JP2005104935A - フルオレン骨格を有する多価アルコールおよびその製造方法 - Google Patents

フルオレン骨格を有する多価アルコールおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 多官能性(メタ)アクリレートなどの多官能重合性化合物を得るのに有用であり、耐熱性や硬度などの特性を向上できる新規なポリオールを提供する。
【解決手段】 新規なポリオールを下記式(1)で表されるフルオレン骨格で構成する。
【化1】
Figure 2005104935

(式中、R1a、R1b、R2aおよびR2bは置換基を示し、R3aおよびR3bはアルキレン基を示す。k1及びk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数、n1及びn2は同一又は異なって0又は1以上の整数、p1及びp2は同一又は異なって2〜4の整数を示す。ただし、p1及びp2が2のとき、n1及びn2は1以上の整数であり、m1+p1及びm2+p2は、2〜5の整数である)
上記式(1)で表される多価アルコールには、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類のC2-4アルキレンオキシド付加体などが含まれる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、種々の材料(光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどの光学材料など)を形成するための多官能重合性化合物(特に、多官能性(メタ)アクリレート)において、この多官能性重合性化合物を得るために有用な新規な多価アルコールおよびその製造方法に関する。
光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどの光学材料用途として、熱可塑性樹脂(ポリカーボネートなど)や、熱硬化性樹脂(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などの多官能性の脂肪族アクリレートなど)の硬化物などが使用されている。このような光学材料には、耐湿性、耐熱性、高屈折率などの特性の向上が求められており、種々の光学材料の開発が検討されている。
特開平4−325508号公報(特許文献1)には、プラスチックレンズ材料として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンに(メタ)アクリル酸クロリドを反応させた化合物、又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加させたのち、(メタ)アクリル酸を反応させた化合物を主成分とする共重合体が開示されている。
しかし、このようなビスアクリレートフルオレン化合物では、架橋密度を高めることができず、光学材料や塗膜などに要求される特性(例えば、硬度、耐熱性など)を十分に向上できない。
特開平4−325508号公報(請求項1、段落番号[0010])
従って、本発明の目的は、光学材料などを形成する多官能重合性化合物(多官能性(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂など)のポリオール成分として利用でき、硬度、耐熱性などの特性を著しく向上するのに有用な新規な多価アルコール、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、多官能重合性化合物の架橋密度を高めるのに有用な新規な多価アルコールを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、フルオレン骨格を有する新規な多価アルコールを、簡便にかつ高収率で製造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレノン類の9位に、多価フェノールが置換した新規な多価アルコール又はそのアルキレンオキシド付加体を用いると、材料(光学材料など)の特性(硬度、耐熱性など)を著しく向上できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明のフルオレン骨格を有する多価アルコールは、下記式(1)で表される。
Figure 2005104935
(式中、R1a、R1b、R2aおよびR2bは置換基を示し、R3aおよびR3bはアルキレン基を示す。k1及びk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数を示し、n1およびn2は同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、p1およびp2は同一又は異なって2〜4の整数を示す。ただし、p1およびp2が2のとき、n1およびn2は1以上の整数であり、m1+p1及びm2+p2は、2〜5の整数である)
前記式(1)において、R3aおよびR3bがC2-4アルキレン基であり、n1およびn2が1〜12(好ましくは1〜6)程度であり、n1+n2が2〜24(好ましくは2〜12)程度であってもよく、p1およびp2は、それぞれ2又は3である場合が多い。また、前記式(1)において、n1およびn2が1以上の好ましい多価アルコールには、R3aおよびR3bがC2-4アルキレン基であり、n1およびn2が1〜4程度であり、n1+n2が2〜8程度であり、p1およびp2がそれぞれ2である多価アルコールなどが含まれる。なお、式(1)において、R1aおよびR1bは、C1-4アルキル基、k1およびk2が0又は1である場合が多く、R2aおよびR2bは、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC6-8アリール基である場合が多く、m1およびm2は0〜2である場合が多い。
前記式(1)で表される代表的な多価アルコールには、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類など]にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体[前記9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体など]、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類、又は9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体などが含まれる。
前記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する多価アルコールの製造方法は、酸触媒の存在下で、下記式(2)で表されるフルオレノン類と、下記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させる工程を少なくとも含む。
Figure 2005104935
(式中、R2は置換基を示し、mは0又は1〜3の整数、pは2〜4の整数を示す。ただし、m+pは、2〜5の整数である。R1a、R1b、k1、およびk2は前記に同じ)
また、前記式(1)において、n1及び/又はn2が1以上の多価アルコールは、酸触媒の存在下で、前記式(2)で表されるフルオレノン類と、前記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させた後、生成した9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類に、さらに、アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートを反応させることにより製造できる。
本発明の新規な多価アルコールは、光学材料などを形成する多官能重合性化合物(例えば、多官能性(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂)を得るためのポリオール成分として有用であり、硬度、耐熱性や耐湿性などの特性を著しく向上できる。また、多数のヒドロキシル基を有しているため、効率よく多官能重合性化合物の架橋密度を高めることができる。さらに、本発明では、多数のヒドロキシル基を導入でき、フルオレン骨格を有する多価アルコールを、簡便にかつ高収率で製造できる。
本発明の化合物は、下記式(1)で表され、フルオレン類の9位に、2つの多価フェノール類が置換した化合物、又はこの化合物にさらにアルキレンオキサイド(アルコキシ単位)が付加した化合物である。
Figure 2005104935
(式中、R1a、R1b、R2aおよびR2bは置換基を示し、R3aおよびR3bはアルキレン基を示す。k1及びk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数を示し、n1およびn2は同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、p1およびp2は同一又は異なって2〜4の整数を示す。ただし、p1およびp2が2のとき、n1およびn2は1以上の整数であり、m1+p1及びm2+p2は、2〜5の整数である)
基R1aおよびR1bで表される置換基としては、特に限定されないが、通常、アルキル基である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1-6アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。基R1aおよびR1bは互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、基R1a(又はR1b)は、同一のベンゼン環において、異なっていてもよく、同一であってもよい。なお、フルオレン骨格を構成するベンゼン環に対する基R1a(又はR1b)の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数k1およびk2は、0又は1、特に、0である。なお、置換数k1及びk2は、異なっていてもよいが、通常、同一である。
多価フェノールに置換する置換基R2aおよびR2bとしては、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1-20アルキル基、好ましくはC1-8アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5-10シクロアルキル基、好ましくはC5-8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5-6シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)などのC6-10アリール基、好ましくはC6-8アリール基、特にフェニル基など)、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール−C1-4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基などのC1-4アルコキシ基など);アシル基(アセチル基などのC1-6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子など);ニトロ基;シアノ基などが挙げられる。好ましい置換基R2a(又はR2b)は、アルキル基(C1-6アルキル基)、シクロアルキル基(C5-8シクロアルキル基)、アリール基(C6-10アリール基)、アラルキル基(C6-8アリール−C1-2アルキル基)であり、特に、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基、C6-8アリール基が好ましい。置換基R2a(又はR2b)は、単独で又は2種以上組み合わせてベンゼン環に置換していてもよい。また、基R2aおよびR2bは互いに同一又は異なっていてもよいが、通常、同一である。また、基R2a(又はR2b)は、同一のベンゼン環(多価フェノール環)において、異なっていてもよく、同一であってもよい。
また、置換基R2a(又はR2b)の置換位置は、特に限定されず、ヒドロキシル基又はヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基(以下、ヒドロキシル基含有基と総称する場合がある)の置換位置に応じて、多価フェノール骨格を構成するフェニル基の2〜6位(例えば、2位、5位、2,5−位など)に置換できる。
好ましい置換数m1およびm2は、ヒドロキシル基含有基の置換数にもよるが、0〜2、さらに好ましくは0〜1(特に0)である。なお、置換数m1およびm2は、異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。
3aおよびR3bで表されるアルキレン基としては、限定されないが、例えば、C2-4アルキレン基(エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基など)などが例示でき、特に、C2-3アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基)が好ましい。なお、R3aおよびR3bは互いに同一の又は異なるアルキレン基であってもよいが、通常、同一のアルキレン基である。
アルコキシ基の置換数(付加数)n1およびn2は、同一又は異なって、0〜15(例えば、1〜15)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜12(例えば、1〜12)、好ましくは0〜8(例えば、1〜8)、さらに好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、特に0〜4(例えば、1〜4)程度であってもよい。また、n1とn2の和(n1+n2)は、0〜30程度の範囲から選択でき、例えば、0〜24(例えば、2〜24)、好ましくは0〜16(例えば、2〜12)、さらに好ましくは0〜12(例えば、2〜12)、特に0〜8(例えば、2〜8)程度であってもよい。なお、n1(又はn2)が2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリアルキレンオキシ)基は、同一のアルコキシ基で構成されていてもよく、異種のアルコキシ基(例えば、エトキシ基とプロピレンオキシ基)が混在して構成されていてもよいが、通常、同一のアルコキシ基で構成されている場合が多い。
ヒドロキシル基含有基の置換数p1およびp2は、2〜3が好ましく、特に2が好ましい。また、p1とp2との和(p1+p2)は、例えば、4〜8、好ましくは4〜6程度(特に4)であってもよい。なお、置換数p1およびp2は、異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。ヒドロキシル基含有基の置換位置は、特に限定されず、p1(又はp2)の数に応じて、フルオレンの9位に置換するフェニル基の2〜6位から選択でき、p1(又はp2)が2の場合、例えば、3,4−位、3,5−位などであってもよい。1つのヒドロキシル基含有基が、通常、4位に置換していてもよい。
なお、同一の多価フェノール骨格を構成する複数のヒドロキシル基含有基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。例えば、複数のヒドロキシル基含有基が、(i)n1=0(n2=0)であるヒドロキシル基単独(ただし、p1およびp2が2のときを除く)で構成されていてもよく、(ii)n1=0(n2=0)であるヒドロキシル基とn1≠0(n2≠0)であるヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基(2−ヒドロキシエトキシ基など)とで構成されていてもよく、(iii)n1≠0(n2≠0)である同一のヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基単独で構成されていてもよく、(iv)n1≠0(n2≠0)である異なるヒドロキシ(ポリ)アルコキシ基[例えば、2−ヒドロキシエトキシ基と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ基]で構成されていてもよい。
前記式(1)で表される代表的な多価アルコールとしては、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にアルキレンオキシド(C2-4アルキレンオキシド)が付加した付加体、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類にアルキレンオキシド(C2-4アルキレンオキシド)が付加した付加体などが挙げられる。
9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にアルキレンオキシド(C2-4アルキレンオキシド)が付加した付加体において、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類としては、例えば、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスカテコールフルオレン(BCAF))、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,5−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、置換基を有する9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン{例えば、9,9−ビス(アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−6−メチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1-4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4−ジヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(ジC1-4アルキル−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C1-4アルコキシ−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシ−5−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(C6-8アリール−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなど]など}などが例示できる。
代表的な9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体としては、上記9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するC2-4アルキレンオキシド付加体、例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ)フェニル]フルオレン(n1=n2=1)、9,9−ビス{3,4−ジ[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなどの9,9−ビス{ジ[2−(2−ヒドロキシC2-4アルコキシ)C2-4アルコキシフェニル]フルオレン}(n1=n2=2)などが含まれる。
9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類には、上記9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類に対応するフルオレン類、例えば、9,9−ビス(2,4,6−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(2,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレンなどが含まれる。
9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類のアルキレンオキシド付加体としては、上記9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体などが含まれる。
これらの多価アルコールのうち、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類[例えば、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(C1-4アルキル−3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(ジC1-4アルキル−3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(C1-4アルコキシ−3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(C6-8アリール−3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類]にC2-4アルキレンオキサイドが付加した付加体{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−ヒドロキシC2-3アルコキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス{3,4−ジ[2−(2−ヒドロキシC2-3アルコキシ)C2-3アルコキシ]フェニル}フルオレンなど}、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキサイドが付加した付加体が好ましく、特に、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキサイドが付加した付加体が好ましい。
本発明の多価アルコールは、フルオレン骨格を有するとともに、多数のヒドロキシル基含有基(特に、高い反応性を有するヒドロキシ(ポリ)C2-4アルコキシ基)を有しており、ポリオール成分として好適に利用できる。そのため、例えば、熱硬化性又は光硬化性樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂など、特に多官能性(メタ)アクリレート)を得るためのポリオール成分(又は架橋成分)として有効に利用でき、種々の優れた特性(特に、高い屈折率、光透過性、硬度、耐候性、可撓性、強度などの光学的用途に要求される特性)を付与するのに有用である。また、高反応性のヒドロキシル基含有基を多数有しているので、(メタ)アクリロキシ基などの重合性官能基を多数導入でき、熱硬化性又は光硬化性樹脂の架橋密度を著しく向上できる。
[製造方法]
前記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する多価アルコールの製造方法は、特に限定されないが、通常、酸触媒の存在下で、下記式(2)で表されるフルオレノン類と、下記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させる工程を少なくとも含む。
Figure 2005104935
(式中、R2は置換基を示し、mは0又は1〜3の整数、pは2〜4の整数を示す。ただし、m+pは、2〜5の整数である。R1a、R1b、k1、およびk2は前記に同じ)
すなわち、(i)n1及びn2が0である多価アルコール(9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類)は、酸触媒の存在下で、前記式(2)で表されるフルオレノン類と、前記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させることにより製造できる。そして、(ii)n1及び/又はn2が1以上の多価アルコールは、酸触媒の存在下で、前記式(2)で表されるフルオレノン類と、前記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させた後、生成した9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類に、さらに、アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートを反応させることにより製造できる。
なお、前記式(3)において、R2は、前記R2a又はR2bに対応しており、mは前記m1又はm2に対応しており、pは前記p1又はp2に対応しており、好ましい態様などは前記例示のとおりである。
(n1およびn2が0である多価アルコールの製造方法)
前記式(2)で表されるフルオレノン類(以下、単にフルオレノン類という場合がある)は、前記式(1)で表される多価アルコールのフルオレン骨格に対応しており、代表的なフルオレノン類は、9−フルオレノンである。なお、使用するフルオレノン類の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上である。
前記式(3)で表される多価フェノール類(以下、単に多価フェノールという場合がある)は、前記式(1)において、9位に置換したポリヒドロキシフェニル基に対応しており、代表的な多価フェノール(ポリヒドロキシベンゼン)類としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン(カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン)、アルキル−ジヒドロキシベンゼン[ジヒドロキシトルエン(3,5−ジヒドロキシトルエン(オルシノール)、3−メチルカテコール、4−メチルカテコールなど)、4−t−ブチルカテコール、ジヒドロキシキシレン(2,6−ジヒドロキシ−p−キシレンなど)などのモノ又はジC1-6アルキル−ジヒドロキシベンゼン、テトラヒドロウルシオール(2,3−ジヒドロキシ−1−ペンタデシルベンゼン)など]、アリール−ジヒドロキシベンゼン(2,3−ジヒドロキシビフェニル、3,4−ジヒドロキシビフェニルなどのC6-8アリール−ジヒドロキシベンゼンなど)、ハロ−ジヒドロキシベンゼン(クロロカテコール、2,4−ジフルオロヒドロキノンなどのモノ又はジハロ−ジヒドロキシベンゼンなど)、ニトロ−ジヒドロキシベンゼン(ニトロカテコールなど)、アルコキシ−ジヒドロキシベンゼン(3−メトキシカテコール、4,6−ジ−t−ブチル−3−メトキシカテコールなどのモノ又はジC1-6アルコキシ−ジヒドロキシベンゼンなど)、アルキルカルボニル−ジヒドロキシベンゼン(2,4−ジヒドロキシアセトフェノンなどのC2-6アルキルカルボニル−ジヒドロキシベンゼンなど)などのジヒドロキシベンゼン類、;これらのジヒドロキシベンゼン類に対応するトリヒドロキシベンゼン類[例えば、トリヒドロキシベンゼン(ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、フロログルシノール)、トリヒドロキシアセトフェノンなど]などが挙げられる。多価フェノール類は、単独で又は2種以上組み合わせて、フルオレノン類と反応させてもよい。
多価フェノール類の使用量は、フルオレノン類1モルに対して、例えば、2〜20モル、好ましくは2.5〜10モル、さらに好ましくは3〜5モル程度であってもよい。
多価フェノール類とフルオレノン類との反応(縮合反応)は、特に限定されないが、通常、酸触媒の存在下で行うことができる。酸触媒としては、無機酸[硫酸、塩化水素、塩酸(5〜36重量%、好ましくは20〜36重量%程度の塩化水素の水溶液など)、リン酸など]、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸など)など]などが挙げられる。前記硫酸には、希硫酸(例えば、30〜90%程度の硫酸)、濃硫酸(例えば、濃度90%以上の硫酸)、発煙硫酸などが含まれ、反応系において硫酸に転化可能であれば、硫酸前駆体として、三酸化硫黄を使用してもよい。酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。好ましい酸触媒は、塩酸又は硫酸である。
酸触媒の使用量は、酸触媒の種類に応じて選択でき、例えば、フルオレノン類100重量部に対して、0.001〜150重量部、好ましくは0.005〜100重量部、さらに好ましくは0.01〜50重量部程度であってもよい。特に、触媒として硫酸を使用する場合、硫酸(H2SO4換算)の使用量は、ごく少量であればよく、通常、フルオレノン1重量部に対して、0.001〜0.5重量部(例えば、0.005〜0.5重量部)、好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部(例えば、0.1〜0.3重量部)程度であってもよい。また、触媒として塩酸を使用する場合、塩酸の使用量は、塩化水素換算で、フルオレノン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度であってもよい。
縮合反応は、酸触媒に加えて、助触媒としてのチオール類を併用して行う必要がある。チオール類と組み合わせることにより、縮合反応を有効に進行できる。チオール類としては、助触媒として機能する慣用のチオール類、例えば、メルカプトカルボン酸(メルカプト酢酸、β−メルカプトプロピオン酸、α−メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸、メルカプトコハク酸、メルカプト安息香酸など)、チオカルボン酸(チオ酢酸、チオシュウ酸など)、アルキルメルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのC1-16アルキルメルカプタン(特にC1-4アルキルメルカプタン)など)、アラルキルメルカプタン(ベンジルメルカプタンなど)又はこれらの塩などが挙げられる。塩としては、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)が例示できる。これらのチオール類のうち、メルカプトC2-6カルボン酸(例えば、β−メルカプトプロピオン酸)が好ましい。チオール類は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
チオール類の使用量は、フルオレノン1重量部に対して、0〜0.2重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.001〜0.1重量部、好ましくは0.003〜0.03重量部、さらに好ましくは0.005〜0.015重量部程度である。
また、チオール類の使用量は、酸触媒1重量部に対して、0〜10重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜10重量部(例えば、0.01〜5重量部)、さらに好ましくは0.01〜2重量部程度であってもよい。特に、硫酸を使用する場合には、硫酸1重量部に対して、チオール類0.001〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部、さらに好ましくは0.01〜0.3重量部程度であってもよい。また、塩酸を使用する場合には、塩酸(塩化水素換算)1重量部に対して、0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量部程度であってもよい。
縮合反応は、溶媒の非存在下で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。溶媒は、前記酸性触媒に対して非反応性で、かつフルオレノン類および多価フェノール類を溶解可能であれば特に限定されず、幅広い範囲で使用できる。代表的な溶媒(有機溶媒)としては、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類)、芳香族系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アニソールなど)などが挙げられる。また、過剰の多価フェノール類を溶媒として使用してもよい。これらの溶媒のうち、環状エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなど)が好ましい。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
溶媒の使用量は、フルオレノン類1重量部に対して、0〜20重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜10重量部、好ましくは1〜8重量部、さらに好ましくは2〜5重量部程度であってもよい。
縮合反応は、使用する多価フェノール類、酸触媒、チオール類などの種類に応じて異なるが、通常、10〜150℃、好ましくは20〜120℃、さらに好ましくは30〜100℃程度で行う場合が多い。また、反応時間は、原料の種類、反応温度や溶媒中の濃度などに応じて調整でき、例えば、30分〜48時間、通常、1〜24時間、好ましくは1〜10時間程度である。
また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。
反応終了後の反応混合物には、通常、生成した多価アルコール(9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類)以外に、未反応のフルオレノン類、未反応の多価フェノール類、触媒(酸触媒、チオール類)、副反応生成物などが含まれている。そのため、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。例えば、慣用の方法により酸触媒(およびチオール類)を除去したのち、晶析溶媒を添加して冷却して結晶化させ、次いで、濾過して分離することにより精製してもよい。
前記晶析溶媒としては、炭化水素類[脂肪族炭化水素(ヘキサン、ヘプタンなど)、脂環族炭化水素(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタンなど)など]、水、アルコール類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール、シクロヘキサノールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、エチルプロピルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトンなどのアルキルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのジアルキルエーテルなど)、ニトリル類、セロソルブ類、アミド類(ジメチルホルムアミドなど)、スルホキシド類などが挙げられる。晶析溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。また、晶析溶媒の使用量は、特に限定されず、反応混合物(固形分換算)1重量部に対して、0.5〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは1〜5重量部程度であってもよい。
なお、ビス(ヒドロキシルフェニル)フルオレン類(前記式(1)において、n=0、p=1に対応する化合物)に関して、種々の合成方法が開示されている。例えば、(a)文献[J. Appl. Polym. Sci., 27(9), 3289, 1982]、特開平6−145087号公報、特開平8−217713号公報には、塩化水素ガス及びメルカプトカルボン酸の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法、(b)特開2000−26349号公報には、酸触媒(及びアルキルメルカプタン)の存在下、9−フルオレノンとアルキルフェノール類とを反応させる方法、(c)特開2002−47227号公報には、塩酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させる方法、(d)特開2003−221352号公報には、硫酸及びチオール類(メルカプトカルボン酸など)の存在下、フルオレノン類とフェノール類とを反応させ、炭化水素類と極性溶媒とで構成された晶析溶媒で晶析させてビスフェノールフルオレンを製造する方法などが開示されている。
本発明では、これらの文献の方法を参照して、すなわち、これらの文献の方法において、フェノール類に代えて、前記多価フェノール類(前記式(3)で表される化合物)を使用し、合成方法(精製方法や成分の添加割合など)を参照して、多価アルコール類[9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類]を製造してもよい。これらの方法のうち、特に、塩酸を使用する方法(c)、又は特定の晶析溶媒を使用する方法(d)を応用すると、より高収率でかつ高純度の生成物が得られる場合が多い。
(n1及び/又はn2が1以上の多価アルコールの製造方法)
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのC2-4アルキレンオキシド(特にC2-3アルキレンオキシド)が例示できる。また、アルキレンカーボネート(炭酸アルキレン)としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのC2-4アルキレンカーボネート(特にC2-3アルキレンカーボネート)などが例示できる。これらのアルキレンオキシド、アルキレンカーボネートは、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、アルキレンカーボネートを使用する場合、アルキレンカーボネートが付加したのち、脱炭酸反応が生じることにより、アルキレンオキシド単位(アルコキシ単位)が導入される。
アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートの使用量は、付加させるアルキレンオキシド単位の数に応じて調整でき、多価アルコールを構成するヒドロキシル基1モルに対して、例えば、1〜50モル、好ましくは1〜20モル、さらに好ましくは1〜10モル程度であってもよい。
なお、反応させるn1及びn2が0である多価アルコール(9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類)の純度は、特に限定されないが、通常、95重量%以上、好ましくは99重量%以上であってもよい。
反応は、触媒の非存在下で行ってもよいが、通常、触媒の存在下で行うことができる。触媒としては、塩基触媒、酸触媒が例示でき、通常、塩基触媒を使用できる。塩基触媒としては、金属水酸化物(水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属水酸化物など)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩など)などの無機塩基;アミン類[例えば、第3級アミン類(トリエチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、1−メチルイミダゾールなどの複素環式第3級アミン)など]、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)などの有機塩基などが例示できる。触媒(塩基触媒)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
触媒の使用量は、触媒の種類に応じて調整でき、前記方法(i)で生成した多価アルコール(ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレン類)1重量部に対して、0〜1重量部の範囲から選択でき、例えば、0.001〜1重量部、通常、0.003〜0.5重量部、好ましくは0.005〜0.3重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部程度であってもよい。
反応は、溶媒中で行ってもよい。溶媒としては、特に限定されず、使用する原料に応じて選択できる。例えば、アルキレンオキシドを使用する場合には、前記例示の溶媒などが使用でき、アルキレンカーボネートを使用する場合には、前記例示の溶媒の他、アルコール類(メタノール、エタノールなどのC1-4アルコール、エチレングリコールなどのC2-3アルキレングリコール、ジエチレングリコールなどのオキシC2-3アルキレングリコールなど)などを使用してもよい。溶媒の使用量は、前記方法(i)で生成した多価アルコール1重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは1.5〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部程度であってもよい。
反応は、付加させる化合物(アルキレンオキシド、アルキレンカーボネート)などの種類に応じて、例えば、0〜170℃、好ましくは10〜150℃、さらに好ましくは20〜130℃程度で行う場合が多い。特に、アルキレンカーボネートを使用する場合、脱炭酸反応を効率よく行うため、例えば、70〜150℃、好ましくは80〜120℃程度で反応させる場合が多い。また、反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜24時間、好ましくは1〜10時間程度である。
反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧又は加圧下でおこなってもよい。また、必要に応じて発生するガス(二酸化炭素など)を除去しながら反応を行ってもよい。
反応終了後の反応混合物は、前記と同様に、慣用の精製方法(抽出、晶析など)を利用して精製できる。
本発明の多価アルコールは、多官能重合性化合物(多官能性(メタ)アクリレートなどの熱硬化性樹脂など)を得るためのポリオール成分として有用であり、種々の優れた特性(硬度、耐熱性など)を効率よく付与できる。そのため、種々の用途、例えば、光学材料用途(光学用オーバーコート剤、ハードコート剤、反射防止膜、眼鏡レンズ、光ファイバー、光導波路、ホログラムなど)などにおいて、ポリオール成分として有利に利用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1(ビスカテコールフルオレンの合成)
9−フルオレノン36g(約0.2モル)、カテコール88g(約0.8モル)、β-メルカプトプロピオン酸0.7ml、および1,4−ジオキサン60gを反応器に入れ、80℃の加熱状態で98%硫酸5mlを滴下した。反応終了後、MIBK(メチルイソブチルケトン)200mlおよび水100mlを加えて抽出した。同操作を3回行うことによって、余剰の硫酸を除去した。溶媒濃縮後、MIBK100mlおよびトルエン200mlを加えたのち、10℃まで冷却することによってビスカテコールフルオレン[9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン]65gを得た。以下に、得られたビスカテコールフルオレンの1H−NMRスペクトルデータを示す。
1H−NMR:6.35ppm(d,2H),6.58ppm(m,4H),7.33ppm(m,6H),7.89ppm(d,2H),8.75ppm(s,2H),8.80ppm(s,2H)。
実施例2(多価アルコールの合成)
実施例1で得られたビスカテコールフルオレン38g(約0.1モル)、ジエチレングリコール100g、1−メチルイミダゾール1g、およびエチレンカーボネート150g(約1.7モル)を反応器に入れ、100℃に加熱して反応を行った。反応終了後、IPA(イソプロパノール)500mlを加えて10℃まで冷却することにより、エチレンオキサイド単位が付加した多価アルコール40gを白色結晶として得た。得られた多価アルコールを分析した結果、原料として用いたビスカテコールフルオレン1モルに対して、4.5モルのエトキシ基が付加した多価アルコールであることがわかった。
実施例3(アクリル酸付加)
実施例2で得られた多価アルコール40g(0.06モル)、アクリル酸43g(0.6モル)、70重量%のメタンスルホン酸水溶液1g、ハイドロキノン0.01g及びトルエン100mLをディーンシュタークトラップを取り付けた反応器に入れ、トルエン還流下で5時間エステル化反応を行なった。エステル化反応中に生成した水は、ディーンシュタークトラップにより除去した。その結果、テトラアクリル酸エステル45gを得た。高速液体クロマトグラフィーにて分析したところ、テトラアクリル酸エステルの純度は98%であった。
実施例4(カテコールフルオレンアクリレートの光硬化)
実施例3で得られたテトラアクリル酸エステル40gに2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン0.6gを加え、UV(紫外線)硬化後、さらに80℃で1時間熱硬化することにより透明フィルムとして硬化物を得た。得られた硬化物のTg(ガラス転移温度)は225℃、屈折率は1.630(D線)であった。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で表されるフルオレン骨格を有する多価アルコール。
    Figure 2005104935
    (式中、R1a、R1b、R2aおよびR2bは置換基を示し、R3aおよびR3bはアルキレン基を示す。k1及びk2は同一又は異なって0又は1〜4の整数を示し、m1及びm2は同一又は異なって0又は1〜3の整数を示し、n1およびn2は同一又は異なって0又は1以上の整数を示し、p1およびp2は同一又は異なって2〜4の整数を示す。ただし、p1およびp2が2のとき、n1およびn2は1以上の整数であり、m1+p1及びm2+p2は、2〜5の整数である)
  2. 式(1)において、R3aおよびR3bがC2-4アルキレン基であり、n1およびn2が1〜12であり、n1+n2が2〜24である請求項1記載の多価アルコール。
  3. 式(1)において、R3aおよびR3bがC2-4アルキレン基であり、n1およびn2が1〜6であり、n1+n2が2〜12である請求項1記載の多価アルコール。
  4. 式(1)において、p1およびp2が、それぞれ2又は3である請求項1記載の多価アルコール。
  5. 式(1)において、R3aおよびR3bがC2-3アルキレン基であり、n1およびn2が1〜4であり、n1+n2が2〜8であり、p1およびp2がそれぞれ2である請求項1記載の多価アルコール。
  6. 式(1)において、R1aおよびR1bがC1-4アルキル基、k1およびk2が0又は1であり、R2aおよびR2bが、C1-4アルキル基、C1-4アルコキシ基又はC6-8アリール基、m1およびm2が0〜2である請求項1記載の多価アルコール。
  7. 式(1)で表される多価アルコールが、9,9−ビス(ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体、9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類、又は9,9−ビス(トリヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体である請求項1記載の多価アルコール。
  8. 式(1)で表される多価アルコールが、9,9−ビス(3,4−ジヒドロキシフェニル)フルオレン類にC2-4アルキレンオキシドが付加した付加体である請求項1記載の多価アルコール。
  9. 酸触媒の存在下で、下記式(2)で表されるフルオレノン類と、下記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させる工程を少なくとも含む多価アルコールの製造方法。
    Figure 2005104935
    (式中、R2は置換基を示し、mは0又は1〜3の整数、pは2〜4の整数を示す。ただし、m+pは、2〜5の整数である。R1a、R1b、k1、およびk2は前記に同じ)
  10. 酸触媒の存在下で、前記式(2)で表されるフルオレノン類と、前記式(3)で表される多価フェノール類とを反応させた後、生成した9,9−ビス(ポリヒドロキシフェニル)フルオレンに、さらに、アルキレンオキシド又はアルキレンカーボネートを反応させる請求項9記載の方法。
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