JP6061140B2 - 重合ロジンアルコールの製造方法および該方法により得られる重合ロジンアルコール - Google Patents

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Description

本発明は、重合ロジンアルコールの製造方法および該方法により得られる重合ロジンアルコールに関する。
ロジンアルコールとは、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等のロジン類のカルボキシル基を水酸基に還元して得られる樹脂状化合物である。ロジンアルコールは、各種溶剤やポリマーへの溶解性や、各種基材に対する密着性に優れるため、接着剤、粘着剤、シーリング材、インキ、塗料、その他改質剤として広範に使用されている。
ところで、重合ロジンアルコールは、ロジンアルコールに比べて剛直で疎水性が高いため取扱いが容易でないためか、これまで工業的製造法など実用的な検討が充分には進んでいない。しかし、重合ロジンアルコールは、前記特性を有し、溶解性も満足しうる水準にあるため、潜在的に有用な素材であると言える。また、重合ロジンアルコールの水酸基は種々の反応に適用できるため、各種誘導体を得るための有用原料となりうる。
従来、ロジン誘導体は、基材(ポリマー等)に添加・混合して使用される例が多いが、該ポリマーと比べ低分子量であるため、ポリマー特性を低下させる懸念があった。そこで、ロジン誘導体をポリマー中に化学的に組み込む検討が行われて来た。例えば、ロジンアルコール等と環状ラクトンを開環重合して得られるラクトン変性ロジンを導入した、水性ポリウレタンが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、該ポリウレタンは、ロジン成分の含有率が低く、またロジン成分がポリマーの主鎖では無く、末端または側鎖に導入されたものであるため、ロジンの特徴である剛直性や疎水性が十分に活かされなかった。
また、ロジンと3価アルコールとの反応物をポリオール成分とする、ポリウレタン樹脂が知られている(特許文献2参照)。しかしながら、ロジンと3価アルコールとの反応物には、モノエステル(ジオール成分)、ジエステル(モノオール成分)、トリエステル(ヒドロキシル基を含有しない成分)等が混在する。そのため該反応物を用いた場合には、ウレタン化反応が十分に進行せず、また該ポリウレタン樹脂中に全く組み込まれない成分が残存することとなり、所望の高分子料樹脂を得ることは困難であった。またこの方法でも、ロジン成分がポリウレタン樹脂の末端または側鎖に導入されるため、ロジンの特徴が十分に発揮されなかった。
従って、ロジン部位をポリマー主鎖に導入するためには、分子中に2個のカルボキシル基を有する重合ロジンや、分子中に2つの水酸基を有する重合ロジンアルコールのように、笠高な重合ロジン骨格と複数の反応性官能基を有する化合物を用いることが望ましい。このように、ロジン部位をポリマー主鎖に導入することで、得られるポリマーの物性(耐水性、耐熱性等)を一層向上しうると期待される。特に二量体ジオール成分を多く含む高純度重合ロジンアルコールを用いると、ポリマー主鎖への導入率を高めることができ、重合ロジン骨格の特徴を活かしたポリマー設計が可能となり、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等のポリマー用の原料として、更には(メタ)アクリルエステル用の原料として好適に使用できる。高純度重合ロジンアルコールを用いてなる当該ポリマーは、例えばトナー用樹脂、フイルム樹脂、塗料樹脂、粘接着剤樹脂、インキ用樹脂、コーティング樹脂、フォーム用樹脂、繊維用樹脂等への用途展開が考えられる。
しかしながら、これまで前記のような高純度の重合ロジンアルコールを得ることは容易ではなく、高純度の重合ロジンアルコールはいまだに上市されていない。高純度の重合ロジンアルコールの製造が容易でない理由は定かではないが、次のような要因が考えられる。重合ロジンアルコールの原料となる市販重合ロジンは、重合ロジンとロジン酸との混合物(前者の含有率:55〜80重量%程度)であるため、これを水素化しても高純度重合ロジンアルコールが得られないことや、重合ロジンのカルボンキシル基は反応性が低いため、これを直接還元しても高反応率とならないことも一因と推察される。
特開平8−253550号公報 特開昭57−133114号公報
本発明は、二量体成分の含有率が高い、高純度の重合ロジンアルコールを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、市販の重合ロジンには、(1)ロジン酸の三量体以上の高分子量体成分、(2)カルボキシル基を2つ有する二量体成分(以下、ジカルボキシ二量体という)、(3)重合反応時の副反応(ロジンの脱炭酸)に伴って生じる、カルボキシル基が1つ脱離した二量体成分(以下、モノカルボキシ二量体という)、ならびに(4)未反応のロジン酸などが含まれていることを見出した。また、本発明者は、重合ロジンを高純度化するために、副成分(例えば、未反応ロジン酸)を減圧留去しようとすると、脱炭酸反応や高分子量化反応が進行して前記モノカルボキシ二量体や高分子量体が却って増加することを見出した。すなわち、低純度重合ロジンを還元しても目的とする高純度重合ロジンアルコールは得られず、また低純度重合ロジンアルコールから副成分(高分子量体成分、重合ロジンモノオール、単量体のロジンアルコール)を除去することも困難であるとの知見を得た。
前記知見に基づき、本発明者は更に鋭意検討を行った結果、特定の重合ロジンエステルを使用し、これを特定の水素化条件下で還元して初めて上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステルを、銅酸化物系触媒の存在下に水素圧5〜30MPa、および180〜350℃の条件下にて水素化還元させることを特徴とする重合ロジンアルコールの製造方法に関する。また本発明は、該製造方法により得られる重合ロジンアルコールに関する。
本発明によれば、二量体成分の含有率が高い重合ロジンアルコールを得ることができる。本発明の重合ロジンアルコールは、二量体成分の含有率が高いため、剛直で疎水性が高いなどの物性を示す。更には、本発明の重合ロジンアルコールは、測定した水酸基価やGPCチャートから判断して、二量体ジオールを多く含有すると推定されるため、ポリマー主鎖の構成成分として好適であり、重合ロジン骨格の特徴を最大限に活かしたポリマーを設計するのに役立つ。また、本発明の重合ロジンアルコールの水酸基を利用することで、種々の2官能ロジン誘導体を収得できる。
本発明の製造方法では、特定の原料、すなわちロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステルを使用すること(以下、要件(1)という)、ならびに該重合ロジンエステルを特定の条件下で水素化還元すること(以下、要件(2)という)が必要である。
要件(1)である重合ロジンエステルとしては、特定の原料ロジンエステルを触媒の存在下に重合してなるものであり、これを精製して得られるものを好ましく使用できる。前記の原料ロジンエステルとしては、天然ロジン(ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン)と炭素数1〜5の1価アルコールとからなるエステル類が挙げられる。なお、該天然ロジンは、得られる重合ロジンエステルの色調を考慮すると、蒸留、再結晶等の精製処理を施して用いるのが好ましく、該精製ロジンの色調は、ガードナー色数で2以下、より好ましくは1以下のものとされる。前記アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、i−ブタノール、t−ブチルアルコール、ペンタノール等が挙げられる。該重合ロジンエステルの色調は、通常、ガードナー色数で10以下とされる。
該エステル化においては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。例えば、(1)天然ロジンに含まれる樹脂酸(以下、ロジン酸という)の酸塩化物(ロジン酸クロライド)と前記アルコールとを反応させる方法や、(2)加圧下でロジン酸とアルコールを一定時間反応させた後、アルコールと水の混合溶液を除去し、さらに系内にアルコールを追加し、同様の操作を繰り返して反応させる方法などが挙げられる。なお、ロジン酸からロジン酸クロライドに誘導する方法としては、塩化チオニル法が好ましい。
前記の重合反応条件は、格別に限定されるものではなく、従来公知の条件から適宜に選択して決定される。例えば、ロジンエステルを下記のような触媒の存在下、必要に応じて有機溶媒の存在下に重合させればよい。
該触媒は、格別限定されず、各種公知の触媒を用いることができ、具体例としては、三フッ化ホウ素又はその錯体、硫酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フッ化水素、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。反応性の観点から、硫酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩化亜鉛及び三フッ化ホウ素もしくはその錯体が特に好ましい。
前記の有機溶媒としては、ロジンエステルの重合反応を阻害しないものであれば、特に限定なく使用できる。具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等のケトン系炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系炭化水素;四塩化炭素、二塩化エチレン、トリクロルエタン、テトラトリクロルエタン等のハロゲン系炭化水素;酢酸、プロピオン酸、酪酸、及びこれらの無水物、ギ酸、クロル酢酸、乳酸等のカルボキシル基含有有機酸などを例示でき、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。本発明では、使用溶媒の回収再利用が容易であることを考慮すると、該有機溶媒のうちでも芳香族系炭化水素又はカルボキシル基含有有機酸が好ましく、なかでもキシレンやギ酸が最適である。本発明では、該有機溶媒の使用量は特に限定されないが、通常は用いるロジンエステルに対し5〜900重量%の範囲とされ、更に好ましくは10〜500重量%である。
前記重合反応は、通常、40〜200℃程度で、0.5〜24時間程度の条件下で行うことができる。該重合反応が終了した後、使用溶剤、触媒、未反応ロジンエステル、分解物などを該反応系から除去することにより、要件(1)に該当する重合ロジンエステルを収得できる。なお、触媒除去方法としては、水洗、アルカリ中和、ろ過等を採用でき、また未反応ロジンエステルや分解物の除去方法としては、減圧蒸留が好ましい。減圧蒸留は、通常、200〜290℃、減圧度60〜8000Paの条件で実施しうる。
ついで、要件(2)について説明する。前記の重合ロジンエステルを水素化還元して目的の高純度重合ロジンアルコールを得るためには、特定の触媒を用い、特定の温度、特定の圧力条件で還元反応を行うことが必要である。
該還元触媒としては、酸化銅、銅クロム酸化物、銅−バリウム−クロム酸化物、銅−マンガン−クロム酸化物、銅−バリウム−マンガン−クロム酸化物、亜鉛クロム酸化物、ラネーニッケル、酸化レニウム、ロジウム、白金、ルテニウム、2酸化ルテニウムや、これらをシリカ、アルミナ、カーボン、珪藻土などに担持させた担持触媒など各種公知のものを用いうる。これらの中では、酸化銅および銅クロム酸化物およびその担持触媒などの銅酸化物系触媒が、反応率が高いため好ましい。該触媒の使用量は重合ロジンエステル100重量部に対し、通常0.1〜20重量部程度、好ましくは1〜15重量部である。
該水素圧は、5〜30MPa程度、好ましくは10〜25MPaであり、還元温度は180℃〜350℃程度、好ましくは250℃〜300℃であり、反応時間は通常、1〜24時間程度、好ましくは3〜15時間程度である。
前記の還元反応は、重合ロジンエステルを加熱溶融状態で行ってもよいし、溶剤に溶解させた状態で行ってもよい。該溶剤は、用いる重合ロジンエステルおよび得られる重合ロジンアルコールが溶解しやすい溶剤であれば、特に限定されない。例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが挙げられ、これらは1種単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。該溶剤の使用量は特に限定されないが、重合ロジンエステル100重量部に対して、通常1〜1000重量部程度、好ましくは50〜300重量部である。なお、反応率向上のため、還元時に発生するアルコール成分を適宜に系外へ留去してもよい。
本発明の製造方法により得られる重合ロジンアルコールは、ガードナー色調が3以下、好ましくは1以下であり、軟化点が110〜150℃、好ましくは120〜140℃であり、酸価が3mgKOH/g以下、好ましくは1mgKOH/g以下であり、かつ水酸基価が130〜190mgKOH/g、好ましくは140〜190mgKOH/gである。また、該重合ロジンアルコールにおける二量体成分の含有率は、80重量%以上である。また、前記要件(1)を勘案すると、該重合ロジンアルコールは、該二量体成分中に一般式(2):HOHC−Y−CHOH(式中、Yはロジン二量体アルコールから2つのメチロール基を除いた残基を表す)で表される二量体ジオールを、70重量%以上含有すると推定される。該二量体ジオールの含有率は、水酸基を有するロジンユニット比率(総ロジンユニットに対する水酸基含有ロジンユニットを意味する)で表現することもでき、かかる含有率としては70モル%以上とされる。なお、該ロジンユニットとは、重合ロジン誘導体のモノマー単位である炭素数20のジテルペン構造を1ユニット(単位骨格)とみなす。
以下に実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、特記しない限り、%は重量基準である。なお、色調、軟化点、酸価、および水酸基価の測定、ならびにモノカルボキシ二量体の確認および各種ロジン成分の構成比率の算出は、以下の方法による。
(色調)
JIS K0071−2に準拠してガードナー色数を、JIS K0071−1に準拠してハーゼン色数を目視測定した。
(軟化点)
本発明における重合ロジンエステルおよび重合ロジンアルコールの軟化点は、環球法(JIS K 2425準拠)により測定した。
(酸価)
本発明における重合ロジンエステルおよび重合ロジンアルコールの酸価は、JIS K 0070に準拠して測定した。
(水酸基価)
本発明における重合ロジンアルコールの水酸基価は、JIS K 0070に準拠して測定した。
(モノカルボキシ二量体の確認方法)
モノカルボキシ二量体の含有率は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって測定した。GC−MSは、アジレントテクノロジー社製
Agilent6890(GC)及びAgilent5973N(MS)を使用し、カラムはアジレントテクノロジー社製DB−5を使用した。なお、実施例1〜6の重合ロジンエステルは、トルエン及びメタノールの1:1混合溶液に溶解させて測定した。比較例1〜4の重合ロジン酸は、該混合溶液に溶解させた後、トリメチルシリルジアゾメタン10%ヘキサン溶液を数滴加え、重合ロジンメチルエステルに誘導したのち分析した。モノカルボキシ二量体は、リテンションタイム24〜32分に検出されるm/z;574のすべてのピークを指し、ジカルボキシ二量体はリテンションタイム33〜44分に検出されるm/z;632のすべてのピークを指す。
(各種ロジン成分の構成比率の算出方法)
本発明における各種ロジン成分の構成比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPC装置は東ソー(株)製HLC-8220を、カラムは東ソー(株)製「Tskgelカラム」を用い、溶媒をTHFとし、送液量1.0ml/minで測定した。得られた各成分のピーク面積比を、ロジンの三量体成分、二量体成分、ロジン成分及び分解物の構成比率とした。
(水酸基を有するロジンユニット比率の算出方法)
水酸基を有するロジンユニット比率は、重合ロジンアルコールの水酸基価(測定値)より下式に基づき算出した(なお、ロジン1ユニットの分子量を300、水酸基を有するロジンユニットが100%であれば、水酸基価(計算値)は187となる)。水酸基を有するロジンユニット比率(%)=重合ロジンアルコールの水酸基価÷187×100
製造例1(重合ロジンエステルの合成)
冷却管、温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた反応装置に、中国ガムロジンのメチルエステル(荒川化学工業(株)製、試作品)を900g、ギ酸900gを仕込み、窒素気流下103℃で15時間、重合反応を行なった。反応終了後にヘプタン900gを仕込み、ギ酸層を分液し、反応生成物のヘプタン溶液に水500gを加えて洗浄した後、更に各500gの水にて2回洗浄した。洗浄後のヘプタン溶液は液温200℃未満、減圧度6000Paの条件下でヘプタンを留去した後、更に液温275℃、減圧度150Paの条件下で精製ロジンの分解物及び未反応精製ロジンメチルエステルを留去して、重合ロジンメチルエステル360gを得た。該重合ロジンメチルエステルの軟化点は114℃、酸価は2.7mgKOH/gであった。GC/MS測定により、該重合ロジンメチルエステル中の二量体成分においては、モノカルボキシ二量体は検出されなかったため、二量体成分中の前記ジカルボキシ二量体の含有量は、ほぼ100%であると認められる。またGPC測定により、該重合ロジンメチルエステル中のジカルボキシ二量体の含有率は94%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は3%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は3%であった。
製造例2
製造例1と同様の反応装置に、前記の中国ガムロジンメチルエステルを900g、キシレン300g、メタンスルホン酸36gを仕込み、窒素気流下145℃で2時間、重合反応を行なった。反応終了後、製造例1と同様に洗浄および減圧操作を行い、重合ロジンメチルエステル487gを得た。該エステルの軟化点は111℃、酸価は0.6mgKOH/gであった。GC/MS測定により、該重合ロジンメチルエステル中の二量体成分におけるモノカルボキシ二量体は検出されなかった。GPC測定により、該重合ロジンメチルエステル中のジカルボキシ二量体の含有率は93%、ロジン成分(ロジンメチルエステル)は3%、ロジンの三量体以上の成分の含有量は4%であった。
実施例1(重合ロジンアルコールの合成)
製造例1で得られた重合ロジンエステル100gと酸化銅触媒(堺化学工業(株)製、KC−1H)5gを0.3L回転式オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素にて20MPaまで加圧し、285℃まで昇温し、30分に1回脱圧しながら7時間反応を行って、重合ロジンアルコールを得た。該重合ロジンアルコールの物性を表1に示す(以下、同様)。
実施例2
重合ロジンエステルを製造例2で得られた重合ロジンエステルに変えたほかは、実施例1と同様に反応を行って、重合ロジンアルコールを得た。
実施例3
製造例1で得られた重合ロジンエステル100gと前記の酸化銅触媒8gを前記オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素にて20MPaまで加圧し、290℃まで昇温し、30分に1回脱圧しながら6時間反応させることにより、重合ロジンアルコールを得た。
実施例4
製造例1で得られた重合ロジンエステル100gと前記の酸化銅触媒5gを前記オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素にて18MPaまで加圧し、280℃まで昇温し、30分に1回脱圧しながら4時間反応させることにより、重合ロジンアルコールを得た。
比較例1
製造例1で得られた重合ロジンエステル100gと前記の酸化銅触媒3gを前記オートクレーブに仕込み、系内の酸素を除去した後、水素にて14MPaまで加圧し、280℃まで昇温し、30分に1回脱圧しながら4時間反応させることにより重合ロジンアルコールを得た。

Claims (6)

  1. ロジン二量体成分の含有量が80重量%以上であって、かつ該二量体成分中に一般式(1):ROOC−X−COOR(式中、Xはロジン二量体から2つのエステル基を除いた残基を、Rは炭素数1〜5のアルキル基を表す)で表わされるジエステル化合物を80%重量以上含有する重合ロジンエステルを、銅酸化物系触媒の存在下に水素圧5〜30MPa、および180〜350℃の条件下にて水素化還元させることを特徴とする重合ロジンアルコールの製造方法。
  2. 前記の重合ロジンエステルが、ガードナー色数が10以下のものである請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記の重合ロジンエステルが、硫酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩化亜鉛及び三フッ化ホウ素もしくはその錯体からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒の存在下にロジンエステルを重合して得られるものである、請求項1または2に記載の重合ロジンアルコールの製造方法。
  4. 前記の水素化還元における水素圧が10〜25MPaであり、かつ反応温度が250〜300℃である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記の重合ロジンアルコールが、ガードナー色数が3以下、軟化点が110〜150℃、酸価が3mgKOH/g以下、および水酸基価が130〜190mgKOH/gのものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記の重合ロジンアルコールが、ロジン二量体成分を80重量%以上含有するものである請求項1〜5いずれかに記載の製造方法。
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