JP2018056054A - リチウムイオン二次電池用電極材料、及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極合材層の体積抵抗値、及び電極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、並びに充放電特性が改善されたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質と、前記電極活物質を被覆する炭素質被膜とを有し、前記電極活物質の比表面積が10m2/g以上25m2/g以下であり、前記電極活物質の一次粒子を造粒してなる平均粒子径が0.5μm以上15μm以下、円形度が0.7以上の球状二次粒子の含有量が、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極材料。【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムイオン二次電池用電極材料、及び該電極材料を用いてなる電極を備えたリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、鉛電池、ニッケル水素電池よりもエネルギー密度、出力密度が高く、スマートフォンなどの小型電子機器をはじめ、家庭用バックアップ電源、電動工具など、様々な用途に利用されている。また、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー貯蔵用として、大容量のリチウムイオン二次電池の実用化が進んでいる。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液およびセパレータを備える。正極を構成する電極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するリチウム含有金属酸化物が用いられ、電池の高容量化、長寿命化、安全性の向上、低コスト化など、様々な観点から改良が検討されている。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液およびセパレータを備える。正極を構成する電極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するリチウム含有金属酸化物が用いられ、電池の高容量化、長寿命化、安全性の向上、低コスト化など、様々な観点から改良が検討されている。
前記電極材料のリン酸鉄リチウム(LiFePO4)は、資源的に豊富、且つ安価な鉄を使用しているため、低コスト化が容易な材料である。リン酸鉄リチウムは、リンと酸素の強固な共有結合により高温時の酸素放出がないため抜群の安全性を有するなど、コバルト酸リチウムに代表される酸化物系正極材料にはない優れた特性を有している。
一方、リン酸鉄リチウムはLiイオンの拡散性、電子伝導性が低いため、酸化物系正極材料よりも入出力特性が劣る。この特性差は電池の作動温度が低温になるとより顕著となるため、リン酸鉄リチウムは、低温領域で高い入出力特性が必要とされるハイブリッド自動車などの車載用途には不向きであると考えられてきた。
一方、リン酸鉄リチウムはLiイオンの拡散性、電子伝導性が低いため、酸化物系正極材料よりも入出力特性が劣る。この特性差は電池の作動温度が低温になるとより顕著となるため、リン酸鉄リチウムは、低温領域で高い入出力特性が必要とされるハイブリッド自動車などの車載用途には不向きであると考えられてきた。
リン酸鉄リチウムに代表されるオリビン構造を有するLiMPO4(Mは金属元素)は、Liイオンの拡散性、及び電子伝導性が低いため、LiMPO4一次粒子を微細化し、且つその一次粒子個々の表面を導電性炭素質被膜で被覆することで充放電特性を改善することができる。
一方、前記微細化したLiMPO4は比表面積が大きいため、電極合材スラリーの増粘や多量のバインダーが必要となるため、炭素質被膜で被覆された一次粒子を造粒し二次粒子の形態とすることで電極合材スラリーの性状を改善することが一般的である。
一方、前記微細化したLiMPO4は比表面積が大きいため、電極合材スラリーの増粘や多量のバインダーが必要となるため、炭素質被膜で被覆された一次粒子を造粒し二次粒子の形態とすることで電極合材スラリーの性状を改善することが一般的である。
例えば、電極材料として、特許文献1には、一次粒子結晶が凝集して球状の二次粒子を形成し、該二次粒子表面及び内部に空隙を有するリチウムニッケルマンガン系複合酸化物よりなる母粒子と、該母粒子の空隙の一部に充填された導電性微粉末とを有するリチウム二次電池用正極活物質材料が開示されている。また、特許文献2には、二次粒子内部に空隙を有する粒子が含有されたリチウム二次電池用正極活物質が開示されている。
電極合材層は、電極材料、導電助剤、バインダーなどを混合した電極スラリーをアルミニウム集電体に塗工、乾燥、プレスすることで形成される。しかし、特許文献1及び2に記載の電極材料では、不定形な二次粒子や二次粒子に空隙(中空二次粒子)が存在するため、電極構造が不均一となり、Liイオン伝導性、及び電子伝導性が低下する。また、電極構造を均一化するためには過度のプレスが必要となり、二次粒子の崩壊による導電性炭素質被膜の剥離や、電極合材層のアルミニウム集電体からの脱落などによる電池特性の低下も引き起こす。
このように、充放電特性の改善には電極材料のみならず、電極を構成する電極合材層の導電性の改善も必須である。
このように、充放電特性の改善には電極材料のみならず、電極を構成する電極合材層の導電性の改善も必須である。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、電極合材層の体積抵抗値、及び電極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、並びに充放電特性が改善されたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。
[1]オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質と、前記電極活物質を被覆する炭素質被膜とを有し、前記電極活物質の比表面積が10m2/g以上25m2/g以下であり、前記電極活物質の一次粒子を造粒してなる平均粒子径が0.5μm以上15μm以下、円形度が0.7以上の球状二次粒子の含有量が、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極材料。
[2]前記オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物が、下記一般式(1)で表される電極活物質であることを特徴とする上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、CuおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、ScおよびYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
[3]厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値が1Ω・cm2以下、前記正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[4]前記電極材料の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が15μm以下であり、厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値及び前記D90の比(界面抵抗値/D90)が0.1以下、前記正極合材層の体積抵抗値及び前記D90の比(体積抵抗値/D90)が0.10以上0.60以下であることを特徴とする上記[3]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[5]前記電極材料のN−メチル−2−ピロリドンを用いた吸油量が50ml/100g以下であることを特徴とする上記[3]又は[4]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[6]厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする上記[3]〜[5]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[7]正極と、負極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極が、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電極材料を用いてなる正極合材層を有し、該正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[8]前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする上記[7]に記載のリチウムイオン二次電池。
[2]前記オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物が、下記一般式(1)で表される電極活物質であることを特徴とする上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、CuおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、ScおよびYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
[3]厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値が1Ω・cm2以下、前記正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[4]前記電極材料の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が15μm以下であり、厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値及び前記D90の比(界面抵抗値/D90)が0.1以下、前記正極合材層の体積抵抗値及び前記D90の比(体積抵抗値/D90)が0.10以上0.60以下であることを特徴とする上記[3]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[5]前記電極材料のN−メチル−2−ピロリドンを用いた吸油量が50ml/100g以下であることを特徴とする上記[3]又は[4]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[6]厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする上記[3]〜[5]のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[7]正極と、負極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池であって、前記正極が、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の電極材料を用いてなる正極合材層を有し、該正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
[8]前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする上記[7]に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、電極合材層の体積抵抗値、及び電極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、並びに充放電特性が改善されたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<リチウムイオン二次電池用電極材料>
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質と、該電極活物質を被覆する炭素質被膜とを有し、該電極活物質の比表面積が10m2/g以上25m2/g以下であり、該電極活物質の一次粒子を造粒してなる平均粒子径が0.5μm以上15μm以下、円形度が0.7以上の球状二次粒子の含有量が、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上であることを特徴とする。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質と、該電極活物質を被覆する炭素質被膜とを有し、該電極活物質の比表面積が10m2/g以上25m2/g以下であり、該電極活物質の一次粒子を造粒してなる平均粒子径が0.5μm以上15μm以下、円形度が0.7以上の球状二次粒子の含有量が、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上であることを特徴とする。
本発明で用いられる電極活物質は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる。オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物としては、下記一般式(1)で表される電極活物質であることが、高放電容量、高エネルギー密度の観点から好ましい。
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、CuおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、ScおよびYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、CuおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、ScおよびYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
ここで、Aについては、Co、Mn、Ni及びFeが好ましく、Feがより好ましい。
Dについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Alが好ましい。電極活物質がこれらの元素を含む場合、高い放電電位、高い安全性を実現可能な正極合材層とすることができる。また、資源量が豊富であるため、選択する材料として好ましい。
Dについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Alが好ましい。電極活物質がこれらの元素を含む場合、高い放電電位、高い安全性を実現可能な正極合材層とすることができる。また、資源量が豊富であるため、選択する材料として好ましい。
電極活物質の一次粒子の平均粒子径は好ましくは500nm以下、より好ましくは10nm以上400nm以下、更に好ましくは20nm以上300nm以下、より更に好ましくは20nm以上200nm以下である。一次粒子の平均粒子径が500nm以下であると、電極活物質の一次粒子の内部におけるリチウムイオン拡散抵抗や電子の移動抵抗が大きくなることを抑制できる。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量を大きくすることができる。また、上記一次粒子の平均粒子径が10nm以上であると、電極活物質の一次粒子の比表面積が増えることで必要になる炭素の質量の増加を抑制し、電極材料単位質量当たりの充放電容量が低減することを抑制できる。また、電極活物質の一次粒子の表面を炭素質被膜で均一に被覆しやすくなる。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量が大きくなり、十分な充放電性能を実現することができる。
ここで、平均粒子径とは、個数平均粒子径のことである。上記一次粒子の平均粒子径は、無作為に100個の一次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の一次粒子の長径及び短径を測定し、その平均値として求めることができる。
また、電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子の平均粒子径は、0.5μm以上15μm以下、より好ましくは1.0μm以上10μm以下である。上記球状二次粒子の平均粒子径が0.5μm未満であると、電極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合して、リチウムイオン二次電池用電極材料ペーストを調製する際の導電助剤、結着剤が多量に必要となり、リチウムイオン二次電池用正極合材層の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量が低下する。一方、上記球状二次粒子の平均粒子径が15μmを超えると、正極合材層中の導電助剤や結着剤の分散性、均一性が低下する。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量が不充分となる。
なお、本実施形態において、前記一次粒子以外の造粒粒子を全て球状二次粒子とする。
ここで、平均粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記球状二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。また、無作為に100個の球状二次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の球状二次粒子の長径及び短径を測定し、その平均値として求めてもよい。なお、本発明では、炭素質被膜で被覆された電極活物質(以下「炭素質被覆電極活物質」ともいう)の球状二次粒子の粒子径を上記方法により求めることで、電極活物質の球状二次粒子の平均粒子径とすることができる。
ここで、平均粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記球状二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。また、無作為に100個の球状二次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の球状二次粒子の長径及び短径を測定し、その平均値として求めてもよい。なお、本発明では、炭素質被膜で被覆された電極活物質(以下「炭素質被覆電極活物質」ともいう)の球状二次粒子の粒子径を上記方法により求めることで、電極活物質の球状二次粒子の平均粒子径とすることができる。
上記球状二次粒子の円形度は0.7以上であり、好ましくは0.8以上1.0以下である。0.7未満では、電極内部が不均一化する。
ここで、「円形度」とは、円形状への近さを示す値であり、最大値1.0は真円を表す。円形度は、下記式(I)より求めることができる。
4πS2/L2 (I)
ここで式(I)中、Sは球状二次粒子の面積、Lは球状二次粒子の周囲長である。
4πS2/L2 (I)
ここで式(I)中、Sは球状二次粒子の面積、Lは球状二次粒子の周囲長である。
また、円形度が0.7以上の球状二次粒子は、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上、好ましくは85%以上を占める。80%未満では、電極構造が不均一になり、Liイオン伝導性、及び電子伝導性が低下するおそれがある。
炭素質被膜は、上記一次粒子に所望の電子伝導性を付与するためのものである。
炭素質被膜の厚みは、0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以上3.0nm以下であることがより好ましい。
炭素質被膜の厚みが0.5nm以上であると、炭素質被膜の厚みが薄くなり過ぎず、所望の抵抗値を有する膜を形成することができる。その結果、導電性が向上し、電極材料としての導電性を確保することができる。一方、炭素質被膜の厚みが5.0nm以下であると、電池活性、例えば、電極材料の単位質量あたりの電池容量が低下することを抑制できる。
また、一次粒子に対する炭素質被膜の被覆率は60%以上であることが好ましく、特に80%以上が好ましい。炭素質被膜の被覆率が60%以上であることで、炭素質被膜の被覆効果が十分に得られる。
炭素質被膜の厚みは、0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以上3.0nm以下であることがより好ましい。
炭素質被膜の厚みが0.5nm以上であると、炭素質被膜の厚みが薄くなり過ぎず、所望の抵抗値を有する膜を形成することができる。その結果、導電性が向上し、電極材料としての導電性を確保することができる。一方、炭素質被膜の厚みが5.0nm以下であると、電池活性、例えば、電極材料の単位質量あたりの電池容量が低下することを抑制できる。
また、一次粒子に対する炭素質被膜の被覆率は60%以上であることが好ましく、特に80%以上が好ましい。炭素質被膜の被覆率が60%以上であることで、炭素質被膜の被覆効果が十分に得られる。
上記炭素質被覆電極活物質に含まれる炭素量は、好ましくは0.5質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以上2.5質量%以下である。
炭素量が0.5質量%以上であると、電極材料としての導電性を確保することができ、リチウムイオン二次電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が大きくなり、十分な充放電レート性能を実現することができる。一方、炭素量が5.0質量%以下であると、炭素量が多くなり過ぎず、リチウムイオン二次電池用電極材料の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量が必要以上に低下することを抑制できる。
炭素量が0.5質量%以上であると、電極材料としての導電性を確保することができ、リチウムイオン二次電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が大きくなり、十分な充放電レート性能を実現することができる。一方、炭素量が5.0質量%以下であると、炭素量が多くなり過ぎず、リチウムイオン二次電池用電極材料の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量が必要以上に低下することを抑制できる。
上記炭素質被覆電極活物質は、電極プレスによって粒子形状が変形しにくい二次粒子であると電極構造の均一化を図ることができ好ましい。電極構造が均一であると、Liイオン伝導性、電子伝導性の改善のみならず、電極作製時のプレス圧力が抑えられ、上記炭素質被覆電極活物質の崩壊による炭素質被膜の剥離を抑制することができ、また、電極合材層のアルミニウム集電体からの脱落を防止することができる。これにより、電池特性の低下を抑制することができる。
上記電極活物質の比表面積は、10m2/g以上25m2/g以下、好ましくは10m2/g以上18m2/g以下、より好ましくは10m2/g以上15m2/g以下である。比表面積が10m2/g未満であると、リチウムイオン二次電池用電極材料の一次粒子の内部におけるLiイオン拡散抵抗や電子の移動抵抗が大きくなる。よって、内部抵抗が増加し、出力特性が悪化する。一方、比表面積が25m2/gを超えると、リチウムイオン二次電池用電極材料の比表面積が増えることで必要になる炭素の質量が増加し、リチウムイオン二次電池用電極材料の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量が必要以上に低下する。
なお、上記比表面積は、BET法により、比表面積計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて測定することができる。
なお、上記比表面積は、BET法により、比表面積計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて測定することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)は、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、更に好ましくは12μm以下である。D90が15μm以下であると、電極プレス時の二次粒子の変形を抑制できる。また、D90の下限値は特に限定されないが、好ましくは4.0μm以上である。
上記電極材料のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量は、好ましくは50ml/100g以下、より好ましくは48ml/100g以下、更に好ましくは45ml/100g以下である。NMP吸油量が50ml/100g以下であると、電極ペーストの増粘を抑制でき、かつ導電助剤や結着剤の分散が容易となる。
なお、上記NMP吸油量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、上記NMP吸油量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、該正極合材層と該アルミニウム集電体との界面抵抗値を好ましくは1Ω・cm2以下、より好ましくは0.8Ω・cm2以下、更に好ましくは0.5Ω・cm2以下、より更に好ましくは0.1Ω・cm2以下とすることができ、該正極合材層の体積抵抗値を好ましくは5Ω・cm以下、より好ましくは4.8Ω・cm以下、更に好ましくは4.5Ω・cm以下とすることができる。また、正極合材層のプレス後の電極密度を好ましくは1.4g/cm3以上、より好ましくは1.5g/cm3以上とすることができる。
ここで、界面抵抗値とは、2つの層が接触する界面での抵抗値を意味し、本発明では、正極合材層とアルミニウム集電体との界面での抵抗値のことである。
ここで、界面抵抗値とは、2つの層が接触する界面での抵抗値を意味し、本発明では、正極合材層とアルミニウム集電体との界面での抵抗値のことである。
さらに、上記条件において、正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値及び前述のD90の比(界面抵抗値/D90)を好ましくは0.1以下、より好ましくは0.08以下、更に好ましくは0.05以下とすることができる。また、正極合材層の体積抵抗値及び前述のD90の比(体積抵抗値/D90)を好ましくは0.10以上0.60以下、より好ましくは0.11以上0.50以下、更に好ましくは0.12以上0.30以下とすることができる。
[電極材料の製造方法]
本実施形態の電極材料の製造方法は、例えば、電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程と、電極活物質及び電極活物質前駆体からなる群から選択される少なくとも1種の電極活物質原料と、水とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記工程で得られたスラリー中に凝集保持剤を加え、造粒物を得る造粒工程と、前記工程で得られた造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下にて焼成する焼成工程とを有する。
本実施形態の電極材料の製造方法は、例えば、電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程と、電極活物質及び電極活物質前駆体からなる群から選択される少なくとも1種の電極活物質原料と、水とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記工程で得られたスラリー中に凝集保持剤を加え、造粒物を得る造粒工程と、前記工程で得られた造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下にて焼成する焼成工程とを有する。
(電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程)
電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程としては、特に限定されず、例えば、該電極活物質及び電極活物質前駆体が前記一般式(1)で表される場合、固相法、液相法、気相法等の従来の方法を用いることができる。このような方法で得られたLixAyDzPO4としては、例えば、粒子状のもの(以下、「LixAyMzPO4粒子」と言うことがある。)が挙げられる。
LixAyDzPO4粒子は、例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてD源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成して得られる。水熱合成によれば、LixAyDzPO4は、水中に沈殿物として生成する。得られた沈殿物は、LixAyDzPO4の前駆体であってもよい。この場合、LixAyDzPO4の前駆体を焼成することで、目的のLixAyDzPO4粒子が得られる。
この水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程としては、特に限定されず、例えば、該電極活物質及び電極活物質前駆体が前記一般式(1)で表される場合、固相法、液相法、気相法等の従来の方法を用いることができる。このような方法で得られたLixAyDzPO4としては、例えば、粒子状のもの(以下、「LixAyMzPO4粒子」と言うことがある。)が挙げられる。
LixAyDzPO4粒子は、例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてD源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成して得られる。水熱合成によれば、LixAyDzPO4は、水中に沈殿物として生成する。得られた沈殿物は、LixAyDzPO4の前駆体であってもよい。この場合、LixAyDzPO4の前駆体を焼成することで、目的のLixAyDzPO4粒子が得られる。
この水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
ここで、Li源としては、酢酸リチウム(LiCH3COO)、塩化リチウム(LiCl)等のリチウム塩及び水酸化リチウム(LiOH)等が挙げられる。これらの中でも、Li源としては、酢酸リチウム、塩化リチウム及び水酸化リチウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
A源としては、Co、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrからなる群から選択される少なくとも1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。例えば、LixAyDzPO4におけるAがFeである場合、Fe源としては、塩化鉄(II)(FeCl2)、酢酸鉄(II)(Fe(CH3COO)2)、硫酸鉄(II)(FeSO4)等の2価の鉄塩が挙げられる。これらの中でも、Fe源としては、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)及び硫酸鉄(II)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
D源としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
P源としては、リン酸(H3PO4)、リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)、リン酸水素二アンモニウム((NH4)2HPO4)等のリン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、P源としては、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(スラリー調製工程)
本工程では、前記工程で得られた電極活物質原料を、水に分散させて均一なスラリーを調製する。電極活物質原料を水に分散させる際には、分散剤を加えることもできる。電極活物質原料を水に分散させる方法としては、特に限定されず、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で撹拌する媒体撹拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
本工程では、前記工程で得られた電極活物質原料を、水に分散させて均一なスラリーを調製する。電極活物質原料を水に分散させる際には、分散剤を加えることもできる。電極活物質原料を水に分散させる方法としては、特に限定されず、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で撹拌する媒体撹拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
スラリーを調製する際には、スラリー中の電極活物質原料の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の10%粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が1以上30以下となるように制御するとよい。(D90/D10)を上記範囲内とすることで、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布が広くなり、得られる粒子の高密度化が図れ、本発明の効果を発揮することができる。
なお、スラリーの分散条件は、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、撹拌速度、撹拌時間等により調整することができる。
なお、スラリーの分散条件は、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、撹拌速度、撹拌時間等により調整することができる。
(造粒工程)
本工程では、スラリー中の電極活物質原料から造粒物を製造する。
造粒の際には、スラリー中の一次粒子を軟凝集させることにより二次粒子の崩壊を抑えられ、円形度が0.7以上の二次粒子が得られやすくなる。一次粒子の軟凝集を促進させ、造粒物の崩壊を抑える方法として、本発明では、造粒工程において、スラリー中に凝集保持剤を加える。ここで、凝集保持剤とは、一次粒子の凝集を補助するとともに、該一次粒子が凝集した二次粒子の形状を保持する化合物を意味する。
上記方法としては、例えば、スラリー中に凝集保持剤として、クエン酸、ポリアクリル酸、アスコルビン酸等の有機酸を加え混合する方法等が挙げられる。スラリーのpHを有機酸によって低下させることで一次粒子の凝集を補助し、造粒後は一次粒子がより詰まった二次粒子を形成でき、二次粒子の強度を増強することができる。
有機酸を選定した理由は後述の焼成工程で不純物として残存せずに炭素質被膜の一部として炭化される方が好ましいためである。但し、有機酸は残炭しにくいためそれだけで炭素質被膜とすることは困難であり、さらに良好な炭素質被膜を形成しにくいことから多量に入れることは好ましくない。
また、後述する焼成工程において有機化合物の炭化を促進するための炭化触媒を用いてもよい。
本工程では、スラリー中の電極活物質原料から造粒物を製造する。
造粒の際には、スラリー中の一次粒子を軟凝集させることにより二次粒子の崩壊を抑えられ、円形度が0.7以上の二次粒子が得られやすくなる。一次粒子の軟凝集を促進させ、造粒物の崩壊を抑える方法として、本発明では、造粒工程において、スラリー中に凝集保持剤を加える。ここで、凝集保持剤とは、一次粒子の凝集を補助するとともに、該一次粒子が凝集した二次粒子の形状を保持する化合物を意味する。
上記方法としては、例えば、スラリー中に凝集保持剤として、クエン酸、ポリアクリル酸、アスコルビン酸等の有機酸を加え混合する方法等が挙げられる。スラリーのpHを有機酸によって低下させることで一次粒子の凝集を補助し、造粒後は一次粒子がより詰まった二次粒子を形成でき、二次粒子の強度を増強することができる。
有機酸を選定した理由は後述の焼成工程で不純物として残存せずに炭素質被膜の一部として炭化される方が好ましいためである。但し、有機酸は残炭しにくいためそれだけで炭素質被膜とすることは困難であり、さらに良好な炭素質被膜を形成しにくいことから多量に入れることは好ましくない。
また、後述する焼成工程において有機化合物の炭化を促進するための炭化触媒を用いてもよい。
凝集保持剤の配合量は電極活物質原料に対し固形分換算で好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.5質量%である。0.1質量%以上とすることで、造粒体の崩壊を抑制できる。1.0質量%以下とすることで、凝集保持剤由来のカーボン量増加を抑制することができる。カーボン量が多量であるとリチウムイオン伝導性が乏しくなるおそれがある。
また、スラリー中に含まれる電極活物質原料の濃度を好ましくは15〜55質量%、より好ましくは20〜50質量%となるように調製することで、球状の二次粒子を得ることができる。
次いで、上記で得られた混合物を雰囲気温度が溶媒の沸点以上である高温雰囲気中、例えば100〜250℃の大気中に噴霧し、乾燥させる。
ここで、噴霧の際の条件、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、噴霧圧力、速度、更に、噴霧後の乾燥させる際の条件、例えば、昇温速度、最高保持温度、保持時間等を適宜調整することにより、上述した球状二次粒子の平均粒子径が上記範囲内にある乾燥物が得られる。
ここで、噴霧の際の条件、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、噴霧圧力、速度、更に、噴霧後の乾燥させる際の条件、例えば、昇温速度、最高保持温度、保持時間等を適宜調整することにより、上述した球状二次粒子の平均粒子径が上記範囲内にある乾燥物が得られる。
噴霧・乾燥時の雰囲気温度は、スラリー中の溶媒の蒸発速度に影響を与え、これにより得られる乾燥物の構造を制御することができる。
例えば、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点に近くなればなる程、噴霧された液滴の乾燥に時間がかかるので、この乾燥に要する時間の間に、得られる乾燥物は十分に収縮することとなる。これにより、スラリー中の溶媒の沸点近傍の雰囲気温度にて噴霧・乾燥した乾燥物は、中実構造をとりやすくなる。
また、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点より高温になればなる程、噴霧された液滴の乾燥時間が短くなるので、得られる乾燥物は十分に収縮することができなくなる。これにより、乾燥物は多孔質構造や中空構造をとりやすくなる。
例えば、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点に近くなればなる程、噴霧された液滴の乾燥に時間がかかるので、この乾燥に要する時間の間に、得られる乾燥物は十分に収縮することとなる。これにより、スラリー中の溶媒の沸点近傍の雰囲気温度にて噴霧・乾燥した乾燥物は、中実構造をとりやすくなる。
また、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点より高温になればなる程、噴霧された液滴の乾燥時間が短くなるので、得られる乾燥物は十分に収縮することができなくなる。これにより、乾燥物は多孔質構造や中空構造をとりやすくなる。
(焼成工程)
本工程では、前記工程で得られた造粒物を非酸化性雰囲気下にて焼成する。
まず、焼成前に、該造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合する。
有機化合物としては、正極活物質の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。但し、上述の造粒工程で用いられる有機酸に含まれるものは除かれる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本工程では、前記工程で得られた造粒物を非酸化性雰囲気下にて焼成する。
まず、焼成前に、該造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合する。
有機化合物としては、正極活物質の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。但し、上述の造粒工程で用いられる有機酸に含まれるものは除かれる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機化合物と、電極活物質原料との配合比は、電極活物質原料から得られる活物質100質量部に対して、有機化合物から得られる炭素重量で0.5質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。実際の配合量は加熱炭化による炭化量(炭素源の種類や炭化条件)により異なるが、おおむね0.7重量部から6重量部程度である。
次いで、前述の乾式混合により得られた混合物を、非酸化性雰囲気下、好ましくは650℃以上かつ1000℃以下、より好ましくは700℃以上かつ900℃以下の温度にて、0.1時間以上かつ40時間以下焼成する。
非酸化性雰囲気としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスからなる雰囲気が好ましい。混合物の酸化をより抑えたい場合には、水素(H2)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。また、焼成時に非酸化性雰囲気中に蒸発した有機分を除去することを目的として、非酸化性雰囲気中に酸素(O2)等の支燃性ガスまたは可燃性ガスを導入してもよい。
ここで、焼成温度を650℃以上とすることにより、混合物に含まれる有機化合物の分解及び反応が充分に進行し易く、有機化合物の炭化を充分に行い易い。その結果、得られた粒子中に高抵抗の有機化合物の分解物が生成することを防止し易い。一方、焼成温度を1000℃以下とすることにより、電極活物質原料中のリチウム(Li)が蒸発し難く、また、電極活物質が目的の大きさ以上に粒成長することが抑制される。その結果、本実施形態の電極材料を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池を作製した場合に、高速充放電レートにおける放電容量が低くなることを防止でき、充分な充放電レート性能を有するリチウムイオン二次電池を実現することができる。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを有する。該正極は、上述の電極材料を用いてなる正極合材層を有し、該正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とする。
正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cmより大きいと電子伝導性が低下するおそれがある。正極合材層の体積抵抗値は、好ましくは4.8Ω・cm以下、より好ましくは4.5Ω・cm以下である。
なお、上記体積抵抗値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、電解質とを有する。該正極は、上述の電極材料を用いてなる正極合材層を有し、該正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とする。
正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cmより大きいと電子伝導性が低下するおそれがある。正極合材層の体積抵抗値は、好ましくは4.8Ω・cm以下、より好ましくは4.5Ω・cm以下である。
なお、上記体積抵抗値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値は、好ましくは1Ω・cm2以下、より好ましくは0.8Ω・cm2以下、さらに好ましくは0.5Ω・cm2以下、より更に好ましくは0.1Ω・cm2以下である。正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値が1Ω・cm2以下であると、電子伝導性を向上させることができる。
なお、上記界面抵抗値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、上記界面抵抗値は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記正極合材層のプレス後の電極密度は、好ましくは1.4g/cm3以上、より好ましくは1.5g/cm3以上である。正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であると、電子伝導性を向上させることができる。
なお、上記電極密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、上記電極密度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
〔正極〕
正極を作製するには、上記の電極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、正極形成用塗料又は正極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の導電助剤を添加してもよい。
結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部〜30質量部、好ましくは3質量部〜20質量部とする。
正極を作製するには、上記の電極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、正極形成用塗料又は正極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の導電助剤を添加してもよい。
結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部〜30質量部、好ましくは3質量部〜20質量部とする。
正極形成用塗料又は正極形成用ペーストに用いる溶媒としては、バインダー樹脂の性質に合わせて適宜選択すればよい。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、正極形成用塗料又は正極形成用ペーストを、アルミニウム箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、上記の電極材料とバインダー樹脂との混合物からなる塗膜が一方の面に形成されたアルミニウム箔を得る。
次いで、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、アルミニウム箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、直流抵抗を低下させ、放電容量を高めることができる正極を作製することができる。
次いで、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、アルミニウム箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、直流抵抗を低下させ、放電容量を高めることができる正極を作製することができる。
〔負極〕
負極としては、例えば、金属Li、天然黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料、Li合金及びLi4Ti5O12、Si(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
負極としては、例えば、金属Li、天然黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料、Li合金及びLi4Ti5O12、Si(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
〔電解質〕
電解質は、特に制限されないが、非水電解質であることが好ましく、例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート;EC)と、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート;EMC)とを、体積比で1:1となるように混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を、例えば、濃度1モル/dm3となるように溶解したものが挙げられる。
電解質は、特に制限されないが、非水電解質であることが好ましく、例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート;EC)と、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート;EMC)とを、体積比で1:1となるように混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を、例えば、濃度1モル/dm3となるように溶解したものが挙げられる。
〔セパレータ〕
本実施形態の正極と本実施形態の負極とは、セパレータを介して対向させることができる。セパレータとして、例えば、多孔質プロピレンを用いることができる。
また、非水電解質とセパレータの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
本実施形態の正極と本実施形態の負極とは、セパレータを介して対向させることができる。セパレータとして、例えば、多孔質プロピレンを用いることができる。
また、非水電解質とセパレータの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極が、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いてなる正極合材層を有するため、電極合材層の体積抵抗値、及び電極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値を低減することができ、充放電特性を改善することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
〔リチウムイオン二次電池用正極材料の合成〕
(実施例1)
Li源およびP源としてのリン酸リチウム(Li3PO4)と、Fe源としての硫酸鉄(II)(FeSO4)を、モル比でLi:Fe:P=3:1:1となるように混合した。さらに、調製用蒸留水を混合して、600mlの原料スラリーを調製した。
次いで、この原料スラリーを耐圧密閉容器に収容し、180℃にて2時間、水熱合成した後、室温(25℃)になるまで冷却して、容器内に沈殿しているケーキ状の電極活物質粒子を得た。この電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように、電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。
この懸濁スラリーを直径0.1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように、サンドミルの処理時間を調整して分散処理を行った。
次いで、分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物にポリビニルアルコール粉末を電極活物質粒子に対し3.5質量%乾式混合し、不活性雰囲気下、750℃にて1時間熱処理を行うことにより、電極活物質粒子への炭素担持を行い、実施例1のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例1)
Li源およびP源としてのリン酸リチウム(Li3PO4)と、Fe源としての硫酸鉄(II)(FeSO4)を、モル比でLi:Fe:P=3:1:1となるように混合した。さらに、調製用蒸留水を混合して、600mlの原料スラリーを調製した。
次いで、この原料スラリーを耐圧密閉容器に収容し、180℃にて2時間、水熱合成した後、室温(25℃)になるまで冷却して、容器内に沈殿しているケーキ状の電極活物質粒子を得た。この電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように、電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。
この懸濁スラリーを直径0.1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように、サンドミルの処理時間を調整して分散処理を行った。
次いで、分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物にポリビニルアルコール粉末を電極活物質粒子に対し3.5質量%乾式混合し、不活性雰囲気下、750℃にて1時間熱処理を行うことにより、電極活物質粒子への炭素担持を行い、実施例1のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例2)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例1と同様にして実施例2のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例3)
電極活物質粒子濃度が60質量%となるように調整した懸濁スラリーを、直径1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子において、比(D90/D10)が25となるように、ボールミルの処理時間を調整して分散処理を行った以外は、実施例1と同様にして実施例3のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
電極活物質粒子濃度が60質量%となるように調整した懸濁スラリーを、直径1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子において、比(D90/D10)が25となるように、ボールミルの処理時間を調整して分散処理を行った以外は、実施例1と同様にして実施例3のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例4)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例3と同様にして実施例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例3と同様にして実施例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例5)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、正極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の正極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物にグルコース粉末を電極活物質粒子に対し4.7質量%乾式混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例5のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、正極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の正極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物を得た。
次いで、得られた乾燥物にグルコース粉末を電極活物質粒子に対し4.7質量%乾式混合した以外は、実施例1と同様にして、実施例5のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(実施例6)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例5と同様にして実施例6のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したクエン酸水溶液を、電極活物質粒子に対しクエン酸固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、実施例5と同様にして実施例6のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(比較例1)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに、予め15質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液を、電極活物質粒子に対しポリビニルアルコール固形分換算で3.5質量%混合し、スラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃雰囲気中に噴霧、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに、予め15質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液を、電極活物質粒子に対しポリビニルアルコール固形分換算で3.5質量%混合し、スラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、180℃雰囲気中に噴霧、乾燥した以外は、実施例1と同様にして、比較例1のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(比較例2)
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに、予め15質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液を、電極活物質粒子に対しポリビニルアルコール固形分換算で3.5質量%混合し、スラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、比較例1と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
サンドミルにより分散処理を施したスラリーに、予め15質量%に調整したポリビニルアルコール水溶液を、電極活物質粒子に対しポリビニルアルコール固形分換算で3.5質量%混合し、スラリー中の電極活物質粒子濃度が25質量%となるよう蒸留水を混合した以外は、比較例1と同様にして、比較例2のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(比較例3)
水熱合成で得られたケーキ状の電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。次いで、この懸濁スラリーに分散処理を施さないこと、クエン酸水溶液を混合しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
水熱合成で得られたケーキ状の電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。次いで、この懸濁スラリーに分散処理を施さないこと、クエン酸水溶液を混合しないこと以外は、実施例1と同様にして比較例3のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(比較例4)
水熱合成で得られたケーキ状の電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。次いで、この懸濁スラリーに分散処理を施さないこと、クエン酸水溶液を混合しないこと以外は、実施例6と同様にして比較例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
水熱合成で得られたケーキ状の電極活物質粒子を蒸留水で複数回、充分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。次いで、この懸濁スラリーに分散処理を施さないこと、クエン酸水溶液を混合しないこと以外は、実施例6と同様にして比較例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
〔正極材料の評価〕
以下の方法により、得られた正極材料について評価を行った。結果を表1に示す。
以下の方法により、得られた正極材料について評価を行った。結果を表1に示す。
(1)円形度が0.7以上の存在率
球状二次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察し、得られたSEM像から任意に100個の球状二次粒子を選んで各々の球状二次粒子について面積及び周囲長を測定し、下記式(I)より円形度を算出した。さらに、球状二次粒子100個中に含まれる円形度0.7以上の球状二次粒子の存在率を算出した。
4πS2/L2 (I)
ここで式(I)中、Sは球状二次粒子の面積、Lは球状二次粒子の周囲長である。
球状二次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察し、得られたSEM像から任意に100個の球状二次粒子を選んで各々の球状二次粒子について面積及び周囲長を測定し、下記式(I)より円形度を算出した。さらに、球状二次粒子100個中に含まれる円形度0.7以上の球状二次粒子の存在率を算出した。
4πS2/L2 (I)
ここで式(I)中、Sは球状二次粒子の面積、Lは球状二次粒子の周囲長である。
(2)球状二次粒子の平均粒子径
球状二次粒子の平均粒子径は、球状二次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察し、得られたSEM像から任意に100個の球状二次粒子を選んで各々の粒子の長径と短径を測定して(長径+短径)/2を粒子径とし、これらの測定値から平均値を算出した。
球状二次粒子の平均粒子径は、球状二次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)により観察し、得られたSEM像から任意に100個の球状二次粒子を選んで各々の粒子の長径と短径を測定して(長径+短径)/2を粒子径とし、これらの測定値から平均値を算出した。
(3)累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)
レーザー式回折粒度分布測定装置(島津製作所(株)製、商品名:SALD−1000)を用いて測定した。
レーザー式回折粒度分布測定装置(島津製作所(株)製、商品名:SALD−1000)を用いて測定した。
(4)比表面積
比表面積計(マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて、電極材料の比表面積を、窒素(N2)吸着によるBET法により測定した。
比表面積計(マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて、電極材料の比表面積を、窒素(N2)吸着によるBET法により測定した。
(5)N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた吸油量(NMP吸油量)
N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた吸油量は、JIS K5101−13−1(精製あまに油法)に則った手法にて、あまに油をNMPに代えて測定した。
N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を用いた吸油量は、JIS K5101−13−1(精製あまに油法)に則った手法にて、あまに油をNMPに代えて測定した。
〔正極の作製〕
得られた正極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み30μmのアルミニウム(Al)箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、印加総圧5t/250mmで加圧し、各実施例及び比較例の正極を作製した。
得られた正極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み30μmのアルミニウム(Al)箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、印加総圧5t/250mmで加圧し、各実施例及び比較例の正極を作製した。
〔正極の評価〕
以下の方法により、得られた正極について評価を行った。結果を表1に示す。
以下の方法により、得られた正極について評価を行った。結果を表1に示す。
(6)プレス後の電極密度
前記印加総圧5t/250mmで加圧した正極を、コイン型打ち抜き機でφ15.9mmに打ち抜いた。
打ち抜いた正極の厚みを5点測定し、その平均値から集電体の厚みを引いた値を正極の厚みとし、正極体積を算出した。同様に正極と集電体の質量の差より正極の質量を算出し、正極体積で割ることでプレス後の電極密度とした。
前記印加総圧5t/250mmで加圧した正極を、コイン型打ち抜き機でφ15.9mmに打ち抜いた。
打ち抜いた正極の厚みを5点測定し、その平均値から集電体の厚みを引いた値を正極の厚みとし、正極体積を算出した。同様に正極と集電体の質量の差より正極の質量を算出し、正極体積で割ることでプレス後の電極密度とした。
(7)正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値
電極抵抗測定器(日置電機株式会社製、商品名:XF057−012)を用いて、印加電流値:1mA、電圧レンジ:0.2V、測定スピード:Normalの条件で測定した。なお、電圧レンジは抵抗値がオーバーロードしない範囲で任意に調整した。
電極抵抗測定器(日置電機株式会社製、商品名:XF057−012)を用いて、印加電流値:1mA、電圧レンジ:0.2V、測定スピード:Normalの条件で測定した。なお、電圧レンジは抵抗値がオーバーロードしない範囲で任意に調整した。
(8)正極合材層の体積抵抗値
電極抵抗測定器(日置電機株式会社製、商品名:XF057−012)を用いて、印加電流値:1mA、電圧レンジ:0.2V、測定スピード:Normalの条件で測定した。なお、電圧レンジは抵抗値がオーバーロードしない範囲で任意に調整した。
電極抵抗測定器(日置電機株式会社製、商品名:XF057−012)を用いて、印加電流値:1mA、電圧レンジ:0.2V、測定スピード:Normalの条件で測定した。なお、電圧レンジは抵抗値がオーバーロードしない範囲で任意に調整した。
(9)界面抵抗値/D90、及び体積抵抗値/D90
(7)で得られた界面抵抗値と(3)で得られたD90から、比(界面抵抗値/D90)を求めた。また、(8)で得られた体積抵抗値とD90から、比(体積抵抗値/D90)を求めた。
(7)で得られた界面抵抗値と(3)で得られたD90から、比(界面抵抗値/D90)を求めた。また、(8)で得られた体積抵抗値とD90から、比(体積抵抗値/D90)を求めた。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
上記で得られたリチウムイオン二次電池の正極と、市販の天然黒鉛からなる負極を所定のサイズに打ち抜き、各々に集電タブを溶接し、多孔質ポリプロピレン膜からなるセパレータを介してアルミラミネートフィルム内に配置した。前記に濃度1モル/dm3 LiPF6/EC:DEC=50:50(vol%)の電解液を注入、封止し、電池特性評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
上記で得られたリチウムイオン二次電池の正極と、市販の天然黒鉛からなる負極を所定のサイズに打ち抜き、各々に集電タブを溶接し、多孔質ポリプロピレン膜からなるセパレータを介してアルミラミネートフィルム内に配置した。前記に濃度1モル/dm3 LiPF6/EC:DEC=50:50(vol%)の電解液を注入、封止し、電池特性評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
〔リチウムイオン二次電池の評価〕
以下の方法により、得られたリチウムイオン二次電池について評価を行った。結果を表1に示す。
以下の方法により、得られたリチウムイオン二次電池について評価を行った。結果を表1に示す。
(10)初期放電容量
リチウムイオン二次電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2.5V〜3.7V、充放電レート0.1Cの定電流(10時間充電した後、10時間放電)下にて3回繰り返し実施し、3回目の放電容量を初期放電容量とした。
リチウムイオン二次電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2.5V〜3.7V、充放電レート0.1Cの定電流(10時間充電した後、10時間放電)下にて3回繰り返し実施し、3回目の放電容量を初期放電容量とした。
(11)負荷特性(放電容量比)
初期放電容量を測定した後、リチウムイオン二次電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2.5V〜3.7V、0.2Cで充電を行い(5時間充電)、3Cで放電し(20分放電)、放電容量を測定した。
3Cの放電容量と0.1Cの放電容量(初期放電容量)との比を負荷特性とし、下記の式(1)により負荷特性(放電容量比)を算出した。
放電容量比(%)=(3C放電容量/0.1C放電容量)×100・・・(1)
初期放電容量を測定した後、リチウムイオン二次電池の充放電試験を、室温(25℃)にて、カットオフ電圧2.5V〜3.7V、0.2Cで充電を行い(5時間充電)、3Cで放電し(20分放電)、放電容量を測定した。
3Cの放電容量と0.1Cの放電容量(初期放電容量)との比を負荷特性とし、下記の式(1)により負荷特性(放電容量比)を算出した。
放電容量比(%)=(3C放電容量/0.1C放電容量)×100・・・(1)
(12)直流抵抗(DCR;Direct Current Resistance)
直流抵抗は、環境温度0℃にて充電レート0.1Cの定電流で充電深度を50%(SOC50%)に調整したリチウムイオン二次電池を用いて測定した。室温(25℃)にて、SOC50%に調整したリチウムイオン二次電池に、1C、3C、5Cおよび10Cレートの電流を、充電側、放電側に交互に各10秒間通電し、各レートの10秒後における電流値を横軸に、電圧値を縦軸にプロットし、最小二乗法による近似直線の傾きを「充電側=入力DCR」、「放電側=出力DCR」とした。なお、各電流での通電方向変更時と通電電流の変更時にそれぞれ10分の休止時間を設けた。
直流抵抗は、環境温度0℃にて充電レート0.1Cの定電流で充電深度を50%(SOC50%)に調整したリチウムイオン二次電池を用いて測定した。室温(25℃)にて、SOC50%に調整したリチウムイオン二次電池に、1C、3C、5Cおよび10Cレートの電流を、充電側、放電側に交互に各10秒間通電し、各レートの10秒後における電流値を横軸に、電圧値を縦軸にプロットし、最小二乗法による近似直線の傾きを「充電側=入力DCR」、「放電側=出力DCR」とした。なお、各電流での通電方向変更時と通電電流の変更時にそれぞれ10分の休止時間を設けた。
(結果のまとめ)
表1の結果から、実施例1〜6と、比較例1〜4とを比較すると、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池用正極は、円形度が0.7以上の二次粒子の存在率が高く、正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値、及び正極合材層の体積抵抗値が低いことが確認できた。また、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池は、直流抵抗値が低く、初期放電容量、及び負荷特性に優れていることが確認できた。
表1の結果から、実施例1〜6と、比較例1〜4とを比較すると、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池用正極は、円形度が0.7以上の二次粒子の存在率が高く、正極合材層とアルミニウム集電体との界面抵抗値、及び正極合材層の体積抵抗値が低いことが確認できた。また、実施例1〜6のリチウムイオン二次電池は、直流抵抗値が低く、初期放電容量、及び負荷特性に優れていることが確認できた。
Claims (8)
- オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質と、
前記電極活物質を被覆する炭素質被膜とを有し、
前記電極活物質の比表面積が10m2/g以上25m2/g以下であり、前記電極活物質の一次粒子を造粒してなる平均粒子径が0.5μm以上15μm以下、円形度が0.7以上の球状二次粒子の含有量が、該球状二次粒子の全個数に対して個数割合で80%以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用電極材料。 - 前記オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物が、下記一般式(1)で表される電極活物質であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、CuおよびCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、ScおよびYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。) - 厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、
前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値が1Ω・cm2以下、前記正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。 - 前記電極材料の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)が15μm以下であり、
厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、
前記正極合材層と前記アルミニウム集電体との界面抵抗値及び前記D90の比(界面抵抗値/D90)が0.1以下、前記正極合材層の体積抵抗値及び前記D90の比(体積抵抗値/D90)が0.10以上0.60以下であることを特徴とする請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。 - 前記電極材料のN−メチル−2−ピロリドンを用いた吸油量が50ml/100g以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
- 厚み30μmのアルミニウム集電体上に、電極材料と導電助剤と結着剤とを重量比(電極材料:導電助剤:結着剤)=90:5:5で含む正極合材層を印加総圧5t/250mmでプレスした場合に、
前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。 - 正極と、負極と、電解質とを有するリチウムイオン二次電池であって、
前記正極が、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極材料を用いてなる正極合材層を有し、該正極合材層の体積抵抗値が5Ω・cm以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。 - 前記正極合材層のプレス後の電極密度が1.4g/cm3以上であることを特徴とする請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
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JP2020140827A (ja) * | 2019-02-27 | 2020-09-03 | 住友大阪セメント株式会社 | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極、及びリチウムイオン二次電池 |
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WO2022085574A1 (ja) * | 2020-10-22 | 2022-04-28 | マクセル株式会社 | 非水電解質二次電池用正極、その製造方法およびその検査方法、並びに非水電解質二次電池およびその製造方法 |
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-
2016
- 2016-09-30 JP JP2016193385A patent/JP2018056054A/ja active Pending
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