JP2019149356A - 電極材料、電極材料の製造方法、電極、及びリチウムイオン電池 - Google Patents

電極材料、電極材料の製造方法、電極、及びリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】直流抵抗を低下させ、より高電位であり、放電容量を高めることができる電極材料の提供。【解決手段】一般式LiFexMn1−w−x−y−zMgyCazAwPO4(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表され、斜方晶で空間群がPnmaであり、一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子を被覆する炭素質被膜とを有する電極活物質を含み、一次粒子の平均粒子径が30nm以上200nm以下、X線回折測定における(020)面の半値幅から求めた結晶子径が30nm以上200nm以下、二次粒子の平均粒子径が0.5μm以上60μm以下、BET比表面積が7m2/g以上30m2/g以下、炭素含有量が0.5質量%以上3.5質量%以下である電極材料。【選択図】なし

Description

本発明は、電極材料、電極材料の製造方法、電極、及びリチウムイオン電池に関する。
近年、小型、軽量、高容量の電池として、リチウムイオン電池などの非水電解液系の二次電池が提案され、実用に供されている。リチウムイオン電池は、リチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有する正極および負極と、非水系の電解質とにより構成されている。
リチウムイオン電池は、従来の鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池などの二次電池に比べて、軽量かつ小型で高エネルギーを有しており、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータなどの携帯用電子機器の電源として用いられているが、近年、電気自動車、ハイブリッド自動車、電動工具などの高出力電源としても検討されている。これらの高出力電源として用いられる電池の電極活物質には、高速の充放電特性が求められている。また、発電負荷の平滑化や、定置用電源、バックアップ電源などの大型電池への応用も検討されており、長期の安全性、信頼性と共に資源量の問題が無いことも重要視されている。
リチウムイオン電池の正極は、正極活物質といわれるリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な性質を有するリチウム含有金属酸化物、導電助剤及びバインダーを含む電極材料より構成され、この電極材料を集電体と呼ばれる金属箔の表面に塗布することにより正極とされている。このリチウムイオン電池の正極活物質としては、通常、コバルト酸リチウム(LiCoO)が用いられているが、その他に、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)などのリチウム(Li)化合物が用いられている。これらの中で、コバルト酸リチウムやニッケル酸リチウムは元素の毒性や資源量の問題、充電状態の不安定性等の問題を抱えている。また、マンガン酸リチウムは高温下での電解液中への溶解の問題が指摘されている。一方、リン酸鉄リチウムは、長期の安全性、信頼性に優れるため、該リン酸鉄リチウムに代表される、オリビン構造を持つリン酸塩系電極材料が近年注目を浴びている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−161654号公報
上記リン酸塩系電極活物質は、材料の電子伝導性が十分でないため、大電流の充放電を行うためには、粒子の微細化、導電性物質との複合化など様々な工夫が必要であり、多くの努力がなされている。
しかしながら、多量の導電性物質を用いた複合化は電極密度の低下を招くために、電池の密度低下、即ち単位容積当たりの容量低下を引き起こしてしまう。この問題を解決する方法として、電子導電性物質である炭素前駆体として、有機物溶液を用いた炭素被覆法が見出された。有機物溶液と電極活物質粒子を混合後、乾燥し、非酸化性雰囲気下で熱処理することで、有機物を炭化させる本手法は、必要最低限の電子導電性物質を、電極活物質粒子表面に、極めて効率良く被覆させることが可能であり、電極密度を大きく低下させることなく、導電性の向上を図ることができる。
ところが、炭素源である有機物の炭化温度は一般に高温であるため、これらの電極材料の製造の際に、活物質粒子同士が接触し、高温炭化時に一部が焼結、粒子成長してしまい、微細な粒子が得られない等の問題があった。特に、より高結晶性の(高導電性の)炭素被覆を得るためには炭化温度が高い方が好ましいのに対し、活物質粒子同士の焼結、粒子成長を抑制するためには高温に暴露させないことが重要であり、両者はトレードオフの関係であった。
また、鉄を電気化学的な活性元素として利用するリン酸鉄リチウムは、優れた活物質材料であるが、反応電位が約3.5V(対Li)であり、電池の性能向上のために、より高電位で反応する活物質が求められている。マンガンを活性元素として用いる、リン酸マンガンリチウムなどの活物質材料は、約4.1V(対Li)と高い反応電位を示し、より高エネルギーの電池が得られると期待されているものの、その性能は十分ではなかった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、直流抵抗を低下させ、より高電位であり、放電容量を高めることができる電極材料、該電極材料の製造方法、該電極材料を用いた電極、及びリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、炭素源となる有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを混合し、得られた混合物を加湿することにより、高吸水性高分子(B)を膨潤させ、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)の粒子間隙を拡大させることで、その後に、高温で有機物(A)を炭化させても、高温による電極活物質の粒子成長及び焼結が起こりにくくなるため、より高結晶性の炭素質で被覆された微細な活物質粒子を含む電極材料が得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供する。
[1]一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表され、結晶構造が斜方晶であり、空間群がPnmaである電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子と、前記電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子を被覆する炭素質被膜とを有する炭素質被覆電極活物質を含み、前記炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径が30nm以上200nm以下、X線回折測定における(020)面の半値幅から求めた結晶子径が30nm以上200nm以下であり、前記炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径が0.5μm以上60μm以下であり、前記炭素質被覆電極活物質のBET法により求めた比表面積が7m/g以上30m/g以下、炭素含有量が0.5質量%以上3.5質量%以下である電極材料。
[2]前記一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V1と、前記LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOから化学的にFeMn1−w−x−y−zMgCaを酸化しLiを脱離させたFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V2の変化率(V1−V2)/V1が0.06以上0.09以下である上記[1]に記載の電極材料。
[3]ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、
DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下である上記[1]又は[2]に記載の電極材料。
[4]前記炭素質被覆電極活物質を50MPaの圧力で成形した圧粉体の抵抗率が1MΩ・cm以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の電極材料。
[5]炭素源となる有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを含む混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒する第一工程と、前記第一工程で得られた造粒物を加湿して、固形物を得る第二工程と、前記第二工程で得られた固形物を非酸化性雰囲気下、600℃以上1000℃以下で熱処理する第三工程とを有する上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電極材料の製造方法。
[6]前記高吸水性高分子(B)は自重の10倍以上の水を吸収する高分子である上記[5]に記載の電極材料の製造方法。
[7]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の電極材料を用いてなる電極。
[8]上記[7]に記載の電極からなる正極を備えたリチウムイオン電池。
本発明によれば、直流抵抗を低下させ、より高電位であり、放電容量を高めることができる電極材料、該電極材料の製造方法、該電極材料を用いた電極、及びリチウムイオン電池を提供することができる。
[電極材料]
本実施形態の電極材料は、一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表され、結晶構造が斜方晶であり、空間群がPnmaである電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子と、前記電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子を被覆する炭素質被膜とを有する炭素質被覆電極活物質を含み、前記炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径が30nm以上200nm以下、X線回折測定における(020)面の半値幅から求めた結晶子径が30nm以上200nm以下であり、前記炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径が0.5μm以上60μm以下であり、前記炭素質被覆電極活物質のBET法により求めた比表面積が7m/g以上30m/g以下、炭素含有量が0.5質量%以上3.5質量%以下であることを特徴とする。
本実施形態で用いられる電極活物質は、一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表され、結晶構造が斜方晶であり、空間群がPnmaである。
ここで、Aについては、Co、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種である。
また、xは0.05以上0.35以下であり、好ましくは0.05以上0.25以下である。yは0.01以上0.10以下であり、好ましくは0.01以上0.05以下である。zは0.0001以上0.001以下である。wは0以上0.02以下である。
一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表される電極活物質材料は、固相法、液相法、気相法等の従来の方法により製造したものを用いることができる。
例えば、Li源、Fe源、Mn源、Mg源、Ca源、A源およびP源を、水を主成分とする溶媒と混合して得られた原料スラリーαを、150℃以上250℃以下の範囲の温度に加熱することで、加圧下にて、LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO粒子を合成することができる。
これらLi源、Fe源、Mn源、Mg源、Ca源、A源およびP源を、これらの物質量比(Li源:Fe源:Mn源:Mg源:Ca源:A源:P源)、すなわち、Li:Fe:Mn:Mg:Ca:A源:Pの物質量比が2〜3.5:0.05〜0.35:0.94〜0.55:0.01〜0.10:0.0001〜0.001:0〜0.02:0.95〜1.10となるように水を主成分とする溶媒に投入し、撹拌・混合して原料スラリーαを調製する。
これらLi源、Fe源、Mn源、Mg源、Ca源、P源およびA源は、均一に混合する点を考慮すると、Li源、Fe源、Mn源、Mg源、Ca源、P源およびA源をそれぞれ、一旦、水溶液の状態とした後、混合することが好ましい。この原料スラリーαにおけるLi源、Fe源、Mn源、Mg源、Ca源、P源およびA源のモル濃度は、高純度であり、結晶性が高くかつ非常に微細なLiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO粒子を得る必要があることから、0.8mol/L以上3.5mol/L以下であることが好ましい。
Li源としては、例えば、水酸化リチウム(LiOH)等の水酸化物、炭酸リチウム(LiCO)、塩化リチウム(LiCl)、硝酸リチウム(LiNO)、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸水素二リチウム(LiHPO)、リン酸二水素リチウム(LiHPO)等のリチウム無機酸塩、酢酸リチウム(LiCHCOO)、蓚酸リチウム((COOLi))等のリチウム有機酸塩、および、これらの水和物が挙げられる。Li源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
なお、リン酸リチウム(LiPO)は、Li源およびP源としても用いることができる。
Fe源としては、例えば、塩化鉄(II)(FeCl)、硫酸鉄(II)(FeSO)、酢酸鉄(II)(Fe(CHCOO))等の鉄化合物またはその水和物や、硝酸鉄(III)(Fe(NO)、塩化鉄(III)(FeCl)、クエン酸鉄(III)(FeC)等の3価の鉄化合物や、リン酸鉄リチウム等が用いられる。
Mn源としては、Mn塩が好ましく、例えば、塩化マンガン(II)(MnCl)、硫酸マンガン(II)(MnSO)、硝酸マンガン(II)(Mn(NO)、酢酸マンガン(II)(Mn(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられる。Mn源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Mg源としては、Mg塩が好ましく、例えば、塩化マグネシウム(II)(MgCl)、硫酸マグネシウム(II)(MgSO)、硝酸マグネシウム(II)(Mg(NO)、酢酸マグネシウム(II)(Mg(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられる。Mg源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Ca源としては、Ca塩が好ましく、例えば、水酸化カルシウム(II)(Ca(OH))、塩化カルシウム(II)(CaCl)、硫酸カルシウム(II)(CaSO)、硝酸カルシウム(II)(Ca(NO)、酢酸カルシウム(II)(Ca(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
P源としては、例えば、オルトリン酸(HPO)、メタリン酸(HPO)等のリン酸、リン酸二水素アンモニウム(NHPO)、リン酸水素二アンモニウム((NHHPO)、リン酸アンモニウム((NHPO)、リン酸リチウム(LiPO)、リン酸水素二リチウム(LiHPO)、リン酸二水素リチウム(LiHPO)等のリン酸塩、及びこれらの水和物の中から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Co源としては、Co塩が好ましく、例えば、塩化コバルト(II)(CoCl)、硫酸コバルト(II)(CoSO)、硝酸コバルト(II)(Co(NO)、酢酸コバルト(II)(Co(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられる。Co源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Ni源としては、例えば、Ni塩が好ましく、例えば、塩化ニッケル(II)(NiCl)、硫酸ニッケル(II)(NiSO)、硝酸ニッケル(II)(Ni(NO)、酢酸ニッケル(II)(Ni(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられる。Ni源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Zn源としては、Zn塩が好ましく、例えば、塩化亜鉛(II)(ZnCl)、硫酸亜鉛(II)(ZnSO)、硝酸亜鉛(II)(Zn(NO)、酢酸亜鉛(II)(Zn(CHCOO))、及びこれらの水和物が挙げられる。Zn源としては、これらの群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
Al源としては、例えば、塩化物、硫酸化物、硝酸化物、酢酸化物、水酸化物等のアルミニウム化合物が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
また、Ga源としては、例えば、塩化物、硫酸化物、硝酸化物、酢酸化物、水酸化物等のガリウム化合物が挙げられ、これらからなる群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。
前記電極活物質は、一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子で構成される。電極活物質の形状は、特に制限されないが、球状、特に真球状であることが好ましい。電極活物質が球状であることで、本実施形態の電極材料を用いて電極形成用ペーストを調製する際の溶媒量を低減させることができるとともに、電極形成用ペーストの集電体への塗工も容易となる。なお、電極形成用ペーストは、例えば、本実施形態の電極材料と、バインダー樹脂(結着剤)と、溶媒とを混合して調製することができる。
本発明者らは、マンガンを活性元素として用いる、リン酸マンガンリチウムなどの活物質材料が、リン酸鉄リチウムに比べ、高い反応電位を示す一方、十分な電極性能を示さない原因の一つが、Li挿入脱離に伴う体積変化の大きさ、即ちLi挿入相とLi脱離相の格子不整合性の大きさにあると考え、Li挿入相の格子体積V1と、Li脱離相の格子体積V2間の体積変化率(V1−V2)/V1を特定の範囲とすることにより、良好な電極性能を示すことを見出した。
前記LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V1と、該LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOから化学的にFeMn1−w−x−y−zMgCaを酸化しLiを脱離させたFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V2の変化率(V1−V2)/V1は、好ましくは0.06以上0.09以下、より好ましくは0.07以上0.09以下である。(V1−V2)/V1が0.06以上であると、Liの脱離が十分に起こり材料中にLiが残存しにくくすることができる。Liの残存量が少ない材料を電池に供した場合、十分な容量を得ることができ、エネルギー密度の低下を抑制することができる。一方、(V1−V2)/V1が0.09以下であると、充放電に伴う体積変化が大きくなりすぎず、Li脱挿入にかかる活性化エネルギーを抑えることができ、エネルギー密度の低下を抑制することができる。
LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOから化学的にFeMn1−w−x−y−zMgCaを酸化しLiを脱離させる方法としては、特に限定されないが、例えば、非水系極性溶媒(アセトニトリル)中に酸化剤を添加した溶液で、該LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOを酸化させ、Liを脱離させる方法が挙げられる。
具体的には、アセトニトリル中に酸化剤を添加した溶液に、本実施形態の電極材料を混合し、1時間以上かつ48時間以下撹拌することにより、化学的Li脱離を行う。
酸化剤としては、例えば、テトラフルオロホウ酸ニトロシル(NOBF)が好適に用いられる。
酸化剤の添加量は、脱離するLi量に対して1.1倍等量とする。
Li脱離処理後に、ろ過による固液分離を行い、アセトンで洗浄した後、真空乾燥機内で25℃以上かつ70℃以下の範囲の温度にて、1時間以上かつ48時間以下乾燥させる。
以上の処理により、LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOから化学的にLiが脱離し、FeMn1−w−x−y−zMgCaPOを得ることができる。
本実施形態の電極材料において、X線回折測定における(020)面の半値幅から求めた結晶子径が30nm以上200nm以下であり、好ましくは30nm以上150nm以下、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは40nm以上80nm以下である。結晶子径が30nm未満では、電極活物質表面を炭素質被膜で十分に被覆するためには多くの炭素を必要とし、また大量の結着剤が必要となるために、電極中の活物質量が低下し、電池の容量が低下するおそれがある。同様に結着力不足による膜剥離のおそれも生じやすい。一方、200nmを超えると、電極活物質の内部抵抗が大きくなり、電池を形成した場合に、高速充放電レートにおける放電容量を低下させるおそれがある。
なお、上記結晶子径は、X線回折装置(例えば、RINT2000、RIGAKU製)により測定し、得られる粉末X線回折図形の(020)面の回折ピークの半値幅、及び回折角(2θ)を用い、シェラーの式により算出することができる。
電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子を被覆する炭素質被膜は、該炭素質被膜の原料となる有機物を炭化することにより得られる熱分解炭素質被膜である。有機物としては、電極活物質の表面に炭素質被膜を形成できる化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、セルロース、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、グリコーゲン、ペクチン、アルギン酸、グルコマンナン、キチン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、アガロース、ポリエーテル、2価アルコール、3価アルコール等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径は、30nm以上200nm以下であり、好ましくは40nm以上200nm以下、より好ましくは45nm以上150nm以下、更に好ましくは50nm以上100nm以下である。一次粒子の平均粒子径が30nm未満では、正極材料の比表面積が増えることで必要になる炭素の質量の増加が抑えにくく、リチウムイオン電池の充放電容量が低減するおそれがある。一方、一次粒子の平均粒子径が200nmを超えると、正極材料内でのリチウムイオンの移動または電子の移動にかかる時間が長くなるのを抑えることができないおそれがある。これにより、リチウムイオン電池の内部抵抗が増加して出力特性が悪化するおそれがある。
上記一次粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)観察により測定した200個以上の粒子の粒子径を個数平均することで求めることができる。
前記炭素質被覆電極活物質の一次粒子の累積粒度分布における累積百分率10%の粒子径(D10)は5nm以上であることが好ましい。また、炭素質被覆電極活物質の一次粒子の累積粒度分布における累積百分率90%の粒子径(D90)は600nm以下であることが好ましい。D10が5nm以上であると、炭素質導電性被覆が過剰に着く粒子が多くなり過ぎず、全体として容量低下を抑制することができる。一方、D90が600nm以下であると、十分な高速充放電性能を示さない粗大な粒子の比率を抑えることができる。
ここで、累積粒度分布とは、体積基準の累積粒度分布のことである。上記炭素質被覆電極活物質の一次粒子の累積粒度分布は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
前記炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径は、0.5μm以上60μm以下であり、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは1μm以上9.7μm以下である。上記二次粒子の平均粒子径が0.5μm未満では、正極材料と導電助剤とバインダー樹脂(結着剤)と溶剤とを混合して、リチウムイオン電池用正極材料ペーストを調製する際の導電助剤、及び結着剤の配合量が多くなり、電極中の活物質量が低下し、リチウムイオン電池用正極合材層の単位質量あたりのリチウムイオン電池の電池容量を低下させるおそれがある。一方、上記二次粒子の平均粒子径が60μmを超えると、正極合材層中の導電助剤や結着剤の分散性、及び均一性を低下させる。その結果、本実施形態の電極材料を用いたリチウムイオン電池の高速充放電における放電容量を低下させるおそれがある。
ここで、二次粒子の平均粒子径とは、体積平均粒子径のことである。上記二次粒子の平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。
前記炭素質被覆電極活物質のBET法により求めた比表面積は、7m/g以上30m/g以下であり、好ましくは9m/g以上30m/g以下、より好ましくは9m/g以上15m/g以下である。比表面積が7m/g未満では、電極活物質表面におけるリチウムイオンの脱挿入反応が制限され、実用上十分な放電容量が得られないおそれがあり、30m/gを超えると、電極作成のために大量の結着剤が必要となり、電極中の活物質量が低下し、電池の容量が低下するおそれがある。同様に結着力不足による膜剥離のおそれも生じやすい。
なお、上記比表面積は、BET法により、比表面積計(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて測定することができる。
前記炭素質被覆電極活物質に含まれる炭素含有量は、0.5質量%以上3.5質量%以下であり、好ましくは0.7質量%以上2.5質量%以下である。炭素含有量が0.5質量%未満では、電子伝導性を十分に高めることができないおそれがあり、3.5質量%を超えると電極密度の低下を招くだけで無駄である。
なお、上記炭素含有量は、炭素分析計(例えば、株式会社堀場製作所製、炭素硫黄分析装置EMIA−810W)を用いて測定することができる。
前記電極活物質を被覆する炭素質被膜の厚み(平均値)は、好ましくは0.8nm以上5.0nm以下、より好ましくは0.8nm以上3.0nm以下である。炭素質被膜の厚みが0.8nm以上であると、炭素質被膜の厚みが薄すぎるために所望の抵抗値を有する膜を形成することができなくなることを抑制できる。そして、電極材料としての導電性を確保することができる。一方、炭素質被膜の厚みが5.0nm以下であると、電極材料の単位質量あたりの電池容量が低下することを抑制できる。
また、炭素質被膜の厚みが上記範囲内であると、電極材料を最密充填しやすくなるため、単位体積あたりの電極材料の充填量が多くなる。その結果、電極密度を高くすることができ、高容量のリチウムイオン電池が得られる。
前記電極活物質に対する炭素質被膜の被覆率は60%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。炭素質被膜の被覆率が60%以上であることで、炭素質被膜の被覆効果が十分に得られる。
なお、上記炭素質被膜の被覆率は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope、TEM)、エネルギー分散型X線分析装置(Energy Dispersive X−ray microanalyzer、EDX)等を用いて測定することができる。
炭素質被膜を構成する炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度は、好ましくは0.3g/cm以上1.5g/cm以下、より好ましくは0.4g/cm以上1.0g/cm以下である。炭素質被膜を構成する炭素分によって計算される、炭素質被膜の密度とは、炭素質被膜が炭素のみから構成されると想定した場合に、炭素質被膜の単位体積当たりの質量である。
炭素質被膜の密度が0.3g/cm以上であれば、炭素質被膜が充分な電子伝導性を示す。一方、炭素質被膜の密度が1.5g/cm以下であれば、炭素質被膜における層状構造からなる黒鉛の微結晶の含有量が少ないため、Liイオンが炭素質被膜中を拡散する際に黒鉛の微結晶による立体障害が生じない。これにより、電荷移動抵抗が高くなることがない。その結果、リチウムイオン電池の内部抵抗が上昇することがなく、リチウムイオン電池の高速充放電レートにおける電圧低下が生じない。
本実施形態の電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)は、好ましくは1.10以上1.55以下、より好ましくは1.25以上1.45以下である。
Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上であると、電極材料のイオン伝導性が向上し、リチウムイオン電池の入力特性が良好となる。また、Dバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.55以下であると、電極材料の電子伝導性を十分に高めることができ、リチウムイオン電池の入力特性が良好となる。
なお、Gバンドは、ラマンスペクトルの1590cm−1付近に現れるピークであり、炭素質被膜の黒鉛構造に帰属されるピークである。一方、Dバンドは、ラマンスペクトルの1350cm−1付近に現れるピークであり、炭素質被膜の欠陥に起因するピークである。
本実施形態の電極材料のDBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)は、好ましくは1.3以下、より好ましくは1.20以上1.24以下である。
DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下であると、電極材料のイオン伝導性が向上し、リチウムイオン電池の入力特性が良好となる。
なお、NMP吸油量は、あまに油の代わりにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して電極材料を測定した値である。また、DBP吸油量は、あまに油の代わりにフタル酸ジブチル(DBP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して電極材料を測定した値である。
電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)の値は炭素質被膜の結晶の状態に主に起因する。一方、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)は炭素質被膜の形状に主に起因する。そして、リチウムイオン電池の入力特性の改善に好適な炭素質被膜の結晶の状態と、リチウムイオン電池の入力特性の改善に好適な炭素質被膜の形状との組み合わせにより、すなわち、電極材料のラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)を好ましくは1.10以上1.55以下とし、かつ、DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)を好ましくは1.3以下とすることにより、リチウムイオン電池の入力特性をさらに改善することができる。
本実施形態の電極材料の50MPaの圧力で成形した圧粉体の抵抗率は、好ましくは1MΩ・cm以下、より好ましくは150kΩ・cm以下、更に好ましくは1000Ω・cm以下、より更に好ましくは150Ω・cm以下である。1MΩ・cm以下であれば、電池を形成した場合に、高速充放電レートにおける放電容量を高めることができる。
なお、上記圧粉体の抵抗率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
[電極材料の製造方法]
本実施形態の電極材料の製造方法は、炭素源となる有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを含む混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒する第一工程と、前記第一工程で得られた造粒物を加湿して、固形物を得る第二工程と、前記第二工程で得られた固形物を非酸化性雰囲気下、600℃以上1000℃以下で熱処理する第三工程とを有することを特徴とする。
(第一工程)
本工程は、炭素源となる有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを含む混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒する工程である。
有機物(A)、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)としては、それぞれ上記[電極材料]の項で説明したものを用いることができる。
また、本明細書において高吸水性高分子(B)とは、35℃、相対湿度100%で48時間放置した際に、少なくとも自重の数倍から数十倍の水を吸水して膨潤する性質を有する高分子材料のことを意味する。
本実施形態では、電極活物質の粒子成長、及び焼成を抑制する観点から、上記高吸水性高分子(B)は、自重の10倍以上の水を吸収する高分子であることが好ましく、自重の100倍以上の水を吸収する高分子であることがより好ましい。
上記高吸水性高分子(B)としては、特に限定されず、例えば、ポリアクリル酸塩系、ポリアルギン酸塩系、ポリビニルアルコール−アクリル酸塩系、アクリル酸塩−アクリルアミド系、ポリアセタールカルボキシレート系、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール系、カルボキシメチルセルロース系、ポリアクリロニトリル系架橋体等が挙げられる。これらの高吸水性高分子(B)は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機物(A)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)との配合比は、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)から得られる活物質100質量部に対して、有機物(A)から得られる炭素重量で0.5質量部以上2.5質量部以下であることが好ましい。実際の配合量は加熱炭化による炭化量(炭素源の種類や炭化条件)により異なるが、おおむね0.7質量部から6質量部程度である。
また、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)との配合比〔(B)/(C)〕は、好ましくは0.1/100〜10/100、より好ましくは0.2/100〜5/100である。上記範囲内とすることで、電極活物質の結晶子径を前述の範囲内とすることができる。
有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを水に溶解又は分散させて、混合物スラリーを調製する。有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを水に溶解又は分散させる方法としては、特に限定されないが、例えば、遊星ボールミル、振動ボールミル、ビーズミル、ペイントシェーカー、アトライタ等の分散装置を用いることができる。
また、有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを水に溶解又は分散する際には、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)を水に分散させた後、有機物(A)と、高吸水性高分子(B)とを添加し撹拌することが好ましい。
得られた混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒する。該混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥する際のスラリー濃度を適宜調整することで、炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径を調整することができる。混合物スラリー濃度としては、好ましくは2〜65質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
スラリー濃度を上記範囲内とすることで、炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径を前述の範囲内とすることができる。
(第二工程)
本工程は、第一工程で得られた造粒物(混合物)を加湿して、固形物を得る工程である。
第一工程で得られた造粒物を加湿すると、該造粒物中の高吸水性高分子(B)が膨潤するため、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)の粒子間隙が拡大し、該電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)の粒子間で物質移動が抑制される。これにより、後述する熱処理の際に、高温で加熱しても該粒子の成長、及び焼結が起こりにくくなり、電極活物質の結晶子径、及び炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径をそれぞれ前述の範囲内とすることができる。
上記加湿は、温度25℃〜40℃、相対湿度75%〜100%で30分〜48時間行うことが好ましく、温度25℃〜35℃、相対湿度85%〜100%で1〜12時間行うことがより好ましい。
(第三工程)
本工程は、第二工程で得られた固形物を非酸化性雰囲気下、600℃以上1000℃以下で熱処理する工程である。
非酸化性雰囲気としては、窒素(N)、アルゴン(Ar)等の不活性雰囲気が好ましく、より酸化を抑えたい場合には水素(H)等の還元性ガスを数体積%程度含む還元性雰囲気が好ましい。また、熱処理時に非酸化性雰囲気中に蒸発した有機分を除去する目的で、酸素(O)等の支燃性または可燃性ガスを不活性雰囲気中に導入してもよい。
熱処理は、600℃以上1000℃以下、好ましくは700℃以上900℃以下の範囲内の温度で、1〜24時間、好ましくは1〜6時間行う。
熱処理温度が600℃未満では、有機物の炭化が不十分となり、電子伝導性を高めることができないおそれがあり、1000℃超過では、活物質の分解が生じたり、粒子成長を抑制できないおそれがある。
また、昇温速度は、好ましくは10℃/分以上、より好ましくは20℃/分以上で行う。10℃/分以上とすることで、第二工程で膨潤した高吸水性高分子の乾燥収縮が抑制され、電極活物質の粒子成長、及び焼結を起こしにくくすることができる。
本実施形態の製造方法によれば、高温加熱しても電極活物質の粒子成長及び焼結を起こりにくくすることができるため、より少ない有機物量でも高温炭化することが可能であり、炭素を過剰に含むことなく、より高電子伝導性の炭素質で被覆された微細で高反応性の電極活物質を含む電極材料を容易に得ることができる。このようにして得られる電極材料は、電極密度を高めることができ、電池を形成した場合に、高速充放電レートにおける放電容量を高めるとともに、高速での充放電を可能にすることができる。また、本発明の電極材料は、比表面積が大きく微小粒子径であるため、特に、電極活物質表面での電荷移動反応や粒子内部におけるイオン拡散性が低下する低温の反応においても、良好な反応性を示す。
本実施形態の製造方法は、電極活物質の種類によらず適応可能であるが、低コスト、低環境負荷で、電子伝導性の低いオリビン型リン酸塩系電極材料の製造方法として特に有効である。
[電極]
本実施形態の電極は、上述の電極材料を用いてなる。
本実施形態の電極を作製するには、上述の電極材料と、バインダー樹脂からなる結着剤と、溶媒とを混合して、電極形成用塗料又は電極形成用ペーストを調製する。この際、必要に応じてカーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛等の導電助剤を添加してもよい。
結着剤、すなわちバインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)樹脂、フッ素ゴム等が好適に用いられる。
電極材料とバインダー樹脂との配合比は、特に限定されないが、例えば、電極材料100質量部に対してバインダー樹脂を1質量部〜30質量部、好ましくは3質量部〜20質量部とする。
電極形成用塗料又は電極形成用ペーストに用いる溶媒としては、バインダー樹脂の性質に合わせて適宜選択すればよい。
例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール:IPA)、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類、ジエチルエーテル、エチレングルコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングルコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングルコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、アセチルアセトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類等を挙げることができる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
次いで、電極形成用塗料又は電極形成用ペーストを、金属箔の一方の面に塗布し、その後、乾燥し、上記の電極材料とバインダー樹脂との混合物からなる塗膜が一方の面に形成された金属箔を得る。
次いで、塗膜を加圧圧着し、乾燥して、金属箔の一方の面に電極材料層を有する集電体(電極)を作製する。
このようにして、直流抵抗を低下させ、より高電位であり、放電容量を高めることができる電極を作製することができる。
[リチウムイオン電池]
本実施形態のリチウムイオン電池は、上述の電極からなる正極を備える。
このリチウムイオン電池は、上述の電極材料を用いて電極を作製することにより、電極の内部抵抗を小さくすることができる。したがって、電池の内部抵抗を低く抑えることができ、その結果、電圧が著しく低下するおそれもなく、高速の充放電を行うことができるリチウムイオン電池を提供することができる。
本実施形態のリチウムイオン電池では、負極、電解液、セパレーター等は特に限定されない。例えば、負極としては、金属Li、炭素材料、Li合金、LiTi12等の負極材料を用いることができる。また、電解液とセパレーターの代わりに、固体電解質を用いてもよい。
本実施形態のリチウムイオン電池は、本実施形態の電極からなる正極を備えるため、より高電位であり、高い放電容量を有する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
例えば、本実施例では、導電助剤としてアセチレンブラックを用いているが、カーボンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛などの炭素材料を用いてもよい。また、対極にLiTi12を用いた電池で評価しているが、当然ながら天然黒鉛、人造黒鉛、コークスのような炭素材料、Li金属やLi合金等の負極材料を用いてもよい。また、非水電解液(非水電解質溶液)として1mol/LのLiPFを含む炭酸エチレンと炭酸ジエチルを体積%で1:1に混合したものを用いているが、LiPFの代わりにLiBFやLiClO、炭酸エチレンの代わりにプロピレンカーボネートやジエチルカーボネートを用いてもよい。また電解液とセパレーターの代わりに固体電解質を用いてもよい。
<製造例1:電極活物質(LiFe0.1898Mn0.80Mg0.01Ca0.0002PO)の製造>
以下のようにして、LiFe0.1898Mn0.80Mg0.01Ca0.0002POを合成した。
Li源としてLiOH、Fe源としてFeSO、Mn源としてMnSO、Mg源としてMgSO、Ca源としてCa(OH)、P源としてNHPOを用い、これらを物質量比でLi:Fe:Mn:Mg:Ca:P=2.5:0.1898:0.80:0.01:0.0002:1となるように水と混合して、250mlの原料スラリーαを調製した。次いで、この原料スラリーαを耐圧容器に入れた。その後、この原料スラリーαについて、185℃にて16時間、加熱反応を行い、水熱合成を行った。反応後、耐熱容器内の雰囲気が室温(25℃)になるまで冷却して、ケーキ状態の反応生成物の沈殿物を得た。この沈殿物を蒸留水で複数回、十分に水洗し、乾燥しないように含水率40%に保持し、ケーキ状物質とした。このケーキ状物質を若干量採取し、70℃で2時間真空乾燥させて得られた粉末をX線回折で測定したところ、斜方晶、空間群Pnmaの単相LiFe0.1898Mn0.80Mg0.01Ca0.0002POが形成されていることが確認された。
<製造例2:電極活物質(LiFe0.2948Mn0.67Mg0.03Ca0.0002Co0.005PO)の製造>
Cо源として、CоSOを用い、物質量比でLi:Fe:Mn:Mg:Ca:Cо:P=2.5:0.2948:0.67:0.03:0.0002:0.005:1として混合スラリーを作製したこと以外は製造例1と同様にして、斜方晶、空間群Pnmaの単相LiFe0.2948Mn0.67Mg0.03Ca0.0002Co0.005POを得た。
<実施例1>
製造例1で得られたLiFe0.1898Mn0.80Mg0.01Ca0.0002PO(電極活物質)19gと、炭化触媒として、LiFePO 1g相当の炭酸Li−酢酸鉄(II)−リン酸(Li:Fe:P=1:1:1)混合溶液とを用い、炭素源としてポリビニルアルコール(PVA)1.1g、高吸水性高分子としてポリアクリル酸ナトリウム0.05gを用い総量で100gとなるように水に混合し、5mmφのジルコニアボール150gとともにボールミルで粉砕混合して、スラリー(混合物)を得た。
次いで、得られたスラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒した。その後、得られた造粒物を高湿度環境(30℃、相対湿度100%RH)で1時間静置し、ポリアクリル酸ナトリウム(高吸水性高分子)を膨潤させた後、窒素(N)雰囲気下、昇温速度20℃/分で昇温し、温度770℃で4時間、熱処理を行い、炭素質被覆電極活物質を含む電極材料を得た。
<実施例2>
高吸水性高分子として、ポリアクリル酸ナトリウムの代わりにポリアルギン酸ナトリウムを用いた以外は実施例1と同様にして炭素質被覆電極活物質を含む電極材料を得た。
<実施例3>
製造例2で得られたLiFe0.2948Mn0.67Mg0.03Ca0.0002Co0.005PO(電極活物質)19gを活物質として用いた以外は実施例1と同様にして、炭素質被覆電極活物質を含む電極材料を得た。
<実施例4>
高吸水性高分子としてポリアクリル酸ナトリウムの代わりにポリアルギン酸ナトリウムを用いた以外は実施例3と同様にして炭素質被覆電極活物質を含む電極材料を得た。
<実施例5>
実施例1と同様にして得られた造粒物を、100cmの矩形容器に均一に広げた後、該造粒物に重量の1%相当の水を霧吹きでかけることで、高吸水性高分子を膨潤させた。次いで、窒素(N)雰囲気下、昇温速度20℃/分で昇温し、温度770℃で4時間、熱処理を行い、炭素質被覆電極活物質を含む電極材料を得た。
<比較例1>
高吸水性高分子を添加しなかった以外は実施例1と同様にして比較例1の電極材料を得た。
<比較例2>
実施例1の工程と同様にスラリーを乾燥造粒した後、得られた造粒体中の高吸水性高分子を膨潤させないように、該スラリーをスプレードライヤーで乾燥した直後に、窒素(N)雰囲気下、昇温速度20℃/分で昇温し、温度770℃で4時間、熱処理を行い、比較例2の電極材料を得た。
<比較例3>
熱処理時の昇温速度を1.5℃/分に変更した以外は実施例1と同様にして比較例3の電極材料を得た。
<比較例4>
高吸水性高分子を添加しなかった以外は実施例3と同様にして比較例4の電極材料を得た。
<リチウムイオン電池の作製>
実施例及び比較例で得られた電極材料と、導電助剤としてアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、電極材料:AB:PVdF=90:5:5の重量比で、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に混合し、正極材料ペーストとした。得られたペーストを、厚さ30μmのアルミニウム箔上に塗布、乾燥後、所定の密度となるように圧着して電極板とした。
得られた電極板を3×3cm(塗布面)+タブしろの板状に打ち抜き、タブを溶接して試験電極を作製した。
一方、対極には同様にLiTi12を塗布した塗布電極を用いた。セパレーターとしては、多孔質ポリプロピレン膜を採用した。また、非水電解液(非水電解質溶液)として1mol/Lのヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)溶液を用いた。なお、このLiPF溶液に用いられる溶媒としては、炭酸エチレンと炭酸ジエチルを体積%で1:1に混合し、添加剤として炭酸ビニレン2%を加えたものを用いた。
そして、以上のようにして作製した試験電極、対極および非水電解液を用いて、ラミネート型のセルを作製し、実施例および比較例の電池とした。
〔電極材料の評価〕
実施例及び比較例で得られた電極材料、及び該電極材料が含む成分について物性を評価した。評価方法は、以下の通りである。
(1)電極活物質格子体積の評価
電極活物質の格子体積変化は以下の様に測定した。
まず、X線回折測定(X線回折装置:商品名:X’Pert PRO MPS、PANalytical社製、線源:CuKa)により、電極活物質材料の結晶格子定数(a, b, c)を求め、格子体積(V1=a×b×c)を算出した。
次に、以下の様にして、電極活物質材料から化学的にLiを脱離した後、同様にX線回折測定により、Li脱離後の電極活物質材料の結晶格子定数(a’, b’, c’)を求め、格子体積(V2=a’×b’×c’)を算出した。結果を表1に示す。
「化学的Li脱離」
アセトニトリル中に酸化剤としてNOBFを添加した溶液に、実施例及び比較例の電極活物質材料を混合し、15時間撹拌することにより、化学的Li脱離を行った。
NOBFの添加量は、脱離するLi量に対して1.1倍等量とした。
Li脱離処理後に、ろ過による固液分離を行い、アセトンで洗浄した後、真空乾燥機内で50℃にて24時間乾燥させてサンプルとした。
(2)電極活物質の結晶子径
電極活物質の結晶子径は、X線回折測定(前述)により測定した粉末X線回折図形の(020)面の回折ピークの半値幅、及び回折角(2θ)を用い、シェラーの式により算出した。結果を表2に示す。
(3)炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径
炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)観察により測定した200個以上の一次粒子の粒子径を個数平均することで求めた。結果を表2に示す。
(4)炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径
ポリビニルピロリドン0.1%を水に溶解した分散媒に電極材料を懸濁させて、レーザー回折式粒度分析装置(株式会社堀場製作所製、LA−920)を用いて測定した。結果を表2に示す。
(5)炭素質被覆電極活物質の炭素含有量
炭素分析計(株式会社堀場製作所製、炭素硫黄分析装置EMIA−810W)を用いて、炭素質被覆電極活物質の炭素含有量(質量%)を測定した。結果を表2に示す。
(6)炭素質被覆電極活物質の比表面積
比表面積計(マイクロトラック・ベル株式会社製、商品名:BELSORP−mini)を用いて、炭素質被覆電極活物質の比表面積を、窒素(N)吸着によるBET法により測定した。結果を表2に示す。
(7)電極材料の圧粉体抵抗
電極材料を金型に投入して50MPaの圧力にて成形し、試料を作製した。低抵抗率計(三菱化学株式会社製、商品名:Loresta−GP)を用いて、25℃にて四端子法により、試料の粉体抵抗値(Ω・cm)を測定した。結果を表2に示す。
(8)ラマン分光測定
ラマン分光装置(株式会社堀場製作所製、LabRab HR evolution UV-VIS-NIR)を用いて、電極材料のラマンスペクトルを測定した。
この測定により得られたラマンスペクトルについてガウス関数とローレンツ関数の畳込みでフィッティング処理を行い(解析ソフト:LabSpec6、関数名:GaussLor(株式会社堀場製作所製))、得られたDバンドのピーク強度(I)及びGバンドのピーク強度(I)からDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)を算出した。結果を表2に示す。
(9)NMP吸油量
あまに油の代わりにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して、電極材料のNMP吸油量を測定した。結果を表2に示す。
(10)DBP吸油量
あまに油の代わりにフタル酸ジブチル(DBP)を用いた点を除いて、JIS K 5101−13−1「精製あまに油法」に準拠して、電極材料のDBP吸油量を測定した。結果を表2に示す。
(11)吸油量比(DBP/NMP)
上記(9)で測定したNMP吸油量及び上記(10)で測定したDBP吸油量から比(DBP/NMP)を算出した。
〔電極及びリチウムイオン電池の評価〕
実施例及び比較例で得られたリチウムイオン電池を用いて放電容量と充放電の直流抵抗(DCR)を測定した。なお、結果を表2に示す。
(1)放電容量
環境温度0℃にて、実施例及び比較例の電池で、カットオフ電圧を1.2−3V(vsLiTi12)とし、充電電流を1C、放電電流を3Cとして定電流充放電により放電容量を測定した。
(2)充放電の直流抵抗(DCR)
リチウムイオン電池について、環境温度0℃にて0.1Cの電流で5時間充電し、充電深度を調整した(充電率(SOC)50%)。SOC50%に調整した電池に、第1サイクルとして「1C充電を10秒→休止10分→1C放電を10秒→休止10分」、第2サイクルとして「3C充電を10秒→休止10分→3C放電を10秒→休止10分」、第3サイクルとして「5C充電を10秒→休止10分→5C放電を10秒→休止10分」、第4サイクルとして「10C充電を10秒→休止10分→10C放電を10秒→休止10分」を、この順で実施し、その際の各充電、放電時10秒後の電圧を測定した。各電流値を横軸に、10秒後の電圧を縦軸にプロットして近似直線を描き、近似直線における傾きをそれぞれ充電時の直流抵抗(充電DCR)、放電時の直流抵抗(放電DCR)とした。
(結果のまとめ)
実施例1〜5の電極材料は、高吸水性高分子の膨潤に伴う電極活物質の粒子間隙の拡張により、粒子間の物質移動が抑制され、高温での熱処理においても粒子の成長、焼結が抑制されたため、少量の炭素源添加(炭素量)でも、炭素質被膜の電子伝導性は十分に向上し、また、より高電位で放電容量が増加し、直流抵抗の低減が確認できた。
一方、比較例1及び4の電極材料は、高吸水性高分子を添加しないため、電極活物質の粒子間隙が拡張せずに、熱処理に伴う粒子の成長が起こり、その結果、放電容量が低下し、直流抵抗の増加が見られた。比較例2の電極材料は、高吸水性高分子を膨潤させていないため、電極活物質の粒子間隙が拡張せずに、熱処理に伴う粒子の成長が起こり、その結果、放電容量が低下し、直流抵抗の増加が見られた。比較例3の電極材料は、熱処理時の昇温速度が遅く、膨潤した高吸水性高分子が再び乾燥収縮してしまい、再度、電極活物質の粒子間隙が近接し、その後に高温炭化したことで、粒子の成長が起こり、その結果、放電容量が低下し、直流抵抗の増加が見られた。
本発明の電極材料は、リチウムイオン電池の正極として有用である。

Claims (8)

  1. 一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPO(但し、AはCo、Ni、Zn、AlおよびGaからなる群から選択される少なくとも1種、0≦w≦0.02、0.05≦x≦0.35、0.01≦y≦0.10、0.0001≦z≦0.001)で表され、結晶構造が斜方晶であり、空間群がPnmaである電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子と、
    前記電極活物質の一次粒子及び該一次粒子の集合体である二次粒子を被覆する炭素質被膜とを有する炭素質被覆電極活物質を含み、
    前記炭素質被覆電極活物質の一次粒子の平均粒子径が30nm以上200nm以下、X線回折測定における(020)面の半値幅から求めた結晶子径が30nm以上200nm以下であり、
    前記炭素質被覆電極活物質の二次粒子の平均粒子径が0.5μm以上60μm以下であり、
    前記炭素質被覆電極活物質のBET法により求めた比表面積が7m/g以上30m/g以下、炭素含有量が0.5質量%以上3.5質量%以下である電極材料。
  2. 前記一般式LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V1と、前記LiFeMn1−w−x−y−zMgCaPOから化学的にFeMn1−w−x−y−zMgCaを酸化しLiを脱離させたFeMn1−w−x−y−zMgCaPOの格子体積V2の変化率(V1−V2)/V1が0.06以上0.09以下である請求項1に記載の電極材料。
  3. ラマン分光測定により得られたラマンスペクトルのDバンド及びGバンドのピーク強度比(I/I)が1.10以上1.55以下であり、
    DBP吸油量及びNMP吸油量の比(DBP/NMP)が1.3以下である請求項1又は2に記載の電極材料。
  4. 前記炭素質被覆電極活物質を50MPaの圧力で成形した圧粉体の抵抗率が1MΩ・cm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極材料。
  5. 炭素源となる有機物(A)と、高吸水性高分子(B)と、電極活物質及び/又は電極活物質前駆体(C)とを含む混合物スラリーを、スプレードライヤーを用いて乾燥、造粒する第一工程と、
    前記第一工程で得られた造粒物を加湿して、固形物を得る第二工程と、
    前記第二工程で得られた固形物を非酸化性雰囲気下、600℃以上1000℃以下で熱処理する第三工程とを有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極材料の製造方法。
  6. 前記高吸水性高分子(B)は自重の10倍以上の水を吸収する高分子である請求項5に記載の電極材料の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極材料を用いてなる電極。
  8. 請求項7に記載の電極からなる正極を備えたリチウムイオン電池。
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