JP6829135B2 - フルオレン誘導体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン誘導体の製造方法及びこの方法により得られる全硫黄含量が低い前記フルオレン誘導体に関する。
9,9−ビスアリールフルオレン骨格を有する化合物(単に、フルオレン誘導体ともいう)は、光学的特性、熱的特性、機械的特性などの種々の特性に優れるため、光学部材用樹脂の原料(モノマー)や、樹脂改質剤などの添加剤などとして、様々な分野で利用されている。このようなフルオレン誘導体として、代表的には、例えば、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類;9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類などが挙げられる。
これらのフルオレン誘導体は、例えば、フルオレノン類と、対応するフェノール又はアルコールとを、塩化水素ガスや濃硫酸などを触媒として反応させることにより製造できる。しかし、このような方法で得られるフルオレン誘導体は、一般に、スルホン化物などの不純物により黄色に着色するため、高い透明性が要求される樹脂の原料として使用するには、厳密に精製する必要がある。そのため、着色度合の少ない透明性に優れたフルオレン誘導体を容易に製造する方法が検討されている。
例えば、国際公開第03/064358号(特許文献1)には、フルオレノンと、置換基を有していてもよいフェノール類とを、チオール類及び塩酸水の共存下で縮合反応させて、9,9−ビス(ヒドロキシフェニル)フルオレン類を製造する方法が開示されている。この文献の実施例では、フルオレノンと、o−クレゾール、フェノール、o−フェニルフェノールなどのフェノール類とを、β−メルカプトプロピオン酸及び塩酸水の存在下で反応させて、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンを合成している。
このような方法では、比較的着色度合の少ないフルオレン誘導体が得られるものの、調製するフルオレン誘導体の種類や、その使用用途によっては十分に着色を抑えられない場合がある。
一方、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアリール]フルオレン類(例えば、9,9−ビス[ヒドロキシアルコキシアリール]フルオレンなど)の製造方法としては、例えば、対応する9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類に、アルキレンオキシド(アルキレンカーボネート又はハロアルカノール)を付加反応させる方法が知られている(例えば、特開2009−155251号公報(特許文献2)など)。しかし、このような合成方法では、2分子付加物を目的物とした場合、3分子付加物、4分子付加物などのアルキレンオキシドが過剰に付加した付加物や、原料の9,9−ビス(ヒドロキシアリール)フルオレン類が不純物として残存し易い。そのため、目的とするフルオレン誘導体の純度が低下するだけでなく、加熱溶融時に着色が発生して、光学材料用の樹脂原料(例えば、重合温度が高いポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂の原料など)としての使用が困難となる場合が多い。
また、アルキレンオキシドの過剰付加物を生成することなく、着色が低減されたフルオレン誘導体を製造する方法として、例えば、特開2011−68624号公報(特許文献3)には、酸触媒及びチオール類の存在下、9−フルオレノン類と所定のアルコール類とを所定の割合で反応させる方法が開示されている。この文献の実施例では、硫酸及び所定割合のβ−メルカプトプロピオン酸の存在下、9−フルオレノンと、2−フェノキシエタノール、エチレングリコールモノ(o−トリル)エーテル、エチレングリコールモノ(2,6−キシリル)エーテル、エチレングリコールモノ(2−ナフチル)エーテルなどのアルコール類とを所定の割合で反応させ、対応する9,9−ビス(ヒドロキシエトキシアリール)フルオレン類を調製している。
このような方法では、高純度で着色が少ないフルオレン誘導体を得られるものの、未だ不純物が残留するためか、加熱溶融時に着色する場合があり、利用用途が制限される。
国際公開第03/064358号(請求の範囲、実施例、第2頁第9〜14行) 特開2009−155251号公報(実施例) 特開2011−68624号公報(特許請求の範囲、実施例、段落[0006])
従って、本発明の目的は、不純物(例えば、硫黄成分など)が著しく低減されたフルオレン誘導体を簡便に製造する方法及びその方法により得られるフルオレン誘導体を提供することにある。
本発明の他の目的は、加熱溶融しても、着色が少ないフルオレン誘導体の製造方法及びその方法により得られるフルオレン誘導体を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、高純度なフルオレン誘導体を高収率で製造する方法及びその方法により得られるフルオレン誘導体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレノン類と、ヒドロキシル基含有アレーン類とを、酸触媒及び特定のチオール類の存在下で反応させると、硫黄成分などの不純物を著しく低減したフルオレン誘導体が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の方法は、下記式(2)で表されるフルオレノン類と、下記式(3)で表されるヒドロキシル基含有アレーン類とを、酸触媒及びチオール類の存在下で反応させて、下記式(1)で表されるフルオレン誘導体を製造する方法であって、前記チオール類が、2−メルカプトアルカン酸[例えば、チオグリコール酸(メルカプト酢酸又はメルカプトエタン酸)、チオ乳酸(又はα−メルカプトプロピオン酸)など]、アミノアルカンチオール、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種を含む。
(式中、Zはそれぞれ縮合多環式アレーン環、R及びRはそれぞれ置換基、Aはそれぞれ直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、kはそれぞれ0〜4の整数、各mはそれぞれ0以上の整数、n及びpはそれぞれ1以上の整数を示す。)
(式中、R及びkはそれぞれ前記式(1)に同じ。)
(式中、Z、R、A、m、n及びpはそれぞれ前記式(1)に同じ。)
前記式(1)において、Zはそれぞれ縮合多環式C10−18アレーン環であってもよく、RはそれぞれC1−6アルキル基又はC6−10アリール基であってもよく、Aはそれぞれ直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基であってもよく、mはそれぞれ0〜2程度の整数であってもよく、nは1〜10程度の整数であってもよく、pは1〜3程度の整数であってもよい。
前記チオール類は、アミノC2−6アルカンチオール及びその塩から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。前記酸触媒は、無機酸を含んでいてもよい。また、前記反応は、少なくとも芳香族炭化水素類を含む溶媒の存在下で行ってもよい。
前記チオール類の割合は、酸触媒100重量部に対して、1〜20重量部程度であってもよい。前記酸触媒の割合は、フルオレノン類100重量部に対して、100〜500重量部程度であってもよい。前記溶媒の割合は、フルオレノン類及びヒドロキシル基含有アレーン類の総量100重量部に対して、1〜100重量部程度であってもよい。
また、本発明には、全硫黄含量が50ppm以下(重量基準)である前記式(1)で表されるフルオレン誘導体も包含する。
本発明では、フルオレノン類と、ヒドロキシル基含有アレーン類とを、酸触媒及び特定のチオール類の存在下で反応させるため、硫黄成分などの不純物を著しく低減したフルオレン誘導体が容易に製造できる。このようにして得られるフルオレン誘導体は、加熱溶融しても着色が少ない。しかも、前記方法では、高純度なフルオレン誘導体を高収率で製造できる。
本発明の方法は、前記式(2)で表されるフルオレノン類(単に、フルオレノン類(2)ともいう)と、前記式(3)で表されるヒドロキシル基含有アレーン類(単に、ヒドロキシル基含有アレーン類(3)ともいう)とを、酸触媒及び特定のチオール類の存在下で反応させて、前記式(1)で表されるフルオレン誘導体(単に、フルオレン誘導体(1)ともいう)を製造する方法である。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、化合物名などの「類」とは、「置換基を有さない」場合と「置換基を有する」場合とを含み、「置換基を有していてもよい」ことを意味する場合がある。また、「式(1)で表されるフルオレン誘導体」とは、フルオレン誘導体自体に加えて不純物(例えば、硫黄成分(又は硫黄含有成分)など)を含む混合物を意味する場合がある。
[フルオレン誘導体(1)]
(式中、Zはそれぞれ縮合多環式アレーン環、R及びRはそれぞれ置換基、Aはそれぞれ直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、kはそれぞれ0〜4の整数、mはそれぞれ0以上の整数、n及びpはそれぞれ1以上の整数を示す)。
前記式(1)において、環Zで表される縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレン環、インデン環などの縮合二環式C10−16アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン環、フェナントレン環など)などの縮合二乃至四環式アレーン環などが挙げられる。好ましい環縮合多環式アレーン環としては、縮合多環式C10−18アレーン環、なかでも、ナフタレン環、アントラセン環などの縮合多環式C10−16アレーン環(好ましくは縮合多環式C10−14アレーン環)が挙げられ、特に、全硫黄含量を有効に低減できる観点からナフタレン環が好ましい。2つの環Zの種類は、互いに同一又は異なっていてもよく、通常、同一であることが多い。
なお、フルオレン環の9−位に結合する環Zの置換位置は、特に限定されない。例えば、環Zがナフタレン環の場合、1−位又は2−位のいずれかの位置(例えば、2−位)であってもよい。
基Rで表される置換基としては、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、メチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6−10アリール基など)など]、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)などが挙げられる。これらの基Rのうち、アルキル基(例えば、直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)、シアノ基、ハロゲン原子が好ましく、特にアルキル基(特に、メチル基などのC1−4アルキル基)が好ましい。
基Rの置換数kは、例えば、0〜4(例えば、0〜3)程度の整数、好ましくは0〜2程度の整数、さらに好ましくは0又は1、特に0である。なお、フルオレン環を構成する2つの異なるベンゼン環において、それぞれの置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。また、フルオレン環を構成する2つの異なるベンゼン環に置換する基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよく、kが2以上である場合、同一のベンゼン環に置換する2以上の基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。また、基Rの置換位置は、特に制限されず、例えば、フルオレン環の2−位乃至7−位(2−位、3−位及び7−位など)であってもよい。
基Rで表される置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子);炭化水素基{例えば、アルキル基(メチル基、t−ブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−10アルキル基など);シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など);アリール基[例えば、フェニル基、メチルフェニル基(トリル基)、ビフェニリル基、ナフチル基など];アラルキル基(例えば、ベンジル基など)など};アルコキシ基(例えば、メトキシ基、t−ブトキシ基など);シクロアルキルオキシ基(例えば、シクロヘキシルオキシ基など);アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など);アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など);アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、t−ブチルチオ基など);シクロアルキルチオ基(例えば、シクロヘキシルチオ基など);アリールチオ基(例えば、チオフェノキシ基など);アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基など);メルカプト基;アシル基(例えば、アセチル基など);カルボキシル基;アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基など);カルバモイル基;ニトロ基;シアノ基;アミノ基;置換アミノ基[例えば、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基など);ビス(アルキルカルボニル)アミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基など)など];これらの置換基同士が結合した置換基[例えば、アルコキシアリール基(例えば、メトキシフェニル基など);アルコキシカルボニルアリール基(例えば、メトキシカルボニルフェニル基など)など]などが挙げられる。
これらの基Rのうち、代表的には、ハロゲン原子、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基)、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基Rとしては、アルキル基(直鎖状又は分岐鎖状C1−6アルキル基など)、アリール基(C6−12アリール基など)、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルコキシ基など)、特に、アルキル基(特に、メチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1−4アルキル基)、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基など)が挙げられる。
基Rの置換数mは、0以上の整数であればよく、環Zの種類に応じて適宜選択できる。例えば、0〜8程度の整数であってもよく、好ましくは0〜4(例えば、0〜3)程度の整数、さらに好ましくは0〜2程度の整数(例えば、0又は1)、特に0であってもよい。なお、異なる環Zにおいて、それぞれの置換数mは、互いに同一又は異なっていてもよい。また、異なる環Zに置換するそれぞれの基R種類は、互いに同一又は異なっていてもよく、置換数mが2以上である場合、同一の環Zに置換する2以上の基Rの種類は、互いに同一又は異なっていてもよい。基Rの置換位置は、特に制限されず、環Zと、ヒドロキシル基含有基[−(OA)−OH]及びフルオレン環の9−位との結合位置以外の位置に置換していればよい。
基Aで表される直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基(1,2−プロパンジイル基)、トリメチレン基、1,2−ブタンジイル基、テトラメチレン基などの直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−4アルキレン基、さらに好ましくは直鎖状又は分岐鎖状C2−3アルキレン基(特に、エチレン基)などが挙げられる。
オキシアルキレン基(OA)の繰り返し数(付加モル数)nは、1以上(例えば、1〜20)の整数であればよく、例えば、1〜15(例えば、1〜10)程度の整数、好ましくは1〜8(例えば、1〜6)程度の整数、さらに好ましくは1〜4(例えば、1〜2)程度の整数、特に1であるのが好ましい。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「繰り返し数(付加モル数)n」は、平均値(算術平均値、相加平均値)又は平均付加モル数であってもよく、好ましい態様は、好ましい整数の範囲と同様であってもよい。繰り返し数nが大きすぎると、フルオレン誘導体の純度が低下するおそれがある。また、2つの繰り返し数nは、それぞれ同一又は異なっていてもよい。nが2以上の場合、2以上のオキシアルキレン基(OA)は、同一又は異なっていてもよい。また、異なる環Zに結合するオキシアルキレン基(OA)は互いに同一又は異なっていてもよい。
ヒドロキシル基含有基[−(OA)−OH]の置換数pは、それぞれ1以上の整数であればよく、例えば、1〜4(1〜3)程度の整数、好ましくは1又は2(特に、1)程度であってもよい。
ヒドロキシル基含有基[−(OA)−OH]の置換位置は、環Zとフルオレン環との結合位置以外の位置であれば、特に限定されず、例えば、環Zがナフタレン環である場合、通常、フルオレン環の9−位に対して、1−位又は2−位で結合するナフチル基の5〜8−位のいずれかの位置に置換している場合が多く、フルオレン環の9−位に対して、ナフタレン環の1−位又は2−位が置換し(1−ナフチル又は2−ナフチルの関係で置換し)、この置換位置に対して、1,5−位、2,6−位(特に、2,6−位)などの関係で置換しているのが好ましい。
フルオレン誘導体(1)として代表的には、例えば、前記式(1)において、pがそれぞれ1、nがそれぞれ1以上(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3程度)である9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アリール]フルオレン類などが挙げられる。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、特に断りのない限り、「(ポリ)アルコキシ」とは、アルコキシ基及びポリアルコキシ基の双方を含む意味に用いる。
9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アリール]フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフチル]フルオレン{例えば、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−ナフチル]フルオレン、9,9−ビス[6−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシナフチル]フルオレンなど}などの9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)C2−6アルコキシ−縮合多環式C10−18アリール]フルオレン類が挙げられる。
これらのフルオレン誘導体(1)のうち、全硫黄含量を有効に低減できる点から、9,9−ビス[ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−縮合多環式C10−14アリール]フルオレン類、なかでも、9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレンなどの9,9−ビス[ヒドロキシC2−4アルコキシナフチル]フルオレンが好ましい。
このようなフルオレン誘導体(1)は、フルオレノン類(2)及びヒドロキシル基含有アレーン類(3)を原料として製造できる。
[フルオレノン類(2)]
(式中、R及びkはそれぞれ前記式(1)に同じ)。
前記式(2)において、R及びkはそれぞれフルオレン誘導体(1)の項で例示した基R及び置換数kと好ましい態様を含めて同様である。
代表的なフルオレノン類(2)としては、例えば、9−フルオレノンなどが挙げられる。フルオレノン類(2)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。また、フルオレノン類(2)は、市販品などを使用してもよく、フルオレン類を空気酸化するなどの用法により調製してもよい。なお、使用するフルオレノン類(2)の純度は、特に制限されないが、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上であってもよい。
[ヒドロキシル基含有アレーン類(3)]
(式中、Z、R、A、m、n及びpはそれぞれ前記式(1)に同じ)。
前記式(3)において、Z、R、A、m、n及びpは、それぞれフルオレン誘導体(1)の項で例示した環Z、基R、基A、置換数m、繰り返し数n及び置換数pと好ましい態様を含めて同様である。
代表的なヒドロキシル基含有アレーン類(3)としては、例えば、前記式(3)において、各pがそれぞれ1、各nがそれぞれ1以上(例えば、1〜10、好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜3程度)であるヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アレーン類(又はアルコール類)などが挙げられる。
ヒドロキシ(ポリ)アルコキシ縮合多環式アレーン類(又はアルコール類)としては、例えば、ヒドロキシ(ポリ)アルコキシナフタレン{例えば、2−(2−ヒドロキシエトキシ)−ナフタレン、1−(2−ヒドロキシエトキシ)−ナフタレン、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]−ナフタレンなどのヒドロキシ(モノ乃至デカ)C2−4アルコキシナフタレンなど}などのヒドロキシ(ポリ)C2−6アルコキシ−縮合多環式C10−18アレーン類が挙げられる。
これらのヒドロキシル基含有アレーン類(3)は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらのヒドロキシル基含有アレーン類(3)のうち、全硫黄含量を有効に低減できる点から、ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−縮合多環式C10−14アレーン類、なかでも、ヒドロキシ(ポリ)C2−4アルコキシ−ナフタレン、特に、2−(2−ヒドロキシエトキシ)−ナフタレンなどのヒドロキシC2−4アルコキシナフタレンが好ましい。
これらのヒドロキシル基含有アレーン類(3)は、市販品を使用できる。また、ヒドロキシル基含有アレーン類(3)のうち、ヒドロキシ(ポリ)アルコキシアレーン類は、対応するフェノール類と、アルキレンオキシド(アルキレンカーボネート又はハロアルカノール)とを反応させて調製してもよい。なお、使用するヒドロキシル基含有アレーン類(3)の純度は、特に制限されないが、通常、95重量%以上、好ましくは97重量%以上、さらに好ましくは99重量%以上であってもよい。
反応において、ヒドロキシル基含有アレーン類(3)の割合は、フルオレノン類(2)1モルに対して、例えば、2〜20モル(例えば、2〜10モル)程度の範囲から選択でき、例えば、2.5〜8モル(例えば、2.5〜6モル)、好ましくは3〜4モル程度であってもよい。ヒドロキシル基含有アレーン類(3)の割合が少なすぎると、フルオレノン類(2)の転化率(反応率)が低下するおそれがある。
フルオレノン類(2)とヒドロキシル基含有アレーン類(3)との反応は、酸触媒及びチオール類の存在下で行われる。
[酸触媒]
酸触媒としては、例えば、無機酸[硫酸、塩化水素、塩酸(5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)、リン酸など]、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの(ハロ)アルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)など]、固体酸{無機固体酸[金属化合物(酸化物、複合酸化物、硫化物、硫酸塩、ポリ酸など)、非金属硫酸塩、粘土鉱物、ゼオライト、カオリンなど]、有機固体酸[陽イオン交換樹脂(強酸性陽イオン交換樹脂(例えば、デュポン社製のナフィオンなどのスルホン酸基を有するイオン交換樹脂など);弱酸性陽イオン交換樹脂(例えば、(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼンコポリマーなどのカルボン酸基を有するイオン交換樹脂など)など)など]など}などが挙げられる。
これらの酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。好ましい酸触媒は、硫酸などの無機酸、陽イオン交換樹脂であり、反応の進行により生成する水の脱水剤としても作用する点から、特に硫酸(特に、濃硫酸)が好ましい。
前記硫酸には、希硫酸(例えば、濃度30〜90重量%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90重量%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。通常、硫酸として、HSO換算で、80〜99重量%(例えば、90〜99重量%)、好ましくは96〜99重量%(例えば、97〜98.5重量%)程度の硫酸(例えば、濃硫酸、特に濃度98重量%の濃硫酸)を使用してもよい。
酸触媒の割合は、前記フルオレノン類(2)100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜700重量部(例えば、100〜500重量部)、さらに好ましくは150〜400重量部(例えば、200〜350重量部)、特に250〜300重量部程度であってもよい。酸触媒の割合が少なすぎると、反応を効率よく進行できない(又は反応速度が著しく低下する)おそれがある。
[チオール類]
反応において、チオール類は、酸触媒の助触媒又は共触媒として作用するようである。本発明者らは、前記特許文献3などで慣用的に使用されているβ−メルカプトプロピオン酸などを用いると、得られるフルオレン誘導体が不純物として多くの硫黄成分(又は硫黄含有成分)を含み、強塩基処理などの慣用の精製方法により精製しても除去には限界があること、また、前記硫黄成分及び/又は強塩基処理の影響のためか、加熱溶融におけるフルオレン誘導体が着色し易いことを発見した。この点に関して、本発明者らは、さらに鋭意検討を重ねた結果、チオール類として、2−メルカプトアルカン酸、アミノアルカンチオール、及びこれらの塩から選択される少なくとも1種の第1のチオール類を含むことにより、フルオレン誘導体(1)の全硫黄含量を効率よく低減できること、さらには、加熱溶融による着色を有効に低減できることを見出した。
2−メルカプトアルカン酸としては、例えば、チオグリコール酸(メルカプト酢酸又はメルカプトエタン酸)、チオ乳酸(又はα−メルカプトプロピオン酸)、2−メルカプト酪酸(2−メルカプト−n−ブタン酸)、2−メルカプトイソ酪酸(2−メルカプト−i−ブタン酸)などの2−メルカプトC2−6アルカン酸、好ましくは2−メルカプトC2−4アルカン酸、とくに、チオグリコール酸、チオ乳酸などの2−メルカプトC2−3アルカン酸などが挙げられる。
アミノアルカンチオールとしては、例えば、2−アミノエタンチオール(又はシステアミン)、2−アミノプロパンチオール、3−アミノプロパンチオール、2−アミノブタンチオール、3−アミノブタンチオール、4−アミノブタンチオール、6−アミノヘキサンチオール、8−アミノオクタンチオール、11−アミノウンデカンチオール、16−アミノヘキサデカンチオールなどのアミノC2−20アルカンチオール(例えば、アミノC2−16アルカンチオール)などが挙げられる。
これらの第1のチオール類は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。これらの第1のチオール類のうち、後述する加熱溶融後の色相(YI)を有効に低減できる観点からは、2−メルカプトアルカン酸(例えば、チオグリコール酸、チオ乳酸など、特に、チオ乳酸)又はその塩を少なくとも含むのが好ましく、収率を向上できる観点からは、アミノアルカンチオール又はその塩を少なくとも含むのが好ましい。好ましいアミノアルカンチオールとしては、アミノC2−12アルカンチオール(例えば、アミノC2−8アルカンチオール)、さらに好ましくはアミノC2−6アルカンチオール(例えば、アミノC2−4アルカンチオール)、特に、アミノC2−3アルカンチオール(特に、システアミン)などが挙げられる。
なお、代表的な塩としては、例えば、無機酸塩(塩酸塩、硫酸塩など)、有機酸塩(酢酸塩など)、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、第四級アンモニウム塩(例えば、アンモニウム塩、第一乃至第四級アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩など)など)又はこれらの複塩などが挙げられる。
チオール類は、前記第1のチオール類以外の他のチオール類(単に、第2のチオール類ともいう)を含んでいてもよい。第2のチオール類としては、例えば、チオカルボン酸(例えば、チオ酢酸、チオシュウ酸など)、メルカプトカルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、アルキルメルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、i−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのC1−16アルキルメルカプタン(特にC1−4アルキルメルカプタン)など)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)、これらの塩などが挙げられる。塩としては、例えば、前述のアルカリ金属塩(ナトリウム塩など)などが挙げられ、具体的な化合物としては、例えば、メチルメルカプタンナトリウム、エチルメルカプタンナトリウムなどが挙げられる。これらの第2のチオール類は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
第1のチオール類の割合は、チオール類全体に対して、例えば、10重量%以上(例えば、30〜100重量%)程度の範囲から選択でき、例えば、50重量%以上(例えば、60〜99.9重量%)、好ましくは70重量%以上(例えば、80〜99重量%)、さらに好ましくは90重量%以上(例えば、90〜98重量%)であってもよく、特に、100重量%(チオール類が実質的に第1のチオール類のみを含む態様)が好ましい。第1のチオール類の割合が少なすぎると、全硫黄含量を有効に低減できなくなるおそれがある。
チオール類の割合は、前記フルオレノン類(2)100重量部に対して、例えば、0.1重量部以上(例えば、1〜50重量部程度)の範囲から選択でき、例えば、2〜30重量部(例えば、3〜20重量部)、好ましくは4〜15重量部(例えば、5〜13重量部)、さらに好ましくは6〜12重量部(例えば、7〜11重量部)程度であってもよい。
また、チオール類の割合は、前記フルオレノン類(2)及び前記ヒドロキシル基含有アレーン類(3)の総量100重量部に対して、例えば、0.01重量部以上(例えば、0.1〜30重量部程度)の範囲から選択でき、例えば、0.5〜20重量部(例えば、0.8〜10重量部)、好ましくは1〜5重量部(例えば、1.3〜3重量部)、さらに好ましくは1.5〜2.5重量部(例えば、1.5〜2.2重量部)程度であってもよい。
なお、チオール類の割合は、前記酸触媒100重量部に対して、例えば、0.01重量部以上(例えば、0.1〜50重量部)の範囲から選択でき、例えば、0.5〜30重量部(例えば、1〜20重量部)、好ましくは1.5〜10重量部(例えば、2〜5重量部)、さらに好ましくは2.3〜4重量部(例えば、2.5〜3.8重量部)程度であってもよい。
チオール類の割合が少な過ぎると、反応が効率よく進行しないおそれがあるのみならず、未反応成分などの不純物により着色するおそれがある。多すぎると、チオール類が硫黄成分などの不純物として残留するおそれがあるが、本発明では、第1のチオール類を含むため、硫黄成分などの不純物を有効に低減でき、フルオレン誘導体(1)の溶融時の着色を効果的に抑制できる。
[溶媒]
反応は、溶媒の存在下又は非存在下で行ってもよい。溶媒を使用する場合は、反応開始前後のいずれの段階で添加(又は追加)してもよく、複数回に分けて添加してもよい。溶媒(反応溶媒)としては、例えば、炭化水素類[例えば、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどのアルカン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどのC6−12アレーン、好ましくはC6−10アレーン、さらに好ましくはC6−8アレーン)など]、フェノキシアルカノール類(例えば、2−フェノキシエタノールなどのフェノキシC2−6アルカノール類など)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなどの鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼンなど)などが挙げられる。これらの溶媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
これらの溶媒のうち、芳香族炭化水素類などの疎水性溶媒が好ましく、特に、トルエン、キシレンなどのアルキルベンゼン(モノ又はジC1−4アルキルベンゼン、好ましくはモノ又はジC1−2アルキルベンゼン)が好ましい。
このため、溶媒は、少なくとも芳香族炭化水素類で構成するのが好ましく、芳香族炭化水素類単独、又は芳香族炭化水素類と他の溶媒(例えば、フェノキシアルカノール類など)とで構成してもよい。他の溶媒を使用する場合、溶媒全体に対する芳香族炭化水素類の割合は、例えば、50重量%以上(例えば、55〜99重量%)、好ましくは60重量%以上(例えば、70〜90重量%)、さらに好ましくは70重量%以上(例えば、75〜85重量%)程度であってもよい。
溶媒の割合は、前記フルオレノン類(2)および前記ヒドロキシル基含有アレーン類(3)の総量100重量部に対して、例えば、10〜3000重量部(例えば、20〜1000重量部)、好ましくは30〜500重量部(例えば、40〜200重量部)、さらに好ましくは50〜100重量部(例えば、70〜90重量部)程度であってもよい。
反応温度は、特に限定されないが、例えば、5〜200℃程度の範囲から選択でき、例えば、10〜150℃(例えば、20〜120℃)、好ましくは30〜100℃(例えば、35〜80℃)、さらに好ましくは40〜70℃(例えば、40〜60℃)程度であってもよい。また、反応時間は、特に制限されず、例えば、30分〜48時間(例えば、1〜24時間)、好ましくは2〜15時間(例えば、5〜12時間)程度であってもよい。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下で行ってもよい。また、反応は、脱水しながら行ってもよい。
本発明の方法では、前記特定の条件にて反応を行うことなどにより、前記フルオレノン類(2)を完全に又はほぼ完全に反応させることができ、例えば、前記フルオレノン類(2)の転化率は、通常99モル%以上(例えば、99.2〜100モル%)であり、好ましくは99.3モル%以上(例えば、99.5〜100モル%)、さらに好ましくは99.7モル%以上(例えば、99.75〜100モル%)、特に99.8モル%以上(例えば、99.85〜100モル%)程度であってもよい。なお、転化率は後述の実施例に記載の方法(HPLCを使用する方法)などにより測定できる。
なお、反応終了後の反応混合物(反応液又は反応混合液)には、目的生成物又は反応生成物であるフルオレン誘導体(1)以外に、未反応の前記ヒドロキシル基含有アレーン類(3)(例えば、(2−ナフトキシ)エタノールなど)、酸触媒、チオール類、溶媒、水などが含まれる。このような反応混合物からのフルオレン誘導体(1)の分離(精製)には、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、中和、洗浄、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの精製又は分離手段や、これらを組み合わせた精製又は分離手段を利用できる。例えば、慣用の方法(アルカリ水溶液を加えて中和する方法など)により酸触媒(及びチオール類)を除去したのち、フルオレン誘導体(1)を結晶化させ、分離(精製)してもよい。
なお、本発明の方法では、得られるフルオレン誘導体(1)が高純度であるにも拘らず、高収率で製造でき、反応における収率は、使用したフルオレノン類(2)に対して、例えば、50モル%以上(例えば、53〜100モル%)、好ましくは56モル%以上(例えば、58〜80モル%)、さらに好ましくは59モル%以上(例えば、59.5〜65モル%)程度であってもよい。
[フルオレン誘導体(1)の特性及び用途]
本発明の方法により得られるフルオレン誘導体(1)は、純度が高く、HPLC(高性能又は高速液体クロマトグラフ)により測定される純度(HPLC純度)は、例えば、95%以上(例えば、96〜100%程度)、好ましくは97%以上(例えば、97.5〜99.99%程度)、さらに好ましくは98%以上(例えば、98.5〜99.9%程度)程度であってもよい。
特に、フルオレン誘導体(1)は全硫黄含量が極めて低く、溶融状態における着色を有効に抑制できる。前記全硫黄含量は、重量基準で、例えば、150ppm以下(例えば、0(又は検出下限値未満)〜120ppm)程度の範囲から選択でき、例えば、100ppm以下(例えば、0.01〜80ppm)、好ましくは50ppm以下(例えば、0.1〜30ppm)、さらに好ましくは20ppm以下(例えば、1〜15ppm)、特に、10ppm以下(例えば、2〜8ppm、特に、4〜6ppm)程度であってもよい。
また、溶融状態(例えば、窒素雰囲気下、280℃で2時間加熱して溶融した状態)における色相(YI)[又は黄色度(YI)]は、例えば、80以下(0〜75)、好ましくは70以下(0.1〜65)、さらに好ましくは60以下(1〜60)程度であってもよく、例えば、10〜60(例えば、20〜50)、好ましくは25〜40(例えば、25〜35)程度であってもよい。
なお、上記HPLC純度、全硫黄含量、溶融時の色相(YI)及び収率は、後述の実施例に記載の方法により測定できる。
フルオレン誘導体(1)は、特定のフルオレン骨格を有しているため、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械的特性、寸法安定性など)に優れており、様々な用途においてこれらの特性を向上又は改善するのに有用である。例えば、フルオレン誘導体(1)は、前記骨格により、高い屈折率も有しているため、機能性材料[例えば、添加剤(レジスト用添加剤、樹脂用添加剤、硬化剤(樹脂用硬化剤)など)、試薬(医薬、農薬など)の原料又は中間体など](又はその原料又は中間体)、樹脂原料(モノマーなど)などとして好適に用いることができ、前記のような優れた特性を効率よく付与するための化合物として用いることができる。これらの用途の中でも、フルオレン誘導体(1)は、着色(特に、溶融状態における着色)を著しく抑制(又は低減)できるので、樹脂原料[例えば、高い温度(例えば、100〜300℃程度)で合成(反応又は重合)される樹脂(ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂など)の原料又はモノマーなど]として好適に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。評価方法及び原料を以下に示す。
[評価方法]
(HPLC純度)
HPLC(高性能又は高速液体クロマトグラフ)装置として(株)島津製作所製「LC−2010A HT」、カラムとして東ソー(株)製「ODS−80TM」を用いて測定した。
(全硫黄含量)
実施例又は比較例で得られた化合物を、(株)三菱化学アナリテック製「TS−2100H」を用いて、酸化分解−紫外蛍光法により測定した。
(色相(YI))
実施例又は比較例で得られた化合物を、窒素気流下、280℃にて2時間溶融し、色彩・濁度同時測定器(日本電色工業(株)製「COH−400」)を用いて、色相(YI)[又は黄色度(YI)]を測定した。
[実施例1]
2Lのセパラブルフラスコに、9−フルオレノン(大阪ガスケミカル(株)製、99.0%以上)90.1g(0.500モル)、2−(2−ナフトキシ)エタノール(大阪ガスケミカル(株)製、99.0%以上)329.4g(1.750モル)、トルエン281.3g及びチオグリコール酸(メルカプト酢酸、東京化成工業(株)製、95.0%以上)7.8g(0.085モル)を加えて、50℃に昇温して溶解した。溶解後、50〜65℃の温度範囲で濃硫酸(関東化学(株)製、98重量%)245.0gを滴下した後、50〜55℃で3時間撹拌した。次いで、2−フェノキシエタノール(関東化学(株)製、99.0%以上)69.1g(0.500モル)を添加し、さらに3時間撹拌したところ、9−フルオレノンの転化率が99%以上であることがHPLCにより確認された。
得られた反応液にメチルエチルケトン281.3g、蒸留水294.0gを70℃以下で添加した後、70℃に昇温して十分に撹拌し、水相を除去して得られた有機相に、さらに、10重量%水酸化ナトリウム水溶液392.0gを温度上昇に注意しつつ添加した。30分撹拌して水相を除去した後、得られた有機相を蒸留水で十分に洗浄し、冷却晶析を行った。
冷却晶析は、40℃にて得られた溶液(有機相)に種晶を添加し、3時間熟成して結晶を析出させた後、10℃/時の速度で10℃以下まで冷却した。10℃以下に到達後、さらに4時間熟成させて、ろ過により租結晶を得た。得られた租結晶の3倍重量のメタノールを用いて、前記租結晶を60℃で加熱洗浄することにより目的物(9,9−ビス[6−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−ナフチル]フルオレン(BNEF))153.5g(収率57%、HPLC純度98.8%)を得た。得られた目的物の全硫黄含量は5.6ppm、溶融状態における色相(YI)は45であった。
[実施例2]
チオグリコール酸7.8g(0.085モル)に代えて、チオ乳酸(α−メルカプトプロピオン酸、東京化成工業(株)製、97.0%以上)9.0g(0.085モル)を使用する以外は、実施例1と同様にしてBNEFを得た。得られたBNEFの収量は142.7g(収率53%、HPLC純度98.8%)、全硫黄含量は5.3ppm、溶融状態における色相(YI)は30であった。
[実施例3]
チオグリコール酸7.8g(0.085モル)に代えて、システアミン(2−アミノエタンチオール、東京化成工業(株)製、97.0%以上)6.6g(0.085モル)を使用する以外は、実施例1と同様にしてBNEFを得た。得られたBNEFの収量は161.6g(収率60%、HPLC純度98.6%)、全硫黄含量は5.0ppm、溶融状態における色相(YI)は56であった。
[比較例1]
チオグリコール酸7.8g(0.085モル)に代えて、β−メルカプトプロピオン酸(東京化成工業(株)製、98.0%以上)9.0g0.085モル)を使用し、2−(2−ナフトキシ)エタノールの添加量を376.5g(2.000モル)に変更する以外は、実施例1と同様にしてBNEFを得た。得られたBNEFの収量は150.8g(収率56%、HPLC純度98.5%)、全硫黄含量は185ppm、溶融状態における色相(YI)は81であった。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例は比較例と比べて、収率及びHPLC純度を維持又は向上できた。また、実施例では全硫黄含量が極めて低く、加熱溶融後の色相(YI)も低かった。
本発明の方法では、着色(特に溶融状態における着色)が著しく抑制されたフルオレン誘導体を得ることができる。このようなフルオレン誘導体は、着色が低減されているとともに、種々の特性(光学特性、耐熱性、耐水性、耐湿性、耐薬品性、電気特性、機械特性、寸法安定性など)に優れている。そのため、前記フルオレン誘導体は、樹脂原料や樹脂硬化剤[例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂(ジ(メタ)アクリレートなど)などの光又は熱硬化性樹脂の原料、前記光又は熱硬化性樹脂の硬化剤(例えば、エポキシ系樹脂の硬化剤)、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂の原料など]などとして好適に利用できる。
特に、フルオレン誘導体は、光学的特性に優れているため、光学用途の成形体(光学用成形体又は光学部材)を構成(又は形成)するのに有用である。このような光学用成形体としては、例えば、光学フィルム(光学シート)、光学レンズなどが挙げられる。

Claims (7)

  1. 下記式(2)
    (式中、R及びkはそれぞれ式(1)に同じ。)
    で表されるフルオレノン類と、下記式(3)
    (式中、Z、R、A、m、n及びpはそれぞれ式(1)に同じ。)
    で表されるヒドロキシル基含有アレーン類とを、酸触媒及びチオール類の存在下で反応させて、下記式(1)
    (式中、Zはそれぞれ縮合多環式アレーン環、R及びRはそれぞれ置換基、Aはそれぞれ直鎖状又は分岐鎖状アルキレン基、kはそれぞれ0〜4の整数、mはそれぞれ0以上の整数、n及びpはそれぞれ1以上の整数を示す。)
    で表されるフルオレン誘導体を製造する方法であって、前記チオール類が、2−メルカプトアルカン酸、アミノアルカンチオール及びこれらの塩から選択される少なくとも1種を含む方法。
  2. 式(1)において、Zがそれぞれ縮合多環式C10−18アレーン環、RがそれぞれC1−6アルキル基又はC6−10アリール基、Aがそれぞれ直鎖状又は分岐鎖状C2−6アルキレン基、mがそれぞれ0〜2の整数、nが1〜10の整数、pが1〜3の整数である請求項1記載の方法。
  3. チオール類が、アミノC2−6アルカンチオール及びその塩から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2記載の方法。
  4. 酸触媒が、無機酸を含む請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 少なくとも芳香族炭化水素類を含む溶媒の存在下で反応させる請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. チオール類の割合が、酸触媒100重量部に対して、1〜20重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 酸触媒の割合が、フルオレノン類100重量部に対して、100〜500重量部である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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