JP6734645B2 - フルオレン縮合体組成物およびエポキシ化組成物ならびにこれらの製造方法 - Google Patents

フルオレン縮合体組成物およびエポキシ化組成物ならびにこれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能性樹脂の原料、半導体製造工程で用いられるレジストや下層膜の原料として有用なフルオレン縮合体組成物およびエポキシ化組成物ならびにそれらの製造方法に関する。
フルオレノン類とフェノール類および/またはナフトール類とを反応させて得られるビスフェノールフルオレン類は、ポリエステル、ポリカーボネート、エポキシ樹脂等の機能性樹脂の原料として有用である。また、ビスフェノールフルオレン類は、半導体製造工程で用いられるレジストや下層膜等の原料またはブレンド物としても用いられる。ビスフェノールフルオレン類を原料に用いた樹脂は、光学特性、耐熱性、強度などに優れている。
このようなビスフェノールフルオレン類の製造に関しては、特許文献1〜3に開示されている。また、特許文献4には、ビスフェノールフルオレン類の製造時に、2量体以上の縮合体も同時に生成することが記載されている。
特開平4−41450号公報 特開平6−321836号公報 特開平8−217713号公報 特開2010−100770号公報
しかしながら、従来の公知文献は、2量体以上の縮合体は、反応生成物に対して10%以下の含有量であるか、または、縮合体含有量に関する開示がなされていないものがほとんどである。また、縮合体含有量が10%以上組成物の特性は従来の公知文献では明らかにされていなかった。
一方、従来の、ビスフェノールフルオレン類単量体を高純度で含む化合物は、250℃以上の高温で昇華しやすく、そのため、高温で揮発分が問題となる用途、例えば、半導体製造工程で使用するレジストや下層膜に、ブレンドして用いる場合は、その使用が制限される問題があった。
また、高純度ビスフェノールフルオレン類は、結晶が飛散しやすく、飛散して人体に付着すると、一時的なかゆみや長期的な健康障害を起こす可能性があるため、その製造工程では、高度の防御服の使用や粉塵対策設備が必要である問題があった。
そこで、本発明は、熱重量減少率が小さく、合成作業の際のかゆみの問題もない、フルオレン縮合体組成物およびその製造方法、ならびにエポキシ樹脂の原料として有用なエポキシ化組成物およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記(1)式で示される化合物(フルオレン縮合体)を12〜90質量%、および下記(2)式で示される化合物(フルオレン誘導体)を88〜10質量%含有し、これらの合計含有量が85質量%であるフルオレン縮合体組成物は、熱重量減少率が小さく、その合成作業の際のかゆみの問題もないこと、さらに、このフルオレン縮合体組成物をエポキシ化して得られるエポキシ化組成物がエポキシ樹脂の原料として有用であることを知得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[]である。
[1]下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物とを、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、β−メルカプトプロピオン酸、シュウ酸、酢酸、および強酸性イオン交換樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類の酸性触媒下で反応させる縮合工程を含み、
下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物の混合比「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」が1.5以上4.0以下であり、かつ、反応温度が100℃超、150℃以下であ
下記(1)式で示される化合物を12〜90質量%、および
下記(2)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、
下記(1)式で示される化合物および下記(2)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である、フルオレン縮合体組成物の製造方法。


ただし、(A)式および(B)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、Rは脂肪族基を示し、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間で互いに同じであっても異なっていてもよく、(1)式および(2)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、R は脂肪族基を示し、R はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、nは0以上の整数であり、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、nは分子間で互いに同じであっても異なっていてもよい。
[2]nが0以上5以下の整数である、上記[1]に記載のフルオレン縮合体組成物の製造方法
[3]下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物とを酸性触媒下で反応させる縮合工程、および
縮合工程で得られたフルオレン縮合体組成物をエポキシ化するエポキシ化工程を含み、
下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物の混合比「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」が1.5以上4.0以下であり、かつ、反応温度が100℃超、150℃以下であり、
下記(3)式で示される化合物を12〜90質量%、および
下記(4)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、
下記(3)式で示される化合物および下記(4)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である、エポキシ化組成物の製造方法。


ただし、(3)式および(4)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Yはグリシドキシ基およびヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を示し、Yの総モル数の10モル%以上がグリシドキシ基であり、Rは脂肪族基を示し、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、nは0以上の整数であり、pは1であり、qは0であり、sは0であり、ArおよびYは、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、nは分子間で互いに同じであっても異なっていてもよく、(A)式および(B)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、R は脂肪族基を示し、R はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間で互いに同じであっても異なっていてもよい
本発明によれば、熱重量減少率が小さく、合成作業の際のかゆみの問題もない、フルオレン縮合体組成物およびその製造方法、ならびにエポキシ樹脂の原料として有用なエポキシ化組成物およびその製造方法が提供される。
図1は実施例1のフルオレン縮合体組成物のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)スペクトルを表すクロマトグラムである。
本発明の特徴的な点は、フルオレン縮合体を合成する際の反応温度を従来よりも高い100℃超とし、かつ、原料の混合比(仕込比)を特定範囲内とした点にある。これにより、フルオレン縮合体組成物中のフルオレン縮合体の含量を12質量%以上として、熱重量減少率を小さく、かつ、飛散し難くすることができた。これは、本発明のフルオレン縮合体組成物中のフルオレン縮合体((1)式で示される化合物)の含量を従来に比べて大きくすることによって、フルオレン縮合体組成物に含まれる揮発分の含量を従来に比べて小さくすることができ、その結果として熱重量減少率を小さくすることができたこと、および、フルオレン縮合体組成物に含まれるフルオレン縮合体の平均分子量が従来に比べて大きくなって、フルオレン縮合体組成物の微細結晶が生成しにくくなり、その結果として、フルオレン縮合体組成物を飛散し難くすることができたことによるものであると考えられる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
[フルオレン縮合体組成物]
本発明のフルオレン縮合体組成物は、下記(1)式で示される化合物を12〜90質量%、および下記(2)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、下記(1)式で示される化合物および下記(2)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である。
本発明のフルオレン縮合体組成物は、好ましくは、下記(1)式で示される化合物を20〜90質量%、および下記(2)式で示される化合物を80〜10質量%含有し、より好ましくは、下記(1)式で示される化合物を30〜80質量%、および下記(2)式で示される化合物を70〜20質量%含有する。
下記(1)式で示される化合物の含有量がこの範囲内であると、本発明のフルオレン縮合体組成物は、揮発分が少なく、高温時の重量減少率(熱重量減少率)が小さい。熱重量減少率が小さいことで、本発明のフルオレンン縮合体組成物をエポキシ樹脂の原料として用いた際にも熱重量減少率が小さく、耐熱性に優れたエポキシ樹脂とすることができる。
また、下記(1)式で示される化合物の含有量がこの範囲内であると、結晶の飛散が少なく、使用者の人体に付着しにくい。そのため、本発明のフルオレン縮合体組成物を合成する際のかゆみの問題も無い。これは、本発明のフルオレン縮合体組成物中の下記(1)式で示される化合物の含量が多いと、本発明のフルオレン縮合体組成物に含まれるフルオレン縮合体の平均分子量が大きくなって、フルオレン縮合体組成物の微細結晶が生成しにくく、飛散し難いことによるものであると考えられる。
(1)式および(2)式中、Arは芳香環を示す。
Arは分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、好ましくは分子間および分子内で同じ種類である。Arが分子間および分子内で同じ種類であると、製造の際に(1)式で示される化合物が合成されやすくなり、工業的に製造する際に有利である。
(1)式および(2)式中、Arで示される芳香環としては、ヒュッケル則を満たす不飽和炭化水素環であれば特に限定されないが、例えば、下記(a)式から(g)式までに示された芳香環を挙げることができる。Arは、原料の入手の容易さおよび取扱いの容易さから、好ましくはベンゼン環(下記(a)式で示される)またはナフタレン環(下記(b)式で示される。)であり、より好ましくはベンゼン環である。
Arの置換可能な位置の数tは、芳香環Arを構成する炭素原子に結合可能な水素原子の数と一致し、例えば、上記(a)式で示されるベンゼン環では6、上記(b)式で示されるナフタレン環では8、上記(c)式で示されるアントラセン環では10、上記(d)式で示されるフェナントレン環では10、上記(e)式で示されるテトラセン環では12、上記(f)式で示されるクリセン環では12、上記(g)式で示されるアズレン環では8である。
なお、ヒュッケル則を満たすとは、環を構成するすべての原子がsp混成軌道をとっていること、π電子系に含まれる電子の数が4k+2(ここで、kは0以上の整数である。)個であること、および、環全体が平面構造をとっていることをいう。
(1)式および(2)式中、Xはヒドロキシ基および一般式−[O−(RO)−H]によって示される基(ただし、Rはアルキレン基を示し、mは1以上の整数である。)からなる群から選択される置換基を示し、Arに結合するXの個数pは1以上の整数である。X、R、mおよびpは、それぞれ、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよい。
Xにおいて、Rによって示されるアルキレン基は、特に限定されないが、原料化合物の入手の容易さから、好ましくはC1−10アルキレン基、より好ましくはC1−4アルキレン基、さらに好ましくはC2−3アルキレン基、いっそう好ましくはエチレン基またはトリメチレン基、よりいっそう好ましくはエチレン基である。Rとしては、具体的には、例えば、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)、プロピレン基(−CH(CH)CH−)、プロピリデン基(>CHCHCH)、イソプロピリデン基(>C(CH)、およびブタン−1,2−ジイル基(−CHCH(CHCH)−)等が挙げられる。なお、Rは、同一の、または異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、mが2以上の整数である場合、Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。すなわち、mが2以上の整数である場合、ポリオキシアルキレン単位(RO)は同一種類のオキシアルキレン単位から構成されてもよいし、異なる種類のオキシアルキレン単位、例えば、オキシエチレン単位およびオキシプロピレン単位等から構成されてもよい。
Xにおいて、オキシアルキレン単位(RO)の繰返し数(付加モル数)mは、特に限定されないが、原料化合物の入手の容易さから、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは1〜8、いっそう好ましくは1〜6、よりいっそう好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2である。
Xは、原料化合物の入手の容易さから、好ましくはヒドロキシ基、2−ヒドロキシエチル基および3−ヒドロキシプロピル基からなる群から選択される少なくとも1種類以上であり、より好ましくはヒドロキシ基および2−ヒドロキシエチル基からなる群から選択される少なくとも1種類以上であり、さらに好ましくはヒドロキシ基である。
pは、p+q≦t−2を満たせば特に限定されないが、好ましくは1または2であり、原料化合物の入手の容易さから、より好ましくは1である。ここで、tは芳香環Arの置換可能な位置の数であり、qはArに結合するRの数である。
(1)式および(2)式中、Rは脂肪族基を示し、Arに結合するRの個数qは0以上の整数である。Rおよびqは、それぞれ、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよい。
脂肪族基は、特に限定されないが、好ましくは飽和脂肪族基または不飽和脂肪族基であり、より好ましくは飽和脂肪族基である。飽和脂肪族基は、好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10個のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4個のアルキル基である。
炭素数1〜4個のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、プロパン−2−イル基(イソプロピル基)、ブチル基、2−メチルプロピル基(イソブチル基)等が挙げられる。
は、原料化合物の入手の容易さから、特に好ましくはメチル基である。
Arに置換するRの個数qは、0以上の整数であり、p+q≦t−2を満たせば特に限定されないが、好ましくは0または1であり、原料化合物の入手の容易さから、より好ましくは0である。ここで、tは芳香環Arの置換可能な位置の数であり、pはArに置換するXの数である。q=1であるとき、Rは好ましくはメチル基である。
(1)式および(2)式中、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、フルオレン骨格の2個あるベンゼン環部分のそれぞれに置換するRの個数sは0≦s≦4を満足する整数である。Rおよびsは、それぞれ、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは分子間および分子内で互いに同じである。Rおよびsがそれぞれ分子間および分子内で同じ種類であると、製造の際に(1)式で示される化合物が合成されやすくなり、工業的に製造する際に有利である。
上記アルキル基は、特に限定されないが、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。炭素数3以下のアルキル基としては、メチル基の他には、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
上記アルコキシ基は、特に限定されないが、好ましくは炭素数3以下のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。炭素数3以下のアルコキシ基としては、メトキシ基の他には、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。
上記アリール基は、特に限定されないが、好ましくはフェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
上記ハロゲン原子は、特に限定されないが、好ましくは塩素原子または臭素原子であり、より好ましくは臭素原子である。
は、原料化合物の入手の容易さから、好ましくはハロゲン原子またはアルキル基であり、より好ましくは臭素原子またはメチル基である。
sは、原料化合物の入手の容易さから、好ましくは0である。sが0であると原料が入手し易く、工業的に安価で製造しやすいからである。
フルオレン単位の繰返し数nは0以上の整数であり、特に限定されないが、好ましくは0以上5以下の整数である。nは分子間で互いに同じであっても異なっていてもよい。上記nがこの範囲内であると、フルオレン縮合体がより生成しやすくなり、収率がより高くなる。
本発明のフルオレン縮合体組成物中の(1)式で示される化合物および(2)式で示される化合物の合計含有量は85質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上であり、さらに好ましくは実質的に100質量%である。ここで「実質的に」とは、不可避的不純物の混入を容認することを意味する。
(1)式で示される化合物と(2)式で示される化合物との合計の含有量がこの範囲であると、熱重量減少量が極めて少なく、また取扱い時のかゆみがより一層抑制できるからである。
また、(1)式で示される化合物と(2)式で示される化合物の含有量比(質量比)は、上記含有量に関する条件を満足する限り特に限定されるものではないが、好ましくは(1)式で示される化合物の質量:(2)式で示される化合物の質量=12〜90:88〜10であり、より好ましくは(1)式で示される化合物の質量:(2)式で示される化合物の質量=15〜80:85〜20である。この範囲内であると、本発明のフルオレン縮合体組成物はさらに結晶が飛散しにくくなり、取扱者が健康被害を受けるおそれがより小さくなる。
本発明のフルオレン縮合体組成物では、特性を損なわない範囲で、反応過程で生じる副生成物を含んでいても良い。副生成物の含有量は特に制限されないが、組成物全量の15質量%以下、好ましくは10質量%以下である。このような副生成物は、原料や生成物が酸化された複雑な構造の化合物等が上げられる。
[フルオレン縮合体組成物の製造方法]
本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法は、下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物とを酸性触媒下で反応させる縮合工程を含み、(A)式で示される化合物と(B)式で示される化合物の混合比「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」が1.0以上6.0以下であり、かつ、反応温度が100℃超であることを特徴とする。特に好ましくは混合比が1.0超、2.0未満であり、かつ、反応温度が100℃超、150℃以下である。
なお、本発明において、混合比は仕込比ともいう。
〈(A)式で示される化合物〉
(A)式中のAr、X、R、pおよびqは、それぞれ、上記(1)式および(2)式中のAr、X、R、pおよびqと同義である。
上記(A)式で示される化合物としては、フェノール類および/またはナフトール類のうち、上記(A)式で示すことができるものが好ましい。
このようなフェノール類は、例えば、フェノール、クレゾール類(2−メチルフェノール、3−メチルフェノール、4−メチルフェノール)、キシレノール類(2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール)、2−フェノキシエタノール等を挙げることができ、入手容易であることから、好ましくはフェノールまたは2−メチルフェノール(o−クレゾール)であり、より好ましくはフェノールである。
このようなナフトール類は、例えば、1−ナフトール、2−ナフトール、2,6−ナフタレンジオール類等を挙げることができ、入手容易であることから、好ましくは1−ナフトールまたは2−ナフトールである。
〈(B)式で示される化合物〉
(B)式中のRおよびsは、それぞれ、上記(1)式および(2)式中のRおよびsと同義である。
式(B)で示される化合物としては、9−フルオレノン、2−アミノ−9−フルオレノン、2−ブロモ−9−フルオレノン、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン等を挙げることができ、入手が容易であることから、好ましくは9−フルオレノンである。
原料の組合せとしては、好ましくは、(A)式で示される化合物として、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、クレゾール類およびキシレノール類からなる群から選択される少なくとも1種類を用い、(B)式で示される化合物として、9−フルオレノンを用いるものが挙げられる。
〈酸性触媒〉
本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法の縮合工程で用いる酸性触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、β−メルカプトプロピオン酸、シュウ酸、酢酸、強酸性イオン交換樹脂等を挙げることができ、これらから選択される1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。特に好ましくは、硫酸、p−トルエンスルホン酸およびβ−メルカプトプロピオン酸からなる群から選択される少なくとも1種類である。2種類以上の酸性触媒を組み合わせて使用する場合の量比は特に限定されない。
〈反応温度〉
本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法の縮合工程における反応温度は、100℃超であり、好ましくは100℃超、150℃以下である。
反応温度が100℃以下では、反応速度が遅く、また、(1)式で示される化合物の繰返し数nの平均値が小さくなり、熱重量減少率が大きくなり、取扱い時のかゆみの問題を生じるおそれがある。
反応温度が150℃以下であると、原料が酸化された複雑な構造の化合物等の副生成物の生成が抑えられる。
〈原料の混合比(仕込比)〉
本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法の縮合工程における原料の混合比(仕込比)は「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」(モル比)であり、その範囲は1.0以上6.0以下である。この範囲内とすることで、フルオレン縮合体の生成量が増加して、上記(1)式で示される化合物の含有量を10質量%以上とすることができる。
混合比(仕込比)「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」(モル比)は、上記(1)式で示される化合物の含有量が増加することから、好ましくは1.0超、2.0未満、より好ましくは1.1以上1.9以下、さらに好ましくは1.5以上1.8以下である。
〈溶媒〉
本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法の縮合工程で用いる溶媒は、特に限定されないが、例えば、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等を挙げることができ、原料および生成物の溶解性に優れる点で、好ましくはトルエン、o−キシレンおよびp−キシレンからなる群から選択される少なくとも1種類である。1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。2種類以上を組み合わせて用いる場合の量比は特に限定されない。
[エポキシ化組成物]
本発明のエポキシ化組成物は、下記(3)式で示される化合物を12〜90質量%、および下記(4)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、下記(3)式で示される化合物および下記(4)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である。
本発明のエポキシ化組成物は、好ましくは、下記(3)式で示される化合物を20〜90質量%、および下記(4)式で示される化合物を80〜10質量%含有し、より好ましくは、下記(3)式で示される化合物を30〜80質量%、および下記(4)式で示される化合物を70〜20質量%含有する。
(3)式および(4)式中のAr、R、R、qおよびsは、それぞれ、上記(1)式および(2)式中のAr、R、R、qおよびsと同義である。
(3)式および(4)式中、Yはグリシドキシ基、ヒドロキシ基および一般式−[O−(RO)−H]によって示される基(ただし、Rおよびmは、それぞれ、上記(1)式および(2)式中のXにおけるRおよびmと同義である。)からなる群から選択される置換基を示し、好ましくはグリシドキシ基およびヒドロキシ基からなる群から選択される基を示し、Yの総モル数の10モル%以上、好ましくは20モル%以上、より好ましくは50モル%以上がグリシドキシ基である。Arに結合するYの個数pは1以上の整数である。Yおよびpは、それぞれ、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよい。
pは、p+q≦t−2を満たせば特に限定されないが、好ましくは1または2であり、原料化合物の入手の容易さから、より好ましくは1である。ここで、tは芳香環Arの置換可能な位置の数であり、qはArに結合するRの数である。
本発明のエポキシ化組成物は、硬化剤または触媒を添加して硬化させることで、耐熱性に優れたエポキシ樹脂とすることができ、プレポリマー組成物として有用である。硬化剤または触媒としては、プレポリマーの硬化剤または触媒として従来公知のポリアミン、酸無水物等を使用することができる。本発明のエポキシ樹脂は、例えば、電子回路の基板やICパッケージの封入剤、レジスト、接着剤、塗料、積層剤等として用いるのに有用である。
[エポキシ化組成物の製造方法]
本発明のエポキシ化組成物の製造方法は、上述した本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法の縮合工程で得られたフルオレン縮合体組成物をエポキシ化するエポキシ化工程を含む。
縮合工程は、本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法において記載したとおりであある。
エポキシ化工程におけるエポキシ化の方法は、特に限定されず、従来公知のエポキシ化方法を用いることができるが、例えば、ジメチルスルホキシド等の溶媒中で、フルオレン縮合体組成物に対して、1〜20モル倍のエピクロロヒドリン等のエポキシ化剤および水酸化ナトリウムを添加し、反応温度0℃〜150℃、好ましくは10℃〜100℃の間でエポキシ化を行う方法が挙げられる。反応終了後は、メチルイソブチルケトン等の抽出溶媒を添加し、水洗を行って、副生した塩化ナトリウムを除去して、有機層を回収し、有機層は、減圧蒸留して、抽出溶媒を除去し、エポキシ樹脂を回収することが好ましい。
以下、実施例により本発明についてさらに詳しく説明する。
[評価方法]
1.(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量
製造したフルオレン縮合体組成物中の下記(1’)式で示される化合物および下記(2’)式で示される化合物の含有量は、製造したサンプルの0.5%テトラヒドロフラン(THF)溶液について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した標準ポリスチレン換算値から求めた。
(GPC条件)
・システム:汎用液体クロマトグラフ“Prominence”(登録商標)(島津製作所社製)+示差屈折率検出器“RID−20A”(島津製作所製)
・カラムの種類:ショウデックス KF−G、KF−801、KF802、KF802.5、KF803(昭和電工社製)
・移動相:テトラヒドロフラン(THF)
・カラム温度:40℃
・流量:1mL/min
・サンプル注入量:10μL
(1’)式および(2’)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環であり、Xはヒドロキシ基または2−ヒドロキシエトキシ基であり、nは0以上の整数である。
2.熱重量減少率
製造したフルオレン縮合体組成物の熱重量減少率は、熱分析装置(島津製作所製,自動TG/DTA同時測定装置DTG−60A)を用いて、空気中、昇温速度10℃/分の条件で150℃〜400℃の範囲で測定した。
3.合成作業の時のかゆみの有無
合成作業中にかゆみを感じたか否かによって、以下の判定に従って合成作業の時のかゆみの有無を判定した。
(判定基準)
かゆみを感じた場合・・・・・・あり
かゆみを感じなかった場合・・・なし
[実施例1]
500mLの三口フラスコに、キシレン300mL(溶媒)、フェノール47.4g(原料;(A)式で示される化合物に該当する)、9−フルオレノン50.4g(原料;(B)式で示される化合物に該当する)、p−トルエンスルホン酸5g(酸性触媒)、β―メルカプトプロピオン酸0.1g(酸性触媒)を仕込んで135℃に加熱し、15時間撹拌した(フェノール/フルオレノン仕込比(モル比)=1.8)。
反応終了後、反応液を分液ロートに移して、300mLのイオン交換水で10回水洗した。水洗後の有機層は、ヘプタン500mLを徐々に加えて、固体を析出させた。固体をろ別し、220℃で加熱乾燥した後、粉末の固体は、溶融して均一な褐色の固体に変化した。収量は75.6gであった。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。また、化合物の含有量を測定した際のGPCスペクトルの1例を図1に、そのGPCスペクトルの各ピークに対応する化合物の保持時間、数平均分子量(測定値)、重量平均分子量(測定値)、分子構造、理論分子量および構造式を表3中の該当欄に示す。
[比較例1]
フェノール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から8.0に変更した点、反応温度を135℃から50℃に変更した点、およびβ−メルカプトプロピオン酸(酸性触媒)を0.1g(対フルオレノン0.2質量%)から0.05g(対フルオレノン0.1質量%)に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表2中の該当欄に示す。
[実施例2]
フェノール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から4.0に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
[実施例3]
フェノール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から2.0に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
[実施例4]
フェノールに代えて2−ナフトールを用いた点およびナフトール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から1.5に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
[実施例5]
p−トルエンスルホン酸(酸性触媒)を5.0gから2.5gに、β―メルカプトプロピオン酸(酸性触媒)を0.1gから0.05gに、それぞれ変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
[実施例6]
p−トルエンスルホン酸(酸性触媒)5.0gに代えて硫酸(酸性触媒)5.0gを使用した点、−キシレン(溶媒)に代えてトルエン(溶媒)を使用した点および反応温度を110℃に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
参考例7]
フェノールに代えて2−フェノキシエタノールを使用した点、p−トルエンスルホン酸(酸性触媒)5.0gに代えて硫酸(酸性触媒)5.0gを使用した点、およびp−キシレン(溶媒)に代えてo−キシレン(溶媒)を使用した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表1中の該当欄に示す。
[実施例8]
実施例1で得られたビスフェノールフルオレン組成物20g、クロロメチルオキシラン41g、ジメチルスルホキシド15gを4つ口フラスコに入れて、内温を40℃にした。次に、水酸化ナトリウム(固体)を、0.5gずつ、10分間隔で添加し、合計4.5gを加えた。添加終了後、70℃で2時間撹拌した。さらに、内温を130℃にして減圧蒸留し、最後は内圧20Torrで15分間保持した。減圧を解除し、メチルイソブチルケトン200gを添加し、70℃で30質量%水酸化ナトリウム水溶液を1.44g添加して1時間撹拌した。撹拌終了後、反応液を1Lの分液ロートに移して、蒸留水200mLを加えて良くふり、静置して水層のpHを測定した。この水洗操作は、水層が中性になるまで繰り返した。有機層はエバポレータでメチルエチルケトンを除去して、エポキシ化組成物を得た。JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に従ってエポキシ当量を測定した結果、292g/当量であり、本発明のフルオレン縮合体組成物からエポキシ樹脂が合成できることが確認された。また、硬化剤として、水素化メチル無水フタル酸(和光製、173g/当量)を用い、硬化促進剤としてトリフェニルホスフィンを用いて、本発明の組成物1.5g、水素化メチル無水フタル酸硬化物0.89g、トリフェニルホスフィンをアルミ容器中で150℃で均一に混合した後、150℃で2時間、160℃で2時間、180℃で2時間、加熱硬化させて、硬化物を作成した。
[比較例2]
フェノール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から8.0に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表2中の該当欄に示す。
[比較例3]
フェノール/フルオレノンの仕込比(モル比)を1.8から1.0に変更した点、および反応温度を135℃から50℃に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表2中の該当欄に示す。
[比較例4]
反応温度を135℃から50℃に変更した点を除いて、実施例1と同様の方法によってフルオレン縮合体組成物を製造した。
上述した評価方法に従って、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量を測定し、熱重量減少率を測定し、合成作業の時のかゆみの有無を判定した。結果を表2中の該当欄に示す。
[実施例・比較例の説明]
実施例1〜で製造したフルオレン縮合体組成物はいずれも比較例1〜4のフルオレン縮合体組成物に比べて、熱重量減少量率が小さく、しかも、取扱い時のかゆみの問題もなく、性能および作業性の両面で優れた特性を示した。また、実施例8で製造したエポキシ化組成物はエポキシ樹脂の原料として有用であることが示唆された。
以下により詳細に考察する。
〈仕込比および反応温度〉
実施例1、2および3(表1を参照)、ならびに比較例2(表2を参照)は、フェノールと9−フルオレノンの仕込比「(フェノールのモル数)/(9−フルオレノンのモル数)」(モル比)が異なる例である。仕込比(モル比)が1.0以上6.0以下の範囲内である実施例1(仕込比=1.8)、実施例2(仕込比=4.0)および実施例3(仕込比=2.0)は、仕込比(モル比)が1.0以上6.0以下の範囲外である比較例2(仕込比=8.0)に比べ、熱重量減少率が小さく、半分未満であり、かゆみも無く、性能および作業性の両面で優れた特性を持つが、仕込比(モル比)が1.0超、2.0未満である実施例1(仕込比=1.8)は、熱重量減少率が特に小さく、比較例2の約1/4以下に過ぎず、極めて優れた性能を示した。
実施例1(表1を参照)および比較例4(表2を参照)は、反応温度が異なる例である。反応温度が100℃超の実施例1(反応温度=135℃)は反応温度が100℃以下の比較例4(反応温度=50℃)に比べて、熱重量減少率が約1/4と小さく、かゆみも無く、性能および作業性の両面で優れた特性を示した。
実施例1(表1を参照)および比較例1(表2を参照)は、仕込比(モル比)および反応温度が異なる例である。仕込比(モル比)が8.0、反応温度が50℃と、いずれも本発明の製造方法の範囲外である比較例1は、熱重量減少率が55.3質量%と大きい上に、かゆみの問題もあり、性能および作業性の両面で劣っていた。
仕込比および反応温度の一方でも本発明の製造方法に規定する範囲の外となる場合には、フルオレン縮合体組成物中の(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量、ならびにこれらの合計含有量のうち少なくとも1つが本発明のフルオレン縮合体組成物に規定する範囲外となり、熱重量減少率が大きい上に、かゆみの問題もあり、性能および作業性の両面で劣っていた。
〈原料、酸性触媒、溶媒〉
実施例1、5〜(表1を参照)から、原料の種類、酸性触媒の種類、組合せおよび添加量、ならびに溶媒の種類を変更しても、(1’)式で示される化合物および(2’)式で示される化合物の含有量、ならびにこれらの合計含有量が規定範囲内であり、性能および作業性の両面で優れた特性を持つ本発明のフルオレン縮合体組成物を製造できることが示された。
〈GPCスペクトル〉
図1に示すGPCスペクトルおよび表3に示す各ピークに対応する化合物の同定結果から、本発明のフルオレン縮合体組成物の製造方法によって製造したフルオレン縮合体組成物は、ビスフェノールフルオレン(BPFL:Bisphenol fluorene)の2量体、3量体および4量体を含むことが示された。

Claims (3)

  1. 下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物とを、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、β−メルカプトプロピオン酸、シュウ酸、酢酸、および強酸性イオン交換樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類の酸性触媒下で反応させる縮合工程を含み、
    前記(A)式で示される化合物と前記(B)式で示される化合物の混合比「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」が1.5以上4.0以下であり、かつ、反応温度が100℃超、150℃以下であり、
    下記(1)式で示される化合物を12〜90質量%、および
    下記(2)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、
    下記(1)式で示される化合物および下記(2)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である、フルオレン縮合体組成物の製造方法。


    ただし、(A)式および(B)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、Rは脂肪族基を示し、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間で互いに同じであっても異なっていてもよく、(1)式および(2)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、R は脂肪族基を示し、R はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、nは0以上の整数であり、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、nは分子間で互いに同じであっても異なっていてもよい。
  2. 前記nが0以上5以下の整数である、請求項1に記載のフルオレン縮合体組成物の製造方法
  3. 下記(A)式で示される化合物と下記(B)式で示される化合物とを、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、β−メルカプトプロピオン酸、シュウ酸、酢酸、および強酸性イオン交換樹脂からなる群から選択される少なくとも1種類の酸性触媒下で反応させる縮合工程、および
    前記縮合工程で得られたフルオレン縮合体組成物をエポキシ化するエポキシ化工程を含み、
    前記(A)式で示される化合物と前記(B)式で示される化合物の混合比「(A)式で示される化合物の合計モル数/(B)式で示される化合物の合計モル数」が1.5以上4.0以下であり、かつ、反応温度が100℃超、150℃以下であり、
    下記(3)式で示される化合物を12〜90質量%、および
    下記(4)式で示される化合物を88〜10質量%含有し、
    下記(3)式で示される化合物および下記(4)式で示される化合物の合計含有量が85質量%以上である、エポキシ化組成物の製造方法。


    ただし、(A)式および(B)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Xはヒドロキシ基を示し、Rは脂肪族基を示し、Rはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、pは1であり、qは0であり、sは0であり、Arは、分子間で互いに同じであっても異なっていてもよく、(3)式および(4)式中、Arはベンゼン環またはナフタレン環を示し、Yはグリシドキシ基およびヒドロキシ基からなる群から選択される置換基を示し、Yの総モル数の10モル%以上がグリシドキシ基であり、R は脂肪族基を示し、R はアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基またはシアノ基を示し、nは0以上の整数であり、pは1であり、qは0であり、sは0であり、ArおよびYは、分子間および/または分子内で互いに同じであっても異なっていてもよく、nは分子間で互いに同じであっても異なっていてもよい。
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