JP6443519B1 - リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、その電極材料を用いたリチウムイオン二次電池用電極及びその電極を用いたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料はオリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、球状二次粒子は、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなり、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下である。本発明のリチウムイオン二次電池用電極は本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料を使用したものである。本発明のリチウムイオン二次電池は本発明のリチウムイオン二次電池用電極を用いたものである。【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用電極材料、その電極材料を用いてなる電極及びその電極を用いてなるリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、鉛電池、ニッケル水素電池よりもエネルギー密度、出力密度が高く、スマートフォンなどの小型電子機器をはじめ、家庭用バックアップ電源、電動工具など、様々な用途に利用されている。また、太陽光発電、風力発電など、再生可能エネルギー貯蔵用として、大容量のリチウムイオン二次電池の実用化が進んでいる。
リチウムイオン二次電池は、正極、負極、電解液及びセパレータを備える。正極を構成する電極材料としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)やマンガン酸リチウム(LiMn)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するリチウム含有金属酸化物が用いられ、電池の高容量化、長寿命化、安全性の向上、低コスト化など、様々な観点から改良が検討されている。
前記電極材料のリン酸鉄リチウム(LiFePO)は、資源的に豊富、且つ安価な鉄を使用しているため、低コスト化が容易な材料である。リン酸鉄リチウムは、リンと酸素の強固な共有結合により高温時の酸素放出がないため抜群の安全性を有するなど、コバルト酸リチウムに代表される酸化物系正極材料にはない優れた特性を有している。
一方、リン酸鉄リチウムはLiイオンの拡散性、電子伝導性が低いため、酸化物系正極材料よりも入出力特性が劣る。この特性差は電池の作動温度が低温になるとより顕著となるため、リン酸鉄リチウムは、低温領域で高い入出力特性が必要とされるハイブリッド自動車などの車載用途には不向きであると考えられてきた。
リン酸鉄リチウムに代表されるオリビン構造を有するLiMPO(Mは金属元素)は、Liイオンの拡散性、及び電子伝導性が低いため、LiMPO一次粒子を微細化し、且つその一次粒子個々の表面を導電性炭素質被膜で被覆することで充放電特性を改善することができる。
一方、前記微細化したLiMPOは比表面積が大きいため、電極合材スラリーの増粘や多量のバインダーが必要となるため、炭素質被膜で被覆された一次粒子を造粒し二次粒子の形態とすることで電極合材スラリーの性状を改善することが一般的である。
例えば、正極活物質原料を水に分散させて作製したスラリーを、雰囲気温度が溶媒の沸点以上である高温雰囲気中、例えば100℃以上250℃以下の大気中に噴霧し、乾燥させて造粒乾燥物を作製し、得られた造粒乾燥物と炭素質被膜前駆体の粉末とを乾式混合し、乾式混合により得られた混合物を焼成することによって製造された電極材料が従来技術として知られている(例えば、特許文献1参照)。これにより、炭素質被膜に覆われている一次粒子が複数個凝集して形成した凝集粒子からなる電極材料が製造される。この電極材料を用いることによって、充放電特性が改善されたリチウムイオン二次電池を得ることができる。
特許第6176381号公報
リチウムイオン二次電池の充放電特性を改善するためには、リチウムイオン二次電池の直流抵抗は低いことが好ましい。特許文献1に記載の電極材料を用いたリチウムイオン二次電池の直流抵抗は低いものの、リチウムイオン二次電池の直流抵抗をさらに低減できる電極材料が望まれている。そこで、本発明は、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、その電極材料を用いたリチウムイオン二次電池用電極及びその電極を用いたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、下記の発明により当該課題を解決できることを見出した。
[1]オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、球状二次粒子は、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなり、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下であるリチウムイオン二次電池用電極材料。
[2]一次粒子は、電極活物質を被覆する炭素質被膜をさらに有し、一次粒子の平均粒子径が10nm以上500nm以下である上記[1]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[3]球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径が0.1μm以上3.0μm以下であり、球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径が3.0μm以上18.0μm以下である上記[1]又は[2]に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[4]球状二次粒子のカーボン含有率が0.8質量%以上1.6質量%以下である上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[5]N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量が50ml/100g以下である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のリチウムイオン二次電池用電極材料を使用したリチウムイオン二次電池用電極。
[7]上記[6]に記載のリチウムイオン二次電池用電極を用いたリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができるリチウムイオン二次電池用電極材料、その電極材料を用いたリチウムイオン二次電池用電極及びその電極を用いたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明のリチウムイオン二次電池用電極材料の実施の形態について説明する。
なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
<リチウムイオン二次電池用電極材料>
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、球状二次粒子は、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなり、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下であることを特徴とする。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料で用いられる電極活物質は、オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる。オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物としては、下記一般式(1)で表される電極活物質であることが、高放電容量、高エネルギー密度の観点から好ましい。
LiPO (1)
(但し、AはCo、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrからなる群より選択される少なくとも1種、DはMg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc及びYからなる群より選択される少なくとも1種、0.9<x<1.1、0<y≦1、0≦z<1、0.9<y+z<1.1である。)
ここで、Aについては、Co、Mn、Ni及びFeが好ましく、Feがより好ましい。
Dについては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、Alが好ましい。電極活物質がこれらの元素を含む場合、高い放電電位、高い安全性を実現可能な正極合材層とすることができる。また、資源量が豊富であるため、選択する材料として好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料は、電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有する。本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料における球状二次粒子の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは97質量%以上である。本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料における球状二次粒子の含有量の範囲の上限値は100質量%である。
電極活物質の一次粒子の平均粒子径は、好ましくは10nm以上500nm以下であり、より好ましくは20nm以上400nm以下であり、さらに好ましくは20nm以上300nm以下であり、よりさらに好ましくは30nm以上200nm以下である。電極活性物質の一次粒子の平均粒子径が10nm以上であると、電極活物質の一次粒子の比表面積が増えることで必要になる炭素の質量の増加を抑制し、電極材料単位質量当たりの充放電容量が低減することを抑制できる。また、電極活物質の一次粒子の表面を炭素質被膜で均一に被覆しやすくなる。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量が大きくなり、十分な充放電性能を実現することができる。また、電極活性物質の一次粒子の平均粒子径が500nm以下であると、電極活物質の一次粒子の内部におけるリチウムイオン拡散抵抗や電子の移動抵抗が大きくなることを抑制できる。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量を大きくすることができる。
ここで、平均粒子径とは、個数平均粒子径のことである。本実施形態の電極活物質の一次粒子の平均粒子径は、無作為に100個の一次粒子を選び出して、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)にて個々の一次粒子の長径及び短径を測定し、その平均値として求めることができる。
また、電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子の平均二次粒子径は、好ましくは0.5μm以上15μm以下であり、より好ましくは1.0μm以上10μm以下である。上記球状二次粒子の平均二次粒子径が0.5μm以上であると、正極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合して、リチウムイオン二次電池用正極材料ペーストを調製する際の導電助剤、及び結着剤の配合量を抑えることができ、リチウムイオン二次電池用正極合材層の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量を大きくすることができる。一方、上記球状二次粒子の平均二次粒子径が15μm以下であると、正極合材層中の導電助剤や結着剤の分散性、均一性を高めることができる。その結果、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いたリチウムイオン二次電池は、高速充放電における放電容量を大きくすることができる。
なお、本実施形態において、単一に存在する(凝集しないで存在する)一次粒子以外の造粒粒子及び凝集粒子を全て球状二次粒子とする。
ここで、平均二次粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記球状二次粒子の平均二次粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
球状二次粒子の粒度分布の累積百分率が10%のときの粒子径(D10)は、好ましくは0.1μm以上3.0μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上3.0μm以下であり、さらに好ましくは1.0μm以上2.8μm以下である。球状二次粒子の粒度分布の累積百分率が10%のときの粒子径(D10)が0.1μm以上3.0μm以下であると、正極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合して、リチウムイオン二次電池用正極材料ペーストを調製する際の導電助剤、及び結着剤の配合量を増加させるような細かい球状二次粒子の割合が増えることを抑制できるとともに、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができる。なお、球状二次粒子の粒度分布は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
球状二次粒子の粒度分布の累積百分率が90%のときの粒子径(D90)は、好ましくは3.0μm以上18.0μm以下であり、より好ましくは4.0μm以上17.5μm以下であり、さらに好ましくは5.0μm以上17.0μm以下である。球状二次粒子の粒度分布の累積百分率が90%のときの粒子径(D90)が3.0μm以上18.0μm以下であると、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いて形成した電極の表面に凹凸が生じにくくなるとともに、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができる。
電極活物質の一次粒子は、電極活物質を被覆する炭素質被膜をさらに有する。炭素質被膜は、上記一次粒子に所望の電子伝導性を付与するためのものである。
炭素質被膜は、熱処理された有機化合物に由来する熱分解炭素質被膜であり、前記炭素質被膜の厚みは、0.5nm以上5.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以上3.0nm以下であることがより好ましい。炭素質被膜の厚みが0.5nm以上であると、炭素質被膜の厚みが薄くなり過ぎず、所望の抵抗値を有する膜を形成することができる。その結果、導電性が向上し、電極材料としての導電性を確保することができる。一方、炭素質被膜の厚みが5.0nm以下であると、電池活性、例えば、電極材料の単位質量あたりの電池容量が低下することを抑制できる。
球状二次粒子のカーボン含有率は、好ましくは0.8質量%以上1.6質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以上1.3質量%以下であり、さらに好ましくは0.9質量%以上1.1質量%以下である。カーボン含有率が0.8質量%以上であると、電極材料としての導電性を確保することができ、リチウムイオン二次電池を形成した場合に高速充放電レートにおける放電容量が大きくなり、十分な充放電レート性能を実現することができる。一方、カーボン含有率が1.6質量%以下であると、炭素量が多くなり過ぎず、リチウムイオン二次電池用電極材料の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量が必要以上に低下することを抑制できる。また、カーボン含有率が0.8質量%以上1.6質量%以下であるとリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができる。なお、球状二次粒子のカーボン含有率は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、このカーボン含有率は、炭素原子換算のカーボン含有率である。
電極活物質に対する炭素質被膜の被覆率は60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。炭素質被膜の被覆率が60%以上であることで、炭素質被膜の被覆効果が充分に得られる。炭素質被膜の膜厚は、透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
炭素質被膜を構成する炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度は、好ましくは0.3g/cm以上1.5g/cm以下、より好ましくは0.4g/cm以上1.0g/cm以下である。炭素質被膜を構成する炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度とは、炭素質被膜が炭素のみから構成されると想定した場合に、炭素質被膜の単位体積当たりの質量である。
炭素質被膜の密度が0.3g/cm以上であれば、炭素質被膜が充分な電子伝導性を示す。一方、炭素質被膜の密度が1.5g/cm以下であれば、炭素質被膜における層状構造からなる黒鉛の微結晶の含有量が少ないため、Liイオンが炭素質被膜中を拡散する際に黒鉛の微結晶による立体障害が生じない。これにより、電荷移動抵抗が高くなることがない。その結果、リチウムイオン二次電池の内部抵抗が上昇することがなく、リチウムイオン二次電池の高速充放電レートにおける電圧低下が生じない。
球状二次粒子が、球状二次粒子の表面から球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、表層部より内部の本体部とからなるものとした場合、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)は0.90以上1.30以下であり、好ましくは1.00以上1.30以下であり、より好ましくは1.10以上1.30以下であり、さらに好ましくは1.20以上1.30以下である。本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が0.90以上1.30以下であると、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができる。なお、球状二次粒子の本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)は、実施例に記載の方法により測定することができる。また、これらのカーボン量は炭素原子換算のカーボン量である。
球状二次粒子のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量は、好ましくは50ml/100g以下であり、より好ましくは48ml/100g以下であり、さらに好ましくは45ml/100g以下である。NMP吸油量が50ml/100g以下であると、電極ペーストの増粘を抑制でき、かつ導電助剤や結着剤の分散が容易となる。なお、NMPを用いた吸油量の下限値は特に限定されないが、例えば20ml/100gである。
また、上記NMP吸油量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
球状二次粒子のBET法により求めた比表面積は、好ましくは10m/g以上25m/g以下、より好ましくは10m/g以上20m/g以下である。比表面積が10m/g以上であると、電極材料の一次粒子の内部におけるLiイオン拡散抵抗や電子の移動抵抗が小さくなる。よって、内部抵抗を低くすることができ、出力特性を改善することができる。一方、比表面積が25m/g以下であると、電極材料の比表面積が増え過ぎず、必要になる炭素の質量が抑えられ、電極材料の単位質量あたりのリチウムイオン二次電池の電池容量を向上させることができる。
なお、上記比表面積は、BET法により、比表面積計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて測定することができる。
[電極材料の製造方法]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法は、例えば、電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程と、電極活物質及び電極活物質前駆体からなる群から選択される少なくとも1種の電極活物質原料と、水とを混合してスラリーを調製するスラリー調製工程と、前記工程で得られたスラリー中に凝集保持剤を加え、造粒物を得る造粒工程と、前記工程で得られた造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合し、得られた混合物を非酸化性雰囲気下にて焼成する焼成工程とを有する。
(電極活物質及び電極活物質前駆体の製造工程)
電極活物質及び電極活物質前駆体(以下、電極活物質及び電極活物質前駆体を電極活物質原料と呼ぶ場合がある)の製造工程としては、特に限定されず、例えば、該電極活物質及び電極活物質前駆体が前記一般式(1)で表される場合、固相法、液相法、気相法等の従来の方法を用いることができる。このような方法で得られたLiPOとしては、例えば、粒子状のもの(以下、「LiPO粒子」と言うことがある。)が挙げられる。
LiPO粒子は、例えば、Li源と、A源と、P源と、水と、必要に応じてD源と、を混合して得られるスラリー状の混合物を水熱合成して得られる。水熱合成によれば、LiPOは、水中に沈殿物として生成する。得られた沈殿物は、LiPOの前駆体であってもよい。この場合、LiPOの前駆体を焼成することで、目的のLiPO粒子が得られる。
この水熱合成には耐圧密閉容器を用いることが好ましい。
ここで、Li源としては、酢酸リチウム(LiCHCOO)、塩化リチウム(LiCl)等のリチウム塩及び水酸化リチウム(LiOH)等が挙げられる。これらの中でも、Li源としては、酢酸リチウム、塩化リチウム及び水酸化リチウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
A源としては、Co、Mn、Ni、Fe、Cu及びCrからなる群から選択される少なくとも1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。例えば、LiPOにおけるAがFeである場合、Fe源としては、塩化鉄(II)(FeCl)、酢酸鉄(II)(Fe(CHCOO))、硫酸鉄(II)(FeSO)等の2価の鉄塩が挙げられる。これらの中でも、Fe源としては、塩化鉄(II)、酢酸鉄(II)及び硫酸鉄(II)からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
D源としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc及びYからなる群から選択される少なくとも1種を含む塩化物、カルボン酸塩、硫酸塩等が挙げられる。
P源としては、リン酸(HPO)、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)等のリン酸化合物が挙げられる。これらの中でも、P源としては、リン酸、リン酸二水素アンモニウム及びリン酸水素二アンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(スラリー調製工程)
本工程では、前記工程で得られた電極活物質原料を、水に分散させて均一なスラリーを調製する。電極活物質原料を水に分散させる際には、分散剤を加えることもできる。電極活物質原料を水に分散させる方法としては、特に限定されず、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の媒体粒子を高速で撹拌する媒体撹拌型分散装置を用いる方法が好ましい。
スラリーを調製する際には、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布の累積百分率が10%のときの粒子径(D10)が、好ましくは0.1μm以上3.0μm以下、より好ましくは0.5μm以上3.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以上2.8μm以下となるように制御し、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布の累積百分率が90%のときの粒子径(D90)が、好ましくは3.0μm以上18.0μm以下、より好ましくは4.0μm以上17.5μm以下、さらに好ましくは5.0μm以上17.0μm以下となるように制御するとよい。これにより、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布が広くなり、得られる球状二次粒子の高密度化が図れ、本発明の効果をより大きく発揮することができる。
また、スラリーを調製する際には、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布の累積百分率が10%のときの粒子径(D10)に対するスラリー中の電極活物質原料の粒度分布の累積百分率が90%のときの粒子径(D90)の比(D90/D10)が1以上30以下となるように制御するとよい。(D90/D10)を上記範囲内とすることで、スラリー中の電極活物質原料の粒度分布が広くなり、得られる粒子の高密度化が図れ、本発明の効果を発揮することができる。
なお、スラリーの分散条件は、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、撹拌速度、撹拌時間等により調整することができる。
(造粒工程)
本工程では、スラリー中の電極活物質原料から造粒物を製造する。
造粒の際には、スラリー中の一次粒子を軟凝集させることが好ましい。これにより球状二次粒子の崩壊を抑えられ、スラリー中の二次粒子の含有量を、単一粒子及び球状二次粒子すべてを含む粒子の全個数に対して個数割合で18%以上にすることができる。一次粒子の軟凝集を促進させ、造粒物の崩壊を抑える方法として、本実施形態では、造粒工程において、スラリー中に凝集保持剤を加える。ここで、凝集保持剤とは、一次粒子の凝集を促進するとともに、該一次粒子が凝集した二次粒子の形状を保持する化合物を意味する。
上記方法としては、例えば、スラリー中に凝集保持剤として、クエン酸、ポリアクリル酸、アスコルビン酸等の有機酸を加え混合する方法等が挙げられる。スラリーのpHを有機酸によって低下させることで一次粒子の凝集を促進し、造粒後は一次粒子がより詰まった二次粒子を形成でき、二次粒子の強度を増強することができる。
有機酸を選定した理由は後述の焼成工程で不純物として残存せずに炭素質被膜の一部として炭化される方が好ましいためである。但し、有機酸は残炭しにくいためそれだけで炭素質被膜とすることは困難であり、さらに良好な炭素質被膜を形成しにくいことから多量に入れることは好ましくない。
また、後述する焼成工程において有機化合物の炭化を促進するための炭化触媒を用いてもよい。
凝集保持剤の配合量は電極活物質原料に対し固形分換算で好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.2〜1.5質量%である。0.1質量%以上とすることで、造粒体の崩壊を抑制できる。2.0質量%以下とすることで、凝集保持剤由来のカーボン量増加を抑制することができる。カーボン量が多量であるとリチウムイオン伝導性が乏しくなるおそれがある。
また、スラリー中に含まれる電極活物質原料の濃度を好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%となるように調製することで、球状二次粒子を得ることができる。
次いで、上記で得られた混合物を雰囲気温度が溶媒の沸点未満の雰囲気中、好ましくは55℃以上100℃未満、より好ましくは55℃以上95℃以下、さらに好ましくは60℃以上90℃以下の大気中に噴霧し、乾燥させる。これにより、リチウムイオン二次電池用電極材料において、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)を0.90以上1.30以下、好ましくは1.00以上1.30以下、より好ましくは1.10以上1.30以下、さらに好ましくは1.20以上1.30以下とすることができる。
なお、混合物を噴霧し、乾燥するときの雰囲気温度が、溶媒の沸点以上であると、リチウムイオン二次電池用電極材料において、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)の値が1.35以上となる。
なお、噴霧乾燥法により、一次粒子を造粒して球状二次粒子を作製する場合、水分の液滴表面への移動とともに液滴中の微細な一次粒子ほど液滴表面に移動する。これにより、球状二次粒子の表層部における一次粒子密度が上昇する。また、液滴中に有機物が含まれていると、液滴の乾燥にともない、表層部の有機物濃度の増加に伴い粘度が上昇し、表層部に有機物由来の殻構造が形成されてしまう。表層部の一次粒子密度の増加は、焼成時に粒子密着性の高さから一次粒子の焼結の原因となり、特性の劣化を起こす。また、有機物由来の殻構造は、球状二次粒子の中空化を起こし、エネルギー密度の低下の原因となる。それゆえ、球状二次粒子の表層部の炭素質被覆率の増加から、リチウムの透過性の低減を引き起こし、電子伝導性の低下の原因となる。このため、リチウムイオン二次電池用電極材料において、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比が大きくなると、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗が高くなると考えられる。
本実施形態では、上述の雰囲気温度の範囲内で混合物を噴霧し、乾燥することにより、球状二次粒子の表層部における一次粒子密度の上昇を抑制するとともに、該球状二次粒子の表層部に有機物由来の殻構造が形成されるのを抑制することができる。
また、球状二次粒子を解砕することで一次粒子の密着性の低減を抑制できるが、解砕強度が強すぎると一次粒子の炭素質被膜が一次粒子の表面から剥離し、電子伝導性が低下する。電子伝導性の低下は、入出力特性や充放電サイクル後の容量低下を引き起こす。一方、解砕強度が弱すぎると電極内に空隙が残存し、単位体積当たりのエネルギー密度が低下する。
本実施形態によれば、球状二次粒子を解砕しなくても、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比を小さくすることができる。
また、噴霧の際の条件、例えば、スラリー中の電極活物質原料の濃度、噴霧圧力、速度、さらに、噴霧後の乾燥させる際の条件、例えば、乾燥用空気温度、装置内気圧を適宜調整することにより、平均粒子径が上記範囲内にある球状二次粒子が得られる。
なお、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点に比べ低くなればなる程、噴霧された液滴の乾燥に時間がかかるので、この乾燥に要する時間の間に、得られる乾燥物は十分に収縮することとなる。これにより、スラリー中の溶媒の沸点に比べ低い雰囲気温度にて噴霧・乾燥した乾燥物は、中実構造をとりやすくなる。
また、雰囲気温度がスラリー中の溶媒の沸点より高温になればなる程、噴霧された液滴の乾燥時間が短くなるので、得られる乾燥物は十分に収縮することができなくなる。これにより、乾燥物は多孔質構造や中空構造をとりやすくなる。
(焼成工程)
本工程では、前記工程で得られた造粒物を非酸化性雰囲気下にて焼成する。
まず、焼成前に、該造粒物に、炭素質被膜前駆体である有機化合物を乾式混合する。
有機化合物としては、正極活物質の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。但し、上述の造粒工程で用いられる有機酸に含まれるものは除かれる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機化合物と、電極活物質原料との配合比は、電極活物質原料から得られる活物質100質量部に対して、有機化合物から得られる配合比で1.0質量部以上5.0質量部以下であることが好ましい。実際の配合量は加熱炭化による炭化量(炭素源の種類や炭化条件)により異なるが、おおむね1.3質量部から4.5質量部程度である。
次いで、前述の乾式混合により得られた混合物を、非酸化性雰囲気下、好ましくは650℃以上かつ1000℃以下、より好ましくは700℃以上かつ900℃以下の温度にて、0.1時間以上かつ40時間以下焼成する。
非酸化性雰囲気としては、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性ガスからなる雰囲気が好ましい。混合物の酸化をより抑えたい場合には、水素(H)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。また、焼成時に非酸化性雰囲気中に蒸発した有機分を除去することを目的として、非酸化性雰囲気中に酸素(O)等の支燃性ガスまたは可燃性ガスを導入してもよい。
ここで、焼成温度を650℃以上とすることにより、混合物に含まれる有機化合物の分解及び反応が充分に進行し易く、有機化合物の炭化を充分に行い易い。その結果、得られた粒子中に高抵抗の有機化合物の分解物が生成することを防止し易い。一方、焼成温度を1000℃以下とすることにより、電極活物質原料中のリチウム(Li)が蒸発し難く、また、電極活物質が目的の大きさ以上に粒成長することが抑制される。その結果、本実施形態の電極材料を含む正極を備えたリチウムイオン二次電池を作製した場合に、高速充放電レートにおける放電容量が低くなることを防止でき、充分な充放電レート性能を有するリチウムイオン二次電池を実現することができる。
[リチウムイオン二次電池用電極]
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を使用したものである。
例えば、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極は、以下のようにして作製される。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極を作製するには、本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、電極形成用塗料又は電極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の導電助剤を添加してもよい。
結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部〜30質量部、好ましくは3質量部〜20質量部とする。
電極形成用塗料又は電極形成用ペーストに用いる溶媒としては、バインダー樹脂の性質に合わせて適宜選択すればよい。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、電極形成用塗料又は電極形成用ペーストを、アルミニウム箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、上記の電極材料とバインダー樹脂との混合物からなる塗膜が一方の面に形成されたアルミニウム箔を得る。
次いで、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、アルミニウム箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、リチウムイオン二次電池の直流抵抗を低下させ、放電容量を高めることができる電極を作製することができる。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極としての本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極(以下、正極という場合がある)と、負極と、電解質とを有する。該正極は、上述の電極材料を用いてなる正極合材層を有する。
〔負極〕
負極としては、例えば、金属Li、天然黒鉛、ハードカーボン等の炭素材料、Li合金及びLiTi12、Si(Li4.4Si)等の負極材料を含むものが挙げられる。
〔電解質〕
電解質は、特に制限されないが、非水電解質であることが好ましく、例えば、炭酸エチレン(エチレンカーボネート;EC)と、炭酸エチルメチル(エチルメチルカーボネート;EMC)とを、体積比で1:1となるように混合し、得られた混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を、例えば、濃度1モル/dmとなるように溶解したものが挙げられる。
〔セパレータ〕
正極及び負極は、セパレータを介して対向させることができる。セパレータとして、例えば、多孔質プロピレンを用いることができる。
また、非水電解質とセパレータの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極として本実施形態のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いてなる電極を用いるため、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減することができ、充放電特性を改善することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
〔リチウムイオン二次電池用電極材料の合成〕
(実施例1)
Li源及びP源としてのリン酸リチウム(LiPO)と、Fe源としての硫酸鉄(II)(FeSO)を、モル比でLi:Fe:P=3:1:1となるように混合した。さらに、調製用蒸留水を混合して、600mlの原料スラリーを調製した。
次いで、この原料スラリーを耐圧密閉容器に収容し、180℃にて2時間、水熱合成した後、室温(25℃)になるまで冷却して、容器内に沈殿しているケーキ状の電極活物質粒子(一次粒子)を得た。この電極活物質粒子を蒸留水で複数回、十分に水洗した後、電極活物質粒子濃度が60質量%となるように、電極活物質粒子と蒸留水を混合し、懸濁スラリーを調製した。
この懸濁スラリーを直径0.1mmのジルコニアボールと共にサンドミルへ投入し、懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように、サンドミルの処理時間を調整して分散処理を行った。
次いで、分散処理を施したスラリーに予め30質量%に調整したグルコース水溶液を、電極活物質粒子に対しグルコース固形分換算で1.0質量%混合し、さらにスラリー中の電極活物質粒子濃度が50質量%となるよう蒸留水を混合した後、気液比10000で、60℃の大気雰囲気中に噴霧、乾燥し、電極活物質粒子の造粒乾燥物(球状二次粒子)を得た。
次いで、得られた造粒乾燥物にポリビニルアルコール粉末を電極活物質粒子に対し3.5質量%乾式混合し、不活性雰囲気下、750℃にて1時間熱処理を行うことにより、電極活物質粒子の表面に炭素質被膜を形成して、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
(実施例2)
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を70℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例2のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
(実施例3)
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を80℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例3のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
(実施例4)
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を90℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で実施例4のリチウムイオン二次電池用正極材料を作製した。
(比較例1)
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を100℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で比較例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。
(比較例2)
スラリーを噴霧、乾燥する大気雰囲気中の温度を50℃にした以外は、実施例1のリチウムイオン二次電池用電極材料と同様な方法で比較例2のリチウムイオン二次電池用電極材料を作製した。しかし、乾燥時に乾燥物が水分により乾燥装置の壁面や乾燥物同士で付着し、顆粒とならなかった。
〔電極材料の評価〕
以下の方法により、得られた電極材料について評価を行った。結果を表1に示す。
(1)球状二次粒子の表層部及び本体部のカーボン量の比並びに一次粒子の平均粒子径
球状二次粒子をエポキシ樹脂に包埋し、イオンミリングを使用し、球状二次粒子の断面を露出するよう成形した。そして、走査型電子顕微鏡を使用し、球状二次粒子断面の観察を行った。
走査型電子顕微鏡観察において、同一視野の反射電子像と二次電子像を観察し、二次粒子中の一次粒子とカーボン部位を組成、および形状から分離し、画像中のカーボン部位の面積を画像解析によって算出した。
100個の球状二次粒子において、球状二次粒子の表層部(表面から粒子径の10%の深さの範囲)におけるカーボン部位の面積を画像解析により算出した。また、球状二次粒子の本体部におけるカーボン部位の面積を画像解析により算出した。そして、表層部のカーボン部位の面積を本体部のカーボン部位の面積で割り算して、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)を算出した。100個の球状二次粒子について本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)をそれぞれ算出し、100個の球状二次粒子の平均値をそれぞれの実施例及び比較例の本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)とした。
また、100個の球状二次粒子断面に観察される一次粒子の粒径を画像解析により算出し、その平均値を平均一次粒子径とした。
(2)球状二次粒子の粒子径(D10)及び粒子径(D90)
まず、分散液としての純水40g及びポリビニルピロリドン(PVP)0.12g、並びに試料粉末としての電極材料0.04gを70mLマヨネーズ瓶に秤量した。このマヨネーズ瓶を手動で10回程振り混ぜて、試料粉末と分散液を馴染ませた。
次いで、この試料粉末と分散液の混合溶液を超音波ホモジナイザー(商品名:SONIFIER450、BRANSON社製)にて、Output5、パルス50%条件で2分間超音波処理をし、試料粉末を分散溶液によく分散させた。
測定装置(商品名:LA−950V2、堀場製作所社製)を用いて、よく分散させた混合溶液中の球状二次粒子の粒度分布を測定し、その結果から、球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径(D10)及び球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径(D90)を算出した。
(3)球状二次粒子のカーボン含有率
電極材料のカーボン含有率は、炭素硫黄分析装置(商品名:EMIA−220V、(株)堀場製作所製)を用いて測定した。
(4)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量(NMP吸油量)
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量は、JIS K5101−13−1(精製あまに油法)に則った手法にて、あまに油をNMPに代えて測定した。
(5)リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗
〔正極の作製〕
得られた電極材料と、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)とを、質量比が90:5:5となるように混合し、さらに溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を加えて流動性を付与し、スラリーを作製した。
次いで、このスラリーを厚み30μmのアルミニウム(Al)箔(集電体)上に塗布し、乾燥した。その後、塗布幅40mmの短冊状に切り抜き、ロールプレス機にて印加総圧5t/250mmで加圧し、リチウムイオン二次電池の正極を作製した。
〔リチウムイオン二次電池の作製〕
作製した正極と、市販の天然黒鉛からなる負極とを所定のサイズに打ち抜き、各々に集電タブを溶接し、多孔質ポリプロピレン膜からなるセパレータを介してアルミラミネートフィルム内に配置した。前記に濃度1モル/dm LiPF/EC:DEC=50:50(vol%)の電解液を注入、封止し、電池特性評価用リチウムイオン二次電池を作製した。
〔リチウムイオン二次電池の評価〕
以下の方法により、得られたリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を測定した。
環境温度0℃にて充電レート0.1Cの定電流で充電深度を50%(SOC50%)に調整したリチウムイオン二次電池を用いて直流抵抗を測定した。室温(25℃)にて、SOC50%に調整したリチウムイオン二次電池に、1C、3C、5Cおよび10Cレートの電流を、充電側、放電側に交互に各10秒間通電し、各レートの10秒後における電流値を横軸に、電圧値を縦軸にプロットし、最小二乗法による近似直線の傾きを算出し、正極に使用している活物質量をかけた数値を「充電側=入力DCR」、「放電側=出力DCR」とした。なお、各電流での通電方向変更時と通電電流の変更時にそれぞれ10分の休止時間を設けた。
〔電極材料の評価結果〕
実施例1〜4及び比較例1の電極材料の評価結果を表1に示す。なお、比較例2の電極材料については、球状二次粒子が得られなかったので、電極材料の評価を行うことができなかった。
Figure 0006443519
(評価結果)
実施例1〜4のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗は、比較例1のリチウムイオン二次電池用電極材料を用いて作製したリチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗に比べて低かった。これより、本体部におけるカーボン量に対する表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)を0.90以上1.30以下にすることによって、リチウムイオン二次電池の充放電時の直流抵抗を低減できることがわかった。

Claims (3)

  1. オリビン構造の遷移金属リン酸リチウム化合物からなる電極活物質の一次粒子を造粒してなる球状二次粒子を有し、
    前記一次粒子は、前記電極活物質を被覆する炭素質被膜を有し、
    前記一次粒子の平均粒子径が10nm以上500nm以下であり、
    前記球状二次粒子は、前記球状二次粒子の表面から前記球状二次粒子の粒子径の10%の深さまでの表層部と、前記表層部より内部の本体部とからなり、
    前記本体部におけるカーボン量に対する前記表層部におけるカーボン量の比(表層部カーボン量/本体部カーボン量)が1.10以上1.30以下であり、
    前記球状二次粒子のカーボン含有率が0.8質量%以上1.6質量%以下であり、
    前記球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が10%のときの粒子径が0.1μm以上3.0μm以下であり、
    前記球状二次粒子の粒度分布の累積体積百分率が90%のときの粒子径が3.0μm以上18.0μm以下であり、
    前記球状二次粒子のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた吸油量が50ml/100g以下であり、
    前記カーボン量の比は、走査型電子顕微鏡を使用し、前記球状二次粒子断面の画像解析により算出した前記表層部のカーボン部位の面積を前記本体部のカーボン部位の面積で割り算して求めた値である、リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法であって、
    前記電極活物質の一次粒子と有機化合物とを含むスラリーを得る工程と、
    前記スラリーを55℃以上95℃以下の大気中に噴霧乾燥して造粒物を得る工程と、
    前記造粒物と有機化合物粉末とを乾式混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物を非酸化性雰囲気下、650℃以上かつ1000℃以下で焼成する工程とを有する、リチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法
  2. 前記スラリーを得る工程の前に、前記電極活物質を水熱合成法で合成する工程を有する請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法。
  3. 前記スラリーを得る工程には、前記水熱合成法で得られた電極活物質と蒸留水とを混合し、懸濁スラリーを得るとともに、前記懸濁スラリー中の電極活物質粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)の、累積体積百分率10%の粒子径(D10)に対する比(D90/D10)が2となるように制御した分散処理スラリーを得る工程が含まれる、請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用電極材料の製造方法。

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