JP6077903B2 - フルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物 - Google Patents

フルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物 Download PDF

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本発明は、フルオレン骨格(例えば、9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有するポリヒドロキシ化合物に関する。
ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などのフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有することが知られており、樹脂原料などとして使用されている。
このようなフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物としては、上記のように、2官能性の化合物(ジヒドロキシ化合物)が一般的であるが、さらに多官能化された化合物も開発されつつある。例えば、特開2005−104935号公報(特許文献1)には、9−フルオレノンとカテコールとを、β−メルカプトプロピオン酸および硫酸の存在下で反応させ、9,9−ビス(3,4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン)を得たこと、このビスカテコールフルオレンとエチレンカーボネートとを反応させ、ビスカテコールフルオレンに対してエトキシ基が付加した多価アルコールを得たこと、さらには、この多価アルコールとアクリル酸とを反応させて、純度98%のテトラアクリル酸エステルを得たことが記載されている。
フルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物は、例えば、上記特許文献1に記載のように、9−フルオレノンと、対応するフェノール類(例えば、フェノール、クレゾール、カテコールなど)やフェノキシアルカノール類(例えば、2−フェノキシエタノールなど)とを、酸触媒の存在下で反応させる方法などにより得ることができる。
そして、特開2010−100770号公報(特許文献2)には、このような反応において、2−フェノキシエタノールなどを用いると、目的生成物であるビスフェノキシエタノールフルオレン[すなわち、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン]など以外に、微量の副生物として、下記式で表される化合物が得られることが開示されている。
Figure 0006077903
(式中、R11、R12及びR13はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し;X11及びX12はそれぞれ独立して、C〜Cのアルキレン基を表す。)
一方、特開2011−219465号公報(特許文献3)には、9−フルオレノンと9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンとを、3−メルカプトプロピオン酸および硫酸の存在下で反応させ、下記式で表される多核体化合物を得たことが記載されている。
Figure 0006077903
特開2005−104935号公報(特許請求の範囲、実施例) 特開2010−100770号公報(特許請求の範囲、段落[0012]、実施例) 特開2011−219465号公報(特許請求の範囲、実施例)
本発明の目的は、フルオレン骨格(9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有する新規なポリヒドロキシ化合物(ポリヒドロキシ化合物の混合物又は組成物)を提供することにある。
本発明の他の目的は、樹脂原料として有用な新規なフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、硬化性を改善又は向上するのに有用なフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物を提供することにある。
本発明の別の目的は、フルオレン骨格由来の特性(例えば、高屈折率など)を損なうことなく、硬化性を改善又は向上できるフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物を提供することにある。
特許文献3において、多核体(又は多量体)を得るためにポリヒドロキシ化合物である9,9−ビス(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)フルオレンそのものを原料として用いていることからも明らかなように、フルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物においては、特許文献2の製造過程において不純物として微量の多核体化合物が得られる場合があるものの、2−フェノキシエタノールを用いた場合など、限定的な条件下で多核体が得られると認識され、また、多核体は特許文献3のようにそのまま用いるか、特許文献2のようにポリエステル樹脂などの熱可塑性樹脂の原料として用い、生成物としてのジヒドロキシ化合物[9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレンなど]にごく微量添加して使用できる場合があると認識されるにとどまっていた。
このような中、本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物の中でも、4以上のヒドロキシル基を有するフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物の場合にも、特定の構造を有する多核体が存在すること、また、このような多核体を含む(特に比較的多く含む)ポリヒドロキシ化合物を、熱又は光硬化性樹脂(例えば、アクリル樹脂など)原料に用いると、意外にも、多核体を含まない場合に比べて、硬化性を向上又は改善できること、さらには、フルオレン骨格由来の優れた特性を損なうことなく、このような硬化性を改善できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明のポリヒドロキシ化合物(ポリヒドロキシ組成物)は、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物とを含む。
Figure 0006077903
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、kは0〜4の整数、Xは基−[O−(RO)−H](式中、Rはアルキレン基、mは0以上の整数を示す)、nは2以上の整数、Rは置換基、pは0以上の整数、qは0以上の整数を示す。]
上記式(1)および(2)において、環Zはベンゼン環又はナフタレン環であってもよく、RはC2−4アルキレン基であってもよく、mは0〜10程度であってもよく、nは2〜4程度であってもよく、Rはアルキル基又はアリール基であってもよく、pは0〜3程度であってもよい。特に、前記式(1)および(2)において、環Zがベンゼン環、RがC2−4アルキレン基、mが0〜2、nが2又は3、pが0であってもよい。
また、前記式(1)および(2)において、下記式(a)
Figure 0006077903
(式中、Z、X、R、n、pは前記と同じ。)
で表される基(ユニット)が、下記式(a1)
Figure 0006077903
(式中、p1は0〜3の整数を示し、X、Rは前記と同じ。)
で表される基(ユニット)であってもよい。
本発明のポリヒドロキシ化合物において、式(2)で表される化合物の割合は、例えば、式(1)で表される化合物100モルに対して、10モル以上であってもよい。
また、式(2)で表される化合物は、特に、式(2)においてqが0である化合物(2A)および式(2)においてqが1である化合物(2B)を少なくとも含んでいてもよい。このような場合、化合物(2A)と化合物(2B)との割合は、例えば、前者/後者(モル比)=99/1〜50/50程度であってもよい。
代表的には、式(2)で表される化合物の割合が、式(1)で表される化合物100モルに対して20モル以上であり、化合物(2A)と化合物(2B)との割合が、前者/後者(モル比)=90/10〜50/50程度であってもよい。
本発明には、前記ポリヒドロキシ化合物を重合成分(例えば、ポリオール成分)とする樹脂が含まれる。このような樹脂は、特に、ポリヒドロキシ化合物をポリオール成分とする熱又は光硬化性樹脂[例えば、ポリヒドロキシ化合物のポリ(メタ)アクリレート(ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル基を(メタ)アクリロイルオキシ基に置換した化合物)]であってもよい。また、本発明には、上記樹脂(熱又は光硬化性樹脂)の硬化物も含まれる。
本発明では、フルオレン骨格(9,9−ビスアリールフルオレン骨格)を有する新規なポリヒドロキシ化合物(ポリヒドロキシ化合物の混合物又は組成物)が得られる。このようなポリヒドロキシ化合物は、4以上のヒドロキシル基を有する特定のフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物に加え、通常不純物と認識される、このポリヒドロキシ化合物の多量体化合物を含んでいるにもかかわらず、意外にも有用性が高く、樹脂原料などとして有用である。特に、本発明のポリヒドロキシ化合物は、熱又は光硬化性樹脂又はその原料として用いると、4以上のヒドロキシル基を有する特定のフルオレン骨格を有するポリヒドロキシ化合物単独の場合に比べて、硬化性を改善又は向上できる。例えば、アクリル樹脂の原料として用いると、硬化性(又は架橋性)が向上し、より高硬度の硬化物を得ることができる。
しかも、本発明のポリヒドロキシ化合物は、前記の通り、通常不純物と認識されうる多量体化合物を含んでいるにもかかわらず、意外にもフルオレン骨格由来の特性(例えば、高屈折率など)を損なうことがない。そのため、例えば、フルオレン骨格由来の特性を損なうことなく、硬化性などを改善又は向上でき、極めて有用性が高い。
[ポリヒドロキシ化合物]
本発明の新規なポリヒドロキシ化合物は、下記式(1)で表される化合物(化合物(1)ということがある)と、下記式(2)で表される化合物(化合物(2)ということがある)とを含む。
Figure 0006077903
[式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、kは0〜4の整数、Xは基−[O−(RO)−H](式中、Rはアルキレン基、mは0以上の整数を示す)、nは2以上の整数、Rは置換基、pは0以上の整数、qは0以上の整数を示す。]
上記式(1)および(2)において、芳香族炭化水素環Zとしては、ベンゼン環、縮合多環式アレーン環などが挙げられる。縮合多環式アレーン環としては、縮合二環式アレーン(例えば、ナフタレンなどのC8−20縮合二環式炭化水素、好ましくはC10−16縮合二環式アレーン)環、縮合三環式アレーン(例えば、アントラセン、フェナントレンなど)環などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式アレーン環としては、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられ、特にナフタレン環が好ましい。
代表的な芳香族炭化水素環は、ベンゼン環、ナフタレン環である。なお、式(1)又は式(2)において、複数のZは同一の又は異なる芳香族炭化水素環であってもよく、通常、同一であってもよい。また、式(1)と式(2)においても、Zは同一又は異なる芳香族炭化水素環であってもよいが、通常、同一であってもよい。
前記式(1)又は(2)において、基Rとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、カルボキシル基、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)などの後述の炭化水素基など]などが挙げられ、特に、アルキル基などである場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−12アルキル基(例えば、C1−8アルキル基、特にメチル基などのC1−4アルキル基)などが例示できる。なお、kが複数(2〜4)である場合、複数の基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、式(1)又は(2)において、複数のRは、同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、式(1)と式(2)においても、Rは同一又は異なる基であってもよく、通常、同一であってもよい。
なお、基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2位、7位、2および7位などが挙げられる。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、置換数kは、式(1)又は(2)において、同一又は異なっていてもよく、式(1)と式(2)とにおいても同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)又は(2)において、基Rで表されるアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などのC2−6アルキレン基、好ましくはC2−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基が挙げられる。
また、式(1)又は(2)において、mが2以上であるとき、基Rは同一であってもよく、異なるアルキレン基(例えば、エチレン基とプロピレン基)で構成されていてもよい。なお、これらのアルキレン基に対応するオキシアルキレン基の置換数であるmは、式(1)又は(2)において、同一であっても、異なっていてもよい。
前記式(1)又は(2)において、オキシアルキレン基(OR)の数mは、0〜30(例えば、0〜25)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜20(例えば、0〜10)、好ましくは0〜8(例えば、1〜8)、さらに好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、特に0〜4(例えば、1〜4)、特に好ましくは0〜3(例えば、1〜3)程度であってもよく、通常0〜2(例えば、1〜2)であってもよい。特に、高炭素密度などの観点からは、mは0〜2、好ましくは0〜1程度であるのが好ましく、硬化性やハンドリング性などの観点からは1以上(例えば、1〜4)、好ましくは1〜2程度であってもよい。そのため、式(1)又は(2)において、mが1〜2(特に1)である化合物は、高炭素密度などの優れた特性を有しつつ、十分な硬化性やハンドリング性をバランス良く有しており、好適である。なお、式(1)又は(2)において、mは同一又は異なる数であってもよい。また、式(1)と式(2)においても、mは同一又は異なる数であってもよい。
式(1)又は(2)において、基X(すなわち、基−[O−(RO)−H])の数nは、2以上であればよく、環Zの種類などに応じて選択でき、例えば、2〜6(例えば、2〜4)、好ましくは2〜3、さらに好ましくは2であってもよい。なお、式(1)又は(2)において、nは同一又は異なる数であってもよく、通常同一であってもよい。また、式(1)と式(2)においても、nは同一又は異なる数であってもよく、通常同一であってもよい。
なお、基Xの置換位置は、特に限定されず、Zの種類などに応じて適当な置換位置に置換していればよい。例えば、Zがベンゼン環であるとき、基Xはフルオレンの9位に置換したベンゼン環の2〜6位の適当な位置(特に、2,4位、3,4位などの少なくとも4位)に置換していてもよい。
式(1)又は(2)において、置換基Rとしては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのC1−12アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロへキシル基などのC5−8シクロアルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのC6−10アリール基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基などのC1−8アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などの基−OR[式中、Rは炭化水素基(前記例示の炭化水素基など)を示す。];アルキルチオ基(メチルチオ基などのC1−8アルキルチオ基など)などの基−SR(式中、Rは前記と同じ。);アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシ−カルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。
好ましい基Rとしては、例えば、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などが挙げられる。特に、Rは、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]、アリール基[例えば、C6−10アリール基(特にフェニル基)など]などであってもよい。
なお、pが複数である場合、複数の基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、式(1)又は式(2)の環Zにおいて、基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。さらに、式(1)と式(2)においても、基Rは同一又は異なる基であってもよく、特に同一であってもよい。
式(1)又は(2)において、好ましい置換数pは、例えば、0〜4(例えば、0〜3)、好ましくは0〜2、さらに好ましくは0〜1、特に0であってもよい。なお、式(1)又は(2)において、置換数pは、同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。また、式(1)と式(2)においても、置換数pは、同一又は異なっていてもよく、通常同一であってもよい。
代表的には、式(1)および(2)において、下記式(a)
Figure 0006077903
(式中、Z、X、R、n、pは前記と同じ。)
で表される基(ユニット)は、下記式(a1)
Figure 0006077903
(式中、p1は0〜3の整数を示し、X、Rは前記と同じ。)
で表される基(ユニット)であってもよい。
なお、ユニット(a1)の中でも、特に、下記式(a1−1)で表されるユニットを有する化合物(2)は、対応する化合物(1)の合成過程において不純物として得られやすいため、本発明のポリヒドロキシ化合物を効率よく得る上で有利である。
Figure 0006077903
(式中、X、R、p1は前記と同じ。)
本発明のポリヒドロキシ化合物は、化合物(1)に加えて、化合物(2)を含むことに特徴を有する。このような化合物(2)は、化合物(1)の多量体(オリゴマー)に対応する構造を有している。
式(2)において、qは0以上の整数であれば特に限定されず、0〜30(例えば、0〜20)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜10、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0〜4、特に0〜3であってもよい。
式(2)で表される化合物は、qにおいて単一の化合物であってもよく、特に、qの値において異なる複数の化合物(2)との混合物であってもよい。通常、化合物(2)は、式(2)においてqが0である化合物(すなわち、下記式(2A)で表される化合物、化合物(2A)ということがある。)を少なくとも含む場合が多く、特に、化合物(2A)と、式(2)においてqが1である化合物(すなわち、下記式(2B)で表される化合物、化合物(2B)ということがある。)とを少なくとも含む場合が多い。
Figure 0006077903
(式中、Z、R、k、X、n、R、pは前記と同じ。)
化合物(2A)の割合は、例えば、化合物(2)全体に対して、1モル%以上(例えば、3〜100モル%)程度の範囲から選択でき、例えば、5モル%以上(例えば、7〜90モル%)、好ましくは10モル%以上(例えば、15〜80モル%)、さらに好ましくは20モル%以上(例えば、25〜75モル%)、特に30モル%以上(例えば、35〜70モル%)であってもよい。
化合物(2)が化合物(2B)を含む場合、化合物(2B)の割合は、例えば、化合物(2)全体に対して、1モル%以上(例えば、2〜80モル%)程度の範囲から選択でき、例えば、3モル%以上(例えば、4〜70モル%)、好ましくは5モル%以上(例えば、7〜60モル%)、さらに好ましくは10モル%以上(例えば、12〜50モル%)、特に15モル%以上(例えば、18〜40モル%)であってもよい。
また、化合物(2)が化合物(2A)および化合物(2B)を含む場合、化合物(2A)および化合物(2B)の総量の割合は、化合物(2)全体に対して、5モル%以上(例えば、10〜100モル%)の範囲から選択でき、例えば、20モル%以上(例えば、25〜100モル%)、好ましくは30モル%以上(例えば、35〜95モル%)、さらに好ましくは40モル%以上(例えば、45〜90モル%)、特に50モル%以上(例えば、55〜85モル%)であってもよい。
また、化合物(2)が化合物(2A)および化合物(2B)を含む場合、化合物(2A)と化合物(2B)との割合は、前者/後者(モル比)=99/1〜5/95(例えば、98/2〜15/85)程度の範囲から選択でき、例えば、97/3〜20/80(例えば、96/4〜30/70)、好ましくは95/5〜40/60(例えば、93/7〜45/55)、さらに好ましくは90/10〜50/50(例えば、85/15〜55/45)程度であってもよく、通常99/1〜50/50(例えば、95/5〜55/45、好ましくは90/10〜60/40、さらに好ましくは85/15〜63/37、特に80/20〜65/35)程度であってもよい。
本発明のポリヒドロキシ化合物において、化合物(2)の割合は、化合物(1)100モルに対して、1モル以上(例えば、5〜1000モル)程度の範囲から選択でき、例えば、10モル以上(例えば、15〜800モル)、好ましくは20モル以上(例えば、25〜500モル)、さらに好ましくは30モル以上(例えば、35〜300モル)程度であってもよく、通常10〜250モル(例えば、15〜200モル、好ましくは20〜180モル、さらに好ましくは30〜150モル、特に40〜130モル)程度であってもよい。
特に、化合物(2A)の割合は、化合物(1)100モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、3〜500モル)、好ましくは5モル以上(例えば、8〜300モル)、さらに好ましくは10モル以上(例えば、15〜100モル)程度であってもよく、通常5〜80モル(例えば、8〜70モル、好ましくは10〜65モル、さらに好ましくは15〜65モル、特に20〜60モル)程度であってもよい。
また、化合物(2)が化合物(2B)を含む場合、化合物(2B)の割合は、化合物(1)100モルに対して、例えば、1モル以上(例えば、2〜300モル)、好ましくは3モル以上(例えば、4〜100モル)、さらに好ましくは5モル以上(例えば、7〜80モル)程度であってもよく、通常3〜70モル(例えば、4〜60モル、好ましくは5〜50モル、さらに好ましくは7〜40モル、特に10〜30モル)程度であってもよい。
さらに、化合物(2)が化合物(2A)および化合物(2B)を含む場合、化合物(2A)および化合物(2B)の総量の割合は、化合物(1)100モルに対して、例えば、5モル以上(例えば、7〜500モル)、好ましくは10モル以上(例えば、15〜300モル)、さらに好ましくは20モル以上(例えば、25〜200モル)程度であってもよく、通常10〜100モル(例えば、15〜90モル、好ましくは20〜85モル、さらに好ましくは30〜80モル、特に35〜75モル)程度であってもよい。
[ポリヒドロキシ化合物の製造方法]
本発明のポリヒドロキシ化合物は、上記の通り、化合物(1)と化合物(2)との混合物(組成物)であり、その製造方法は特に限定されないが、例えば、(i)化合物(1)の合成過程において化合物(2)を生成(副生)させ、化合物(1)と化合物(2)との混合物を得る方法、(ii)化合物(2)を合成し、化合物(1)と混合する方法、(iii)これらを組み合わせる方法などが挙げられる。
方法(i)は、化合物(1)の合成とともに、化合物(2)を副生させることができ、別途化合物(2)を調製する必要がない点で好適である。
一方、方法(ii)は、別途化合物(2)を調製する必要があるが、化合物(1)の種類によっては合成過程において化合物(2)が得られにくい場合などにおいて好適である。
なお、化合物(2)を得る方法としては、前記特許文献3(特開2011−219465号公報)に記載の方法、すなわち、化合物(1)とフルオレノン類(後述の式(1a)で表される化合物)とを酸触媒の存在下で反応させる方法などを利用できる。
また、方法(iii)は、化合物(i)の合成過程において化合物(2)が副生するものの、微量のため、所望のポリヒドロキシ化合物を得にくい場合などに有用である。
以下、方法(i)について詳述する。
方法(i)では、特に限定されないが、下記式(1a)で表される化合物(フルオレノン類ということがある)と、下記式(1b)で表される化合物とを反応させる。この反応に伴い、化合物(1)が生成するとともに、化合物(2)が生成(副生)し、化合物(1)と化合物(2)との混合物の形態で反応物が得られる。なお、前記式(1)又は(2)において、mが1以上である場合、mが0又は1である化合物を得、得られた化合物に、対応するアルキレンオキサイド(例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのC2−4アルキレンオキサイド)などを反応させることもできる。
Figure 0006077903
(式中、Z、R、k、X、n、R、pは前記と同じ。)
上記式(1a)および(1b)において、Z、R、k、X、n、R、pは前記と同じであり、好ましい態様もまた前記と同様である。代表的な式(1a)で表される化合物(フルオレノン類)としては、例えば、9−フルオレノンが挙げられる。フルオレノン類の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上であり、好ましくは98重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上であってもよい。
また、代表的な前記式(1b)で表される化合物としては、前記式(a1)で表されるユニットに対応する化合物、例えば、ジヒドロキシベンゼン(例えば、レゾルシノール、カテコールなど)、アルキルジヒドロキシベンゼン(例えば、3,5−ジヒドロキシトルエン、2,6−ジヒドロキシ−p−キシレンなどのモノ又はジアルキル−ジヒドロキシベンゼン)などの前記式(1b)においてZがベンゼン環、mが0、nが2である化合物:これらの化合物に対応し、mが1以上(例えば、1〜4)である化合物、例えば、ジ(ヒドロキシアルコキシ)ベンゼン[例えば、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの1,3−ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ベンゼン]:これらの化合物に対応し、nが3以上である化合物(例えば、ピロガロールなど)などが挙げられる。
特に、前記式(a1−1)で表されるユニットに対応する化合物である、レゾルシノールや、レゾルシノールに対応し、mが1以上である化合物[1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど]は、化合物(2)を副生しやすいようであり、好適である。
反応において、式(1b)で表される化合物の使用量は、フルオレノン類1モルに対して、例えば、2モル以上(例えば、2.2〜20モル)、好ましくは2.5モル以上(例えば、2.7〜15モル)、さらに好ましくは2.8モル以上(例えば、3〜10モル)程度であってもよい。なお、式(1b)で表される化合物の使用量が多いと、化合物(2)を副生しやすいようである。
また、反応は、通常、酸触媒の存在下で行ってもよい。酸触媒としては、例えば、無機酸{例えば、硫酸、ハロゲン化水素(塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素など)、ハロゲン化水素酸[例えば、塩酸(例えば、5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)、臭化水素酸、ヨウ化水素酸など]、リン酸など}、有機酸{例えば、カルボン酸、スルホン酸[例えば、アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸などのC1−4アルカンスルホン酸など)、アレーンスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸(p−トルエンスルホン酸など)などのC6−10アレーンスルホン酸)、ハロアルカンスルホン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸などのハロC1−4アルカンスルホン酸など)など]など}などが挙げられる。前記硫酸には、希硫酸(例えば、濃度30〜90重量%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90重量%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。特に、硫酸としては、濃硫酸を好適に使用してもよい。なお、酸触媒として、固体酸(無機固体酸、イオン交換樹脂などの有機固体酸など)を使用することもできる。酸触媒は、単独又は2種以上組み合わせてもよい。
酸触媒(例えば、無機酸又は有機酸)の使用量は、酸触媒の種類や化合物(1b)の種類などにもよるが、例えば、式(1a)で表される化合物1重量部に対して、0.01〜30重量部、好ましくは0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.2〜10重量部程度であってもよい。特に、酸触媒が硫酸である場合、硫酸の使用量は、式(1)で表される化合物1重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部(例えば、0.3〜5重量部)、さらに好ましくは0.5〜4重量部(例えば、0.7〜3重量部)、特に0.8〜2.5重量部程度であってもよい。
なお、酸触媒の使用量は、酸触媒の種類や化合物(1b)の種類にもよるが、例えば、式(1a)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.1〜100モル、好ましくは0.5〜50モル、さらに好ましくは1〜20モル程度であってもよい。特に、酸触媒が硫酸である場合、硫酸の使用量は、式(1a)で表される化合物1モルに対して、例えば、0.1〜20モル、好ましくは0.5〜10モル、さらに好ましくは1〜8モル程度であってもよい。
反応は、酸触媒に加えて、助触媒としてのチオール類を併用して行ってもよい。酸触媒とチオール類とを組み合わせると、反応を効率よく進行できる。チオール類としては、助触媒として機能する慣用のチオール類、例えば、メルカプトカルボン酸(チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、アルキルメルカプタン(例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのC1−20アルキルメルカプタン、好ましくはC1−16アルキルメルカプタンなど)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)などが挙げられる。
これらのチオール類のうち、メルカプトカルボン酸[例えば、メルカプトC2−6アルカン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸)などのメルカプトアルカン酸]、アルキルメルカプタン(例えば、C1−16アルキルメルカプタン)が好ましく、特に、メルカプトカルボン酸が好ましい。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
チオール類の使用量は、例えば、式(1a)で表される化合物1重量部に対して、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、さらに好ましくは0.2〜5重量部程度であってもよい。また、チオール類の割合は、酸触媒100重量部に対して、例えば、例えば、1〜50重量部(例えば、1.5〜40重量部)、好ましくは2〜35重量部(例えば、2.5〜30重量部)、さらに好ましくは3〜25重量部(例えば、3.5〜20重量部)程度であってもよい。
反応は、溶媒中(又は溶媒の存在下)で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどの鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類)、グリコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、セロソルブなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類(メチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、ニトリル類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC6−12アレーン、好ましくはC6−10アレーン、さらに好ましくはC6−8アレーン)など]、ハロゲン系溶媒(例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
反応温度は、特に限定されないが、例えば、20〜200℃、好ましくは40〜170℃(例えば、45〜150℃)、さらに好ましくは50〜120℃(例えば、55〜110℃)程度であってもよく、通常40〜100℃(例えば、50〜90℃)程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、好ましくは2〜10時間程度であってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
なお、反応混合物には、目的物(化合物(1)および化合物(2))に加えて、未反応成分、触媒などが含まれているため、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を利用して精製してもよい。
このようにして、反応物として、化合物(1)および化合物(2)を含むポリヒドロキシ化合物が得られる。なお、反応物において、化合物(2)の量が所望の用途において少ない場合には、前記のように、別途調製した化合物(2)を新たに混合してもよい。また、反応物において、化合物(2)の量が所望の用途において多い場合には、慣用の方法により化合物(2)の一部を分離(例えば、カラムクロマトグラフィーを用いて分離)し、化合物(2)の量を調整することもできる。
[ポリヒドロキシ化合物の用途]
本発明のポリヒドロキシ化合物は、多数のヒドロキシル基に加えて、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。このため、本発明のポリヒドロキシ化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤、樹脂用添加剤、硬化剤(樹脂用硬化剤)など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
これらの用途の中でも、樹脂原料として好適である。すなわち、ポリヒドロキシ化合物は、多数のヒドロキシル基を有しているため、樹脂原料として用いることができる。このような樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱又は光硬化性樹脂のいずれであってもよいが、特に、熱又は光硬化性樹脂であってもよい。本発明のポリヒドロキシ化合物を、熱又は光硬化性樹脂原料として用いると、硬化物の硬化性を効率よく改善又は向上させることができる。
具体的な樹脂原料としては、例えば、熱又は光硬化性樹脂[例えば、アクリル樹脂(例えば、ポリヒドロキシ化合物のポリ(メタ)アクリレート(ポリヒドロキシ化合物のヒドロキシル基を(メタ)アクリレート化した化合物)などの多官能性(メタ)アクリレート)、ビニルエーテル樹脂、エポキシ樹脂(例えば、ポリヒドロキシ化合物のグリシジルエーテルなど)、フェノール樹脂など]のポリオール成分などが挙げられる。なお、フェノール樹脂のポリオール成分(フェノール成分)として用いる場合には、前記式(1)又は(2)において、mが0である化合物を好適に用いてもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(屈折率)
多波長アッベ屈折計(アタゴ製、DR−M2<循環式恒温水槽60−C3使用>)を用い、温度25℃を保持し、589nmでの硬化前後の屈折率を測定した。
(鉛筆硬度)
JIS5600−5−4に準拠して測定した。すなわち、硬化膜を鉛筆硬度計(新東科学(株)製「HEIDON−14」)に設置し、各種鉛筆を750gの荷重をかけつつ、45度の角度で押しつけ、1mm/秒の速度で硬化膜上を移動させ、硬化膜に生じた傷の有無を目視にて確認することにより、鉛筆硬度を測定した。
(HPLC)
日立ハイテクノロジーズ製 高速液体クロマトグラフLaChrom Eliteを用いて、LC純度を測定した。
(分取の方法およびモル比の算出方法)
分取用カラムにて、得られた生成物から各成分を分離したのち、各成分それぞれをHPLCにて測定し、検量線を作成することで、得られた生成物における各成分のモル比を算出した。
(実施例1)
9−フルオレノン126g(約0.7モル)、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン555g(約2.8モル)、β−メルカプトプロピオン酸9.8ml、および1,4−ジオキサン280gを反応器に入れ、80℃の加熱状態で98%硫酸147mlを滴下し、12時間反応を行った。反応終了後、MIBK(メチルイソブチルケトン)200mlおよび水100mlを加えて抽出した。同操作を3回行うことによって、余剰の硫酸を除去した。溶媒濃縮後、トルエン800mlを加えたのち、10℃まで冷却することによって、粉末295gを得た。得られた粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析したところ、下記式(1−1)で表される化合物(以下、化合物(1−1)という)、下記式(2A−1)で表される化合物(以下、化合物(2A−1)という)、下記式(2B−1)で表される化合物(以下、化合物(2B−1)という)を含んでいることがわかった。なお、これらの化合物の同定は、核磁気共鳴(NMR)および電解脱離質量分析法(FD−MS)により行い、HPLCの各ピークがそれぞれ、下記構造であることを確認した。
Figure 0006077903
なお、HPLCの面積%において、化合物(1−1)は66%、化合物(2A−1)は19%、化合物(2B−1)は9%であり、残部のほとんどが化合物(2A−1)および化合物(2B−1)以外の化合物(2)であった。また、化合物(1−1)100モルに対する、化合物(2A−1)および化合物(2B−1)の総量の割合は43モルであり、化合物(2A−1)と化合物(2B−1)との割合は、前者/後者(モル比)=67/33であり、HPLC面積比とほほ同じであった。
(実施例2)
実施例1で得られた粉末(化合物(1−1)、化合物(2A−1)および化合物(2B−1)を含むポリヒドロキシ化合物)40g、アクリル酸43g(0.6モル)、70重量%のメタンスルホン酸水溶液1g、ハイドロキノン0.01g及びトルエン100mLをディーンシュタークトラップを取り付けた反応器に入れ、トルエン還流下に5時間エステル化反応を行なった。エステル化反応中に生成した水は、ディーンシュタークトラップにより除去し、反応物45gを得た。
反応物を実施例1と同様にして分析したところ、実施例1で得られたポリヒドロキシ化合物のポリアクリレート(すなわち、化合物(1−1)、化合物(2A−1)、化合物(2B−1)のヒドロキシル基がアクリロイルオキシ基に置換した化合物)であることを確認した。
得られたポリアクリレート40gに、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.6gを加えた後、積算光量500mJ/cmで紫外線を照射することで、硬化物を得た。
硬化物の屈折率は1.59であり、鉛筆硬度(ガラス基材上、厚み10μm)は3Hであった。
(実施例3)
9−フルオレノン36g(約0.2モル)、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン118g(約0.6モル)、β−メルカプトプロピオン酸0.4ml、および1,4−ジオキサン60gを反応器に入れ、80℃の加熱状態で98%硫酸12mlを滴下し、12時間反応を行った。反応終了後、MIBK(メチルイソブチルケトン)200mlおよび水100mlを加えて抽出した。同操作を3回行うことによって、余剰の硫酸を除去した。溶媒濃縮後、トルエン200mlを加えたのち、10℃まで冷却することによって、粉末80gを得た。得られた粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析したところ、前記化合物(1−1)、前記化合物(2A−1)、前記化合物(2B−1)を含んでいることがわかった。なお、これらの化合物の同定は、実施例1と同様にして行った。
なお、HPLCの面積%において、化合物(1−1)は45%、化合物(2A−1)は21%、化合物(2B−1)は11%であり、残部のほとんどが化合物(2A−1)および化合物(2B−1)以外の化合物(2)であった。また、化合物(1−1)100モルに対する、化合物(2A−1)および化合物(2B−1)の総量の割合は71モルであり、化合物(2A−1)と化合物(2B−1)との割合は、前者/後者(モル比)=66/34であり、HPLC面積比とほほ同じであった。
(実施例4)
実施例2において、実施例1で得られた粉末に代えて、実施例3で得られた粉末40gを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、反応物45gを得、実施例3で得られたポリヒドロキシ化合物のポリアクリレート(すなわち、化合物(1−1)、化合物(2A−1)、化合物(2B−1)のヒドロキシル基がアクリロイルオキシ基に置換した化合物)であることを確認した。
得られたポリアクリレート40gに、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.6gを加えた後、積算光量500mJ/cmで紫外線を照射することで、硬化物を得た。
硬化物の屈折率は1.59であり、鉛筆硬度(ガラス基材上、厚み10μm)は3Hであった。
(比較例1)
実施例1で得られた粉末について、さらに、メチルイソブチルケトン(MIBK)およびトルエンを用いて、再結晶を繰り返し行い、粉末を得た。
得られた粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析したところ、化合物(1−1)のみであり、化合物(2A−1)や化合物(2B−1)のような多量体化した化合物の存在を確認することはできなかった(すなわち、再結晶により多量体化した化合物が分離除去されていた)。
そして、実施例2において、実施例1で得られた粉末に代えて、上記のように再結晶を繰り返して得られた粉末40gを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、反応物45gを得、ポリアクリレート(テトラアクリレート、すなわち、化合物(1−1)のヒドロキシル基がアクリロイルオキシ基に置換した化合物)であることを確認した。
得られたポリアクリレート40gに、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.6gを加えた後、積算光量500mJ/cmで紫外線を照射することで、硬化物を得た。
硬化物の屈折率は1.59であり、鉛筆硬度(ガラス基材上、厚み10μm)はHであった。この結果より、多量体化した化合物を含むことにより、屈折率を低下させることなく、鉛筆硬度を大きく向上できることがわかった。
(比較例2)
実施例3において、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン118gに代えてカテコール(1,2−ジヒドロキベンゼン)88g(0.8モル)を用いるとともに、硫酸を12mLに代えて5mL用いたこと以外は、実施例3と同様にして粉末65gを得た。
得られた粉末を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析したところ、下記式で表される化合物(以下、化合物(1−2)という)であり、前記化合物(2A−1)や化合物(2B−1)のような多量体化した化合物の存在を確認することはできなかった。なお、化合物の同定は、実施例1と同様に、NMRおよびFD−MSにより行い、HPLCのピークが下記構造であることを確認した。
Figure 0006077903
(比較例3)
実施例2において、実施例1で得られた粉末に代えて、比較例で得られた粉末40gを用いたこと以外は、実施例2と同様にして、反応物45gを得、比較例で得られたポリヒドロキシ化合物(テトラヒドロキシ化合物)のポリアクリレート(テトラアクリレート、すなわち、化合物(1−2)のヒドロキシル基がアクリロイルオキシ基に置換した化合物)であることを確認した。
得られたポリアクリレート40gに、光重合開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)0.6gを加えた後、積算光量500mJ/cmで紫外線を照射することで、硬化物を得た。
硬化物の屈折率は1.60であり、鉛筆硬度(ガラス基材上、厚み10μm)はHであり、比較例1とほとんど同じ結果が得られた。
本発明のポリヒドロキシ化合物は、樹脂原料(例えば、アクリル樹脂などの熱又は光硬化性樹脂のポリオール成分など)の他、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤、樹脂用添加剤、硬化剤(樹脂用硬化剤)など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)などとして用いることができる。

Claims (12)

  1. 下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物とを含み、下記式(2)で表される化合物の割合が、下記式(1)で表される化合物100モルに対して、5モル以上であるポリヒドロキシ混合物
    Figure 0006077903
    [式中、環Zは芳香族炭化水素環、Rは置換基、kは0〜4の整数、Xは基−[O−(RO)−H](式中、Rはアルキレン基、mは0以上の整数を示す)、nは2以上の整数、Rは置換基、pは0以上の整数、qは0以上の整数を示す。]
  2. 式(1)および(2)において、環Zがベンゼン環又はナフタレン環、RがC2−4アルキレン基、mが0〜10、nが2〜4、Rがアルキル基又はアリール基、pが0〜3である請求項1記載のポリヒドロキシ混合物
  3. 式(1)および(2)において、環Zがベンゼン環、RがC2−4アルキレン基、mが0〜2、nが2又は3、pが0である請求項1又は2記載のポリヒドロキシ混合物
  4. 式(1)および(2)において、下記式(a)
    Figure 0006077903
    (式中、Z、X、R、n、pは前記と同じ。)
    で表される基が、下記式(a1)
    Figure 0006077903
    (式中、p1は0〜3の整数を示し、X、Rは前記と同じ。)
    で表される基である請求項1〜3のいずれかに記載のポリヒドロキシ混合物
  5. 式(2)で表される化合物の割合が、式(1)で表される化合物100モルに対して、10モル以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリヒドロキシ混合物
  6. 式(2)で表される化合物が、式(2)においてqが0である化合物(2A)および式(2)においてqが1である化合物(2B)を少なくとも含む請求項1〜5のいずれかに記載のポリヒドロキシ混合物
  7. 化合物(2A)と化合物(2B)との割合が、前者/後者(モル比)=99/1〜50/50である請求項6記載のポリヒドロキシ混合物
  8. 式(2)で表される化合物の割合が、式(1)で表される化合物100モルに対して、20モル以上であり、化合物(2A)と化合物(2B)との割合が、前者/後者(モル比)=90/10〜50/50である請求項6又は7記載のポリヒドロキシ混合物
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のポリヒドロキシ混合物樹脂原料とする樹脂。
  10. ポリヒドロキシ混合物をポリオール成分とする熱又は光硬化性樹脂である請求項9記載の樹脂。
  11. ポリヒドロキシ混合物のポリ(メタ)アクリレートである請求項9又は10記載の樹脂。
  12. 請求項10又は11記載の樹脂の硬化物。
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