JP6725022B1 - リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
このリチウムイオン電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極及び負極と、非水系の電解質とにより構成されている。
リチウムイオン二次電池の正極としては、正極材料およびバインダー等を含む正極材料合剤が用いられている。この正極材料合剤を集電体と称される金属箔の表面に塗布することにより、リチウムイオン二次電池の正極が形成される。
したがって、このような球状造粒体を用いたリチウムイオン電池の正極を、高いエネルギー密度が要求される携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ、定置型電源、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車等に適用するためには、電極密度が不十分であるという問題点があった。
前記球状造粒体と前記非球状凝集体との混合物の粒度分布におけるD90が4.0μm以上かつ22.0μm以下であり、粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)が5%以上かつ50%以下であり、
前記混合物のN−メチル−2−ピロリドン吸油量が75mL/100g以下であるリチウムイオン二次電池用正極材料。
LixAyMzPO4 (1)
<3> 前記混合物の粒度分布におけるD90が4.0μm以上かつ10.0μm以下である<1>又は<2>に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
<4> 前記混合物のN−メチル−2−ピロリドン吸油量が65mL/100g以下である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
<5> 前記一次粒子の表面を被覆する炭素の質量が、前記正極活物質100質量部に対して1.1質量部以上かつ2.4質量部以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
<7> 正極、負極および非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、<6>に記載のリチウムイオン二次電池用正極を前記正極として有するリチウムイオン二次電池。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本発明の正極材料は、球状造粒体と非球状凝集体とからなる。
球状造粒体は、式(1)で表されるオリビン構造を有する正極活物質の一次粒子と、当該一次粒子の表面を被覆する炭素とからなり、当該一次粒子の間に当該炭素が介在した二次粒子であって、球状である。
一方、非球状凝集体は、式(1)で表されるオリビン構造を有する正極活物質の一次粒子と、当該一次粒子の表面を被覆する炭素とからなり、当該一次粒子の間に当該炭素が介在した二次粒子であって、球状ではない。
非球状凝集体の平均二次粒子径(φ2)は、球状造粒体の平均二次粒子径(φ1)より小さい(φ2<φ1)。これにより、非球状凝集体が、球状造粒体と球状造粒体との間の空隙に収まり易く、造粒体間の間隙が減少し、電極密度を向上させることができる。
球状造粒体と非球状凝集体の平均二次粒子径は、それぞれ、粒度分布測定装置の粒度分布から求まる二次粒子のD50として測定される。
φ1とφ2との差(Δφ=φ1−φ2)は、0を超えれば、特に制限されないが、造粒体間の間隙をより減少し、正極表面の凹凸をより減らす観点から、Δφは、1μm以上かつ15μm以下であることが好ましく、3μm以上かつ10μm以下であることがより好ましい。
Δφが1μm以上であると、球状造粒体間の間隙に入った非球状凝集体間の間隙が小さくなるので、電極密度が向上する。一方、Δφが15μm以下であると、球状造粒体間の間隙にうまく非球状凝集体が入り込めるので、電極密度が向上する。
球状造粒体の平均二次粒子径(φ1;D50)は、1.5μm以上かつ15.0μm以下であることが好ましく、2.0μm以上かつ8.0μm以下であることがより好ましい。また、非球状凝集体の平均二次粒子径(φ2;D50)は、0.1μm以上かつ1.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上かつ1.0μm以下であることがより好ましい。
非球状凝集体の平均二次粒子径(φ2;D50)が0.1μm以上であると、バインダー樹脂(結着剤)の量を低減できるので、電極の塗工が容易になる。一方、非球状凝集体の平均二次粒子径(φ2;D50)が1.5μm以下であると、球状造粒体間の間隙にうまく非球状凝集体が入り込めるので、電極密度が向上する。
球状造粒体と非球状凝集体は、いずれも、表面が炭素(炭素質被膜)により被覆された正極活物質の一次粒子を含む。炭素は、一次粒子の表面の少なくとも一部に被覆されていればよいが、正極活物質の一次粒子が凝集した二次粒子は、一次粒子の間に炭素が介在する。一次粒子の間に炭素が介在することで、導電パスの断裂を抑制することができる。
炭素(炭素質被膜)の被覆率は、60%以上であることが好ましく、80%以上かつ95%以下であることがより好ましい。炭素質被膜の被覆率が60%以上であることで、炭素質被膜の被覆効果が充分に得られる。
なお、この炭素の質量は、球状造粒体が有する正極活物質の一次粒子の表面を被覆する炭素の質量(C1)と非球状凝集体が有する正極活物質の一次粒子の表面を被覆する炭素の質量(C2)との合計量を意味する。
炭素の質量が1質量部以下では、高速充放電レートにおける放電容量が低くなり、充分な充放電レート性能を実現することが困難となる。一方、炭素の配合量が4質量部を超えると、正極活物質の配合比が低くなり、電池を形成した場合にその電池の容量が低くなるとともに、炭素質被膜の過剰な担持により正極活物質が嵩高くなり、よって、電極密度が低くなり、その結果、単位体積当たりのリチウムイオン電池の電池容量の低下が無視できなくなる。
正極材料中、正極活物質の一次粒子の表面を被覆する炭素の質量は、充放電レート性能、電極密度、及び電池容量をより高める観点から、正極活物質100質量部に対して、1.1質量部以上かつ2.4質量部以下であることが好ましく、1.1質量部以上かつ2.0質量部以下であることがより好ましい。
炭素質被膜の平均膜厚が2.0nm以上であることで、炭素質被膜中の電子の移動抵抗の総和が高くなりにくく、電池の内部抵抗の上昇が抑えられ、高速充放電レートにおける電圧低下を防止することができる。炭素質被膜の平均膜厚が5.0nm以下であることで、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際の立体障害が抑制され、リチウムイオンの移動抵抗が低くなる結果、電池の内部抵抗の上昇が抑えられ、高速充放電レートにおける電圧低下を防止することができる。
また、炭素質被膜の膜厚が0.3nm以上であることで、炭素質被膜の平均膜厚を0.8nm以上に保ち易く、膜厚が10.0nm以下であることで、平均膜厚を5.0nm以下に抑え易い。
なお、炭素質被膜の膜厚は、透過型電子顕微鏡を用いて、測定することができる。
ここで、炭素質被膜の炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度を上記の範囲に限定した理由は、炭素質被膜の炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度が0.3g/cm3以上であれば、炭素質被膜が十分な電子伝導性を示すからである。一方、炭素質被膜の密度が1.5g/cm3以下であれば、炭素質被膜中に層状構造からなる黒鉛の微結晶が少量であるため、リチウムイオンが炭素質被膜中を拡散する際に黒鉛の微結晶による立体障害が生じない。これにより、リチウムイオン移動抵抗が高くなることがない。その結果、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が上昇することがなく、リチウムイオン二次電池の高速充放電レートにおける電圧低下が生じない。
球状造粒体と非球状凝集体との混合物の粒度分布におけるD90は、4.0μm以上かつ22.0μm以下であり、粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)が5%以上かつ50%以下である。
混合物のD90が22.0μm以下であることにより、正極表面の凹凸を小さくし、正極表面の空隙が残存しにくくなる。また、正極材料中の粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)を5%以上かつ50%以下とすることで、球状造粒体間の間隙に非球状凝集体が効率的に入り込むことができ、電極密度を向上することができる。
また、混合物のD90が4.0μm以上であることにより、NMPと正極活物質の接触する面積が小さくなり、NMP吸油量を低減できるので、電極スラリーハンドリングが向上する。
また、球状造粒体間の間隙に非球状凝集体を効率的に埋める観点から、粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)は、10%以上かつ40%以下であることが好ましく、15%以上かつ30%以下であることがより好ましい。
なお、球状造粒体と非球状凝集体との混合物の粒度分布におけるD90及び粒子の積算頻度(体積基準)は、粒度分布測定装置により測定することができる。
球状造粒体と非球状凝集体との混合物のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)吸油量は、75mL/100g以下である。
NMP吸油量が75ml/100gを超えると、正極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合して、リチウムイオン二次電池用正極材料ペースト(電極スラリーともいう)を調製する際に、結着剤及び溶剤を凝集粒子内に浸透し易く、ペースト粘度が増大する。その結果、正極材料ペーストの支持体(例えば、アルミニウム集電体)への塗工性及び結着性が低下し、電池特性が低下する。
なお、上記NMP吸油量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
既述の観点から、混合物のNMP吸油量は、65ml/100g以下であることが好ましく、60ml/100g以下であることがより好ましく、55ml/100g以下であることが更に好ましい。混合物のNMP吸油量の下限は特に制限されないが、NMP吸油量は20ml/100g以上であることが好ましい。NMP吸油量が20ml/100g以上であることで、電解液の濡れ性が低下しにくく、電解液と正極材料の一次粒子表面が接触する面積が低くなりにくく、リチウムイオン電池の入出力特性が低下しにくい。
球状造粒体と非球状凝集体との混合比は、球状造粒体間の間隙を低減する観点から、次の範囲であることが好ましい。球状造粒体及び非球状凝集体の合計質量中の非球状凝集体の割合が、20質量%以上かつ80質量%以下が好ましく、30質量%以上かつ60質量%以下がより好ましい。
非球状凝集体の割合が20質量%以上であることで、球状造粒体内及び球状造粒体間を非球状凝集体で十分に満たすことができ、球状造粒体内の気孔及び球状造粒体間の間隙を低減することができる。一方、非球状凝集体の割合が80質量%以下であることで、球状造粒体に対する非球状凝集体の量を抑えることができるので、非球状凝集体が球状造粒体全体を覆ってしまうことを防止し、球状造粒体及び非球状凝集体の充填性の低下を抑制することができる。
球状造粒体と非球状凝集体が含む正極活物質は、式(1)で表されるリン酸リチウム系のオリビン構造を有する。
LixAyMzPO4 (1)
式(1)は、xが0.95以上かつ1.1以下であり、yが0.8以上かつ1.1以下であり、zは0以上かつ0.2以下である。また、AはFe、Mn、Co、及びNiからなる群より選択される少なくとも1種である。更に、MはMg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種である。
上記AとしてはFeが、上記Mとしては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Alが、高い放電電位、豊富な資源量、安全性等の点から好ましい。また、希土類元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luが挙げられる。
正極材料の平均一次粒子径が0.01μm以上であると、正極材料の比表面積が増えることで必要になる炭素の質量の増加を抑制し、電池の充放電容量が低減することを抑制できる。一方、正極材料の平均一次粒子径が5μm以下であると、正極材料内でのリチウムイオンの移動または電子の移動にかかる時間が長くなることを抑制できる。これにより、電池の内部抵抗が増加して出力特性が悪化することを抑制できる。
本発明の正極材料の製造方法は特に制限されないが、次の球状造粒体製造工程と非球状凝集体製造工程とを含むことが好ましい。
球状造粒体製造工程は、正極活物質または正極活物質の前駆体と、有機化合物とを含むスラリーを噴霧し、乾燥して球状の噴霧乾燥物を生成し、この球状の噴霧乾燥物を500℃以上かつ1000℃以下にて焼成して、電極活物質の表面に炭素質被膜を形成した球状造粒体を合成する工程を含むことが好ましい。
非球状凝集体製造工程は、球状造粒体製造工程で得られた球状造粒体の一部を粉砕して粉砕物である非球状凝集体を得る工程を含むことが好ましい。
本発明の正極材料は、球状造粒体製造工程で得られた球状造粒体と、非球状凝集体製造工程で得られた非球状凝集体と混合することで得られる。
球状造粒体製造工程で用いる正極活物質及び正極活物質前駆体は、固相法、液相法、気相法などの従来の方法により製造することができる。
例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてM源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成して得られる。水熱合成によれば、LixAyMzPO4は、水中に沈殿物として生成する。得られた沈殿物は、LixAyMzPO4の前駆体であってもよい。この場合、LixAyMzPO4の前駆体を焼成することで、目的のLixAyMzPO4粒子が得られる。
水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
このLixAyMzPO4粉体の一次粒子の形状は、特に限定されないが、球状、特に真球状の二次粒子からなる正極材料を生成し易いことから、LixAyMzPO4粉体の形状も球状、特に真球状のものが好適である。
有機化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、フェノール、フェノール樹脂、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、多価アルコール等が挙げられる。
これらの装置では、正極活物質を一次粒子として分散し、その後、有機化合物を溶解するように攪拌することが好ましい。
このようにすれば、正極活物質の一次粒子の表面が有機化合物で十分に被覆され、その結果として、正極活物質の一次粒子の間に有機化合物由来の炭素が均一に介在するようになる。
ここで、正極活物質と有機化合物と水の質量比を調整することで、球状造粒体の粒子径を調整することができる。例えば、水の質量比率を大きくすれば、球状造粒体の粒子径は小さくなるし、逆に、水の質量比率を小さくすれば、球状造粒体の粒子径は大きくなる。
この噴霧の際の液滴の粒径は、0.05μm以上かつ500μm以下とすることが好ましい。
次いで、球状造粒体製造工程で得られた球状造粒体から一部の球状造粒体を取り出し、乾式ボールミル、湿式ボールミル、ミキサー、気流式微粉砕機、超音波破砕機等の粉砕機を用いて粉砕することにより、粉砕物として、非球状凝集体が得られる。球状造粒体を粉砕することで凝集体は非球状となり、非球状凝集体の平均二次粒子径は、球状造粒体の平均二次粒子径より小さくなる。非球状凝集体は、粒子径のD10が0.01μm以上かつD90が5μm以下の粒度分布を有することが好ましく、D10が0.05μm以上かつD90が2μm以下の粒度分布を有することがより好ましい。粒子径は、粉砕装置の粉砕強度を制御することで調整することができる。
非球状凝集体のD10が0.01μm以上であることで、微小結晶子による結晶の歪みを抑制し、十分な充放電性能が得られ易く、D90が5μm以下であることで、非球状凝集体の内部の抵抗が大きくなりにくく、高速充放電において十分な放電容量が得られる。
この非球状凝集体は、その結晶子が全て分離していることが好ましいが、複数個の結晶子が凝集した集合体であってもよい。
(1)正極活物質または正極活物質の前駆体と、有機化合物とを含むスラリーを噴霧し、乾燥した球状の噴霧乾燥物を、必要に応じて乾式ボールミル、湿式ボールミル、ミキサー、気流式微粉砕機、超音波破砕機等を用いて粉砕した後、500℃以上かつ1000℃以下、好ましくは600℃以上かつ900℃以下の非酸化性雰囲気下にて焼成する。
非球状凝集体と球状造粒体との混合割合は、粉砕物が質量比で20質量%以上かつ80質量%以下、好ましくは40質量%以上かつ60質量%以下となるように混合する。
混合方法としては、粉砕物と球状造粒体とが偏在することなく均一に混合することができる方法であれば、乾式、湿式のいずれでもよく、特に制限はないが、均一に混合することができる点では、気流式混合機、ミキサー、ブレンダー等が好適である。
結着剤、すなわち、バインダー樹脂として、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
BET比表面積が5m2/g以上であると、正極材料の粗大化を抑制して、その粒子内におけるリチウムイオンの拡散速度を速くすることができる。これにより、リチウムイオン二次電池の電池特性を改善することができる。一方、BET比表面積が30m2/g以下であると、本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極材料を含む正極内の正極密度を高くすることができるため、高エネルギー密度を有するリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用正極は、既述の本発明のリチウムイオン二次電池用正極材料を含む。本発明の正極は、本発明の正極材料を含むため、電池に用いたとき、入出力特性に優れ、かつ電極密度が高い電池が得られる。
正極は、例えば、次のようにして得ることができる。
ペースト状の正極材料を、アルミニウム集電体の一主面に塗布して塗膜とし、その後、この塗膜を乾燥し、正極材料と結着剤との混合物からなる塗膜が一主面に形成されたアルミニウム集電体を得る。その後、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、アルミニウム集電体の一主面に正極合材層を有する正極を作製する。
本発明のリチウムイオン二次電池は、正極、負極および非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、本発明のリチウムイオン二次電池用正極を正極として有する。
本発明の電池は、本発明の正極を含むため、入出力特性に優れ、かつ電極密度が高い。
負極としては、例えば、金属Li、天然黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料、Li合金及びLi4Ti5O12、Si(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
非水電解質としては、例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート;EC)と、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート;EMC)とを、体積比で1:1となるように混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を、例えば、濃度1モル/dm3となるように溶解したものが挙げられる。
(実施例1)
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール9.0gを水450gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例1のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料1)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.4μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール9.0gを水400gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例2のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料2)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は9.9μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール9.0gを水300gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例3のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料3)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は14.8μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール20.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例4のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料4)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.3μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール15gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例5のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料5)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.1μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール9.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例6のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料6)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.2μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール7.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例7のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料7)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.2μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール5.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、実施例8のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料8)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.1μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール4.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.8μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、比較例1のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料101)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.2μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール3.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は2.1μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、比較例2のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料102)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.2μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール2.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は2.5μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、比較例3のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料103)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.1μmであった。
水2L(リットル)に、4molの酢酸リチウム(LiCH3COO)、2molの硫酸鉄(II)(FeSO4)、2molのリン酸(H3PO4)を、全体量が4L(リットル)になるように混合し、均一なスラリー状の混合物を調製した。
次いで、この混合物を容量8L(リットル)の耐圧密閉容器に収容し、120℃にて1時間、水熱合成し、得られた沈殿物を水洗し、ケーキ状の正極活物質を得た。次いで、この正極活物質150g(固形分換算)に、有機化合物としてポリエチレングリコール25.0gを水200gに溶解したポリエチレングリコール水溶液を加え、媒体粒子として直径5mmのジルコニアボール500gを用いてボールミルにて12時間分散処理を行い、均一なスラリーを調製した。
得られた造粒体を700℃の窒素雰囲気下にて1時間焼成した後、その一部を取り出し、気流式微粉砕機を用いて粉砕して、表1に示す平均二次粒径(D50)を有する粉砕物を得た。得られた粉砕物は、走査型電子顕微鏡により粉砕物が非球状凝集体であることを確認した。
得られた粉砕物のD10は0.1μm、D90は1.6μmであった。
次いで、粉砕物と球状造粒体との配合比が、質量比で50:50となるように配合し、混合して、比較例4のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料104)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は21.3μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で20:80となるように配合し、混合して、実施例9のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料9)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.9μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で30:70となるように配合し、混合して、実施例10のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料10)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.7μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で40:60となるように配合し、混合して、実施例11のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料11)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.5μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で60:40となるように配合し、混合して、実施例12のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料12)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.4μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で70:30となるように配合し、混合して、実施例13のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料13)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は5.8μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で80:20となるように配合し、混合して、実施例14のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料14)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は4.2μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で10:90となるように配合し、混合して、比較例5のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料105)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は6.7μmであった。
正極材料1の製造で得た球状造粒体を用い、これを比較例6のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料106)とした。
正極材料1の製造で得た球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)を用い、粉砕物と球状造粒体との配合比(非球状凝集体:球状造粒体)が、質量比で90:10となるように配合し、混合して、比較例7のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料107)を得た。
球状造粒体と粉砕物(非球状凝集体)との混合物のD90は3.2μmであった。
正極材料1の製造で得た粉砕物(非球状凝集体)を用い、これを比較例8のリチウムイオン電池用正極材料(正極材料108)とした。
(実施例1)
溶媒であるN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)に、正極材料1と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてのアセチレンブラック(AB)とを、得られるペースト中の質量比で、正極材料1:AB:PVdF=90:5:5となるように加えた。これらを混合し、混練機(シンキー社製、商品名「あわとり練太郎」)を用いて、公転2000rpm、自転2000rpmの条件で30分混練し、正極材料ペースト(電極スラリー)を調製した。
調製した正極材料ペーストを、厚さ30μmのアルミニウム箔(集電体)の表面に塗布して塗膜を形成し、その塗膜を乾燥し、アルミニウム箔の表面に正極合剤層を形成した。
その後、正極合剤層を、600kgf/cm2の圧力にて加圧し、実施例1のリチウムイオン二次電池用正極(正極1)を作製した。
正極1の作製において、正極材料1の代わりに正極材料2〜14及び101〜108を用いた他は同様にして、実施例2〜14及び比較例1〜8のリチウムイオン二次電池用正極(正極2〜14及び101〜108)を作製した。
(実施例1)
リチウムイオン電池の正極1に対し、負極としてリチウム金属を配置し、正極1と負極との間に多孔質ポリプロピレンからなるセパレーターを配置し、電池用部材1とした。
一方、炭酸エチレンと炭酸ジエチルとを、質量比で1:1にて混合し、さらに1mol/LのLiPF6溶液を加えて、リチウムイオン伝導性を有する電解質溶液を作製した。
次いで、電池用部材1を電解質溶液に浸漬し、実施例1のリチウムイオン電池1を作製した。
電池1の作製において、正極1の代わりに正極2〜14及び101〜108を用いた他は同様にして、実施例2〜14及び比較例1〜8のリチウムイオン電池(電池2〜14及び101〜108)を作製した。
(1)粒度分布
球状造粒体;非球状凝集体;及び、球状造粒体と非球状凝集体との混合物の粒度分布は、以下の方法で測定した。
測定装置(商品名:LA−950V2、堀場製作所社製)を用いて測定した。
まず、分散液としての純水40gおよびポリビニルピロリドン(PVP)0.12g、試料粉末としての球状造粒体;非球状凝集体;及び、球状造粒体と非球状凝集体との混合物0.04gを70mLマヨネーズ瓶に秤量した。このマヨネーズ瓶を手動で10回程振り混ぜて、試料粉末と分散液を馴染ませた。
次いで、この試料粉末と分散液の混合溶液を超音波ホモジナイザー(商品名:SONIFIER450、BRANSON社製)にて、Output5、パルス50%条件で2分間超音波処理をし、得られた分散溶液を用いて粒度分布を測定した。
データ取り込み回数を半導体レーザー(LD)5000回、発光ダイオード(LED)1000回として測定し、データの演算条件は下記の通りとした。
<演算条件>
(サンプル屈折率)
LD実部:1.60
LD虚部:0.24
LED実部:1.60
LED虚部:0.24
(分散媒屈折率)
LD実部:1.33
LD虚部:0.00
LED実部:1.33
LED虚部:0.00
(反復回数):15回
(粒子径基準):体積
(演算アルゴリズム):Ver.4XX互換
得られた粒度分布から、球状造粒体及び非球状凝集体の平均二次粒径(D50);非球状凝集体のD10及びD90;混合物のD90;ならびに、混合物中の粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)を得た。
球状造粒体及び非球状凝集体の平均二次粒径(D50);混合物のD90;ならびに、混合物中の粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)を表1に示す。
なお、比較例6における「混合物のD90[μm]」欄の数値は、比較例6の球状造粒体のD90[μm]を示し、比較例8における「混合物のD90[μm]」欄の数値は、比較例8の非球状凝集体のD90[μm]を示す。
正極材料の一次粒子の表面を被覆する炭素の質量は、炭素硫黄分析装置(商品名:EMIA−220V、堀場製作所社製)を用いてで測定した。結果を表1に示す。
600kgf/cm2で加圧した正極を、コイン型打ち抜き機でφ15.9mmに打ち抜いた。
打ち抜いた正極の厚みを5点測定し、その平均値から集電体の厚みを引いた値を正極の厚みとし、正極体積を算出した。同様に正極と集電体の質量の差より正極の質量を算出し、正極体積で割ることでプレス後の電極密度とした。結果を表1に示す。
N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた吸油量(NMP吸油量)は、JIS K5101−13−1:2004(精製あまに油法)に則った手法にて、あまに油をNMPに代えて測定した。
リチウムイオン二次電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2.5V〜3.7V、0.2Cで充電を行い(5時間充電)、10Cで放電し(6分放電)、放電容量を測定した。
1.粒子の詰まりやすさ
電極密度により粒子の詰まりやすさを評価した。
得られた結果について、下記基準に基づき、評価した。
(評価基準)
◎:電極密度が1.95g/cc以上
○:電極密度が1.90g/cc以上、且つ1.95g/cc未満
×:電極密度が1.90g/cc未満
NMP吸油量により電極スラリーハンドリングを評価した。
得られた結果について、下記基準に基づき、評価した。
(評価基準)
◎:NMP吸油量が65mL/100g未満
○:NMP吸油量が65mL/100g以上、且つ75mL/100g未満
×:NMP吸油量が75mL/100g以上
放電容量によりレート特性を評価した。
(評価基準)
◎:放電容量が100mAh/g以上
○:放電容量が90mAh/g以上、且つ100mAh/g未満
×:放電容量が90mAh/g未満
Claims (6)
- 表面が炭素により被覆された式(1)で表されるオリビン構造を有する正極活物質の一次粒子の間に前記炭素が介在した二次粒子からなる球状造粒体と、前記一次粒子の間に前記炭素が介在した非球状凝集体とからなり、
前記非球状凝集体の平均二次粒子径は、前記球状造粒体の平均二次粒子径より小さく、
前記球状造粒体の平均二次粒子径が、1.5μm以上かつ15.0μm以下であり、
前記非球状凝集体の平均二次粒子径は、0.1μm以上かつ1.5μm以下であり、
前記非球状凝集体の平均二次粒子径と前記球状造粒体の平均二次粒子径との差が、1μm以上かつ15μm以下であり、
前記一次粒子の表面を被覆する炭素の質量は、前記正極活物質100質量部に対して1質量部を超え、かつ4質量部以下であり、
前記球状造粒体と前記非球状凝集体との混合物の粒度分布におけるD90が4.0μm以上かつ15.0μm以下であり、粒子径0.5μm以下の粒子の積算頻度(体積基準)が5%以上かつ50%以下であり、
前記混合物のN−メチル−2−ピロリドン吸油量が75mL/100g以下である、リチウムイオン二次電池用正極材料であって、
前記正極材料のBET比表面積が、5m2/g以上かつ30m2/g以下である、リチウムイオン二次電池用正極材料。
LixAyMzPO4 (1)
〔式(1)において、0.95≦x≦1.1、0.8≦y≦1.1、0≦z≦0.2、但し、AはFe、Mn、Co、及びNiからなる群より選択される少なくとも1種であり、MはMg、Ca、Co、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge及び希土類元素からなる群より選択される少なくとも1種である。〕 - 前記混合物の粒度分布におけるD90が4.0μm以上かつ10.0μm以下である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
- 前記混合物のN−メチル−2−ピロリドン吸油量が65mL/100g以下である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料。
- 前記一次粒子の表面を被覆する炭素の質量が、前記正極活物質100質量部に対して1.1質量部以上かつ2.4質量部以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウ
ムイオン二次電池用正極材料。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用正極材料を含むリチウムイオン二次電池用正極。
- 正極、負極および非水電解質を有するリチウムイオン二次電池であって、
請求項5に記載のリチウムイオン二次電池用正極を前記正極として有するリチウムイオン二次電池。
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