JP6077205B2 - 電極材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このリチウムイオン電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極及び負極と、非水系の電解質とにより構成されている。
リチウムイオン電池の負極材料としては、負極活物質として、一般に炭素系材料またはチタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等の、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物が用いられている。
一方、リチウムイオン電池の正極材料としては、正極活物質として、鉄リン酸リチウム(LiFePO4)等の、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物や、バインダー等を含む電極材料合剤が用いられている。そして、この電極材料合剤を集電体と称される金属箔の表面に塗布することにより、リチウムイオン電池の正極が形成されている。
しかしながら、電極活物質、例えば、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するLi含有金属酸化物を含む電極材料は、電子伝導性が低いという問題がある。そこで、電極材料の電子伝導性を高めるために、電極活物質の粒子表面を炭素源である有機分で覆い、その後に有機分を炭化することにより、電極活物質の表面に炭素質被膜を形成し、この炭素質被膜の炭素を電子伝導性物質として介在させた電極材料が提案されている(特許文献1)。
しかしながら、従来の有機化合物を担持してなる電極活物質または電極活物質の前駆体を非酸化性雰囲気中で焼成してなる電極材料においては、焼成時の有機化合物の熱分解により生成した芳香族系炭素化合物が縮合することにより、電極活物質の表面に炭素質被膜が形成され、一方、芳香族系炭素化合物は高温で揮発性があり、特に、500℃以上かつ1000℃以下の焼成温度においては、芳香族系炭素化合物中の気化物質の濃度が高い程、炭素質被膜の担持量が多く、また被膜の厚みも厚くなるが、気化物質の濃度が低い程、炭素質被膜の担持量が少なく、また被膜の厚みが薄くなる。
前記凝集体は、内部に空隙を有する殻状の凝集体であり、前記殻状の凝集体の外殻の外周部と内周部における前記炭素質被膜の平均膜厚の比(内周部炭素質被膜の厚み/外周部炭素質被膜の厚み)は0.7以上かつ1.3以下であることが好ましい。
前記凝集体のタップ密度は、1.0g/cm3以上かつ1.5g/cm3以下であり、前記電極活物質は、LixAyDzPO4(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)であることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の電極材料は、表面に炭素質被膜が形成された電極活物質粒子を凝集してなる凝集体からなり、前記凝集体の平均粒子径は0.5μm以上かつ100μm以下であり、前記凝集体の細孔径分布の累積体積百分率が50%のときの細孔径(D50)は0.1μm以上かつ0.2μm以下であり、前記凝集体の空孔率は、前記凝集体を中実とした場合の体積に対して15体積%以上かつ50体積%以下である。
ここで、中実な凝集体とは、空隙が全く存在しない凝集体のことであり、この中実な凝集体の密度は電極活物質の理論密度に等しいものとする。
ここで、希土類元素とは、ランタン系列であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの15元素のことである。
炭素質被膜の被覆率は、透過電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて測定することができる。ここで、炭素質被膜の被覆率が80%未満では、炭素質被膜の被覆効果が不十分となり、リチウムイオンの脱挿入反応が電極活物質表面にて行なわれる際に、炭素質被膜が形成されていない箇所においてリチウムイオンの脱挿入に関わる反応抵抗が高くなり、放電末期の電圧降下が顕著になるので、好ましくない。
ここで、炭素質被膜中の炭素量を上記の範囲に限定した理由は、炭素量が0.6質量部未満では、炭素質被膜の被覆率が80%を下回ってしまい、電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が低くなり、充分な充放電レート性能を実現することが困難となるからである。一方、炭素量が10質量部を超えると、電極活物質に対して炭素質被膜の量が多くなり、よって、炭素を必要な導電性を得る量以上に含むこととなり、凝集体としたときの炭素の質量及び体積密度が低下し、その結果、電極密度が低くなり、単位体積あたりのリチウムイオン電池の電池容量が低下するからである。
ここで、凝集体の平均粒子径を上記の範囲とした理由は、平均粒子径が0.5μm未満では、凝集体が細かすぎるために舞い易くなり、電極塗工用ペーストを作製する際に取り扱いが困難になるからであり、一方、平均粒子径が100μmを超えると、電池用電極を作製した際に、乾燥後の電極の膜厚を超える大きさの凝集体が存在する可能性が高くなり、したがって、電極の膜厚の均一性を保持することができなくなるからである。
この凝集体の細孔径分布の累積体積百分率が50%のときの細孔径(D50)は、0.1μm以上かつ0.2μm以下が好ましい。
ここで、この凝集体の細孔径分布のD50を上記の範囲とした理由は、D50が0.1μm未満では、凝集体の内部の密度が高くなりすぎて、凝集体内部のチャネル状(網目状)の空隙が小さくなってしまい、その結果、凝集体の内部に有機化合物の炭化の際に生成するタール状物質が閉じ込められてしまうので、好ましくなく、一方、D50が0.2μmを超えると、電極活物質の凝集体内部の空隙における芳香族炭素化合物の蒸気の濃度が低くなりすぎてしまい、凝集体の外殻の内周部における炭素質被膜の膜厚が薄くなり、その結果、電極活物質の内部抵抗が高くなるので好ましくない。
この凝集体の空孔率は、この凝集体を中実とした場合の体積に対して15体積%以上かつ50体積%以下が好ましく、より好ましくは20体積%以上かつ45体積%以下である。
ここで、この凝集体の空孔率が、この凝集体を中実とした場合の体積に対して15体積%未満では、凝集体の内部の密度が高くなりすぎて、凝集体内部のチャネル状(網目状)の空隙が小さくなってしまい、その結果、凝集体の内部に有機化合物の炭化の際に生成するタール状物質が閉じ込められてしまうので、好ましくなく、一方、この凝集体を中実とした場合の体積に対して50体積%を超えると、電極活物質の凝集体内部の空隙における芳香族炭素化合物の蒸気の濃度が低くなりすぎてしまい、凝集体の外殻の内周部における炭素質被膜の膜厚が薄くなり、電極活物質の内部抵抗が高くなるので好ましくない。
ここで、凝集体のタップ密度が1.0g/cm3未満では、電極スラリーを作製する際に凝集体内部の空隙および凝集体間隙へ保持される溶媒量が多くなるために電極スラリーの固形分濃度が低くなり、したがって、電極スラリーを塗布した塗膜の乾燥に要する時間が長くなるので好ましくない。一方、凝集体のタップ密度が1.5g/cm3を超えると、電極スラリーを塗布した塗膜における凝集体の充填性が高くなり過ぎてしまい、乾燥に際して溶媒が揮発しにくくなるので好ましくない。
ここで、空隙の大きさ(直径)が凝集体粒子の直径の80%を超えると、凝集体の殻形状を維持することができなくなるために、空隙内部における芳香族炭素化合物の蒸気の濃度が低くなりすぎてしまい、その結果、凝集体の外殻の内周部における炭素質被膜の膜厚が薄くなり、電極活物質の内部抵抗が高くなるので、好ましくない。
ここで、外殻の外周部と内周部における炭素質被膜の平均膜厚の比(内周部炭素質被膜の厚み/外周部炭素質被膜の厚み)が上記の範囲外であると、凝集体外殻の外周部あるいは内周部における炭素質被膜の厚みが薄くなり、電極活物質の内部抵抗が高くなるので好ましくない。
本実施形態の電極材料の製造方法は、電極活物質または電極活物質の前駆体と有機化合物とを含み、かつ電極活物質または電極活物質の前駆体の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径(D90)の累積体積百分率が10%のときの粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が5以上かつ30以下のスラリーを乾燥し、次いで、得られた乾燥物を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて焼成する方法である。
ここで、希土類元素とは、ランタン系列であるLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luの15元素のことである。
この化合物(LixAyDzPO4粒子)としては、例えば、酢酸リチウム(LiCH3COO)、塩化リチウム(LiCl)等のリチウム塩、あるいは水酸化リチウム(LiOH)からなる群から選択されたLi源と、塩化鉄(II)(FeCl2)、酢酸鉄(II)(Fe(CH3COO)2)、硫酸鉄(II)(FeSO4)等の2価の鉄塩と、リン酸(H3PO4)、リン酸2水素アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)等のリン酸化合物と、水とを混合して得られるスラリー状の混合物を、耐圧密閉容器を用いて水熱合成し、得られた沈殿物を水洗してケーキ状の前駆体物質を生成し、このケーキ状の前駆体物質を焼成して得られた化合物(LixAyDzPO4粒子)を好適に用いることができる。
ここで、電極活物質の1次粒子の平均粒径を上記の範囲に限定した理由は、1次粒子の平均粒径が0.01μm未満では、1次粒子の表面を薄膜状の炭素で充分に被覆することが困難となり、高速充放電レートにおける放電容量が低くなり、充分な充放電レート性能を実現することが困難となるので、好ましくなく、一方、1次粒子の平均粒径が20μmを超えると、1次粒子の内部抵抗が大きくなり、したがって、高速充放電レートにおける放電容量が不充分となるので、好ましくない。
ここで、電極活物質の形状が球状であることが好ましい理由は、電極活物質と、バインダー樹脂(結着剤)と、溶媒とを混合して正電極用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができると共に、この正電極用ペーストの集電体への塗工も容易となるからである。
さらに、電極活物質が最密充填し易いので、単位体積あたりの正極材料の充填量が多くなり、よって、電極密度を高くすることができ、その結果、リチウムイオン電池の高容量化を図ることができるので、好ましい。
ここで、有機化合物の炭素量換算の配合比が0.6質量部未満では、炭素質被膜の被覆率が80%を下回ることとなり、電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が低くなり、充分な充放電レート性能を実現することが困難となる。一方、有機化合物の炭素量換算の配合比が10質量部を超えると、相対的に電極活物質の配合比が低くなり、電池を形成した場合に電池の容量が低くなるとともに、炭素質被膜の過剰な担持により電極活物質が嵩高くなり、したがって、電極密度が低くなり、単位体積あたりのリチウムイオン電池の電池容量の低下が無視できなくなる。
電極活物質と有機化合物とを水に溶解あるいは分散させる方法としては、電極活物質が分散し、有機化合物が溶解または分散する方法であれば、特に限定しないが、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で攪拌する媒体攪拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
また、スラリー中の電極活物質あるいは電極活物質の前駆体の粒度分布においては、この粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径(D90)の累積体積百分率が10%のときの粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が5以上かつ30以下となるように、スラリーの分散条件、例えば、スラリー中の電極活物質及び有機化合物の濃度、撹拌時間、撹拌時間等を適宜調整するとよい。これにより、このスラリーを噴霧・乾燥して得られる凝集体のタップ密度が1.0g/cm3以上となる。
この噴霧の際の液滴の平均粒径は、0.05μm以上かつ100μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以上かつ20μm以下である。
噴霧の際の液滴の平均粒径を上記の範囲とすることで、平均粒子径が0.5μm以上かつ100μm以下、好ましくは1μm以上かつ20μm以下の乾燥物が得られる。
この非酸化性雰囲気としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性雰囲気が好ましく、より酸化を抑えたい場合には水素(H2)等の還元性ガスを含む還元性雰囲気が好ましい。また、焼成時に非酸化性雰囲気中に蒸発した有機分を除去する目的で、必要に応じて酸素(O2)等の支燃性及び可燃性ガスを不活性雰囲気中に導入することとしてもよい。
以上により、乾燥物中の有機化合物が熱分解して生成した炭素により電極活物質の1次粒子の表面が被覆され、よって、この電極活物質の1次粒子の間に炭素が介在した2次粒子からなる凝集体が得られる。
この凝集体が、本実施形態における電極材料となる。
例えば、本実施例では、電極材料自体の挙動をデータに反映させるため、負極に金属Liを用いたが、炭素材料、Li合金、Li4Ti5O12等の負極材料を用いてもかまわない。また電解液とセパレータの代わりに固体電解質を用いても良い。
(電極材料の作製)
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4Lになるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8Lの耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成を行った。
次いで、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の電極活物質の前駆体を得た。
次いで、得られたスラリーを180℃の大気雰囲気中に噴霧し、乾燥して、平均粒径が6μmの乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物を700℃の窒素雰囲気下にて1時間、焼成し、平均粒子径が6μmの凝集体を得、この凝集体を実施例1の電極材料とした。
この電極材料の凝集体の細孔径分布(D50)、凝集体の空孔率、炭素質被膜の平均膜厚の比(内周部炭素質被膜の厚み/外周部炭素質被膜の厚み)、タップ密度、炭素質被膜の被覆率それぞれの評価を行った。
評価方法は下記のとおりである。
水銀ポロシメーターを用いて測定した。
(2)凝集体の空孔率
水銀ポロシメーターを用いて測定した。
(3)炭素質被膜の平均膜厚の比
凝集体の炭素質被膜を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察し、凝集体の内周部における炭素質被膜の厚みと、外周部における炭素質被膜の厚みを測定し、炭素質被膜の平均膜厚の比(内周部炭素質被膜の厚み/外周部炭素質被膜の厚み)を算出した。
日本工業規格JIS R 1628「ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準拠して測定した。
(5)炭素質被膜の被覆率
凝集体の炭素質被膜を透過型電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型X線分光器(EDX)を用いて観察し、凝集体の表面のうち炭素質被膜が覆っている部分の割合を算出し、被覆率とした。
評価結果を表1に示す。
上記の電極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み15μmのアルミニウム(Al)箔上に塗布し、乾燥した。その後、600kgf/cm2の圧力にて加圧し、実施例1のリチウムイオン電池の正極を作製した。
一方、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを1:1(質量比)にて混合し、さらに1MのLiPF6溶液を加えて、リチウムイオン伝導性を有する電解質溶液を作製した。
次いで、上記の電池用部材を上記の電解質溶液に浸漬し、実施例1のリチウムイオン電池を作製した。
このリチウムイオン電池の充放電特性、内部抵抗それぞれの評価を行った。
評価方法は下記のとおりである。
上記のリチウムイオン電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2−4.5V、充放電レート1Cの定電流(1時間充電の後、1時間放電)下にて実施した。初期放電容量を表2に、充放電特性を図1に、それぞれ示す。
(2)内部抵抗
図1に示す放電曲線においては、放電末期に認められる電圧降下が、炭素質被膜によって被覆されていない電極活物質の存在を示している。そこで、電圧降下が顕著に認められる試料を、内部抵抗が高い試料と判断した。
ここでは、電圧降下が認められないか、電圧降下が小さい試料を「○」、電圧降下が顕著に認められる試料を「×」と評価した。
評価結果を表2に示す。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が10となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例2においても、実施例1と同様の放電末期の電圧降下が認められた。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が20となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例3においても、実施例1と同様の放電末期の電圧降下が認められた。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が25となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、実施例4においても、実施例1と同様の放電末期の電圧降下が認められた。
鉄源となる硫酸鉄(II)(FeSO4)の代わりに、マンガン源として硫酸マンガン(II)(MnSO4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電極活物質の前駆体を得た。
そして、ポリビニルアルコール水溶液に、炭化触媒としてリン酸鉄リチウム前駆体を上記のポリビニルアルコール水溶液中のポリビニルアルコール固形分と同質量となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行なった。評価結果を表1及び表2に示す。
なお。実施例5においても、実施例1と同様の放電末期の電圧降下が認められた。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が1.5となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に、充放電特性を図1に、それぞれ示す。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が3となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
スラリー中の電極活物質の前駆体粒子の粒度分布のD90/D10が40となるように、ボールミルの撹拌時間を調整した以外は、実施例1と同様にして、電極材料及びリチウムイオン電池正電極を作製し、評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
また、図1によれば、実施例1の電極材料は、比較例1の電極材料と比べて放電容量が高く、放電特性に優れていることが分かった。
Claims (6)
- 表面に炭素質被膜が形成された電極活物質粒子を凝集してなる凝集体からなり、
前記凝集体の平均粒子径は1μm以上かつ20μm以下であり、
前記凝集体の細孔径分布の累積体積百分率が50%のときの細孔径(D50)は0.1μm以上かつ0.2μm以下であり、
前記凝集体の空孔率は、前記凝集体を中実とした場合の体積に対して15体積%以上かつ50体積%以下であり、
前記電極活物質粒子は、1次粒子の平均粒径が0.02μm以上かつ5μm以下であり、
前記電極活物質粒子を構成する電極活物質は、Li x A y D z PO 4 (但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)を含み、
前記炭素質被膜中の炭素量は、前記電極活物質100質量部に対して0.6質量部以上かつ10質量部以下であることを特徴とする電極材料。 - 前記電極活物質の表面の80%以上を前記炭素質被膜にて被覆してなることを特徴とする請求項1記載の電極材料。
- 前記凝集体は、内部に空隙を有する殻状の凝集体であり、
前記殻状の凝集体の外殻の外周部と内周部における前記炭素質被膜の平均膜厚の比(内周部炭素質被膜の厚み/外周部炭素質被膜の厚み)は0.7以上かつ1.3以下であることを特徴とする請求項1または2記載の電極材料。 - 前記凝集体のタップ密度は、1.0g/cm3以上かつ1.5g/cm3以下であり、
前記電極活物質は、LixAyDzPO4(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の電極材料。 - 前記電極活物質は、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム及びLixAyDzPO4(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu、Crの群から選択される1種または2種以上、DはMg、Ca、S、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y、希土類元素の群から選択される1種または2種以上、0<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5)の群から選択される1種を主成分とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の電極材料。
- 請求項1から5のいずれか1項に記載の電極材料を製造する方法であって、
1次粒子の平均粒径が0.02μm以上かつ5μm以下である電極活物質と有機化合物とを含み、かつ前記電極活物質の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径(D90)の累積体積百分率が10%のときの粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が5以上かつ30以下のスラリーを乾燥し、
次いで、得られた乾燥物を500℃以上かつ1000℃以下の非酸化性雰囲気下にて焼成することを特徴とする電極材料の製造方法。
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