JP5325627B2 - フルオレン骨格を有するアルコールの製造方法 - Google Patents
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で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(3)
で表される化合物を製造する。
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(8)
で表される化合物を製造する方法も含まれる。
本発明では、酸触媒およびチオール類の存在下、下記式(1)
で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
で表されるアルコールとを、特定の条件下で反応させ、
下記式(3)
で表される化合物を製造する。
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(8)
で表される化合物を製造する。
前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れており、種々の用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。また、前記骨格により、高い屈折率も有している。このため、このような前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤、樹脂用添加剤、硬化剤(樹脂用硬化剤)など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料(モノマーなど)などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。
前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、樹脂原料として用いることができる。例えば、前記式(3)で表される化合物又は前記式(8)で表される化合物は、2つ乃至8つのヒドロキシル基を有しているため、熱可塑性樹脂のモノマー成分や熱硬化性樹脂(又はその前駆体)として用いることができる。すなわち、このような樹脂は、前記化合物を重合成分とする樹脂である。
エポキシ樹脂(エポキシ化合物)としては、例えば、下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
代表的なエポキシ樹脂(又は前記式(4)で表される化合物)には、例えば、9,9−ビス(グリシジルオキシ−C2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−グリシジルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−C2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ−フェニルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが1である化合物);9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−グリシジルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ジC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−グリシジルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス(グリシジルオキシ−ポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(4)においてmが2以上である化合物)などが含まれる。
ジ(メタ)アクリレート(ポリ(メタ)アクリレート)としては、例えば、下記式(5)で表される化合物が挙げられる。
代表的なジ(メタ)アクリレート(又は前記式(5)で表される化合物)には、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−C2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−C2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル)フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ−フェニルフェニル)フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−アルコキシ−モノアリールフェニル)フルオレン類(前記式(5)においてmが1である化合物);9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジC2−4アルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類{例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレン、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ)プロポキシ]−3−フェニルフェニル}フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ジC2−4アルコキシ−C6−10アリールフェニル)フルオレン、好ましくは9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−C6−8アリールフェニル]フルオレン、さらに好ましくは9,9−ビス[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−3アルコキシ)C2−3アルコキシ−フェニルフェニル]フルオレン}などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシ−ポリアルコキシ−アリールフェニル)フルオレン類(前記式(5)においてmが2以上である化合物)が含まれる。
ポリエステルとしては、前記化合物(前記式(3)で表される化合物)で少なくとも構成されたジオール成分(ジオール成分(a))と、ジカルボン酸成分(ジカルボン酸成分(b))とを重合成分とするポリエステル(ポリエステル樹脂)などが挙げられる。
前記ポリエステルの重量平均分子量は、例えば、3000〜1000000程度の範囲から選択でき、例えば、5000〜800000、好ましくは8000〜600000、さらに好ましくは10000〜500000(例えば、30000〜500000)程度であってもよい。なお、上記重量平均分子量は、ポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより評価した値であってもよい。
装置としてL−2000(日立ハイテク製HPLC)、カラムとしてODS−80TM(東ソー製)を用いて40℃で測定した。
アセトンに10重量%の割合で溶解させて、日本電色製「COH−400」を用いて色相(APHA)を測定した。
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン18重量部(0.1モル、大阪ガスケミカル(株)製)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテル[又は2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテル]86重量部(0.4モル、明成化学(株)製)、3−メルカプトプロピオン酸1.8重量部および溶媒としてのキシレン104重量部を投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を20重量部投入して、60℃で維持して5時間攪拌させたところ、HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99.5%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させたところ、49重量部(収率83%)の結晶が得られた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が97.1%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、26と極めて着色が少ないことがわかった。さらに得られたサンプルの1H−NMRおよびマススペクトルを測定した結果、目的とする9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン(下記式)であることを確認した。
マススペクトルm/z=590。
溶媒としてのキシレンをトルエンに変えたこと以外は、実施例1と同様にして結晶を40重量部(収率68%)得た。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が96.4%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、27と極めて着色が少ないことがわかった。
実施例1において、中和したのちに、抽出溶媒としてメチルイソブチルケトンを180重量部添加し、50重量部の水にて水層のpHが7になるまで洗浄を繰り返したのちに、冷却したこと以外は実施例1と同様にして結晶35重量部(収率59%)を析出させた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が97.0%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、30と極めて着色が少ないことがわかった。
実施例1において、中和したのちに、抽出溶媒としてメチルエチルケトンを180重量部添加し、50重量部の水にて水層のpHが7になるまで洗浄を繰り返したのちに、冷却したこと以外は実施例1と同様にして結晶29重量部(収率49%)を析出させた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が95.3%と極めて高いことが判明した。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、35と極めて着色が少ないことがわかった。
硫酸量を20重量部から50重量部に増量した以外は実施例1と同様に合成した結果、純度95.3%のBOPPF−EOが20重量部(収率33%)得られた。色相は81であった。
実施例1で得られた9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン40.7重量部(0.07mol)、アクリル酸(東京化成工業(株)製)12.9重量部(0.18mol)、p−トルエンスルホン酸(キシダ化学(株)製)1.5重量部、トルエン67.5重量部及びメトキノン0.15重量部(キシダ化学(株)製)を仕込み、100℃〜115℃で還流しながら理論脱水量を得るまで脱水エステル化反応を行った。その後、反応液をアルカリ中和し、20%食塩水および蒸留水での洗浄を行った。洗浄後、トルエンを除去したところ48重量部の白色固体を得た。得られた白色固体のHPLC純度は93.2%と非常に高く、アセトンに10重量%の割合で溶解させて測定した色相(APHA)は15であり、非常に着色が少なかった。
実施例1において、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルを、86重量部(0.4モル)に代えて、54重量部(0.25モル)使用したこと以外は、実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は97.0%であった。また、得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が92%であり、副生物が大量に生成してしまった。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、83であった。
実施例1において、3−メルカプトプロピオン酸を、1.8重量部に代えて、0.18重量部使用したこと以外は、実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は53.0%であった。
実施例1において、9−フルオレノンを18重量部に代えて15重量部(0.083モル)、o−フェニルフェノール(2−ヒドロキシエチル)エーテルを86重量部に代えて48重量部(0.22モル)、3―メルカプトプロピオン酸を1.8重量部に代えて0.1重量部、キシレンを104重量部に代えて107重量部、硫酸を20重量部に代えて18重量部使用したこと以外は実施例1と同様にして合成した結果、反応混合物において、HPLCにて測定した9−フルオレノンの転化率は25%であった。
1Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン41.4重量部(0.24モル、大阪ガスケミカル(株)製)、1,3−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(明成化学(株)製)182.4重量部(0.92モル)、3−メルカプトプロピオン酸3.22重量部および溶媒としての1,4−ジオキサン92重量部を投入した後に、60℃まで加温して完全に溶解させた。その後、徐々に硫酸を48.4重量部投入して、60℃で維持して5時間攪拌させたところ、HPLCにて9−フルオレノンの転化率が99.5%以上であることを確認できた。得られた反応液に48%苛性ソーダ水を投入して中和した後に、蒸留水にて数回洗浄し、冷却することで結晶を析出させた。さらにろ過して乾燥させたところ、57重量部(収率44%)の結晶が得られた。得られた結晶のHPLC純度を測定したところ、純度が96%であった。また、アセトンに10重量%の割合で溶解させて色相(APHA)を測定したところ、54と着色が少ないことがわかった。さらに得られたサンプルの1H−NMRおよびマススペクトルを測定した結果、目的とする9,9−ビス[2,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン(下記式)であることを確認した。
マススペクトルm/z=558。
Claims (9)
- 酸触媒およびチオール類の存在下、下記式(1)
で表されるフルオレノン類と、下記式(2)
で表されるアルコールとを反応させ、
下記式(3)
で表される化合物を製造する方法であって、
前記式(2)で表されるアルコールの使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3〜10モルであり、
前記チオール類の使用割合が、前記式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して3〜40重量部であり、
前記チオール類の使用割合が、前記酸触媒100重量部に対して5〜20重量部であり、
溶媒の存在下で反応させる、製造方法。 - 式(2)において、R2がC2−4アルキレン基であり、mが1であり、R3がC6−10アリール基であり、nが0又は1である請求項1記載の製造方法。
- 式(2)で表されるアルコールが、2−ビフェニリル−(2−ヒドロキシエチル)エーテルである請求項1又は2記載の製造方法。
- 酸触媒が硫酸であり、チオール類がメルカプトC2−6カルボン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して5〜30重量部である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- (i)式(2)で表されるアルコールの使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3〜15モルであり、(ii)チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して6〜25重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- 少なくとも芳香族炭化水素類で構成された溶媒の存在下で反応させる請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 溶媒の割合が、式(1)で表されるフルオレノン類および式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.3〜10重量部である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
- (i)式(2)で表されるアルコールの使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類1モルに対して3.5〜10モルであり、(ii)チオール類の使用割合が、式(1)で表されるフルオレノン類100重量部に対して7〜20重量部であり、(iii)チオール類の使用割合が、酸触媒100重量部に対して6〜18重量部であり、(iv)芳香族炭化水素類がC6−10アレーンであり、(v)溶媒の割合が、式(1)で表されるフルオレノン類および式(2)で表されるアルコールの総量1重量部に対して、0.5〜5重量部である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
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