JP2014142059A - 船舶におけるfrp配管接続工法 - Google Patents

船舶におけるfrp配管接続工法 Download PDF

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Kenichi Shibata
憲一 柴田
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Abstract

【課題】船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることが可能な、船舶におけるFRP配管接続工法を提供する。
【解決手段】船舶で使用されるFRP配管1,2の接合部に、樹脂材料と、可視光硬化開始剤及び過酸化物重合開始剤の少なくとも1つと、増粘剤とを混合し基材に含浸させてなるプリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを巻き付け、シートを硬化させて接続する。樹脂材料を不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つとし、増粘剤を酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つとする。シートの両面に揮散防止フィルム及び遮光性フィルムを貼付する。
【選択図】図3

Description

本発明は、船舶におけるFRP配管の接続工法に関するものである。より詳しくは、船舶のバラストシステムなどの船内配管に、FRP製の配管を使用した場合の接続工法に関するものである。
従来、船舶にはバラストシステムなどの船内配管が張り巡らされている。こうした船内配管には鋼管が使用されるのが一般的であるが、鋼管は重量が嵩むことや耐食性の点で問題があるため、より優れた配管材料が求められている。
これに対して、一般的な排水管等に使用されるFRP(繊維強化プラスチック)製の配管は軽量で耐食性にも優れているが、後述するような継手接続作業上の問題があり、船舶における配管としてはほとんど使用されていないのが実情である。
一方、特許文献1及び特許文献2には、可視光硬化性シートをガス管の管継手の継手部に巻き付けて硬化させ、ガス管の修繕や保護を行うようにした発明が記載されている。ただし、特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、船舶における配管に関するものではなく、またFRP配管の接続を目的としたものでもない。
特開2009−109004号公報 特開2009−150531号公報
船舶におけるFRP製の配管の使用は、軽量で耐食性にも優れていることから好ましい。しかしながら、船舶における配管としてFRP製の配管がほとんど使用されていないのは、以下のように、配管の継手接続作業時に樹脂を現場で使用するという危険な作業が必要になるためである。
FRPの樹脂として主に使用される不飽和ポリエステル樹脂は、安価かつ常温で硬化する特性を持っているが、硬化過程で可燃性の刺激性臭気があるスチレンガスを大気中に放出する。一方、船舶における配管の設置作業は、船内の密閉された環境の下で行われるものである。このような密閉された環境の下でFRP配管の接続作業を行うと、滞留するスチレンガスが引火爆発を起こす危険性が高く、またその臭気自体が健康被害を与えることになる。
一方、特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、船舶における配管に関するものではなく、またFRP配管の接続を目的としたものでもないため、船舶におけるFRP配管の接続作業に適用することは容易ではない。
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることが可能な、船舶におけるFRP配管接続工法を提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明の船舶におけるFRP配管接続工法は、船舶で使用されるFRP配管の接合部に、樹脂材料と、可視光硬化開始剤及び過酸化物重合開始剤の少なくとも1つと、増粘剤とを混合し基材に含浸させてなるプリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを巻き付け、前記シートを硬化させて接続することを特徴とする。
また好ましくは、前記樹脂材料が不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つであり、前記増粘剤が酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つであることを特徴とする。
また好ましくは、前記プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤が混合されており、前記シートの両面に遮光性フィルムが貼付されていることを特徴とする。
また好ましくは、前記シートの両面に揮散防止フィルムが貼付されていることを特徴とする。
なお、「プリプレグ状態」とは、液状の樹脂組成物が半固体化或いは固体化した状態のことをいう。
本発明によれば、使用するシートがプリプレグ状態(半固体化或いは固体化)の樹脂組成物であるので、樹脂中の架橋溶剤であるスチレンモノマーをプリプレグ中に閉じ込めることができ、スチレンガスの揮散を効果的に防止することができる。従って、船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることができる。また、ノンスチレンの樹脂を用いた場合にも、スチレンモノマーに代わる架橋剤モノマーをプリプレグ中に閉じ込めることができ、同様の効果が得られる。
また、プリプレグ状態であるので、船舶で使用されるFRP配管の接合部の形状に合わせて容易に巻き付けることができる。そして、シートを硬化させてFRP配管を接続することができる。
また、樹脂材料と、可視光硬化開始剤及び過酸化物重合開始剤の少なくとも1つと、増粘剤とを混合し基材に含浸させて、プリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを製造することができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤が混合されている場合には、可視光硬化性シートとして使用することができ、可視光を照射して短時間で硬化させることができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に過酸化物重合開始剤が混合されている場合には、熱硬化性シートとして使用することができ、熱を与えて短時間で硬化させることができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤及び過酸化物重合開始剤が混合されている場合には、可視光硬化性シートとして使用することができるとともに、シートを何層にも巻き付けて光が届かないような場合であっても、光硬化時の硬化発熱により過酸化物重合開始剤が分解しラジカルを発生するため、光が届かない深部まで完全硬化させることができる。
また、樹脂材料を不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つとし、増粘剤を酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つとすることで、様々な組み合わせによりプリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを製造することができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤が混合されている場合には、シートの両面に遮光性フィルムを貼付することにより、運搬時や巻き付け作業時にシートが硬化してしまうのを防止するとともに、接合部に巻き付けた後に遮光性フィルムを剥がし可視光を照射してシートを硬化させることができる。
また、シートの両面に揮散防止フィルムを貼付することにより、スチレンガスの揮散をより効果的に抑制することができる。特に、シートが硬化するときのスチレンガスの揮散防止に効果的である。
以上、本発明によれば、船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることが可能な、船舶におけるFRP配管接続工法を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る可視光硬化性シートの製造方法を示す図である。 実施形態1に係るFRP配管の接合部を示す断面図である。 実施形態1に係るFRP配管の接合部の変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る熱硬化性シートの製造方法を示す図である。
次に、図1乃至図3を参照して、本発明の実施形態1に係る船舶におけるFRP配管接続工法について説明する。最初に、図1を参照して、実施形態1に係る船舶におけるFRP配管接続工法において使用する可視光硬化性シート10について説明する。図1は、可視光硬化性シート10の製造方法を示す図である。
可視光硬化性シート10は、プリプレグ状態の可視光硬化性樹脂組成物である。まず、図1(a)に示すように、樹脂材料11、可視光硬化開始剤12及び増粘剤13を混合して、混合物14を生成する。
樹脂材料11としては、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を用いる。不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、酸価5〜35KOHmg/gが好ましく、オルソ、イソ、テレ或いはビスフェノール系を問わない。また架橋モノマーも、スチレン単独、或いはアクリロイル又はメタクリロイル基を持つモノマーやオリゴマーとの混合物を問わない。なお、酸価が5KOHmg/g未満であると固体状のプリプレグを形成しないためスチレン臭が残り、35KOHmg/gを超えるとプリプレグが柔軟性を失うために基材に沿いにくく密着性が問題となる。また、スチレンモノマーを使用していないタイプの樹脂を用いることもできる。
可視光硬化開始剤としては、アルキルフェノン系或いはアシルフォスフィン系の中で、特に、2.2ジメトキシン−ジフェニルエタン−1−オン、ビス(2.4.6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィン−オキサイドや、2.4.6−トリメチルベンゾイル−フェニルフォスフィン−オキサイドが硬化性もよく適している。添加量は、使用する開始剤の種類によるが、樹脂100重量部に対し0.5〜1.5重量部の範囲が好ましい。少ないと硬化が遅くなり、硬化物も軟らかい。逆に多いと硬化発熱が高くなり、クラックや基材との剥離が発生する。
なお、さらに過酸化物重合開始剤として、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシンジカーボネートを混合してもよい。これにより、可視光硬化性シートを何層にも巻き付けて光が届かないような場合であっても、光硬化時の硬化発熱により過酸化物重合開始剤が分解しラジカルを発生するため、光が届かない深部まで完全硬化させることができる。
樹脂材料11に不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合には、増粘剤13として化学的増粘剤である酸化マグネシウムを用いる。酸化マグネシウムは、樹脂の酸価に反応して化学的に増粘させるものであり、化学反応を伴わない単なる増粘剤とは異なるものである。酸化マグネシウムの添加量は、樹脂100重量部に対し0.5〜2.0重量部の範囲が好ましい。少ないとプリプレグを形成せず、スチレン臭が強くなる。多いと基材に沿いにくく密着性が問題となる。なお、同様の増粘作用を生じるものとして、マグネシウム以外の広義のアルカリ土類金属の酸化物や、水酸化物ではあるが水酸化マグネシウムを用いることもできる。
一方、樹脂材料11にビニルエステル樹脂を用いる場合には、増粘剤13として化学的増粘剤であるイソシアネートを用いる。また、ビニルエステル樹脂の種類によっては、酸価マグネシウムを用いることができるものもある。
また、樹脂材料11に不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂を用いる場合に、増粘剤13として物理的増粘剤であるヒュームドシリカを用いてもよい。化学的増粘剤は時間の経過とともに粘度が上昇し、固くなる過ぎると巻き付け作業が困難になるが、物理的増粘剤の場合にはその懸念はない。ヒュームドシリカの添加量は、樹脂100重量部に対し3〜10重量部の範囲が好ましい。
ここで、上記の樹脂材料及び増粘剤の組み合わせは、プリプレグ状態の樹脂組成物を生成するための好適な例を示したものである。ただし上記組み合わせに限定されるものではなく、樹脂材料として不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つを選択し、増粘剤として酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つを選択し、適宜組み合わせて用いることが可能である。従って、複数種類の樹脂材料や複数種類の増粘剤を同時に使用することもできる。
なお、難燃性向上のために、必要に応じてフィラーを配合する。フィラーとしては、水酸化アルミニウムが、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂との屈折率が近く可視光の透過を遮蔽しないため適している。
次に、図1(b)に示すように、揮散防止フィルム16の上に基材としてガラス繊維15を積層し、上記の混合物14をガラス繊維15に含浸させる。
ガラス繊維15としては、サーフェスマット、チョップストランドマット、ガラスクロスやロービングクロスなどを、単独で或いは場合によっては組み合わせて用いることができる。ガラス繊維15の厚みを調整することによって、可視光硬化性シート10を所望の厚さに形成することができる。なお、混合物14を含浸させる基材としては、ガラス繊維以外にも、カーボン繊維やビニロン繊維等の適宜の材料からなる基材を用いることができる。
揮散防止フィルム16は、可視光硬化性シート10からのスチレンモノマーの揮散を防止するためのものであり、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)の透明フィルムを用いることができる。
次に、図1(c)に示すように、混合物14を含浸させたガラス繊維15の上から、別途揮散防止フィルム16を被せる。これにより、可視光硬化性シート10の両面に揮散防止フィルム16,16が貼付された状態になる。
次に、図1(d)に示すように、揮散防止フィルム16,16の外側に、遮光性フィルム17,17を被せる。これにより、可視光硬化性シート10の両面に遮光性フィルム17,17が貼付された状態になる。
なお、揮散防止及び遮光性の両方の機能を持つフィルムを用いることにより、揮散防止兼遮光性のフィルムとして、1種類のフィルムのみを両面に貼付するようにしてもよい。
次に、増粘剤13として化学的増粘剤を用いた場合には、可視光硬化性シート10を熟成して化学的増粘を完了させる。例えば50℃の炉で1〜2日熟成させる。これにより、フィルムを剥いでもベタツキがなく、容易に取り扱うことができるようになる。なお、物理的増粘剤を用いた場合には、熟成の必要はない。以上により、可視光硬化性シート10が完成する。
次に、実施形態1に係る船舶におけるFRP配管接続工法について説明する。図2は、FRP配管の接合部を示す断面図であり、船内の密閉空間に配置されたFRP配管1及びFRP配管2のそれぞれの端部を直接突き合わせて接続したものである。
まず、FRPパイプ1,2の接合部の脱脂やサンディングを行った後、接合部を突き合わせる。次に、接合部の周囲を覆うように可視光硬化性パテ30をハケやヘラを用いて塗布する。なお、可視光硬化性パテ30に替えて接着剤を用いてもよい。
次に、可視光硬化性シート10の一方の面(下片面)に貼付された揮散防止フィルム16及び遮光性フィルム17を剥がし、剥がした面を下にしてFRPパイプ1,2の接合部の周囲に巻き付けて密着させる。このとき塗布された可視光硬化性パテ30を覆い隠すように巻き付ける。
次に、巻き付けた可視光硬化性シート10の他方の面(上片面)に貼着された遮光性フィルム17を剥がす。そして、残った揮散防止フィルム16の上から可視光硬化性シート10に可視光を照射する。使用する可視光ランプは、メタルハライドランプのような特定波長を持った可視光を照射するものがよい。可視光の照射により、可視光硬化性シート10の硬化が始まるが、揮散防止フィルム16が存在しているためスチレンガスの揮散が防止される。
可視光の照射は数秒から数分程度であり、可視光硬化性シート10の硬化が完了すると、残った揮散防止フィルム16を剥がす。以上により、FRPパイプ1,2が接続される。
図3は、実施形態1に係るFRP配管の接合部の変形例を示す断面図である。図3に示すFRP配管1及びFRP配管2は、FRP配管1,2のそれぞれの端部を直接突き合わせつつ、円筒状のスリーブ3に嵌着させて接続したものである。この場合には、スリーブ3を覆い隠すように可視光硬化性パテ30を塗布し、その上から可視光硬化性シート10を巻き付けて、図2に示す実施形態と同様の手順により接続すればよい。スリーブ3を使用することで、より強固に接続することができる。
次に、図4を参照して、本発明の実施形態2に係る船舶におけるFRP配管接続工法について説明する。最初に、図1を参照して、実施形態2に係る船舶におけるFRP配管接続工法において使用する熱硬化性シート20について説明する。図4は、熱硬化性シート20の製造方法を示す図である。
熱硬化性シート20は、プリプレグ状態の熱硬化性樹脂組成物である。まず、図4(a)に示すように、樹脂材料21、過酸化物重合開始剤22及び増粘剤23を混合して、混合物24を生成する。樹脂材料21及び増粘剤23については、実施形態1における樹脂材料11及び増粘剤13と同様であり説明を省略する。
過酸化物重合開始剤としては、ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシンジカーボネートが適している。ビス(t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシンジカーボネートは、中温度域(50〜100℃)で熱分解しラジカルを発生する。添加量は、樹脂100重量部に対し1.0〜2.0重量部の範囲が好ましい。少ないと硬化が甘く、多すぎると硬化物が発泡したりクラックが発生する。
なお、難燃性向上のために、必要に応じてフィラーを配合する。フィラーとしては、水酸化アルミニウムが、不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂との屈折率が近く可視光の透過を遮蔽しないため適している。
次に、図4(b)に示すように、揮散防止フィルム26の上にガラス繊維25を積層し、上記の混合物24をガラス繊維25に含浸させる。ガラス繊維25及び揮散防止フィルム26については、実施形態1におけるガラス繊維15及び揮散防止フィルム16と同様であり説明を省略する。
次に、図4(c)に示すように、混合物24を含浸させたガラス繊維25の上から、別途揮散防止フィルム26を被せる。これにより、熱硬化性シート20の両面に揮散防止フィルム26,26が貼付された状態になる。
なお、可視光硬化性シートを用いる実施形態1と異なり、実施形態2においては熱硬化性シートを用いるため、揮散防止フィルム26,26の外側に遮光性フィルムを被せる必要はない。
次に、増粘剤13として化学的増粘剤を用いた場合には、熱硬化性シート20を熟成して化学的増粘を完了させる。例えば50℃の炉で1〜2日熟成させる。これにより、フィルムを剥いでもベタツキがなく、容易に取り扱うことができるようになる。なお、物理的増粘剤を用いた場合には、熟成の必要はない。以上により、熱硬化性シート20が完成する。
次に、実施形態2に係る船舶におけるFRP配管接続工法について説明する。基本的には図2や図3に示す実施形態1と同様であり、まずFRPパイプ1,2の接合部の脱脂やサンディングを行った後、接合部を突き合わせる。次に、接合部の周囲を覆うように可視光硬化性パテ30をハケやヘラを用いて塗布する。なお、可視光硬化性パテ30に替えて接着剤を用いてもよい。
次に、熱硬化性シート20の一方の面(下片面)に貼付された揮散防止フィルム26を剥がし、剥がした面を下にしてFRPパイプ1,2の接合部の周囲に巻き付けて密着させる。このとき塗布された可視光硬化性パテ30を覆い隠すように巻き付ける。
次に、巻き付けた熱硬化性シート20の他方の面(上片面)に貼着された揮散防止フィルム26の上から、ジャケットヒーターや熱風発生装置で50℃以上の熱を与える。熱を与えることにより、熱硬化性シート20の硬化が始まるが、揮散防止フィルム26が存在しているためスチレンガスの揮散が防止される。
必要な時間だけ熱を与えて、熱硬化性シート20の硬化が完了すると、残った揮散防止フィルム26を剥がす。以上により、FRPパイプ1,2が接続される。
樹脂材料、可視光硬化開始剤、過酸化物重合開始剤、化学的増粘剤、物理的増粘剤、ガラス繊維を適宜変更しながら、可視光硬化性シート10及び熱硬化性シート20を製造し、その硬化時間、硬度、スチレン揮散量を測定した。なお以下のうち、実施例5が熱硬化性シート20に相当し、これ以外が可視光硬化性シート10に相当する。
(実施例1)
イソ系不飽和ポリエステル樹脂FH−245(DHマテリアル株式会社製)酸価8の100重量部に、可視光硬化開始剤アシルフォスフィンオキサイド系のルシリンTPO(BASF製)を0.5重量部、酸化マグネシウムを2重量部混合した。この樹脂混合物を、PETフィルムの上で#300チョップトストランドマット(CSM)3枚に含浸した後、PETフィルムで上から覆った。更に遮光パウチに入れ、50℃の炉で16時間熟成した。
(実施例2)
イソ系不飽和ポリエステル樹脂エターセット2732−1(長興化学株式会社製)酸価15の100重量部に、可視光硬化開始剤アシルフォスフィンオキサイド系イルガキュア819(BASF製)を0.7重量部、酸化マグネシウムを1重量部混合した。この樹脂混合物を、PETフィルムの上でサーフェスマット1枚+#450CSM3枚+ロービングクロス1枚に含浸した後、PETフィルムで上から覆った。更に両面外側を遮光フィルムで覆い、50℃の炉で24時間熟成した。
(実施例3)
オルソ系不飽和ポリエステル樹脂DK−810(DHマテリアル株式会社製)酸価25の100重量部に、水酸化アルミニウムを100重量部、可視光硬化開始剤アルキルフェノン系イルガキュア651(BASF製)を1.5重量部、酸化マグネシウムを1.5重量部混合した。この樹脂混合物を、PETフィルムの上で#300CSM2枚+ガラスクロス+#300CSM2枚に含浸した後、PETフィルムで上から覆った。更に両面外側を遮光フィルムで覆い、50℃の炉で24時間熟成した。
(実施例4)
オルソ系不飽和ポリエステル樹脂DK−810(DHマテリアル株式会社製)酸価25の100重量部に、水酸化アルミニウムを100重量部、可視光硬化開始剤アルキルフェノン系イルガキュア651(BASF製)を0.7重量部、過酸化物重合開始剤パーカドックス16(化薬アクゾ株式会社製)を1重量部、ヒュームドシリカアエロジル200(日本アエロジル株式会社製)を2重量部混合した。この樹脂混合物を、PETフィルムの上で#300CSM10枚に含浸した後、PETフィルムで上から覆った。更に両面外側を遮光フィルムで覆った(熟成は必要なし。)。
(実施例5)
スチレンモノマーを使用していないビニルエステル樹脂XPC−105(DHマテリアル株式会社製)100重量部に、過酸化物重合開始剤パーカドックス16(化薬アクゾ株式会社製)を1重量部、ヒュームドシリカアエロジル200(日本アエロジル株式会社製)を10重量部混合した。この樹脂混合物を、PETフィルムの上で#300CSM3枚に含浸した後、PETフィルムで上から覆った(遮光フィルム及び熟成は必要なし。)。
(比較例1)
(実施例3)で、イルガキュア651(BASF製)を0.3部に減らしたほかは同一配合で作成した。
(比較例2)
(実施例1)で、酸化マグネシウム量を0.2重量部に減らしたほかは同一配合で作成した。
(比較例3)
(実施例1)で、可視光硬化開始剤及び酸化マグネシウムを使用せず、通常の常温硬化液状樹脂としての硬化促進剤6%ナフテン酸コバルト0.5重量部及び硬化剤パーメックN1.0重量部を添加し、スチレン揮発量を比較するためにCSM3枚を25℃で積層した。
(比較例4)
(実施例4)で、過酸化物重合開始剤パーカドックス16(化薬アクゾ株式会社製)を使用しなかったほかは同一配合で作成した。
以下に、実施例1〜5、比較例1〜4について、その硬化時間、硬度、スチレン揮散量を測定した結果を示す。硬化時間はメタルハライドランプ照射時間、硬度は24時間後のバーコール硬度、スチレン揮散量は「0:無臭〜5:強烈な臭い」の6段階臭気強度表示法により表示した。なお、実施例5のみは、作成した熱硬化性シートをジャケットヒーターで覆い70℃まで昇温し15分間保持した。その後電源を切り、更に15分間ヒーターは取り外さずそのまま樹脂組成物の硬化反応熱で硬化させた。
本実施形態に係る船舶におけるFRP配管接続工法によれば、使用するシート10,20がプリプレグ状態(半固体化或いは固体化)の樹脂組成物であるので、樹脂中の架橋溶剤であるスチレンモノマーをプリプレグ中に閉じ込めるこができ、スチレンガスの揮散を効果的に防止することができる。従って、船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることができる。また、ノンスチレンの樹脂を用いた場合にも、スチレンモノマーに代わる架橋剤モノマーをプリプレグ中に閉じ込めることができ、同様の効果が得られる。
また、プリプレグ状態であるので、船舶で使用されるFRP配管1,2の接合部の形状に合わせて容易に巻き付けることができる。そして、シート10,20を硬化させてFRP配管を接続することができる。
また、樹脂材料11,21と、可視光硬化開始剤12及び過酸化物重合開始剤22の少なくとも1つと、増粘剤13,23とを混合し基材15,25に含浸させて、プリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを製造することができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤12が混合されている場合には、可視光硬化性シート10として使用することができ、可視光を照射して短時間で硬化させることができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に過酸化物重合開始剤22が混合されている場合には、熱硬化性シート20として使用することができ、熱を与えて短時間で硬化させることができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤12及び過酸化物重合開始剤22が混合されている場合には、可視光硬化性シート10として使用することができるとともに、シートを何層にも巻き付けて光が届かないような場合であっても、光硬化時の硬化発熱により過酸化物重合開始剤22が分解しラジカルを発生するため、光が届かない深部まで完全硬化させることができる。
また、樹脂材料を11,21を不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つとし、増粘剤13,23を酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つとすることで、様々な組み合わせによりプリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを製造することができる。
また、プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤12が混合されている場合には、シート10の両面に遮光性フィルム17を貼付することにより、運搬時や巻き付け作業時にシート10が硬化してしまうのを防止するとともに、接合部に巻き付けた後に遮光性フィルム17を剥がし可視光を照射してシート10を硬化させることができる。
また、シート10,20の両面に揮散防止フィルム16,26を貼付することにより、スチレンガスの揮散をより効果的に抑制することができる。特に、シートが硬化するときのスチレンガスの揮散防止に効果的である。
以上、本発明によれば、船内の密閉された作業環境の下でも、臭気や引火の危険性を最小限に抑えることが可能な、船舶におけるFRP配管接続工法を提供することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、樹脂材料、可視光硬化開始剤、過酸化物重合開始剤、増粘剤、基材等について種々の変更が可能である。例えば、プリプレグ状態の樹脂組成物を生成することが可能であれば、他の樹脂材料や増粘剤を用いてもよい。また、使用材料や使用環境によっては、遮光性フィルムや揮発防止フィルムを省略して実施することもできる。
1 FRP配管
2 FRP配管
3 スリーブ
10 可視光硬化性シート
11 樹脂材料
12 可視光硬化開始剤
13 増粘剤
14 混合物
15 ガラス繊維
16 揮散防止フィルム
17 遮光性フィルム
20 熱硬化性シート
21 樹脂材料
22 過酸化物重合開始剤
23 増粘剤
24 混合物
25 ガラス繊維
26 揮散防止フィルム
30 可視光硬化性パテ

Claims (4)

  1. 船舶で使用されるFRP配管の接合部に、樹脂材料と、可視光硬化開始剤及び過酸化物重合開始剤の少なくとも1つと、増粘剤とを混合し基材に含浸させてなるプリプレグ状態の樹脂組成物からなるシートを巻き付け、前記シートを硬化させて接続することを特徴とする船舶におけるFRP配管接続工法。
  2. 前記樹脂材料が不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の少なくとも1つであり、前記増粘剤が酸化マグネシウム、イソシアネート及びヒュームドシリカの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の船舶におけるFRP配管接続工法。
  3. 前記プリプレグ状態の樹脂組成物に可視光硬化開始剤が混合されており、前記シートの両面に遮光性フィルムが貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶におけるFRP配管接続工法。
  4. 前記シートの両面に揮散防止フィルムが貼付されていることを特徴とする請求項1に記載の船舶におけるFRP配管接続工法。
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