JP6931984B2 - フルオレン骨格を有するアルコール化合物の結晶およびその製造方法 - Google Patents
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Description
赤外スペクトルにおいて、1153±2(cm−1)のピークを実質的に有さない、〔1〕記載のアルコール化合物の結晶。
上記式(1)で表されるアルコールを95重量%以上含み、かつ芳香族炭化水素類の含量が1重量%以下である、〔1〕または〔2〕記載のアルコール化合物の結晶。
嵩密度が0.3〜0.6g/cm3である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のアルコール化合物の結晶。
上記式(1)で表されるアルコール12gを、純度99重量%以上のN,N−ジメチルホルムアミド30mLに溶解させた溶液の黄色度(YI値)が10以下となる、〔1〕〜〔4〕いずれかに記載のアルコール化合物の結晶。
以下、(i)、(ii)及び(iii)の工程をこの順で含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のアルコール化合物の結晶の製造方法。
(i)
上記式(1)で表されるアルコール化合物、芳香族炭化水素類及びメタノールを含む溶液を調製する工程。
(ii)
前記溶液から25℃以上で前記アルコール化合物の結晶を析出させ、析出した結晶を分離取得する工程。
(iii)
前記結晶を100℃以上とする工程。
本発明の結晶は、示差走査熱量分析によって得られる吸熱ピークを148〜151℃の範囲に有し、更に165〜200℃の範囲に少なくとも一つの吸熱ピークを有することを特徴とし、148〜151℃の範囲における吸熱ピークと165〜200℃の範囲における吸熱ピークとの両方を有していれば、結晶の嵩密度が向上し、かつ溶融開始温度が低下する。なお、公知の芳香族炭化水素を包接する結晶(以下、包接体と称することもある)は、165〜200℃の範囲に吸熱ピークを有さない。
上記した特徴を有する、本発明の上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶は、以下(i)、(ii)及び(iii)の工程により製造される。
(i)
上記式(1)で表されるアルコール化合物、芳香族炭化水素類及びメタノールを含む溶液(晶析溶液)を調製する工程(以下、晶析溶液調製工程と称することもある)。
(ii)
前記溶液から25℃以上で前記アルコール化合物の結晶を析出させ、析出した結晶を分離取得する工程(以下、晶析工程と称することもある)。
(iii)
前記結晶を100℃以上とする工程。(以下、加熱工程と称することもある)。
以下、上記(i)(ii)及び(iii)の工程について詳述する。
(a)後述する方法により決定されるHPLC純度が通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは98%以上。
(b)後述する方法で測定するYI値が通常10以下、好ましくは7以下。
R1−O(CH2CH2O)n−R2 (4)
(式中、R1及びR2はそれぞれ同一又は異なって、分岐を有してもよい炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
で表される構造を有する。このようなグリコールジエーテルとしては、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が例示される。
本発明の晶析溶液調製工程で使用可能な芳香族炭化水素類としてはトルエン、キシレン、メシチレン等が例示される。また、芳香族炭化水素類のみを用いた場合、得られる上記式(1)で表されるアルコール化合物が芳香族炭化水素類を包接する為、メタノールを併用する必要がある。
次いで晶析工程について詳述する。上記の方法により調製された晶析溶液は通常、40℃以上、晶析溶液の沸点以下の温度まで加熱し結晶を完溶させた後冷却し、25℃以上、好ましくは25〜60℃、更に好ましくは40〜50℃で結晶を析出させる。25℃より低い温度で結晶を析出させた場合、本発明の結晶が得られず、一部又は全部が芳香族炭化水素類を包接した結晶となる。また、60℃より高い温度で結晶を析出させる場合、溶媒の沸点に近いことから、安全面で問題となる場合が生じる。前述した温度範囲で結晶を析出させる方法として、結晶が析出するまで上記温度範囲となるよう晶析溶液の温度を保持する方法、上記温度範囲で種晶を接種する方法等が例示される。また、結晶析出後、一定時間同温度で保持し結晶を成長させる操作を実施しても良い。結晶析出後、必要に応じ更に冷却を行い、析出した結晶を分離する。分離した結晶は、下記する加熱工程を実施する前に、晶析工程で用いた溶媒(メタノール等)を常法により除去しても良い。
加熱工程は、得られた結晶を100℃以上、結晶の融点以下、好ましくは130℃以下とする(加熱する)ことによって実施され、100℃以上で保温する時間を調整することにより、148〜151℃の範囲における吸熱ピークを有する結晶と165〜200℃の範囲における吸熱ピークを有する結晶の比率を適宜調整することができる。なお、本発明で言う結晶の温度とは、乾燥に用いる装置の内部に温度計を内挿し、該温度計に結晶が接している際に観測される温度である。
装置 :島津製作所製 LC−2010A、
カラム:SUMIPAX ODS A−211(5μm、4.6mmφ×250mm)、
移動相:純水/アセトニトリル(アセトニトリル30%→100%)、
流量 :1.0ml/min、カラム温度:40℃、検出波長:UV 254nm。
溶媒の残存量、または上記式(1)で表されるアルコール化合物に包接されているゲスト分子(芳香族炭化水素類等)の含量については下記条件に基づくガスクロマトグラフィーにより定量を行った。
装置 :島津製作所製 GC−2014、
カラム:DB−1(0.25μm、0.25mmID×30m)、
昇温:40℃(10分保持)→20℃/min→300℃(20分保持)、
Inj温度:200℃、Det温度:300℃、スプリット比 1:10、
キャリアー:窒素55.0kPa(一定)、
サンプル調製方法:十分に乾燥させた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶100mgを10mlメスフラスコに量り取り、そこへあらかじめ調製していた1,2−ジメトキシエタンのアセトニトリル溶液(1,2−ジメトキシエタン400mgをアセトニトリル200mlに溶解したもの)をホールピペットで5ml加え、アセトニトリルでメスアップさせ溶解したものを試料溶液とした。
一方、残存量(包接量)を測定したい溶媒10mgを10mlメスフラスコに量り取り、上述と同量の1,2−ジメトキシエタンのアセトニトリル溶液を加え、アセトニトリルでメスアップさせ溶解したものを標準溶液とした。
試料溶液及び標準溶液を上述の条件にて分析し、得られた各成分のピーク面積をデータ処理装置で求め、各成分の含量(重量%)を算出した(内部標準法)。
上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶5mgをアルミパンに精密に秤取し、示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社:DSC7020)を用い、酸化アルミニウムを対照として下記操作条件で測定した。
(操作条件)
昇温速度:10℃/min、
測定範囲:30−250℃、
雰囲気 :開放、窒素40ml/min。
上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶12gを、純度99重量%以上のN,N―ジメチルホルムアミド30mlに溶解させ、以下の条件で得られたN,N―ジメチルホルムアミド溶液のYI値(黄変度)を測定した。
装置 :色差計(日本電色工業社製,SE6000)、
使用セル:光路長33mm 石英セル。
なお、測定に使用するN,N−ジメチルホルムアミド自身の着色が測定値に影響を与えないよう、事前にN,N−ジメチルホルムアミドの色相を測定して補正した。(ブランク測定)。
上述のブランク測定を実施したうえで、サンプルを測定した値を本発明におけるYI値とする。
晶析溶液中の水分値はJIS−K0068に準拠した方法(カールフィッシャー容量滴定法)にて測定した。
下記実施例等で得られた結晶を10mlのメスシリンダーに5mlまで入れ、メスシリンダーに入った結晶の重量から嵩密度を算出した。
下記実施例等で得られた結晶約1gを試験管に入れ、該試験管を約130℃のシリコンオイルが入ったオイルバスに入れ10分間静置した後、オイルバスを十分に撹拌しながら130℃より徐々に昇温し、試験管に入った結晶の溶融が始まった際のオイルバスの温度を結晶の溶融開始温度とした。
上記(1)で表されるフルオレン骨格を有するアルコールの結晶をDuraSamplIR2にてダイヤモンド結晶に密着させ、FT−IR分光光度計(島津製作所製:IRTracer−100)を用いて下記の条件で測定した。
測定方法 :1回反射ATR法
分解能 :4cm−1
積算回数 :16
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン(上記式(2)で表されるフェノール化合物)150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびトリエチレングリコールジメチルエーテル15gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で8時間撹拌後、HPLCにて原料が消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約1%であった。
得られた反応液を90℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を濃縮することで溶媒を除去し、濃縮物を得た。得られた濃縮物にトルエン49g、メタノール188gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1%であった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却することにより45℃で結晶を析出させ、析出後、同温度で2時間撹拌した。撹拌後、更に22℃まで冷却した後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。得られた結晶を15時間、内圧1.3kPaの減圧下、結晶温度を100〜102℃とした後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:139g(収率:79%)
HPLC純度:98.4%(多量体含量:0.9%)
トルエン含量:0.03重量%
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
101.3kPaにおける沸点が150℃以下の有機溶媒の含有量:0.25重量%
YI値:1.0
嵩密度:0.5g/cm3
DSC吸熱ピーク:150℃、195℃
溶融開始温度:150℃
実施例1で得られた結晶のDSCチャートを図1に、IRスペクトルを図7に示す。
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびジエチレングリコールジメチルエーテル150gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で13時間撹拌後、HPLCにて原料が消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約0.5%であった。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を一部濃縮し、上記式(1)で表されるアルコール化合物、トルエン及びジエチレングリコールジメチルエーテルを含む溶液を得た。
該溶液にトルエン54g、メタノール84gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1%であり、該溶液中に含まれるトルエンは173g、メタノールは84g、ジエチレングリコールジメチルエーテルは61gであった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却し50℃とした時点で、実施例1で得られた結晶0.01gを種晶として添加した所、結晶が析出した。その後、同温度で1時間撹拌した。撹拌後、更に25℃まで冷却した後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。得られた結晶を8時間、内圧1.1kPaの減圧下、結晶温度を107〜111℃とした後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:139g(収率:79%)
HPLC純度:98.5%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:0.03重量%
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
101.3kPaにおける沸点が150℃以下の有機溶媒の含有量:0.25重量%
YI値:1.0
嵩密度:0.6g/cm3
DSC吸熱ピーク:149℃、195℃
溶融開始温度:149℃
実施例2で得られた結晶のDSCチャートを図2に示す。
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびジエチレングリコールジメチルエーテル150gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で13時間撹拌後、HPLCにて原料が消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約0.5%であった。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を一部濃縮し、上記式(1)で表されるアルコール化合物、トルエン及びジエチレングリコールジメチルエーテルを含む溶液を得た。
該溶液にトルエン54g、メタノール84gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1%であり、該溶液中に含まれるトルエンは173g、メタノールは84g、ジエチレングリコールジメチルエーテルは61gであった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却し50℃とした時点で、実施例1で得られた結晶0.01gを種晶として添加した所、結晶が析出した。その後、同温度で1時間撹拌した。撹拌後、更に25℃まで冷却した後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。得られた結晶を11時間、内圧1.1kPaの減圧下、結晶温度を100〜103℃とした後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:141g(収率:80%)
HPLC純度:98.5%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:0.02重量%
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
101.3kPaにおける沸点が150℃以下の有機溶媒の含有量:0.10重量%
YI値:1.2
嵩密度:0.5g/cm3
DSC吸熱ピーク:150℃、168℃、174℃、195℃
溶融開始温度:150℃
実施例3で得られた結晶のDSCチャートを図3に示す。
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン150g(0.298mol)、炭酸カリウム3.4g(0.025mol)、エチレンカーボネート60.1g(0.682mol)、トルエン225g、およびトリエチレングリコールジメチルエーテル15gを仕込み、115℃まで昇温し、同温度で8時間撹拌後、HPLCにて原料が消失していることを確認した。反応終了時点の多量体の生成率は約1%であった。
得られた反応液を90℃まで冷却した後、水225gを加え、80〜85℃で30分間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層を濃縮することで溶媒を除去し、濃縮物を得た。得られた濃縮物にトルエン49g、メタノール188gを添加し晶析溶液を得た。得られた晶析溶液中の水分は0.1%であった。
得られた晶析溶液を65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌して結晶を完溶させた後、0.1℃/分で冷却することにより45℃で結晶を析出させ、析出後、同温度で2時間撹拌した。撹拌後、更に22℃まで冷却した後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。得られた結晶を15時間、内圧1.3kPaの減圧下、結晶温度88℃〜90℃とした後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:139g(収率:79%)
HPLC純度:98.2%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:0.03重量%
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
101.3kPaにおける沸点が150℃以下の有機溶媒の含有量:0.25重量%
YI値:0.7
嵩密度:0.2g/cm3
DSC吸熱ピーク:150℃
溶融開始温度:150℃
参考例1で得られた結晶のDSCチャートを図5に示す。
参考例1で得られた結晶をフラスコに入れ、常圧で72時間、結晶温度を125℃とした。加熱後、得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
HPLC純度:98.1%(多量体含量:0.8%)
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
YI値:1.1
嵩密度:0.5g/cm3
DSC吸熱ピーク:148℃、195℃
溶融開始温度:148℃
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン40.0g(0.0800mol)、エチレンカーボネート16.1g(0.183mol)、炭酸カリウム0.8g(0.006mol)およびトルエン40.0gを仕込み、110℃で11時間撹拌し、HPLCにて原料ピークが1%以下であることを確認した。また、反応液中には、多量体が約3%副生していることを確認した。
得られた反応液を85℃まで冷却した後、水68gを加え、80〜85℃で30分間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、得られた有機溶媒層をディーンスターク装置を用いて還流下で脱水し、上記式(1)で表されるアルコール化合物が溶解した晶析溶液を得た。該晶析溶液中の水分は0.1%であった。
得られた晶析溶液を0.3℃/分で冷却した所、65℃で結晶が析出し、同温度で2時間撹拌した。更に26℃まで冷却した後、濾過し、結晶を得た。得られた結晶を、12時間、内圧1.1kPaの減圧下、結晶温度を110℃〜112℃とした後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:39.4g(収率:84%)
HPLC純度:97.2%(多量体含量:2.6%)
トルエン含量:4.1重量%
赤外スペクトル:1153(cm−1)にピークを有した。
DSC吸熱ピーク:151℃
比較例1で得られた結晶のDSCチャートを図4に、IRスペクトルを図8に示す。
晶析工程においてメタノールの代わりにエタノールを使用する以外は実施例1と同様の操作を行い、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。得られた結晶の各分析値は以下の通り。
得られた結晶の重さ:130g(収率:74%)
HPLC純度:97.8%(多量体含量:0.8%)
トルエン含量:4.0重量%
赤外スペクトル:1153(cm−1)にピークを有した。
DSC吸熱ピーク:150℃
実施例1と同様に反応、後処理を行い濃縮物を得た。得られた濃縮物を4等分し、下記表2に示す比率となるよう各溶媒をそれぞれ添加した後は実施例1記載の方法と同様に後処理を行い、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。各結晶の各分析値を以下表2に示す。なお、表2における各溶媒の添加量はそれぞれの濃縮物に含まれる上記式(1)で表されるアルコール化合物に対する比率(重量倍)である。
実施例2と同様に反応、後処理を行なった後、溶媒を除去することで濃縮物171gを得た。得られた濃縮物にトルエン228g、メタノール114gを添加後65℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌することにより結晶を完溶させた。その後、1.5℃/分で冷却することにより21℃で結晶を析出させ、同温度で2時間撹拌した。その後、濾過し、上記式(1)で表されるアルコール化合物を含む結晶を得た。
得られた結晶を3時間、内圧1.1kPaの減圧下、結晶温度を68℃〜73℃としたが、トルエンが4重量%含まれていた。そこで更に10時間、結晶温度を110℃〜112℃で保持したが、トルエンの含量は4重量%のままであった。
9−フルオレノンの使用量を9.0gとして特開2009−256342号の実施例2記載の方法を追試した所、上記式(1)で表されるアルコール化合物13.5g(純度74.7%)を得た。得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
YI値:83
DSC吸熱ピーク:126℃
赤外スペクトル:1153(cm−1)にピークを有した。
攪拌器、加熱冷却器、および温度計を備えたガラス製反応器に、9,9’−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン138g(0.275mol)、炭酸カリウム3.1g(0.022mol)、エチレンカーボネート50.8g(0.577mol)、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと称することもある)138gを仕込み、120℃まで昇温し、同温度で9時間撹拌後、HPLCにて原料が消失していることを確認した。
得られた反応液を80℃まで冷却した後、MIBK276g、水207gを加え、70〜75℃で2時間撹拌し、静置後、水層を分離した。同じ操作を3回繰り返した後、MIBK55g、ヘプタン198gを添加し、晶析溶液を得た。
得られた晶析溶液を105℃まで昇温し、30分間撹拌して結晶を完溶させた後、該晶析溶液を0.1℃/分で冷却することにより95℃で結晶を析出させ、同温度で2時間撹拌した。その後、25℃まで冷却、濾過し、結晶を得た。得られた結晶を10時間、内圧1.3kPaの減圧下、結晶温度100〜105℃で保持した後、上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶を得た。
得られた結晶の重さ:127g(収率:78%)
HPLC純度:98.5%
赤外スペクトル:1148(cm−1)にピークを有する一方、1153±2(cm−1)にはピークを有さなかった。
101.3kPaにおける沸点が150℃以下の有機溶媒の含有量(MIBK及びヘプタンの含有量を含む):0.07重量%
YI値:7.0
嵩密度:0.6g/cm3
DSC吸熱ピーク:195℃
溶融開始温度:195℃
参考例2で得られた結晶のDSCチャートを図6に示す。
参考例2で得られた結晶をフラスコに入れ、常圧で15時間、結晶温度を105〜110℃で保持した。加熱後、得られた上記式(1)で表されるアルコール化合物の結晶の各分析値は以下の通り。
YI値:7.0
嵩密度:0.6g/cm3
DSC吸熱ピーク:195℃
溶融開始温度:195℃
Claims (5)
- 上記式(1)で表されるアルコールのHPLC純度(検出波長:254nm)が95%以上であり、かつ芳香族炭化水素類の含量が1重量%以下である、請求項1記載のアルコール化合物の結晶。
- 嵩密度が0.3〜0.6g/cm3である、請求項1〜3いずれか1項記載のアルコール化合物の結晶。
- 上記式(1)で表されるアルコール12gを、純度99重量%以上のN,N−ジメチルホルムアミド30mLに溶解させた溶液の黄色度(YI値)が10以下となる、請求項1〜4いずれか1項記載のアルコール化合物の結晶。
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