JP6061087B2 - 重合ロジンエステルの製造方法および該方法により得られる重合ロジンエステル - Google Patents

重合ロジンエステルの製造方法および該方法により得られる重合ロジンエステル Download PDF

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本発明は、重合ロジンエステルの製造方法および該方法により得られる重合ロジンエステルに関する。
ロジンエステルとは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン類と各種アルコールを脱水縮合して得られる樹脂状化合物である。ロジンエステルは、各種溶剤やポリマーへの溶解性や、各種基材に対する密着性に優れるため、接着剤、粘着剤、シーリング材、インキ、塗料、その他改質剤として広範に使用されている。
ところで、重合ロジンエステルは、ロジンエステルに比べて剛直で疎水性が高いため取扱いが容易でないためか、これまでポリマー原料を想定した工業的製造法などの実用的な検討が充分には進んでいない。しかし、重合ロジンエステルは、前記特性を有し、溶解性も満足しうる水準にあるため、潜在的に有用な素材であると言える。また、重合ロジンエステルのエステル基は、エステル交換反応などを利用して各種の高分子反応に適用できるため、各種誘導体を得るための有用原料となりうる。
従来、重合ロジンエステルの特性や商品価値の点から、淡色な重合ロジンエステルの開発が求められている。該課題を解決するための発明として、色調のよい重合ロジンエステルの製造法に関する発明が開示されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
特許文献1に記載の製造法では、精製ロジンを重合してなる精製重合ロジンをアルコールでエステル化し、ついで該エステルを水素化することが特徴とされている。また、特許文献2に記載の製造法では、硫酸系触媒を用いて得られた重合ロジンを脱硫処理してなる特定重合ロジンを水素化した後、アルコール類と反応させることが特徴とされている。また、特許文献3には、特許文献2記載の重合ロジンエステルが粘着付与剤として有用であることが記されている。
しかしながら、これら特許文献には、得られる重合ロジンエステルが色調、相溶性、粘接着特性に優れることは明示されているが、該重合ロジンエステルがポリマー合成用の原料として使用できる旨の明示や示唆は一切なされていない。
従来、ロジン誘導体は、基材(ポリマー等)に添加・混合して使用される例が多いが、該ポリマーと比べ低分子量であるため、ポリマー特性を低下させる懸念があった。そこで、ロジン誘導体をポリマー中に化学的に組み込む検討が行われて来た(例えば、特許文献4、5を参照)。
特許文献4には、ロジンアルコール等と環状ラクトンを開環重合して得られるラクトン変性ロジンを導入した、水性ポリウレタンが記載されている。しかしながら、該ポリウレタンは、ロジン成分の含有率が低く、またロジン成分がポリマーの主鎖では無く、末端または側鎖に導入されたものであるため、ロジンの特徴である剛直性や疎水性が十分に活かされなかった。
特許文献5には、ロジンと3価アルコールとの反応物をポリオール成分とする、ポリウレタン樹脂が記載されている。しかしながら、ロジンと3価アルコールとの反応物には、モノエステル(ジオール成分)、ジエステル(モノオール成分)、トリエステル(ヒドロキシル基を含有しない成分)等が混在する。そのため該反応物を用いた場合には、ウレタン化反応が十分に進行せず、また該ポリウレタン樹脂中に全く組み込まれない成分が残存することとなり、所望の高分子料樹脂を得ることは困難であった。またこの方法でも、ロジン成分がポリウレタン樹脂の末端または側鎖に導入されるため、ロジンの特徴が十分に発揮されなかった。
従って、ロジン部位をポリマー主鎖に導入するためには、分子中に2個のカルボキシル基を有する重合ロジンや、分子中に2個のエステル基を有する重合ロジンエステルや、分子中に2つの水酸基を有する重合ロジンアルコールのように、嵩高な重合ロジン骨格と複数の反応性官能基を有する化合物を用いることが望ましい。このように、ロジン部位をポリマー主鎖に導入することで、得られるポリマーの物性(耐水性、耐熱性等)を一層向上しうると期待される。特に二量体成分を多く含む高純度重合ロジンはもとより、それらの誘導体である該エステルや該アルコール(以下、併せて「高純度重合ロジン誘導体」という)を用いると、ポリマー主鎖への導入率を高めることができ、重合ロジン骨格の特徴を活かしたポリマー設計が可能となり、ポリエステル、ポリウレタン等のポリマー用の原料として好適に使用出来る。得られる当該ポリマーは、例えばトナー用樹脂、フイルム樹脂、塗料樹脂、粘接着剤樹脂、インキ用樹脂、コーティング樹脂、フォーム用樹脂、繊維用樹脂等への用途展開が考えられる。
しかしながら、これまで前記のような高純度重合ロジン誘導体を得ることは容易ではなく、これらはいまだに上市されていない。かかる理由は定かではないが、次のような要因が考えられる。高純度重合ロジン誘導体の原料となる市販重合ロジンは、重合ロジンとロジン酸との混合物(前者の含有率:55〜80重量%程度)であるため、これをエステル化または水素化しても高純度重合ロジン誘導体が得られないことや、重合ロジンのカルボンキシル基は反応性が低いため、これを直接エステル化または直接還元しても高反応率とならないことも一因と推察される。
特開2002−201434号公報 特開2008−231373号公報 特開2008−266596号公報 特開平8−253550号公報 特開昭57−133114号公報
本発明は、淡色で、しかも二量体成分の含有率が高い、高純度の重合ロジンエステルを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、市販の重合ロジンには、(1)ロジン酸の三量体以上の高分子量体成分、(2)カルボキシル基を2つ有する二量体成分(以下、ジカルボキシ二量体という)、(3)重合反応時の副反応(ロジンの脱炭酸)に伴って生じる、カルボキシル基が1つ脱離した二量体成分(以下、モノカルボキシ二量体という)、ならびに(4)未反応のロジン酸などが含まれていることを見出した。また、本発明者は、重合ロジンを高純度化するために、副成分(例えば、未反応ロジン酸)を減圧留去しようとすると、脱炭酸反応や高分子量化反応が進行して前記モノカルボキシ二量体や高分子量体が却って増加することを見出した。すなわち、低純度重合ロジンをアルコールとともにエステル化しても目的とする高純度重合ロジンエステルは得られず、また低純度重合ロジンエステルから副成分(高分子量体、重合ロジンモノエステル、未反応ロジンエステルなど)を除去することも困難であるとの知見を得た。
前記知見に基づき、本発明者は更に鋭意検討を行った結果、特定の重合ロジンエステルを使用し、これを特定の水素化条件下で処理して初めて上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステル(a)を、白金族金属単体を担持した触媒または白金族金属単体の存在下に水素圧4〜20MPa、および180〜300℃の条件下にて水素化処理することを特徴とする淡色重合ロジンエステル(A)の製造方法に関する。また本発明は、該製造方法により得られる重合ロジンエステル(A)に関する。
本発明によれば、二量体成分の含有率が高い、高純度の淡色重合ロジンエステル(A)を得ることができる。本発明の淡色重合ロジンエステル(A)は、二量体成分の含有率が高いため、剛直で疎水性が高いなどの物性を示す。更には、本発明の淡色重合ロジンエステル(A)は、二量体成分の含有率が高いため、ポリマー主鎖の構成成分として好適であり、重合ロジン骨格の特徴を最大限に活かしたポリマーを設計するのに役立つ。
本発明の製造方法では、特定の原料、すなわちロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステル(a)を使用すること(以下、要件(1)という)、ならびに該重合ロジンエステル(a)を特定の条件下で水素化処理すること(以下、要件(2)という)が必要である。
要件(1)である重合ロジンエステル(a)としては、特定の原料ロジンエステルを触媒の存在下に重合してなるものであり、これを精製して得られるものを好ましく使用できる。前記の原料ロジンエステルとしては、天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)と炭素数1〜5の1価アルコールとからなるエステル類が挙げられる。なお、該天然ロジンは、得られる重合ロジンエステルの色調を考慮すると、蒸留、再結晶等の精製処理を施して用いるのが好ましく、該精製ロジンの色調は、ガードナー色数で2以下、より好ましくは1以下のものとされる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、i−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール等が挙げられる。該重合ロジンエステルの色調は、通常、ガードナー色数で10以下とされる。
該エステル化においては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、(1)天然ロジンに含まれる樹脂酸(以下、ロジン酸という)の酸塩化物(ロジン酸クロライド)と前記アルコールとを反応させる方法や、(2)加圧下でロジン酸とアルコールを一定時間反応させた後、アルコールと水の混合溶液を除去し、さらに系内にアルコールを追加し、同様の操作を繰り返して反応させる方法などが挙げられる。なお、ロジン酸からロジン酸クロライドに誘導する方法としては、塩化チオニル法が好ましい。
前記の重合反応条件は、格別に限定されるものではなく、従来公知の条件から適宜に選択して決定される。例えば、原料ロジンエステルを下記のような触媒の存在下、必要に応じて有機溶媒の存在下に重合させればよい。
該重合触媒としては、三フッ化ホウ素又はその錯体、硫酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等の各種公知の触媒が知られているが、本発明では、重合ロジンエステル(a)製造時の重合反応性や得られる淡色重合ロジンエステル(A)の色調を考慮して、硫黄を含有しない重合触媒を用いることが好ましい。硫黄を含有しない重合触媒としては、ギ酸、酢酸、塩化亜鉛及び三フッ化ホウ素もしくはその錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、中でもギ酸、酢酸が取り扱いやすいため特に好ましく使用できる。
前記の有機溶媒としては、原料ロジンエステルの重合反応を阻害しないものであれば、特に限定なく使用できる。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系炭化水素;四塩化炭素、二塩化エチレン、トリクロルエタン、テトラトリクロルエタン等のハロゲン系炭化水素などを例示でき、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。本発明では、使用溶媒の回収再利用が容易であることを考慮すると、該有機溶媒のうちでも芳香族系炭化水素又はカルボキシル基含有有機酸が好ましく、なかでもキシレンやギ酸が最適である。本発明では、該有機溶媒の使用量は特に限定されないが、通常は用いる原料ロジンエステルに対し5〜900重量%の範囲とされ、更に好ましくは10〜500重量%である。なお、前記溶剤として、酢酸、プロピオン酸、酪酸、及びこれらの無水物、ギ酸、クロル酢酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸も例示しうるが、当該有機酸溶剤は前記重合触媒としても兼用出来る。
前記重合反応は、通常、40〜200℃程度で、0.5〜24時間程度の条件下で行うことができる。該重合反応が終了した後、使用溶剤、触媒、未反応原料ロジンエステル、分解物などを該反応系から除去することにより、要件(1)に該当する重合ロジンエステル(a)を収得できる。なお、触媒除去方法としては、水洗、アルカリ中和、ろ過等を採用でき、また未反応原料ロジンエステルや分解物の除去方法としては、減圧蒸留が好ましい。減圧蒸留は、通常、200〜290℃、減圧度60〜8000Paの条件で実施しうる。
ついで、要件(2)について説明する。前記の重合ロジンエステル(a)を水素化処理して目的の高純度重合ロジンエステル(A)を得るためには、特定の触媒を用い、特定の温度、特定の圧力条件で水素化処理することが必要である。
該水素化触媒としては、パラジウムカーボン、ロジウムカーボン、ルテニウムカーボン、白金カーボンなどの担持触媒、白金などの金属粉末など、各種公知のものを使用することができる。これらは、水素化効率(水素化率が良い、水素化時間が短い)の点で好ましい。該触媒の使用量は重合ロジンエステル(a)100重量部に対し、通常0.01〜5重量部程度、好ましくは0.01〜2.0重量部である。
該水素圧は、4〜20MPa程度、好ましくは5〜15MPaであり、還元温度は180℃〜300℃程度、好ましくは200℃〜280℃であり、反応時間は通常、0.5〜24時間程度、好ましくは1〜15時間程度である。水素圧が4MPaに満たない場合は、所望の水素化が進行せず、目的とする淡色重合ロジンエステル(A)を収得できない。また水素圧が20MPaを超える場合は、用いる設備の耐圧条件が厳しくなるため、得られる製品の価格上昇につながる。
前記の水素化処理は、重合ロジンエステル(a)を加熱溶融状態で行ってもよいし、溶剤に溶解させた状態で行ってもよい。該溶剤は、用いる重合ロジンエステル(a)および得られる重合ロジンエステルが溶解しやすい溶剤であれば、特に限定されない。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。該溶剤の使用量は特に限定されないが、重合ロジンエステル(a)100重量部に対して、通常1〜1000重量部程度、好ましくは50〜300重量部である。
本発明の製造方法により得られる淡色重合ロジンエステル(A)は、ガードナー色数が1以下、好ましくはハーゼン水準であり、軟化点が100〜120℃、好ましくは105〜115℃であり、酸価が10mgKOH/g以下、好ましくは5mgKOH/g以下であり、鹸化価が160mgKOH/g以上、好ましくは170〜190mgKOH/gである。また、重合ロジンエステル(A)における二量体成分の含有率は、80重量%以上であり、好ましくは85重量%以上である。なお、酸価が10mgKOH/gを超える場合は脱炭酸が生じやすくなるなどの不利がある。鹸化価は、エステル結合の量を示す指標であるため、鹸化価が160mgKOH/g未満の場合は不純物(重合ロジンのモノカルボン酸体、ロジンの脱炭酸物など)の含有量が相対的に高くなる。そのため該重合ロジンエステルを用いてポリマー合成した場合は、得られるポリマーの分子量が低くなりやすい。
以下に実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、特記しない限り、%は重量基準である。なお、色調、軟化点、酸価および鹸化価の測定、ならびにロジン二量体成分の確認および各種ロジン成分の構成比率の算出は、以下の方法による。
(色調)
重合ロジンエステル(a)および淡色重合ロジンエステル(A)の色調(ガードナー色数)は、JIS 5902に準拠して目視観察した。
(軟化点)
重合ロジンエステル(a)および淡色重合ロジンエステル(A)の軟化点は、環球法(JIS K 2425準拠)により測定した。
(酸価)
重合ロジンエステル(a)および淡色重合ロジンエステル(A)の酸価は、JIS K 0070に準拠して測定した。
(鹸化価)
淡色重合ロジンエステル(A)の鹸化価は、以下の方法で測定した。100mLナスフラスコに試料1.5g、0.5Nエタノール性KOH溶液25mL、n−ヘキサノールを10g採り、加熱してエタノールを除去しつつ、150℃で3時間還流させた。冷却後、脱イオン水とエタノールを適量追加し、フェノールフタレイン溶液を指示薬として0.5N塩酸で逆滴定を行い、鹸化価を決定した。
(モノカルボン酸体の確認方法)
モノカルボン酸体の含有率は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって測定した。GC−MSは、アジレントテクノロジー社製
Agilent6890(GC)及びAgilent5973N(MS)を使用し、カラムはアジレントテクノロジー社製DB−5を使用した。なお、各実施例および各比較例で得られた重合ロジンエステルは、トルエン及びメタノールの1:1混合溶液に溶解させて測定した。モノカルボン酸体量は、該混合溶液に溶解させた後、トリメチルシリルジアゾメタン10%ヘキサン溶液を数滴加え、重合ロジンメチルエステルに誘導したのち分析した。モノカルボン酸体は、リテンションタイム24〜32分に検出されるm/z;574のすべてのピークを指し、ジカルボン酸体はリテンションタイム33〜44分に検出されるm/z;632のすべてのピークを指す。
(各種ロジン成分の構成比率の算出方法)
本発明における各種ロジン成分の構成比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は東ソー(株)製HLC-8220を、カラムは東ソー(株)製「Tskgelカラム」を用い、溶媒をTHFとし、送液量1.0ml/minで測定した。得られた各成分のピーク面積比を、ロジンの三量体成分、二量体成分、ロジン成分及び分解物の構成比率とした。
製造例1(重合ロジンエステル(a)の合成)
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、中国ガムロジンのメチルエステル(荒川化学工業(株)製、試作品)を900g、ギ酸900gを仕込み、窒素気流下103℃で15時間、重合反応を行なった。反応終了後にヘプタン900gを仕込み、ギ酸層を分液し、反応生成物のヘプタン溶液に水500gを加えて洗浄した後、更に各500gの水にて2回洗浄した。洗浄後のヘプタン溶液は液温200℃未満、減圧度6000Paの条件下でヘプタンを留去した後、更に液温275℃、減圧度150Paの条件下で精製ロジンの分解物及び未反応精製ロジンメチルエステルを留去して、重合ロジンメチルエステル(a1)360gを得た。重合ロジンメチルエステル(a1)の色調は8ガードナー、軟化点は114℃、酸価は2.7mgKOH/gであった。GC/MS測定により、重合ロジンメチルエステル(a1)中の二量体成分においては、モノカルボン酸体は検出されなかったため、二量体成分中の前記ジカルボン酸体の含有量は、ほぼ100%であると認められる。またGPC測定により、重合ロジンメチルエステル(a1)中のジカルボン酸体成分の含有率は94%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は3%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は3%であった。
製造例2
製造例1において、重合触媒であるギ酸900gに代えて酢酸900gを使用した他は同様に反応、洗浄および減圧操作を行い、重合ロジンメチルエステル(a2)360gを得た。重合ロジンメチルエステル(a2)の色調は7ガードナー、軟化点は115℃、酸価は2.2mgKOH/gであった。GC/MS測定により、重合ロジンメチルエステル(a2)中の二量体成分においては、モノカルボン酸体は検出されなかったため、二量体成分中の前記ジカルボン酸体の含有量は、ほぼ100%であると認められる。またGPC測定により、重合ロジンメチルエステル(a2)中のジカルボン酸体成分の含有率は93%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は3%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は4%であった。
比較製造例1
製造例1において、重合ロジンメチルエステル(a1)の減圧処理を行う前の重合ロジンエステル(色調は7ガードナー)を採取した(以下、比較用重合ロジンメチルエステル(ca1)という)。GC/MS測定により、比較用重合ロジンメチルエステル(ca1)中の二量体成分においては、モノカルボン酸体が検出されなかった。またGPC測定により、比較用重合ロジンメチルエステル(ca1)中のジカルボン酸体成分の含有率は56%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は41%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は3%、分解物の含有量は2%であった。
比較製造例2
製造例1において、重合触媒であるギ酸900gに代えて硫酸180gを使用し、キシレン900gを仕込み、窒素気流下、反応温度を50℃で1時間、重合反応を行った。反応生成物に水500gを加えて洗浄した後、同様に減圧操作を行い、重合ロジンメチルエステル(ca2)300gを得た。重合ロジンメチルエステル(ca2)の色調は10ガードナー、軟化点は109℃、酸価は1.9mgKOH/gであった。GC/MS測定により、重合ロジンメチルエステル(ca2)中の二量体成分においては、モノカルボン酸体は検出されなかった。またGPC測定により、比較用重合ロジンメチルエステル(ca1)中のジカルボン酸体成分の含有率は90%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は4%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は6%であった。
実施例1(淡色重合ロジンエステル(A)の合成)
製造例1で得られた重合ロジンエステル(a1)を100g、5%パラジウムカーボン(50%含水、エヌ・イー ケムキャット社製)5gを0.3L回転式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素で8MPaまで加圧し、220℃まで昇温し3時間反応を行った。触媒を濾別し、淡色重合ロジンエステル(A1)を得た。重合ロジンエステル(A1)の物性を表1に示す。(以下、同様)
実施例2
製造例1で得られた重合ロジンエステル(a1)を90g、5%パラジウムカーボン(50%含水、エヌ・イー ケムキャット社製)4.5g、キシレン60gを0.3L回転式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素で9MPaまで加圧し、240℃まで昇温し3時間反応を行った。触媒を濾別しキシレンを除去し、淡色重合ロジンエステル(A2)を得た。
実施例3
実施例1において、重合ロジンエステル(a1)に代えて重合ロジンエステル(a2)を用いた他は、同様に水素化処理および濾別を行い、淡色重合ロジンエステル(A3)を得た。
比較例1
実施例1において、重合ロジンエステル(a1)に代えて比較用重合ロジンメチルエステル(ca1)を用いた他は、同様に水素化処理および濾別を行い、淡色重合ロジンエステル(CA1)を得た。
比較例2
実施例1において、重合ロジンエステル(a1)に代えて比較用重合ロジンメチルエステル(ca2)を用いた他は、同様に水素化処理および濾別を行い、淡色重合ロジンエステル(CA2)を得た。
比較例3
実施例1において、水素圧8MPaに代えて3MPaとした他は、同様に水素化処理および濾別を行い、淡色重合ロジンエステル(CA3)を得た。
(得られた各種重合ロジンエステルの物性)
Figure 0006061087
参考例1〜3(ポリエステル用原料(ジカルボン酸エステル成分)としての性能評価)
温度計、分水器、窒素導入管および攪拌機を備えた反応装置に、実施例1〜3で得られた淡色重合ロジンエステル(A1〜A3)をそれぞれ200部、1,5−ペンタンジオール70部、およびテトラブチルチタネート1部を仕込んだ。内容物が加熱溶融して攪拌できるようになったら攪拌を開始して、留出するメタノールを系外に除きながら235℃まで昇温し、5時間保温した。ついで、トリメチロールプロパン3部、2−メチル−1,3−プロパンジオール55部、およびシクロヘキサンカルボン酸130部を仕込み、窒素気流下に195℃から3.5時間かけて245℃まで昇温し、更に2.5時間保温した。次に分水器を真空減圧装置に替え、0.4kPaで6.5時間、減圧重縮合反応を行って、各種のポリエステルを得た(順にPE1〜PE3という)。得られた各種ポリエステルの性状(色調、数平均分子量、軟化点)を表2に示す。なお、数平均分子量は、ゲルパーメーションクロマトグラフィー法(測定装置:東ソー(株)製HLC-8120、カラム:TSKgelG2000H、TSKgelG4000H)によるポリスチレン換算値である。
比較参考例1〜3
参考例1〜3において、淡色重合ロジンエステル(A1〜A3)に代えて、順に比較用重合ロジンエステル(C1〜C3)を用いた他は、同様に反応を行い、各種のポリエステルを得た(順にPEC1〜PEC3という)。
Figure 0006061087
表1の結果から、本発明の製造法により得られる淡色重合ロジンエステル(A)は、比較用重合ロジンエステルに比べて、色調が良好であり、かつ高純度(鹸化価が高く、二量体含有量が多い)であることが明らかである。また表2の結果から、淡色重合ロジンエステル(A)を用いてなるポリエステルが、比較用ポリエステルに比べて、色調が良好であり、数平均分子量および軟化点が高いことが明らかである。すなわち、淡色重合ロジンエステル(A)は比較用重合ロジンエステルに比べて、ポリマー合成原料としての優位性が高いことが認められる。

Claims (7)

  1. ロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステル(a)を、白金族金属単体を担持した触媒または白金族金属単体の存在下に水素圧4〜20MPa、および180〜300℃の条件下にて水素化処理することを特徴とする淡色重合ロジンエステル(A)の製造方法。
  2. 重合ロジンエステル(a)が、硫黄を含有しない重合触媒の存在下にロジンエステルを重合して得られるものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記の重合触媒が、ギ酸、酢酸、塩化亜鉛及び三フッ化ホウ素もしくはその錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記の重合触媒がギ酸または酢酸である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記の白金族金属単体を担持した触媒または白金族金属単体パラジウム金属単体を担持した触媒またはパラジウム金属単体である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記の水素化における水素圧が5〜15MPaであり、かつ反応温度が200〜280℃である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 淡色重合ロジンエステル(A)が、ガードナー色数が1以下、軟化点が100〜120℃、酸価が10mgKOH/g以下、および鹸化価が160mgKOH/g以上のものである請求項1〜6いずれかに記載の製造方法。
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