JP6443519B1 - リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 - Google Patents
リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6443519B1 JP6443519B1 JP2017190806A JP2017190806A JP6443519B1 JP 6443519 B1 JP6443519 B1 JP 6443519B1 JP 2017190806 A JP2017190806 A JP 2017190806A JP 2017190806 A JP2017190806 A JP 2017190806A JP 6443519 B1 JP6443519 B1 JP 6443519B1
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lithium ion
- ion secondary
- secondary battery
- electrode
- particles
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Abstract
Description
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレータを備える。正極を構成する電極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn2O4)、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)等のリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するリチウム含有金属酸化物が用いられ、電池の高容量化、長寿命化、安全性の向上、低コスト化など、様々な観点から改良が検討されている。
一方、リン酸鉄リチウムはLiイオンの拡散性、電子伝導性が低いため、酸化物系正極材料よりも入出力特性が劣る。この特性差は電池の作動温度が低温になるとより顕著となるため、リン酸鉄リチウムは、低温領域で高い入出力特性が必要とされるハイブリッド自動車などの車載用途には不向きであると考えられてきた。
一方、前記微細化したLiMPO4は比表面積が大きいため、電極合材スラリーの増粘や多量のバインダーが必要となるため、炭素質被膜で被覆された一次粒子を造粒し二次粒子の形態とすることで電極合材スラリーの性状を改善することが一般的である。
[1]オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、球状二次粒子は、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなり、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下であるリチウムイオン二次電池用電極材料。
[2]一次粒子は、電極活物質を被覆する炭素質被膜をさらに有し、一次粒子の平均粒子径が10nm以上500nm以下である上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[3]球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径が0.1μm以上3.0μm以下であり、球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径が3.0μm以上18.0μm以下である上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[4]球状二次粒子のカーボン含有率が0.8質量%以上1.6質量%以下である上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[5]N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量が50ml/100g以下である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料を使用したリチウムイオン二次電池用電極。
[7]上記[6]に記載のリチウムイオン二次電池用電極を用いたリチウムイオン二次電池。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、球状二次粒子は、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなり、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下であることを特徴とする。
LixAyDzPO4 (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc及びYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
Dについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Alが好ましい。電極活物質がこれらの元素を含む場合、高い放電電位、高い安全性を実現可能な正極合材層とすることができる。また、資源量が豊富であるため、選択する材料として好ましい。
ここで、平均二次粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記球状二次粒子の平均二次粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
炭素質被膜は、熱処理された有機化合物に由来する熱分解炭素質被膜であり、前記炭素質被膜の厚みは、0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以上3.0nm以下であることがより好ましい。炭素質被膜の厚みが0.5nm以上であると、炭素質被膜の厚みが薄くなり過ぎず、所望の抵抗値を有する膜を形成することができる。その結果、導電性が向上し、電極材料としての導電性を確保することができる。一方、炭素質被膜の厚みが5.0nm以下であると、電池活性、例えば、電極材料の単位質量あたりの電池容量が低下することを抑制できる。
炭素質被膜の密度が0.3g/cm3以上であれば、炭素質被膜が充分な電子伝導性を示す。一方、炭素質被膜の密度が1.5g/cm3以下であれば、炭素質被膜における層状構造からなる黒鉛の微結晶の含有量が少ないため、Liイオンが炭素質被膜中を拡散する際に黒鉛の微結晶による立体障害が生じない。これにより、電荷移動抵抗が高くなることがない。その結果、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が上昇することがなく、リチウムイオン二次電池の高速充放電レートにおける電圧低下が生じない。
また、上記NMP吸油量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
なお、上記比表面積は、BET法により、比表面積計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて測定することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法は、例えば、電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程と、電極活物質及び電極活物質前駆体からなる群から選択される少なくとも1種の電極活物質原料と、水とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記工程で得られたスラリー中に凝集保持剤を加え、造粒物を得る造粒工程と、前記工程で得られた造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下にて焼成する焼成工程とを有する。
電極活物質及び電極活物質前駆体(以下、電極活物質及び電極活物質前駆体を電極活物質原料と呼ぶ場合がある)の製造工程としては、特に限定されず、例えば、該電極活物質及び電極活物質前駆体が前記一般式(1)で表される場合、固相法、液相法、気相法等の従来の方法を用いることができる。このような方法で得られたLixAyDzPO4としては、例えば、粒子状のもの(以下、「LixAyMzPO4粒子」と言うことがある。)が挙げられる。
LixAyDzPO4粒子は、例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてD源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成して得られる。水熱合成によれば、LixAyDzPO4は、水中に沈殿物として生成する。得られた沈殿物は、LixAyDzPO4の前駆体であってもよい。この場合、LixAyDzPO4の前駆体を焼成することで、目的のLixAyDzPO4粒子が得られる。
この水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
本工程では、前記工程で得られた電極活物質原料を、水に分散させて均一なスラリーを調製する。電極活物質原料を水に分散させる際には、分散剤を加えることもできる。電極活物質原料を水に分散させる方法としては、特に限定されず、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で撹拌する媒体撹拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
本工程では、スラリー中の電極活物質原料から造粒物を製造する。
造粒の際には、スラリー中の一次粒子を軟凝集させることが好ましい。これにより球状二次粒子の崩壊を抑えられ、スラリー中の二次粒子の含有量を、単一粒子及び球状二次粒子すべてを含む粒子の全個数に対して個数割合で18%以上にすることができる。一次粒子の軟凝集を促進させ、造粒物の崩壊を抑える方法として、本実施形態では、造粒工程において、スラリー中に凝集保持剤を加える。ここで、凝集保持剤とは、一次粒子の凝集を促進するとともに、該一次粒子が凝集した二次粒子の形状を保持する化合物を意味する。
上記方法としては、例えば、スラリー中に凝集保持剤として、クエン酸、ポリアクリル酸、アスコルビン酸等の有機酸を加え混合する方法等が挙げられる。スラリーのpHを有機酸によって低下させることで一次粒子の凝集を促進し、造粒後は一次粒子がより詰まった二次粒子を形成でき、二次粒子の強度を増強することができる。
有機酸を選定した理由は後述の焼成工程で不純物として残存せずに炭素質被膜の一部として炭化される方が好ましいためである。但し、有機酸は残炭しにくいためそれだけで炭素質被膜とすることは困難であり、さらに良好な炭素質被膜を形成しにくいことから多量に入れることは好ましくない。
また、後述する焼成工程において有機化合物の炭化を促進するための炭化触媒を用いてもよい。
なお、混合物を噴霧し、乾燥するときの雰囲気温度が、溶媒の沸点以上であると、リチウムイオン二次電池用電極材料において、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)の値が1.35以上となる。
本実施形態では、上述の雰囲気温度の範囲内で混合物を噴霧し、乾燥することにより、球状二次粒子の表層部における一次粒子密度の上昇を抑制するとともに、該球状二次粒子の表層部に有機物由来の殻構造が形成されるのを抑制することができる。
本実施形態によれば、球状二次粒子を解砕しなくても、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比を小さくすることができる。
また、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点より高温になればなる程、噴霧された液滴の乾燥時間が短くなるので、得られる乾燥物は十分に収縮することができなくなる。これにより、乾燥物は多孔質構造や中空構造をとりやすくなる。
本工程では、前記工程で得られた造粒物を非酸化性雰囲気下にて焼成する。
まず、焼成前に、該造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合する。
有機化合物としては、正極活物質の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。但し、上述の造粒工程で用いられる有機酸に含まれるものは除かれる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を使用したものである。
例えば、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、以下のようにして作製される。
結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部〜30質量部、好ましくは3質量部〜20質量部とする。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、アルミニウム箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、リチウムイオン二次電池の直流抵抗を低下させ、放電容量を高めることができる電極を作製することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極としての本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極(以下、正極という場合がある)と、負極と、電解質とを有する。該正極は、上述の電極材料を用いてなる正極合材層を有する。
負極としては、例えば、金属Li、天然黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料、Li合金及びLi4Ti5O12、Si(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
電解質は、特に制限されないが、非水電解質であることが好ましく、例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート;EC)と、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート;EMC)とを、体積比で1:1となるように混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を、例えば、濃度1モル/dm3となるように溶解したものが挙げられる。
正極及び負極は、セパレータを介して対向させることができる。セパレータとして、例えば、多孔質プロピレンを用いることができる。
また、非水電解質とセパレータの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
(実施例1)
Li源及びP源としてのリン酸リチウム(Li3PO4)と、Fe源としての硫酸鉄(II)(FeSO4)を、モル比でLi:Fe:P=3:1:1となるように混合した。さらに、調製用蒸留水を混合して、600mlの原料スラリーを調製した。
次いで、この原料スラリーを耐圧密閉容器に収容し、180℃にて2時間、水熱合成した後、室温(25℃)になるまで冷却して、容器内に沈殿しているケーキ状の電極活物質粒子(一次粒子)を得た。この電極活物質粒子を蒸留水で複数回、十分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように、電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。
この懸濁スラリーを直径0.1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように、サンドミルの処理時間を調整して分散処理を行った。
次いで、分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したグルコース水溶液を、電極活物質粒子に対しグルコース固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、気液比10000で、60℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物(球状二次粒子)を得た。
次いで、得られた造粒乾燥物にポリビニルアルコール粉末を電極活物質粒子に対し3.5質量%乾式混合し、不活性雰囲気下、750℃にて1時間熱処理を行うことにより、電極活物質粒子の表面に炭素質被膜を形成して、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を70℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例2のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を80℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例3のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を90℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を100℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で比較例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を50℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で比較例2のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。しかし、乾燥時に乾燥物が水分により乾燥装置の壁面や乾燥物同士で付着し、顆粒とならなかった。
以下の方法により、得られた電極材料について評価を行った。結果を表1に示す。
球状二次粒子をエポキシ樹脂に包埋し、イオンミリングを使用し、球状二次粒子の断面を露出するよう成形した。そして、走査型電子顕微鏡を使用し、球状二次粒子断面の観察を行った。
走査型電子顕微鏡観察において、同一視野の反射電子像と二次電子像を観察し、二次粒子中の一次粒子とカーボン部位を組成、および形状から分離し、画像中のカーボン部位の面積を画像解析によって算出した。
100個の球状二次粒子において、球状二次粒子の表層部(表面から粒子径の10%の深さの範囲)におけるカーボン部位の面積を画像解析により算出した。また、球状二次粒子の本体部におけるカーボン部位の面積を画像解析により算出した。そして、表層部のカーボン部位の面積を本体部のカーボン部位の面積で割り算して、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)を算出した。100個の球状二次粒子について本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)をそれぞれ算出し、100個の球状二次粒子の平均値をそれぞれの実施例及び比較例の本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)とした。
また、100個の球状二次粒子断面に観察される一次粒子の粒径を画像解析により算出し、その平均値を平均一次粒子径とした。
まず、分散液としての純水40g及びポリビニルピロリドン(PVP)0.12g、並びに試料粉末としての電極材料0.04gを70mLマヨネーズ瓶に秤量した。このマヨネーズ瓶を手動で10回程振り混ぜて、試料粉末と分散液を馴染ませた。
次いで、この試料粉末と分散液の混合溶液を超音波ホモジナイザー(商品名:SONIFIER450、BRANSON社製)にて、Output5、パルス50%条件で2分間超音波処理をし、試料粉末を分散溶液によく分散させた。
測定装置(商品名:LA−950V2、堀場製作所社製)を用いて、よく分散させた混合溶液中の球状二次粒子の粒度分布を測定し、その結果から、球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径(D10)及び球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径(D90)を算出した。
電極材料のカーボン含有率は、炭素硫黄分析装置(商品名:EMIA−220V、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量は、JIS K5101−13−1(精製あまに油法)に則った手法にて、あまに油をNMPに代えて測定した。
〔正極の作製〕
得られた電極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み30μmのアルミニウム(Al)箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、塗布幅40mmの短冊状に切り抜き、ロールプレス機にて印加総圧5t/250mmで加圧し、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。
作製した正極と、市販の天然黒鉛からなる負極とを所定のサイズに打ち抜き、各々に集電タブを溶接し、多孔質ポリプロピレン膜からなるセパレータを介してアルミラミネートフィルム内に配置した。前記に濃度1モル/dm3 LiPF6/EC:DEC=50:50(vol%)の電解液を注入、封止し、電池特性評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
以下の方法により、得られたリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を測定した。
環境温度0℃にて充電レート0.1Cの定電流で充電深度を50%(SOC50%)に調整したリチウムイオン二次電池を用いて直流抵抗を測定した。室温(25℃)にて、SOC50%に調整したリチウムイオン二次電池に、1C、3C、5Cおよび10Cレートの電流を、充電側、放電側に交互に各10秒間通電し、各レートの10秒後における電流値を横軸に、電圧値を縦軸にプロットし、最小二乗法による近似直線の傾きを算出し、正極に使用している活物質量をかけた数値を「充電側=入力DCR」、「放電側=出力DCR」とした。なお、各電流での通電方向変更時と通電電流の変更時にそれぞれ10分の休止時間を設けた。
実施例1〜4及び比較例1の電極材料の評価結果を表1に示す。なお、比較例2の電極材料については、球状二次粒子が得られなかったので、電極材料の評価を行うことができなかった。
実施例1〜4のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗は、比較例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗に比べて低かった。これより、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)を0.90以上1.30以下にすることによって、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減できることがわかった。
Claims (3)
- オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、
前記一次粒子は、前記電極活物質を被覆する炭素質被膜を有し、
前記一次粒子の平均粒子径が10nm以上500nm以下であり、
前記球状二次粒子は、前記球状二次粒子の表面から前記球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、前記表層部より内部の本体部とからなり、
前記本体部におけるカーボン量に対する前記表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が1.10以上1.30以下であり、
前記球状二次粒子のカーボン含有率が0.8質量%以上1.6質量%以下であり、
前記球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径が0.1μm以上3.0μm以下であり、
前記球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径が3.0μm以上18.0μm以下であり、
前記球状二次粒子のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量が50ml/100g以下であり、
前記カーボン量の比は、走査型電子顕微鏡を使用し、前記球状二次粒子断面の画像解析により算出した前記表層部のカーボン部位の面積を前記本体部のカーボン部位の面積で割り算して求めた値である、リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法であって、
前記電極活物質の一次粒子と有機化合物とを含むスラリーを得る工程と、
前記スラリーを55℃以上95℃以下の大気中に噴霧乾燥して造粒物を得る工程と、
前記造粒物と有機化合物粉末とを乾式混合して混合物を得る工程と、
前記混合物を非酸化性雰囲気下、650℃以上かつ1000℃以下で焼成する工程とを有する、リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法。 - 前記スラリーを得る工程の前に、前記電極活物質を水熱合成法で合成する工程を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法。
- 前記スラリーを得る工程には、前記水熱合成法で得られた電極活物質と蒸留水とを混合し、懸濁スラリーを得るとともに、前記懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように制御した分散処理スラリーを得る工程が含まれる、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017190806A JP6443519B1 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017190806A JP6443519B1 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP6443519B1 true JP6443519B1 (ja) | 2018-12-26 |
JP2019067596A JP2019067596A (ja) | 2019-04-25 |
Family
ID=64899519
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017190806A Active JP6443519B1 (ja) | 2017-09-29 | 2017-09-29 | リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6443519B1 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114761359A (zh) * | 2019-12-13 | 2022-07-15 | 住友化学株式会社 | 锂金属复合氧化物、锂二次电池用正极活性物质、锂二次电池用正极以及锂二次电池 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6885503B1 (ja) * | 2020-09-30 | 2021-06-16 | 住友大阪セメント株式会社 | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015002092A (ja) * | 2013-06-17 | 2015-01-05 | 日立金属株式会社 | リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 |
-
2017
- 2017-09-29 JP JP2017190806A patent/JP6443519B1/ja active Active
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015002092A (ja) * | 2013-06-17 | 2015-01-05 | 日立金属株式会社 | リチウムイオン二次電池用正極活物質及びリチウムイオン二次電池用正極活物質の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114761359A (zh) * | 2019-12-13 | 2022-07-15 | 住友化学株式会社 | 锂金属复合氧化物、锂二次电池用正极活性物质、锂二次电池用正极以及锂二次电池 |
CN114761359B (zh) * | 2019-12-13 | 2024-02-20 | 住友化学株式会社 | 锂金属复合氧化物、锂二次电池用正极活性物质、锂二次电池用正极以及锂二次电池 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019067596A (ja) | 2019-04-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5176400B2 (ja) | 電極材料の製造方法と電極材料および電極並びに電池 | |
JP6288340B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用電極材料、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6176381B1 (ja) | リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン二次電池用正極材料 | |
WO2010026627A1 (ja) | 電極材料の製造方法と電極材料および電極並びに電池 | |
JP2009140876A (ja) | 電極材料およびその製造方法、並びに、電極および電池 | |
JP6288339B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用電極材料、その製造方法、リチウムイオン二次電池用電極およびリチウムイオン二次電池 | |
JP6627932B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6841362B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 | |
JP2018056054A (ja) | リチウムイオン二次電池用電極材料、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6501014B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、その製造方法、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6288342B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6288341B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP2020145108A (ja) | 電極材料、該電極材料の製造方法、電極、及びリチウムイオン電池 | |
JP6443519B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 | |
JP2012204150A (ja) | 電極活物質の製造方法と電極活物質及び電極並びに電池 | |
JP6725022B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極、及びリチウムイオン二次電池 | |
JP6132062B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、その製造方法、リチウムイオン二次電池用電極、及びリチウムイオン二次電池 | |
EP3462523B1 (en) | Electrode material for lithium ion battery and lithium ion battery | |
JP6079848B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用電極材料およびその製造方法、リチウムイオン二次電池用電極、リチウムイオン二次電池 | |
JP7010402B1 (ja) | リチウムイオン二次電池用正極材料、リチウムイオン二次電池用正極、リチウムイオン二次電池 | |
JP6547891B1 (ja) | 電極材料、該電極材料の製造方法、電極、及びリチウムイオン電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20181012 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20181030 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181112 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6443519 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |