JP5325627B2 - フルオレン骨格を有するアルコールの製造方法 - Google Patents

フルオレン骨格を有するアルコールの製造方法 Download PDF

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本発明は、特定のフルオレン骨格[詳細には9,9−ビス(アリールフェニル)フルオレン骨格などの9,9−ビスフェニルフルオレン骨格]を有するアルコールの製造方法に関する。
9,9−ビス(ヒドロキシエトキシフェニル)フルオレン類などのフルオレン骨格を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有しており、樹脂原料や添加剤として用いることが知られている。そして、このようなフルオレン骨格を有する化合物の中でも、特に、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(フェニルフェニル)フルオレン骨格を有する化合物は、耐熱性に優れ、高い屈折率を示すため、樹脂原料(例えば、ポリエステル原料)などとしての使用が期待される高機能性材料である。
このような9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンは、種々の方法により製造されており、例えば、特開2001−122828号公報(特許文献1)には、5,5’−[9H−フルオレン−9−イリデン]ビス[(1,1’−ビフェニル)−2−オール](すなわち、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン)と、エチレンオキサイドとを反応させて、5,5’−[9H−フルオレン−9−イリデン]ビス[(1,1’−ビフェニル)−2−オール]のエチレンオキシド2分子付加物(すなわち、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン)が32.1%、3分子付加物が49.6%、4分子付加物が15.6%の混合物を得たことが記載されている。しかし、このような方法では、2分子付加物に加えて、3分子付加物、4分子付加物が得られ、2分子付加物を高い純度で得ることができない。
また、別の方法として、特開2001−206863号公報(特許文献2)には、9−フルオレノンと、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルとを、反応させることにより、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンを得たことが記載されている。具体的には、この文献の実施例6には、純度99.5重量%のフルオレノン100g(0.6モル)とo−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル321g(1.5モル)、トルエン135gを仕込み、β−メルカプトプロピオン酸もしくはチオ酢酸0.5mlを加えて65℃まで加熱溶融させ、95%の硫酸40mlを10分かけて滴下し、加温したまま1時間攪拌して反応させたのち精製し、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンを純度94.1%、収率81.6%で得たことが記載されている。
この文献の方法では、原料としてo−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルを用いるため、前記のようなエチレンオキシドを付加させる方法に比べると、3分子付加物などを生じないため、比較的高い純度で9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンを得ることができる。しかし、この文献の方法で得られる9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンは、精製後においても着色している場合が多い。このような着色は、光学用途などの用途によっては特に敬遠される場合が多く、できるだけ抑制されることが好ましい。このため、このような着色のない9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンを製造する方法が求められている。
また、フルオレン骨格を有する化合物のうち、9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレンは、多くのヒドロキシル基を有しており、多官能性の樹脂原料(例えば、ポリ(メタ)アクリレートなど)などとしての使用が期待される。このような化合物の製造方法として、例えば、特開2005−104935号公報(特許文献3)には、フルオレノンと、多価フェノール類(カテコールなど)とを反応させて、9,9−ビス(ジ乃至テトラヒドロキシフェニル)フルオレンを調製した後、アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートを反応させる方法が開示されている。しかし、この方法では、前記と同様に、2分子付加物に加えて、3分子付加物、4分子付加物が得られ、2分子付加物を選択的に高い純度で得ることができず、所望の9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレンを効率よく得ることが困難である。
、特開2001−122828号公報(段落番号[0024]〜[0025]、実施例3) 特開2001−206863号公報(請求項5、実施例) 特開2005−104935号公報(段落番号[0034]〜[0036]、[0054]〜[0055]、実施例)
従って、本発明の目的は、着色が著しく少ない9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類又は9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高純度の9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類及び9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類は、原料としての9−フルオレノンが残留しているためか着色しやすいこと、そして、このような着色は特定の条件下で反応させることにより、著しく抑制できること、また、特定の触媒の存在下でフルオレノン類と特定のアルコール類を反応させることにより、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を効率よく製造できること、さらには、前記と同様の条件下で反応させることにより、このような9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類の着色を著しく抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の製造方法では、酸触媒およびチオール類の存在下、下記式(1)
Figure 0005325627
(式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示す。)
で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
Figure 0005325627
(式中、Rはアルキレン基を示し、Rはアリール基を示し、Rは、同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、mは1以上の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。)
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(3)
Figure 0005325627
(式中、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
で表される化合物を製造する。
そして、本発明の方法では、特に、前記式(2)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3モル以上とし、かつ前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して3重量部以上(例えば、5〜30重量部)として、前記化合物(3)を製造する。
前記式(2)において、代表的には、RがC2−4アルキレン基であり、mが1であり、RがC6−10アリール基であり、nが0又は1であってもよい。具体的な式(2)で表されるアルコールには、フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル(例えば、2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテルなど)などが含まれる。
前記方法において、前記酸触媒は、例えば、硫酸であってもよく、前記チオール類はメルカプトC2−6カルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸など)であってもよい。
また、前記方法において、前記チオール類の使用割合は、前記酸触媒100重量部に対して4〜25重量部であってもよい。
前記方法では、代表的には、(i)前記式(2)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3〜15モルであり、(ii)前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して6〜25重量部であり、(iii)前記チオール類の使用割合が、酸触媒100重量部に対して5〜20重量部であってもよい。
前記方法において、反応は、通常、溶媒の存在下で行ってもよく、特に、少なくとも芳香族炭化水素類で構成された溶媒の存在下で反応させてもよい。溶媒の割合は、例えば、前記式(1)で表されるフルオレノン類および前記式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.3〜10重量部であってもよい。
前記方法において、より代表的には、(i)前記式(2)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3.5〜10モルであり、(ii)前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して7〜20重量部であり、(iii)前記チオール類の使用割合が、前記酸触媒100重量部に対して6〜18重量部であり、(iv)前記芳香族炭化水素類がC6−10アレーンであり、(v)前記溶媒の割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類および前記式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.5〜5重量部であってもよい。
また、本発明には、酸触媒およびチオール類の存在下、前記式(1)で表されるフルオレノン類と、下記式(7)
Figure 0005325627
(式中、pは2〜4の整数を示し、qは0〜3の整数を示す。R、Rおよびmは前記と同じ。ただし、p+q≦5である)
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(8)
Figure 0005325627
(式中、R、R、R、k、m、pおよびqは前記と同じ。)
で表される化合物を製造する方法も含まれる。
このような方法により、対応するフェノール類をフルオレノンの9位に置換した後、アルキレンオキシドを付加させる方法などに比べて、所望の上記式(8)で表される化合物を効率よく得ることができる。なお、この方法においても、前記と同様の反応条件で、すなわち、前記式(7)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3モル以上とし、かつ前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して3重量部以上(例えば、5〜30重量部)として、前記化合物(8)を製造してもよい。このような反応条件で反応させると、前記式(3)で表される化合物を製造する場合と同様に、着色が著しく低減された前記式(8)で表される化合物を得ることができる。
前記方法において、前記式(7)で表されるアルコールは、代表的には、ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼンなどのジ又はトリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ベンゼンであってもよい。また、前記式(7)で表されるアルコールは、1,3−ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼンなどの1,3−ジ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ベンゼンであってもよい。このような1および3位にヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基が置換した化合物を使用すると、より一層、高純度で目的生成物を生成しやすい。
なお、本明細書において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。また、本明細書において、「式(3)で表される化合物」又は「式(8)で表される化合物」とは、化合物自体に加えて不純物を含む混合物を意味する場合がある。
本発明の方法では、特定の条件下で反応させることにより、着色が著しく少ない9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類を製造できる。特に、このような本発明の方法では、未反応フルオレノン類の残存量を著しく低減できるためか、着色が著しく少なく、かつ高純度の9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類を効率よく製造できる。
また、本発明の方法では、特定の触媒の存在下で、フルオレノン類とポリ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ベンゼン類とを反応させることにより、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を効率よく製造できる。しかも、この方法において、前記9,9−ビス(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類の場合と同様の条件下で反応させると、着色が著しく少ない9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を製造できる。さらに、本発明の方法では、前記条件下で反応させたり、ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)ベンゼン類の種類を選択することなどにより、高純度の9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ)フェニル]フルオレン類を製造することもできる。
[製造方法]
本発明では、酸触媒およびチオール類の存在下、下記式(1)
Figure 0005325627
(式中、Rは置換基を示し、kは0〜4の整数を示す。)
で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
Figure 0005325627
(式中、Rはアルキレン基を示し、Rはアリール基を示し、Rは置換基を示し、mは1以上の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。)
で表されるアルコールとを、特定の条件下で反応させ、
下記式(3)
Figure 0005325627
(式中、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
で表される化合物を製造する。
また、本発明では、酸触媒およびチオール類の存在下、前記式(1)で表されるフルオレノン類と、下記式(7)
Figure 0005325627
(式中、pは2〜4の整数を示し、qは0〜3の整数を示す。R、Rおよびmは前記と同じ。ただし、p+q≦5である)
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(8)
Figure 0005325627
(式中、R、R、R、k、m、pおよびqは前記と同じ。)
で表される化合物を製造する。
前記式(1)において、基Rで表される置換基としては、通常、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などが挙げられ、特に、ハロゲン原子、シアノ基又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基Rは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基Rの結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。
前記式(1)で表される代表的なフルオレノン類は、9−フルオレノンである。フルオレンノン類は、反応において、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、使用するフルオレノン類の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。
なお、フルオレノン類は、市販品を使用してもよく、フルオレン類を空気酸化するなどの方法により製造することもできる。
前記式(2)において、基Rで表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2−10アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、特に、C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基)が好ましく、通常エチレン基であってもよい。なお、Rは、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい(すなわち、mが複数である場合、Rは同一又は異なっていてもよい)。すなわち、mが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など)で構成されていてもよい。通常、Rは同一のベンゼン環において、同一のアルキレン基であってもよい。
オキシアルキレン基(OR)の数(付加モル数)mは、例えば、1〜15(例えば、1〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、1〜8(例えば、1〜6)、好ましくは1〜4、さらに好ましくは1〜2、特に1であってもよい。
また、前記式(2)において、アリール基Rとしては、例えば、フェニル基、C1−4アルキルフェニル基(メチルフェニル基(又はトリル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基など)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基などが挙げられる。
なお、前記式(2)において、ベンゼン環に置換する基−[(OR)m−OH]および基Rの置換位置は、特に限定されず、例えば、1および2位、1および3位、1および4位のいずれであってもよいが、1および2位であるのが好ましい。
また、前記式(2)において、基Rで表される置換基としては、通常、非反応性置換基、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基;アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など)などが挙げられる。また、基Rは、前記基Rと同様のアリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)であってもよい。
好ましい置換基Rは、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などである。
置換基Rは、ベンゼン環において、それぞれ、単独で又は2種以上組み合わせて置換していてもよい。また、置換基Rの置換数pは、0〜3であればよく、通常0〜1、好ましくは0であってもよい。なお、ベンゼン環に置換するRの置換位置は特に限定されず、基−[(OR)m−OH]および基Rの置換位置に応じて適宜選択できる。
代表的な前記式(2)で表されるアルコールには、例えば、アルキレングリコールモノ(アリールフェニル)エーテル{例えば、エチレングリコールモノビフェニリルエーテル[例えば、エチレングリコールモノ(2−ビフェニリル)エーテル(又は2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテル又は2−(2−ビフェニリルオキシ)エタノール又はo−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル)などのC2−4アルキレングリコールモノ(C6−10アリールフェニル)エーテル}、アルキレングリコールモノ(アルキル−アリールフェニル)エーテル[例えば、エチレングリコールモノ(3−メチル−2−ビフェニリル)エーテルなどのC2−4アルキレングリコールモノ(モノ又はジC1−4アルキル−モノ又はジC6−10アリール−フェニル)エーテル)など]などのアルキレングリコールモノ(アリールフェニル)エーテル類(前記式(2)においてmが1であるアルコール);ポリアルキレングリコールモノ(アリールフェニル)エーテル{例えば、ジエチレングリコールモノビフェニリルエーテル[例えば、ジエチレングリコールモノ(2−ビフェニリル)エーテルなど)などのジC2−4アルキレングリコールモノ(C6−10アリールフェニル)エーテルなどのジ乃至テトラアルキレングリコールモノ(アリールフェニル)エーテル}などのポリアルキレングリコールモノ(アリールフェニル)エーテル類(前記式(2)においてmが2以上であるアルコール)が含まれる。
これらのうち、好ましいアルコールには、C2−4アルキレングリコールモノ(ビフェニリル)エーテル、ジC2−4アルキレングリコールモノ(ビフェニリル)エーテルなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールモノビフェニリルエーテル(Rがフェニル基であるアルコール)が含まれ、特に、エチレングリコールモノビフェニリルエーテル[特に、エチレングリコールモノ(2−ビフェニリル)エーテル]が好ましい。
反応において、前記式(2)で表されるアルコールは単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
また、前記式(7)において、好ましいpは2〜3、特に2である。好ましいqは0〜1(特に0)であり、好ましいp+qの値は、2〜4、さらに好ましくは2〜3(特に2)である。なお、前記式(7)において、ベンゼン環に置換する複数の基−[(OR−OH](ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基)の置換位置は、特に限定されず、例えば、pが2の場合、1および2位、1および3位、1および4位のいずれであってもよいが、1および3位又は1および4位、特に1および3位であるのが好ましい。なお、前記式(7)において、R、Rおよびmは前記と同じであり、好ましい基や範囲も前記と同様である。
代表的な前記式(7)で表されるアルコールには、例えば、ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)ベンゼン{例えば、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン[例えば、1,2−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3,5−トリ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど]などのジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼン、好ましくはジ(ヒドロキシC2−3アルコキシ)ベンゼン}などのジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)ベンゼン類(前記式(7)においてmが1であるアルコール);ジ乃至テトラ(ヒドロキシポリアルコキシ)ベンゼン{例えば、ジ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼン[例えば、1,3−ジ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]ベンゼンなど]などのジ又はトリ[(ヒドロキシジC2−4アルコキシ)ベンゼン、好ましくはジ(ヒドロキシジC2−3アルコキシ)ベンゼン}などのジ乃至テトラ(ヒドロキシポリアルコキシ)ベンゼン類(前記式(7)においてmが2以上であるアルコール)などが含まれる。
これらのうち、好ましい前記式(7)で表されるアルコールには、ジ又はトリ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)ベンゼン[例えば、ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼンなど]などが含まれ、特に、1,3−ジ(ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ)ベンゼン{例えば、1,3−ジ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)ベンゼン[例えば、1,3−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの1,3−ジ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)ベンゼン]など}が好ましい。このような1および3位にヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基が置換したベンゼンを使用すると、反応が位置選択的に進行し、高純度の反応生成物(例えば、後述の式(8)においてフルオレンの9位のフェニル基の2および4位にヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基が置換した化合物など)を効率よく得ることができる。
反応において、前記式(7)で表されるアルコールは単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、前記式(2)で表されるアルコール(および前記式(7)で表されるアルコール)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上である。
反応において、前記式(2)で表されるアルコールの使用割合は、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して、2.5モル以上(例えば、2.8〜20モル)の範囲から選択でき、例えば、3モル以上(例えば、3〜15モル)、好ましくは3.2モル以上(例えば、3.3〜12モル)、さらに好ましくは3.5モル以上(例えば、3.7〜10モル)、特に3.7〜8モル(例えば、3.8〜6モル)程度であってもよく、通常3.5〜10モル程度であってもよい。
また、前記式(7)で表されるアルコールの使用割合は、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して、例えば、2モル以上(例えば、2〜20モル、好ましくは2.1〜15モル、さらに好ましくは2.2〜10モル程度)の範囲から選択できる。特に、前記式(7)で表されるアルコールの使用割合は、前記式(2)で表されるアルコールを使用する場合と同様の前記範囲(例えば、3モル以上)であってもよい。
本発明では、上記のようなフルオレノン類に対して特定量の前記アルコール(前記式(2)で表されるアルコール)およびチオール類を使用することにより(さらには、特定の酸触媒や特定の溶媒を使用することにより)、著しく着色が低減された式(3)で表される化合物を得ることができる。このような理由は定かではないが、着色が単純な純度のみならず残留するフルオレノン類に大きく起因しており、上記特定の反応条件によりフルオレノン類の転化率を非常に高くできることにより、着色が著しく低減できるものと考えられる。なお、式(3)で表される化合物中に含まれるフルオレノン類は、通常の精製では高レベルで除去できないようであり、本発明では反応混合物そのものに含まれるフルオレノン類の含有量を極めて高いレベルで低減できることに特徴がある。
なお、前記式(7)で表されるアルコールを用いる製造方法では、必ずしも、上記のような特定条件下で反応させなくても、式(8)で表される化合物を効率よく製造することができるが、着色を低減するためには、同様の条件下で、前記式(1)で表されるフルオレノン類と前記式(7)で表されるアルコールとを反応させるのが好ましい。
前記フルオレノン類と前記アルコール(前記式(2)で表されるアルコール又は前記式(7)で表されるアルコール、以下、特に断りのない限り同じ。)との反応は、酸触媒およびチオール類の存在下で行われる。
酸触媒としては、無機酸[硫酸、塩化水素、塩酸(5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)、リン酸など]、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]、固体酸などが挙げられる。前記硫酸には、希硫酸(例えば、濃度30〜90重量%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90重量%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。通常、硫酸として、HSO換算で、80〜99重量%(例えば、85〜98重量%)、好ましくは90〜97.5重量%程度の硫酸(濃硫酸)を使用してもよい。
固体酸としては、無機固体酸[金属化合物(SiO、Al、TiO、Fe、ZrO、SnO、Vなどの酸化物、SiO−Al、SiO−TiO、TiO−ZrO、SiO−ZrOなどの複合酸化物、ZnSなどの硫化物、CaSO、Fe(SO、CuSO、NiSO、Al(SO、MnSO、BaSO、CoSO、ZnSOなどの硫酸塩、P、Mo、V、W、Siなどの元素を含有するポリ酸(AlPO、Tiのリン酸塩などのリン酸塩など)など);(NHSOなどの非金属硫酸塩;粘土鉱物(酸性白土、モンモリロナイトなど);ゼオライト(酸性OH基を有するY型、X型、A型、ZSM5、モルデナイト、VIPI、AlPO−5、AlPO−11など);カオリンなど]、有機固体酸(イオン交換樹脂など)などを例示できる。固体酸は、固体酸の種類に応じて多孔性又は非多孔性であってもよい。
陽イオン交換樹脂(カチオン型イオン交換樹脂、酸型イオン交換樹脂)としては、例えば、強酸性陽イオン交換樹脂[例えば、スルホン酸基を有するイオン交換樹脂[スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーなどの架橋ポリスチレンのスルホン化物、スルホン酸基(又は−CF2CF2SO3H基)を有する含フッ素樹脂(例えば、[2−(2−スルホテトラフルオロエトキシ)ヘキサフルオロプロポキシ]トリフルオロエチレンとテトラフルオロエチレンとのブロック共重合体(例えば、デュポン社製のナフィオン)などの含フッ素イオン交換樹脂など]など]、弱酸性陽イオン交換樹脂[例えば、カルボン酸基を有するイオン交換樹脂(メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマーなど)など]などを使用できる。これらの陽イオン交換樹脂の中でも、強酸性陽イオン交換樹脂、特に、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーを基体(又は母体)とする強酸性陽イオン交換樹脂を好適に用いることができる。
陽イオン交換樹脂は、ゲル型イオン交換樹脂[例えば、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーなどを基体とし、ミクロポアー(例えば、孔径が15〜30Å程度の細孔)を有するイオン交換樹脂など]であってもよく、ポーラス型イオン交換樹脂[ミクロポアーの他にマクロポアー(例えば、孔径が50〜1000Å程度の細孔)を有するイオン交換樹脂]であってもよい。
ミクロポアーの平均孔径は、例えば、5〜50Å、好ましくは10〜40Å、さらに好ましくは15〜30Å程度であってもよい。また、ポーラス型イオン交換樹脂において、マクロポアーの平均孔径は、例えば、50〜1000Å、好ましくは70〜950Å、さらに好ましくは100〜900Å、特に150〜850Å(特に200〜800Å)程度であってもよい。
また、ポーラス型イオン交換樹脂の多孔度は、通常、0.03〜0.6cm3/g程度であり、例えば、0.05〜0.55cm3/g、好ましくは0.1〜0.5cm3/g、さらに好ましくは0.15〜0.45cm3/g(特に0.2〜0.4cm3/g)程度であってもよい。
なお、フルオレノン類とフェノール類との反応では、通常、ポーラス型イオン交換樹脂を用いるが、本発明の反応(フルオレノン類と前記アルコール類との反応)では、特定の架橋度を有する陽イオン交換樹脂(ポーラス型イオン交換樹脂、ゲル型イオン交換樹脂)の使用により、効率よく反応が進行する場合がある。
陽イオン交換樹脂のイオン交換容量は、通常、0.2当量/L以上(例えば、0.3〜8当量/L)、例えば、0.4〜5当量/L(例えば、0.5〜4当量/L)、好ましくは0.6〜3当量/L(例えば、0.7〜2.5当量/L)、さらに好ましくは0.8〜2当量/L(例えば、1〜1.7当量L)程度であってもよい。
また、ジビニルベンゼンコポリマー(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、メタクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマー、アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマーなど)を基体とする陽イオン交換樹脂において、架橋度(ジビニルベンゼンの割合)は、例えば、1〜30%、好ましくは1.2〜25%、さらに好ましくは1.5〜20%程度であってもよい。特に、前記架橋度は、2〜13%、好ましくは3〜12.5%、さらに好ましくは3.5〜12%程度であってもよい。
陽イオン交換樹脂としては、例えば、バイエル社(ランクセス社)製の「レバチットK1131」、「レバチットK1221」、「レバチットK2361」、「レバチットK2420」、「レバチットK2431」、「レバチットK2620」、「レバチットK2649」;オルガノ社製の「アンバーリスト31」、「アンバーリスト131」、「アンバーリスト121」、「アンバーリスト15JWet」、「アンバーリスト31Wet」;三菱化学(株)製の「ダイヤイオンSK104H」、「ダイヤイオンSK1BH」、「ダイヤイオンSK112H」、「ダイヤイオンPK208LH」、「ダイヤイオンPK216LH」、「ダイヤイオンPK228LH」、「ダイヤイオンRCP160M」;デュポン社製の「ナフィオン」などの市販の陽イオン交換樹脂を使用してもよい。
陽イオン交換樹脂の形態は、例えば、フルオレノン類と前記アルコール類との反応の効率、イオン交換樹脂と反応液との分離などに悪影響がなければ、特に制限はないが、通常、粒状であり、微粒状であってもよい。また、粒状(微粒状)の陽イオン交換樹脂の形状は、例えば、無定形状、球状、多角体状、ペレット状などであってもよい。粒状の陽イオン交換樹脂の平均粒径は、通常、0.1〜1.5mm程度であり、例えば、0.15〜1.2mm、好ましくは0.2〜1mm、さらに好ましくは0.25〜0.8mm(特に0.3〜0.6mm)程度であってもよい。
好ましい酸触媒は、硫酸などの無機酸、陽イオン交換樹脂であり、特に硫酸が好ましい。硫酸は、反応の進行により生成する水の脱水剤としても作用するため好ましい。
酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
酸触媒の割合は、前記フルオレノン類1重量部に対して、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜7重量部(例えば、0.3〜5重量部)、さらに好ましくは0.5〜4重量部(例えば、0.7〜3重量部)、特に0.8〜2重量部程度であってもよく、通常0.5〜2重量部程度であってもよい。
チオール類としては、例えば、メルカプトカルボン酸(例えば、チオ酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、チオシュウ酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、アルキルメルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのC1−16アルキルメルカプタン(特にC1−4アルキルメルカプタン)など)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)、これらの塩などが挙げられる。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(例えば、メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウムなどのナトリウム塩など)が例示できる。これらのチオール類のうち、メルカプトC2−6カルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸)が好ましい。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、反応において、チオール類は、酸触媒の助触媒又は共触媒として作用するようである。
チオール類の使用割合は、前記フルオレノン類100重量部に対して、2重量部以上(例えば、2.5〜50重量部)の範囲から選択でき、例えば、3重量部以上(例えば、4〜40重量部)、好ましくは5重量部以上(例えば、6〜25重量部)、さらに好ましくは7〜20重量部(例えば、8〜15重量部)程度であってもよく、通常5〜30重量部程度であってもよい。
また、前記式(7)で表されるアルコールを使用する場合、チオール類の使用割合は、前記フルオレノン類100重量部に対して、例えば、1重量部以上(例えば、1〜50重量部、好ましくは3〜40重量部、さらに好ましくは5〜25重量部程度)であってもよいが、特に、前記式(2)で表されるアルコールを使用する場合と同様の前記範囲(例えば、前記フルオレノン類100重量部に対して3重量部以上)であってもよい。
なお、チオール類の使用割合は、前記フルオレン類および前記アルコールの総量100重量部に対して、例えば、0.1重量部以上(例えば、0.2〜30重量部)、好ましくは0.3重量部以上(例えば、0.4〜20重量部)、さらに好ましくは0.5重量部以上(例えば、0.7〜15重量部)、特に0.8〜10重量部(例えば、1〜7重量部)程度であってもよく、通常1〜5重量部(例えば、1.2〜3重量部)程度であってもよい。
また、チオール類の使用割合は、酸触媒100重量部に対して、例えば、1〜50重量部(例えば、2〜40重量部)、好ましくは3〜35重量部(例えば、3.5〜30重量部)、さらに好ましくは4〜25重量部(例えば、5〜20重量部)、特に6〜18重量部(例えば、7〜15重量部)程度であってもよい。
反応は、通常、溶媒中(又は溶媒の存在下)で行ってもよい。溶媒(反応溶媒)としては、例えば、炭化水素類[例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC6−12アレーン、好ましくはC6−10アレーン、さらに好ましくはC6−8アレーン)など]、エーテル類(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの溶媒のうち、芳香族炭化水素類などの疎水性溶媒が好ましく、特に、トルエン、キシレンなどのアルキルベンゼン(モノ又はジC1−4アルキルベンゼン、好ましくはモノ又はジC1−2アルキルベンゼン)が好ましい。
このため、溶媒は、少なくとも芳香族炭化水素類で構成するのが好ましく、芳香族炭化水素類単独、又は芳香族炭化水素類と他の溶媒とで構成してもよい。他の溶媒を使用する場合、溶媒全体に対する芳香族炭化水素類の割合は、例えば、50重量%以上(例えば、55〜99重量%)、好ましくは60重量%以上(例えば、70〜98重量%)、さらに好ましくは80重量%以上(例えば、85〜97重量%)程度であってもよい。
また、前記式(7)で表されるアルコールを用いる場合、ジオキサンなどの環状エーテル類を溶媒として好適に使用してもよい。
溶媒の割合は、例えば、前記フルオレン類および前記アルコールの総量1重量部に対して、例えば、0.1〜30重量部(例えば、0.2〜20重量部)、好ましくは0.3〜10重量部(例えば、0.4〜7重量部)、さらに好ましくは0.5〜5重量部(例えば、0.7〜3重量部)程度であってもよい。
反応温度は、特に限定されないが、例えば、20〜200℃、好ましくは40〜170℃(例えば、45〜150℃)、さらに好ましくは50〜120℃(例えば、55〜110℃)程度であってもよく、通常40〜100℃(例えば、50〜80℃)程度であってもよい。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間、好ましくは1〜24時間、好ましくは2〜10時間程度であってもよい。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、反応は、脱水しながら行ってもよい。
本発明の方法では、前記特定の条件にて反応を行うことなどにより、前記フルオレノン類を完全に又はほぼ完全に反応させることができ、例えば、前記フルオレノン類の転化率は、通常99.0モル%以上(例えば、99.2〜100モル%)であり、好ましくは99.3モル%以上(例えば、99.5〜100モル%)、さらに好ましくは99.7モル%以上(例えば、99.75〜100モル%)、特に99.8モル%以上(例えば、99.85〜100モル%)である。そのため、このような本発明の方法により得られる前記式(3)で表される化合物中又は前記式(8)で表される化合物中に含まれる前記フルオレノン類の量も極めて少なく、着色が著しく低減された又は着色のない前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物を得ることができる。
なお、反応終了後の反応混合物(反応混合液)には、目的生成物又は反応生成物である前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物以外に、未反応の前記式(2)で表されるアルコール類(フェノキシエタノールなど)又は前記式(7)で表されるアルコール[例えば、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなど]、酸触媒、チオール類、溶媒、水などが含まれる。このような反応混合物からの前記式(3)で表される化合物の分離(精製)には、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を利用できる。例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて中和する方法など)により酸触媒(およびチオール類)を除去したのち、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物を結晶化させ、分離(精製)してもよい。
このような反応(および精製)を経て、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物が得られる。
前記式(3)において、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じであり、好ましい態様なども前記と同様である。また、前記式(8)において、R、R、R、k、m、pおよびqは前記と同じであり、好ましい態様なども前記と同様である。
代表的な前記式(3)で表される化合物には、9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが1である化合物)、9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(3)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類には、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−トリルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)−3−トリルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ−フェニルフェニル)フルオレン}などが含まれる。
9,9−ビス(ヒドロキシポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類には、前記9,9−ビス(ヒドロキシアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類に対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス(ヒドロキシジC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−ヒドロキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシジC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン}などが含まれる。
また、代表的な前記式(8)で表される化合物には、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類(前記式(8)においてmが1である化合物)、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシポリアルコキシ)フェニル]フルオレン類(前記式(8)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類には、例えば、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,5−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[ジ又はトリ(ヒドロキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン、特に9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン}などが含まれる。
9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシポリアルコキシ)フェニル]フルオレン類には、前記9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシアルコキシ)フェニル]フルオレン類に対応し、mが2以上である化合物、例えば、9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシポリC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン類{例えば、9,9−ビス[2,4−ジ{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ(ヒドロキシジC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、好ましくは9,9−ビス[ジ又はトリ(ヒドロキシジC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシジC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン、特に9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシジC2−3アルコキシ)フェニル]フルオレン}などが含まれる。
本発明の方法で得られる前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、不純物の割合が少なく高純度であり、例えば、純度95%以上(例えば、95〜100%)、好ましくは95.5%以上(例えば、96〜99.9%)、さらに好ましくは96.5%以上(例えば、96.7〜99.5%)、特に97%以上(例えば、97〜99%)であってもよい。
特に、本発明の方法で得られる前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、前記フルオレノン類の含有量(残存量)が著しく少ないという特徴がある。例えば、前記式(3)で表される化合物全体又は前記式(8)で表される化合物全体に含まれる前記フルオレノン類の割合は、1重量%以下(例えば、0又は検出限界〜0.8重量%)の範囲から選択でき、0.7重量%以下(例えば、0又は検出限界〜0.5重量%)、好ましくは0.3重量%以下(例えば、0又は検出限界〜0.2重量%)、さらに好ましくは0.1重量%以下(例えば、0又は検出限界〜0.05重量%)であってもよく、通常0.1〜0.5重量%程度であってもよい。なお、反応混合物に、通常の反応により未反応のフルオレノン類が多く残存している場合、理由は定かではないが、慣用の分離精製によっても十分に除去することはできず、精製後においても式(3)で表される化合物中又は前記式(8)で表される化合物中にある程度のフルオレノン類が含まれている場合が多い。
そして、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、高純度であるとともに、特に上記のように前記フルオレノン類の含有割合が著しく少ないためか、公知の方法で得られる化合物に比べて、着色が著しく抑制されている。例えば、前記式(3)で表される化合物の色相は、100以下(例えば、3〜85)の範囲から選択でき、好ましくは70以下(例えば、5〜55)、さらに好ましくは50以下(例えば、8〜45)、特に40以下(10〜35)であり、30以下(例えば、15〜30)とすることもできる。
[式(3)で表される化合物又は式(8)で表される化合物の用途]
前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。このため、このような前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤、樹脂用添加剤、硬化剤(樹脂用硬化剤)など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料(モノマーなど)などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
これらの用途の中でも、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、着色において著しく抑制されているので、樹脂原料として好適である。以下に、樹脂原料用途について詳述する。
(樹脂原料用途および樹脂)
前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、2つ乃至8つのヒドロキシル基を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記化合物を重合成分とする樹脂である。
詳細には、前記樹脂は、ポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂において、前記ポリオール成分の一部又は全部が、前記化合物(又はその誘導体)で構成された樹脂であってもよい。
ポリオール成分(例えば、ジオール成分)を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂としては、熱可塑性樹脂[ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂(ポリエーテルエーテルケトンなど)など]、熱硬化性樹脂[例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、熱硬化性ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂(前記化合物のポリグリシジルエーテルなど)、ビニルエステル系樹脂、フェノール樹脂、ポリオールポリ(メタ)アクリレート(前記化合物のジ(メタ)アクリレート、又は前記化合物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体((メタ)アクリル酸ハライドなど)との反応物など)、ウレタン(メタ)アクリレート]など]などが挙げられる。
このようなポリオール成分を単量体成分(又は重合成分)とする樹脂では、ポリオール成分を、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物で構成することができる。このような樹脂において、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
以下、代表的な樹脂として、エポキシ樹脂(エポキシ化合物)、ジ(メタ)アクリレート(又は(ポリ)メタアクリレート)、およびポリエステルを詳述する。これらの樹脂は、用途にもよるが、着色を好まない場合が多く、前記化合物をモノマー成分とすることによる有用性は極めて高い。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005325627
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
代表的なエポキシ樹脂(又は前記式(4)で表される化合物)には、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシ−C2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−C2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ−フェニルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが1である化合物);9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
なお、前記式(4)で表される化合物は、前記式(3)で表される化合物に対応するエポキシ化合物であるが、同様に、前記エポキシ化合物には、前記式(8)で表される化合物に対応するエポキシ化合物{例えば、9,9−ビス[2,4−ジ(2−グリシジルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ(グリシジルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}も含まれる。
なお、前記エポキシ樹脂は、例えば、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物と、エピハロヒドリン[又はハロメチルオキシラン、例えば、エピクロロヒドリン(クロロメチルオキシラン)、エピブロモヒドリン(ブロモメチルオキシラン)など]又は1−ハロメチル−2−メチルオキシラン(1−クロロメチル−2−メチルオキシランなど)とを反応させることにより製造できる。
なお、前記エポキシ樹脂は、希釈剤、硬化剤、硬化促進剤などを含むエポキシ樹脂組成物を構成してもよい。
(ジ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレート)
ジ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アクリレート)としては、例えば、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005325627
(式中、R、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
代表的なジ(メタ)アクリレート(又は前記式(5)で表される化合物)には、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−C2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−C2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ−フェニルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(5)においてmが1である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(5)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
なお、前記式(5)で表される化合物は、前記式(3)で表される化合物に対応する(メタ)アクリレートであるが、同様に、ポリ(メタ)アクリレートには、前記式(8)で表される化合物に対応するポリ(メタ)アクリレート{例えば、9,9−ビス[2,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ乃至テトラ((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレンなど}も含まれる。
なお、前記ジ(メタ)アクリレートは、例えば、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体[例えば、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライドなど)、(メタ)アクリル酸無水物など]とを反応させることにより製造できる。
なお、前記ジ(メタ)アクリレート又はポリ(メタ)アクリレートは、重合開始剤、希釈剤(溶媒、重合性希釈剤など)などを含む樹脂組成物を構成してもよい。
(ポリエステル)
ポリエステルとしては、前記化合物(前記式(3)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分(ジオール成分(a))と、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸成分(b))とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
前記ジオール成分(a)は、前記式(3)で表される化合物(a1)で構成されている限り、他のジオール成分(化合物(a1)以外のジオール成分)を含んでいてもよい。このような他のジオール成分(ジオール成分(a2))としては、例えば、アルカンジオール(エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのC2−10アルカンジオール、好ましくはC2−6アルカンジオール、さらに好ましくはC2−4アルカンジオール)、ポリアルカンジオール(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコールなどのジ又はトリC2−4アルカンジオールなど)、シクロアルカンジオール(例えば、シクロヘキサンジオールなどのC5−8シクロアルカンジオール)、ジ(ヒドロキシアルキル)シクロアルカン(例えば、シクロペンタンジメタノール、シクロヘキサンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C5−8シクロアルカンなど)、ジヒドロキシアレーン(ハイドロキノン、レゾルシノールなど)、芳香脂肪族ジオール[1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノールなどのジ(ヒドロキシC1−4アルキル)C6−10アレーンなど]、ビフェノール、ビスフェノール類[例えば、ビスフェノールAなどのビス(ヒドロキシフェニル)C1−10アルカンなど]などが挙げられる。他のジオール成分は単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
ジオール成分(a)において、前記化合物(a1)の割合は、ジオール成分(a)全体に対して、例えば、30モル%以上(例えば、35〜100モル%程度)、好ましくは40モル%以上(例えば、45〜99モル%程度)、さらに好ましくは50モル%以上(例えば、55〜95モル%程度)であってもよい。
なお、必要に応じて、ジオール成分に加えて、3以上のヒドロキシル基を有するポリオール成分[例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールなどのアルカンポリオール、フルオレン骨格を有するポリオール(ビスカテコールフルオレンなど)など]を少量使用してもよい。
また、前記ポリエステル樹脂において、ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸(アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などのC2−20アルカン−ジカルボン酸、好ましくはC2−14アルカン−ジカルボン酸など)などの脂肪族ジカルボン酸;シクロアルカンジカルボン酸(シクロヘキサンジカルボン酸などのC5−10シクロアルカン−ジカルボン酸)、ジ又はトリシクロアルカンジカルボン酸(デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸など)などの脂環族ジカルボン酸;アレーンジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸などのC6−14アレーン−ジカルボン酸など)、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−ビフェニルジカルボン酸など)、ジフェニルアルカンジカルボン酸(4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、2,2−ジ(4−カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどのジフェニルC1−10アルカンジカルボン酸)、ジフェニルケトンジカルボン酸(4,4′−ジフェニルケトンジカルボン酸など)、ジフェニルエーテルジカルボン酸(例えば、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸など)、フルオレン骨格を有するジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、これらの誘導体(ジカルボン酸ハライド、ジカルボン酸無水物、低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステルなどのC1−4アルキルエステル、好ましくはC1−2アルキルエステルなど)など)などが挙げられる。これらのジカルボン酸成分は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
なお、必要に応じて、ジカルボン酸成分に加えて、3以上のカルボキシル基を有するポリカルボン酸(例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸など)を少量使用してもよい。
前記ポリエステル樹脂は、前記のように、前記ジオール成分(a)と、前記ジカルボン酸成分(b)とを重合成分とするポリエステル樹脂であり、通常、下記式(6)で表されるユニットを有するポリエステルである。
Figure 0005325627
(式中、Aはジカルボン酸成分(b)の残基を示し、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
前記ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
なお、前記ポリエステルのガラス転移温度Tgは、例えば、50〜350℃、好ましくは60〜300℃、さらに好ましくは70〜250℃、特に80〜200℃程度であってもよい。
なお、前記ポリエステル樹脂は、前記ジオール成分(a)と前記ジカルボン酸成分(b)とを反応(縮合反応)させることにより得ることができる。縮合反応(重縮合反応)は、一般的なポリエステル樹脂の合成に用いられる方法、例えば、エステル交換法、直接重合法などの溶融重合法、溶液重合法、界面重合法などを利用して製造できる。
本発明の方法では、着色が著しく抑制されたフルオレン骨格を有するアルコール(前記式(3)で表される化合物および前記式(8)で表される化合物)を得ることができる。このようなアルコールは、着色が低減されているとともに、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れている。そのため、前記アルコールは、樹脂原料や樹脂硬化剤などとして好適に用いることができる。特に、前記アルコールを、エポキシ樹脂(又はその硬化剤)や、アクリル系樹脂(ジ(メタ)アクリレートなど)などの光又は熱硬化性樹脂や、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂に適用すると、高耐熱性、高架橋性、高屈折率、高透明性、低線膨張率などの優れた特性が効率よく付与されているとともに、着色が著しく低減された樹脂やその成形体を得ることができる。前記エポキシ樹脂は、上記のような特性が要求される用途、例えば、半導体封止剤、電装基板などとして好適である、また、前記アクリル系樹脂は、光学材料用途、例えば、光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに有用である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
なお、実施例において、各種測定は以下のようにして行った。
(HPLC純度)
装置としてL−2000(日立ハイテク製HPLC)、カラムとしてODS−80TM(東ソー製)を用いて40℃で測定した。
(色相)
アセトンに10重量%の割合で溶解させて、日本電色製「COH−400」を用いて色相(APHA)を測定した。
(実施例1)
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン18重量部(0.1モル、大阪ガスケミカル(株)製)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル[又は2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテル]86重量部(0.4モル、明成化学(株)製)、3−メルカプトプロピオン酸1.8重量部および溶媒としてのキシレン104重量部を投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を20重量部投入して、60℃で維持して5時間攪拌させたところ、HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99.5%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させたところ、49重量部(収率83%)の結晶が得られた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が97.1%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、26と極めて着色が少ないことがわかった。さらに得られたサンプルのH−NMRおよびマススペクトルを測定した結果、目的とする9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005325627
以下に、得られた反応物のH−NMRスペクトルデータおよびマススペクトルデータを示す。
H−NMR(CDCl,δ):7.8ppm(2H)、7.1〜7.5ppm(22H)、6.9ppm(2H)、4.0ppm(4H)、3.6−3.8ppm(6H)
マススペクトルm/z=590。
(実施例2)
溶媒としてのキシレンをトルエンに変えたこと以外は、実施例1と同様にして結晶を40重量部(収率68%)得た。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が96.4%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、27と極めて着色が少ないことがわかった。
(実施例3)
実施例1において、中和したのちに、抽出溶媒としてメチルイソブチルケトンを180重量部添加し、50重量部の水にて水層のpHが7になるまで洗浄を繰り返したのちに、冷却したこと以外は実施例1と同様にして結晶35重量部(収率59%)を析出させた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が97.0%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、30と極めて着色が少ないことがわかった。
(実施例4)
実施例1において、中和したのちに、抽出溶媒としてメチルエチルケトンを180重量部添加し、50重量部の水にて水層のpHが7になるまで洗浄を繰り返したのちに、冷却したこと以外は実施例1と同様にして結晶29重量部(収率49%)を析出させた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が95.3%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、35と極めて着色が少ないことがわかった。
(実施例5)
硫酸量を20重量部から50重量部に増量した以外は実施例1と同様に合成した結果、純度95.3%のBOPPF−EOが20重量部(収率33%)得られた。色相は81であった。
(実施例6)
実施例1で得られた9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン40.7重量部(0.07mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)12.9重量部(0.18mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)1.5重量部、トルエン67.5重量部及びメトキノン0.15重量部(キシダ化学(株)製)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水および蒸留水での洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去したところ48重量部の白色固体を得た。得られた白色固体のHPLC純度は93.2%と非常に高く、アセトンに10重量%の割合で溶解させて測定した色相(APHA)は15であり、非常に着色が少なかった。
(比較例1)
実施例1において、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルを、86重量部(0.4モル)に代えて、54重量部(0.25モル)使用したこと以外は、実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は97.0%であった。また、得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が92%であり、副生物が大量に生成してしまった。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、83であった。
(比較例2)
実施例1において、3−メルカプトプロピオン酸を、1.8重量部に代えて、0.18重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は53.0%であった。
(比較例3)
実施例1において、9−フルオレノンを18重量部に代えて15重量部(0.083モル)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルを86重量部に代えて48重量部(0.22モル)、3―メルカプトプロピオン酸を1.8重量部に代えて0.1重量部、キシレンを104重量部に代えて107重量部、硫酸を20重量部に代えて18重量部使用したこと以外は実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は25%であった。
(実施例7)
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン41.4重量部(0.24モル、大阪ガスケミカル(株)製)、1,3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(明成化学(株)製)182.4重量部(0.92モル)、3−メルカプトプロピオン酸3.22重量部および溶媒としての1,4−ジオキサン92重量部を投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を48.4重量部投入して、60℃で維持して5時間攪拌させたところ、HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99.5%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させたところ、57重量部(収率44%)の結晶が得られた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が96%であった。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、54と着色が少ないことがわかった。さらに得られたサンプルのH−NMRおよびマススペクトルを測定した結果、目的とする9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(下記式)であることを確認した。
Figure 0005325627
H−NMR(CDCl,δ):7.8ppm(2H)、7.7ppm(2H)、7.3ppm(2H)、7.2ppm(2H)、6.6ppm(2H)、6.5ppm(2H)、6.2ppm(2H)、3.9ppm(8H)、3.7ppm(8H)、3.3ppm(4H)
マススペクトルm/z=558。

Claims (9)

  1. 酸触媒およびチオール類の存在下、下記式(1)
    Figure 0005325627
    (式中、Rはシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、kは0〜4の整数を示す。)
    で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
    Figure 0005325627
    (式中、Rはアルキレン基を示し、Rはアリール基を示し、Rは、同一又は異なって、炭化水素基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又は置換アミノ基を示し、mは1以上の整数を示し、nは0〜3の整数を示す。)
    で表されるアルコールとを反応させ、
    下記式(3)
    Figure 0005325627
    (式中、R、R、R、R、k、mおよびnは前記と同じ。)
    で表される化合物を製造する方法であって、
    前記式(2)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3〜10モルであり、
    前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して3〜40重量部であり、
    前記チオール類の使用割合が、前記酸触媒100重量部に対して5〜20重量部であり、
    溶媒の存在下で反応させる、製造方法。
  2. 式(2)において、RがC2−4アルキレン基であり、mが1であり、RがC6−10アリール基であり、nが0又は1である請求項1記載の製造方法。
  3. 式(2)で表されるアルコールが、2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテルである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 酸触媒が硫酸であり、チオール類がメルカプトC2−6カルボン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して5〜30重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. (i)式(2)で表されるアルコールの使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3〜15モルであり、(ii)チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して6〜25重量部である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 少なくとも芳香族炭化水素類で構成された溶媒の存在下で反応させる請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. 溶媒の割合が、式(1)で表されるフルオレノン類および式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.3〜10重量部である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  9. (i)式(2)で表されるアルコールの使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3.5〜10モルであり、(ii)チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して7〜20重量部であり、(iii)チオール類の使用割合が、酸触媒100重量部に対して6〜18重量部であり、(iv)芳香族炭化水素類がC6−10アレーンであり、(v)溶媒の割合が、式(1)で表されるフルオレノン類および式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.5〜5重量部である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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