態に限定されるものではなく、例えば、上記図1で
は、管状物の外周部断面において、複層材料の端部を重
ね合わせて巻き付けてもよく、また、外周部の一部のみ
に巻き付けてもよい。これらの中でも、管状物に充分な
強度や耐久性等の基本性能を付与するためには、図1
(1)及び(2)に示すように外周部の全部に巻き付け
たり、複層材料の端部を重ね合わせて巻き付けたりする
ことが好ましい。また、外周部の一部のみに巻き付ける
場合には、図1(3)及び(4)に示すように外周部の
半分以上に巻き付けることが好ましい。上記図1や上記
図2ではまた、複層材料を二重以上に積層することによ
り、更に管状物における耐圧強度や耐久性等の基本性能
を向上させることができる。この場合にも、複層材料が
粘着層を有することから、複層材料どうしが充分に接着
されることになる。また、硬化性成形材料層や粘着層が
光硬化性であるときには、硬化性成形材料層や粘着層が
光透過性となるように設定することが好ましい。これに
より、管状物に対してより優れた耐圧強度や耐久性等の
基本性能を付与することができることとなる。
【0076】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、「部」は、「重量部」を示す。
【0077】合成例1 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、飽和二塩基酸としてのイソ
フタール酸498部、並びに、多価アルコールとしての
プロピレングリコール418部及びジプロピレングリコ
ール670部を仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換
した。次に、この混合物を撹拌しながら最高温度が21
5℃となるように加熱し、脱水反応を行った。これによ
り、酸価が10になったところで温度を50℃に下げ、
更に、不飽和二塩基酸としての無水マレイン酸を686
部仕込み、最高温度が215℃となるように加熱し、脱
水反応を継続して酸価が28の不飽和ポリエステルを得
た。そして、この不飽和ポリエステル(固形分)60
部、ビニルモノマーとしてのスチレン40部、及び、安
定剤としてのハイドロキノン0.02部を混合すること
により、不飽和ポリエステル樹脂Aを得た。
【0078】合成例2 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、ビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンとの反応により得られたエポキシ当量18
9のエピクロン850(商品名、大日本インキ化学工業
社製)458部、メタクリル酸215部、ハイドロキノ
ン0.35部及びトリエチルアミン2.1部を加えて、
含酸素気流中で110℃まで昇温し、6時間反応させて
重合性ビニル基を有するエポキシアクリレートを得た。
そして、このエポキシアクリレート65部、ビニルモノ
マーとしてのスチレン35部、及び、安定剤としてのハ
イドロキノン0.02部を混合することにより、エポキ
シアクリレート樹脂Bを得た。
【0079】実施例1 硬化性樹脂として合成例1で得られた不飽和ポリエステ
ル樹脂A 100部、増粘剤としてMgO#20(商品
名、協和化学工業社製)1.4部、充填剤として水酸化
アルミニウムであるB−308(商品名、アルコア化成
社製)110部、光開始剤としてダロキュアー1173
(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1.0部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン50
0ppm、及び、スチレン5部を添加し、ディスパーに
て10分間撹拌して樹脂混合溶液を得た。この溶液の粘
度は、35.5ポイズ(25℃)であった。
【0080】次いで、SMC含浸機に、幅500mmの
キャリアフィルムとして、両面粘着テープであるDCT
−210(商品名、中国化工社製)を離型層が外側にな
るようにセットした。このキャリアフィルムを移動さ
せ、その上にナイフコーターにより幅400mmで上記
樹脂混合溶液を均一に塗布し、その層の上にガラスロー
ビングであるAF210W(商品名、旭ファイバーグラ
ス社製)を自動カッターで約1インチに切断したガラス
チョップを散布した。その積層物の上に、遮光材として
黒色顔料を分散して遮光性を付与したポリエチレンフィ
ルムをキャリアフィルムとし、同様に樹脂混合溶液を塗
布した層で覆い、含浸ロールによる脱泡、含浸を行った
後、両面粘着テープの離型紙を内側にして紙管に巻き取
った。紙管ごとアルミ蒸着ポリエステルフィルム製の包
装材で密封包装した後、これを40℃で48時間熟成、
増粘し、本発明の複層材料(光硬化プリプレグFRPシ
ート)を得た。
【0081】得られた光硬化プリプレグFRPシート
を、太陽光がよくあたる場所で、基材として外径100
mm、内径90mmの溶接管(炭素鋼製)を用いて、幅
150mmで管の周囲全体に接着施工した。尚、表面の
汚れ、油質、ワックス等を前もって充分に除去しておい
た。施工は、光硬化プリプレグFRPシートを包装材か
ら取り出し、接着施工に必要な大きさに切断する加工工
程、離型紙を剥がして管状物に密着して接着させる接着
工程、遮光性フィルムを剥がして太陽光にて硬化させる
硬化工程、太陽光不足部分(日陰部分)にハンディタイ
プ紫外線照射装置(ハンディキュアー800:ウシオ電
気社製)を用いて硬化させる補助硬化工程により、硬化
するまでに要した作業時間は45分であった。図3に光
硬化プリプレグFRPシートを施工した後の円筒を示し
た。この施工における作業性(施工性)を、以下の基準
により評価した。
【0082】◎:光硬化プリプレグFRPシートが充分
な柔軟性を保ち、接着作業も容易であることから、作業
を容易に行うことができた。 ○:光硬化プリプレグFRPシートの硬化が始まったた
め柔軟性が損なわれたが、接着作業が容易であることか
ら、作業を行うことができた。 △:光硬化プリプレグFRPシートが充分な柔軟性を保
っていたが、接着作業が容易ではないため、作業を行う
ことが容易ではなかった。 ×:光硬化プリプレグFRPシートの硬化が始まったた
め柔軟性が損なわれ、接着作業が容易ではないため、作
業を行うことが困難であった。
【0083】実施例2 実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂Aを合成例
2で得られたエポキシアクリレート樹脂Bとし、増粘剤
としてMgO#20 1.4部をメチレンジイソシアネ
ートであるスミジュール44V20(商品名、住友化学
工業社製)11部としたこと以外は同様にして光硬化プ
リプレグFRPシートを得た。得られた光硬化プリプレ
グFRPシートを、実施例1と同様にして評価した。そ
の結果を表1に記載した。なお、評価において、試験条
件は実施例1と同様になるようにした。
【0084】実施例3 実施例1と同様にして光硬化樹脂混合溶液を調製し、次
いでSMC含浸機に幅500mmのキャリアフィルムと
して、両面テープであるDCT−210(商品名、中国
化工社製)を離型紙が外側にくるようにセットした。こ
のキャリアフィルムを移動させ、その上にナイフコータ
ーにより幅400mmで上記樹脂混合溶液を均一に塗布
し、その層の上にガラスロービングであるAF210W
を自動カッターで約1インチに切断したガラスチョップ
を散布した。その積層物の上に、透明のポリエチレンフ
ィルムをキャリアフィルムとし、同様に樹脂混合溶液を
塗布した層で覆い、含浸ロールによる脱泡、含浸を行っ
た後、紙管に巻き取った。紙管ごとアルミ蒸着ポリエス
テルフィルム製の包装材で密封包装した後、これを40
℃で48時間熟成、増粘し、本発明の補強材(光硬化プ
リプレグFRPシート)を得た。得られた光硬化プリプ
レグFRPシートを実施例1と同様にして評価した。そ
の結果を表1に記載した。なお、評価において、試験条
件は実施例1と同様になるようにした。
【0085】比較例1 実施例1において、両面粘着テープを黒色の顔料を分散
したポリエチレンフィルムとしたこと以外は同様にし
て、比較の光硬化プリプレグFRPシートを得た。得ら
れた光硬化プリプレグFRPシートを実施例と同様にし
て接着硬化施工した。なお、基材である溶接管の光硬化
プリプレグFRPシートを接着する部分の汚れ、油質、
ワックス等を前もって充分に除去した後プライマー処理
を行った。プライマー(マイティグリップ9036、商
品名、イーテック社製)を300gr/m2 の量を塗布
し、充分に乾燥した後に実施例1と同様に加工、接着、
硬化、補助硬化施工した。その評価を実施例1と同様に
行い、結果を表1に記載した。
【0086】比較例2 比較例1において、キャリアフィルムとして透明なポリ
エチレンフィルムを用いたこと以外は同様にして、比較
の光硬化プリプレグFRPシートを接着硬化施工した。
その評価を実施例1と同様に行い、結果を表1に記載し
た。
【0087】
【表1】
【0088】表1から明らかなように、実施例1〜3に
おいて、本発明の管状物の補強方法は、施工工程数が少
なく、作業時間も短時間であることから施工性に優れる
ことがわかった。これにより、管状物が、接着不良が充
分に抑制され、しかも、耐圧強度や耐久性等の基本性能
に優れたものとなることがわかった。
【0089】
【発明の効果】本発明の管状物の補強方法は、上述の構
成よりなるので、施工性に優れ、接着不良が充分に抑制
され、硬化物が充分な基本性能を有し、しかも、管状物
を強化しうることから、金属、プラスチック、ゴム等の
基材による各種の管状物に対して強度や耐久性等の基本
性能を付与しつつ、補強や補修することができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の管状物の補強方法において、複層材料
を巻き付けて施工した後の状態を示す一実施形態におけ
る断面図である。
【図2】本発明の管状物の補強方法において、複層材料
を管状物へ巻き付けて施工する状態を示す一実施形態に
おける斜視図である。
【図3】本発明の実施例において用いられた溶接管に、
光硬化プリプレグFRPシートを施工した後の状態を示
す模式図である。
【符号の説明】
1 硬化性成形材料層 2 粘着層 3 管状物 4 接合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 淡路 敏夫 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 Fターム(参考) 4F211 AA41 AA43 AD03 AD08 AD12 AD19 AD20 AG03 AG08 AH43 SA04 SC01 SD01 SD11 SD23 SJ31 SN04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性成形材料層を含む複層材料を巻き
    付けることにより管状物を補強する方法であって、該複
    層材料は、その片面に粘着層を有することを特徴とする
    管状物の補強方法。
  2. 【請求項2】 前記粘着層は、硬化性を有することを特
    徴とする管状物の補強方法。
  3. 【請求項3】 前記硬化性成形材料層及び/又は前記粘
    着層は、光硬化性であることを特徴とする請求項1又は
    2記載の管状物の補強方法。
  4. 【請求項4】 前記複層材料は、粘着層を有する面の他
    の面に遮光層を有することを特徴とする請求項3記載の
    管状物の補強方法。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3又は4記載の管状物の
    補強方法に用いられることを特徴とする管状物用補強
    材。
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