JP2001247831A - 複層材料及び補強材 - Google Patents

複層材料及び補強材

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JP2001247831A
JP2001247831A JP2000272337A JP2000272337A JP2001247831A JP 2001247831 A JP2001247831 A JP 2001247831A JP 2000272337 A JP2000272337 A JP 2000272337A JP 2000272337 A JP2000272337 A JP 2000272337A JP 2001247831 A JP2001247831 A JP 2001247831A
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adhesive layer
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JP2000272337A
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Masaaki Fundou
正昭 分銅
Koji Takahata
耕治 高畠
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 施工性に優れ、各種の基材に対して接着不良
が充分に抑制され、硬化物が充分な基本性能を有し、し
かも、接着強度や耐久性等が向上して多様な用途に対応
しうる複層材料を提供する。 【解決手段】 硬化性成形材料層(a)、粘着層(b)
及び離型層(c)を含んでなる複層材料であって、該硬
化性成形材料層(a)の片面に内側から該粘着層(b)
及び該離型層(c)をこの順に有し、該硬化性成形材料
層(a)は、重合体及び重合性不飽和単量体を必須とす
る硬化性樹脂を含んでなる樹脂組成物からなり、該粘着
層(b)は、該層内に該重合性不飽和単量体を遮断する
支持体を有しないものである複層材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複層材料及び補強
材に関する。
【0002】
【従来の技術】硬化性成形材料層を含んでなる複層材料
は、硬化前は柔軟性を有することから、任意のサイズや
形状に加工することができたり、加工したものを基材に
施工したりすることが容易にできるものであり、また、
硬化後は繊維強化プラスチックと同等の優れた機械的、
化学的、電気的特性等の基本性能を有するものである。
【0003】このような硬化性成形材料層を含んでなる
複層材料は、加工や施工することが容易であって充分な
作業時間が確保でき、また、金属、プラスチック、ゴ
ム、ガラス、陶磁器、石材、木材等の各種の基材におけ
る多様な表面状態や複雑な形状に対応して充分な接着性
を有し、基材への接着不良による不具合の発生が充分に
抑制されたものであれば、各種の建造物、機械類、自動
車、船舶、家庭用品等における構造部材、配管類、ライ
ニング材等や、それらを補強するためや補修するための
補強材等として様々な用途に用いることができることと
なる。
【0004】特開昭59−1250号公報には、硬化性
プリプレグに、硬化性かつ親油性プライマーを塗布し、
次いでその塗布面を鋼板に密着させた後、プリプレグ及
びプライマーを硬化させるプリプレグの鋼板への貼付方
法が開示されている。この貼付方法では、プライマーに
よりプリプレグを多少膨潤させることにより、プリプレ
グの鋼板への接着不良をある程度抑制することができ
る。
【0005】しかしながら、基材によっては充分な接着
性が確保されないおそれがある。また、プリプレグやプ
ライマーが施工中に硬化するため、施工時間が制約され
たり、プリプレグを基材に充分に密着することができな
かったりすることからも、接着不良を充分に抑制するこ
とができないおそれがある。更に、プライマーを用いて
施工する必要があるため、施工における作業が煩雑であ
る。
【0006】特開昭63−186744号公報には、透
明性のシートを片面に積層してなる光硬化性プリプレグ
が開示されている。この光硬化性プリプレグは、透明性
のシートにより硬化物表面が平滑となり、外観を綺麗に
することができるものである。しかしながら、基材接着
のためにプライマーを塗布することが必要であり、それ
でも基材によっては充分な接着性が確保されないおそれ
がある。また、施工における作業が煩雑であったりす
る。
【0007】特開昭57−99375号公報には、硬化
性成形材料層を、特定の二塩基酸やオリゴエステルを樹
脂骨格中に含む光硬化性エポキシビニルエステル樹脂を
用いて薄鋼板に接着させ、次いで光照射して硬化させる
ことにより薄鋼板を補強する方法が開示されている。こ
の補強方法では、硬化性成形材料層の薄鋼板に対する接
着強度をある程度向上させることができる。しかしなが
ら、基材によっては充分な接着性が確保されないおそれ
がある。また、接着不良を充分に抑制することができな
いおそれがあったり、施工における作業が煩雑であった
りする。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、施工性に優れ、各種の基材
に対して接着不良が充分に抑制され、硬化物が充分な基
本性能を有し、しかも、接着強度や耐久性等が向上して
多様な用途に対応しうる複層材料を提供することを目的
とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、硬化性成形材
料層(a)、粘着層(b)及び離型層(c)を含んでな
る複層材料であって、上記硬化性成形材料層(a)の片
面に内側から上記粘着層(b)及び上記離型層(c)を
この順に有し、上記硬化性成形材料層(a)は、重合体
及び重合性不飽和単量体を必須とする硬化性樹脂を含ん
でなる樹脂組成物からなり、上記粘着層(b)は、上記
層内に上記重合性不飽和単量体を遮断する支持体を有し
ないものである複層材料である。本発明はまた、上記複
層材料を含んでなる補強材でもある。
【0010】硬化性成形材料の施工においては、材料の
取り扱い易さ、作業時間の短縮、基材の表面状態、形状
等への対応の必要があるが、充分な接着強度を発現させ
る為に、硬化性成形材料を施工する前に、基材に塗装技
術を要するプライマー処理等の前処理を施す工程が必要
であり、取り扱い易さ、作業時間の問題があった。
【0011】本発明者らは、上記事実関係を綿密に精査
したうえで鋭意研究を行った結果、複層材料を上述した
ものとすることにより、煩雑なプライマー処理等を施さ
なくても多様な基材に対して接着強度の高い強度及び耐
久性に優れた硬化層を簡単に形成しうるものとなり、様
々な用途に用いることができることとなる劇的な効果が
生じる事実に遭遇し、本発明に到達したものである。以
下に本発明を詳述する。
【0012】本発明の複層材料は、硬化性成形材料層
(a)、粘着層(b)及び離型層(c)を含んでなる。
上記硬化性成形材料層(a)、上記粘着層(b)及び上
記離型層(c)は、シート状又はフィルム状である層状
の材料である。上記複層材料は、本発明の効果を奏する
ことになる限り、これら以外のシート状又はフィルム状
である層状の材料を各層の間や複層材料の外側の面に含
んでいてもよい。これらの層状の材料はそれぞれ単独で
あってもよく、2種以上であってもよい。
【0013】上記複層材料は、上記硬化性成形材料層
(a)の片面に内側から上記粘着層(b)及び上記離型
層(c)をこの順に有する。これにより、硬化性成形材
料層(a)を基材に接着させるために、片面に粘着層
(b)を有し、複層材料が加工や施工されるまで粘着層
(b)を保護するために、粘着層(b)の外側の片面に
離型層(c)を有することとなり、硬化性成形材料層
(a)が有する性能を各種の基材上で充分に発揮するこ
とができることになる。
【0014】上記硬化性成形材料層(a)は、硬化前は
複層材料を充分に加工や施工することができる可塑性や
柔軟性を有し、硬化後は充分な曲げ強度や曲げ弾性率等
の強度、耐久性を有し、樹脂や充填剤の種類により、耐
候性、耐水性、耐磨耗性、高電気特性等の充分な基本性
能を有する。上記硬化性成形材料層(a)は、加工や施
工の作業を阻害するような表面のベタツキがないものが
好ましい。
【0015】上記硬化性成形材料層(a)は、重合体及
び重合性不飽和単量体を必須とする硬化性樹脂を含んで
なる樹脂組成物からなる。上記硬化性成形材料層(a)
の形態としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂を
含んでなる樹脂組成物を増粘させたシート等が挙げられ
る。また、上記硬化性成形材料層(a)は、硬化物が充
分な基本性能を有するものとなるために、補強繊維や充
填剤を更に含んでなる樹脂組成物を増粘させたプリプレ
グシートであることが好ましく、複層材料が多様な用途
に対応できるようになることから、樹脂組成物が光増感
剤を更に含んでなる光硬化性のシートであることが好ま
しい。また、異なる成形材料を積層してなるものであっ
てもよい。
【0016】上記硬化性樹脂は、重合体及び重合性不飽
和単量体を必須として含んでなる。また、硬化性樹脂を
含んでなる樹脂組成物は、硬化性樹脂の他に、硬化剤等
の樹脂組成物を構成するものを含んでなる。本明細書中
において、樹脂組成物とは、硬化性成形材料層(a)を
構成することになる材料をすべて含んだ組成物を意味す
る。本発明の複層材料の樹脂組成物を100重量%とし
て、硬化性樹脂の含有量は、好ましくは20〜95重量
%である。より好ましくは、30〜80重量%で、さら
に好ましくは、30〜70重量%である。この配合され
る硬化性樹脂を基準にして、各種配合材の含有量を、適
宜設定することができる。
【0017】上記硬化性樹脂としては、成形材料として
用いることができるものであれば特に限定されず、例え
ば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エ
ポキシアクリレート樹脂)、(メタ)アクリルシラッ
プ、ジアリルフタレート樹脂等のラジカル重合型樹脂;
エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アクリルウレ
タン樹脂、ポリウレタン、ポリブタジエン等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。これらの中でも、ラジカル重合型樹脂等の光硬
化性のものであることが好ましい。より好ましくは、複
層材料の加工性や施工性が向上すること、硬化物が充分
な基本性能を有することから、不飽和ポリエステル樹脂
である。
【0018】上記不飽和ポリエステル樹脂としては特に
限定されず、例えば、酸成分と、アルコール成分とを縮
合させて得られる重量平均分子量(Mw)が数百〜数万
程度の不飽和ポリエステルを重合性不飽和単量体に溶解
してなるラジカル重合型樹脂等が挙げられる。不飽和ポ
リエステルに用いる酸成分としては特に限定されず、例
えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコ
ン酸、無水イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、無
水シトラコン酸等の不飽和二塩基酸;フタル酸、無水フ
タル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタ
ル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタ
ル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピ
ン酸、セバシン酸、ヘット酸、メチルテトラヒドロ無水
フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等
の飽和二塩基酸;トリメリット酸、トリメリット酸無水
物、ピロメリト酸、ピロメリト酸二無水物等の三官能以
上の多塩基酸等が挙げられる。これらは単独で用いても
よく、2種以上を併用してもよい。
【0019】上記アルコール成分としては特に限定され
ず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、
トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール、ビスフェノールA、水素化
ビスフェノールA、ビスフェノールAのプロピレンオキ
サイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド
付加物等のグリコール;グリセリン、トリメチロールプ
ロパン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のアルコ
ール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピク
ロルヒドリン等のエポキシド等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】上記不飽和ポリエステルにおける酸成分及
びアルコール成分の種類や使用量としては特に限定され
ず、例えば、硬化物に要求される基本性能等に応じて適
宜設定すればよい。上記酸成分のうち5〜100重量%
が不飽和二塩基酸であることが好ましい。また、酸成分
及びアルコール成分を縮合させる方法としては特に限定
されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件も適
宜設定すればよい。また、ジシクロペンタジエン等のジ
エン化合物、末端官能性ブタジエン−アクリロニトリル
共重合体等のゴム成分等の種々の成分により変性されて
もよい。
【0021】上記ビニルエステル樹脂としては特に限定
されず、例えば、エポキシ樹脂の末端に、ビニル系不飽
和カルボン酸を付加重合させて得られるビニルエステル
を重合性不飽和単量体に溶解してなるラジカル重合型樹
脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂としては特に限定
されず、例えば、ビスフェノールタイプ、ノボラックタ
イプ、環状脂肪族タイプ、エポキシ化ポリブタジエンタ
イプ等のものが挙げられる。上記ビニル系不飽和カルボ
ン酸としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メ
タクリル酸等が挙げられる。これらはそれぞれ単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】上記ビニルエステルにおけるエポキシ樹
脂、ビニル系不飽和カルボン酸の種類や使用量としては
特に限定されず、硬化物に要求される基本性能等に応じ
て適宜設定すればよい。また、エポキシ樹脂及びビニル
系不飽和カルボン酸を付加重合させる方法としては特に
限定されず、例えば、反応温度や反応時間等の反応条件
も上記と同様に適宜設定すればよい。
【0023】上記(メタ)アクリルシラップとしては特
に限定されず、例えば、単量体である(メタ)アクリル
酸エステル、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を含
んでなる混合物であり、必要に応じて、他の重合性不飽
和単量体を更に含んでなるラジカル重合型樹脂等が挙げ
られる。
【0024】上記(メタ)アクリル酸エステルとしては
特に限定されず、例えば、メチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)ア
クリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アク
リレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリ
シジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、
(メタ)アクリルアミドを用いることもできる。これら
は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。こ
れらの中でも、複層材料の硬化物層による基本性能、外
観、安全性等をより一層向上させることができることか
ら、メチルメタクリレート、又は、メチルメタクリレー
トを主成分とする(メタ)アクリル酸エステルが好まし
い。
【0025】上記(メタ)アクリル酸エステルの重合体
は、(メタ)アクリル酸エステルや必要に応じて他の重
合性不飽和単量体を含んだものを単量体成分として重合
することにより得られ、その重合度としては特に限定さ
れない。上記(メタ)アクリルシラップにおける(メ
タ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル
の重合体等の種類や使用量としては特に限定されず、硬
化物に要求される基本性能等に応じて適宜設定すればよ
い。
【0026】上記硬化性樹脂における重合体と重合性不
飽和単量体との重量割合としては、硬化物に要求される
基本性能等に応じて適宜設定すればよく、特に限定され
ず、例えば、硬化性樹脂がラジカル重合型樹脂である場
合には、99/1〜20/80であることが好ましい。
99/1より重合性不飽和単量体の重量割合が少なくな
ると、硬化性が劣るおそれがあり、20/80より重合
性不飽和単量体の重量割合が多くなると、樹脂組成物の
粘度が低くなり過ぎて取り扱いにくくなり、また、硬化
物の強度等の基本性能が劣るおそれがある。より好まし
くは、95/5〜30/70であり、更に好ましくは、
90/10〜40/60である。
【0027】上記硬化性樹脂が二種以上の樹脂を含有
し、混合物となる場合、各々の樹脂の含有量としては特
に限定されない。また、上記硬化性樹脂としてラジカル
重合型樹脂を用いる場合には、上述したラジカル重合型
樹脂以外のラジカル重合型樹脂を含有してもよい。
【0028】上記重合性不飽和単量体とは、硬化性樹脂
に含まれるビニルモノマーや架橋剤等の重合性不飽和結
合を有する単量体を意味する。上記ビニルモノマーとし
ては、反応性モノマーであり、硬化時に上記重合体が有
する不飽和基と架橋反応するものであれば特に限定され
ず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルト
ルエン、クロルスチレン、酢酸ビニル、アリルアルコー
ル、エチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレ
ングリコールモノアリルエーテル、アクリロニトリル、
マレイミド類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸
等の不飽和モノカルボン酸、及び、これら不飽和モノカ
ルボン酸のモノエステル;マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸、及び、
これら不飽和ジカルボン酸のモノエステル;エチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アク
リレート等の多官能(メタ)アクリレート;ジビニルベ
ンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレー
ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレ
ート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。これらの中でも、スチレンを
含むものを用いることが好適である。
【0029】上記架橋剤としては特に限定されず、例え
ば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレー
ト;ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリル
イソフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリル
イソシアヌレート等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】上記硬化性樹脂におけるビニルモノマーや
架橋剤等の重合性不飽和単量体総量の含有割合としては
特に限定されず、例えば、硬化性樹脂がラジカル重合型
樹脂である場合には、硬化性樹脂の全重量に対して1〜
80重量%であることが好ましい。1重量%未満である
と、硬化性が劣るおそれがあり、80重量%を超える
と、樹脂組成物の粘度が低くなり過ぎて取り扱いにくく
なり、また、硬化物の強度等の基本性能が劣るおそれが
ある。より好ましくは、5〜70重量%であり、更に好
ましくは、10〜60重量%である。
【0031】上記樹脂組成物における硬化剤として好ま
しくは、樹脂に光硬化性を与える光増感剤等が挙げられ
る。上記光増感剤としては特に限定されず、例えば、
「表面」、27〔7〕(1989)山岡、p.548
や、「第3回ポリマー材料フォーラム要旨集」(199
4)佐藤、IBP18等に記載の可視光領域に感光性を
有する可視光用開始剤等が挙げられ、このような可視光
用開始剤を用いることが好ましい。上記光増感剤は単独
で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、光増
感剤は光硬化剤と呼称される場合もあり、本明細書中で
は、「光増感剤」と「光硬化剤」との用語を光増感剤に
統一して用いる。上記可視光用開始剤としては、380
〜780nmの波長域に感光性を有する光重合開始剤等
であれば特に限定されず、例えば、ベンゾイン、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベン
ゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエ
ーテル、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイ
ン、ベンジル、ジアセチル、アントラキノン、メチルア
ントラキノン、クロロアントラキノン、カンファーキノ
ン、アセトフェノン、アセトフェノンベンジル、ジメト
キシアセトフェノン、ジメトキシフェニルアセトフェノ
ン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケト
ン、ベンゾフェノン、トリメチルベンゾイルジフェニル
ホスフィンオキサイド等のカルボニル化合物;ジフェニ
ルサルファイド、ジフェニルジサルファイド、ジフェニ
ルスルフィド、ジチオカーバメート、メチルチオキサン
トン等の硫黄原子を有する化合物;α−クロロメチルナ
フタリン等の多縮合環系炭化水素のハロゲン化物類;ア
クリルフラビン、フルオレセン等の色素類;硝酸ウラニ
ル、塩化鉄、塩化銀等の金属塩類;p−メトキシベンゼ
ンジアゾニウム、ヘキサフルオロフォスフェート、ジフ
ェニルアイオドニウム、トリフェニルスルフォニウム等
のオニウム塩;ジシクロペンタジエニルチタニウム−ジ
(ペンタフルオロフェニル)等が挙げられる。また、有
機過酸化物/色素系、ジフェニルヨードニウム塩/色
素、イミダゾール/ケト化合物、ヘキサアリールビイミ
ダゾール化合物/水素供与性化合物、メルカプトベンゾ
チアゾール/チオピリリウム塩、金属アレーン/シアニ
ン色素、特公昭45−37377号公報に記載のヘキサ
アリールビイミダゾール/ラジカル発生剤等の公知の複
合開始剤系等も挙げられる。
【0032】上記光増感剤は、更に、紫外光領域から可
視光領域まで感光性を有する広領域感光剤を用いること
もできる。このような光増感剤としては、例えば、ビス
(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリ
メチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,
6−トリメチルベンゾイル)−メチルフォスフィンオキ
サイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニ
ルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイ
ル−ジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフ
ィンオキサイド系化合物等が挙げられる。これらは、市
販品を用いることができ、例えば、Darocur11
73(商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社
製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン)とビス(2,6−ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキ
サイド(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)と
を75/25(重量比)の割合で混合したイルガキュア
1700(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカル
ズ社製);イルガキュア184(商品名、チバ・スペシ
ャリティー・ケミカルズ社製、1−ヒドロキシ−シクロ
ヘキシル−フェニルケトン)とビス(2,6−ジメトキ
シベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォ
スフィンオキサイド(チバ・スペシャルティー・ケミカ
ルズ社製)とを75/25(重量比)の割合で混合した
イルガキュア1800(商品名、チバ・スペシャルティ
ー・ケミカルズ社製)や50/50(重量比)の割合で
混合したイルガキュア1850(商品名、チバ・スペシ
ャルティー・ケミカルズ社製);イルガキュア819
(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニル
ホスフィンオキサイド);Lucirin TPO(商
品名、BASF社製、2,4,6−トリメチルベンゾイ
ル−ジフェニルホスフィンオキサイド);Darocu
r1173(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカ
ルズ社製、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル
プロパン−1−オン)とLucirin TPOとを5
0/50(重量比)の割合で混合したDarocur4
265(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ
社製)等を用いることができる。
【0033】上記光増感剤の含有割合としては特に限定
されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して0.
01〜10重量部であることが好ましい。0.01重量
部未満であると、硬化性成形材料層(a)の光硬化性が
劣るおそれがあり、10重量部を超えると硬化物の基本
性能が劣るおそれがある。より好ましくは、0.05〜
8重量部であり、更に好ましくは、0.1〜5重量部で
ある。
【0034】上記樹脂組成物はまた、熱硬化剤等を含ん
でもよく、その場合には、硬化性成形材料層(a)が熱
硬化性を有するものとなる。上記熱硬化剤としては特に
限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウ
ロイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパ
ーオキシベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、
シクロヘキサノンパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキ
シジカーボネート、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオ
キシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等の有
機過酸化物;2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、
2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバ
レロニトリル等のアゾ化合物等のラジカル重合開始剤等
が挙げられる。上記熱硬化剤の含有割合としては特に限
定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して0
〜10重量部であることが好ましい。10重量部を超え
ると、硬化物の基本性能が劣るおそれがある。より好ま
しくは、0.01〜8重量部であり、更に好ましくは、
0.05〜5重量部である。
【0035】上記樹脂組成物は、更に、低収縮化剤、内
部剥離剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、減
粘剤、カップリング剤、増粘剤、着色剤、抗菌剤等を含
んでもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。上記硬化性成形材料層(a)
が光硬化性のものである場合、その光硬化性を阻害しな
いように、これらの種類や使用量等を適宜設定して用い
ることが好ましい。
【0036】上記低収縮化剤としては特に限定されず、
例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、三次元架橋ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチ
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、セルロースブチレート、アセテート(アセチルセル
ロース)、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカプ
ロラクトン、飽和ポリエステル等の熱可塑性ポリマー等
が挙げられる。上記低収縮化剤の含有割合としては特に
限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して
0〜30重量部であることが好ましい。30重量部を超
えると、硬化物の強度等の基本性能が低下するおそれが
ある。より好ましくは、0〜15重量部である。上記内
部離型剤としては特に限定されず、例えば、シリコン系
樹脂やステアリン酸塩等が挙げられる。上記内部離型剤
の含有割合としては特に限定されず、例えば、硬化性樹
脂100重量部に対して0〜10重量部であることが好
ましい。10重量部を超えると、硬化物の基本性能が低
下するおそれがある。より好ましくは、0〜5重量部で
ある。
【0037】上記連鎖移動剤としては特に限定されず、
例えば、α−メチルスチレンダイマー;四塩化炭素;t
−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n
−ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン;チ
オフェノール、チオナフトール等の芳香族メルカプタ
ン;チオグリコール酸;チオグリコール酸オクチル、エ
チレングリコールジチオグリコレート、トルメチロール
プロパントリス−(チオグリコレート)、ペンタエリス
リトールテトラキス−(チオグリコレート)等のチオグ
リコール酸アルキルエステル;β−メルカプトプロピオ
ン酸;β−メルカプトプロピオン酸オクチル、1,4−
ブタンジオールジ(β−チオプロピオネート)、ペンタ
エリスリトールテトラキス−(β−チオプロピオネー
ト)等のβ−メクカプトプロピオン酸アルキルエステル
等が挙げられる。上記連鎖移動剤の含有割合としては特
に限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対し
て0〜5重量部であることが好ましい。5重量部を超え
ると、硬化性樹脂の硬化性が劣るおそれがある。より好
ましくは、0〜2重量部である。
【0038】上記重合禁止剤としては特に限定されず、
例えば、p−t−ブチルカテコール、p−メトキシフェ
ノール、ヒドロキノン、p−ベンゾキノン、クロラニ
ル、m−ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、p−フェ
ニルジアミン、硫黄、ジフェニルピクリルヒドラジル、
ジ−p−フルオロフェニルアミン、トリ−p−ニトロフ
ェニルメチル等が挙げられる。上記重合禁止剤の含有割
合としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂100
重量部に対して0〜5重量部であることが好ましい。5
重量部を超えると、硬化性樹脂の硬化性が劣るおそれが
ある。より好ましくは、0.001〜2重量部である。
【0039】上記紫外線吸収剤としては特に限定され
ず、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系
等の硬化性樹脂に対して使用することができるものを用
いることができ、また、上記減粘剤及び上記カップリン
グ剤としても特に限定されず、例えば、硬化性樹脂に対
して使用することができるものを用いることができ、こ
れらのそれぞれの含有割合としては特に限定されず、例
えば、硬化性樹脂100重量部に対して、0〜5重量部
であることが好ましい。5重量部を超えると、硬化性樹
脂の硬化性が劣るおそれがある。より好ましくは、0.
05〜2重量部である。
【0040】上記増粘剤としては特に限定されず、例え
ば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の
多価金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウ
ム等の多価金属水酸化物;多官能イソシアネート等が挙
げられる。上記増粘剤の使用量としては特に限定され
ず、例えば、多価金属酸化物や多価金属水酸化物の場合
には、硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重
量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜
5重量部である。また、多官能イソシアネート等の場合
には、硬化性樹脂100重量部に対して1〜30重量部
であることが好ましく、より好ましくは、3〜20重量
部であり、更に好ましくは、5〜15重量部である。上
記使用量未満であると、樹脂組成物が増粘しにくくなる
おそれがあり、上記使用量を超えると、樹脂組成物が増
粘し過ぎるおそれがある。さらに適切に増粘させる為、
増粘剤を用いた樹脂組成物は、一定時間常温もしくは加
温して増粘反応を進行させるいわゆる熟成工程を経る。
【0041】上記着色剤としては特に限定されず、例え
ば、硬化性樹脂に対して使用することができる無機顔
料、有機顔料、及び、トナー等が挙げられる。上記抗菌
剤としては特に限定されず、例えば、硬化性樹脂に対し
て使用することができるものを用いることができる。上
記着色剤及び上記抗菌剤それぞれの使用量としては特に
限定されず、例えば、硬化性樹脂100重量部に対して
0〜10重量部であることが好ましい。より好ましく
は、0.1〜5重量部である。
【0042】上記樹脂組成物が補強繊維や充填剤等の補
強材を更に含むことにより、樹脂と補強材とが複合化さ
れ、硬化性成形材料層(a)が強度等の基本性能に優れ
たものとなる。上記補強繊維としては特に限定されず、
例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック
からなる繊維等の無機繊維;アラミド、ポリエステル、
ビニロン、フェノール、テフロン(登録商標)等からな
る有機繊維;天然繊維等が挙げられる。また、これらの
繊維の形態としては特に限定されず、例えば、クロス
(織物)状;チョップストランドマット、プリフォーマ
ブルマット、コンテニュアンスストランドマット、サー
フェーシングマット等のマット状;チョップ状;ロービ
ング状;不織布状等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中で
も、ガラス繊維が好ましい。
【0043】上記補強繊維の使用量としては、例えば、
硬化性樹脂100重量部に対して、5〜100重量部と
なるようにすることが好ましい。5重量部未満であって
も、100重量部を超えても、硬化物の基本性能が低下
するおそれがある。より好ましくは、10〜65重量部
である。本明細書中において、樹脂組成物が補強繊維を
含むとは、例えば、樹脂組成物中に補強繊維を混合する
こと;樹脂組成物を補強繊維に含浸すること等を意味す
る。
【0044】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウム、アルミナ、クレー、タルク、ガラ
スパウダー、ミルドファイバー、クリストバライト、シ
リカ(珪砂)、川砂、珪藻土、雲母粉末、石膏、ガラス
粉末等の無機充填剤;有機充填剤等が挙げられる。これ
らは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、硬化物の機械的特性等の基本性能が向
上することから、水酸化アルミニウムを必須成分とする
ものであることが好ましい。また、耐摩耗性用途には、
クリストバライト、シリカ、川砂等が好ましい。このよ
うに、これらは複層材料が用いられる用途に応じて選択
することが好ましい。
【0045】上記充填剤の使用量としては、例えば、硬
化性樹脂100重量部に対して0〜300重量部となる
ようにすることが好ましい。300重量部を超えると、
樹脂組成物の流動性が劣るため、硬化性成形材料層
(a)の作製における作業性が低下するおそれがある。
より好ましくは、30〜280重量部である。
【0046】上記硬化性成形材料層(a)は、例えば、
上述した各成分を混合して樹脂混合溶液としてSMC
(シートモールディングコンパウンド)を作製する方法
により得ることができる。このような方法としては特に
限定されず、例えば、キャリアフィルム上に樹脂混合溶
液を塗布して補強繊維を散布若しくは積載し、もう一枚
のキャリアフィルムに樹脂混合溶液を塗布したもので挟
み込んだり、又は、キャリアフィルム上に補強繊維を散
布若しくは積載して樹脂混合溶液を塗布したりした後、
圧着・含浸等し、熟成、増粘させることにより行うこと
ができる。
【0047】上記硬化性成形材料層(a)の厚みとして
は特に限定されず、例えば、0.1〜10mmであるこ
とが好ましい。0.1mm未満であると、硬化物が充分
な強度を有しないおそれがあり、10mmを超えると、
複層材料の加工性や施工性が低下し、また、硬化性成形
材料層(a)の光硬化性が低下するおそれがある。より
好ましくは、0.5〜5mmである。
【0048】本発明における粘着層(b)は、複層材料
が用いられる基材において、充分な接着性を有し、か
つ、複層材料を充分に施工することができる柔軟性を有
する。上記粘着層(b)により、複層材料が基材への密
着性を有し、密着後、硬化性成形材料層(a)及び粘着
層(b)が形状保持性を有することになる。また、粘着
剤そのものの強度、硬化後の硬化性成形材料層(a)と
の密着性、基材との密着性により、優れた接着強度を有
することになる。
【0049】本発明における粘着層(b)は、該層内に
上記重合性不飽和単量体を遮断する支持体を有しないも
のである。なお、本明細書中、「重合性不飽和単量体を
遮断する支持体」を「重合性不飽和単量体が浸透しない
支持体」ともいう。上記支持体とは、粘着層の形状保持
性や強度、取扱性等を向上させるために用いられるフィ
ルム状又はシート状である層状のものである。
【0050】上記硬化性成形材料層(a)、粘着層
(b)及び離型層(c)を含んでなる複層材料において
は、保管時又は移送時に、経時により、硬化性成形材料
層(a)中の重合性不飽和単量体等の一部が浸出して粘
着層(b)中に浸透し、移行していることが多い。粘着
層(b)が硬化性成形材料層(a)中の重合性不飽和単
量体が浸透しない支持体を有する場合には、粘着層
(b)中に浸透した重合性不飽和単量体等が該支持体に
より浸透を阻止されるため、該支持体より硬化性成形材
料層(a)側の粘着層(b)においては、硬化性成形材
料層(a)から浸出した重合性不飽和単量体等を含有す
る構成となるため、粘着剤と重合性不飽和単量体等とが
一体化して硬化することにより硬化性成形材料層(a)
との密着性等の特性を発現することになる。また、該支
持体より離型層(c)側の粘着層(b)においては、硬
化性成形材料層(a)から浸出した重合性不飽和単量体
を含有しない構成となり、粘着剤のみにより基材との密
着性等の特性を発現することになる。そのため、粘着層
(b)において、粘着剤と重合性不飽和単量体等とから
構成され、これらが一体化して硬化する部分では、硬く
剛直となり、強度や耐熱性、難燃性等が向上するが、粘
着剤のみから構成される部分では、軟らかくて強度や耐
熱性、難燃性等が充分ではなく、粘着層(b)全体とし
ての接着強度や耐熱性、難燃性、耐久性等が充分ではな
いことになる。
【0051】本発明では、粘着層(b)が、上記重合性
不飽和単量体が浸透しない支持体を有しないものである
ことにより、粘着層(b)中に浸透した重合性不飽和単
量体が該支持体により浸透を阻止されることがないた
め、粘着層(b)全体が一様に重合性不飽和単量体を含
有する構成となって粘着剤と重合性不飽和単量体とが一
体化して硬化することになり、剛直となって粘着層
(b)全体として接着強度や耐熱性、難燃性、耐久性等
が充分となる。このような粘着層(b)を含む複層材料
は、施工時には充分な柔軟性を有すると共に、基材への
接着時には粘着層(b)が一様に重合性不飽和単量体に
より膨潤して基材に対する密着性が優れ、また、接着強
度が向上して硬化性成形材料層(a)と粘着層(b)と
のズレや、基材と粘着層(b)とのズレが生じにくく、
かつ基材から剥がれにくいものとなる。また、硬化性成
形材料層(a)の硬化物が充分な耐熱性、難燃性、耐久
性等を発揮すると共に、粘着層(b)も同様にこれらの
性能を発揮して、従来の複層材料の問題点であった粘着
層(b)の劣化を著しく改善して様々な用途に適用でき
るものとなる。
【0052】上記粘着層(b)の形態としては特に限定
されず、例えば、(1)支持体を有しない粘着剤層によ
り形成されるフィルム;(2)上記重合性不飽和単量体
が浸透する支持体を有する粘着剤層により形成されるフ
ィルム等が挙げられる。また、これらを積層したもので
あってもよい。上記(1)の形態は、複層材料が基材の
表面形状に対する追随性が向上し、施工が容易となるた
め、充分な接着強度を安定的に発揮させることができる
ことから好ましい。また、上記(2)の形態は、粘着層
(b)の強度、形状保持性や、複層材料の施工時におけ
る切断加工等の作業性が向上することから好ましい。
【0053】上記(1)の形態では、トランスファテー
プを用いることができ、粘着剤として、分子量や架橋度
を向上した樹脂を含むものを用いることが好ましい。こ
れにより、取り扱い性や、複層材料の施工時における切
断加工等の作業性が向上することになる。また、上記
(2)の形態では、重合性不飽和単量体が浸透しない支
持体を有しない両面テープを好適に用いることができ
る。
【0054】上記粘着剤層は、粘着剤を含むものであ
る。上記粘着剤としては特に限定されず、例えば、スチ
レン−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム、イソプレン
ゴム、ブチルゴム等の合成ゴムや天然ゴムを主成分とす
るゴム系粘着剤;アクリル樹脂、ポリビニルアルコー
ル、ポリアクリルアミド、ポリビニルメチルエーテル、
スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチ
レンブロック共重合体、エチレン−酢酸ビニル等を主成
分とする合成樹脂系粘着剤等が挙げられる。これらは、
溶剤型、エマルション型、ホットメルト型、水溶性型等
のいずれでもよく、また、単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。これらの中でも、アクリル系の粘
着剤が好ましい。
【0055】上記粘着剤は、必要に応じて、粘着付与
剤、可塑剤や、上述した添加剤等を含有してもよい。こ
れらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用し
てもよい。上記粘着付与剤及び上記可塑剤としては、通
常、粘着剤に用いることができるものであれば特に限定
されず、例えば、粘着付与剤としては、ロジン、テルペ
ン系樹脂等の天然樹脂;クマロンインデン樹脂等の石油
炭化水素系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン系樹脂等
が挙げられ、可塑剤としては、プロセスオイル等の石油
系可塑剤;液状ポリイソブチレン、液状ポリブテン等の
液状ゴム系可塑剤;二塩基酸エステル等の樹脂系可塑剤
等が挙げられる。
【0056】上記粘着層(b)は、硬化性を有するもの
であってもよく、その場合には、接着強度をより向上さ
せることができる。上記粘着層(b)に硬化性を付与す
る方法としては特に限定されず、例えば、粘着剤が上述
の硬化性樹脂や光増感剤等を含むことによって光硬化性
のものとすることが好ましい。この場合、粘着層(b)
の強度等が向上することから、硬化性樹脂に含まれる重
合性不飽和単量体としては、多官能(メタ)アクリレー
トであることが好ましい。これらの場合には、硬化性成
形材料層(a)中に含まれるスチレン等の重合性不飽和
単量体が粘着層(b)に移行すると、該重合性不飽和単
量体が粘着層(b)の硬化に寄与して、粘着層(b)の
硬化を充分に行うことができることになる。
【0057】上記粘着剤層は、更に、充填剤や難燃剤等
を含んでもよい。これらはそれぞれ単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。粘着剤層が充填剤や難
燃剤を含むことにより、粘着層(b)が上記支持体を有
しないものであることにより生じる作用と相まって粘着
層(b)の耐熱性や難燃性が向上することになる。
【0058】上記充填剤としては特に限定されず、例え
ば、上述したものを用いることができ、中でも、水酸化
アルミニウムを用いることが好ましい。上記難燃剤とし
ては特に限定されず、例えば、ハロゲン系難燃剤;リン
系難燃剤;無機系難燃剤等の非ハロゲン系難燃剤等を用
いることができる。これらの中でも環境を汚染しないた
めに非ハロゲン系難燃剤を用いることが好ましい。
【0059】上記充填剤や上記難燃剤の使用量として
は、例えば、粘着剤100重量部に対して0〜100重
量部となるようにすることが好ましい。より好ましく
は、20〜80重量部である。充填剤や難燃剤の使用量
が上記の範囲を超えると、粘着層(b)の密着性等が低
下するおそれがある。
【0060】上記重合性不飽和単量体が浸透する支持体
としては、粘着層(b)において硬化性成形材料層
(a)から浸出して移行した重合性不飽和単量体を浸透
して粘着層(b)全体が一様に重合性不飽和単量体を含
有する構成となって粘着層(b)全体として接着強度や
耐熱性、耐久性等を向上することができ、また、複層材
料の施工性を損なうことがない強度及び柔軟性を有する
ものであれば特に限定されず、例えば、紙、上述した天
然繊維、合成繊維、無機繊維等の繊維により形成される
織布や不織布等が挙げられ、プレス加工、エンボス加工
等を施したものであってもよい。これらの中でも、複層
材料における基材の表面形状に対する追随性の点から、
紙や不織布を用いることが好ましい。
【0061】上記紙としては特に限定されず、例えば、
機械漉き和紙等の和紙を好適に用いることができる。ま
た、上記織布や不織布を形成する繊維としては、例え
ば、樹脂材料により形成される繊維やガラス繊維等が挙
げられる。粘着層(b)の強度や耐熱性、難燃性等の点
からは、ガラス繊維の不織布を用いることが好ましい。
【0062】上記樹脂材料としては特に限定されず、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポ
リスチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体等のポ
リオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート等のポリエステル;テトラフルオロ
エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリモノクロロトリ
フルオロエチレン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂;
ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアセタール、
ポリアミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレン
サルファイド、ポリエーテルサルホン、ポリウレタン、
ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチル
ペンテン、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール、
ポリビニルアルコール、セルロースジアセテート、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル共重合
体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等
が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。
【0063】上記重合性不飽和単量体が浸透する支持体
の厚みとしては特に限定されず、例えば、1〜200μ
mであることが好ましい。1μm未満であると、粘着層
(b)の強度、形状保持性や、施工時の切断加工等の作
業性が向上しないおそれがあり、200μmを超える
と、重合性不飽和単量体が浸透しにくくなるおそれがあ
る。より好ましくは、1〜100μmである。
【0064】上記粘着層(b)が重合性不飽和単量体が
浸透する支持体を有する場合には、該支持体が粘着層
(b)において存在する位置としては、粘着層(b)と
硬化性成形材料層(a)との密着性や、施工後の粘着層
(b)と基材との密着性を阻害することがない限り、特
に限定されるものではない。例えば、粘着層(b)の断
面において、粘着層(b)中の中心付近に位置しても、
粘着層(b)中の硬化性成形材料層(a)側に寄ったと
ころに位置しても、粘着層(b)中の離型層(c)側に
寄ったところに位置してもよい。
【0065】上記粘着剤層の形成は、例えば、支持体が
ない場合には、離型層(c)の片面に粘着剤等の混合溶
液を塗布することにより行うことができ、紙、織布、不
織布等の支持体がある場合には、支持体の両面に粘着剤
等の混合溶液を塗布することにより行うことができる。
支持体の両面に粘着剤等の混合溶液を塗布する場合に
は、通常は、片面に塗布した後に又は両面に塗布した後
に離型層(c)を積層させることになる。また、離型層
(c)の片面に粘着剤等の混合溶液を塗布して支持体を
積層させた後に該混合溶液を塗布して形成することもで
きる。
【0066】上記粘着層の厚みとしては特に限定され
ず、例えば、3μm〜10mmであることが好ましい。
3μm未満であると、複層材料の基材に対する接着不良
が抑制されないおそれがあり、10mmを超えると、複
層材料の加工性や施工性が低下し、また、複層材料の基
本性能が低下するおそれがある。より好ましくは、10
μm〜5mmである。
【0067】本発明における離型層(c)は、複層材料
が加工される間、粘着層(b)を保護し、粘着層(b)
の粘着性を保ったまま粘着層(b)と離型層(c)とを
剥離することができる作用(離型性)を有し、かつ、複
層材料を充分に施工することができる柔軟性を有する。
【0068】上記離型層(c)の形態としては特に限定
されず、例えば、紙、又は、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等の上述した樹脂材料により形成されるフィルム;
アルミ箔等の金属材料により形成されるフィルム等を離
型剤処理したフィルム等が挙げられる。
【0069】上記離型剤としては特に限定されず、例え
ば、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンワックス
等の離型性樹脂を主成分とするもの等が挙げられる。こ
れらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよ
い。上記離型剤層の形成は、例えば、フィルム、紙等の
支持体の片面に離型剤を塗布することにより行うことが
できる。これらの場合、塗布前にフィルムの表面をプラ
ズマ処理、コロナ放電処理、薬品処理等してもよい。
【0070】上記離型層(c)の厚みとしては特に限定
されず、例えば、3〜2000μmであることが好まし
い。3μm未満であると、離型層(c)が充分な離型性
を有しないおそれがあり、2000μmを超えると、複
層材料の加工性や施工性が低下するおそれがある。より
好ましくは、10〜500μmである。
【0071】本発明の複層材料は、例えば、上記硬化性
成形材料層(a)、上記粘着層(b)及び上記離型層
(c)を積層することにより得ることができる。この
際、積層させる順序や方法等としては特に限定されず、
例えば、上述したSMCを作製する方法において、キャ
リアフィルムとして粘着層(b)及び離型層(c)を積
層したフィルムを用いることにより、粘着層(b)及び
離型層(c)を硬化性成形材料層(a)の片側に積層さ
せることができる。
【0072】本発明の複層材料において、硬化性成形材
料層(a)を遮光するために、片面に上記遮光層を有
し、硬化性成形材料層(a)を基材に接着させるため
に、他の片面に粘着層(b)を有し、複層材料が加工や
施工されるまで粘着層(b)を保護するために、粘着層
(b)の外側の片面に離型層(c)を有することとな
る。
【0073】本発明の複層材料は、加工や施工すること
が容易であって充分な作業時間が確保できて施工性に優
れ、また、金属、プラスチック、ゴム、ガラス、陶磁
器、石材、木材等の各種の基材における多様な表面状態
や複雑な形状に対応して充分な接着性を有するものであ
ることから、基材への接着不良による不具合の発生が充
分に抑制されたものである。また、その硬化物が、機械
的、化学的、電気的特性等の充分な基本性能を有し、接
着強度や耐久性等が向上されたものであることから、各
種の建造物、機械類、自動車、船舶、家庭用品等におけ
る構造部材、配管類、ライニング材等に用いることがで
きて多様な用途に対応しうるものである。
【0074】本発明の複層材料は、上述した各種のもの
を補強するためや補修するための補強材として用いるこ
とができるものである。この場合には、複層材料そのも
のを各種の基材に貼り付けたり、複層材料でもって補強
材料を各種の基材に貼り付けたりすることができる。上
記補強材料としては特に限定されず、例えば、棒状、パ
イプ状、板状、網状等の補強材が挙げられる。これらは
単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用して
もよい。また、予め本発明の複層材料と組み合わされて
も、施工時に組み合わされてもよい。
【0075】上記補強材は、本発明の複層材料を含み、
必要に応じて、補強材料等を含んでなるものであり、本
発明の複層材料が上述した作用を有することから、各種
の基材に対して充分な補強や補修を行うことが容易にで
きるものである。このような補強材もまた、本発明の一
つである。
【0076】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態の一例を図1及
び図2に断面模式図にて示す。図1(1)では、本発明
の複層材料を施工する前の状態を示している。この状態
では、複層材料は、硬化性成形材料層(a)の片面に内
側から粘着層(b)及び離型層(c)をこの順で有して
いる。この場合、複層材料を保管や輸送等する間は、遮
光性を有するアルミ蒸着フィルム製等の包装材や缶等に
複層材料を入れておくことが好ましい。
【0077】図1(2)では、本発明の複層材料から離
型層(c)を剥がして基材に対して施工するときの状態
を示している。この状態では、複層材料は、硬化性成形
材料層(a)の片面に粘着層(b)を有している。この
場合、複層材料の接着性を向上するために、基材表面が
下地処理されたものであってもよく、また、複層材料の
接着不良による不具合の発生が充分に抑制されることに
なる限り、基材表面が下地処理されたものでなくてもよ
い。
【0078】図1(3)では、本発明の複層材料を基材
上に接着させたときの状態を示している。この状態で
は、複層材料は、硬化性成形材料層(a)の片面に粘着
層(b)を有しており、該粘着層(b)が基材上に接着
している。この場合、複層材料の接着不良による不具合
の発生が充分に抑制されることになるように、複層材料
に圧力を加えたり、基材と粘着層(b)との間に入った
空気を抜く操作等を行ってもよい。このような状態で複
層材料を硬化させることになる。このとき、硬化性成形
材料層(a)は、活性エネルギー線及び/又は熱により
硬化することになるが、複層材料が充分な基本性能を有
するものとなることから、活性エネルギー線を照射する
ことが好ましい。
【0079】上記活性エネルギー線としては特に限定さ
れず、例えば、太陽光線、紫外線、赤外線、電子線、放
射線、レーザー光線、高周波、マイクロ波等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して
もよい。上記活性エネルギー線の照射は、屋外等におい
ては太陽光線を用いて行うことができるが、硬化性成形
材料層(a)を充分に硬化させる場合や、充分な太陽光
線の照射を行うことができない場合においては、例え
ば、活性エネルギー線の照射装置を用いて行うことがで
きる。
【0080】上記活性エネルギー線の照射装置としては
特に限定されず、例えば、紫外線蛍光ランプ、低圧水銀
ランプ、(超)高圧水銀ランプ、キセノンランプ、マー
キュリーハロゲンランプ、アルゴングローランプ、写真
照明用ランプ、カーボンアーク灯、タングステン灯、白
熱灯、エキシマレーザー照射装置等が挙げられる。
【0081】本発明の複層材料の硬化時間としては特に
限定されず、例えば、太陽光線を用いて硬化させる場合
には、1分〜10時間で硬化するように設定することが
好ましく、紫外線を用いて硬化させる場合には、1分〜
5時間で硬化するように設定することが好ましい。ま
た、直射日光で1時間以内で硬化するように設定するこ
とが好ましい。本発明の複層材料が硬化した後は、その
表面に塗装等を施してもよい。
【0082】上記実施形態において、複層材料の硬化を
妨げることがなく、かつ、複層材料の基材への密着性を
妨げることがない限り、硬化性成形材料層(a)、粘着
層(b)及び離型層(c)以外のフィルム(シート)層
が複層材料に含まれてもよく、硬化性成形材料層(a)
の粘着層(b)が積層された面の他の片面に、透明なフ
ィルム等の光透過性フィルム(シート)があってもよ
い。このような光透過性フィルムは、硬化性成形材料層
(a)が硬化した後に剥がされることになる。これによ
り、硬化性成形材料層(a)の表面が滑らかになると共
に、上記図1(1)の状態において、硬化性成形材料層
(a)の両面が、粘着層(b)及び離型層(c)と、光
透過性フィルムとにより覆われていることから、複層材
料を任意の大きさや形状に加工する間に、硬化性成形材
料層(a)に含まれるスチレン等のビニルモノマーが複
層材料から揮散されることが抑制されることになる。こ
れにより、硬化性成形材料層(a)が充分に硬化するこ
とになり、また、作業中の臭気を抑制することができる
ことになる。
【0083】上記図1(1)、(2)及び(3)の状態
において、(1)硬化性成形材料層(a)に含まれるスチ
レン等の重合性不飽和単量体等が粘着層(b)に移行し
て粘着層(b)全体に浸透することにより、該重合性不
飽和単量体等と粘着剤とが一体となって硬化すること、
(2)粘着層(b)により、硬化性成形材料層(a)に含
まれる重合性不飽和単量体が複層材料から揮散されるこ
とが抑制されること、(3)複層材料を粘着層(b)によ
り基材と接着させるため、プライマーやパテによる施工
を必要とせず、複層材料の施工工程を簡略化して施工コ
ストを抑制することができること、(4)接着作業が容易
であり均一に接着することができたり、複層材料の柔軟
性が充分に保たれていたりすることから、複層材料を安
定的に基材へ接着させることができ、接着不良が充分に
抑制されること、(5)各種の基材に対して接着性を有
し、また、基材を溶剤等で侵すおそれがないこと等か
ら、これらの相乗的な作用により、複層材料の施工や硬
化時における取り扱い易さや作業性が向上し、各種の基
材に対して複層材料の接着強度や耐熱性、難燃性、耐久
性等が特段に向上して複層材料を各種の基材や用途に適
用することができることになる。
【0084】上記図1(3)の状態において、粘着層
(b)が硬化性を有するものである場合には、硬化性成
形材料層(a)と共に粘着層(b)もより強固に硬化し
て、基材との接着性をより向上させることができること
から、複層材料がより接着強度に優れたものとなる。こ
れにより、複層材料の基本性能をより向上させることが
できる。これらの場合、複層材料の接着性を充分なもの
とするために、硬化性成形材料層(a)の硬化が粘着層
(b)の硬化よりも速くなるように設定することが好ま
しい。
【0085】図2(1)では、図1(3)と同様な状態
を示しており、この場合では、基材の角部に複層材料が
接着されている。また、図2(2)では、曲面を有する
基材に複層材料が接着されている。上記図2(1)及び
(2)の状態において、本発明の複層材料が粘着層
(b)により基材と接着されるものであるため、本発明
の複層材料では、基材の角部や複雑な形状の基材に対し
ても容易に施工することができることになる。また、施
工性が優れること、及び、粘着層(b)が基材の端部や
複雑な形状の基材に対しても接着性が優れることから、
接着不良が充分に抑制されて接着強度や耐久性等が優れ
ることになる。
【0086】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。なお、「部」は、「重量部」を示す。
【0087】合成例1 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、飽和二塩基酸としてのイソ
フタール酸498部、並びに、多価アルコールとしての
プロピレングリコール418部及びジプロピレングリコ
ール670部を仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換
した。次に、この混合物を撹拌しながら最高温度が21
5℃となるように加熱し、脱水反応を行った。これによ
り、酸価が10になったところで温度を50℃に下げ、
更に、不飽和二塩基酸としての無水マレイン酸を686
部仕込み、最高温度が215℃となるように加熱し、脱
水反応を継続して酸価が28の不飽和ポリエステルを得
た。そして、この不飽和ポリエステル60部、ビニルモ
ノマーとしてのスチレン40部、及び、安定剤としての
ハイドロキノン0.02部を混合することにより、不飽
和ポリエステル樹脂Aを得た。
【0088】合成例2 温度計、窒素ガス導入管、及び、撹拌機を備えた反応器
としての四ツ口フラスコに、ビスフェノールAとエピク
ロルヒドリンとの反応により得られたエポキシ当量18
9のエピクロン850(商品名、大日本インキ化学工業
社製)458部、メタクリル酸215部、ハイドロキノ
ン0.35部及びトリエチルアミン2.1部を加えて、
含酸素気流中で110℃まで昇温し、6時間反応させて
重合性ビニル基を有するエポキシアクリレートを得た。
そして、このエポキシアクリレート65部、ビニルモノ
マーとしてのスチレン35部、及び、安定剤としてのハ
イドロキノン0.02部を混合することにより、エポキ
シアクリレート樹脂Bを得た。
【0089】実施例1 硬化性樹脂として合成例1で得られた不飽和ポリエステ
ル樹脂A 100部、増粘剤としてMgO#20(商品
名、協和化学工業社製)1.4部、充填剤として水酸化
アルミニウムであるB−308(商品名、アルコア化成
社製)110部、光開始剤としてダロキュアー1173
(商品名、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
1.0部、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン50
0ppm、及び、スチレン5部を添加し、ディスパーに
て10分間撹拌して樹脂混合溶液を得た。この溶液の粘
度は、3.55Pa・s(25℃)であった。
【0090】次いで、SMC含浸機に、幅500mmの
キャリアフィルムとして、アクリル系粘着剤の支持体な
し粘着層と離型層から成る両面粘着テープを離型層が外
側になるようにセットした。このキャリアフィルムを移
動させ、その上にナイフコーターにより幅400mmで
上記樹脂混合溶液を均一に塗布し、その層の上にガラス
ロービングであるAF210W(商品名、旭ファイバー
グラス社製)を自動カッターで約1インチに切断したガ
ラスチョップを25重量%となるように散布した。その
積層物の上に、透明なポリエチレンフィルムをキャリア
フィルムとし、同様に樹脂混合溶液を塗布した層で覆
い、含浸ロールによる脱泡、含浸を行った後、両面粘着
テープの離型紙を内側にして紙管に巻き取った。紙管ご
とアルミ蒸着ポリエステルフィルム製の包装材で密封包
装した後、これを40℃で48時間熟成、増粘し、本発
明の複層材料(光硬化プリプレグFRPシート)を得
た。この光硬化プリプレグFRPシートにおける粘着層
は、支持体を有しないものである。
【0091】得られた光硬化プリプレグFRPシート
を、太陽光がよくあたる場所で、基材として直径200
mmの円筒(厚さ1mm冷間圧延鋼板製)を用いて、幅
150mmで円筒の周囲全体に接着施工した。尚、基材
は前もって、汚れ、油質、ワックス等を充分に除去して
おいた。施工は、光硬化プリプレグFRPシートを包装
材から取り出し、接着施工に必要な大きさに切断する加
工工程、離型紙を剥がして基材に密着して接着させる接
着工程、太陽光にて硬化させる硬化工程、太陽光不足部
分(日陰部分)にハンディタイプ紫外線照射装置(ハン
ディキュアー800:ウシオ電気社製)を用いて硬化さ
せる補助硬化工程、硬化後にポリエチレンフィルムを剥
がす工程により、硬化するまでに要した作業時間は45
分であった。図3(1)に光硬化プリプレグFRPシー
トを施工した後の円筒を示した。この施工における作業
性(施工性)と接着性とを以下の基準により評価した。
【0092】施工性 ◎:接着作業が容易であることから、作業を素早く容易
に行うことができ、作業の間、光硬化プリプレグFRP
シートも柔軟性を保っていた。 ○:接着作業が容易であることから、作業を容易に行う
ことができたが、光硬化プリプレグFRPシートの硬化
が始まったため柔軟性が損なわれた。 △:接着作業が容易ではないため、作業を行うことが容
易ではなかったが、光硬化プリプレグFRPシートは柔
軟性を保っていた。 ×:接着作業が容易ではないため、作業を行うことが困
難であり、光硬化プリプレグFRPシートも硬化が始ま
ったため柔軟性が損なわれた。
【0093】接着性 ◎:光硬化プリプレグFRPシートが硬化後に基材に対
して充分に接着され、粘着層が全体的に充分に硬化し、
剥がれにくくズレにくいものとなった。 ○:光硬化プリプレグFRPシートが硬化後に基材に対
して充分に接着され、粘着層が部分的に硬化し、剥がれ
にくいが僅かにズレやすいものとなった。 △:光硬化プリプレグFRPシートが硬化後に基材に対
して充分に接着されたが、粘着層は硬化せず、僅かに剥
がれやすくズレやすいものとなった。 ×:光硬化プリプレグFRPシートが硬化後に基材に対
して接着されたが、接着性が充分に均一でなく、剥がれ
やすくズレやすいものとなった。
【0094】実施例2 実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂Aを合成例
2で得られたエポキシアクリレート樹脂Bとし、増粘剤
としてMgO#20 1.4部をメチレンジイソシアネ
ートであるスミジュール44V20(商品名、住友化学
工業社製)11部としたこと以外は同様にして光硬化プ
リプレグFRPシートを得た。得られた光硬化プリプレ
グFRPシートを実施例1と同様にして評価した。その
結果を表1に記載した。なお、評価において、試験条件
は実施例1と同様になるようにした。
【0095】実施例3 実施例1において得られた光硬化プリプレグFRPシー
トを、太陽光がよくあたる場所で、基材として30×3
0cmの鋼板(厚さ1mm冷間圧延鋼板製)を用いて全
面に接着、施工した。図3(2)に光硬化プリプレグF
RPシートを施工した後の鋼板を示した。なお、太陽不
足部分がないため、補助硬化過程は必要なかった。その
評価を実施例1と同じようにして結果を表1に記載し
た。
【0096】比較例1 実施例1において、キャリアフィルムとしてアクリル系
粘着剤の支持体なし粘着層と離型層から成る両面粘着テ
ープの代わりに両面コロナ放電処理したポリエチレンテ
レフタレートフィルムを支持体として、アクリル系粘着
剤、該ポリエチレンテレフタレートフィルム、アクリル
系粘着剤、そして離型層をこの順に組み合わせた支持体
あり粘着層と離型層とから成る両面粘着テープを用いた
他は同様にして比較の光硬化プリプレグFRPシートを
得た。この比較の光硬化プリプレグFRPシートにおけ
る粘着層は、スチレンを浸透しない支持体を有するもの
である。得られた光硬化プリプレグFRPシートを実施
例1と同様にして評価した。その結果を表1に記載し
た。なお、評価において、試験条件は実施例1と同様に
なるようにした。
【0097】比較例2 実施例1と同様にして光硬化樹脂混合溶液を調整、次い
でSMC含浸機に幅500mmのキャリアフィルムとし
て、透明なポリエチレンフィルムをセットした。このキ
ャリアフィルムを移動させ、その上にナイフコーターに
より幅400mmで上記樹脂混合溶液を均一に塗布し、
その層の上にガラスロービングであるAF210Wを自
動カッターで約1インチに切断したガラスチョップを散
布した。その積層物の上に、上記と同じポリエチレンフ
ィルムをキャリアフィルムとし、同様に樹脂混合溶液を
塗布した層で覆い、含浸ロールによる脱泡、含浸を行っ
た後、紙管に巻き取った。紙管ごとアルミ蒸着ポリエス
テルフィルム製の包装材で密封包装した後、これを40
℃で48時間熟成、増粘し、比較の光硬化プリプレグF
RPシートを得た。
【0098】得られた光硬化プリプレグFRPシート
を、実施例1と同様にして接着硬化施工を行った。尚、
基材は、光硬化プリプレグFRPシートを接着する部分
に、前もって、汚れ、油質、ワックス等を充分に除去し
た後プライマー処理工程を行った。プライマー(マイテ
ィグリップ−9036、商品名、イーテック社製)を3
00gr/m2 の量を塗布し充分に乾燥した後に実施例
1と同様に加工、接着、硬化、補助硬化施工した。その
評価を実施例1と同じようにして結果を表1に記載し
た。
【0099】比較例3 比較例1において、光開始剤としてダロキュアー117
3を1.0部から0.5部に変更したこと以外は同様に
して、比較の光硬化プリプレグFRPシートを接着硬化
施工した。その評価を実施例1と同じようにして結果を
表1に記載した。
【0100】
【表1】
【0101】表1から明らかなように、実施例1〜3に
おいて、本発明の複層材料は、施工工程数が少なく、作
業時間も短時間であり、施工性と接着性とに優れたもの
であることから、基材への接着強度や耐久性等を向上し
て安定的に接着することができ、接着不良が充分に抑制
され、各種の基材における多様な用途に対応しうるもの
であることがわかった。
【0102】
【発明の効果】本発明の複層材料は、上述の構成よりな
るので、施工性に優れ、各種の基材に対して接着不良が
充分に抑制され、硬化物が充分な基本性能を有し、しか
も、接着強度や耐久性等が向上されたものであることか
ら、各種の建造物、機械類、自動車、船舶、家庭用品等
における構造部材、配管類、ライニング材等に用いるこ
とができて多様な用途に対応しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層材料において、基材に接着して硬
化させるまでの状態を示す一実施形態における断面模式
図である。
【図2】本発明の複層材料において、基材の端部や曲面
を有する基材に接着されている状態を示す一実施形態に
おける断面模式図である。
【図3】(1)は、実施例において用いられた円筒鋼板
に光硬化プリプレグFRPシートを施工した後の状態を
示す模式図である。(2)は、実施例において用いられ
た鋼板に光硬化プリプレグFRPシートを施工した後の
状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 硬化性成形材料層(a) 2 粘着層(b) 3 離型層(c) 4 基材 5 接合部
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA19 AB03 AG00 AK01A AK02A AK25G AK44 AL01A BA03 BA10A BA10C BA13 CB05B DG03 DG10 DH01 EH46 EH76 EJ08 EJ54 EJ85 JB12A JB12B JB14A JB14B JK06 JL00 JL01 JL13B JL14C 4J004 AA04 AA05 AA06 AA07 AA08 AA10 AB01 AB07 CA03 CA04 CA05 CA06 CB01 CB02 CC02 DA02 DA04 DB03 FA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性成形材料層(a)、粘着層(b)
    及び離型層(c)を含んでなる複層材料であって、該硬
    化性成形材料層(a)の片面に内側から該粘着層(b)
    及び該離型層(c)をこの順に有し、該硬化性成形材料
    層(a)は、重合体及び重合性不飽和単量体を必須とす
    る硬化性樹脂を含んでなる樹脂組成物からなり、該粘着
    層(b)は、該層内に該重合性不飽和単量体を遮断する
    支持体を有しないものであることを特徴とする複層材
    料。
  2. 【請求項2】 前記粘着層(b)は、硬化性を有するも
    のであることを特徴とする請求項1記載の複層材料。
  3. 【請求項3】 前記硬化性成形材料層(a)及び/又は
    前記粘着層(b)は、光硬化性を有するものであること
    を特徴とする請求項1又は2記載の複層材料。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の複層材料を含
    んでなることを特徴とする補強材。
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